JP2005022340A - インクカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】大気開放されたインク室を備えたインクカートリッジにおいて、大気開放口からのインク漏れを確実に防止すること。
【解決手段】インクカートリッジ1のケース蓋4にはインク室6を大気開放するための大気連通部10が形成されている。大気連通部10は、インク連通孔12、大気開放溝11、連通路部分13、インクトラップ14、大気開放口15を備えている。蛇行状態に形成した大気開放溝11の溝側面111、112は湾曲状の溝底面113に滑らかに連続しており、毛細管力によるインクの伝わりが起きない。大気開放溝11とこれを封鎖しているラベルシール16の間の入り隅113、114に沿って毛細管力により流出したインクは、これら入り隅の連続性が円形断面の連通路部分13の内周面13dによって断たれるので、ここを越えて大気開放口15の側に流出することがない。よって、大気開放口15からのインク漏れを確実に防止できる。
【選択図】 図4
【解決手段】インクカートリッジ1のケース蓋4にはインク室6を大気開放するための大気連通部10が形成されている。大気連通部10は、インク連通孔12、大気開放溝11、連通路部分13、インクトラップ14、大気開放口15を備えている。蛇行状態に形成した大気開放溝11の溝側面111、112は湾曲状の溝底面113に滑らかに連続しており、毛細管力によるインクの伝わりが起きない。大気開放溝11とこれを封鎖しているラベルシール16の間の入り隅113、114に沿って毛細管力により流出したインクは、これら入り隅の連続性が円形断面の連通路部分13の内周面13dによって断たれるので、ここを越えて大気開放口15の側に流出することがない。よって、大気開放口15からのインク漏れを確実に防止できる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのインク供給源として用いられるインクカートリッジに関し、特に、大気開放されたインク室を備えたインクカートリッジにおけるインク漏れ防止技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに着脱可能に装着して用いられるインクカートリッジとしては、そのインク室の内圧を適切な状態に保持するために大気開放されたインク室を備えたものが知られている。この構成のインクカートリッジでは、大気開放されたインク室からインク水分が蒸発してしまうことを防止するための工夫が施されている。
【0003】
インク乾燥防止のための工夫として、カートリッジケースの表面に、インク室に連通した大気開放溝を蛇行状態に形成し、この大気開放溝をラベルシールなどの封止フィルムで封鎖する構成のものが提案されている。この構成のインクカートリッジでは、インクジェットプリンタに装着する際に、封止フィルムのうち、大気開放溝の先端に形成した大気開放口を覆っている部分のみを剥がして、インク室を大気開放状態にするようにしている。インク室は蛇行状態に形成された大気開放溝を経由して大気に連通しているので、インク室内のインク水分の蒸発を防止できる。この構成のインクカートリッジは、例えば、下記の特許文献1、2、3において提案されている。
【0004】
ここで、インクカートリッジに振動や衝撃が作用してインク室から大気開放溝を介して外部にインクが漏れ出るおそれがある。例えば、出荷時や輸送時における振動、衝撃によりインクが漏れ出るおそれがある。インク漏出を防止するために、大気開放溝とインク室の間に内容積の大きなインクトラップを介在させ、漏れ出たインクをインクトラップにより捕捉して外部に漏れないようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−190522号公報
【特許文献2】
特開2000−62205号公報
【特許文献3】
特開2003−154675号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蛇行状態に形成した大気開放溝を備えたインクカートリッジにおいては、インク室から大気開放溝に漏れ出た漏出インクが当該大気開放溝の先端に形成した大気開放口に到り、そこから外部に漏れ出る危険性が依然としてある。すなわち、カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝は矩形あるいは台形状の断面とされており、漏出インクが毛細管引力によって溝底部分の入り隅を伝って流れて大気開放口まで到達する危険性がある。また、大気開放溝の開口縁と、ここを封鎖しているラベルシールとの間には鋭角の入り隅が形成されている。このため、大気開放溝の途中にインクトラップが形成されている場合であっても、大気開放溝に漏れ出たインクが毛細管力によってかかる入り隅を伝って流れて大気開放口に到達する危険性がある。
【0007】
インクカートリッジの出荷時や運送時においてはインクカートリッジに大きな振動、衝撃が作用することがあるので、インク室から大気開放溝にインクが漏れ出る可能性が高い。出荷時や運送時に漏れ出たインクが大気開放溝の先端の大気開放口に到達していると、インクカートリッジをインクジェットプリンタに装着するために、封止フィルムのうち大気開放口を封鎖している部分を剥ぎ取った際に、漏出インクが外部に漏れ出て、周囲を汚してしまうなどの弊害が発生する。
【0008】
本発明の課題は、インク室から漏れ出たインクが大気開放溝を通ってその先端の大気開放口に到達してしまうことを確実に防止可能なインクカートリッジを提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のインクカートリッジは、インク室と、前記インク室が内部に形成されているカートリッジケースと、前記インク室を大気開放するために前記カートリッジケースに形成された大気連通部とを有し、前記大気連通部は、前記カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝、および前記大気開放溝を封鎖するために前記カートリッジケースの表面に貼り付けた封鎖部材とを備え、前記大気開放溝の溝側面と溝底面が湾曲面によって滑らかに連続していることを特徴としている。
【0010】
本発明のインクカートリッジでは、大気連通溝の内周面に、毛細管力によってインクが伝わるような角(エッジ)が付いていない。よって、出荷時や運搬時に作用する振動、衝撃力によってインク室から大気連通溝に漏れ出たインクが、毛細管力によって大気連通溝に沿ってその大気開放側の端まで流出してしまうことを防止できる。
【0011】
また、本発明のインクカートリッジは、前記大気開放溝の溝側面と溝底面が湾曲面によって滑らかに連続している構成と共に、あるいは、この構成を採用する代わりに、前記大気連通部を、前記カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝と、前記大気開放溝を封鎖するために前記カートリッジケースの表面に貼り付けた封鎖部材と、角の無い通路断面形状をした連通路部分とを備えた構成とし、前記連通路部分を、前記大気開放溝の間に配置するか、あるいは前記大気開放溝における大気開放側の端に連通させたことを特徴としている。
【0012】
本発明によるかかる構成のインクカートリッジでは、連通路部分の内周面に毛細管力によりインクが伝わるような角(エッジ)が付いていない。よって、大気連通溝に毛細管力によりインクが伝わる角が付いていても、当該角の連続性が当該連通路部分の内周面によって断たれる。また、大気連通溝と封鎖部材の間に形成されている角の連続性も、当該連通路の内周面によって断たれる。この結果、漏出したインクが当該連通路部分に止まり、大気連通部の大気開放側の端まで流出してしまうことを確実に防止できる。
【0013】
ここで、製造上の観点からは、前記連通路部分の前記通路断面形状を円形あるいは楕円形とすることが望ましい。また、前記連通路部分を前記カートリッジケースの表面に対して直交方向に延びるように形成することが望ましい。
【0014】
次に、前記大気連通部として、前記大気開放溝の前記大気開放側の端に連通している前記連通路部分と、前記連通路部分の大気開放側の端に連通しているインクトラップを有している構成のものを採用できる。インクトラップを設けることにより、インク室から流出したインクが大気連通部の大気開放側の端に到ることを確実に防止できる。
【0015】
この場合、前記インクトラップの内周面に、角部分が湾曲面によって規定された部分を形成すれば、この部分によって、毛細管力によるインクの伝わりを阻止できるので、インクが、インクトラップ内周面を伝い大気開放側に流出することを確実に阻止できる。
【0016】
また、前記インクトラップを、前記カートリジケースの表面に平行な方向に延びるように形成し、その断面形状を、前記カートリッジケースの表面に直交する方向に長い長方形とすることができる。この場合、前記インクトラップに連通した大気開放口を前記カートリッジケースの表面に直交する方向に延びるように形成し、当該表面に露出させれば、インクトラップから大気開放口までの距離(すなわち、カートリッジケースの表面に直交する方向の距離)を充分に確保できる。よって、インクトラップに捕捉されたインクが大気開放口から外部に漏れ出ることを確実に防止できる。
【0017】
ここで、前記封鎖部材における大気開放溝に面している側の面を撥水性のある面とすれば、当該大気開放溝と封鎖部材の間の角に沿ってインクが大気開放口の側に漏れ出ることを抑制できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したインクカートリッジの実施の形態を説明する。
【0019】
図1は本実施の形態に係るインクカートリッジの平面図であり、(a)は出荷時の状態を示し、(b)は表面に貼ってある2枚の封止ラベルを省略した状態を示す。図2は図1(b)に示すA−A線で切断した部分の断面図であり、図3は図1(b)に示すB−B線で切断した部分の断面図である。
【0020】
本実施の形態に係るインクカートリッジ1は全体として直方体形状をしたカートリッジケース2を備えており、このカートリッジケース2は上端が開口しているケース本体3と、このケース本体3の上端開口を封鎖しているケース蓋4から構成されている。カートリッジケース2の内部は、インク吸収保持特性のあるインク吸収体5が充填されたインク室6とされており、インク吸収体5にインクが吸収保持されている。カートリッジケース2の底板部分2aにはインク供給口7が形成されている。インク供給口7は、公知の構造とすることができる。
【0021】
例えば、インクジェットプリンタのカートリッジ装着部に取り付けられているインク供給針(図示せず)が差し込まれる円環状のゴムシールと、このゴムシールの中心開口を背面側から封鎖している弁部材とを備えた構造とすることができる。この場合、インク供給針をゴムシールの中心開口に差し込むと、背面側の弁部材が押し上げられて、インク供給針の針先に形成したオリフィスがインク室6に連通して、インク室6からインク供給針を介してインクジェットプリンタのインクジェットヘッドに到るインク供給路が形成される。
【0022】
なお、インク供給口7は、出荷時においては、図に示すように、そこを封鎖しているフィルム8によって保護されている。インクカートリッジ1をインクジェットプリンタのカートリッジ装着部に装着する際に、そこに取り付けられているインク供給針によってフィルム8が突き破られるようになっている。
【0023】
ここで、インク室6が密閉状態の場合には、インク供給口7からインクが吸引されるとインク室6の内圧が高まり、インクジェットヘッド側から作用する吸引力では充分な量のインクを吸引できなくなる。そこで、インク室6の内圧が上昇することの無い様に、インク室6はケース蓋4に形成した大気連通部を介して大気開放されている。
【0024】
図4にはケース蓋4に形成した大気連通部10を示す説明図である。この図も参照して本例の大気連通部10の構造を説明する。ケース蓋4の表面4aには蛇行状態に一定の深さの大気開放溝11が形成されている。この大気開放溝11の一端11aは、ケース蓋4を貫通して延びるインク室連通孔12を介して、インク室6に連通している。大気開放溝11の他方の端(大気開放側の端)11bは、ケース蓋4の表面4aから直交する方向に掘り下げた所定深さの連通路部分13に連通している。連通路部分13は、ケース蓋4の裏面側に形成したインクトラップ14に連通しており、このインクトラップ14の大気開放側の端が、ケース蓋4を貫通して延びる大気開放口15に連通している。このように、インク室6は、大気連通部10を構成している各部分12、11、13、14、15を介して大気開放されている。
【0025】
大気連通部10の各部分11〜15の構造を更に詳しく説明する。まず、インク室連通孔12はケース蓋4に形成した貫通孔であり、図3、4に示すように、下端開口12aがインク吸収体5の上面よりも上方に位置しており、下半部分が円形孔部分12bとされ、上半部分が上方に広がった円錐台状の孔部分12cとされ、その上端の円形開口12dがケース蓋4の表面4aに露出している。
【0026】
このインク室連通孔12に連通している大気開放溝11は、図1(b)および図4に示すように、インク室連通孔12からケース蓋4の長辺に平行に延びて一方の短辺近傍位置まで延びている。また、この短辺近傍位置において直角に折れ曲がり当該短辺に平行に延びて一方の長辺近傍位置において直角に折れ曲がり当該長辺に平行に他方の短辺近傍位置まで延びている。さらに、そこから反対側に湾曲して長辺に平行に延びた後に直角に折れ曲がり短辺に平行に延び、しかる後に、直角に折れ曲がって延びて連通路部分13に繋がっている。このように蛇行状態に形成された大気連通溝11の大気開放側の端11bに連通している連通路部分13は、図2、3、4から分かるように、ケース蓋4の表面4aから垂直に延びる所定深さの円形孔であり、その上端開口13aが表面4aに露出している。この連通路部分13の円形下端面13bの中心には小径の円形連通孔13cが同軸状態に形成されており、この円形連通孔13cの下端がインクトラップ14に連通している。
【0027】
ここで、ケース蓋4の表面4aにおけるインク室連通孔12、大気開放溝11および連通路部分13が形成されている部分には、長方形の封止ラベル(封鎖部材)16が貼り付けられている。これにより、インク室連通孔12の上端開口12d、大気開放溝11および連通路部分13の上端開口13aが封鎖されている。ケース蓋4の表面4aには図1(b)において斜線で示すパターンの平坦な融着面4bが形成されており、ここに封止ラベル16が熱融着あるいは超音波融着により接合されている。また、封止ラベル16の裏面16aは撥水面とされている。
【0028】
封止ラベル16によって封鎖されている大気開放溝11の断面形状は、図2(b)に拡大して示すように、底に向けて幅が漸減している逆台形状とされている。また、その左右の傾斜した溝側面111、112の下端は湾曲状の溝底面113に滑らかに連続しており、溝側面111、112と溝底面113の間には角(エッジ)ができないようにしてある。大気開放溝11の断面形状はこれ以外の形状であっても良く、溝側面111、112と溝底面113の間に角の出来ない断面形状であればよい。
【0029】
大気連通溝11の端11bは連通路部分13の上端開口13aの縁に連通している。この上端開口13aから下方に垂直に延びている当該連通路部分13の通路断面形状は円形断面であり、その内周面には角が付いていない。連通路部分13の通路断面形状も、その内周面に角が付かない形状であれば円形以外の形状であってもよい。例えば、楕円形であってもよいし、平坦面に曲面が滑らかに連続している内周面形状であっても良い。製造上の観点から一般には円形断面とされる。
【0030】
次に、連通路部分13に連通しているインクトラップ14は、ケース蓋4の短辺方向に沿ってケース蓋表面4aと平行に延びている。また、ケース蓋4の表面4aに直交する方向に長い長方形断面をしている。本例のインクトラップ14は、その長さ方向の両側の端部分14a、14bに比べて中央部分14cが上方に突出した縦長断面とされており、一方の端部分14aの端が連通路部分13の下端側の小径の円形連通孔13cに連通し、他方の端部分14bの端が大気開放口15に連通している。本例では、ケース蓋4の裏面側からかかる形状の扁平な溝を形成し、この溝の下端開口を図2に示すように、フィルム17によって封鎖して、インクトラップ14を構成してある。
【0031】
また、インクトラップ14の端部分14a、14bおよび中央部分14cの天井面14d、14e、14fおよび中央部分14cの端面14g、14hをそれぞれ湾曲面とし、左右の側面に滑らかに連続させてある。よって、天井面14d、14e、14fおよび端面14g、14hには角が付いていない。
【0032】
次に、インクトラップ14の大気開放側の端に連通している大気開放口15は、インクトラップ14の反対側の端に連通している連通路部分13と同様な断面形状をしている。すなわち、上端開口15aがケース蓋4の表面4aに開いており、当該上端開口15aから垂直に下方に延びている。また、この大気開放口15の下端15bの中心には小径の連通孔15cが同軸状態に形成され、この下端がインクトラップ14の大気開放側の端である端部分14bに連通している。
【0033】
ここで、この構成のインクカートリッジ1の出荷時には、図1(a)に示すように、ケース蓋4の表面4aにおける大気開放口15が形成されている部分が、剥離可能な長方形の封止ラベル18によって封鎖されている。使用時には、この封止ラベル18を剥ぎ取ることにより、大気開放口15の上端開口15aが露出して、インク室6が大気開放状態になる。
【0034】
このように構成したインクカートリッジ1においては、インク室6を大気開放するための大気連通部10の構成部分である大気開放溝11の断面形状として、図2(b)に示すように、その溝側面と溝底面の間に角の無いものを採用している。したがって、インク室6からインク室連通孔12を介して漏出したインクが、毛細管力によって溝内周面を伝い大気開放側に流出してしまうことがない。また、大気開放溝11を覆っている封止ラベル16の裏面16aは撥水面とされているので、図2(b)に示すように、大気開放溝11の溝側面111、112とラベルシール16の間に形成されている入り隅113、114に沿ってインクが毛細管力により流出することも抑制できる。
【0035】
さらに、大気開放溝11の大気開放側の端11bが連通している連通路部分13の通路断面は円形であり、その内周面に角が無い。よって、大気開放溝11の溝側面111、112とラベルシール16との間に形成される入り隅113、114を伝いインクが毛細管力によって流れ出たとしても、入り隅113、114の連続性が当該連通路部分13の内周面13dによって断たれる。よって、連通路部分13により、毛細管力によるインクの漏出を確実に阻止できる。
【0036】
さらには、インク室6から漏出したインクが大気開放溝11を流れて連通路部分13に到ったとしても、その大気開放側の端に連通しているインクトラップ14によってそのようなインクが捕捉される。インクトラップ14は上下に長い縦長の断面形状をしているので、その大気開放側の端は、大気開放口15の上端開口15aから充分に離れている。よって、インクトラップ14に捕捉されたインクがその側面などを伝って大気開放口15まで上昇して、そこから外部に漏出するおそれがない。
【0037】
これに加えて、インクトラップ14の天井面14d〜14fおよび端面14g、14hは湾曲面により規定され、毛細管力によってインクが伝わるような角が付いていない。よって、インクトラップ14まで漏出したインクが毛細管力によってその天井面に沿って流れて大気開放口15の側に漏出することもない。
【0038】
このように、本実施の形態に係るインクカートリッジ1の大気連通部10によれば、当該大気連通部10を構成している各部分を介してインクが毛細管力により大気開放側に流出することを確実に阻止できる。よって、出荷時や運送時において大きな振動、衝撃力がインクカートリッジ1に作用して、そのインク室6から大気開放溝11の側にインクが漏出したとしても、漏出したインクがフィルム17によって封鎖されている大気開放口15に到達することを阻止できる。したがって、インクカートリッジ1を使用するために封止ラベル18を剥がした際に、露出した大気開放口15に溜まっていた漏出インクが外に漏れ出るという弊害を防止できる。また、通常の使用時においても、インク室6から大気開放溝11の側に漏出したインクが大気開放口15に到ることを阻止できるので、大気開放口15からのインク漏れを確実に防止できる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクカートリッジにおいては、インク室を大気開放するための大気連通部を構成している大気開放溝の底部分を、毛細管力によりインクが伝わり易い角ができない断面形状としている。また、大気開放溝に連通した連通路部分の通路断面を円形などの角の無い内周面が得られる形状としてある。したがって、インク室から漏れ出たインクが毛細管力によって大気開放溝に沿って流れて大気開放口まで漏出してしまうことを阻止できる。よって、大気開放口からのインク漏れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクカートリッジの平面図であり、(a)は出荷時の状態を示し、(b)は2枚の封止ラベルを省略した状態を示す。
【図2】図1のA−A線で切断した部分の断面図である。
【図3】図1のB−B線で切断した部分の断面図である。
【図4】図1のインクカートリッジのケース蓋に形成した大気連通部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクカートリッジ、2 カートリッジケース、3 ケース本体、4 ケース蓋、5 インク吸収体、6 インク室、7 インク供給口、10 大気連通部、11 大気開放溝、111、112 溝側面、113 溝底面、114、115 入り隅、12 インク室連通孔、13 連通路部分、13d 連通路部分の内周面、14 インクトラップ、14d、14e、14f インクトラップの天井面、14g、14h インクトラップの端面、15 大気開放口、16 封止ラベル、18 剥離可能な封止ラベル
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのインク供給源として用いられるインクカートリッジに関し、特に、大気開放されたインク室を備えたインクカートリッジにおけるインク漏れ防止技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに着脱可能に装着して用いられるインクカートリッジとしては、そのインク室の内圧を適切な状態に保持するために大気開放されたインク室を備えたものが知られている。この構成のインクカートリッジでは、大気開放されたインク室からインク水分が蒸発してしまうことを防止するための工夫が施されている。
【0003】
インク乾燥防止のための工夫として、カートリッジケースの表面に、インク室に連通した大気開放溝を蛇行状態に形成し、この大気開放溝をラベルシールなどの封止フィルムで封鎖する構成のものが提案されている。この構成のインクカートリッジでは、インクジェットプリンタに装着する際に、封止フィルムのうち、大気開放溝の先端に形成した大気開放口を覆っている部分のみを剥がして、インク室を大気開放状態にするようにしている。インク室は蛇行状態に形成された大気開放溝を経由して大気に連通しているので、インク室内のインク水分の蒸発を防止できる。この構成のインクカートリッジは、例えば、下記の特許文献1、2、3において提案されている。
【0004】
ここで、インクカートリッジに振動や衝撃が作用してインク室から大気開放溝を介して外部にインクが漏れ出るおそれがある。例えば、出荷時や輸送時における振動、衝撃によりインクが漏れ出るおそれがある。インク漏出を防止するために、大気開放溝とインク室の間に内容積の大きなインクトラップを介在させ、漏れ出たインクをインクトラップにより捕捉して外部に漏れないようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−190522号公報
【特許文献2】
特開2000−62205号公報
【特許文献3】
特開2003−154675号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蛇行状態に形成した大気開放溝を備えたインクカートリッジにおいては、インク室から大気開放溝に漏れ出た漏出インクが当該大気開放溝の先端に形成した大気開放口に到り、そこから外部に漏れ出る危険性が依然としてある。すなわち、カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝は矩形あるいは台形状の断面とされており、漏出インクが毛細管引力によって溝底部分の入り隅を伝って流れて大気開放口まで到達する危険性がある。また、大気開放溝の開口縁と、ここを封鎖しているラベルシールとの間には鋭角の入り隅が形成されている。このため、大気開放溝の途中にインクトラップが形成されている場合であっても、大気開放溝に漏れ出たインクが毛細管力によってかかる入り隅を伝って流れて大気開放口に到達する危険性がある。
【0007】
インクカートリッジの出荷時や運送時においてはインクカートリッジに大きな振動、衝撃が作用することがあるので、インク室から大気開放溝にインクが漏れ出る可能性が高い。出荷時や運送時に漏れ出たインクが大気開放溝の先端の大気開放口に到達していると、インクカートリッジをインクジェットプリンタに装着するために、封止フィルムのうち大気開放口を封鎖している部分を剥ぎ取った際に、漏出インクが外部に漏れ出て、周囲を汚してしまうなどの弊害が発生する。
【0008】
本発明の課題は、インク室から漏れ出たインクが大気開放溝を通ってその先端の大気開放口に到達してしまうことを確実に防止可能なインクカートリッジを提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のインクカートリッジは、インク室と、前記インク室が内部に形成されているカートリッジケースと、前記インク室を大気開放するために前記カートリッジケースに形成された大気連通部とを有し、前記大気連通部は、前記カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝、および前記大気開放溝を封鎖するために前記カートリッジケースの表面に貼り付けた封鎖部材とを備え、前記大気開放溝の溝側面と溝底面が湾曲面によって滑らかに連続していることを特徴としている。
【0010】
本発明のインクカートリッジでは、大気連通溝の内周面に、毛細管力によってインクが伝わるような角(エッジ)が付いていない。よって、出荷時や運搬時に作用する振動、衝撃力によってインク室から大気連通溝に漏れ出たインクが、毛細管力によって大気連通溝に沿ってその大気開放側の端まで流出してしまうことを防止できる。
【0011】
また、本発明のインクカートリッジは、前記大気開放溝の溝側面と溝底面が湾曲面によって滑らかに連続している構成と共に、あるいは、この構成を採用する代わりに、前記大気連通部を、前記カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝と、前記大気開放溝を封鎖するために前記カートリッジケースの表面に貼り付けた封鎖部材と、角の無い通路断面形状をした連通路部分とを備えた構成とし、前記連通路部分を、前記大気開放溝の間に配置するか、あるいは前記大気開放溝における大気開放側の端に連通させたことを特徴としている。
【0012】
本発明によるかかる構成のインクカートリッジでは、連通路部分の内周面に毛細管力によりインクが伝わるような角(エッジ)が付いていない。よって、大気連通溝に毛細管力によりインクが伝わる角が付いていても、当該角の連続性が当該連通路部分の内周面によって断たれる。また、大気連通溝と封鎖部材の間に形成されている角の連続性も、当該連通路の内周面によって断たれる。この結果、漏出したインクが当該連通路部分に止まり、大気連通部の大気開放側の端まで流出してしまうことを確実に防止できる。
【0013】
ここで、製造上の観点からは、前記連通路部分の前記通路断面形状を円形あるいは楕円形とすることが望ましい。また、前記連通路部分を前記カートリッジケースの表面に対して直交方向に延びるように形成することが望ましい。
【0014】
次に、前記大気連通部として、前記大気開放溝の前記大気開放側の端に連通している前記連通路部分と、前記連通路部分の大気開放側の端に連通しているインクトラップを有している構成のものを採用できる。インクトラップを設けることにより、インク室から流出したインクが大気連通部の大気開放側の端に到ることを確実に防止できる。
【0015】
この場合、前記インクトラップの内周面に、角部分が湾曲面によって規定された部分を形成すれば、この部分によって、毛細管力によるインクの伝わりを阻止できるので、インクが、インクトラップ内周面を伝い大気開放側に流出することを確実に阻止できる。
【0016】
また、前記インクトラップを、前記カートリジケースの表面に平行な方向に延びるように形成し、その断面形状を、前記カートリッジケースの表面に直交する方向に長い長方形とすることができる。この場合、前記インクトラップに連通した大気開放口を前記カートリッジケースの表面に直交する方向に延びるように形成し、当該表面に露出させれば、インクトラップから大気開放口までの距離(すなわち、カートリッジケースの表面に直交する方向の距離)を充分に確保できる。よって、インクトラップに捕捉されたインクが大気開放口から外部に漏れ出ることを確実に防止できる。
【0017】
ここで、前記封鎖部材における大気開放溝に面している側の面を撥水性のある面とすれば、当該大気開放溝と封鎖部材の間の角に沿ってインクが大気開放口の側に漏れ出ることを抑制できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したインクカートリッジの実施の形態を説明する。
【0019】
図1は本実施の形態に係るインクカートリッジの平面図であり、(a)は出荷時の状態を示し、(b)は表面に貼ってある2枚の封止ラベルを省略した状態を示す。図2は図1(b)に示すA−A線で切断した部分の断面図であり、図3は図1(b)に示すB−B線で切断した部分の断面図である。
【0020】
本実施の形態に係るインクカートリッジ1は全体として直方体形状をしたカートリッジケース2を備えており、このカートリッジケース2は上端が開口しているケース本体3と、このケース本体3の上端開口を封鎖しているケース蓋4から構成されている。カートリッジケース2の内部は、インク吸収保持特性のあるインク吸収体5が充填されたインク室6とされており、インク吸収体5にインクが吸収保持されている。カートリッジケース2の底板部分2aにはインク供給口7が形成されている。インク供給口7は、公知の構造とすることができる。
【0021】
例えば、インクジェットプリンタのカートリッジ装着部に取り付けられているインク供給針(図示せず)が差し込まれる円環状のゴムシールと、このゴムシールの中心開口を背面側から封鎖している弁部材とを備えた構造とすることができる。この場合、インク供給針をゴムシールの中心開口に差し込むと、背面側の弁部材が押し上げられて、インク供給針の針先に形成したオリフィスがインク室6に連通して、インク室6からインク供給針を介してインクジェットプリンタのインクジェットヘッドに到るインク供給路が形成される。
【0022】
なお、インク供給口7は、出荷時においては、図に示すように、そこを封鎖しているフィルム8によって保護されている。インクカートリッジ1をインクジェットプリンタのカートリッジ装着部に装着する際に、そこに取り付けられているインク供給針によってフィルム8が突き破られるようになっている。
【0023】
ここで、インク室6が密閉状態の場合には、インク供給口7からインクが吸引されるとインク室6の内圧が高まり、インクジェットヘッド側から作用する吸引力では充分な量のインクを吸引できなくなる。そこで、インク室6の内圧が上昇することの無い様に、インク室6はケース蓋4に形成した大気連通部を介して大気開放されている。
【0024】
図4にはケース蓋4に形成した大気連通部10を示す説明図である。この図も参照して本例の大気連通部10の構造を説明する。ケース蓋4の表面4aには蛇行状態に一定の深さの大気開放溝11が形成されている。この大気開放溝11の一端11aは、ケース蓋4を貫通して延びるインク室連通孔12を介して、インク室6に連通している。大気開放溝11の他方の端(大気開放側の端)11bは、ケース蓋4の表面4aから直交する方向に掘り下げた所定深さの連通路部分13に連通している。連通路部分13は、ケース蓋4の裏面側に形成したインクトラップ14に連通しており、このインクトラップ14の大気開放側の端が、ケース蓋4を貫通して延びる大気開放口15に連通している。このように、インク室6は、大気連通部10を構成している各部分12、11、13、14、15を介して大気開放されている。
【0025】
大気連通部10の各部分11〜15の構造を更に詳しく説明する。まず、インク室連通孔12はケース蓋4に形成した貫通孔であり、図3、4に示すように、下端開口12aがインク吸収体5の上面よりも上方に位置しており、下半部分が円形孔部分12bとされ、上半部分が上方に広がった円錐台状の孔部分12cとされ、その上端の円形開口12dがケース蓋4の表面4aに露出している。
【0026】
このインク室連通孔12に連通している大気開放溝11は、図1(b)および図4に示すように、インク室連通孔12からケース蓋4の長辺に平行に延びて一方の短辺近傍位置まで延びている。また、この短辺近傍位置において直角に折れ曲がり当該短辺に平行に延びて一方の長辺近傍位置において直角に折れ曲がり当該長辺に平行に他方の短辺近傍位置まで延びている。さらに、そこから反対側に湾曲して長辺に平行に延びた後に直角に折れ曲がり短辺に平行に延び、しかる後に、直角に折れ曲がって延びて連通路部分13に繋がっている。このように蛇行状態に形成された大気連通溝11の大気開放側の端11bに連通している連通路部分13は、図2、3、4から分かるように、ケース蓋4の表面4aから垂直に延びる所定深さの円形孔であり、その上端開口13aが表面4aに露出している。この連通路部分13の円形下端面13bの中心には小径の円形連通孔13cが同軸状態に形成されており、この円形連通孔13cの下端がインクトラップ14に連通している。
【0027】
ここで、ケース蓋4の表面4aにおけるインク室連通孔12、大気開放溝11および連通路部分13が形成されている部分には、長方形の封止ラベル(封鎖部材)16が貼り付けられている。これにより、インク室連通孔12の上端開口12d、大気開放溝11および連通路部分13の上端開口13aが封鎖されている。ケース蓋4の表面4aには図1(b)において斜線で示すパターンの平坦な融着面4bが形成されており、ここに封止ラベル16が熱融着あるいは超音波融着により接合されている。また、封止ラベル16の裏面16aは撥水面とされている。
【0028】
封止ラベル16によって封鎖されている大気開放溝11の断面形状は、図2(b)に拡大して示すように、底に向けて幅が漸減している逆台形状とされている。また、その左右の傾斜した溝側面111、112の下端は湾曲状の溝底面113に滑らかに連続しており、溝側面111、112と溝底面113の間には角(エッジ)ができないようにしてある。大気開放溝11の断面形状はこれ以外の形状であっても良く、溝側面111、112と溝底面113の間に角の出来ない断面形状であればよい。
【0029】
大気連通溝11の端11bは連通路部分13の上端開口13aの縁に連通している。この上端開口13aから下方に垂直に延びている当該連通路部分13の通路断面形状は円形断面であり、その内周面には角が付いていない。連通路部分13の通路断面形状も、その内周面に角が付かない形状であれば円形以外の形状であってもよい。例えば、楕円形であってもよいし、平坦面に曲面が滑らかに連続している内周面形状であっても良い。製造上の観点から一般には円形断面とされる。
【0030】
次に、連通路部分13に連通しているインクトラップ14は、ケース蓋4の短辺方向に沿ってケース蓋表面4aと平行に延びている。また、ケース蓋4の表面4aに直交する方向に長い長方形断面をしている。本例のインクトラップ14は、その長さ方向の両側の端部分14a、14bに比べて中央部分14cが上方に突出した縦長断面とされており、一方の端部分14aの端が連通路部分13の下端側の小径の円形連通孔13cに連通し、他方の端部分14bの端が大気開放口15に連通している。本例では、ケース蓋4の裏面側からかかる形状の扁平な溝を形成し、この溝の下端開口を図2に示すように、フィルム17によって封鎖して、インクトラップ14を構成してある。
【0031】
また、インクトラップ14の端部分14a、14bおよび中央部分14cの天井面14d、14e、14fおよび中央部分14cの端面14g、14hをそれぞれ湾曲面とし、左右の側面に滑らかに連続させてある。よって、天井面14d、14e、14fおよび端面14g、14hには角が付いていない。
【0032】
次に、インクトラップ14の大気開放側の端に連通している大気開放口15は、インクトラップ14の反対側の端に連通している連通路部分13と同様な断面形状をしている。すなわち、上端開口15aがケース蓋4の表面4aに開いており、当該上端開口15aから垂直に下方に延びている。また、この大気開放口15の下端15bの中心には小径の連通孔15cが同軸状態に形成され、この下端がインクトラップ14の大気開放側の端である端部分14bに連通している。
【0033】
ここで、この構成のインクカートリッジ1の出荷時には、図1(a)に示すように、ケース蓋4の表面4aにおける大気開放口15が形成されている部分が、剥離可能な長方形の封止ラベル18によって封鎖されている。使用時には、この封止ラベル18を剥ぎ取ることにより、大気開放口15の上端開口15aが露出して、インク室6が大気開放状態になる。
【0034】
このように構成したインクカートリッジ1においては、インク室6を大気開放するための大気連通部10の構成部分である大気開放溝11の断面形状として、図2(b)に示すように、その溝側面と溝底面の間に角の無いものを採用している。したがって、インク室6からインク室連通孔12を介して漏出したインクが、毛細管力によって溝内周面を伝い大気開放側に流出してしまうことがない。また、大気開放溝11を覆っている封止ラベル16の裏面16aは撥水面とされているので、図2(b)に示すように、大気開放溝11の溝側面111、112とラベルシール16の間に形成されている入り隅113、114に沿ってインクが毛細管力により流出することも抑制できる。
【0035】
さらに、大気開放溝11の大気開放側の端11bが連通している連通路部分13の通路断面は円形であり、その内周面に角が無い。よって、大気開放溝11の溝側面111、112とラベルシール16との間に形成される入り隅113、114を伝いインクが毛細管力によって流れ出たとしても、入り隅113、114の連続性が当該連通路部分13の内周面13dによって断たれる。よって、連通路部分13により、毛細管力によるインクの漏出を確実に阻止できる。
【0036】
さらには、インク室6から漏出したインクが大気開放溝11を流れて連通路部分13に到ったとしても、その大気開放側の端に連通しているインクトラップ14によってそのようなインクが捕捉される。インクトラップ14は上下に長い縦長の断面形状をしているので、その大気開放側の端は、大気開放口15の上端開口15aから充分に離れている。よって、インクトラップ14に捕捉されたインクがその側面などを伝って大気開放口15まで上昇して、そこから外部に漏出するおそれがない。
【0037】
これに加えて、インクトラップ14の天井面14d〜14fおよび端面14g、14hは湾曲面により規定され、毛細管力によってインクが伝わるような角が付いていない。よって、インクトラップ14まで漏出したインクが毛細管力によってその天井面に沿って流れて大気開放口15の側に漏出することもない。
【0038】
このように、本実施の形態に係るインクカートリッジ1の大気連通部10によれば、当該大気連通部10を構成している各部分を介してインクが毛細管力により大気開放側に流出することを確実に阻止できる。よって、出荷時や運送時において大きな振動、衝撃力がインクカートリッジ1に作用して、そのインク室6から大気開放溝11の側にインクが漏出したとしても、漏出したインクがフィルム17によって封鎖されている大気開放口15に到達することを阻止できる。したがって、インクカートリッジ1を使用するために封止ラベル18を剥がした際に、露出した大気開放口15に溜まっていた漏出インクが外に漏れ出るという弊害を防止できる。また、通常の使用時においても、インク室6から大気開放溝11の側に漏出したインクが大気開放口15に到ることを阻止できるので、大気開放口15からのインク漏れを確実に防止できる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクカートリッジにおいては、インク室を大気開放するための大気連通部を構成している大気開放溝の底部分を、毛細管力によりインクが伝わり易い角ができない断面形状としている。また、大気開放溝に連通した連通路部分の通路断面を円形などの角の無い内周面が得られる形状としてある。したがって、インク室から漏れ出たインクが毛細管力によって大気開放溝に沿って流れて大気開放口まで漏出してしまうことを阻止できる。よって、大気開放口からのインク漏れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクカートリッジの平面図であり、(a)は出荷時の状態を示し、(b)は2枚の封止ラベルを省略した状態を示す。
【図2】図1のA−A線で切断した部分の断面図である。
【図3】図1のB−B線で切断した部分の断面図である。
【図4】図1のインクカートリッジのケース蓋に形成した大気連通部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクカートリッジ、2 カートリッジケース、3 ケース本体、4 ケース蓋、5 インク吸収体、6 インク室、7 インク供給口、10 大気連通部、11 大気開放溝、111、112 溝側面、113 溝底面、114、115 入り隅、12 インク室連通孔、13 連通路部分、13d 連通路部分の内周面、14 インクトラップ、14d、14e、14f インクトラップの天井面、14g、14h インクトラップの端面、15 大気開放口、16 封止ラベル、18 剥離可能な封止ラベル
Claims (9)
- インク室と、
前記インク室が内部に形成されているカートリッジケースと、
前記インク室を大気開放するために前記カートリッジケースに形成された大気連通部とを有し、
前記大気連通部は、前記カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝、および前記大気開放溝を封鎖するために前記カートリッジケースの表面に貼り付けた封鎖部材とを備え、
前記大気開放溝の溝側面と溝底面は湾曲面によって滑らかに連続しているインクカートリッジ。 - 請求項1において、
前記大気連通部は、角の無い通路断面形状をした連通路部分を備え、
前記連通路部分は、前記大気開放溝の間に配置されているか、あるいは前記大気開放溝における大気開放側の端に連通しているインクカートリッジ。 - インク室と、
前記インク室が内部に形成されているカートリッジケースと、
前記インク室を大気開放するために前記カートリッジケースに形成された大気連通部とを有し、
前記大気連通部は、前記カートリッジケースの表面に形成した大気開放溝と、前記大気開放溝を封鎖するために前記カートリッジケースの表面に貼り付けた封鎖部材と、角の無い通路断面形状をした連通路部分とを備え、
前記連通路部分は、前記大気開放溝の間に配置されているか、あるいは前記大気開放溝における大気開放側の端に連通しているインクカートリッジ。 - 請求項2または3において、
前記連通路部分の前記通路断面形状は円形あるいは楕円形であるインクカートリッジ。 - 請求項2、3または4において、
前記連通路部分は前記カートリッジケースの表面に対して直交方向に延びているインクカートリッジ。 - 請求項2、3、4または5において、
前記大気連通部は、前記大気開放溝の前記大気開放側の端に連通している前記連通路部分と、前記連通路部分の大気開放側の端に連通しているインクトラップを有しているインクカートリッジ。 - 請求項6において、
前記インクトラップの内周面は、角部分が湾曲面によって規定された部分を備えているインクカートリッジ。 - 請求項6または7において、
前記大気連通部は、前記インクトラップに連通した大気開放口を有し、
前記インクトラップは前記カートリジケースの表面に平行な方向に延びており、その断面形状は、前記カートリッジケースの表面に直交する方向に長い長方形であり、
前記大気開放口は、前記カートリッジケースの表面に直交する方向に延びて、当該表面に露出しているインクカートリッジ。 - 請求項1ないし8のうちのいずれかの項において、
前記封鎖部材における前記大気開放溝に面している側の面は撥水性を備えているインクカートリッジ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-07-04 JP JP2003192289A patent/JP2005022340A/ja not_active Withdrawn
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