JP2005022929A - セラミックス多孔体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三次元網目構造を有するセラミックス基材の骨格表面を、有機物を含むセラミックス原料のナノスラリーでコーティングし、乾燥後、焼成することにより、前記セラミックス基材の骨格表面に、多孔質のセラミックス層を形成させる方法により製造されるセラミックス多孔体であって、全体の気孔率が60%以上90%以下の三次元網目構造を有しており、気孔率40%以下の三次元網目構造を有するセラミックス基材の骨格表面に、気孔率30%以上80%以下のセラミックスが積層されているものを得る。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス多孔体およびその製造方法に関し、より詳細には、フィルタ、断熱材、触媒担体、ヒータ、吸音材、吸着材、クロマトグラフィー用充填材、バイオリアクタ、細胞担体、人工臓器用部材等に好適に利用することができるセラミックス多孔体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス多孔体は、無機化合物であるセラミックスにより形成されているため、その強度、耐薬品性、耐熱性等のセラミックスの優れた特性と、吸着性、保温性等の多数の気孔によりもたらされる特性により、従来から、フィルタ、断熱材、触媒担体等に利用されていた。
【0003】
特に、三次元網目構造を有するセラミックス多孔体は、その網目を構成する気孔による流体透過特性、触媒反応特性が期待されることから、様々な用途への応用が検討され、既に実用化もされている。
例えば、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト等の生体為害性のないセラミックス原料を用いて上記方法により製造されたセラミックス多孔体は、生体適合性、細胞成長の足場としての適性等の観点から、細胞担体、人工骨等に利用されている。
【0004】
上記のような三次元網目構造を有するセラミックス多孔体は、例えば、特許文献1に記載されたような方法により製造することができる。
具体的には、セラミックス原料粉末、バインダ、分散剤、分散媒等を含むスラリーを調製し、このスラリーに起泡剤を添加したものを、撹拌および気体導入することにより所定の体積まで起泡させて、泡沫状スラリーとする。これに、架橋重合により硬化する有機物質を添加して撹拌し、注型し、乾燥させて成形体とし、さらに十分乾燥させた後、焼結させることにより、セラミックス多孔体が得られる。
【0005】
上記のような方法により製造されるセラミックス多孔体においては、三次元網目構造の網目を構成している気孔は、通常、ほぼ均一な気孔径で形成される。
これは、上記製造方法においては、セラミックス原料の泡沫状スラリーをゲル化させた成形体を乾燥させて焼成することから、前記泡沫状スラリーにおいて形成された気泡が、焼成後、そのまま気孔となるためである。
【0006】
しかしながら、セラミックス多孔体の各種用途においては、均一な気孔径の気孔を有するセラミックス多孔体よりも、むしろ、種々の気孔径の気孔を有するセラミックス多孔体の方が、優れた効果を発揮し得る場合もある。
例えば、種々の気孔径が存在することにより、大きさの異なる分子を吸着することが可能となる。また、栄養成分を2段階の速度で徐放させたり、大きさの異なる細胞等を内蔵させることができる等の効果が考えられる。
【0007】
これに対しては、本出願人は、既に、セラミックスの多孔質支持体の表面に、セラミックス粒子および凝集剤を含むスラリーでコーティング層を形成し、乾燥、焼結させ、セラミックスフィルターを得る方法を提案している(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−130978号公報
【特許文献2】
特開平11−188217号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ナノテクノロジーの研究開発が盛んに行われており、セラミックス多孔体についても、優れた機能を見出し、さらに幅広い用途開拓を図るべく、気孔もより小さい、ナノサイズのものが求められている。すなわち、ナノサイズの複数の種類の気孔径群の気孔を有し、かつ、三次元網目構造を有するセラミックス多孔体の開発が望まれていた。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2に記載されたような製造方法によれば、複数の種類の気孔径群の気孔を有するセラミックス多孔体を形成することはできるが、これらの気孔は、マイクロサイズのものであり、より小さいナノサイズの気孔は形成されていない。
【0011】
また、上記特許文献1に記載されたような三次元網目構造を有するセラミックス多孔体の製造方法において、仮に、三次元網目構造をなすセラミックス多孔体の骨格自体が多孔質となるように焼成温度を調整した場合であっても、骨格における気孔は、骨格を構成するセラミックス粒子の焼結によって形成されることから、基本的には、前記セラミックス粒子の粒径よりも気孔径が大きい気孔を形成することは困難であった。
すなわち、骨格としての十分な強度を有し、かつ、多孔体の骨格内部に網目構造を構成する気孔と異なる気孔径の気孔を高気孔率で均等に形成させることは困難であり、複数の種類の気孔径群の気孔を有するセラミックス多孔体を得ることは困難であった。
【0012】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、三次元網目構造を有し、かつ、ナノサイズの複数の種類の気孔径群の気孔を有するセラミックス多孔体およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るセラミックス多孔体は、全体の気孔率が60%以上90%以下の三次元網目構造を有するセラミックス多孔体であって、気孔率40%以下の三次元網目構造を有するセラミックス基材に対して、前記基材の骨格表面に、気孔率30%以上80%以下のセラミックスが積層されて形成されていることを特徴とする。
前記セラミックス多孔体は、三次元網目構造を有するセラミックス基材と、その基材表面にコーティングされた多孔質のセラミックスとにより構成されており、全体として高気孔率かつ三次元網目構造を有しているものであり、複数の種類の気孔径群の気孔を有する構成とすることができる。
【0014】
前記セラミックス基材により構成される三次元網目構造は、使用上における強度等の観点から、気孔径1μm以下の気孔により構成されていることが好ましい。
【0015】
前記積層されたセラミックスは、気孔径40nm以上1000nm以下の気孔径群の気孔と、気孔径1nm以上11nm以下の気孔径群の気孔とを有していることが好ましい。
製造上の強度、気孔の多様な機能の発現等の観点から、上記のような範囲の異なる気孔径群の気孔を有していることが好ましい。
【0016】
また、前記積層されたセラミックスは、積層数の2倍の気孔径群の気孔を有していることが好ましい。
気孔による多様な機能を発現させるためには、複数層に積層されたセラミックスにおいて、一層当たり2種類の気孔径群の気孔を形成させて、上記のように、気孔径群の種類を多くすることもできる。
【0017】
また、本発明に係る他のセラミックス多孔体は、全体の気孔率が60%以上95%以下の三次元網目構造を有するセラミックス多孔体であって、前記三次元網目構造を構成するセラミックス基材は、その骨格が、気孔率20%以上80%以下であり、かつ、複数の気孔径群の気孔を有していることを特徴とする。
前記セラミックス多孔体は、骨格自体が多孔質であるセラミックス基材により構成されており、全体として高気孔率かつ三次元網目構造を有しているものである。
【0018】
前記セラミックス基材の骨格においては、複数の種類の気孔径群のうち、少なくとも1つの気孔径群の気孔径が、該骨格を構成するセラミックス粒子径よりも大きいことが好ましい。
【0019】
上記のいずれのセラミックス多孔体も、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、リン酸カルシウム系セラミックスのうちのいずれか1種以上からなることが、強度、用途等の観点から好ましい。
【0020】
また、本発明に係るセラミックス多孔体の製造方法は、三次元網目構造を有するセラミックス基材の骨格表面を、有機物を含むセラミックス原料のナノスラリーでコーティングし、乾燥後、焼成することにより、前記セラミックス基材の骨格表面に、セラミックス多孔体を積層させ、かつ、全体を三次元網目構造に形成させることを特徴とする。
上記製造方法によれば、セラミックス基材により形成されている網目構造の網目を構成している気孔と、ナノスラリーに含まれる有機物が焼失して形成された気孔と、ナノスラリーに含まれるセラミックス粒子が焼結して形成されたより微小な気孔とを有し、かつ、三次元網目構造を有するセラミックス多孔体が得られる
【0021】
また、本発明に係るセラミックス多孔体の他の製造方法は、有機物を含むセラミックス原料のナノスラリーを起泡させて成形し、得られた成形体を乾燥後、焼成することにより、複数の種類の気孔径群の気孔を有する三次元網目構造に形成させることを特徴とする。
上記製造方法は、起泡させたナノスラリー自体を成形し、焼結させるものであり、これにより、セラミックス基材の骨格が、ナノスラリーに含まれる有機物が焼失して形成された気孔と、セラミックス粒子が焼結して形成されたより微小な気孔とを有する多孔質のセラミックスとして形成され、複数の種類の気孔径群の気孔を有し、かつ、三次元網目構造を有するセラミックス多孔体が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係るセラミックス多孔体は、全体の気孔率が60%以上90%以下の三次元網目構造を有するセラミックス多孔体であって、気孔率40%以下の三次元網目構造を有するセラミックス基材に対して、前記基材の骨格表面に、気孔率30%以上80%以下のセラミックスが積層されて形成されているものである。
すなわち、前記セラミックス多孔体は、三次元網目構造を有するセラミックス基材と、その基材表面にコーティングされた多孔質のセラミックスとにより構成されており、全体として高気孔率かつ三次元網目構造を有しているものである。
【0023】
前記セラミックス多孔体は、全体としての気孔率は60%以上90%以下であることが好ましい。
全体の気孔率が60%未満である場合、三次元網目構造を形成する連通気孔の割合が小さくなり、セラミックス多孔体中における流体透過特性等が低下する。
一方、全体の気孔率が90%を超える場合、使用上求められる十分な強度を得ることができない。
【0024】
前記セラミックス多孔体においては、セラミックス基材の気孔率は40%以下のものが用いられることが好ましい。
前記気孔率が40%を超える場合、使用上求められる十分な強度を得ることができず、骨格表面にさらにセラミックスを積層させたセラミックス多孔体の製造は困難である。
【0025】
また、前記セラミックス基材の骨格表面に積層されるセラミックスの気孔率は、30%以上80%以下であることが好ましい。
前記気孔率が30%未満である場合、機能する気孔の表面積、容積が小さくなり過ぎる。
一方、前記気孔率が80%を超える場合は、使用上求められる十分な強度を得ることができない。
【0026】
前記セラミックス多孔体は、上記のように、セラミックス基材が三次元網目構造を形成しているものであり、その三次元網目構造を構成している気孔は、気孔径1μm以下であることが好ましい。
この気孔径が1μmを超えると、強度が低下し、脆弱となり、使用上支障をきたすこととなる。
【0027】
上記のようなセラミックス多孔体は、本発明に係る第1の製造方法により製造することができる。
具体的には、三次元網目構造を有するセラミックス基材の骨格表面を、有機物を含むセラミックス原料のナノスラリーでコーティングし、乾燥後、焼成することにより前記セラミックス多孔体を得ることができる。
上記第1の製造方法によれば、セラミックス基材により形成されている網目構造の網目を構成している気孔と、ナノスラリーに含まれる有機物が焼成時に焼失して形成された気孔と、ナノスラリーに含まれるセラミックス粒子が焼結して形成されたより微小な気孔とを有するセラミックス多孔体が得られる。すなわち、複数の異なる気孔径群の気孔を有し、かつ、三次元網目構造を有するセラミックス多孔体が形成される。
【0028】
なお、前記三次元網目構造を有するセラミックス基材の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、上記特許文献1に記載されているような撹拌起泡による製造方法、気泡を形成する物質を焼き抜くことにより多孔体を製造する方法等を用いることができる。
【0029】
上記第1の製造方法において、ナノスラリーに含まれる有機物としては、ラテックス粒子を用いることが好ましい。
ラテックス粒子は、微小粒子であり、しかも、粒径が均一であり、焼失により均一な気泡径を有する微小気泡を形成することができるため、好適に用いることができる。また、セラミックス原料のナノスラリー中への均一分散性にも優れているという利点を有しているため好適である。
【0030】
また、前記ナノスラリーに用いられるセラミックス粒子は、ラテックス粒子よりも粒径が小さい、ナノ粒子を用いることが好ましい。
これにより、ラテックス粒子等の有機物の焼失により形成される気孔径よりもさらに微小なナノサイズの気孔を形成することができる。
【0031】
したがって、上記第1の製造方法により得られるセラミックス多孔体は、ナノスラリー中の有機物およびセラミックス原料の粒子を適宜調整することにより、ナノサイズの所望の気孔径群の気孔を形成することができる。
特に、セラミックス基材に積層された多孔質のセラミックスが、気孔径40nm以上1000nm以下の大きな気孔径群の気孔と、気孔径1nm以上11nm以下の小さな気孔径群の気孔とを有しているものであることが、製造上の強度、気孔の多様な機能の発現等の観点から好ましい。
すなわち、ラテックス粒子の焼失により形成された気孔の気孔径が40nm以上1000nm以下、セラミックス粒子の焼結により形成された気孔の気孔径が1nm以上11nm以下となることが好ましい。
なお、上記気孔径およびセラミックス多孔体全体の気孔率は、水銀ポロシメータにより測定することができる。
【0032】
前記ナノスラリーによるコーティング工程は、1回でもよく、あるいはまた、、繰り返し行い、セラミックス基材表面に複数層に積層させてもよい。
このとき、コーティングするナノスラリーは、同じものを繰り返し用いてもよく、また、ラテックス粒子およびセラミックス原料粒子の粒径が各層において異なるナノスラリーを用いてもよい。
【0033】
上記のように、得られるセラミックス多孔体において積層されたセラミックス中には、一層当たり2種類の気孔径分布を有する気孔が形成される。
したがって、ナノスラリーに含まれるラテックス粒子等の有機物およびセラミックス原料粒子の粒径を層ごとに変化させてコーティングすることにより、複数層の積層されたセラミックスにおいては、最大で、積層数の2倍の種類の気孔径群の気孔が形成されることになる。
すなわち、前記積層されたセラミックスは、最大で、積層数の2倍の気孔群の気孔を有することとなる。
【0034】
また、本発明に係る他のセラミックス多孔体は、全体の気孔率が60%以上95%以下の三次元網目構造を有するセラミックス多孔体であって、前記三次元網目構造を構成するセラミックス基材は、その骨格が、気孔率20%以上80%以下であり、かつ、複数の気孔径群の気孔を有していることを特徴とする。
すなわち、前記セラミックス多孔体は、骨格が多孔質であるセラミックス基材により構成されており、全体として高気孔率かつ三次元網目構造を有しているものである。
【0035】
上記のようなセラミックス多孔体は、本発明に係る第2の製造方法により得ることができる。
すなわち、有機物を含むセラミックス原料のナノスラリーを起泡させて成形し、得られた成形体を乾燥後、焼成することにより得られ、複数の気孔径群の気孔を有する三次元網目構造に形成させることができる。
この第2の製造方法は、上記第1の製造方法と異なり、ナノスラリーを多孔質のセラミックス基材にコーティングするのではなく、起泡させたナノスラリー自体を成形し、焼結させるものである。
これにより、セラミックス基材の骨格が、ナノスラリーに含まれる有機物が焼成時に焼失して形成された気孔と、ナノスラリーに含まれるセラミックス粒子が焼結して形成されたより微小な気孔とを有する多孔質のセラミックスとして形成される。さらに、この多孔質のセラミックス基材が三次元網目構造を形成することにより、複数の種類の気孔径群の気孔を有するセラミックス多孔体を構成する。
なお、上記第2の製造方法において用いられるナノスラリーは、上記第1の製造方法において、コーティングするために用いられるものと同様でよい。
【0036】
前記セラミックス多孔体は、全体としての気孔率は60%以上95%以下であることが好ましい。
全体の気孔率が60%未満である場合、機能する気孔の表面積、容積が小さくなり、触媒反応特性や流体透過特性等において、十分な性能を発揮させることができない。
一方、全体の気孔率が95%を超える場合、使用上求められる十分な強度を得ることができず、製造自体も困難となる。
【0037】
また、前記セラミックス多孔体においては、セラミックス基材の骨格の気孔率が、20%以上80%以下であることが好ましい。
前記気孔率が20%未満である場合、機能する気孔の表面積、容積が小さくなり、触媒反応特性や流体透過特性等において、十分な性能を発揮させることができない。
一方、前記気孔率が80%を超える場合、使用上求められる十分な強度を得ることができず、製造自体も困難となる。
【0038】
前記セラミックス基材の骨格は、少なくとも1つの気孔径群の気孔径が、該骨格を構成するセラミックス粒子径よりも大きいものであることが好ましい。
このような気孔径の制御は、ナノスラリー中のラテックス粒子等の有機物およびセラミックス原料粒子の粒径を適宜調整することにより可能である。
【0039】
上記のいずれのセラミックス多孔体も、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、リン酸カルシウム系セラミックスのうちのいずれか1種以上の材料からなることが、強度、用途等の観点から好ましい。
なお、上記製造方法においては、これらの用いられるセラミックス材料の種類、粒径等に応じて、焼成温度、焼成時間等の製造条件を適宜調整する。
【0040】
上記のような本発明に係るセラミックス多孔体は、複数の種類の気孔径群の気孔を有しているため、その気孔径の大きさに応じて、ろ過、大きさの異なる分子や菌体等の同時吸着、段階的な速度での薬剤や栄養成分の徐放、大きさの異なる触媒や細胞等の内蔵等、様々の機能を発揮することが期待される。
具体的には、例えば、チタニアセラミックス多孔体により、血液中の有害物質であるビリルビンを遊離した小さい分子と、アルブミンと結合した大きな結合性ビリルビン分子とを同時に吸着する上で有効であると考えられる。
また、細胞培養モジュールのドラッグデリバリーシステムとして利用することもできる。
その他、チタニアセラミックス多孔体を光触媒粒子として応用した大気中の除菌等、様々な用途展開が検討されている。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
粒径500nmのラテックス(30wt%)3.8gを、粒径33nmのアルミナ粒子のナノスラリー(15wt%)5gに混合して、30分間超音波により撹拌した。
得られたナノスラリーに、気孔率90%、気孔径200〜800μmの三次元網目構造を有するアルミナセラミックス基材を浸漬させ、室温で乾燥させた後、500℃で2時間焼成し、アルミナセラミックス多孔体を得た。
前記アルミナセラミックス基材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。また、得られたアルミナセラミックス多孔体のSEM写真を図2に示す。
水銀ポロシメータによる測定から、セラミックス基材には、気孔径200〜800μmの気孔があり、積層されたセラミックス部分には気孔径約500nmの気孔があることが認められた。
なお、上記撹拌後のナノスラリーを、4日間乾燥させて水分を除去した後、500℃で2時間焼成した。この焼成体の気孔率を水銀ポロシメータで測定したところ、気孔率は70%であった。
【0042】
[実施例2]
粒径200nmのラテックス(48.3wt%)0.17gを、粒径33nmのアルミナ粒子のナノスラリー(15wt%)3gに混合して、30分間超音波により撹拌した。
得られたナノスラリーに、気孔率90%、気孔径200〜800μmの三次元網目構造を有するアルミナセラミックス基材を浸漬させ、室温で乾燥させた後、500℃で2時間焼成し、アルミナセラミックス多孔体を得た。
得られたアルミナセラミックス多孔体のSEM写真を図3に示す。
水銀ポロシメータによる測定から、セラミックス基材には、気孔径200〜800μmの気孔があり、積層されたセラミックス部分には気孔径約200nmの気孔があることが認められた。
【0043】
[実施例3]
粒径160nmのラテックス(50wt%)0.15gを、粒径33nmのアルミナ粒子のナノスラリー(15wt%)3gに混合して、30分間超音波により撹拌した。
得られたナノスラリーに、気孔率90%、気孔径200〜800μmの三次元網目構造を有するアルミナセラミックス基材を浸漬させ、室温で乾燥させた後、500℃で2時間焼成し、アルミナセラミックス多孔体を得た。
得られたアルミナセラミックス多孔体のSEM写真を図4に示す。
水銀ポロシメータによる測定から、セラミックス基材には、気孔径200〜800μmの気孔があり、積層されたセラミックス部分には気孔径約160nmの気孔があることが認められた。
【0044】
[実施例4]
平均粒径100nm以下のアルミナ粒子160g、粒径500nmのラテックス(CMH5055:日本ゼオン製)50g、水40g、分散剤(アロンA−30SL:東亞合成化学工業製)3.2gをポットミルで12時間混合し、均一なアルミナナノスラリーを調製した。
このナノスラリーに、起泡剤(エマルゲン:花王製)3gを添加して5分間撹拌した後、エポキシ樹脂(デナコールEX−614B:三洋化成製)15gを添加して5分間撹拌し、さらに、硬化剤としてイミノビスプロピルアミン4.2g添加して撹拌して、均一な泡沫状のナノスラリーを得た。
得られた泡沫状ナノスラリーを注型し、3時間放置して成形体とし、室温で乾燥後、1200℃で2時間焼成し、セラミックス多孔体を得た。
得られたセラミックス多孔体のSEM写真を図5および図6に示す。図5は全体像であり、図6はセラミックス基材の骨格部分を拡大したものである。
水銀ポロシメータによる測定から、セラミックス基材の骨格には、気孔径約50nmおよび約500nmの2種類の気孔径の気孔があることが認められた。また、セラミックス多孔体全体の気孔率は92%であった。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係るセラミックス多孔体の製造方法によれば、三次元網目構造を有し、かつ、従来よりも微小なナノサイズの複数の種類の気孔径群の気孔を有するセラミックス多孔体が得られる。
また、上記のような本発明に係るセラミックス多孔体は、その気孔径の大きさに応じて、ろ過、大きさの異なる分子や菌体等の同時吸着、段階的な速度での薬剤や栄養成分の徐放、大きさの異なる触媒や細胞等の内蔵等、様々の機能を発揮し得るものである。
したがって、本発明に係るセラミックス多孔体は、フィルタ、断熱材、触媒担体、ヒータ、吸音材、吸着材、クロマトグラフィー用充填材、バイオリアクタ、細胞担体、人工臓器用部材等の様々な用途において、好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3に係るアルミナセラミックス基材のSEM写真である。
【図2】実施例1において得られたセラミックス多孔体のSEM写真である。
【図3】実施例2において得られたセラミックス多孔体のSEM写真である。
【図4】実施例3において得られたセラミックス多孔体のSEM写真である。
【図5】実施例4において得られたセラミックス多孔体のSEM写真である。
【図6】図5のセラミックス基材の骨格部分を拡大したSEM写真である。
Claims (9)
- 全体の気孔率が60%以上90%以下の三次元網目構造を有するセラミックス多孔体であって、気孔率40%以下の三次元網目構造を有するセラミックス基材に対して、前記基材の骨格表面に、気孔率30%以上80%以下のセラミックスが積層されて形成されていることを特徴とするセラミックス多孔体。
- 前記セラミックス基材により構成される三次元網目構造は、気孔径1μm以下の気孔により構成されていることを特徴とする請求項1記載のセラミックス多孔体。
- 前記積層されたセラミックスは、気孔径40nm以上1000nm以下の気孔径群の気孔と、気孔径1nm以上11nm以下の気孔径群の気孔とを有していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多孔質セラミックス。
- 前記積層されたセラミックスは、積層数の2倍の気孔径群の気孔を有していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のセラミックス多孔体。
- 全体の気孔率が60%以上95%以下の三次元網目構造を有するセラミックス多孔体であって、前記三次元網目構造を構成するセラミックス基材は、その骨格が、気孔率20%以上80%以下であり、かつ、複数の気孔径群の気孔を有していることを特徴とするセラミックス多孔体。
- 前記セラミックス基材の骨格において、少なくとも1つの気孔径群の気孔径が、該骨格を構成するセラミックス粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項5記載のセラミックス多孔体。
- アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、リン酸カルシウム系セラミックスのうちのいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のセラミックス多孔体。
- 三次元網目構造を有するセラミックス基材の骨格表面を、有機物を含むセラミックス原料のナノスラリーでコーティングし、乾燥後、焼成することにより、前記セラミックス基材の骨格表面に、セラミックス多孔体を積層させ、かつ、全体を三次元網目構造に形成させることを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。
- 有機物を含むセラミックス原料のナノスラリーを起泡させて成形し、得られた成形体を乾燥後、焼成することにより、複数の種類の気孔径群の気孔を有する三次元網目構造に形成させることを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。
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