JP2005255439A - ナノ・ミクロおよびマクロ多重構造多孔体およびその製法 - Google Patents

ナノ・ミクロおよびマクロ多重構造多孔体およびその製法 Download PDF

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美智子 楠
Toshiharu Furukawa
俊治 古川
Takehisa Ono
武久 大野
Yoshihisa Kato
喜久 加藤
Yoshio Tomita
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清寿 羽山
Motohiro Yamamoto
元弘 山本
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Abstract

【課題】 SiC構造体の表面にCNTを生成させる技術を応用しつつ、新規な構造体(すなわち、比較的大径の孔部(ミクロ及びマクロ孔径)を備え、その大孔部の表面に小径の孔部(CNT)を備えた多重構造多孔体)を提供すること、およびその製法を提供すること。
【解決手段】 炭化珪素を含有する難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックススラリーをゲル化したゲル状多孔質成形体を乾燥、脱脂、焼成して二重構造多孔体を製造し、この多孔体を真空中において珪素原子を熱除去することにより、表面にカーボンナノチューブを形成する。こうして得られた多重構造多孔体2には、セラミックスマトリックス4と、マクロ孔部10と、ミクロ孔部20と、CNT30とが備えられている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ナノ・ミクロ及びマクロ多重構造多孔体、およびその製法に関するものである。本発明に係るナノ・ミクロ及びマクロ多重構造多孔体は、例えば、ガス分離膜、触媒担体、燃料電池・二次電池の電極材料等に応用できる。
カーボンナノチューブ(CNT)が発見されてから10年以上が経過し、この間に多くのCNT製造方法が提案され、多数の応用途開発が進められている。CNTの製造方法については、アーク放電法、レーザー・アベレーション法、CVD法を始めとして、多くの手法が試みられてきている。
本発明者らの一部は、上記従来方法とは全く異なるCNT合成方法を完成し、開示してきた(例えば、特開2002−293523号公報)。この方法は、原材料のSiCの結晶を生かしつつ、高配向のCNTを自己構造的に形成させることが特長であり、SiC構造体の表面に対して、垂直方向にCNTを密集させた状態で生成させることができる。この方法には、各種の応用が考えられるものの、それらの応用技術については、十分に開発が進んでいない。
特開2002−293523号公報
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、SiC構造体の表面にCNTを生成させる技術を応用しつつ、新規な構造体(すなわち、マクロ孔部およびミクロ孔部を備え、更にそれら孔部の表面に小径の孔部(CNT)を備えた多重構造多孔体)を提供すること、およびその製法を提供することにある。
課題を解決するための手段、発明の作用、および発明の効果
本発明者らは、上記課題に鑑みて、鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1の発明に係る多重構造多孔体は、セラミックスマトリックスと、このセラミックスマトリックスで区画される複数のマクロ孔部と、前記マクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面に形成されるカーボンナノチューブとを備えたことを特徴とする。
この多重構造多孔体は、セラミックスマトリックスで区画されるマクロ孔部と、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」或いは「ナノ孔部」ということがある)とを備えているため、非常に高い気孔率を得ることができる。このため、各種触媒、ガスふるい、燃料電池の電極等に有効に用いることができる。第1の発明において、多重構造多孔体には、マトリックスに形成されるセラミックス粒子間の孔部であるミクロ孔部が設けられており、CNTは、ミクロ孔部及びマクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面に設けられていることが好ましい。
また、第1の発明において、前記カーボンナノチューブは、前記ミクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面にも設けられていることが好ましい。また、CNTは、連続構造であることが好ましい。この場合には、多重構造多孔体全体あるいは一部に電気を流すことができるので、表面極性をコントロールすることが可能となり、触媒やフィルターとしての機能を大幅に向上させることができる。また、CNTに対しては、必要に応じて、触媒、酵素、各種の有機物・無機物、金属等を担持あるいは化学結合させることができる。なお、多重構造多孔体の形状は特定されず、例えば多面体状、円板状、球状等に形成することができる。
第2の発明に係る多重構造多孔体の製法は、(1)共有結合性金属炭化物を含有するセラミックス材料から多孔体を焼成する工程、(2)前記多孔体を真空中において前記共有結合性金属炭化物が分解して、この共有結合性金属炭化物の表面から金属原子が失われる温度に加熱することにより、真空炉内に存在する微量の酸素によって共有結合性金属炭化物から金属原子を除去して、ミクロ孔部またはマクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面から内部へ成長形成される多数のカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ形成工程を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、(1)セラミックス材料から多孔体を製造し、この多孔体に(2)CNT形成工程を施すことにより、多重構造多孔体を製造することができる。上記(2)CNT形成工程では、多孔体を真空中において加熱すると、共有結合性金属炭化物中の金属原子が蒸発し、残ったCが筒状のチューブ構造をとって配列することでCNTが製造される。
多孔体としては、例えば特開2001−261463号に開示されたセラミック多孔体のように気泡により空けた孔部を備えたものの他に、押し出し成形機等の機械成形で作製された孔部を備えたもの、テンプレート物質の除去により作製された孔部を備えたもの、発泡剤などで作製した孔部を備えたものなどを用いることができるが、これらによっては限定されない。
(1)多孔体を焼成する場合には、還元的な雰囲気で行うことが好ましい。そのようにすれば、共有結合性金属炭化物の表面分解を防ぐことができ、CNT連続膜を形成することが可能となる。なおこの場合に、完全な還元条件でなくとも、共有結合性金属炭化物の分解を防止できる程度の還元条件であればよい。
(2)CNT形成工程では、共有結合性金属炭化物の分解により金属原子を除去可能な条件において、真空度及び加熱温度を設定することができる。それらの条件は特に限定されるものではないが、好ましい真空度としては1Torr〜10-9Torrであり、より好ましくは10-1Torr〜10-4Torrである。また、好ましい加熱温度としては、1200℃〜2000℃であり、より好ましくは1400℃〜1800℃である。加熱温度が高すぎると形成されたカーボンナノチューブどうしが食い合うことにより、一部のチューブが他を吸収して大きく成長する場合があり、カーボンナノチューブのサイズを制御することが困難になる。また、真空度及び加熱温度が高すぎると、共有結合性金属炭化物から金属原子が失われる速度が大きいため、カーボンナノチューブの配向が乱れやすくなるとともに径が大きくなる傾向があり、カーボン自身もCOとなり蒸発し、カーボンナノチューブ膜厚も薄くなり、更に消失してしまい、乱れたグラファイト層が形成されてしまい好ましくない。
また、(1)多孔体を焼成する際に、非対称的な膜(基材)を調整することができる。このとき、孔部が多い層から緻密層に至るまで、連続的あるいは非連続的に基材の性質を調整しておくことにより、(2)CNTも粗密状態を連続的あるいは非連続的に形成することができる。このようにすれば、多重構造多孔体の選択透過性(分離性能)が向上する。
第3の発明に係る多重構造多孔体の製法は、(1)セラミックス材料から多孔体を製造する工程、(2)前記多孔体の表面に共有結合性金属炭化物を付着させる工程、(3)真空中において前記共有結合性金属炭化物が分解して、この共有結合性金属炭化物の表面から金属原子が失われる温度に加熱することにより、真空炉内に存在する微量の酸素によって共有結合性金属炭化物から金属原子を除去して、ミクロ孔部またはマクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面から内部へ成長形成される多数のカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ形成工程を備えたことを特徴とする。この方法によれば、(1)セラミックス材料から多孔体を製造し、(2)この多孔体の表面に共有結合性金属炭化物を付着させた後に、(3)CNT形成工程を施すことにより、多重構造多孔体を製造することができる。
上記第2の発明または第3の発明において、共有結合性金属炭化物としては、例えばSiC、BC等が挙げられるが、これらに限られるものではない。但し、好ましくはSiCである。
また、第2の発明または第3の発明によって得られた多重構造多孔体において、更に(4)CNTの表面を化学処理し、反応活性部位を導入することが好ましい。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
(ナノ・ミクロおよびマクロ多重構造多孔体)
図1には、ナノ・ミクロおよびマクロ多重構造多孔体2の断面構造の模式図を示した。
多重構造多孔体2は、図1〜図6に示すように、セラミックスマトリックス4と、マトリックス4で区画される複数のマクロ孔部10と、マトリックス4に形成されるセラミックス粒子22間の孔部であるミクロ孔部20と、CNT30とを有している。
セラミックスマトリックス4は、炭化珪素を含有する公知の酸化物系または非酸化物系のセラミックスや、粘土鉱物等で構成される。マトリックス4は、各種のセラミックス成分を単独で、あるいは2種以上の組み合わせで構成することができる。酸化物系セラミックスとしては、アルミナ系、ムライト系、ジルコニア系等を挙げることができ、非酸化物系セラミックスとしては、炭化ケイ素系、窒化ケイ素系、窒化アルミニウム系、窒化ホウ素系、グラファイト系等を挙げることができる。但し、本発明の多重構造多孔体2においては、炭化珪素を95%以上含有するマトリックス4を用いることが好ましく、ほぼ100%に近い炭化珪素のマトリックス4を用いることが最も好ましい。
マトリックス4には、複数のマクロ孔部10が区画されて存在している。マクロ孔部10の存在形態は、他のマクロ孔部10との関係においてマトリックス4において独立して存在する場合もあり、他のマクロ孔部10と連接等することにより外部と連通する連続状として存在する場合もある。マクロ孔部10が多くなれば、連続形態の割合が増加する。本実施形態においては、連続状のマクロ孔部10が主として存在することが好ましい。マクロ孔部10の形状は、特に限定しないが、主として略球状である。マクロ孔部10の孔径は、3000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、10μm〜1000μmである。
多重構造多孔体2におけるマクロ孔部10の分布は、傾斜配向されて構成することができる。傾斜配向とは、マクロ孔部10の個数及び/又は孔径が方向性をもって変化していることを意味する。また、傾斜配向は、連続的あるいは不連続的(段階的)な傾斜であってもよい。
マクロ孔部10の傾斜配向の結果、多重構造多孔体2のマトリックス4には、同一マトリックス4内でありながら、形態上区別可能な異なる領域が付与される。すなわち、傾斜配向によって形態上認識できる界面がマトリックス4に形成される場合がある。ここで、形態上区別可能とは、肉眼で区別可能な場合の他、顕微鏡等を用いて区別可能な場合も包含するものである。なお、このような異なる領域が多重構造多孔体2においてどの部位に形成されるかは問わないが、例えば、表層とそれに連続する内層に形成されていることが好ましい。表層と内層とは、例えば、かさ密度、マクロ孔部10の気孔率や気孔容積、マクロ孔部10の孔径のうち1種あるいは2種以上が異なる結果、異なる領域として区別される。また、これらに他の要因が付与される場合もある。
かさ密度で区別される場合、表層が、内層の2.5倍以上8.5倍以下であることが好ましい。かかる範囲のかさ密度で区別される場合、適度な表面孔部傾斜構造が形成される。2.5倍未満であれば、内層の孔部が少なすぎる好ましい孔部傾斜構造が得られ難く、8.5倍を超えると、表層が緻密すぎて好ましい孔部傾斜構造がえられにくいからである。いずれの場合においても、通気性、軽量性等の多孔質体の特性が損なわれやすい。表層はその厚みは限定しないが、100μm以上500μm以下であることが好ましい。図2には、表層46と内層48とを備える多重構造多孔体2の断面構造の模式図を示した。図においては、表層46では、マクロ孔部10がほとんど存在せず、実質的にマトリックス4が占めている。
このように形態上区別可能な領域が表層を構成する場合、当該表層を厚膜状組織あるいは緻密質組織ということもできる。このような区別される領域は、3種以上形成されていてもよい。表層、内層、さらにその内層という3層以上に形成されていてもよいし、そのほかの形態であってもよい。
図3には、多重構造多孔体2のマクロ孔部10の内壁におけるマトリックス4の表面を拡大したものを模式的に示した。マトリックス4内には、ミクロ孔部20が存在している。ミクロ孔部20は、マトリックス4中のセラミックス粒子22が部分的に結合して得られるセラミックス粒子22間の間隙に相当する。ミクロ孔部20は、マクロ孔部10の内壁部及びそれ以外のマトリックス4において存在している。このため、ミクロ孔部20により、連接しないマクロ孔部10間が連通状態となっていることが多い。ミクロ孔部20の孔径は、10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。マトリックスが高強度に維持されるからである。
図4〜図6には、マクロ孔部10またはミクロ孔部20の表面を更に拡大したものを模式的に示した。孔部10,20を構成するマトリックス4の表面には、CNT30が存在している。CNT30は、マトリックス4の表面において、ほぼ隙間なく密集した状態で存在している。これらのCNT30には、ナノメートルオーダのナノ孔部が備えられている。このナノ孔部の径は、約50ナノメートル以下である。
多重構造多孔体2は、全体として、50%以上の気孔率(ここでは開気孔及び閉気孔を含む全気孔率を意味する。)を有していることが好ましい。より好ましくは、65%以上である。全気孔率は、以下に示す計算式によって求められる。すなわち、全気孔率(%)=(1−嵩密度/真密度)×100(ただし、嵩密度=試料の重量/(試料の体積)である。)真密度は、例えば、極めて微粉化した試料の任意量をピクノメータに投入し、所定の容積に至るまで水を注入して煮沸等してボイドを排除した上で、その重さと容積との関係から求めることができる。
多重構造多孔体2は、60%以上で90%以下の開気孔率を有していることが好ましい。60%未満であると通過圧力損失の増大が著しく、90%を超えると機械的強度の低下が著しいからである。より好ましくは、開気孔率は、65%以上で85%以下である。開気孔率とは、試料の幾何学的(外形的)な(嵩)容積に対する開気孔容積の割合(%)である。開気孔率は、アルキメデス法、水銀ポロシメータ法等により求めることができる。特に、マトリックス4におけるミクロ孔部20の気孔率は、15%以上で35%以下であることが好ましい。15%未満ではミクロ孔部20の作用が不十分となり、35%を超えてはセラミックスマトリックスの強度が充分に得られないからである。また、気孔率は、より好ましくは30%以下である。さらに、全開気孔容積に対する、マクロ孔部10の開気孔容積の割合は、70%以上98%以下であることが好ましい。多重構造多孔体2のかさ密度は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下である。
多重構造多孔体2は高い機械的強度を備えている。多重構造多孔体2の機械的強度としては、JIS R1601の曲げ強さ試験方法に基づいて測定して得られる3点曲げ強さが5MPa以上であることが好ましい。なお、当該曲げ強さ試験方法で用いる試料片を10×10×50mmとし、スパンを40mmとして測定して得られた曲げ強さであってもよい。より好ましくは、6MPa以上である。また、熱膨張係数は、好ましくは7.0×10-6/℃以下であり、より好ましくは4.5×10-6/℃以下である。
上記のように構成された多重構造多孔体2には、セラミックスマトリックス4で区画されるマクロ孔部10と、マトリックス4内に形成されるミクロ孔部20と、カーボンナノチューブ30とが備えられているため、非常に高い気孔率を得ることができる。このため、各種触媒、ガスふるい、燃料電池の電極等に有効に用いることができる。
(多重構造多孔体の製造工程)
次に、本発明の多重構造多孔体の製造工程について説明する。
(二重構造多孔体の製造工程)まず、ミクロ孔部およびマクロ孔部を備えた二重構造多孔体の製造工程について説明する。二重構造多孔体は、例えば特開2001−261463号公報に開示された方法に従って製造することができる。
(含気泡セラミックススラリーの調製)多重構造多孔体2を得るには、含気泡セラミックススラリーを固化(ゲル化)させて保水性多孔質成形体を得る。図7には、工程の概略図を示した。含気泡セラミックススラリーには、少なくともセラミックス粉末とゲル化材料とが含有されており、これに必要に応じて、架橋剤、触媒、界面活性剤を含有させることができる。含気泡セラミックススラリーを調製するには、まず、気泡を有していない状態のスラリー(以下、単にセラミックススラリーという。)を調製することが好ましい。セラミックススラリーには、セラミックス粉末を含有している。スラリーを調製するためのセラミックス粉末を構成するセラミックス成分としては、炭化珪素を含有するセラミックスを用いる。各種のセラミックス成分を、1種あるいは2種以上の組み合わせで使用することができる。好ましくは、95%以上の炭化珪素を含むセラミックス成分を用いる。形状としては、特に限定されず、針状、棒状であってもよいが、好ましくは、不定形あるいは略球状である。
セラミックス粉末の平均粒径は特に限定しないが、好ましくは、10μm以下である。この範囲の平均粒径のセラミックスを用いると、スラリー中での粉末分散性が向上されるとともに、焼結性も向上されるからである。平均粒径は、より好ましくは、5μm以下である。さらに好ましくは、1μm以下であり、最も好ましくは、0.6μm以下である。セラミックス粉末のスラリー中の体積分率は、60v/v%以下であることが好ましい。60v/v%を超えると、スラリー粘度が急激に増大するからである。より好ましくは、55v/v%以下である。また、その下限は、45v/v%以上であることが好ましい。
セラミックススラリーにおいて、セラミックス粉末を懸濁する媒体は、特に限定しないで水、有機溶媒、これらの混合溶媒等を使用することができる。好ましくは水である。セラミックススラリー中に、セラミックス粉末を均一に含有させるためには、適当な分散剤を使用することが好ましい。分散剤として、従来公知の各種分散剤を、セラミックス成分やその他の成分を考慮して選択して用いることができる。代表的には、ポリカルボン酸系分散剤(アニオン系分散剤)を使用でき、具体的には、ポリカルボン酸アンモニウムやポリカルボン酸ナトリウムを使用できる。好ましくは、分散剤の添加量に伴うスラリー粘度変化が大きい分散剤を使用する。分散剤の使用量は、好ましくは、セラミックス粉末の重量に対して5重量%以下であり、より好ましくは、1重量%以下である。
セラミックススラリーには、また、公知の滑剤や増粘剤や糊剤等も加えることができる。増粘剤や糊剤等としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、サッカロース、糖蜜、キサンタンガム等を例示できる。増粘剤や糊剤等は、導入した気泡を安定して保持するのに適している。また、スラリーの粘度を調整することもできる。さらに、得られる二重構造多孔体の強度等の特性に付与するセラミックス製繊維材料や、金属製あるいはセラミックス製のチップ材料も加えることができる。さらに、二重構造多孔体の焼結を促進する微量の無機化合物を加えることができる。セラミックススラリーは、これらの材料をボールミルやポットミル等で混合、粉砕等することにより得られる。
(セラミックススラリーへの気泡の導入工程)セラミックススラリーに気泡を導入して含気泡セラミックススラリーとするには、各種方法を採用することができる。発泡剤をスラリーに添加して所定の発泡条件を付与することより、化学反応等により気泡を発生させることもできる。また、スラリーを攪拌したり、スラリーにガスを吹き込んだりすること等によって、外部からスラリー中にガスを導入することもできる。外部から気泡を導入する方法が簡便性及び不純物をスラリー中に含まないという点において好ましい。なお、気泡の導入に先だって、スラリーを脱泡しておくことが好ましい。例えば、真空チャンバー内で攪拌及び脱気することにより脱泡することができる。また、気泡導入及びゲル化以降の工程は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。特に、気泡導入工程から、成形工程におけるゲル化完了までを窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
セラミックススラリーに気泡を導入する際には、セラミックススラリー中には、スラリーをゲル化して水あるいは溶媒を保持した多孔質体を形成可能な、ゲル化のための材料を含有している。かかるゲル化のための材料としては、通常のゲル化剤や、モノマーと重合開始剤とからなる重合性材料を挙げることができる。ゲル化剤を使用すると、温度制御やpH制御等にりスラリーをゲル化することになる。ゲル化剤としては、ゼラチン、アガロース、寒天、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
重合性材料を用いる場合、モノマーの重合(主としてラジカル重合)により、スラリーをゲル化する。重合性材料のモノマーとしては、1官能基性あるいは2官能基性以上のモノマーを挙げることができる。具体的には、1または2以上のビニル基やアリル基等を備えたモノマーを挙げることができる。スラリーが水あるいは水性溶媒にて構成される場合には、1または2官能基性の重合性モノマーを用いることが好ましい。また、スラリーが、有機溶媒にて構成される場合には、2官能基性の重合性モノマーであることが好ましい。特に、スラリーを水を溶媒として調製する場合には、好ましくは、少なくとも1種の1官能基性の(メタ)アクリル酸アミドと、少なくとも1種の2官能基性の(メタ)アクリル酸アミドとを組み合わせて使用する。また、スラリーを有機溶媒で調製する場合には、好ましくは、少なくとも2種の2官能基性の(メタ)アクリル酸を組み合わせて使用する。
重合性材料を用いる場合、重合開始剤の種類や量によって重合速度が様々である。なお、重合開始剤は、通常は、室温では不活性である場合が多いが、重合開始剤は、必ずしも、モノマー材料と同時に使用してセラミックススラリーを調製する必要はない。必要に応じて、モノマーとは別に添加される。重合開始剤としては、従来公知の各種重合剤を使用することができる。いかなる重合開始剤を使用するかは、モノマーの種類やどのようにゲル化を行うかによって選択される。1官能基性モノマーや2官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、過硫酸アンモニウムや過硫化カリウム等である。また、2以上の官能基を有する官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、有機過酸化物や過酸化水素化合物や、アゾあるいはジアゾ化合物を使用する。具体的には、過酸化ベンゾイルである。
ゲル化材料のゲル化特性に応じてスラリーへの添加時期を調整することが好ましいが、ゲル化材料は、気泡導入直前にセラミックススラリーに加えるのが好ましい。一旦、気泡をスラリーに導入した後に、さらに、ゲル化材料を加えると、気泡が消失・減少等する場合もあるからである。
導入したガスは、界面活性剤等によって気泡としてスラリー中に保持するようにするのが好ましい。界面活性剤は、当該気泡導入工程において、攪拌等による気泡の導入前にセラミックススラリーに添加することが好ましい。界面活性剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸等の陰イオン性界面活剤や、高級アルキルアミノ酸等の陽イオン界面活性剤を例示できる。具体的には、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びこれらのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができる。また、トリエタノールアミンラウリルエーテル等及びこれらのハロゲン化塩や、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩等を挙げることができる。また、ジエチルヘキシルコハク酸及びそのアルカリ金属塩等を挙げることができる。気泡剤を用いる場合には、タンパク質系起泡剤、界面活性剤系気泡剤等を使用することができる。
気泡導入工程において導入される気泡の導入量や気泡の径は、界面活性剤の種類や添加量、あるいはスラリーの温度や濃度(セラミックス粉末の固形分率)、用いるセラミックス粉末の粒子径等で調整することが可能である。得ようとする気泡の孔径は、界面気泡導入前のゲル化しない状態でのスラリーの粘度によって調整するようにするのが好ましい。
この気泡導入工程において、ゲル化材料として重合性材料を用いる場合には、重合性材料とともに、重合開始剤、あるいは重合開始剤と重合触媒とを添加することが好ましい。一旦、導入された気泡をそのままスラリー中に保持した状態で、スラリーを固化工程に移行させるのに都合がよいからである。重合触媒を添加すれば、ゲル化温度やその添加量によりゲル化工程の時間を調整することができる。通常、重合触媒を添加すると、室温付近で速やかにゲル化(重合)が開始される。したがって、気泡導入方法や気泡導入量等を考慮して、重合触媒の使用や種類が選択される。重合触媒としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等を挙げることができる。
(ゲル状多孔質成形体の作製、成形(ゲル化)工程)このようにして調製した含気泡セラミックススラリーを、成形型等に注入して、ゲル化させ、ゲル状多孔質成形体を形成する。成形方法としては、各種成形法を用いることができる。押し出し成形にも適用可能である。本工程におけるゲル化は、実質的に脱溶媒を伴うことなく自己硬化させることを意味する。換言すれば、スラリーの媒体として用いた水や有機溶媒を保持させた状態で固化成形するものである。したがって、成形型は、溶媒や水を透過させない型を用いるのが好ましい。ゲル化剤を用いた場合には、温度制御及び/又はpH制御(気泡導入工程時あるいはその前に調整しておく)によりゲル化させる。ゲル化のための条件(温度、pH等)は、ゲル化剤の種類、ゲル濃度、スラリー中のイオン強度やセラミックス含量等によって異なる。これらのパラメータを考慮して温度やpHが設定され、ゲル化時間も設定される。
また、重合性材料を用いるゲル化の場合には、モノマーの種類や重合開始剤の種類、溶媒の種類、さらには、重合触媒の有無を考慮して、重合のための温度が設定される。水系スラリーの場合には、通常20℃以上であり、好ましくは、25℃以上80℃以下である。より好ましくは、25℃以上35℃以下である。有機溶媒系スラリーの場合には、通常、100℃以上であり、好ましくは、100℃以上120℃以下である。ゲル化のための時間も、温度と同様に各種パラメータを考慮して設定される。水系スラリーの場合には、通常は10分以上であり、好ましくは、20分以上数時間以内程度である。より好ましくは、1時間以上4時間以内である。有機溶媒系スラリーの場合には、通常は5分以上であり、好ましくは、5分〜30分程度である。
(気泡径、気泡分布等の制御)スラリーがゲル化すると、スラリー中に存在していた気泡もゲル状体中に保存される。この結果、ゲル状体が多孔質となり、ゲル状多孔質成形体が得られる。ゲル化が終了するまでの間、含気泡セラミックススラリーにおいては、気泡の移動や、気泡の分解や集合が生じる。これを利用して、ゲル化工程において、気泡径、気泡分布を制御することができる。気泡径及び気泡分布を制御することは、実質的に、最終的に得られる多重構造多孔体2のマクロ孔部10の孔径及び分布を制御することに等しい。気泡径は、第1に、気泡導入時において、例えば機械的エネルギーによって気泡を導入する場合には、使用する界面活性剤の種類と添加量によって制御される。使用する界面活性剤が、カチオン系であれば、気泡径が減少するという傾向があり、界面活性剤の量が増加すると、気泡径が増大するという傾向がある。さらに、第2に、ゲル化工程におけるスラリー温度とゲル化時間で調整される。スラリー温度が高いほど、気泡径が増大するという傾向があり、ゲル化時間が長いほど、気泡径が増大するという傾向がある。
また、気泡の分布は、スラリーのセラミックス固形分率で制御できる。すなわち、気泡を傾斜配向させることもできる。スラリー中のセラミックスの配合比率が比較的高い場合、例えば、55v/v%を越える場合は、上層部に小径の気泡が分布する領域が形成できる傾向がある。一方、固形分率が比較的低い場合、例えば、45v/v%以下である場合には、下層部(重力あるいは遠心力の作用方向)に小径の気泡が分布する領域が形成できる傾向がある。すなわち、下層部では、スラリーの圧力による気泡の分解と縮小により気泡径が小さくなり、上層部では、気泡の合体や膨張によって気泡径が大きくなる。また、下層部では、気泡が浮上するために、マトリックス部分が大きくなり緻密になり、上層部では、気泡量が大きくなる。このような気泡径や気泡分布の制御は、含気泡セラミックススラリーを成形型に注入して放置する場合には、重力等の作用により生じているが、積極的に遠心力を利用して気泡生成を制御することも可能である。
さらに、気泡を傾斜配向させる場合、特にスラリーの粘度により、重力あるいは遠心力の作用方向における気孔の傾斜配向を制御できる。例えば、ゲル化前のスラリーの粘度が高い場合には、重力あるいは遠心力の作用方向に、気泡径が小さい及び/又は気泡が少なくなるように、気泡が分布されて緻密化領域が形成されやすくなる。さらに、スラリーの粘度により、緻密化領域の厚みも調整することができ、スラリーを高粘度にすると、緻密化領域の厚くすることができる。以上のような気孔分布の傾斜配向制御により、緻密質組織を表層に有する多孔体を得ることができる。
逆に、ゲル化成形工程において重力や遠心力を特定の方向への作用を制限するか、あるいは作用させないようにすることにより、均一な気泡径分布や気孔分布形態を得ることができる。
ゲル化を利用した成形工程では、スリップキャスティング法のように、原料のセラミックス粉粒体の配向性もなく、セラミックス粉粒体が均一に分散保持されて均一なマトリックスが得られる。このため、原料粉体の配向性もなく、均一なマトリックスが得られる。また、本発明方法では、ゲル化温度やゲル化時間の制御により、原料粉粒体を配向させることなく均一に保持した状態で、気泡の形成制御が可能である。また、ゲル化時間やゲル化温度の制御は、容易に制御可能であるため、気泡制御の自由度も高い。また、媒体成分を保持したまま固化させるため、表面が滑らかで亀裂や荒れの低減された成形体が得られる。加えて、本成形体は、ゲル化剤あるいは重合体によってマトリックスが支持されているために、従来の鋳込み成形体に比して強度が高く、焼成に至るまで過程におけるハンドリングに都合がよく、破損等が生じにくい。また、本ゲル化工程を用いることは、配向性がないこと、成形性が良好であること、ゲル状成形体の強度が高いことから、大型のものや複雑な形状を有する多孔質体を得るのに都合が良い。また、ニアネットシェイプのゲル状成形体を得ることができる。
(乾燥工程、脱脂工程、焼成工程)このようにして、所望の形態にゲル状多孔質成形体を得たら、これを脱型して、乾燥、脱脂、焼成する。本発明方法では、不透水性の成形型を用いるため、離型が容易であり、しかもゲル状であるので、離型の際に成形体が損傷されにくい。乾燥は、ゲル状多孔質成形体中に含まれている水、溶媒を蒸発させるように行う。乾燥条件(温度、湿度、時間等)は、スラリー調製に用いた溶媒の種類とゲル状多孔質成形体の骨格部分を構成する成分(ゲル化剤あるいは重合体)によって適宜調整する。特に、本発明方法では、乾燥工程において、乾燥によって気孔の移動や、分解・集合が発生しないようにすることが好ましい。すなわち、乾燥工程においては、気孔を成形体中に保持して行うことが好ましい。このように乾燥することにより、マトリックス中に存在するセラミックス粉粒体の配向もゲル化時の状態が保存される。水系スラリーからの成形体の場合、通常は、20℃以上であり、好ましくは、25℃以上80℃以下であり、より好ましくは、25℃以上40℃以下である。また、通常、1時間以上である。好ましくは、8時間以上、より好ましくは24時間以上である。
また、特に、湿度(相対湿度)を徐々に低下するようにコントロールしながら、20℃以上30℃以下、好ましくは約25℃で、24時間から200時間程度かけて乾燥するのが、さらに好ましい。相対湿度は、95%R.H.から60%R.H.に減少させることが好ましい。また、5%R.H./日で減少させることが好ましい。このような乾燥は、特に、水を媒体として用いた成形体の乾燥に適している。例えば、水を媒体とし、モノマーとしてメタクリルアミドとN,N’-メチレンビスアクリルアミドを用いたスラリーから調製したゲル状多孔質成形体の場合、25℃で、湿度をR.H.95%から60%まで、5%/日で減少させて、約1週間かけて乾燥した。有機溶媒系スラリーからの成形体の場合、通常は、40℃以上であり、好ましくは110℃以上である。
つぎに、乾燥体から有機分を除去するために、さらに高温で加熱する。脱脂のための温度と時間は、使用した有機分の量および種類によって調整する。例えば、ゲル化のための材料としてメタクリルアミドとN,N-メチレンビスアクリルアミドを用いたスラリーから調製したゲル状多孔質成形体の場合、700℃で2日間脱脂する。
脱脂後には、焼成工程を実施する。焼成のための条件は、使用したセラミックス材料の種類等を考慮して設定される。特に、平均粒径がサブミクロン(0.1μm〜0.6μm)のセラミックス粉体を用いると、高温での焼成による焼結により、マトリックスを緻密化することができる。このような工程により、多重構造多孔体2を得ることができる。ゲル状多孔質成形体中に形成されていた気泡が、焼成によってマトリックス4に分散、あるいは連接したマクロ孔部10を形成する。気泡が集合していた部位においては、加熱により、破膜が生じ相対的に大きなマクロ孔部10を形成する。また、マトリックス4中においては、セラミックス粉末に由来するセラミックスの燒結粒子が部分的に結合することにより、孔部20が形成される。
(CNTの製造工程)上記のようにして構成された二重構造多孔体の表面に、次のようにしてCNTを製造することができる。
二重構造多孔体のマクロ孔部およびミクロ孔部を形成するマトリックスの表面は炭化珪素で覆われている。この炭化珪素のうち、珪素原子のみ除去することにより、CNTを形成する。二重構造多孔体を1Torr〜10-9Torr(より好ましくは、10-1Torr〜10-4Torr)の真空下において、1200℃〜2000℃(より好ましくは、1400℃〜1800℃)の加熱を行う。加熱時間は、形成しようとするCNTの長さに応じて適当に設定することができるが、例えば15分〜3時間の幅において、設定することが好ましい。
このCNT形成工程を施すことにより、マクロ孔部または/およびミクロ孔部を形成することで、セラミックスマトリックスの表面に所定のCNTを形成できる。
このようにして製造された多重構造多孔体によれば、前述のような効果を奏することができる。
(実施例1)
<試験方法>
1)原料SiC
原料SiCとして(株)TYK製のハニカム形状の焼結SiCを使用した。焼結SiCは、SiC原料粉末、有機バインダー、造孔剤、界面活性剤、及び水を均一に混合及び混練して得た杯土を、押し出し成形機にて外形150mm、長さ200mm、隔壁厚さ0.4mm、セル密度169セル/平方インチ(16セル/cm)のハニカム状に成形した後、酸化雰囲気において550℃で3時間、脱脂のため仮焼を行い、更に非酸化雰囲気において2200℃で2時間の焼成を行って、多孔質でハニカム構造の焼結SiCを製造したものである。この焼結SiCは、互いに整列したハニカム状のマクロ孔部と、SiCマトリックス内に形成されたミクロ孔部とが備えられている。
この原料SiCを切削加工して、次の(1)〜(3)の試験用サンプルとし、更に(4)および(5)のサンプルを参考用として試験に供した。
(1)2マスx2マスx2mmH
(2)3マスx3マスx5mmH
(3)微粉砕したSiC粉末
(4)焼結前の原料SiC粉(参考用)
(5)財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)の標準SiC粉(参考用)
なお、それぞれのサンプルについては、アセトン液に10分間浸漬の後、エチルアルコール液に10分間浸漬して乾燥し、不純物の除去を行った。
2)原料の調整
上記原料SiCについて、(1)と(2)については、そのまま使用した。また、(3)については、アセトン液に浸した後、スパチュラーですくいあげ、鏡面のグラッシーカーボン(GC:東海カーボン製)上に滴下して(粉末を塗布して)乾燥後、処理サンプルとした。
また、(4)の原料SiC粉については、スプレイ処理を行った。スプレイ処理とは、ビーカー中のアセトン60ccに、SiC粉0.35gを投入後、10分間の超音波発生器に掛けて分散性を向上させた分散液をスプレイガンに挿入し、その分散液をドラフトチャンバー内で鏡面のGC上にスプレイして風乾させる一連の処理を意味する。このスプレイ処理を施した後のGCを処理サンプルとした。なお、(5)標準SiC粉についても、(4)と同様にスプレイ処理を施したGCを処理サンプルとした。
3)CNT化装置
SiC原料をCNT化する装置として、JFCC所属の高温雰囲気炉(富士電波製、抵抗加熱式加圧焼結炉(FVPS−R−350/500型))を使用した。この装置は、真空下において2000℃までの温度で加熱処理できる抵抗加熱式の焼結炉であり、適当なガス雰囲気下では2200℃までの加熱処理が可能である。なお、炉内の有効容積は、350φx500Hmmの容量を有する大型の装置である。
4)高温処理
上記(1)〜(5)の各サンプルをCNT化装置の中央部にセットし、真空下10−2Torrにおいて、常温から1700℃まで2.3時間掛けて昇温した後、2時間の加熱処理を行った。加熱処理後は、自然冷却して常温に戻ってからサンプルを取り出した。処理後のサンプルの状態を確認した。
(1)〜(5)の全てのサンプルにおいて、その表面色は、処理前の緑色から黒色に変化していた。
<試験結果>
1)外観観察
上述のように、(1)〜(5)の全てのサンプルの表面が黒色に変化していた。外観上もSiC表面が分解し、黒色化(炭素化)している事が認められた。
2)TEM観察
粉末状のサンプルを電顕用のメッシュに乗せ、JFCC所有の透過型電子顕微鏡(TEM)「JEM2010型」(日本電子製)で観察した。その結果を図8および図9に示した。図8は、原板50000倍で撮影したTEM像であり、数十nmの径を持つCNTが認められる。また、図9は、原板200000倍で撮影したTEM像であり、CNTの詳細部分を観察することができる。
図8及び図9を詳細に観察すると、一方向に配向したCNTが緻密に並んでいることが判った。なお、元のSiC粒子の中心は、図8及び図9において左下方向に位置していることから、配向しているCNTは、SiCの表面から垂直方向に並んでいることが判った。
また、このカーボンの電子線回折像を図10に示した。図10より、配向したカーボンは、数層の厚みを有し、グラファイト構造を有しながら不完全ながら筒状になって一定の方向に成長している事が判明した。
このように、マクロ孔部およびミクロ孔部を備えた焼結SiCを真空下で加熱処理を施すことにより、SiC基材の表面に一方向に配向したCNTが生成できることが判った。
(実施例2)
<試験方法>
1)原料SiC
成田製陶所にて前述及び図7に従って多孔質SiCを成形し、東京窯業株式会社(TYK)にて通電焼結した多重構造多孔質の焼結SiCを原料SiCとした。原料SiC構造体として、試料φ65x17mmHを使用した。この原料焼結体を切削加工して焼成試験用のサンプルを作製した。この焼結SiCには、マクロ孔部と、SiCマトリックス内に形成されたミクロ孔部とが備えられている。
この原料SiCを切削加工して、次の(1)〜(3)の試験用サンプルとし、更に(4)および(5)のサンプルを参考用として試験に供した。
(1)6x6x2mmH(表面部より切削)
(2)7x7x2mmH(内部より切削)
(3)微粉砕したSiC粉末
(4)焼結前の原料SiC粉(参考用)
(5)JFCCの標準SiC粉(参考用)
それぞれのサンプルについては、アセトン液に10分間浸漬の後、エチルアルコール液に10分間浸漬して乾燥し、不純物の除去を行った。図11には、上記(1)のサンプルについて、ニコン製の実体顕微鏡にて内部表面の観察を行ったときの写真図である。図より明らかなように、この多孔質構造体は、マクロな空孔構造を有していた。なお、図内のスケールは、最小目盛りが0.1mmである。
また、更に倍率を上げて500倍のデジタル顕微鏡(キ−エンス製)で上記図11のサンプルについて撮影した結果を図12に示した。図内部右下にあるスケールは、100μmを表す。多孔質組織の骨部分には、数μm〜10μm程のミクロ空孔が存在している事が判明した。すなわち、この多孔質構造体は、数百μmのマクロ空孔と、数μm〜10μmのミクロ空孔とを有していることが判った。
2)原料の調整
上記原料SiCについて、(1)と(2)については、そのままCNT化処理に使用した。また、(3)については、アセトン液に浸した後に、スパチュラーですくいあげ、鏡面グラッシーカーボン上に滴下して(粉末の塗布に該当する)乾燥後、処理サンプルとした。
また、(4)及び(5)については、実施例1と同じ処理を行った後に、CNT化の熱処理を行った。
3)CNT化装置及び高温処理
SiC原料をCNT化する装置として、上記実施例1と同じものを用いた。また、高温処理(CNT化処理)は、上記実施例1「4)高温処理」に従って行った。
<試験結果>
1)外観観察
高温処理後には、(1)〜(5)の全てのサンプルは、黒色に変化していた。また、ルーペによる肉眼観察でも、焼結体表面・微粉末ともにSiC表面が分解して黒色化(炭素化)している事が認められた。この状況は、実施例1とほとんど同じ結果であった。
2)TEM観察
多孔性焼結体から作製した粉末状のTEM観察用サンプルを電子顕微鏡用メッシュに乗せ、JFCC所有の透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子製JEM2010型)で観察した。その結果を、図13および図14に示した。
図13は、10万倍で撮影したTEM像の原版を拡大表示したものである。図面左下方向にあるSiC粒子から垂直方向にCNTが生成している事が認められた。写真図面上には、2種類のサンプルが重なっているために、ナノチューブが短く見える部分もあるものの、実際のCNTの長さは約100nm程度であった。
図14には、更に倍率を上げたTEM画像を示した。この写真図は、60万倍のTEM像の原版を拡大表示したものである。図面左下にあるSiC本体から垂直にCNTが成長している事が認められた。写真図面上においては、CNTの平行度が不揃いに見えるが、これは多数のナノチューブが重なっているためだと考えられた。
また、図15には、このカーボンの電子線回折像を示した。図より、このカーボンは一方向に配向して、数層の厚みを有し、グラファイト構造を有しながら、筒状になって(つまり、カーボンナノチューブ構造を保って)図14の右上方向に成長している事が判明した。
<結論>
実施例2によれば、
1)CNTの原料となったSiC構造体は、数100μmのマクロ空孔を有している事が判った。
2)このSiC構造体の骨格組織には、数μmから10μmのミクロ空孔が存在していた。
3)このSiC構造体を熱処理する事で、その表面をカーボンナノチューブ化する事が出来、その内部表面にはナノカーボンで覆われたナノ構造を持たせる事が出来た。
4)この多孔質SiC焼結体は、CNT化処理によって、ナノ・ミクロおよびマクロ多重構造体に変化したことが証明された。
このように、本実施例によれば、表面にSiCを含有するセラミックスマトリックスにおいて、マクロ孔部と、ミクロ孔部と、CNTとを備えたナノ・ミクロおよびマクロ多重構造多孔体を提供することができる。この多重構造多孔体は、例えば、ガス分離膜、触媒担体、燃料電池・二次電池の電極材料等に用いることができる。
多重構造多孔体の断面構造を示す模式図である。 表層と内層とを有する多重構造多孔体の断面構造を示す模式図である。 多重構造多孔体の孔部の内壁部の様子を示す模式図である。 多重構造多孔体の孔部表面を拡大して示す模式図である。 図4中の円Rを拡大して示す模式図である。 図5中の円Sを拡大して示す模式図である。 二重構造多孔体の製造方法の一例を示す工程図である。 実施例1における多重構造多孔体の表面のTEM像である(5万倍)。 実施例1における多重構造多孔体の表面のTEM像である(20万倍)。 実施例1のCNTの電子線回折像である。 実施例2における原料SiCの顕微鏡写真図である(倍率は43倍である)。 実施例2における原料SiCの顕微鏡写真図である(倍率は500倍である)。 実施例2における多重構造多孔体の表面のTEM像である(約18万倍)。 実施例2における多重構造多孔体の表面にTEM像である(約100万倍)。 実施例2のCNTの電子線回折像である。
符号の説明
2…多重構造多孔体
4…セラミックスマトリックス
10…マクロ孔部
20…ミクロ孔部
30…CNT(カーボンナノチューブ、ナノ孔部)

Claims (6)

  1. セラミックスマトリックスと、このセラミックスマトリックスで区画される複数のマクロ孔部と、前記マクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面に形成されるカーボンナノチューブとを備えたことを特徴とする多重構造多孔体。
  2. 前記多重構造多孔体には、前記マトリックスに形成されるセラミックス粒子間の孔部であるミクロ孔部が設けられており、前記カーボンナノチューブは、前記ミクロ孔部及びマクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多重構造多孔体。
  3. 前記カーボンナノチューブは、連続構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の多重構造多孔体。
  4. (1)共有結合性金属炭化物を含有するセラミックス材料から多孔体を焼成する工程、(2)前記多孔体を真空中において前記共有結合性金属炭化物が分解して、この共有結合性金属炭化物の表面から金属原子が失われる温度に加熱することにより、共有結合性金属炭化物から金属原子を除去して、ミクロ孔部またはマクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面から内部へ成長形成される多数のカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ形成工程を備えたことを特徴とする多重構造多孔体の製法。
  5. (1)セラミックス材料から多孔体を製造する工程、(2)前記多孔体の表面に共有結合性金属炭化物を付着させる工程、(3)真空中において前記共有結合性金属炭化物が分解して、この共有結合性金属炭化物の表面から金属原子が失われる温度に加熱することにより、共有結合性金属炭化物から金属原子を除去して、ミクロ孔部またはマクロ孔部を形成するセラミックスマトリックスの表面から内部へ成長形成される多数のカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ形成工程を備えたことを特徴とする多重構造多孔体の製法。
  6. 前記共有結合性金属炭化物が炭化珪素であることを特徴とする請求項4または5に記載の多重構造多孔体の製法。
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