JP2005019762A - 非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents

非水系リチウム型蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関または燃料電池と、モーター、蓄電素子とを組み合わせたハイブリット駆動システムにおいて適用される、改善された入力特性を有し、従来のキャパシタよりもエネルギー密度が高い、実用的な非水系リチウム型蓄電素子を提供する。
【解決手段】正極活物質として活性炭を含有する正極と、負極活物質としてBET法による比表面積が1m/g以上1500m/g以下であるリチウムイオン吸蔵可能炭素材料を含有する負極と、非水系電解液とを備え、該正極を構成する正極集電体と正極活物質層との間に導電性フィラーを含有する導電層を有することを特徴とした非水系リチウム型蓄電素子。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高入力特性を備えた非水系リチウム型蓄電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の保全および省資源を目指したエネルギーの有効利用を目的として、自動車において、内燃機関または燃料電池、モーター、及び蓄電素子を組み合わせたハイブリット駆動システム(以下、単に駆動システムという。)が注目を集めている。
上記駆動システム向けの蓄電素子が果たす役割のひとつとして、内燃機関または燃料電池が最大効率を発揮できる一定の出力で運転させたまま、該駆動システムの負荷の増減を吸収することが挙げられる。すなわち、加速時には内燃機関または燃料電池からの出力だけでは不足するパワーを蓄電素子からモーターに電力を供給して補い、減速時にはモーターを発電機として用いて余剰に発生した電力を蓄電素子に回収するという役割である。
【0003】
上記駆動システムに使用される蓄電素子に求められる第一の要求は、入出力特性が優れていることである。これは、自動車における減速や加速が継続する時間は、通常、長くても1分程度であり、短時間の間に蓄電素子がどれだけの量のエネルギーを吸収、放出できるかが重要であるためである。
また、これらの蓄電素子に求められる第二の要求は、エネルギー密度が高いことである。エネルギー密度が低いと、自動車の加速に必要な電力を供給したり、減速で発生したエネルギーを余すことなく回収したりするために必要な蓄電素子の重量、体積が大きくなってしまい、自動車という限られた空間に効率よく収納することが困難になるためである。現在、このような駆動システムに向けた蓄電素子としては、ニッケル水素電池が主流であり、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池が試験的に採用されつつある。
【0004】
上述の電気二重層キャパシタとしては、電解液が水系のもの(以下、水系キャパシタという。)と非水系のもの(以下、非水系キャパシタという。)が知られている。水系キャパシタは入出力特性に優れるものの、電解液である水が電気分解するために蓄電素子あたりの耐圧が低く、エネルギー密度を高くできないという問題点がある。また、非水系キャパシタは耐圧が高いために水系キャパシタと比較してエネルギー密度は高くできるものの、入出力特性が水系キャパシタよりも劣るという問題点がある。また、水系キャパシタよりはエネルギー密度は高いものの、電池と比べると非水系キャパシタはエネルギー密度が十分ではない。
一方、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池も、入出力特性、エネルギー密度、信頼性のすべてを満足できるものではないため、高入出力、高エネルギー密度、高信頼性のすべてを兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められている。
【0005】
上記の非水系キャパシタにおいて、水系キャパシタに劣る出力特性を向上させるために、電極を構成する集電体と活物質層の間に導電層を設け、等価直列抵抗(以下、ESRという。)を低減させることによって高出力を得ようとする試みが提案されている(例えば、特許文献1参照)。両極に分極性電極を使用した電気二重層キャパシタにおいては、充電状態において両電極が分極するが、充放電時に電荷移動を伴う電極での化学反応(以下、電荷移動反応という。)は発生しない。従って、非水系キャパシタの出力特性の向上のためにはオームの法則に基づく電流と電池の内部抵抗の積による出力の低下分(以下、IR低下という。)のみを減少させればよく、該非水系キャパシタのESRのみを考慮してセルを設計すればよいからである。そして、このような蓄電素子においては、出力特性と入力特性はIR低下分だけ乖離するものの、略同一といえる。
一方、電極においてリチウムイオンを吸蔵放出するような電荷移動反応が発生する場合には、ESRを低減させることによって出力特性が向上したとしても、入力特性も向上するとは限らない。
【0006】
例えば、充放電時に両極で電荷移動反応が発生するリチウムイオン二次電池(以下、LIBという。)においては、2C、3C(2Cは30分、3Cは20分で、満充電された電池を放電するために必要な電流値を示す。)という設定電流で定電流放電することは可能である。しかしながら、充電の上限電圧を規制したまま、放電と同じように、2C、3Cという一定電流で充電を行ったとしても、放電電気量と同じだけの電気量を充電することはできない。すなわち、LIBにおいては、短時間で急速に充電しようとすればするほど、電解液から負極に供給されるリチウムイオンを負極活物質であるリチウムイオン吸蔵可能炭素材料が吸蔵しきれずに、リチウム金属が負極上にデンドライトとして析出してしまい、諸特性を悪化させることになる可能性が高い。従って、LIBにおいては、入力特性と出力特性を同一とすることはきわめて困難である。
まとめれば、駆動システム用の蓄電素子に使用する場合に、電気二重層キャパシタは入出力特性が良好であるがエネルギー密度が小さく、電池はエネルギー密度が大きいが入力特性が特に悪いという問題点を抱えている。
【0007】
ところで、エネルギー密度と出力特性を兼ね備えた蓄電素子としては、正極に活性炭、負極に黒鉛などの炭素質材料を用いた蓄電素子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、正極に活性炭、負極に活性炭表面に炭素質材料を被覆した複合多孔性材料を使用する蓄電素子が提案されている(例えば、特許文献3参照)。これらの蓄電素子は、正極が充電状態において上述の電気二重層コンデンサと同様に分極し、負極においては充放電時に上述のLIBと同様にリチウムイオンを吸蔵放出するような電荷移動反応が発生するものである。これらの蓄電素子は定電流定電圧充電することで該蓄電素子のもつエネルギー密度、出力特性を発揮できるとされている。
【0008】
上記の特許文献2,3には、実際の駆動システムにおいて使用される条件に近い定電流充電、特に大電流による急速充電での性能に関する記載はないが、負極でリチウムイオンの吸蔵放出という電荷移動反応があることから、LIBと同じように入力特性と出力特性は同一にはならないと考えられる。従って、大電流による充電時にはリチウムイオンの吸蔵速度が供給速度に追いつかなくなり、負極活物質として用いている炭素質材料、または、複合多孔性材料の上にデンドライトとしてリチウム金属が析出する危惧があるので、大電流充電には制限を受けるものとならざるを得ない。
このように、駆動システムの開発においては、高エネルギー密度、高出力であるだけでなく急速充電受け入れ性にも優れた、すなわち高入力である蓄電素子の開発が急務であった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−231586号公報(段落番号0010)
【特許文献2】
特開平08−107048号公報(段落番号0025)
【特許文献3】
特開2001−229926号公報(段落番号0014)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エネルギー密度が高く、かつ急速な充電によっても十分な容量を充電することが可能な、非水系リチウム型蓄電素子を提供する事を主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下において、「リチウムイオン吸蔵可能炭素材料」とは、炭素質材料のうち、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料をいうものとする。また、前述した特許文献3に記載された蓄電素子の負極に使用されている活物質であって、活性炭表面に炭素質材料を被覆した複合多孔性材料を、単に「複合多孔性材料」というものとする。
本発明者らは、駆動システム向けの蓄電素子を検討した結果、正極活物質として活性炭を含有する正極と、負極活物質としてリチウムイオン吸蔵可能炭素材料を含有する負極を用いた非水系リチウム型蓄電素子において、該正極を構成する正極集電体と正極活物質層との間に導電層を設けることで、良好な入力特性と高エネルギー密度を兼ね備えられることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、正極活物質層と正極集電体とを有する正極、負極活物質層と負極集電体とを有する負極、及び非水系電解液を備えた蓄電素子であって、正極活物質層が活性炭を含有し、正極集電体と該正極活物質層との間に導電性フィラーを含有する導電層を有し、負極活物質層がBET法による比表面積が1〜1500m/gであるリチウムイオン吸蔵可能炭素材料を含有することを特徴とした非水系リチウム型蓄電素子を提供する。
本発明の蓄電素子は、1Cでの定電流定電圧で充電したときの充電容量を100%としたときに、20Cでの定電流充電で50−85%の充電が完了している非水系リチウム型蓄電素子であることが好ましい。また、該導電性フィラーが黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及び気相成長炭素繊維からなる群から選択された少なくとも一種を含有することが好ましく、該結着剤がスチレン−ブタジエン共重合体であることが好ましい。
尚、上記1Cとは、定電流定電圧で充電された蓄電素子の持つ容量を1時間かけて放電できる電流値を意味し、また、上記20Cとは、定電流定電圧で充電された蓄電素子の持つ容量を3分で放電する電流値を意味するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
一般に、蓄電素子は正極・セパレータ・負極・電解液・外装体を主な構成要素とするが、本発明の蓄電素子はリチウム塩を溶解させた有機溶媒を電解液とする、非水系リチウム型蓄電素子である。
正極は、正極集電体上に、導電層、正極活物質層を順次形成することによって、作成することができる。正極集電体は、金属箔であることが好ましく、更に好ましくは、1〜100μmの厚みのアルミニウム箔である。
【0014】
導電層は導電性フィラーと結着剤を含有する。該導電性フィラーとしては、正極活物質よりも導電性の高い導電性炭素材料が使用でき、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、さらにはこれらの混合物が好ましい。該結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアミドイミド、エチレン−アクリル酸共重合体などを使用することができるが、なかでもスチレン−ブタジエン共重合体、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、それらの水添物等を使用することが、蓄電素子の長期安定性の観点から好ましい。
【0015】
導電層を塗布した正極集電体は、上記導電性フィラーと結着剤とを溶媒に分散させたペーストを作成し、このペーストを正極集電体上に塗布することで得られる。塗布方法を例示すれば、バーコート法、転写ロール法、Tダイ法、スクリーン印刷法などを挙げることができ、ペーストの物性と塗布厚に応じた塗布方法を適宜選択できる。上記導電層の厚みは、1〜20μm、好ましくは1〜10μmである。1μm未満では導電層としての機能が不足し、また20μmを超えると正極の体積に占める導電層の体積が増加するため、蓄電素子としてのエネルギー密度が低下する。なお、該導電性フィラーの粒径は通常0.01〜15μm程度であるが、導電層の厚み以下である必要があり、好ましくは導電層の厚みの1/3以下である。
【0016】
正極活物質層は正極活物質と結着剤を含有し、必要に応じて導電性フィラーを含有する。正極活物質としては活性炭が好ましく使用される。該活性炭は、所望の特性を発揮する限りその原料などに特に制限はなく、石油系、石炭系、植物系、高分子系などの各種の原料から得られた市販品を使用することができる。該活性炭の平均粒径は、1〜500μmが好ましく、1〜50μmである事がより好ましい。該活性炭の粒径が500μmより大きいと、塗布法による電極作成が困難になり、粒径が1μmより小さいと塗布、固着させるために必要な結着剤が多く必要になるため、体積エネルギー密度が低下する。該結着剤としては、PVdF、PTFE、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、などを使用することができる。
【0017】
上記正極活物質層には、活性炭及び結着剤以外に、必要に応じて導電性炭素材料からなる導電性フィラーを混合することができる。このような導電性フィラーとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、これらの混合物などが好ましい。正極活物質層における導電性フィラーの混合量は、正極活物質に対して0〜20質量%が好ましく、1〜15質量%の範囲がさらに好ましい。導電性フィラーは高入力の観点からは混合したほうが好ましいが、混合量が20質量%よりも多いと正極活物質層における正極活物質の含有量が少なくなるために、体積あたりのエネルギー密度が低下するので好ましくない。
【0018】
正極は、活性炭と結着剤(必要に応じ、導電性フィラー)とを溶媒に分散させたペーストを作成し、このペーストを導電層を塗布した正極集電体上に塗布することで得られる。塗布方法としては、前述した導電層と同様の方法が使用可能であり、ペーストの物性と塗布厚に応じた塗布方法を適宜選択できる。上記正極活物質層の厚みは、通常50〜200μm程度が好ましい。
正極集電体と正極活物質層の間に、上述の導電層を形成することで正極自身の抵抗を減少させることができる。この理由としては、正極活物質層と正極集電体の間の接触抵抗が低減したためと推察される。後述する実施例で明らかになるように、本発明の蓄電素子においては、正極の抵抗を減少させることで入力特性が向上した。本発明の蓄電素子においては、負極でリチウムの吸蔵放出という電荷移動反応を行っているために、負極の電極構造を工夫することが入力特性を改善すると予想されていたが、意外にも、正極の電極構造を工夫して導電層を形成することで入力特性の向上が達成された。
【0019】
負極は、負極集電体上に、負極活物質層を形成することによって、作成することができる。負極集電体は、金属箔であることが好ましく、更に好ましくは、1〜100μmの厚みの銅箔である。
負極活物質層は負極活物質と結着剤を含有し、必要に応じて導電性フィラーを含有する。負極活物質は、リチウムイオン吸蔵可能炭素材料である天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、難黒鉛性カーボン、および複合多孔性材料などの炭素質材料であってBET法による比表面積が1〜1500m/gのものが好ましく使用できる。アセチレンブラック、カーボンブラック、活性炭のように、BET法による比表面積が1500m/gを超えるような炭素質材料は本発明の負極活物質としては好ましくない。上記リチウムイオン吸蔵可能炭素材料のなかでも、複合多孔性材料は本発明の負極により好適な材料である。
上記リチウムイオン吸蔵可能炭素材料の形状は、平均粒径が1〜500μm程度のものが好ましく、1〜50μmのものがより好ましい。
【0020】
負極活物質が、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、または難黒鉛性カーボンの場合は、BET法による比表面積は1〜200m/gが好ましく、3〜100m/gが更に好ましい。比表面積が1m/gより小さいと大電流による放電や充電ができなくなるという問題が発生し、比表面積が200m/gより大きいと粒径が細かくなりすぎるために電極化が困難になるという問題が発生する。
一方、負極活物質が、複合多孔性材料の場合は、比表面積が10〜1500m/gであることが好ましく、10〜1000m/gがより好ましく、20〜800m/gが更に好ましい。比表面積が10m/gより小さいと大電流による放電や充電ができなくなるという問題が発生し、比表面積が1500m/gより大きいと電解液中のリチウムイオンと該複合多孔性材料の反応が大きくなり、蓄電素子の高エネルギー密度化が困難になる。
【0021】
負極活物質層における結着剤としては、正極活物質層と同様に、PVdF、PTFE、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、などを使用することができる。
上記負極活物質層には、上記リチウムイオン吸蔵可能炭素材料及び結着剤以外に、必要に応じて負極活物質より導電性の高い炭素質材料からなる導電性フィラーを混合することができる。該導電性フィラーとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、および、これらの混合物をあげることができる。該導電性フィラーの混合量は、負極活物質に対して0〜20質量%が好ましく、1〜15質量%の範囲がさらに好ましい。導電性フィラーは高入力の観点からは混合したほうが好ましいが、混合量が20質量%よりも多いと負極活物質層における負極活物質の含有量が少なくなるために、体積あたりのエネルギー密度が低下するので好ましくない。
【0022】
負極は、リチウムイオン吸蔵可能炭素材料と結着剤(必要に応じ、導電性フィラー)とを溶媒に分散させたペーストを作成し、このペーストを負極集電体上に塗布し、乾燥し、必要に応じてプレスすることにより得られる。塗布方法としては、正極活物質層と同様の方法が使用可能であり、ペーストの物性と塗布厚に応じた塗布方法を適宜選択できる。上記負極活物質層の厚みは、通常50〜200μm程度が好ましい。
上記負極集電体上には、負極活物質層を塗布する前にあらかじめ、導電性フィラーと結着剤を含有する導電層を設けることもできる。該導電性フィラーとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、およびこれらの混合物などが好ましい。該導電層の厚みは、1〜20μm、好ましくは1〜10μmである。1μm以下では導電層としての機能が不足する。また20μm以上では、負極の体積に占める導電層の体積が増加するため、蓄電素子としてのエネルギー密度が低下するので好ましくない。
【0023】
本発明の蓄電素子に用いられる非水系電解液の溶媒としては、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)に代表される環状炭酸エステル、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(MEC)に代表される鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン(γBL)などのラクトン類、ならびにこれらの混合溶媒を用いることができる。
これら溶媒に溶解する電解質はリチウム塩である必要があり、好ましいリチウム塩を例示すれば、LiBF、LiPFを挙げることができる。電解液中の電解質濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲が好ましい。0.5mol/L未満ではアニオンが不足して蓄電素子の容量が低下する。また、2.0mol/Lを超えると未溶解の塩が電解液中に析出したり、電解液の粘度が高くなりすぎることによって逆に伝導度が低下することがある。
【0024】
なお、本発明の蓄電素子に用いられる負極には、後述する実施例記載の方法等によって、あらかじめリチウムイオンをドープしておくことができる。リチウムイオンをドープしておくことにより、蓄電素子の初期効率、容量を制御することが可能である。
本発明の蓄電素子は、正極と負極とをセパレータを介して巻回または積層し、缶またはラミネートフィルムの外装体を装着した後、電解液を注入、密閉することで得ることができる。
本発明の蓄電素子を駆動システムに用いるにあたっては、1Cでの定電流定電圧で充電したときの充電容量を100%としたときに、20Cでの定電流充電で50−85%の充電が完了している蓄電素子であることが好ましい。
【0025】
本発明においては、定電流定電圧で充電したときの充電容量を測定する際には、蓄電素子の容量を確認するために最大電流を1C(すなわち、定電流定電圧で充電された蓄電素子の持つ容量を1時間かけて放電できる電流値)で測定し、定電流充電の場合には20C(すなわち、定電流定電圧で充電された蓄電素子の持つ容量を3分で放電する電流値)という大電流で測定するものとする。これは、大電流の急速充電において、蓄電素子の有する容量のうちどれだけの部分を実際に使用できるかが、重要であるためである。すべての測定は25℃の環境で実施される。
従来の非水系キャパシタでは、20C程度であれば定電流で90%以上の充電が行えるが、そのエネルギー密度は低い。一方、LIBでは、20Cの定電流ではほとんど充電することができない。従って、本発明の蓄電素子は、非水系キャパシタよりは入力が落ちるものの高エネルギー密度であり、LIBよりは低エネルギー密度であるものの、高入力であり、駆動システムにおける内燃機関との組み合わせにおいて最も好ましい蓄電素子となりうる。
【0026】
【実施例・比較例】
以下に、実施例、比較例を示し、本発明の特徴とするところを、さらに明確にする。
<実施例1>
市販のピッチ系活性炭(BET比表面積1955m/g)150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ300gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱処理を行うことによって、該活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔性材料を作成した。熱処理は窒素雰囲気下で、670℃まで4時間で昇温し、同温度で4時間保持し、続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、炉から取り出した。
得られた複合多孔性材料はBET比表面積240m/gであった。
【0027】
次いで、上記で得た複合多孔性材料83.4質量部、アセチレンブラック8.3質量部およびPVdF(ポリフッ化ビニリデン)8.3質量部とNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥し、プレスして、厚さ80μmの負極を得た。
正極集電体となる15μmのアルミ箔の上に、微粒子黒鉛粉末64質量部とエチレン−アクリル酸樹脂36質量部をバインダーとして含有する導電性ペースト(溶媒:純水)をバーコーターによって塗布し、乾燥することで厚み5μmの導電層を形成した。
【0028】
次いで、負極の複合多孔性材料の原料と同一の市販のピッチ系活性炭81.6質量部、ケッチェンブラック6.1質量部およびPVdF12.3質量部とNMPを混合したものを、上記Al箔の片面に塗布、乾燥し、厚さ150μmの正極を得た。
上記で得られた負極及び正極を各々2cmに切り出し、負極活物質層に接するように同面積で厚み20μmのリチウム金属を圧着し、正極と負極の間にポリエチレン製のセパレータをはさみ込み、電極体を作成した。この電極体を容器に入れ、ECとMECを1:2の体積比率で混合した非水溶媒に1mol/Lの濃度でLiPFを溶解した非水電解液を注入して密閉し、蓄電素子を作成した。なお、負極活物質層に圧着したリチウム金属は、非水電解液を注入することで該負極活物質と局部電池を形成し、負極活物質にイオンの状態ですべて吸蔵されることを確認した。
【0029】
作成した蓄電素子に対し、25℃に設定した恒温槽内で、最大電流1mA、最大電圧4.0Vで2時間定電流定電圧充電を行い、放電電流を1mAとして蓄電素子の電圧が2Vを示すまで一定電流で放電することで、蓄電素子の容量を確認した。このときの充放電容量は1.0mAhであり、放電時の平均電圧は約3Vであった。従って、この蓄電素子の1Cとなる電流値は1mAである。次いで、20Cとなる20mAの電流を最大電流とし、上限電圧を4.0Vとして定電流充電を行った。このときの蓄電素子の充電容量は0.72mAhであった。従って、定電流定電圧充電における容量を100%としたとき、72%の容量が定電流で充電されることがわかる。また、このとき充電された電力量は0.72×約3.0=約2.16mWhと見積もることができる。
【0030】
<実施例2>
正極集電体に塗布する導電層を、アセチレンブラックと微粒子黒鉛粉末を1:1で混合し(混合物:73質量部)、バインダーとしてPVdF27質量部を含有するペースト(溶媒:NMP)をバーコーターで塗布することによって、厚み3μmに作成した以外は、実施例1と同様に蓄電素子を作成し、評価した。その結果、20C(20mA)の定電流充電によって、1C(1mA)の定電流定電圧充電での67%の容量が充電された。
【0031】
<実施例3>
正極集電体に塗布する導電層を、アセチレンブラックと微粒子黒鉛粉末とケッチェンブラックを1:1:1で混合し(混合物:66質量部)、バインダーとしてスチレン−ブタジエン共重合体34質量部を含有するペースト(溶媒:トルエン)をバーコーターで塗布することによって、厚み5μmに作成した以外は、実施例1と同様に蓄電素子を作成し、評価した。その結果、20C(20mA)の定電流充電によって、1C(1mA)の定電流定電圧充電での73%の容量が充電された。
【0032】
<実施例4−6>
電解液として、PC、EC、γBLを25:25:50の体積比で混合した溶媒に、1mol/Lの濃度でLiBFを溶解したものを使用した以外は、実施例1から実施例3と同様に蓄電素子を作成し、評価した。その結果、20C(20mA)の定電流充電によって、1C(1mA)の定電流定電圧充電でのおのおの59%、55%、61%の充電量が得られた。
【0033】
<実施例7>
負極に用いるリチウムイオン吸蔵可能炭素材料材料として、平均粒径5μmの黒鉛化したメソカーボンマイクロビーズ(大阪ガス株式会社製)と黒鉛化メソカーボンファイバー(ペトカ株式会社製)を9:1に混合したもの(混合物:83.4質量部)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、厚み約150μmの負極を作成した。この負極を用いた以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作成した。この蓄電素子の1mAで測定された充電容量は0.97mAhであった。したがってこの蓄電素子にとっての20Cとなる電流値は19.4mAである。19.4mAの定電流充電によって0.51mAhの容量が得られたことから、定電流によって充電される容量は53%であった。
【0034】
<比較例1>
実施例1で用いた正極を2枚組み合わせて、従来型の電気二重層キャパシタを作成した。電解液はPCに1.5mol/Lの濃度でトリエチルメチルアンモニウム塩(TEMA・BF)を溶解したものを用いた。このセルを最大電圧2.5V、最大電流1mAで充電し、0Vまで放電したところ、放電容量は0.88mAhであり、平均電圧は約1.2Vであった。したがってこの蓄電素子にとっての20Cとなる電流値は17.6mAである。次に17.6mAの一定電流で蓄電素子が2.5Vを示すまで充電を行ったところ、93%の容量が充電された。
この結果から、定電流充電での入力特性に優れているものの、セル電圧が低いことから、定電流充電でのエネルギー密度は実施例1の蓄電素子の約半分以下であり、蓄電素子としての容量が不足していることが理解される。
【0035】
<比較例2−3>
正極集電体上に導電層を設けなかったこと以外は、実施例1ならびに実施例5と同様にして素子を作成した。1mAの定電流定電圧充電では各々0.93mAh、0.89mAhの容量が得られた。したがって20Cとなる電流値は、各々18.6mA、17.8mAである。この電流値での定電流充電では、おのおの46%、40%の充電量しか得られなかった。
この結果から、実用的な大電流の定電流では、定電流定電圧充電と比較して、蓄電素子のエネルギー密度が約半分以下になってしまい、高耐圧にすることでエネルギー密度を向上させた効果が低減してしまい、駆動システム用の蓄電素子としては不十分であることが理解される。
【0036】
<比較例4>
市販のLIB(直径18mm、長さ650mm、容量2Ah)を、最大電流2A、最大電圧4.2Vとして3時間充電した。このときの容量は2Ahであった。次に、20Cに相当する40Aの一定電流で4.2Vに到達するまで充電を行った。その結果、充電開始と同時に4.2Vに到達して充電が終了したため、正確な容量を測定することは不可能であった。測定器のデータ収集のサンプリング周期を勘案し、定電流で充電できる容量は1%以下であると推定した。すなわち、LIBはエネルギー密度は高いものの、定電流入力特性に劣るため、駆動システム用の蓄電素子としては不十分であることが理解される。
以上の結果を表1にまとめる。
【0037】
【表1】
Figure 2005019762
【0038】
【発明の効果】
本発明により、エネルギー密度が高く、かつ急速な充電によっても十分な容量を充電することが可能な、非水系リチウム型蓄電素子を提供する事ができる。

Claims (4)

  1. 正極活物質層と正極集電体とを有する正極、負極活物質層と負極集電体とを有する負極、及び非水系電解液を備えた蓄電素子であって、正極活物質層が活性炭を含有し、正極集電体と該正極活物質層との間に導電性フィラーを含有する導電層を有し、負極活物質層がBET法による比表面積が1〜1500m/gであるリチウムイオン吸蔵可能炭素材料を含有することを特徴とした非水系リチウム型蓄電素子。
  2. 1Cでの定電流定電圧充電における充電容量を100%としたときに、20Cでの定電流充電における充電容量が50%以上85%以下である請求項1に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
  3. 導電層に含有される導電性フィラーが黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及び気相成長炭素繊維からなる群から選択される少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
  4. 導電層に含有される結着剤が、スチレン−ブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
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