JP2005020852A - 通信ケーブル接続装置の保守装置及び保守方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通信ケーブルの接続等に用いられ、ケーブル接続等の後に気密封止される通信ケーブル接続装置の保守装置であって、通信ケーブル接続装置1内に遠隔により浸水の有無を検出できる浸水検知センサ10を設けるとともに、遠隔により操作できる排水栓7を設置したものである。また、これに用いる通信ケーブルCは、浸水検知に用いる光ファイバと排水栓操作用のエア送出用パイプを収納したものである。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の通信ケーブル線路に配置された通信ケーブル接続装置を監視/管理する保守装置及び保守方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信ケーブルは、信号伝送用の多数の通信線を集合したもので、導線を用いた電気通信ケーブルや光ファイバを用いた光通信ケーブルがある。これらの通信ケーブルは、通常、クロージャと呼ばれている接続装置を用いて、ケーブルの通信線間の相互の接続、引き落としのための分岐、成端のための端末形成等が行なわれる。クロージャは、架空用通信ケーブルでは、電柱際の吊線に支持させて取付けられ、地下用通信ケーブルでは、マンホールの中などに設置される。また、電柱や建物の内外壁面等に取付けて通信線の配線に使用される接続函もある。
【0003】
これらの接続装置は、将来の再接続や後分岐のためボルトやバンドで開閉可能に形成されている。しかし、ケーブルの接続部を保護するものであることから、水密性、また、ガス封入ケーブルにも使用することから気密性を持たせているものもある。気密性を有するクロージャや接続函は、ケーブル接続終了後、開閉部等を気密処理した後、例えば、気密試験用バルブからガスまたはエアを注入して、クロージャ内の内圧を高め、気密処理したシール部分からの気密状態等を検査するようにしている。
【0004】
上記の防水や気密処理した接続装置であっても、大雨等で水中に浸された場合に、気密処理不良等によって接続装置内部に浸水することがある。浸水状態を放置しておくと、電気ケーブルの場合は短絡事故につながり、光ケーブルの場合はケーブル内に浸水し、水素の影響で光ファイバの伝送損失を増加させ信頼性を低下させる。このため、接続装置内が浸水状態にあるか否かはできるだけ早期に検知し、中の水を排出させる必要があるが、気密状態にある接続装置内の浸水状態は、開けて見なければ知ることができない。
【0005】
しかし、気密処理したシール部分を開き、また、新たに気密処理をやり直す必要があり、気密処理の修復作業が大変になる。したがって、クロージャ等の接続装置内に浸水検知センサを設置して、浸水を検出することが行なわれている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この場合、浸水検知センサには光ファイバを用い、浸水による物質の膨張で光ファイバに曲げを生じさせ、これによる損失増加を検出する方法が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−258225号公報
【特許文献2】
特開2002−22973号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
クロージャ等の接続装置に、浸水検知センサを設けることにより、浸水状態を検出することは可能である。また、この検出は通信ケーブル内に収納されている通信線を使用することで、遠隔地にある中央の監視装置で検出することもできる。しかしながら、遠隔地から浸水を検出することができても、浸水した水を排出することはできず、専門の技術者が浸水の生じているクロージャ設置場所まで行って修復しなければならなかった。また、通常気密型のクロージャは、排水のための機構を備えておらず、気密保持のための作業も容易ではなかった。
【0008】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、遠隔地から通信ケーブル接続装置(クロージャ)の浸水状態を検知するとともに、遠隔地からクロージャ内に浸水した水を排水できるようにした通信ケーブル接続装置の保守装置及び保守方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による通信ケーブルの保守装置は、通信ケーブルの接続等に用いられ、ケーブル接続等の後に気密封止される通信ケーブル接続装置の保守装置であって、通信ケーブル接続装置内に遠隔により浸水の有無を検出できる浸水検知センサを設けるとともに、遠隔により操作できる排水栓を設置したものである。また、これに用いる通信ケーブルは、浸水検知に用いる光ファイバと排水栓操作用のエア送出用パイプが収納されているようにしたものである。
また、本発明による通信ケーブルの保守方法は、通信ケーブルの接続等に用いられ、ケーブル接続等の後に気密封止される通信ケーブル接続装置の保守方法であって、通信ケーブル接続装置内に設けた浸水検知センサにより浸水の有無を遠隔で検出し、通信ケーブル接続装置内に設置した排水栓を遠隔で操作するようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1により本発明の概略を説明する。通信ケーブル線路は、通常、複数本の通信ケーブルを接続して所定の布設長さとし、また、所定の個所で分岐するために、幾つかの通信ケーブル接続装置(以下、クロージャという)1a〜1nが設置される。また、通信ケーブルは、多数の光ファイバ或いは通信用導線を収納してなり、地下埋設ケーブル又は架空ケーブルの形態で布設される。本発明による通信ケーブルの保守装置とは、通信ケーブル線路の一方の端末側を監視センタとして、これらの光ファイバ通信ケーブル並びに導線通信ケーブルの途中部分に設置したクロージャ1a〜1nの浸水状態を監視/管理する形態を言うものとする。
【0011】
例えば、通信ケーブル線路のクロージャ1dが、水に浸る状態となって、クロージャ内に浸水が生じたとする。このクロージャ内の浸水は、特許文献1及び特許文献2で示すように、クロージャ内に後述する浸水検知センサを設置することにより、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)を用いて、クロージャ1dの位置も含めて検出することができる。この浸水事故が生じた近くに管理事務所等があれば、監視センタからの連絡で直ちに修復に対応することができるが、遠方あるいは専門技術者が不在であったりして、浸水事故発生に対しての迅速な対応は、実際問題としてはかなり難しい。
【0012】
本発明においては、図1(B)に示すように、監視センタで通信ケーブル線路のクロージャ1dの浸水を検出し、図1(C)に示すように、監視センタにおいて浸水を生じたクロージャ1dの排水栓を遠隔で操作できるようにする。浸水の検知により、例えば、通信ケーブル内に組み込んだエア送出用パイプを通して監視センタからエア送出を行ない、クロージャ1dの排水栓を開いて直ちにクロージャ1d内の水を排出できるようにする。
【0013】
図2(A)は通信ケーブルの接続等に用いられるクロージャの一例を説明する図で、図2(B))は排水栓の一例を説明する図である。図中、1は通信ケーブル接続装置(クロージャ)、2は筐体、2aは上部筐体、2bは下部筐体、3は端部材、4,5はシール部、6は気密試験用バルブ、7は排水栓、8はケーブル導入孔、9は緊締バンド、10は浸水検知センサ、11は栓本体部、12はバネ体、13は弁部材、14はOリング、15は排水口、16は排水孔、Cは通信ケーブルを示す。
【0014】
図2(A)に示すクロージャ1は、プラスチックまたは金属で形成されたスリーブ状の筐体2を上部筐体2aと下部筐体2bに分割し、両端に端部材3を配して構成される。プラスチックまたはゴム等で形成された端部材3は、シール部5により上下筐体2a,2bに気密状に結合されるように構成されている。気密状に結合する方法としては、シール用パッキンを介した結合、シール剤を塗布する等の周知の気密形成手段を用いて形成することができる。また、筐体2と端部材3がプラスチックで形成されている場合は、上部筐体2aまたは下部筐体2bと一体成形構造としてもよい。
【0015】
端部材3は、上下に2分割した半割形状で形成され、通信ケーブルCを導入するケーブル導入孔8が設けられている。通信ケーブルCは、ケーブル導入孔8からクロージャ1内に導入され、その導入部はゴムブーツ(図示せず)等により保護、補強される。ケーブル導入孔8は入力、出力、分岐用等として、端部材3の一方または両方に設けられる。また、ケーブル導入孔8とケーブルの間に生じる隙間もシール構造やゴムブッシュ等を用いて気密状態にされる。
【0016】
筐体2内では、ケーブル内の各通信線の接続または分岐が行なわれた後、上部筐体2aと下部筐体2bが閉じられる。上下筐体間のシール部4は、端部のシール部5と同様に、ゴムパッキンを介した結合、シール剤を塗布する等の周知の気密形成手段を用いて形成することができる。これらの気密保持は、一例として図2(A)に示すような、上下筐体2aと2bとを緊締バンド9で一体に締め付けて形成される。また、この他、上下筐体2aと2bを結合するフランジをシール部周辺に設け、ねじで締め付けて一体にする方法や、クランプ部材で一体にする方法等がある。
【0017】
上部筐体2aまたは下部筐体2bのいずれかに気密試験用バルブ6が設けられ、接続終了し開閉部が閉塞されシール部4,5等が気密処理された後、筐体内にガスまたはエア注入により、クロージャ1内の内部圧力を0.05〜0.1MPa(約0.5〜1気圧)程度高める。そして、シール部4,5およびケーブル導入部からのガス等の漏れが無いかを検査する。簡単な検査方法としては、シール部4,5等に石けん水を塗布し泡発生状態を視認することにより気密不良個所を検出することができる。
【0018】
本発明においては、図2(B)に示すように、クロージャ1の下部筺体2bの下端面に排水栓7及び浸水検知センサ10が設けられている。排水栓7は、例えば、栓本体部11にバネ体12と弁部材13を収納した構成のもので、クロージャ1の下端部に設けた排水口15にOリング14を介して取付けられる。常時は、バネ体12により弁部材13をOリング14に押付け、クロージャ1内を気密封止している。しかし、クロージャ1内の圧力が所定値以上になると、弁部材13はバネ体12を圧縮して移動し、栓本体部11の側面に設けた排水孔16がクロージャ1内と通じるようになる。このとき、クロージャ1内に水が溜まっていれば、排水口15、排水孔16によって排出させることができる。
【0019】
弁部材13を作動させる圧力としては、例えば、気密試験時の圧力の110%以上となったときに、弁部材13が作動するようにしておく。したがって、クロージャ1の気密試験においては、弁部材13は作動することはない。しかし、クロージャ1内に浸入した水を排出する必要があるときは、例えば、気密試験用バルブ6を用いてクロージャ内圧を高めることにより、弁部材13を作動させることができる。この場合、クロージャ1のシール部4,5を開くことなくクロージャ1内の水を排水することができるので、後で、気密試験を行なうことにより浸水の原因となった気密不良個所の特定や発生原因を調査することが可能となる。この結果、気密不良の発生が、施工時の気密処理に起因するものか、構成部品自体によるものか等を特定することができ、以後の品質向上に役立てることができる。
【0020】
図3(A)は本発明で使用される通信ケーブルの一例を説明する図、図3(B)は浸水検知センサの一例を示す図である。図中、17はスロットロッド、18は抗張力線、19はスロット、20は外装被覆、21は通信用光ファイバ、22はセンサ用光ファイバ、23はエア送出用パイプ、24は受け部材、24aは凹部、25は押圧部材、25aは凸部、26は膨潤材を示す。その他の符号は、図2で用いたのと同じ符号を用いることにより説明を省略する。
【0021】
本発明で使用する通信ケーブルCとして、例えば、図3(A)に示すように、中心部に抗張力線18を埋設し、外周部に複数条のスロット19を設けたスロットロッドを用い、スロット19にテープ状にされた通信用光ファイバ21を収納し、外周を外装被覆20で覆った光ケーブルが用いられる。この光ケーブルには、通信用光ファイバ21の他に、浸水検知センサとして用いるセンサ用光ファイバ22が収納される。また、空いているスロット19の1つにエア送出用パイプ23が収納される。
【0022】
本発明で使用する浸水検知センサ10として、例えば、図3(B)に示すような構成のものが用いられる。浸水検知センサ10は、受け部材24と膨潤材26によって移動する押圧部材25とからなる。受け部材24側には凹部24aが設けられ、押圧部材25側には凹部24aに対応する凸部25aが設けられ、この凹部24aと凸部25aの間にセンサ用光ファイバ22が配置される。
【0023】
図3(B)の(イ)図の状態から、浸水検知センサ10が浸水状態となって膨潤材26が水分を含んで膨潤すると(ロ)図のように膨らみ、押圧部材25を受け部材24側に押圧し、センサ用光ファイバ22が湾曲される。このセンサ用光ファイバ22の湾曲は、遠隔地にある監視装置からOTDRにより光損失が大きく増加する変化点として、浸水が生じたクロージャ地点を含めて検出することができる。
【0024】
以上の構成によれば、浸水検知センサ10によりクロージャ1内の浸水状態を遠隔地から検知することができる。次いで、クロージャ1内への浸水検知をしたとき、遠隔地から図2に示した排水栓7を操作し、クロージャ1を開けることなく、クロージャ1内に入り込んだ水を直ちに排出させることができる。排水栓7の弁部材13の操作は、遠隔地から通信ケーブルに収納したエア送出用パイプ23にエアを送り込んで、クロージャ1内の圧力を高めることにより行なうことができる。
【0025】
エア送出は、エア送出用パイプ23を通じて、同じ通信ケーブルC上に配置されている全クロージャに送り込まれ、全クロージャの排水栓7を開くことになるが、浸水していないクロージャは単に弁部材が一時的に開かれるが、これによる影響は特に生じない。なお、各クロージャにバッテリ等の電源装置を備えることにより排水栓7を電気的に操作することも可能である。この場合は、通信ケーブル内の光ファイバを制御信号線として用いて実施することができ、クロージャ毎の操作が可能となる。
【0026】
【発明の効果】
上述したとおり、本発明によれば、浸水が生じた通信ケーブル接続装置を遠隔地にある監視センタで検知することができると共に、この検知信号に基づいて通信ケーブル接続装置に浸水した水を直ちに排出させることができる。これにより、通信ケーブルに対する大きな障害発生を未然に防止することができる。また、通信ケーブルの接続、分岐等を行なった通信ケーブル接続装置の気密処理したシール部を開くことなく内部に浸水した水を排出でき、後日に修復を行なう場合は気密不良個所の特定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略を説明する図である。
【図2】本発明に用いる通信ケーブル接続装置(クロージャ)と排水栓の一例を説明する図である。
【図3】本発明に用いる通信ケーブルと浸水検知センサの一例を説明する図である。
【符号の説明】
1,1a〜1n…通信ケーブル接続装置(クロージャ)、2…筐体、2a…上部筐体、2b…下部筐体、3…端部材、4,5…シール部、6…気密試験用バルブ、7…排水栓、8…ケーブル導入孔、9…緊締バンド、10…浸水検知センサ、11…栓本体部、12…バネ体、13…弁部材、14…Oリング、15…排水口、16…排水孔、17…スロットロッド、18…抗張力線、19…スロット、20…外装被覆、21…通信用光ファイバ、22…センサ用光ファイバ、23…エア送出用パイプ、24…受け部材、24a…凹部、25…押圧部材、25a…凸部、26…膨潤材、C…通信ケーブル。
Claims (3)
- 通信ケーブルの接続等に用いられ、ケーブル接続等の後に気密封止される通信ケーブル接続装置の保守装置であって、前記通信ケーブル接続装置内に遠隔により浸水の有無を検出できる浸水検知センサを設けるとともに、遠隔により操作できる排水栓を設置したことを特徴とする通信ケーブル接続装置の保守装置。
- 前記通信ケーブルに、前記浸水検知のセンサ用光ファイバと排水栓操作のためのエア送出用パイプが収納されていることを特徴とする請求項1に記載の通信ケーブル接続装置の保守装置。
- 通信ケーブルの接続等に用いられ、ケーブル接続等の後に気密封止される通信ケーブル接続装置の保守方法であって、前記通信ケーブル接続装置内に設けた浸水検知センサにより浸水の有無を遠隔で検出し、前記通信ケーブル接続装置内に設置した排水栓を遠隔で操作することを特徴とする通信ケーブル接続装置の保守方法。
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JP2003180610A JP3832452B2 (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | 通信ケーブル接続装置の保守装置及び保守方法 |
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JP2009085846A (ja) * | 2007-10-01 | 2009-04-23 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光収納箱浸水検知システム |
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- 2003-06-25 JP JP2003180610A patent/JP3832452B2/ja not_active Expired - Fee Related
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