JP4514847B2 - セラミックス多孔体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、気孔を有するセラミックス多孔体を製造する技術に属し、詳しくは、気孔分布形態を制御することのできるセラミックス多孔体を製造する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セラミックス多孔体の製造方法が各種知られているが、大きく以下の4つの方法に分類することができる。
第1の方法は、セラミックス粉体(μmオーダー程度)を不完全な焼成により、粉体サイズ程度の気孔を有するセラミックス多孔体とする方法である。この方法は、緻密体の作製を目的とした焼成プロセスに対して、焼成を低温・短時間に設定するものである。この方法によれば、原料の粉体サイズで気孔径を制御でき、異なる粒径の原料を用いることにより、気孔径に分布あるいは傾斜を持たせることができる。しかしながら、この方法では、気孔径が大きくてもμm程度であること、および不完全な焼結により低強度であるという欠点がある。
【0003】
第2の方法は、セラミック原料あるいはセラミックススラリーに有機物を混合し、脱脂、焼成プロセスにおいて有機物を除去する方法である。この方法は、含有有機物の量で気孔率を制御し、有機物のサイズで気孔径をある程度制御できるが、気孔径分布を制御することは難しい。
第3の方法は、セラミックススラリーに起泡剤により気泡を含有させたり、あるいは、スラグやマグネシウム等の金属を反応させて水素や二酸化炭素等のガスを発生させて気泡を含有させたりする方法である。この方法では、気孔を集合させて、傾斜気孔を形成する方法が提案されており、数十μmから1000μm程度の気孔サイズの傾斜が報告されている。
第4の方法は、3次元の網目構造を有機物で形成し(一般にウレタン樹脂)セラミックススラリーをその有機物に含浸させた後、焼成して多孔体を得る方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法においては、気孔存在形態の制御性、成形性、得られたセラミックスの強度等において、必ずしも十分ではなかった。
そこで、本発明は、従来にない気泡保持形態を利用して、気孔形態を制御できるセラミックス多孔体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、気孔分布形態が制御されたセラミックス多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決する手段として、本発明者らは、以下の発明を完成した。
すなわち、本発明は、
気泡を有しセラミックス粉体を含有するセラミックススラリーをゲル化してゲル状多孔質成形体を形成し、
脱型したゲル状多孔質成形体を乾燥、脱脂、焼成する、セラミックス多孔体の製造方法を提供する。
また、本発明は、セラミックス粉体を含有するセラミックススラリー中に、機械的に気泡を導入して含気泡セラミックススラリーを調製し、この含気泡セラミックススラリーをゲル化してゲル状多孔質成形体を形成し、脱型したゲル状多孔質成形体を乾燥、脱脂、焼成する、セラミックス多孔体の製造方法を提供する。また、これらの方法において、前記含気泡スラリー中には、ゲル化剤を含有する、セラミックス多孔体の製造方法。
また、前記含気泡スラリー中には、重合可能なモノマーと重合開始剤とを含有する、セラミックス多孔体の製造方法を提供する。
また、これらの方法において、前記ゲル状多孔質成形体の形成工程において、含気泡セラミックススラリー中の気泡を、重力および/または遠心力によって配向させる、セラミックス多孔体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記ゲル状多孔質成形体は、気孔が傾斜配向したゲル状多孔質成形体である、セラミックス多孔体の製造方法を提供する。
また、本発明は、表面から1μmの範囲に、平均孔径0.1μm以上100μm未満の気孔が存在し、これより内部において平均孔径100μm以上3000μm以下の気孔が存在する、多孔体を提供する。
【0006】
本発明方法によると、含気泡セラミックススラリー中の気泡が、ゲル化によって、ゲル中に保持され、ゲル状多孔質成形体が得られる。気泡を保持したゲル状多孔質成形体を脱型し、乾燥、脱脂、焼結することにより、ゲル状多孔質成形体によって保持された状態で気孔が分布したセラミックス多孔体が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のセラミックス多孔体の製造方法は、含気泡セラミックススラリーを、固化させて保水性多孔質成形体を得ることを特徴とする。
(含気泡セラミックススラリーの調製)
含気泡セラミックススラリーを調製するには、まず、気泡を有していない状態のスラリー(以下、単にセラミックススラリーという。)を調製するのが好ましい。
セラミックススラリーには、セラミックス粉粒体を含有している。
スラリーを調製するためのセラミックス粉粒体のセラミックス成分としては、特に種類を限定せず、公知の酸化物系または非酸化物系のセラミックスや、粘度鉱物を、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましくは、粉末あるいは粉末状である。
酸化物系セラミックスとしては、アルミナ系、ムライト系、ジルコニア系等を挙げることができ、非酸化物系セラミックスとしては、炭化ケイ素系、窒化ケイ素系、窒化アルミニウム系、窒化ホウ素系、グラファイト系等を挙げることができる。
好ましくは、酸化物セラミックス系であり、特に、アルミナ系が好ましい。
平均粒径は特に限定しないが、好ましくは、0.1μm以上10μm未満である。この範囲の平均粒径のセラミックスを用いると、焼結して得られる焼結体の強度として、25Mpa以上が得られやすいからである。平均粒径は、より好ましくは、0.1μm以上5μm以下である。さらに好ましくは、0.1μm以上1μm以下であり、最も好ましくは、0.1μm以上0.6μm以下である。
【0008】
セラミックススラリーにおいて、セラミックス粉粒体を懸濁する媒体は、特に限定しないで水、有機溶媒、これらの混合溶媒等を使用することができる。
セラミックススラリー中に、セラミックス粉粒体を均一に含有させるためには、適当な分散剤を使用することが好ましい。分散剤として、従来公知の各種分散剤を、セラミックス成分やその他の成分を考慮して選択して用いることができる。代表的には、ポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(アニオン系分散剤)を用いることができる。
【0009】
セラミックススラリー中には、さらに、スラリーを型に注入する成形工程で、スラリーをゲル化して水あるいは溶媒を保持した多孔質体を形成可能な、ゲル化のための材料を含有している。
かかるゲル化のための材料としては、通常のゲル化剤や、モノマーと重合開始剤とからなる重合性材料を挙げることができる。
ゲル化剤を使用すると、温度制御やpH制御等にりスラリーをゲル化することになる。ゲル化剤としては、ゼラチン、アガロース、寒天、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0010】
重合性材料を用いると、モノマーの重合(主としてラジカル重合)により、スラリーをゲル化する。重合性材料のモノマーとしては、1官能基性あるいは2官能基性以上のモノマーを挙げることができる。具体的には、1または2以上のビニル基やアリル基等を備えたモノマーを挙げることができる。
スラリーが水あるいは水性溶媒にて構成される場合には、1または2官能基性の重合性モノマーを用いることが好ましい。また、スラリーが、有機溶媒にて構成される場合には、2官能基性の重合性モノマーであることが好ましい。
特に、スラリーを水を溶媒として調製する場合には、好ましくは、少なくとも1種の1官能基性のアクリル酸アミドと、少なくとも1種の2官能基性のアクリル酸アミドとを組み合わせて使用する。また、スラリーを有機溶媒で調製する場合には、好ましくは、少なくとも2種の2官能基性のアクリル酸を組み合わせて使用する。
【0011】
なお、重合性材料を用いる場合、重合開始剤の種類や量によって重合速度が様々である。なお、重合開始剤は、通常は、室温では不活性である場合が多いが、重合開始剤は、必ずしも、モノマー材料と同時に使用してセラミックススラリーを調製する必要はない。必要に応じて、モノマーとは別に添加される。
重合開始剤としては、従来公知の各種重合剤を使用することができる。いかなる重合開始剤を使用するかは、モノマーの種類やどのようにゲル化を行うかによって選択される。1官能基性モノマーや2官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、過硫酸アンモニウムや過硫化カリウム等である。また、2以上の官能基を有する官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、有機過酸化物や過酸化水素化合物や、アゾあるいはジアゾ化合物を使用する。具体的には、過酸化ベンゾイルである。
【0012】
このようなゲル化材料は、気泡導入前にセラミックススラリーに加えるのが好ましい。一旦、気泡をスラリーに導入した後に、さらに、ゲル化材料を加えると、気泡が消失・減少等する場合もあるからである。
【0013】
セラミックススラリーには、公知の滑剤や、界面活性剤等の各種添加物を加えることができる。界面活性剤は、気泡の導入を容易にする。
界面活性剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸や、高級アルキルアミノ酸等を例示できる。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等である。
さらに、増粘剤や糊剤等も加えることができる。増粘剤や糊剤等としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、サッカロース、糖蜜、キサンタンガム等を例示できる。増粘剤や糊剤等は、導入した気泡を安定して保持するのに適している。
さらに、得られるセラミックス多孔体の強度等の特性に付与するセラミックス製繊維材料や、金属製あるいはセラミックス製のチップ材料も加えることができる。
さらに、セラミックス多孔体の焼結を促進する微量の無機化合物を加えることができる。
【0014】
なお、起泡剤を添加して気泡を導入する場合には、起泡剤を加えておく。起泡剤としては、タンパク質系起泡剤、界面活性剤系気泡剤等を使用することができる。
【0015】
(セラミックススラリーへの気泡の導入、含気泡セラミックススラリーの調製)セラミックススラリーに気泡を導入して含気泡セラミックススラリーとするには、各種方法を採用することができる。化学反応等により気泡を発生させる場合は、所定の起泡剤(発泡剤)の発泡条件を付与することもできる。また、スラリーを攪拌したり、スラリーにガスを吹き込んだりすること等によって、外部からスラリー中にガスを導入することもできる。外部から気泡を導入する方法が、簡便性及び不純物をスラリー中に含まないという点において好ましい。
導入したガスは、界面活性剤等によって気泡としてスラリー中に保持するようにするのが好ましい。
気泡導入工程において導入される気泡の導入量や気泡の径は、界面活性剤の種類や添加量、あるいはスラリーの温度や濃度で調整することが可能である。
【0016】
この気泡導入工程において、ゲル化材料として重合性材料を用いる場合には、重合開始剤、あるいは重合開始剤と重合触媒とを添加することが好ましい。
一旦、導入された気泡をそのままスラリー中に保持した状態で、スラリーを固化工程に移行させるのに都合がよいからである。
重合触媒を添加すれば、ゲル化温度やその添加量によりゲル化工程の時間を調整することができる。通常、重合触媒を添加すると、室温付近で速やかにゲル化(重合)が開始される。したがって、気泡導入方法や気泡導入量等を考慮して、重合触媒の使用や種類が選択される。重合触媒としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン等を挙げることができる。
【0017】
(成形工程)
このようにして調製した含気泡セラミックススラリーを、成形型に注入して、ゲル化させ、ゲル状多孔質成形体を形成する。成形方法としては、各種成形法を用いることができる。押し出し成形にも適用可能である。
本工程におけるゲル化は、実質的に脱溶媒を伴うことなく自己硬化させることを意味する。換言すれば、スラリーの媒体として用いた水や有機溶媒を保持させた状態で固化成形するものである。したがって、成形型は、溶媒や水を透過させない型を用いる。
ゲル化剤を用いた場合には、温度制御及び/又はpH制御(気泡導入工程時あるいはその前に調整しておく)によりゲル化させる。ゲル化のための条件(温度、pH等)は、ゲル化剤の種類、ゲル濃度、スラリー中のイオン強度やセラミックス含量等によって異なる。これらのパラメータを考慮して温度やpHが設定され、ゲル化時間も設定される。
【0018】
また、重合性材料を用いるゲル化の場合には、モノマーの種類や重合開始剤の種類、溶媒の種類、さらには、重合触媒の有無を考慮して、重合のための温度が設定される。
水系スラリーの場合には、通常20℃以上であり、好ましくは、25℃以上80℃以下である。より好ましくは、25℃以上35℃以下である。
有機溶媒系スラリーの場合には、通常、100℃以上であり、好ましくは、100℃以上120℃以下である。
ゲル化のための時間も、温度と同様に各種パラメータを考慮して設定される。水系スラリーの場合には、通常は10分以上であり、好ましくは、20分以上数時間以内程度である。より好ましくは、1時間以上4時間以内である。
有機溶媒系スラリーの場合には、通常は5分以上であり、好ましくは、5〜30分程度である。
【0019】
(気孔径、気孔分布等の制御)
スラリーがゲル化すると、スラリー中に存在していた気泡も、ゲル状体中に保存される。この結果、ゲル状体が多孔質となり、ゲル状多孔質成形体が得られる。
ゲル化が終了するまでの間、含気泡セラミックススラリーにおいては、気泡の移動や、気泡の分解や集合が生じる。これを利用して、ゲル化工程において、気泡径、気孔分布を制御することができる。
気孔径は、第1に、前述のように、気泡導入時において、例えば機械的エネルギーによって気泡を導入する場合には、使用する界面活性剤の種類と添加量によって制御される。使用する界面活性剤が、カチオン系であれば、気孔径が減少するという傾向があり、界面活性剤の量が増加すると、気孔径が増大するという傾向がある。
さらに、第2に、ゲル化工程におけるスラリー温度とゲル化時間で調整される。スラリー温度が高いほど、気孔径が増大するという傾向があり、ゲル化時間が長いほど、気孔径が増大するという傾向がある。
【0020】
また、気孔の分布は、スラリーの濃度で制御できる。すなわち、スラリー濃度が比較的高い場合、例えば、80重量%を越える場合は、上層部に小径の気孔が分布する領域が形成できる傾向がある。好ましくは、85重量%以上である。
一方、スラリー濃度が比較的低い場合、例えば、80重量%以下である場合には、下層部に小径の気孔が分布する領域が形成できる傾向がある。なお、この場合、好ましくは、60重量%以上である。すなわち、下層部では、スラリーの圧力による気泡の分解と縮小により気孔径が小さくなり、上層部では、気泡の合体や膨張によって気孔径が大きくなる。また、下層部では、気泡が浮上するために、マトリックス部分が大きくなり緻密になり、上層部では、気孔量が大きくなる。
このような気孔径や気孔分布の制御は、含気泡セラミックススラリーを成形型に注入して放置する場合には、重力等の作用により生じているが、積極的に遠心力を利用して気泡制御することも可能である。
【0021】
ゲル化を利用した成形工程では、スリップキャスティング法のように、原料のセラミックス粉粒体の配向性もなく、セラミックス粉粒体が均一に分散保持されて均一なマトリックスが得られる。このため、原料粉体の配向性もなく、均一なマトリックスが得られる。
また、本発明方法では、ゲル化温度やゲル化時間の制御により、原料粉粒体を配向させることなく均一に保持した状態で、気泡の形成制御が可能である。また、ゲル化時間やゲル化温度の制御は、容易に制御可能であるため、気泡制御の自由度も高い。
また、媒体成分を保持したまま固化させるため、表面が滑らかで亀裂や荒れの低減された成形体が得られる。
加えて、本成形体は、ゲル化剤あるいは重合体によってマトリックスが支持されているために、従来の鋳込み成形体に比して強度が高く、焼成に至るまで過程におけるハンドリングに都合がよく、破損等が生じにくい。
また、本ゲル化工程を用いることは、配向性がないこと、成形性が良好であること、ゲル状成形体の強度が高いことから、大型のものや複雑な形状を有する多孔質体を得るのに都合が良い。
【0022】
このようにして、所望の形態にゲル状多孔質成形体を得たら、これを脱型して、乾燥、脱脂、焼成する。
本発明方法では、不透水性の成形型を用いるため、離型が容易であり、しかもゲル状であるので、離型の際に成形体が損傷されにくい。
乾燥は、ゲル状多孔質成形体中に含まれている水、溶媒を蒸発させるように行う。乾燥条件(温度、湿度、時間等)は、スラリー調製に用いた溶媒の種類とゲル状多孔質成形体の骨格部分を構成する成分(ゲル化剤あるいは重合体)によって適宜調整する。
特に、本発明方法では、乾燥工程において、乾燥によって気孔の移動や、分解・集合が発生しないようにすることが好ましい。すなわち、乾燥工程においては、気孔を成形体中に保持して行うことが好ましい。
このように乾燥することにより、マトリックス中に存在するセラミックス粉粒体の配向もゲル化時の状態が保存される。
水系スラリーからの成形体の場合、通常は、20℃以上であり、好ましくは、25℃以上80℃以下であり、より好ましくは、25℃以上40℃以下である。また、通常、1時間以上である。好ましくは、8時間以上、より好ましくは24時間以上である。
また、特に、湿度(相対湿度)を徐々に低下するようにコントロールしながら、20℃以上30℃以下、好ましくは約25℃で、24時間から200時間程度かけて乾燥するのが、さらに好ましい。相対湿度は、95%R.H.から60%R.H.に減少させることが好ましい。また、5%R.H./日で減少させることが好ましい。このような乾燥は、特に、水を媒体として用いた成形体の乾燥に適している。例えば、水を媒体とし、モノマーとしてメタクリルアミドとN,N’-メチレンビスアクリルアミドを用いたスラリーから調製したゲル状多孔質成形体の場合、25℃で、湿度をR.H.95%から60%まで、5%/日で減少させて、約1週間かけて乾燥した。
有機溶媒系スラリーからの成形体の場合、通常は、40℃以上であり、好ましくは110℃以上である。
【0023】
つぎに、乾燥体から有機分を除去するために、さらに高温で加熱する。脱脂のための温度と時間は、使用した有機分の量および種類によって調整する。
例えば、ゲル化のための材料としてメタクリルアミドとN,N-メチレンビスアクリルアミドを用いたスラリーから調製したゲル状多孔質成形体の場合、700℃で2日間脱脂した。
【0024】
脱脂後には、焼成工程を実施する。焼成のための条件は、使用したセラミックス材料の種類等を考慮して設定される。
特に、平均粒径がサブミクロン(0.1μm以上0.6μm以下)のセラミックス粉体を用いると、高温での焼成による焼結により、マトリックスを緻密化することができる。
【0025】
このような工程により、本発明のセラミックス多孔体を得ることができる。本発明のセラミックス多孔体は、ゲル化成形工程を経ているために、均一で配向性のないマトリックスを有しているとともに、気孔を備えている。気孔径、気孔率、気孔の分布をゲル化工程等の制御により調整可能であるので、均一なマトリックスを有する一方で、不均一な気孔径や気孔分布を多孔体とすることができる。
【0026】
本発明方法で得られるゲル状多孔質成形体は、材料が配向していないので、焼成時における収縮も等方的に生じる。この結果、寸法精度が向上し、亀裂等の発生もない。
また、成形体において原材料の配向性がなく均一であること、成形体の離型が容易であること、及び成形体の強度が十分であることから、成形体に破損やひずみが発生しにくく、焼結体にも欠陥が発生しにくい。この結果、高い強度が得られる、製造方法となっている。また、本法では、表面が滑らかな焼結体を得ることができる。また、成形体の形状に忠実な焼結体を得ることができるので、大型のものや複雑な形状な焼結体を得るのが容易である。
【0027】
得られた多孔体においては、気孔率が50%以上90%以下である。好ましくは、60%以上80%以下である。
また、スラリーからゲル化する工程において、気孔に移動や分解・集合等が発生している場合には、小径の気孔が分布する領域(小径領域)と大径の気孔が分布する領域(大径領域)とが形成されている。
特に、一表層側に、小径領域が形成されやすく、内部側には大径領域が形成されやすい。
小径領域は、セラミックス多孔体の表面から1μm〜数μmの範囲までに形成されやすい。特に、1μmまでの範囲に小径領域が形成されやすい。ここでいう小径の気孔とは、0.1μm以上100μm未満、好ましくは、10μm以上50μm以下の気孔である。
そして、この小径領域から内部側には、数百μm以上数千μm以下の大径の気孔が分布するようになる。かかる大径領域は、小径領域から徐々に気孔サイズが大きくなっていて、小径領域との境界が不明瞭の場合もあり、小径領域の気孔径に対して、急激に気孔径が大きくなった大径領域が形成されている場合もある。大径領域における気孔の孔径は、好ましくは、200μm以上、より好ましくは300μm以上である。
【0028】
特に、本発明では、小径領域と大径領域との境界が明瞭な多孔体が得られやすい。かかる多孔体においては、1表面から1μmの範囲に、0.1μm以上100μm未満の気孔が存在し、それより内部側では、100μm以上3000μm以下の気孔が存在している。好ましくは、200μ以上、さらに好ましくは300μm以上の気孔が存在している。
また、かかる多孔体における気孔率は、50%以上90%以下であり、1表面から1μmの範囲における気孔率は20%以上70%以下である。好ましくは、40%以上60%以下である。
この多孔体では、小径領域側と大径領域側とでは流体透過率が異なり、ガスフィルターや集塵フィルター、水処理用フィルター等の各種フィルターとしての用途に適している。
また、小径領域と大径領域とを備えていることにより、耐熱伝導性にも優れており、高温での使用にも適している。
以上のことから、小径領域と大径領域とを備えた本発明の多孔体は、特に、高温で使用する集塵フィルター、ガスフィルター、水処理用フィルターに適している。
【0029】
さらに、小径領域においては、気孔率が小さく、マトリックス部分が気孔部分に対して大きい。このため、大径領域より緻密化されており、小径領域側の表層において、より強度の高い多孔体となっている。このため、高温集塵で激しい応力がかかる際に亀裂の発生を防止するのに有効である。
【0030】
【発明の効果】
本発明のセラミックス多孔体の製造方法によれば、成形性が良好で気孔制御しやすい多孔体の製造方法を提供できる。
また、本発明のセラミックス多孔体によれば、表層側に小径領域が存在し、その内部に大径領域とが存在し、かつ小径領域は緻密であるセラミックス多孔体を提供できる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例をあげて具体的に説明する。
本実施例では、セラミックス粉粒体として、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を用いた。
蒸留水100gに、1官能基性モノマーであるメタクリルアミド20gと、2官能基性モノマーであるN,N‘−メチレンビスアクリルアミド2gを溶解して、ポリカルボン酸アンモニウム系分散剤であるセルナD305((株)中京油脂製)を2.7g加え、さらに、アルミナ粉体500gを加えて、恒温水槽中で48時間湿式ボールミル混合した。
【0032】
以下、窒素雰囲気下において操作した。室温下、この混合物に、重合開始剤として過硫酸アンモニウムを0.2g、触媒としてN,N,N’,N’−テトラメチレンエチレンジアミン0.3g、界面活性剤としてニューレックスR((株)日本油脂製)を0.4g加えて、セラミックススラリーを得た。このスラリーにおいて、メタクリルアミドは、3.2wt%、N,N’−メチレンビスメタクリルアミドは0.32wt%、分散剤は、0.54wt%、重合開始剤は0.03wt%、触媒は0.06wt%、界面活性剤は0.07wt%、スラリー濃度は、50v/v%で(80wt%)あった。
【0033】
攪拌羽根を下端側に有した攪拌棒を容器内のスラリー中に侵入させて、攪拌棒を3000rpmで5分間回転させた。この攪拌により、スラリー中には気泡が含有された。
ついで、このスラリーを円柱形状の成形型(テフロン製、直径30mm、高さ60mm)に注入し、25℃で、2時間かけて、ゲル化させた。ゲル化の過程において、気泡が脱泡したり、分解および集合して下層側に小さい気泡が多く、上層側に大きい気泡が形成された。
その後、成形型から、成形体を脱型した。脱型した成形体は、濡れて滑らかな表面を有しており、しかも、容易にハンドリングするのに十分な強度と柔軟性を有していた。
【0034】
以下は、通常の空気雰囲気下で操作した。ついで、この成形体を、25℃で、95%R.H.から60%R.H.まで1日5%R.H.づつ低下させて、8日間かけて乾燥した。
その後、700℃で2日間脱脂した後、1550℃で2時間焼成した。
【0035】
得られた多孔体について気孔の分布をその破断面から観察した。その結果、表面から1μmの範囲において、孔径が1μm以上100μm未満の気孔が多数存在し、それより内部から反対側の表面までは、100μm以上3000μm以下の気孔が多数存在していた。
気孔は、球形であり、主として連続気孔であった。また、気孔率を製品寸法と質量から測定したところ、57%であった。
得られた多孔体には、表面が滑らかで欠陥も観察されなかった。また、成形体の形態を維持した焼結体であった。強度を3点曲げ試験により測定したところ、27Mpaであった。

Claims (4)

  1. セラミックス粉体をスラリー濃度60〜80重量%で含有するセラミックススラリー中に、機械的に気泡を導入して含気泡セラミックススラリーを調製し、この含気泡セラミックススラリーを成形型に注入して、含気泡セラミックススラリー中の気泡を遠心力によって、相対的に小径の気孔が分布する表層側の小径領域と、該小径領域より内部側の相対的に大径の気孔が分布する領域とが連続して形成されるように配向させながらゲル化して、気孔が傾斜配向したゲル状多孔質成形体を形成し、脱型したゲル状多孔質成形体を乾燥、脱脂、焼成する、セラミックス多孔体の製造方法。
  2. 前記含気泡セラミックススラリー中には、ゲル化剤を含有する、請求項1に記載のセラミックス多孔体の製造方法。
  3. 前記含気泡セラミックススラリー中には、重合可能なモノマーと重合開始剤とを含有する、請求項1に記載のセラミックス多孔体の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法によって製造されたセラミックス多孔体であって、
    表面から1μmの範囲に、平均孔径0.1μm以上100μm未満の気孔が存在し、これより内部において平均孔径100μm以上3000μm以下の気孔が存在する、セラミックス多孔体。
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