JP2005020506A - Pll回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】PLL回路を安定して動作させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】PLL回路100が備えるチャージポンプ回路3は定電流出力型であり、ループフィルタ4が有するコンデンサに対して定電流で充放電を行う。電圧制御発振器(VCO)5には、ループフィルタ4から出力される周波数制御電圧VTに応じて変化する電流が流れ、この電流の変化率によって電圧−周波数変換利得Kvが決定する。PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動する際、チャージポンプ回路3における定電流と、VCO5における電流の変化率とは反対方向に変動する。その結果、位相比較部1の変換利得KpとVCO5の変換利得Kvとは反対方向に変動し、総利得が変動しにくいPLL回路100を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】PLL回路100が備えるチャージポンプ回路3は定電流出力型であり、ループフィルタ4が有するコンデンサに対して定電流で充放電を行う。電圧制御発振器(VCO)5には、ループフィルタ4から出力される周波数制御電圧VTに応じて変化する電流が流れ、この電流の変化率によって電圧−周波数変換利得Kvが決定する。PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動する際、チャージポンプ回路3における定電流と、VCO5における電流の変化率とは反対方向に変動する。その結果、位相比較部1の変換利得KpとVCO5の変換利得Kvとは反対方向に変動し、総利得が変動しにくいPLL回路100を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、PLL(phase locked loop)回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信分野などの様々な技術分野においてPLL回路が採用されている。PLL回路は、位相比較器や電圧制御発振器(以後「VCO」と呼ぶ)などを備えており、その回路構成の一例が例えば特許文献1に掲載されている。また、VCOの回路構成の一例が非特許文献1,2に掲載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−53604号公報
【非特許文献1】
DAVID A.JOHNS et al.,“ANALOG INTEGRATED CIRCUIT DESIGN”,19 96
【非特許文献2】
畑、古川,「PLL−ICの使い方」,1982年,p.198〜200
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のPLL回路では、製造プロセスのばらつきや、動作温度の変化によって、PLL回路の総利得(トータルゲイン)が変動し、PLL回路が安定して動作しないことがある。
【0005】
そこで、本発明は上述の問題に鑑みて成されたものであり、PLL回路を安定して動作させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明のPLL回路は、位相比較器と、定電流出力型のチャージポンプ回路と、コンデンサを有し、前記コンデンサの充電電圧に基づいて出力電圧が決定するフィルタと、前記フィルタの前記出力電圧が周波数制御電圧として入力され、前記周波数制御電圧に基づいて第1の変換利得により出力クロックを発振する電圧制御発振器とを備えるPLL回路であって、前記位相比較器は、第1のクロックと、前記電圧制御発振器から出力される第2のクロックとの位相比較を行い、その比較結果を前記チャージポンプ回路に出力し、前記チャージポンプ回路は、前記比較結果に基づいて第2の変換利得により前記フィルタの前記コンデンサに対して定電流で充放電を行い、前記チャージポンプ回路を構成するトランジスタと、前記電圧制御発振器を構成するトランジスタの電気的特性が同様の変動を受ける際には、前記第1,2の変換利得は互いに反対方向に変動する。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態に係るPLL回路100の構成を示すブロック図であって、図2は図1中のチャージポンプ回路3と、ループフィルタ4と、VCO5との内部構成を示す回路図である。PLL回路100は、位相比較器2及びチャージポンプ回路3から成る位相比較部1と、ループフィルタ4と、VCO5と、分周器6とを備えており、これらの構成要素は同一の半導体チップに形成されている。
【0008】
位相比較器2は、基準クロックである入力クロックCLKINと、分周器6から出力されるクロックCLKAとの位相比較を行い、その比較結果を信号UP及び信号DOWNとしてチャージポンプ回路3に出力する。
【0009】
信号UPは、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも遅い場合に、入力クロックCLKINの立ち上がりタイミングと、クロックCLKAの立ち上がりタイミングとの時間差の分だけLowレベルを示し、その他ではHighレベルを示す。
【0010】
信号DOWNは、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも早い場合に、クロックCLKAの立ち上がりタイミングと入力クロックCLKINの立ち上がりタイミングとの時間差の分だけHighレベルを示し、その他ではLowレベルを示す。
【0011】
クロックCLKAの立ち上がりタイミングと、入力クロックCLKINの立ち上がりタイミングとの時間差は、入力クロックCLKINと、クロックCLKAとの位相差を示しているため、かかる位相差に応じた時間の分だけ信号UPがLowレベルとなったり、信号DOWNがHighレベルとなったりする。
【0012】
チャージポンプ回路3は、図2に示されるように、バイアス回路30と、pチャネルMOSトランジスタ31,32と、nチャネルMOSトランジスタ33,34とを備えている。pチャネルMOSトランジスタ31のドレインと、pチャネルMOSトランジスタ32のソースとは相互に接続されており、nチャネルMOSトランジスタ33のソースと、nチャネルMOSトランジスタ34のドレインとは相互に接続されている。
【0013】
pチャネルMOSトランジスタ32及びnチャネルMOSトランジスタ33のドレインは相互に接続されており、pチャネルMOSトランジスタ32及びnチャネルMOSトランジスタ33のゲートには位相比較器2からの信号UP,DOWNがそれぞれ入力される。
【0014】
バイアス回路30は、pチャネルMOSトランジスタ30a,30b,30d,30eと、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fと、抵抗30gとを備えている。pチャネルMOSトランジスタ30aのドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30bのソースとは相互に接続されており、pチャネルMOSトランジスタ30dのドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30eのソースとは相互に接続されている。
【0015】
pチャネルMOSトランジスタ30bのドレインは、nチャネルMOSトランジスタ30cのドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30a,30d,31の各ゲートに接続されている。pチャネルMOSトランジスタ30b,30eのゲートは相互に接続されており、nチャネルMOSトランジスタ30cのソースと、抵抗30gの一端とは相互に接続されている。
【0016】
nチャネルMOSトランジスタ30cのゲートは、nチャネルMOSトランジスタ30fのゲート及びドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30eのドレインと、nチャネルMOSトランジスタ34のゲートとに接続されている。pチャネルMOSトランジスタ30a,30d,31のソースには電源電位VCCが印加され、抵抗30gの他端と、nチャネルMOSトランジスタ30f,34のソースには接地電位GNDが印加される。
【0017】
VCO5は、pチャネルMOSトランジスタ50,53と、nチャネルMOSトランジスタ51と、抵抗52と、出力クロックCLKOUTを出力する発振器54とを備えている。pチャネルMOSトランジスタ50のゲートは、それ自身のドレインと、nチャネルMOSトランジスタ51のドレインと、pチャネルMOSトランジスタ53のゲートとに接続されている。
【0018】
nチャネルMOSトランジスタ51のソースは抵抗52の一端と接続されており、pチャネルMOSトランジスタ53のドレインは発振器54と接続されている。pチャネルMOSトランジスタ50,53のソースには電源電位VCCが印加され、抵抗52の他端と、発振器54とには接地電位GNDが印加される。
【0019】
ループフィルタ4は、抵抗40とコンデンサ41とを備えている。ループフィルタ4は、ローパスフィルタとして機能し、周波数制御電圧VTをVCO5に出力する。抵抗40の一端は、チャージポンプ回路3におけるpチャネルMOSトランジスタ32及びnチャネルMOSトランジスタ33の各ドレインと、VCO5におけるnチャネルMOSトランジスタ51のゲートとに接続されており、その他端はコンデンサ41の一端と接続されている。そして、コンデンサ41の他端には接地電位GNDが印加される。
【0020】
分周器6は、VCO5からの出力クロックCLKOUTを所定倍数分周してクロックCLKAとして位相比較器2に出力する。なお、出力クロックCLKOUTはPLL回路の外部にも出力されている。
【0021】
次に、チャージポンプ回路3、ループフィルタ4及びVCO5の動作について説明する。一般的に、MOSトランジスタの飽和領域でのドレイン電流Idは、ゲート・ソース間の電圧をVgs、そのしきい値電圧をVthとすると、以下の式(1)で表される。
【0022】
【数1】
【0023】
ただし、式(1)中の係数βは以下の式(2)で表される。
【0024】
【数2】
【0025】
上記式(2)中のμはキャリアの移動度、Coxはゲート容量、Wはチャネル幅、Lはチャネル長である。
【0026】
本実施の形態に係るPLL回路100では、ゲート容量CoxはすべてのMOSトランジスタで同じ値に設計されている。また、PLL回路100のnチャネルMOSトランジスタ間、あるいはpチャネルMOSトランジスタ間では、キャリア移動度μはすべて同じ値に設定されている。また、チャージポンプ回路3のバイアス回路30では、pチャネルMOSトランジスタ30a,30dの係数βが相互に同じ値になるように設計されており、pチャネルMOSトランジスタ30b,30eの係数βが相互に同じ値になるように設計されている。従って、pチャネルMOSトランジスタ30a,30b,30d,30eでもってカレントミラー回路を構成し、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fには同じ値の定電流が流れる。この定電流を「定電流I1」と呼ぶ。
【0027】
従って、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fのゲート・ソース間電圧をそれぞれVgs1,Vgs2、抵抗30gの両端での電位差をVa、抵抗30gの抵抗値をRとすると、以下の式(3)が成立する。なお、nチャネルMOSトランジスタ30cの係数βは、nチャネルMOSトランジスタ30fのそれよりも大きい値に設定されている。
【0028】
【数3】
【0029】
ここで、式(1)を変形すると、以下の式(4)になる。
【0030】
【数4】
【0031】
そして、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fの係数βをそれぞれ係数β1,β2、Id=I1として、式(4)を用いて式(3)を変形すると、以下の式(5)となる。なお、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fのしき値電圧Vthは互いに同じ値に設計されており、式(4)ではそれを「Vth0」で表している。
【0032】
【数5】
【0033】
式(5)を定電流I1を求める式に変形すると、以下の式(6)となる。
【0034】
【数6】
【0035】
本実施の形態では、例えばβ1=4×β2に設定されており、これを式(6)に代入して整理すると以下の式(7)となる。
【0036】
【数7】
【0037】
このように、本実施の形態に係るバイアス回路30は、係数β2と抵抗値Rとで表される定電流I1を規定している。なお、非特許文献1の248〜251頁目までには、本実施の形態に係るバイアス回路30と回路構成は異なるが同じ動作を行うバイアス回路が開示されている。
【0038】
本実施の形態では、pMOSトランジスタ30a,31の係数βは互いに同じ値に設定されている。そのため、pMOSトランジスタ30a,30b,31でもってカレントミラー回路を構成し、pMOSトランジスタ31には定電流I1が流れようとする。従って、nMOSトランジスタ33がオフで、pMOSトランジスタ32がオンすると、pMOSトランジスタ31,32に定電流I1が流れ、この定電流I1によって、ループフィルタ4のコンデンサ41が充電される。その結果、コンデンサ41の接地電位GNDとは反対側の一端の電位が上昇する。コンデンサ41の充電電圧が上昇すると、抵抗40のコンデンサ41とは反対側の一端の電位が上昇し、この電位が周波数制御電圧VTとして、VCO5のnMOSトランジスタ51のゲートに与えられる。
【0039】
一方、pMOSトランジスタ32がオフで、nMOSトランジスタ33がオンすると、nMOSトランジスタ33,34に定電流I1が流れて、コンデンサ41は定電流I1でもって放電される。その結果、コンデンサ41の充電電圧が減少し、周波数制御電圧VTが減少する。
【0040】
ここで、位相比較部1の変換利得Kp(A/rad)は、単位位相差あたりのチャージポンプ回路3からの出力平均電流Iavとして表される。また、出力平均電流Iavは、単位時間あたりのチャージポンプ回路3からの出力電流の総和を、位相比較周期、つまり入力クロックCLKINの周期で除算したものである。従って、変換利得Kpは定電流I1の大きさに依存している。
【0041】
このように、本実施の形態に係るチャージポンプ回路3は、位相比較器2での比較結果に基づいて変換利得Kpによりループフィルタ4のコンデンサ41の充放電を定電流I1で行い、コンデンサ41の充電電圧に基づいてフィルタ4の出力電圧、つまり周波数制御電圧VTの値が決定される。
【0042】
VCO5のnMOSトランジスタ51には、周波数制御電圧VTに応じて変化する電流I2が流れる。nMOSトランジスタ51の係数βを係数β3、ゲート・ソース間の電圧をVgs3、しきい値電圧をVth3とすると、電流I2は以下の式(8)で表される。
【0043】
【数8】
【0044】
式(8)からも明らかなように、nMOSトランジスタ51のゲートに印加される周波数制御電圧VTが大きくなれば電流I2は大きくなり、周波数制御電圧VTが小さくなれば電流I2は小さくなる。
【0045】
本実施の形態では、pMOSトランジスタ50,53の係数βは互いに同じ値に設定されている。そのため、pMOSトランジスタ50,53でもってカレントミラー回路を構成し、pMOSトランジスタ53に電流I2が流れる。その結果、発振器54にも電流I2が流れる。
【0046】
発振器54は、電流I2の値に応じて出力クロックCLKOUTの周波数を変化させる。具体的には、電流I2が大きくなれば出力クロックCLKOUTの周波数を大きくし、電流I2が小さくなれば出力クロックCLKOUTの周波数を小さくする。従って、VCO5の変換利得Kv(Hz/V)は、周波数制御電圧VTに対する電流I2の変化率によって決定される。つまり、周波数制御電圧VTの所定の変化量に対する電流I2の変化量が大きくなれば、VCO5の変換利得Kvが大きくなり、小さくなれば小さくなる。
【0047】
このようにVCO5は、周波数制御電圧VTに基づいて変換利得Kvにより出力クロックを発振し、変換利得Kvは電流I2の変化率によって変化する。なお変換利得Kvとは、周波数制御電圧VTの単位電圧あたりの出力クロックCLKOUTの周波数の変化量である。なお、非特許文献2と、非特許文献1の675〜678頁目までには、本実施の形態に係るVCO5と同じ動作を行うVCOが開示されている。
【0048】
次に本実施の形態に係るPLL回路の全体の動作について説明する。位相比較器2は、入力クロックCLKINと、分周後の出力クロックCLKOUTであるクロックCLKAとの位相比較を行い、その結果、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも遅い場合には、信号UPをその位相差に対応した時間の分だけLowレベルとする。このとき、信号DOWNはLowレベルのままである。信号UPがLowレベルになると、チャージポンプ回路3は、定電流I1でループフィルタ4のコンデンサ41を充電する。この結果、周波数制御電圧VTの電圧が上昇し、VCO5に流れる電流I2が増加する。電流I2が増加すると、出力クロックCLKOUTの周波数が大きくなり、クロックCLKAの位相と入力クロックCLKINの位相とが近づく。
【0049】
一方、位相比較器2での位相比較の結果、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも早い場合には、信号DOWNがその位相差に対応した時間の分だけHighレベルとなる。このとき、信号UPはHighレベルのままである。信号DOWNがHighレベルになると、チャージポンプ回路3は、定電流I1でループフィルタ4のコンデンサ41を放電する。この結果、周波数制御電圧VTの電圧が減少し、VCO5に流れる電流I2が減少する。電流I2が減少すると、出力クロックCLKOUTの周波数が小さくなり、クロックCLKAの位相と入力クロックCLKINの位相とが近づく。
【0050】
本実施の形態に係るPLL回路100がこのように動作することによって、入力クロックCLKINに位相同期した出力クロックCLKOUTを得ることができる。
【0051】
次に、PLL回路100の製造プロセスのばらつきや、その動作温度の変化によって、PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動した場合に、位相比較部1の変換利得Kpと、VCO5の変換利得Kvとがどのように変動するかについて説明する。
【0052】
通常、MOSトランジスタの製造プロセスがばらつくと、MOSトランジスタのチャネル幅Wやチャネル長L、あるいはゲート容量Coxが変動し、係数βが変動する。これにより、ドレイン電流Id等が変動し、MOSトランジスタの電気的特性が変動する。そのため、係数β2を含む式(7)で表される定電流I1も変動する。本実施の形態では、PLL回路100に含まれる複数のMOSトランジスタは、同一の製造プロセスで、同一の半導体チップに形成されるため、PLL回路100の製造プロセスがばらつくと、それらの複数のMOSトランジスタでは、チャネル幅W、チャネル長Lあるいはゲート容量Coxが、互いに同じように変動する。その結果、係数βも複数のMOSトランジスタで互いに同じように変動する。
【0053】
従って、PLL回路100の製造プロセスのばらつきによって、それに含まれる複数のMOSトランジスタの実際の係数βが設計値よりも大きくなれば、式(7)より定電流I1が小さくなり、位相比較部1の変換利得Kpが小さくなる。また、PLL回路100の製造プロセスのばらつきによって実際の係数βが設計値よりも小さくなれば、定電流I1が大きくなり、位相比較部1の変換利得Kpが大きくなる。
【0054】
このように、PLL回路100の製造プロセスがばらつく際、定電流I1及び変換利得Kpは、係数βの変動方向とは反対方向に変動する。
【0055】
一方、VCO5に流れる電流I2は上記式(8)で表されるため、PLL回路100の製造プロセスのばらつきによって、MOSトランジスタの実際の係数βが設計値よりも大きくなれば、電流I2の変化率が大きくなり、係数βが設計値よりも小さくなれば、電流I2の変化率が小さくなる。従って、PLL回路100の製造プロセスがばらつく際、電流I2の変化率は、係数βの変動方向と同じ方向に変動する。
【0056】
以上のように、PLL回路100の製造プロセスがばらついて、チャージポンプ回路3を構成するMOSトランジスタと、VCO5を構成するMOSトランジスタの電気的特性が互いに同様の変動を受ける際には、定電流I1と、電流I2の変化率とは互いに反対方向に変動する。そのため、チャージポンプ回路3の変換利得KpとVCO5の変換利得Kpとは互いに反対方向に変動する。従って、PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動して、VCO5の変換利得Kvが変化する場合であっても、位相比較部1の変換利得Kpがその変化分を打消すように変化する。その結果、PLL回路100の総利得の変動を抑えることができ、クロックジッタの少ない特性の安定したPLL回路100を実現することができる。
【0057】
次に、PLL回路100の動作温度が変化した場合に、変換利得Kp,Kvがどのように変動するかについて説明する。通常、PLL回路100の動作温度が変化すると、それに含まれるMOSトランジスタのキャリア移動度μが変動し、係数βが変動する。そのため、MOSトランジスタの電気的特性が変動し、定電流I1が変動する。例えば、PLL回路100の動作温度が高くなると、キャリア移動度μは小さくなり定電流I1が増加する。また、PLL回路100の動作温度が小さくなると、キャリア移動度μは大きくなり定電流I1が減少する。
【0058】
上述のように、本実施の形態では、PLL回路100に含まれる複数のMOSトランジスタは、同一の半導体チップに形成されているため、PLL回路100の動作温度が変化すると、それらの複数のMOSトランジスタでは、キャリア移動度μが互いに同じように変動する。その結果、係数βも複数のMOSトランジスタで互いに同じように変動する。
【0059】
従って、PLL回路100の動作温度の変化によって係数βが設計値よりも大きくなれば定電流I1が小さくなり、位相比較部1の変換利得Kpが小さくなる。また、PLL回路100の動作温度の変化によって係数βが設計値よりも小さくなれば定電流I1が大きくなり、位相比較部1の変換利得Kpが大きくなる。
【0060】
このように、PLL回路100の動作温度が変化すると、定電流I1及び変換利得Kpは、係数βの変動方向とは逆の方向に変動する。
【0061】
一方、VCO5においては、PLL回路100の動作温度の変化によって係数βが設計値よりも大きくなれば電流I2の変化率が大きくなり、係数βが設計値よりも小さくなれば電流I2の変化率が小さくなる。従って、PLL回路100の動作温度が変化すると、電流I2の変化率は係数βの変動方向と同じ方向に変動する。
【0062】
以上のように、PLL回路100の動作温度が変化し、チャージポンプ回路3を構成するMOSトランジスタと、VCO5を構成するMOSトランジスタの電気的特性が互いに同様の変動を受ける際には、定電流I1と、電流I2の変化率とは互いに反対方向に変動する。そのため、チャージポンプ回路3の変換利得KpとVCO5の変換利得Kpとは互いに反対方向に変動する。従って、PLL回路100の動作温度が変化して、VCO5の変換利得Kvが変化する場合であっても、位相比較部1の変換利得Kpがその変化分を打消すように変化する。その結果、PLL回路100の総利得の変動を抑えることができ、クロックジッタの少ない特性の安定したPLL回路100を実現することができる。
【0063】
最後に、本実施の形態に係るPLL回路100の特性と、従来のPLL回路の特性とを比較する。
【0064】
図3,4は本実施の形態に係る位相比較部1及びVCO5の特性をそれぞれ示す図であって、図5,6は従来の位相比較部及びVCOの特性をそれぞれ示す図である。なお、従来のPLL回路の構成を図7に示す。従来のPLL回路と本実施の形態に係るPLL回路100とは、チャージポンプ回路3の構成のみが異なる。
【0065】
図3,5の横軸は位相比較器に入力されるクロックの位相差を示している。厳密には、位相比較器に入力される一方のクロックの立ち上がりタイミングと、他方のクロックの立ち上がりタイミングとの時間差を示している。図3,5の縦軸はチャージポンプ回路からの出力電流の総和を示しており、図3,5の縦軸では、チャージポンプ回路の出力電流が、チャージポンプ回路からループフィルタ4に向かう方向をプラス方向に設定している。
【0066】
図4,6の横軸の「入力電圧」はVCOに与えられる周波数制御電圧を示しており、縦軸の「出力周波数」はVCOから出力されるクロックの周波数を示している。なお、図3〜6の条件A〜Cの違いは、MOSトランジスタの係数βの値のみであって、条件C,A,Bの順で係数βの値が大きくなっている。
【0067】
図3を見ると、係数βが大きくなると、同じ位相差におけるチャージポンプ回路3の出力電流の総和が減少し、位相比較部1の変換利得Kpが減少する様子が理解できる。また図4を見ると、係数βが大きくなると、周波数制御電圧と出力周波数の関係を示すグラフの傾きが大きくなり、VCO5の変換利得Kvが大きくなっている様子が理解できる。従って、図3,4より、PLL回路100の製造プロセスのばらつきや、その動作温度の変化によって、係数βが変化してVCO5の変換利得Kvが変化する場合であっても、位相比較部1の変換利得Kpがその変化分を打消すように変化し、PLL回路100の総利得の変動が抑制されている様子が理解できる。
【0068】
一方図5を見ると、従来のPLL回路では、係数βが大きくなると、同じ位相差におけるチャージポンプ回路の出力電流の総和が増加し、位相比較部1の変換利得Kpが増加する様子が理解できる。また、図6を見ると、係数βが大きくなると、周波数制御電圧と出力周波数の関係を示すグラフの傾きが大きくなり、VCOの変換利得Kvが大きくなっている様子が理解できる。従って、図5,6より、係数βが変化すると、VCOの変換利得Kv及び位相比較部の変換利得Kpがともに同じ方向に変化し、PLL回路の総利得が大きく変化する様子が理解できる。
【0069】
このように、本実施の形態に係るPLL回路100では、式(7)で表現される定電流I1を規定するバイアス回路30をチャージポンプ回路3に設けることによって、PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動した場合であっても、総利得が変動しにくい、安定した動作を行うPLL回路を実現することができる。従って、クロックジッターを低減するために、ループフィルタ4の抵抗40及びコンデンサ41の値を調整してPLL回路100の総利得を大きくした場合であっても、その値が維持されるため、クロックジッターを確実に低減できる。
【0070】
また、本実施の形態に係るチャージポンプ回路3では、バイアス回路30のpチャネルMOSトランジスタ30a,30bがカスコード接続されており、pチャネルMOSトランジスタ30d,30eがカスコード接続されているため、電源電位VCCの変動による定電流I1の変動を抑えることができる。従って、電源電位VCCの変動による位相比較部1の変換利得Kpの変動を抑制することができ、クロックジッターを低減することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、PLL回路100が分周器6を備える場合について説明したが、入力クロックCLKINの周波数と出力クロックCLKOUTの周波数とが同じである場合には、分周器6は無くてもよい。この場合には、VCO5の出力がそのまま位相比較器2に入力され、位相比較器2では、入力クロックCLKINと出力クロックCLKOUTとの位相比較が行われる。
【0072】
【発明の効果】
この発明のPLL回路によれば、チャージポンプ回路を構成するトランジスタと、電圧制御発振器を構成するトランジスタの電気的特性が同様の変動を受ける際、第1,2の変換利得が反対方向に変動する。そのため、電圧制御発振器を構成するトランジスタの電気的特性が変動し、その変換利得が変化する場合であっても、チャージポンプ回路の変換利得がその変化分を打消すように変化する。その結果、PLL回路の総利得の変動を抑えることができ、特性の安定したPLL回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るPLL回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るPLL回路の特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るPLL回路の特性を示す図である。
【図5】従来のPLL回路の特性を示す図である。
【図6】従来のPLL回路の特性を示す図である。
【図7】従来のPLL回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 位相比較器、3 チャージポンプ回路、4 ループフィルタ、5 VCO、41 コンデンサ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、PLL(phase locked loop)回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信分野などの様々な技術分野においてPLL回路が採用されている。PLL回路は、位相比較器や電圧制御発振器(以後「VCO」と呼ぶ)などを備えており、その回路構成の一例が例えば特許文献1に掲載されている。また、VCOの回路構成の一例が非特許文献1,2に掲載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−53604号公報
【非特許文献1】
DAVID A.JOHNS et al.,“ANALOG INTEGRATED CIRCUIT DESIGN”,19 96
【非特許文献2】
畑、古川,「PLL−ICの使い方」,1982年,p.198〜200
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のPLL回路では、製造プロセスのばらつきや、動作温度の変化によって、PLL回路の総利得(トータルゲイン)が変動し、PLL回路が安定して動作しないことがある。
【0005】
そこで、本発明は上述の問題に鑑みて成されたものであり、PLL回路を安定して動作させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明のPLL回路は、位相比較器と、定電流出力型のチャージポンプ回路と、コンデンサを有し、前記コンデンサの充電電圧に基づいて出力電圧が決定するフィルタと、前記フィルタの前記出力電圧が周波数制御電圧として入力され、前記周波数制御電圧に基づいて第1の変換利得により出力クロックを発振する電圧制御発振器とを備えるPLL回路であって、前記位相比較器は、第1のクロックと、前記電圧制御発振器から出力される第2のクロックとの位相比較を行い、その比較結果を前記チャージポンプ回路に出力し、前記チャージポンプ回路は、前記比較結果に基づいて第2の変換利得により前記フィルタの前記コンデンサに対して定電流で充放電を行い、前記チャージポンプ回路を構成するトランジスタと、前記電圧制御発振器を構成するトランジスタの電気的特性が同様の変動を受ける際には、前記第1,2の変換利得は互いに反対方向に変動する。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態に係るPLL回路100の構成を示すブロック図であって、図2は図1中のチャージポンプ回路3と、ループフィルタ4と、VCO5との内部構成を示す回路図である。PLL回路100は、位相比較器2及びチャージポンプ回路3から成る位相比較部1と、ループフィルタ4と、VCO5と、分周器6とを備えており、これらの構成要素は同一の半導体チップに形成されている。
【0008】
位相比較器2は、基準クロックである入力クロックCLKINと、分周器6から出力されるクロックCLKAとの位相比較を行い、その比較結果を信号UP及び信号DOWNとしてチャージポンプ回路3に出力する。
【0009】
信号UPは、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも遅い場合に、入力クロックCLKINの立ち上がりタイミングと、クロックCLKAの立ち上がりタイミングとの時間差の分だけLowレベルを示し、その他ではHighレベルを示す。
【0010】
信号DOWNは、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも早い場合に、クロックCLKAの立ち上がりタイミングと入力クロックCLKINの立ち上がりタイミングとの時間差の分だけHighレベルを示し、その他ではLowレベルを示す。
【0011】
クロックCLKAの立ち上がりタイミングと、入力クロックCLKINの立ち上がりタイミングとの時間差は、入力クロックCLKINと、クロックCLKAとの位相差を示しているため、かかる位相差に応じた時間の分だけ信号UPがLowレベルとなったり、信号DOWNがHighレベルとなったりする。
【0012】
チャージポンプ回路3は、図2に示されるように、バイアス回路30と、pチャネルMOSトランジスタ31,32と、nチャネルMOSトランジスタ33,34とを備えている。pチャネルMOSトランジスタ31のドレインと、pチャネルMOSトランジスタ32のソースとは相互に接続されており、nチャネルMOSトランジスタ33のソースと、nチャネルMOSトランジスタ34のドレインとは相互に接続されている。
【0013】
pチャネルMOSトランジスタ32及びnチャネルMOSトランジスタ33のドレインは相互に接続されており、pチャネルMOSトランジスタ32及びnチャネルMOSトランジスタ33のゲートには位相比較器2からの信号UP,DOWNがそれぞれ入力される。
【0014】
バイアス回路30は、pチャネルMOSトランジスタ30a,30b,30d,30eと、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fと、抵抗30gとを備えている。pチャネルMOSトランジスタ30aのドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30bのソースとは相互に接続されており、pチャネルMOSトランジスタ30dのドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30eのソースとは相互に接続されている。
【0015】
pチャネルMOSトランジスタ30bのドレインは、nチャネルMOSトランジスタ30cのドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30a,30d,31の各ゲートに接続されている。pチャネルMOSトランジスタ30b,30eのゲートは相互に接続されており、nチャネルMOSトランジスタ30cのソースと、抵抗30gの一端とは相互に接続されている。
【0016】
nチャネルMOSトランジスタ30cのゲートは、nチャネルMOSトランジスタ30fのゲート及びドレインと、pチャネルMOSトランジスタ30eのドレインと、nチャネルMOSトランジスタ34のゲートとに接続されている。pチャネルMOSトランジスタ30a,30d,31のソースには電源電位VCCが印加され、抵抗30gの他端と、nチャネルMOSトランジスタ30f,34のソースには接地電位GNDが印加される。
【0017】
VCO5は、pチャネルMOSトランジスタ50,53と、nチャネルMOSトランジスタ51と、抵抗52と、出力クロックCLKOUTを出力する発振器54とを備えている。pチャネルMOSトランジスタ50のゲートは、それ自身のドレインと、nチャネルMOSトランジスタ51のドレインと、pチャネルMOSトランジスタ53のゲートとに接続されている。
【0018】
nチャネルMOSトランジスタ51のソースは抵抗52の一端と接続されており、pチャネルMOSトランジスタ53のドレインは発振器54と接続されている。pチャネルMOSトランジスタ50,53のソースには電源電位VCCが印加され、抵抗52の他端と、発振器54とには接地電位GNDが印加される。
【0019】
ループフィルタ4は、抵抗40とコンデンサ41とを備えている。ループフィルタ4は、ローパスフィルタとして機能し、周波数制御電圧VTをVCO5に出力する。抵抗40の一端は、チャージポンプ回路3におけるpチャネルMOSトランジスタ32及びnチャネルMOSトランジスタ33の各ドレインと、VCO5におけるnチャネルMOSトランジスタ51のゲートとに接続されており、その他端はコンデンサ41の一端と接続されている。そして、コンデンサ41の他端には接地電位GNDが印加される。
【0020】
分周器6は、VCO5からの出力クロックCLKOUTを所定倍数分周してクロックCLKAとして位相比較器2に出力する。なお、出力クロックCLKOUTはPLL回路の外部にも出力されている。
【0021】
次に、チャージポンプ回路3、ループフィルタ4及びVCO5の動作について説明する。一般的に、MOSトランジスタの飽和領域でのドレイン電流Idは、ゲート・ソース間の電圧をVgs、そのしきい値電圧をVthとすると、以下の式(1)で表される。
【0022】
【数1】
【0023】
ただし、式(1)中の係数βは以下の式(2)で表される。
【0024】
【数2】
【0025】
上記式(2)中のμはキャリアの移動度、Coxはゲート容量、Wはチャネル幅、Lはチャネル長である。
【0026】
本実施の形態に係るPLL回路100では、ゲート容量CoxはすべてのMOSトランジスタで同じ値に設計されている。また、PLL回路100のnチャネルMOSトランジスタ間、あるいはpチャネルMOSトランジスタ間では、キャリア移動度μはすべて同じ値に設定されている。また、チャージポンプ回路3のバイアス回路30では、pチャネルMOSトランジスタ30a,30dの係数βが相互に同じ値になるように設計されており、pチャネルMOSトランジスタ30b,30eの係数βが相互に同じ値になるように設計されている。従って、pチャネルMOSトランジスタ30a,30b,30d,30eでもってカレントミラー回路を構成し、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fには同じ値の定電流が流れる。この定電流を「定電流I1」と呼ぶ。
【0027】
従って、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fのゲート・ソース間電圧をそれぞれVgs1,Vgs2、抵抗30gの両端での電位差をVa、抵抗30gの抵抗値をRとすると、以下の式(3)が成立する。なお、nチャネルMOSトランジスタ30cの係数βは、nチャネルMOSトランジスタ30fのそれよりも大きい値に設定されている。
【0028】
【数3】
【0029】
ここで、式(1)を変形すると、以下の式(4)になる。
【0030】
【数4】
【0031】
そして、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fの係数βをそれぞれ係数β1,β2、Id=I1として、式(4)を用いて式(3)を変形すると、以下の式(5)となる。なお、nチャネルMOSトランジスタ30c,30fのしき値電圧Vthは互いに同じ値に設計されており、式(4)ではそれを「Vth0」で表している。
【0032】
【数5】
【0033】
式(5)を定電流I1を求める式に変形すると、以下の式(6)となる。
【0034】
【数6】
【0035】
本実施の形態では、例えばβ1=4×β2に設定されており、これを式(6)に代入して整理すると以下の式(7)となる。
【0036】
【数7】
【0037】
このように、本実施の形態に係るバイアス回路30は、係数β2と抵抗値Rとで表される定電流I1を規定している。なお、非特許文献1の248〜251頁目までには、本実施の形態に係るバイアス回路30と回路構成は異なるが同じ動作を行うバイアス回路が開示されている。
【0038】
本実施の形態では、pMOSトランジスタ30a,31の係数βは互いに同じ値に設定されている。そのため、pMOSトランジスタ30a,30b,31でもってカレントミラー回路を構成し、pMOSトランジスタ31には定電流I1が流れようとする。従って、nMOSトランジスタ33がオフで、pMOSトランジスタ32がオンすると、pMOSトランジスタ31,32に定電流I1が流れ、この定電流I1によって、ループフィルタ4のコンデンサ41が充電される。その結果、コンデンサ41の接地電位GNDとは反対側の一端の電位が上昇する。コンデンサ41の充電電圧が上昇すると、抵抗40のコンデンサ41とは反対側の一端の電位が上昇し、この電位が周波数制御電圧VTとして、VCO5のnMOSトランジスタ51のゲートに与えられる。
【0039】
一方、pMOSトランジスタ32がオフで、nMOSトランジスタ33がオンすると、nMOSトランジスタ33,34に定電流I1が流れて、コンデンサ41は定電流I1でもって放電される。その結果、コンデンサ41の充電電圧が減少し、周波数制御電圧VTが減少する。
【0040】
ここで、位相比較部1の変換利得Kp(A/rad)は、単位位相差あたりのチャージポンプ回路3からの出力平均電流Iavとして表される。また、出力平均電流Iavは、単位時間あたりのチャージポンプ回路3からの出力電流の総和を、位相比較周期、つまり入力クロックCLKINの周期で除算したものである。従って、変換利得Kpは定電流I1の大きさに依存している。
【0041】
このように、本実施の形態に係るチャージポンプ回路3は、位相比較器2での比較結果に基づいて変換利得Kpによりループフィルタ4のコンデンサ41の充放電を定電流I1で行い、コンデンサ41の充電電圧に基づいてフィルタ4の出力電圧、つまり周波数制御電圧VTの値が決定される。
【0042】
VCO5のnMOSトランジスタ51には、周波数制御電圧VTに応じて変化する電流I2が流れる。nMOSトランジスタ51の係数βを係数β3、ゲート・ソース間の電圧をVgs3、しきい値電圧をVth3とすると、電流I2は以下の式(8)で表される。
【0043】
【数8】
【0044】
式(8)からも明らかなように、nMOSトランジスタ51のゲートに印加される周波数制御電圧VTが大きくなれば電流I2は大きくなり、周波数制御電圧VTが小さくなれば電流I2は小さくなる。
【0045】
本実施の形態では、pMOSトランジスタ50,53の係数βは互いに同じ値に設定されている。そのため、pMOSトランジスタ50,53でもってカレントミラー回路を構成し、pMOSトランジスタ53に電流I2が流れる。その結果、発振器54にも電流I2が流れる。
【0046】
発振器54は、電流I2の値に応じて出力クロックCLKOUTの周波数を変化させる。具体的には、電流I2が大きくなれば出力クロックCLKOUTの周波数を大きくし、電流I2が小さくなれば出力クロックCLKOUTの周波数を小さくする。従って、VCO5の変換利得Kv(Hz/V)は、周波数制御電圧VTに対する電流I2の変化率によって決定される。つまり、周波数制御電圧VTの所定の変化量に対する電流I2の変化量が大きくなれば、VCO5の変換利得Kvが大きくなり、小さくなれば小さくなる。
【0047】
このようにVCO5は、周波数制御電圧VTに基づいて変換利得Kvにより出力クロックを発振し、変換利得Kvは電流I2の変化率によって変化する。なお変換利得Kvとは、周波数制御電圧VTの単位電圧あたりの出力クロックCLKOUTの周波数の変化量である。なお、非特許文献2と、非特許文献1の675〜678頁目までには、本実施の形態に係るVCO5と同じ動作を行うVCOが開示されている。
【0048】
次に本実施の形態に係るPLL回路の全体の動作について説明する。位相比較器2は、入力クロックCLKINと、分周後の出力クロックCLKOUTであるクロックCLKAとの位相比較を行い、その結果、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも遅い場合には、信号UPをその位相差に対応した時間の分だけLowレベルとする。このとき、信号DOWNはLowレベルのままである。信号UPがLowレベルになると、チャージポンプ回路3は、定電流I1でループフィルタ4のコンデンサ41を充電する。この結果、周波数制御電圧VTの電圧が上昇し、VCO5に流れる電流I2が増加する。電流I2が増加すると、出力クロックCLKOUTの周波数が大きくなり、クロックCLKAの位相と入力クロックCLKINの位相とが近づく。
【0049】
一方、位相比較器2での位相比較の結果、クロックCLKAの位相が入力クロックCLKINの位相よりも早い場合には、信号DOWNがその位相差に対応した時間の分だけHighレベルとなる。このとき、信号UPはHighレベルのままである。信号DOWNがHighレベルになると、チャージポンプ回路3は、定電流I1でループフィルタ4のコンデンサ41を放電する。この結果、周波数制御電圧VTの電圧が減少し、VCO5に流れる電流I2が減少する。電流I2が減少すると、出力クロックCLKOUTの周波数が小さくなり、クロックCLKAの位相と入力クロックCLKINの位相とが近づく。
【0050】
本実施の形態に係るPLL回路100がこのように動作することによって、入力クロックCLKINに位相同期した出力クロックCLKOUTを得ることができる。
【0051】
次に、PLL回路100の製造プロセスのばらつきや、その動作温度の変化によって、PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動した場合に、位相比較部1の変換利得Kpと、VCO5の変換利得Kvとがどのように変動するかについて説明する。
【0052】
通常、MOSトランジスタの製造プロセスがばらつくと、MOSトランジスタのチャネル幅Wやチャネル長L、あるいはゲート容量Coxが変動し、係数βが変動する。これにより、ドレイン電流Id等が変動し、MOSトランジスタの電気的特性が変動する。そのため、係数β2を含む式(7)で表される定電流I1も変動する。本実施の形態では、PLL回路100に含まれる複数のMOSトランジスタは、同一の製造プロセスで、同一の半導体チップに形成されるため、PLL回路100の製造プロセスがばらつくと、それらの複数のMOSトランジスタでは、チャネル幅W、チャネル長Lあるいはゲート容量Coxが、互いに同じように変動する。その結果、係数βも複数のMOSトランジスタで互いに同じように変動する。
【0053】
従って、PLL回路100の製造プロセスのばらつきによって、それに含まれる複数のMOSトランジスタの実際の係数βが設計値よりも大きくなれば、式(7)より定電流I1が小さくなり、位相比較部1の変換利得Kpが小さくなる。また、PLL回路100の製造プロセスのばらつきによって実際の係数βが設計値よりも小さくなれば、定電流I1が大きくなり、位相比較部1の変換利得Kpが大きくなる。
【0054】
このように、PLL回路100の製造プロセスがばらつく際、定電流I1及び変換利得Kpは、係数βの変動方向とは反対方向に変動する。
【0055】
一方、VCO5に流れる電流I2は上記式(8)で表されるため、PLL回路100の製造プロセスのばらつきによって、MOSトランジスタの実際の係数βが設計値よりも大きくなれば、電流I2の変化率が大きくなり、係数βが設計値よりも小さくなれば、電流I2の変化率が小さくなる。従って、PLL回路100の製造プロセスがばらつく際、電流I2の変化率は、係数βの変動方向と同じ方向に変動する。
【0056】
以上のように、PLL回路100の製造プロセスがばらついて、チャージポンプ回路3を構成するMOSトランジスタと、VCO5を構成するMOSトランジスタの電気的特性が互いに同様の変動を受ける際には、定電流I1と、電流I2の変化率とは互いに反対方向に変動する。そのため、チャージポンプ回路3の変換利得KpとVCO5の変換利得Kpとは互いに反対方向に変動する。従って、PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動して、VCO5の変換利得Kvが変化する場合であっても、位相比較部1の変換利得Kpがその変化分を打消すように変化する。その結果、PLL回路100の総利得の変動を抑えることができ、クロックジッタの少ない特性の安定したPLL回路100を実現することができる。
【0057】
次に、PLL回路100の動作温度が変化した場合に、変換利得Kp,Kvがどのように変動するかについて説明する。通常、PLL回路100の動作温度が変化すると、それに含まれるMOSトランジスタのキャリア移動度μが変動し、係数βが変動する。そのため、MOSトランジスタの電気的特性が変動し、定電流I1が変動する。例えば、PLL回路100の動作温度が高くなると、キャリア移動度μは小さくなり定電流I1が増加する。また、PLL回路100の動作温度が小さくなると、キャリア移動度μは大きくなり定電流I1が減少する。
【0058】
上述のように、本実施の形態では、PLL回路100に含まれる複数のMOSトランジスタは、同一の半導体チップに形成されているため、PLL回路100の動作温度が変化すると、それらの複数のMOSトランジスタでは、キャリア移動度μが互いに同じように変動する。その結果、係数βも複数のMOSトランジスタで互いに同じように変動する。
【0059】
従って、PLL回路100の動作温度の変化によって係数βが設計値よりも大きくなれば定電流I1が小さくなり、位相比較部1の変換利得Kpが小さくなる。また、PLL回路100の動作温度の変化によって係数βが設計値よりも小さくなれば定電流I1が大きくなり、位相比較部1の変換利得Kpが大きくなる。
【0060】
このように、PLL回路100の動作温度が変化すると、定電流I1及び変換利得Kpは、係数βの変動方向とは逆の方向に変動する。
【0061】
一方、VCO5においては、PLL回路100の動作温度の変化によって係数βが設計値よりも大きくなれば電流I2の変化率が大きくなり、係数βが設計値よりも小さくなれば電流I2の変化率が小さくなる。従って、PLL回路100の動作温度が変化すると、電流I2の変化率は係数βの変動方向と同じ方向に変動する。
【0062】
以上のように、PLL回路100の動作温度が変化し、チャージポンプ回路3を構成するMOSトランジスタと、VCO5を構成するMOSトランジスタの電気的特性が互いに同様の変動を受ける際には、定電流I1と、電流I2の変化率とは互いに反対方向に変動する。そのため、チャージポンプ回路3の変換利得KpとVCO5の変換利得Kpとは互いに反対方向に変動する。従って、PLL回路100の動作温度が変化して、VCO5の変換利得Kvが変化する場合であっても、位相比較部1の変換利得Kpがその変化分を打消すように変化する。その結果、PLL回路100の総利得の変動を抑えることができ、クロックジッタの少ない特性の安定したPLL回路100を実現することができる。
【0063】
最後に、本実施の形態に係るPLL回路100の特性と、従来のPLL回路の特性とを比較する。
【0064】
図3,4は本実施の形態に係る位相比較部1及びVCO5の特性をそれぞれ示す図であって、図5,6は従来の位相比較部及びVCOの特性をそれぞれ示す図である。なお、従来のPLL回路の構成を図7に示す。従来のPLL回路と本実施の形態に係るPLL回路100とは、チャージポンプ回路3の構成のみが異なる。
【0065】
図3,5の横軸は位相比較器に入力されるクロックの位相差を示している。厳密には、位相比較器に入力される一方のクロックの立ち上がりタイミングと、他方のクロックの立ち上がりタイミングとの時間差を示している。図3,5の縦軸はチャージポンプ回路からの出力電流の総和を示しており、図3,5の縦軸では、チャージポンプ回路の出力電流が、チャージポンプ回路からループフィルタ4に向かう方向をプラス方向に設定している。
【0066】
図4,6の横軸の「入力電圧」はVCOに与えられる周波数制御電圧を示しており、縦軸の「出力周波数」はVCOから出力されるクロックの周波数を示している。なお、図3〜6の条件A〜Cの違いは、MOSトランジスタの係数βの値のみであって、条件C,A,Bの順で係数βの値が大きくなっている。
【0067】
図3を見ると、係数βが大きくなると、同じ位相差におけるチャージポンプ回路3の出力電流の総和が減少し、位相比較部1の変換利得Kpが減少する様子が理解できる。また図4を見ると、係数βが大きくなると、周波数制御電圧と出力周波数の関係を示すグラフの傾きが大きくなり、VCO5の変換利得Kvが大きくなっている様子が理解できる。従って、図3,4より、PLL回路100の製造プロセスのばらつきや、その動作温度の変化によって、係数βが変化してVCO5の変換利得Kvが変化する場合であっても、位相比較部1の変換利得Kpがその変化分を打消すように変化し、PLL回路100の総利得の変動が抑制されている様子が理解できる。
【0068】
一方図5を見ると、従来のPLL回路では、係数βが大きくなると、同じ位相差におけるチャージポンプ回路の出力電流の総和が増加し、位相比較部1の変換利得Kpが増加する様子が理解できる。また、図6を見ると、係数βが大きくなると、周波数制御電圧と出力周波数の関係を示すグラフの傾きが大きくなり、VCOの変換利得Kvが大きくなっている様子が理解できる。従って、図5,6より、係数βが変化すると、VCOの変換利得Kv及び位相比較部の変換利得Kpがともに同じ方向に変化し、PLL回路の総利得が大きく変化する様子が理解できる。
【0069】
このように、本実施の形態に係るPLL回路100では、式(7)で表現される定電流I1を規定するバイアス回路30をチャージポンプ回路3に設けることによって、PLL回路100を構成するMOSトランジスタの電気的特性が変動した場合であっても、総利得が変動しにくい、安定した動作を行うPLL回路を実現することができる。従って、クロックジッターを低減するために、ループフィルタ4の抵抗40及びコンデンサ41の値を調整してPLL回路100の総利得を大きくした場合であっても、その値が維持されるため、クロックジッターを確実に低減できる。
【0070】
また、本実施の形態に係るチャージポンプ回路3では、バイアス回路30のpチャネルMOSトランジスタ30a,30bがカスコード接続されており、pチャネルMOSトランジスタ30d,30eがカスコード接続されているため、電源電位VCCの変動による定電流I1の変動を抑えることができる。従って、電源電位VCCの変動による位相比較部1の変換利得Kpの変動を抑制することができ、クロックジッターを低減することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、PLL回路100が分周器6を備える場合について説明したが、入力クロックCLKINの周波数と出力クロックCLKOUTの周波数とが同じである場合には、分周器6は無くてもよい。この場合には、VCO5の出力がそのまま位相比較器2に入力され、位相比較器2では、入力クロックCLKINと出力クロックCLKOUTとの位相比較が行われる。
【0072】
【発明の効果】
この発明のPLL回路によれば、チャージポンプ回路を構成するトランジスタと、電圧制御発振器を構成するトランジスタの電気的特性が同様の変動を受ける際、第1,2の変換利得が反対方向に変動する。そのため、電圧制御発振器を構成するトランジスタの電気的特性が変動し、その変換利得が変化する場合であっても、チャージポンプ回路の変換利得がその変化分を打消すように変化する。その結果、PLL回路の総利得の変動を抑えることができ、特性の安定したPLL回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るPLL回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るPLL回路の特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るPLL回路の特性を示す図である。
【図5】従来のPLL回路の特性を示す図である。
【図6】従来のPLL回路の特性を示す図である。
【図7】従来のPLL回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 位相比較器、3 チャージポンプ回路、4 ループフィルタ、5 VCO、41 コンデンサ。
Claims (4)
- 位相比較器と、
定電流出力型のチャージポンプ回路と、
コンデンサを有し、前記コンデンサの充電電圧に基づいて出力電圧が決定するフィルタと、
前記フィルタの前記出力電圧が周波数制御電圧として入力され、前記周波数制御電圧に基づいて第1の変換利得により出力クロックを発振する電圧制御発振器と
を備えるPLL回路であって、
前記位相比較器は、第1のクロックと、前記電圧制御発振器から出力される第2のクロックとの位相比較を行い、その比較結果を前記チャージポンプ回路に出力し、
前記チャージポンプ回路は、前記比較結果に基づいて第2の変換利得により前記フィルタの前記コンデンサに対して定電流で充放電を行い、
前記チャージポンプ回路を構成するトランジスタと、前記電圧制御発振器を構成するトランジスタの電気的特性が同様の変動を受ける際には、前記第1,2の変換利得は互いに反対方向に変動する、PLL回路。 - 前記トランジスタの電気的特性の変動は、前記PLL回路の製造プロセスのばらつきによって生じる、請求項1に記載のPLL回路。
- 前記トランジスタの電気的特性の変動は、前記PLL回路の動作温度の変化によって生じる、請求項1に記載のPLL回路。
- 前記チャージポンプ回路は、前記定電流を規定するバイアス回路を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のPLL回路。
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CN101379693B (zh) * | 2006-02-10 | 2012-06-06 | 艾利森电话股份有限公司 | 振荡器增益均衡 |
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- 2003-06-27 JP JP2003184146A patent/JP2005020506A/ja active Pending
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