JP4654429B2 - セラミックス多層構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックス多層構造体及びその製造方法に係り、特に、各種フィルターや触媒坦体等として好適に用いられ得るセラミックス多層構造体、及びその製造方法に関するものである。
従来より、排ガスや排水中に含まれる特定の有害成分を除去する際や、液体等の精製、蒸留を行なう際には、各種フィルターや分離膜等が用いられている。現在、そのような各種フィルターや分離膜等の材料としては、様々なものが使用されているが、特に、規則的に配列された1〜3次元の分子サイズの細孔を結晶内に有し、分子ふるい等の種々の特異な機能を発現するゼオライトが有利に用いられているのであり、そのようなゼオライトを用いたフィルターや分離膜等が、従来より多数提案され、使用されている。
例えば、特許文献1(特開2003−326142号公報)においては、高効率分離性能及び高い処理能力を有し、容積当たりの処理能力が高い分離膜として、多孔質ガラスホローファイバーにゼオライト結晶を積層複合化させてなる複合膜が提案されており、また、特許文献2(特開2002−166172号公報)においては、ゼオライト結晶中の細孔の孔径がH2O 分子より小さいことを利用して、坦体基体の表面に形成されたメタン浄化触媒層上に、ゼオライト膜よりなる疎水性コート層を形成せしめてなる排ガス浄化用触媒が提案されている。
しかしながら、近年、地球環境保護の観点より、従来にはない新規な排ガス・排水処理プロセスを構築し、既存工業プロセスにおける環境負荷の低減がより一層望まれていることから、そのような新規な排ガス・排水処理プロセスに用いられるフィルターや分離膜等についても、さらに高機能化されたフィルター等の開発が望まれている。
一方、本発明者等は、長年にわたってセラミックス多孔体の研究を続けているところ、集塵フィルターやガスフィルター等の各種フィルターとして好適に用いられ得るセラミックス多孔体及びその製造方法を、多数提案している。例えば、特許文献3(特開2000−264755号公報)においては、従来にはない気孔保持形態を利用して、気孔形態を制御できるセラミックス多孔体の製造方法として、気泡を有しセラミックス粉体を含有する含気泡セラミックススラリーをゲル化してゲル状多孔質成形体を形成し、脱型したゲル状多孔質成形体を乾燥、脱脂、焼成する、セラミックス多孔体の製造方法を提案しており、また、特許文献4(特開2001−261463号公報)等においては、セラミックスマトリックスと、前記セラミックスマトリックスで区画される複数の孔部と、前記マトリックスに形成されるセラミックス粒子間孔部とを備えるセラミックス多孔体及びその製造方法を、提案している。
しかしながら、それら本願発明者等が提案したセラミックス多孔体、及び提案した製造方法によって得られるセラミックス多孔体にあっては、その内部におけるマイクロメートル(μm)サイズの細孔の分布が高度に制御されたものではあるが、今まで以上に高機能が要求される、新規な排ガス・排水処理プロセスに用いられるフィルター材料としては、未だ改良の余地が残されていたのである。
特開2003−326142号公報 特開2002−166172号公報 特開2000−264755号公報 特開2001−261463号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、従来にはない新規な排ガス・排水処理プロセスにおけるフィルター材料や触媒坦体等として、好適に用いられ得るセラミックス多層構造体を提供することにあり、また、そのようなセラミックス多層構造体を有利に製造し得る方法を提供することにある。
そして、本発明は、上述の如き課題を解決するために、表層部に存在する細孔よりも孔径の大きい気孔が該表層部の下側に存在し、全体として連通気孔構造を呈する多孔質セラミックス焼結体を基体として、該多孔質セラミックス焼結体の表層部の、凹凸における凸−凸間距離が目的とするMFI型ゼオライト結晶の結晶径の1/5以下である平滑な表面上に、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層を形成し、更に、該シリカ層上に、MFI型ゼオライト結晶を生成、配向させて、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層を形成したことを特徴とするセラミックス多層構造体を、その要旨とするものである。
ここで、そのような本発明に従うセラミックス多層構造体における好ましい態様の一つにおいては、前記多孔質セラミックス焼結体の表層部に存在する細孔の孔径が10nm〜5μmであり、前記シリカ層に存在する細孔の孔径が0.3〜50nmであり、更に、前記ゼオライト層に存在する細孔の孔径が0.3〜50nmである。
また、本発明に係るセラミックス多層構造体における好ましい態様の他の一つにおいては、前記多孔質セラミックス焼結体の表層部の厚さが1〜500μmであり、前記シリカ層の厚さが0.02〜10μmであり、更に、前記ゼオライト層の厚さが0.1〜50μmである。
さらに、本発明のセラミックス多層構造体にあっては、有利には、前記多孔質セラミックス焼結体に存在する気孔及び細孔の孔径が、前記表層部の平滑な表面に近づくに従って連続的乃至は段階的に小さくなっている。
さらにまた、本発明のセラミックス多層構造体にあっては、望ましくは、前記ゼオライト層がシリカライト型ゼオライトにて構成されている。
一方、本発明は、上述したようなセラミックス多層構造体を有利に得るために、表層部に存在する細孔よりも大きい孔径の気孔が該表層部の下側に存在し、全体として連通気孔構造を呈する多孔質セラミックス焼結体を基体として用いて、該多孔質セラミックス焼結体における前記表層部の表面を平滑化せしめた後、該表層部上に、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層を形成せしめ、更に、該シリカ層上において、水熱合成法によってMFI型ゼオライト結晶を生成、配向させて、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層を形成せしめることを特徴とするセラミックス多層構造体の製造方法をも、その要旨とするものである。
なお、かかるセラミックス多層構造体の製造方法においては、好ましくは、前記シリカ層をディップコーティング法によって形成せしめることとなる。
上述の如き本発明に従うセラミックス多層構造体にあっては、基体として、表層部に存在する細孔よりも孔径の大きな気孔が表層部の下側に存在し、全体として連通気孔構造を呈する多孔質セラミックス焼結体を用いて、かかる多孔質セラミックス焼結体における表層部の、凹凸における凸−凸間距離が目的とするMFI型ゼオライト結晶の結晶径の1/5以下である平滑な表面上に、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層が設けられていると共に、かかるシリカ層上に、MFI型ゼオライト結晶を生成、配向させることにより設けられた、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層が形成せしめられているところから、全体として、ナノメートルサイズからマイクロメートルサイズの連通気孔構造を呈しているのであり、これによって、例えば、圧力損失の少ないフィルター材料として、好適に用いられ得るものとなっている。
また、かかる本発明のセラミックス多層構造体においては、基体として、所定の表層部を有する多孔質セラミックス焼結体を用いているところから、その最外層に形成された、単体では大変脆いゼオライトよりなるゼオライト層も、実際の使用環境に耐え得るものとなっているのである。
そして、そのような優れた特徴を有するセラミックス多層構造体にあっては、例えば、気体又は液体に含まれる特定の化学物質を除去する際のフィルター等として好適に用いられ得るのみならず、かかる構造体内の細孔の内部には、所定の触媒や酵素が導入可能であることから、合成と精製を同時に行なうことが出来る触媒坦体等として利用することも可能であり、更には、原油を精製する際等におけるパーベーパレーション用膜(フィルター)として用いることにより、蒸留では分離不可能な、沸点差が小さい物質の分離も可能ならしめられるのである。
また、本発明に従うセラミックス多層構造体の製造方法によれば、得られるセラミックス多層構造体における連通気孔構造を制御することが可能ならしめられるところから、目的とするセラミックス多層構造体を有利に製造することが出来るのである。
ところで、本発明に従うセラミックス多層構造体を製造するに際しては、先ず、全体として連通気孔構造を呈する多孔質セラミックス焼結体であって、所定の表層部を有するものが、準備されることとなる。
ここで、かかる多孔質セラミックス焼結体における表層部とは、セラミックス焼結体における表層部以外の部位(以下、その他の部位とも言う)と比較して、焼結したセラミックス粒子が比較的密に集合して、構成されている部位を示すものであり、その他の部位においては、一般に、孔径が5〜200μm程度の気孔によって連通気孔構造が構成されているのに対して、表層部においては、隣接するセラミックス粒子間に形成される隙間、具体的には、10nm〜5μm程度の細孔によって、連通気孔構造が構成されている。従って、このような表層部を有する多孔質セラミックス焼結体にあっても、全体として、連通気孔構造を呈するのである。
また、そのような表層部を有する多孔質セラミックス焼結体であれば、如何なるものであっても、本発明における基体として用いることが可能であるが、表層部の厚さが厚すぎる多孔質セラミックス焼結体を採用して、それによって得られるセラミックス多層構造体をフィルター等として用いると、圧力欠損が著しく大きくなって、実用的な使用が困難となる恐れがあるのであり、一方、表層部の厚さが薄すぎると、表層部によって覆われるべき大きな気孔が開孔してしまい、その結果、表層部表面を平滑化せしめることが困難となる恐れがあるところから、本発明において用いられる多孔質セラミックス焼結体としては、厚さが1〜500μm程度の表層部を有するものが、好適に用いられ得る。
さらに、上述の如き表層部を有する多孔質セラミックス焼結体の中でも、本発明においては、特に、その内部に存在する気孔及び細孔の孔径が、表層部の表面に近づくに従って、連続的乃至は段階的に小さくなっている多孔質セラミックス焼結体が、有利に用いられる。このように、内部に存在する気孔及び細孔が、いわゆる傾斜的に分布せしめられている多孔質セラミックス焼結体を基体として用いることにより、ナノメートルサイズからマイクロメートルサイズの連通気孔構造を呈するセラミックス多層構造体を、有利に製造することが可能である。
なお、そのような表層部を有する多孔質セラミックス焼結体は、従来より公知の多孔質セラミックス焼結体の製造方法に従って作製することが可能であるが、本発明者等が、特開平2000−264755号公報及び特開平2001−261463号公報において提案したセラミックス多孔体の製造方法に従えば、表層部を有する多孔質セラミックス焼結体を有利に作製することが可能である。尤も、これら以外の製造方法に従って、先ず、比較的大きな気孔を有する多孔質セラミックス焼結体を作製した後、その表面に、表層部を設けることによって得られる多孔質セラミックス焼結体であっても、本発明において用いられ得ることは、言うまでもないところである。
また、そのような多孔質セラミックス焼結体を構成するセラミックスとしては、従来より公知のセラミックスであれば、如何なるものであっても用いることが可能であり、具体的には、アルミナ系、ムライト系、ジルコニア系等の酸化物系セラミックスや、炭化ケイ素系、窒化ケイ素系、窒化アルミニウム系、窒化ホウ素系、グラファイト系等の非酸化物セラミックス等を、用いることが出来る。本発明においては、それらの中でも、特にα−アルミナ等のアルミナ系セラミックスが、有利に用いられることとなる。
次いで、本発明においては、上述の如くして得られた多孔質セラミックス焼結体における表層部の表面が、平滑化せしめられることとなる。このように、表層部の表面を平滑化することにより、かかる表層部に形成せしめられるシリカ層上において、MFI型ゼオライト結晶を有利に配向することが可能ならしめられ、以て、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層が、形成されることとなるのである。
なお、そのような表層部表面の平滑化は、例えば、サンドペーパーを用いて研磨する等の、従来より公知の一般的な研磨法に従って、実施される。かかる平滑化は、表層部上の凹凸における凸−凸間の距離が、目的とするMFI型ゼオライト結晶の大きさ(結晶径)の1/5以下となるように、好ましくは、1/10以下となるように、実施されることとなる。けだし、かかる凸−凸間の距離が、目的とするゼオライト結晶の大きさ(結晶径)の1/5より大きくなると、MFI型ゼオライト結晶が有利に配向しない恐れがあるからである。
さらに、そのようにして平滑化が施された表層部上に、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層が、形成される。このように、多孔質セラミックス焼結体における表層部上にシリカ層を設けることによって、かかるシリカ層上において、ゼオライト層を構成するMFI型ゼオライト結晶をより効果的に配向せしめることが出来るのである。
ここで、シリカ層中の細孔の孔径が大きすぎると、シリカ層上においてMFI型ゼオライト結晶を効果的に配向せしめることが困難となる恐れがあるところから、本発明においては、孔径が0.3〜50nm程度の細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層が、有利に形成せしめられることとなる。
また、シリカ層の厚さが厚すぎると、圧力損失が著しく大きい材料となってしまい、フィルター等として用いることが困難となる恐れがある一方、その厚さが薄すぎると、シリカ層上にMFI型ゼオライト結晶を有利に配向せしめることが困難となる恐れがあるところから、本発明においては、0.02〜10μm程度の厚さを有するシリカ層が、形成せしめられる。
なお、そのような所定孔径の細孔を有し、且つ、所定厚さを有するシリカ層は、従来より公知の各手法に従って、形成され得るものである。それら各種の手法の中でも、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)等のシリカを含有するアルコキシド類のゾルを用いる、所謂ゾルゲル法が有利に採用されるが、かかるゾルゲル法の中でも、特に、ディップコーティング法が有利に採用されることとなる。ここで、ディップコーティング法とは、先ず、シリカを含有するアルコキシド類を主成分とする、粘度が1〜50cP程度のシリカゾルを調製し、かかるシリカゾルを用いて、1)多孔質セラミックス焼結体をシリカゾル中に浸漬せしめた後、1〜1200mm/min程度の引き上げ速度にて取り出し、2)取り出した多孔質セラミックス焼結体を乾燥させる、という2つの工程を1サイクルとして、このサイクルを、目的とするシリカ層の厚さ等に応じて複数回(一般には2〜10回程度)繰り返した後、多孔質セラミックス焼結体に対して熱処理を施すという手法であり、このディップコーティング法によれば、多孔質セラミックス焼結体における表層部上に、所定の孔径の細孔にて構成される連通気孔構造を有し、且つ、所定の厚さを有するシリカ層を、特に有利に形成せしめることが可能である。
そして、そのようにして得られたシリカ層上において、水熱合成法によってMFI型ゼオライト結晶を生成、配向させることにより、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層が、形成せしめられることとなるのである。
すなわち、多孔質セラミックス焼結体における表層部上に設けられたシリカ層に対して、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)等のシリカを含有するアルコキシド類のゾルを用いて、所定時間、水熱処理を施すと、シリカ層が、多孔質セラミックス焼結体の表層部における平滑な表面上に設けられていることに起因して、シリカ層上に生成したMFI型ゼオライト結晶は、特定の(結晶軸)方向に配向した状態で成長し、MFI型ゼオライト結晶内に存在する0.3〜50nm程度の細孔も規則正しく配置せしめられるところから、以て、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層が、形成せしめられるのである。
具体的には、その表層部上に、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)を含有するゾルにて形成されたシリカ層を有する多孔質セラミックス焼結体と、テトラエチルオルソシリケート及びテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH )を含有するゾルとを、オートクレーブ等の密閉容器内に封入し、かかる密閉容器ごと、内部が100〜500℃程度に保たれているオーブンに、1〜50時間程度載置すると、シリカ層上において、MFI型ゼオライトであるシリカライト−1の結晶が、シリカ層に対して垂直な方向(b軸方向)に配向した状態で生成、成長するのであり、また、それら配向したシリカライト−1の結晶内細孔によって構成される連通気孔構造も、シリカ層に対して垂直方向に開孔したものとなるのであり、以て、優れた分子ふるい機能等を効果的に発現し得る、シリカライト−1よりなるゼオライト層が、シリカ層上に形成されることとなるのである。
なお、本発明において、ゼオライト層を形成せしめる際に用いられる水熱合成法は、従来より公知の手法に従って実施されるものであるが、そのような公知の水熱合成法によって得られるMFI型ゼオライト結晶は、一般に、水熱合成(水熱処理)の時間を長くすることによって、大きく成長することから、水熱合成(水熱処理)の実施時間は、目的とするMFI型ゼオライト結晶の大きさ及びゼオライト層の厚さに応じて、適宜に設定されることとなる。具体的には、得られるセラミックス多層構造体における圧力損失を低く押える観点から、ゼオライト層の厚さが0.1〜50μm程度となるように、水熱合成(水熱処理)の実施時間が設定されることが望ましい。
また、水熱合成の際に用いられるゾルの主成分である、シリカを含有するアルコキシド類としては、公知のものの中から、目的とするMFI型ゼオライト結晶に応じたものが、適宜に選択されて、用いられるのであるが、本発明においては、シリカライト型ゼオライトの一種であるシリカライト−1を生成するテトラエチルオルソシリケート(TEOS)が、特に有利に用いられることとなる。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、基体として用いる多孔質セラミックス焼結体として、円盤形状(直径:2cm×厚さ:1cm)を呈するα−アルミナ焼結体であって、その表面付近の表層部(厚さ:150μm)において、孔径が10nm〜5μmの細孔にて構成される連通気孔構造を備えていると共に、かかる表層部以外の部位においては、孔径が150μmの気孔にて構成される連通気孔構造を有するものを、2枚準備した。
ここで、かかるα−アルミナ焼結体にあっては、α−アルミナ粒状物を原料として用いて、特開2000−264755号公報及び特開2001−261463号公報に示されたセラミックス多孔体の製造方法に従って多孔体(気孔率:62.5%)を作製した後、得られた多孔体の表面を研磨し、平滑化せしめることにより、得られたものである。なお、多孔体表面の平滑化は、表面に存在する凹凸の凸−凸間の距離が0.5μm程度となるように、研磨材(サンドペーパー)を用いて行なった。
次いで、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)、エタノール、水及び塩酸よりなる、加水分解前の重合性シリカゾルに対して、カチオン界面活性剤(セチルトリメチルアンモニウムブロミド、CTAB)を添加して、シリカの前駆物質たるシリカゾルを調製した。なお、得られたシリカゾルにおける各成分のモル(mol)比は、TEOS:1molに対して、エタノール:20mol、水:5mol、塩酸:0.004mol、CTAB:0.16molであり、また、かかるシリカゾルの粘度は2cpであった。
そのようにして調製されたシリカゾル用いて、ディップコーティング法により、先に準備したα−アルミナ焼結体の表層部における平滑な表面にシリカ層を設けた。具体的には、1)シリカゾル中にα−アルミナ焼結体を浸漬せしめた後、かかるα−アルミナ焼結体を60mm/minの引き上げ速度にてシリカゾル中から取り出し、2)取り出したα−アルミナ焼結体を、25℃に保たれた乾燥器内に24時間、載置して、乾燥せしめる、という2つの工程を1サイクルとして、このサイクルを2回繰り返した後、450℃にて12時間、焼成することにより、α−アルミナ焼結体の表層部における平滑な表面に、孔径
が0.3〜50nm程度の細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層(厚さ:3μm)を設けた。
さらに、上述の如くして設けられたシリカ層上に、水熱合成法に従って、ゼオライト層を設けた。具体的には、テフロン(登録商標)加工が施されたステンレス製のオートクレーブ内に、シリカ層が設けられたα−アルミナ焼結体を、かかるシリカ層が上になるように垂直に載置すると共に、所定の成分よりなるゾルを封入し、その後、オートクレーブごと180℃に保たれたオーブン内に所定時間、載置して、水熱処理を施すことにより、α−アルミナ焼結体におけるシリカ層上にゼオライト層を設けた。なお、かかるゼオライト層作製の際に用いられたゾルは、TEOS、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH )及び水よりなるものであって、それら各成分の配合割合は、TEOS:1molに対して、TPAOH :0.17mol、水:120molであった。また、オーブン内において水熱処理を施した時間は、一方のα−アルミナ焼結体については6時間とし、他方のα−アルミナ焼結体については24時間とした。
上述したような水熱処理の後、オートクレーブ内からα−アルミナ焼結体を取り出し、イオン交換水にて数回、水洗し、乾燥した後、更に、有機成分を除去するための焼成(焼成温度:450℃、焼成時間:12時間)を行なうことにより、2種類の本発明に従うセ
ラミックス多層構造体を得た。
そのようにして得られた2種類のセラミックス多層構造体について、その表面に存在するゼオライト層における結晶構造をX線回折法に従って解析したところ、各々のセラミックス多層構造体に設けられたゼオライト層は、シリカライト−1の結晶にて構成されていると共に、かかるシリカライト−1の結晶は、シリカ層に対して垂直な方向(b軸方向)に配向していることが、認められた。
また、得られた2種類のセラミックス多層構造体におけるゼオライト層の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM装置、日本電子株式会社製、JSM−6100)にて観察した。なお、水熱処理を6時間実施することにより得られたセラミックス多層構造体におけるゼオライト層を撮影したSEM写真を図1として、また、水熱処理を12時間実施することにより得られたセラミックス多層構造体におけるゼオライト層を撮影したSEM写真を図2として、それぞれ示す。
かかる図1及び図2からも明らかなように、本発明に従うセラミックス多層構造体にあっては、何れも、ゼオライト結晶(シリカライト−1の結晶)が、シリカ層に対して垂直な方向(b軸方向)に配向していることが認められると共に、水熱処理時間を長くすることにより、得られるゼオライト結晶(シリカライト−1の結晶)も大きくなることが、確認されたのである。
本実施例において得られた一のSEM写真であって、6時間の水熱処理によって形成されたゼオライト層の表面を撮影したものである。 本実施例において得られた他の一のSEM写真であって、12時間の水熱処理によって形成されたゼオライト層の表面を撮影したものである。

Claims (7)

  1. 表層部に存在する細孔よりも孔径の大きい気孔が該表層部の下側に存在し、全体として連通気孔構造を呈する多孔質セラミックス焼結体を基体として、該多孔質セラミックス焼結体の表層部の、凹凸における凸−凸間距離が目的とするMFI型ゼオライト結晶の結晶径の1/5以下である平滑な表面上に、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層を形成し、更に、該シリカ層上に、MFI型ゼオライト結晶を生成、配向させて、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層を形成したことを特徴とするセラミックス多層構造体。
  2. 前記多孔質セラミックス焼結体の表層部に存在する細孔の孔径が10nm〜5μmであり、前記シリカ層に存在する細孔の孔径が0.3〜50nmであり、更に、前記ゼオライト層に存在する細孔の孔径が0.3〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス多層構造体。
  3. 前記多孔質セラミックス焼結体の表層部の厚さが1〜500μmであり、前記シリカ層の厚さが0.02〜10μmであり、更に、前記ゼオライト層の厚さが0.1〜50μmである請求項1又は請求項2に記載のセラミックス多層構造体。
  4. 前記多孔質セラミックス焼結体中に存在する気孔及び細孔の孔径が、前記表層部の平滑な表面に近づくに従って連続的乃至は段階的に小さくなっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のセラミックス多層構造体。
  5. 前記ゼオライト層が、シリカライト型ゼオライトにて構成されている請求項1乃至請求項4の何れかに記載のセラミックス多層構造体。
  6. 表層部に存在する細孔よりも大きい孔径の気孔が該表層部の下側に存在し、全体として連通気孔構造を呈する多孔質セラミックス焼結体を基体として用いて、該多孔質セラミックス焼結体における前記表層部の表面を平滑化せしめた後、該表層部上に、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を有するシリカ層を形成せしめ、更に、該シリカ層上において、水熱合成法によってMFI型ゼオライト結晶を生成、配向させて、ナノメートルサイズの細孔にて構成される連通気孔構造を備えたゼオライト層を形成せしめることを特徴とするセラミックス多層構造体の製造方法。
  7. 前記シリカ層を、ディップコーティング法によって形成せしめることを特徴とする請求項6に記載のセラミックス多層構造体の製造方法。
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