JP2005017870A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】省エネモードから再起動する際に、デバイスに供給する動作クロックを一括変更して処理速度を低下することにより、定着性を確保し、かつ設定値の簡素化によってメモリ容量を低減してコスト高を回避し、かつモード切り替えの迅速化により省エネモードからの復帰時間を短縮すること。
【解決手段】処理速度に対応したクロックで動作する複数のデバイスを有し、当該デバイスの動作により記録紙に画像を再生する画像再生手段(不図示)と、モード毎に対応したレジスタ設定値が格納されたROM46と、レジスタ設定値にしたがってクロックを出力するクロックドライバ47と、複数のデバイスに対し、ROM46からレジスタ設定値を読み出してクロックドライバ47から出力するクロックの周波数をすべて同じ比率で変化させ、省エネモードから復帰モードに切り替えるCPU43と、を備える。
【選択図】 図3
【解決手段】処理速度に対応したクロックで動作する複数のデバイスを有し、当該デバイスの動作により記録紙に画像を再生する画像再生手段(不図示)と、モード毎に対応したレジスタ設定値が格納されたROM46と、レジスタ設定値にしたがってクロックを出力するクロックドライバ47と、複数のデバイスに対し、ROM46からレジスタ設定値を読み出してクロックドライバ47から出力するクロックの周波数をすべて同じ比率で変化させ、省エネモードから復帰モードに切り替えるCPU43と、を備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱定着器を有する複写機やレーザプリンタなどの画像形成装置に関し、より詳細には、省エネルギーモードから起動する際に、画像形成を行なうための各デバイスの動作クロックを一括して変化させるといった復帰モードを有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護に対する意識の高揚と共に公的規制などによるOA機器においも消費電力の低減が求められている。このため複写機などの画像形成装置では、画像形成動作中の消費電力と共に画像形成動作を実行していない待機状態における消費電力の低減が強く求められている。これに対応するため、多くの画像形成装置の待機状態においては、機内の活電部をいくつかのブロックに分け、必要最低限のブロック以外については電源供給を停止する、いわゆる「省エネルギーモード」を設け、消費電力の低減を図っている。また、一方でユーザーの利便性を低下させないため、省エネルギーモードから画像形成動作に移行するまでの復帰時間を短くすることも要望として上げられており、一部公的規格においてはこの時間も規定されている。
【0003】
記録紙上に画像を形成するための現像剤(トナー)を定着器のヒータ熱により融解し、記録紙上に定着する方式を採用する画像形成装置においては、多くの電力を消費する定着器は省エネルギーモード時、電力の供給が断たれ、通常の定着温度に対して低温状態に保持されている。この方式を取る画像形成装置が省エネルギーモードから画像形成動作に移行する際、立ち上がり時間として最も時間を要するのが定着器の加熱であり、いかに早く定着器の温度を上昇させるかが復帰時間を短縮させるためのカギとなる。また、定着器が一旦、画像形成動作可能な温度まで上昇しても記録紙を通すことで熱を記録紙に奪われ、温度が低下してしまうという問題が発生する。これは温度の上昇が定着ローラの表面のみにとどまり、記録紙によって容易に熱を奪われてしまうことに起因する。
【0004】
そこで、この課題に対する対応策として、省エネルギーモードからの復帰後は、使用者の設定によらずに特定の動作モードに限定することにより、定着品質の保証を図っている(たとえば、特許文献1参照)。また、定着ローラを通過する単位時間あたりの記録紙の枚数を切り替えるものが開示されている(たとえば、特許文献2参照)。さらに、記録紙の搬送速度と定着温度を可変する装置が開示されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−27867号公報
【特許文献2】
特開2000−267507号公報
【特許文献3】
特開2002−132087号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示されるような従来の画像形成装置にあっては、まず、特許文献1の画像形成装置では、使用者に対して機能制限を課すことになり、利便性を著しく悪化させるという問題点が新たに発生する。また、特許文献2,3の画像形成装置は、同一の画像形成装置において複数の画像処理動作が存在するため、各々の動作モードに適応するように複数の設定値を準備する必要が生じる。近年の画像形成装置においてはASIC(application specific integrated circuit)などの内部レジスタ数が増加しており、複数の設定値を備えることはメモリ(ROM)容量の増加を招来させ、高コストになるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、省エネルギーモードから再起動する際に、デバイスに供給する動作クロックを一括変更して処理速度を低下することにより、定着性を確保し、かつ設定値の簡素化によってメモリ容量を低減してコスト高を回避し、かつモード切り替えの迅速化により省エネルギーモードからの復帰時間を短縮することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる画像形成装置にあっては、熱定着器を具備し、通常動作モードと前記熱定着器を前記通常動作モードより低温状態で待機する省エネルギーモードとの動作モードを有する画像形成装置において、処理速度に対応したクロックで動作する複数のデバイスを有し、当該デバイスの動作により記録紙に画像を再生する画像再生手段と、モード毎に対応したレジスタ設定値が格納されたレジスタ設定値格納手段と、前記レジスタ設定値にしたがってクロックを出力するクロック出力手段と、前記画像再生手段を構成する前記複数のデバイスに対し、前記レジスタ設定値格納手段からレジスタ設定値を読み出して前記クロック出力手段から出力するクロックの周波数をすべて同じ比率で変化させ、前記省エネルギーモードから処理速度を前記通常動作モードより低速で行なう復帰モードに切り替える制御手段と、を備えたものである。
【0009】
この発明によれば、画像形成装置を構成する各デバイスの動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる復帰モードを有し、省エネモードからの復帰時にはモータ類に対する基準クロック、シーケンス制御部のCPUや画像処理部のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させることにより、定着性が確保可能になり、また、制御動作モードごとの各種制御パラメータの設定変更が不要となる。
【0010】
また、請求項2にかかる画像形成装置にあっては、前記制御手段は、前記復帰モードに切り替える際に、作像プロセスにかかわる制御信号の動作クロックに対しては変化させないものである。
【0011】
この発明によれば、作像プロセスのフィードバック制御に関する動作タイミング生成機能をシーケンス制御の動作速度が変更される制御部から分離し、フィードバック制御の動作トリガを動作モードによって変化させないことにより、省エネルギーモードから復帰した直後の画像形成動作(復帰モード)においても定着品質と画像品質とを両立することが可能となる。
【0012】
また、請求項3にかかる画像形成装置にあっては、さらに、前記熱定着器内の雰囲気温度を検知する雰囲気温度検知手段を備え、前記制御手段は、前記雰囲気温度検知手段の検知情報にしたがって前記復帰モードから前記通常動作モードへの移行可否を判断するものである。
【0013】
この発明によれば、熱定着器の内部温度を雰囲気温度検知手段で検知することにより、間接的に熱定着器に蓄えられた熱量(温度)を判断し、動作モードを切り替えることにより、定着品質と画像形成動作の生産性の最大能力を引き出すことが可能になる。
【0014】
また、請求項4にかかる画像形成装置にあっては、前記複数のデバイスは、画像を読み取る画像読み取り手段と、画像を書き込む画像書き込み手段と、を含むものである。
【0015】
この発明によれば、少なくとも複数のデバイスが、画像を読み取る画像読み取り手段と、画像を書き込む画像書き込み手段と、を含むことにより、復帰モード時にこれらのデバイスの動作クロックを一括に変更して処理速度を下げることが可能になる。
【0016】
また、請求項5にかかる画像形成装置にあっては、前記復帰モードは、所定時間経過した後、前記通常動作モードに移行されるものである。
【0017】
この発明によれば、復帰モードを、所定時間経過した後に通常動作モードに移行することにより、熱定着の加熱状態が本来の状態になった時点での通常動作モードへ移行が可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる画像形成装置の好適な実施の形態について添付図面を参照し、詳細に説明する。なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
この実施の形態の画像形成装置においては、画像形成装置の駆動制御を行うモータ類、シーケンス制御を行う制御部、画像形成動作を行う画像処理部の動作クロックを、通常動作モード、省エネルギーモードなどの動作モードに応じて一括して変化させる「復帰モード」を有するものである。以下、具体的に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
まず、画像形成装置の詳細な構成について説明する。図1は、本発明の各実施の形態にかかる画像形成装置であるデジタル複写機の構成を示す説明図であり、大きくは、スキャナ部1とプリンタ部2とにより構成される。なお、この図1のように構成されるデジタル複写機は、基本的に実施の形態2,3にも同様に適用される。
【0021】
スキャナ部1は、コンタクトガラス3、光源4、第1ミラー5、第2ミラー7と第3ミラー8とを有する第2キャリッジ6、ステッピングモータ9、第4ミラー10、レンズ11、CCDイメージセンサ12を備えている。
【0022】
プリンタ部2は、画像再生系(作像系)ならびに給紙系などを備えている。感光体ドラム15、帯電チャージャ16、イレーザー17、現像ユニット18、転写チャージャ19、分離チャージャ20、分離爪21、クリーニングユニット22、レーザ書込みユニット35などの作像系を備えている。
【0023】
また、このプリンタ部2は、上段給紙カセット26および手差し給紙台27と、下段給紙カセット29との2系統の給紙系を有している。上段給紙カセット26および手差し給紙台27にセットされた記録紙は、給紙ローラ28によって給紙される。下段給紙カセット29内の記録紙は、給紙ローラ30によって給紙される。
【0024】
また、レーザ書込みユニット35は、図2に示すように構成されている。すなわち、LDユニット31、fθレンズ32、ポリゴンスキャナ33、ミラー34などを有している。
【0025】
また、図1において、符号23は搬送ベルト、符号24は定着器、符号25は定着ローラ、符号26は加圧ローラ、符号27はサーミスタなどの温度測定デバイス、符号28はメインモータ、符号29は排紙トレイ、符号31はレジストローラである。
【0026】
図3は、図1のデジタル複写機の制御系の構成(1)を示すブロック図である。図において、符号40はシーケンス制御板、符号41は読み取り制御板、符号42は書き込み制御板である。
【0027】
シーケンス制御板40は、AD変換部44を有するCPU43、画像処理ASIC45、ROM46、クロックドライバ47、水晶振動子48を備えている。
【0028】
読み取り制御板41は、CCDイメージセンサ12、読み取り制御ASIC49を有している。書き込み制御板42は、書き込み制御ASIC50を有している。
【0029】
つぎに、以上のように構成されたデジタル複写機において、まず、スキャナ部1について説明する。スキャナ部1におけるコンタクトガラス3の所定位置にセットされた原稿は、光源4によって照射され、その反射光は第1ミラー5から第2ミラー7、第3ミラー8、第4ミラー10、レンズ11を介してCCDイメージセンサ12の受光面に結像される。光源4および第1ミラー5は、コンタクトガラス3の下面をコンタクトガラス3と平行に副走査方向に移動する第1キャリッジに搭載され、この第1キャリッジによる反射光はステッピングモータ9により駆動される。ステッピングモータ9はシーケンス制御部40に実装されたドライバによって相励磁信号が供給される。
【0030】
シーケンス制御部40のCPU43はステッピングモータ9のドライバに対して制御クロックを出力し、ドライバから出力される相励磁信号を切りかえる。第2キャリッジ6は、上記第1キャリッジに連動して1/2の速度で副走査方向に移動する。主走査方向のスキャンは、CCDイメージセンサ12の走査によって行われ、前述のような光学系が移動することで原稿全体が光学走査されるようになっている。
【0031】
つぎに、プリンタ部2について説明する。レーザー書込みユニット35は、上述したように、LDユニット31、fθレンズ32ならびにミラー34を備えている。LDユニット31の内部には、レーザー光源であるレーザーダイオード(LD)が設けられている。ポリゴンスキャナ33は電気モータによって高速で回転するポリゴンミラーが設けられている。ポリゴンスキャナ33の回転制御は書き込み制御板42に実装された書き込み制御ASIC50によって行われ、書き込み制御ASIC50は、回転制御クロックの周波数を変化させることでポリゴンスキャナ33のポリゴンミラーを任意の回転数で回転させることが可能である。レーザー書込みユニット35から出力されるレーザ光は、画像再生系の感光体ドラム15に照射される。
【0032】
つぎに、このプリンタ部2における画像再生(作像)プロセスを簡単に説明する。このプロセスは、公知の電子写真プロセスにしたがって実行される。まず、感光体ドラム15の表面は、帯電チャージャー16によって一様に高電位に帯電される。続いて、その周囲にレーザー光が照射されると、照射された部分は電位が下がる。レーザー光は、記録再生の黒/白に応じてON/OFF制御されるので、レーザー光の照射によって、感光体ドラム15の表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。
【0033】
静電潜像が形成された部分が現像ユニット18を通ると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像が可視化されたトナー像となる。また、トナー像が形成された部分に、所定のタイミングで記録紙が、後述するカセットから送り込まれ、トナー像に重なる。このトナー像は転写チャージャー19の放電によって記録紙に転写処理される。その後、この記録紙は、分離チャージャー19の放電ならびに分離爪20の電気的および機械的な作用によって、感光体ドラム15から分離される。
【0034】
分離された記録紙は、搬送ベルト23によって搬送され、ヒータを内蔵した定着ローラ25によって加熱定着された後、排紙トレー29に排紙される。また、この実施の形態では、図1に示すように、プリンタ部2は給紙系を2系統有している。上段給紙カセット26および手差し給紙台27にセットされた記録紙は、給紙ローラ28によって給紙される。下段給紙カセット29内の記録紙は、給紙ローラ30によって給紙される。
【0035】
そして、いずれかの給紙ローラから給紙された記録紙は、レジストローラ31に当接した状態で一旦停止し、画像形成(画像再生)プロセスの進行に同期したタイミングで感光体ドラム15に送り込まれる。
【0036】
定着器24には、定着ローラ25の温度を計測する温度測定デバイス27が備えられている。温度測定デバイス27は定着ローラ25の表面に接触するよう設置されており、この温度測定デバイス27からの電圧をシーケンス制御板40に実装されたCPU43のAD変換部44に入力することでソフトウェアが定着ローラ25の表面温度を認識することが可能となる。
【0037】
また、画像再生プロセスには、感光体ドラム15の表面を帯電させたり、反対に除電するための各種チャージャやLEDが設けられており、これらの出力電圧も分圧(低電圧化)処理を施された上でCPU43のAD変換部44に入力される。ソフトウェアはAD変換部44によってデジタル値に変換されたフィードバック信号を随時、読み出すことで、画像形成動作によって作成される画像の品質を一定に保っている。
【0038】
さて、本構成における画像形成動作は、メカトロニクスを駆動するモータ類の回転速度と原稿画像の読み取り部から入力され、書き込み部より出力される画像データの転送速度によって画像形成装置の生産性が決定される。記録紙の給紙制御においてはメインモータ28を一定速度で回転させ、規定されたタイミングで給紙ローラ28,30のクラッチをオンし、記録紙を一定速度で作像系、定着器24を通過させることで狙いの生産性を実現する。また、読み取り制御においてもステッピングモータ9の回転速度により、書き込み制御においてはLDユニット31の点灯タイミングとポリゴンスキャナ33の回転数によって生産性が決定される。すなわち、上述の読み取り制御、書込み制御によって時間あたりのプリント効率を変えることが可能になる。
【0039】
メインモータ28の回転速度は、メインモータ28に供給される基準クロックの周波数によって決定される。メインモータ28に内蔵された制御部(ドライバ)は、基準クロックとメインモータ28の回転によって出力されるパルス信号を比較することで、基準クロックに応じた回転速度を保持するような回転制御を行なう。この基準クロックはシーケンス制御板40のCPU43から出力される。
【0040】
CPU43は、自身に入力される動作クロックを内部で分周し、所定の周波数のパルス信号をメインモータ28に対して供給する。また、ステッピングモータ9の回転速度はドライバに入力される制御クロックによって決定される。CPU43は、動作クロックを内部で分周し、上記ドライバに対して制御クロックを出力する。
【0041】
ドライバでは制御クロックが入るたびにステッピングモータ9に対して出力する相励磁信号のステートを切り替え、これによりステッピングモータ9が制御クロックに応じた回転数で回転する。また、記録紙の移動は給紙搬送路に設けられたセンサ類(不図示)により監視される。この検知もクラッチをオンしてから一定時間後に記録紙が有る/無いで正常/異常の判断を行なうが、これはシーケンス制御板40のCPU43がソフトウェアカウンタを持っており、クラッチのオンからソフトウェアカウンタがいくつ加算されたかによって検知タイミングが決定される。
【0042】
このようにアクチュエータの制御のタイミングは全てCPU43の動作クロックが基準となっており、この動作クロックの周波数を変化すると全ての制御クロックが同じ比率で変化する。このため制御ソフトウェアとしては基準クロックの周波数によらずモータの回転数、クラッチ(給紙ローラ、レジストローラなどのクラッチ)のオンタイミング、センサの検知タイミングなどの設定パラメータは一定のまま、異なった生産性で画像形成動作を実行することが可能となる。
【0043】
コピー動作を実行する場合、画像データは読み取り制御板41から出力され、シーケンス制御板40の画像処理ASIC45を経由し、書き込み制御板42が画像信号に同期してLDユニット31のLD(レーザダイオード)を画像データに同期して点滅させることで画像処理動作が完結する。
【0044】
読み取り制御板41には、CCDイメージセンサ12とその動作制御信号の生成およびCCDイメージセンサ12から出力されるアナログ信号をデジタル化する読み取り制御ASIC49が実装されている。この読み取り制御ASIC49は、シーケンス制御板40のCPU43、クロックドライバ47、画像処理ASIC45とそれぞれシリアル通信、動作クロック、パラレル画像信号によって接続されており、読み取り制御ASIC49の動作はCPU43から出力されるコマンドによって制御される。
【0045】
CCDイメージセンサ12から出力された画像データは、読み取り制御ASIC49によりデジタル化され、さらに画像処理ASIC45によって各種の画像処理が施される。書き込み制御板42には書き込み制御ASIC50とLDユニット31などの部品が実装される。書き込み制御ASIC50は、シーケンス制御板40のCPU43とシリアル通信により、画像処理ASIC45とはパラレルの画像データにより、またドライバを含むポリゴンスキャナ33とはスタート信号、回転制御クロックによって接続されている。
【0046】
シーケンス制御板40のCPU43は、シリアル通信のコマンドにより書き込み制御ASIC50の動作制御を行なう。書き込み制御ASIC50はポリゴンスキャナ33に対してスタート信号と回線制御用クロックを供給し、ポリゴンスキャナ33の回転制御を、LD出力ユニット31に対しては画像データに同期した点滅信号を出力する。シーケンス制御板40は、読み取り制御板41、書き込み制御板42に対してメカトロニクスの動作に同期してコマンドを発行することで一連の画像形成動作を実行する。
【0047】
本構成の画像形成装置においては、メインモータ28などアクチュエータに供給される動作クロックはシーケンス制御板40のCPU43から供給され、シーケンス制御板40のCPU43の動作クロック、および各ASICの動作クロックはクロックドライバ47によって供給される。クロックドライバ47は、CPUバス51に接続されており、また、クロックの基準となる水晶振動子48等の発振子が接続されている。クロックドライバ47は、内部レジスタの設定値に応じて水晶振動子48から入力されるクロックを逓倍し、外部に動作クロックとして供給する。
【0048】
クロックドライバ47からは複数の種類の動作クロックが出力可能であり、それぞれの出力に対して固有のレジスタが備えられている。ここで一例として出力Aの設定はクロックレジスタA、出力Bの設定はクロックレジスタB、出力Cの設定はクロックレジスタC、出力Dの設定はクロックレジスタDであるとする。クロックレジスタAに0009hを設定すると基準クロック×9の周波数が出力Aから出力され、クロックレジスタBに000Chを設定すると、出力Bからは基準クロック×12の周波数が出力、クロックレジスタC、Dに001Ehを設定すると基準クロック×30の周波数が出力され、それぞれCPU43、読み取り制御ASIC49、画像処理ASIC45、書き込み制御ASIC50の動作クロックとなる。
【0049】
クロックドライバ47のレジスタ設定はCPU43によって行われる。画像形成装置の電源投入後、クロックドライバ47のレジスタには規定値(ハードウェアリセットによって決定される初期値)が設定され、CPU43、ASICに供給される。その後、CPU43の初期化動作などが実行された後、ソフトウェアによりクロックドライバ47のレジスタに所定の値が設定され、クロックドライバ47からは画像形成動作を行なうために必要な動作クロックが出力される。
【0050】
本構成の画像形成装置には省エネルギーモード、復帰モード、通常モード(画像形成/待機状態)と最低3つの動作モードが備えられており、それぞれのモードに対応したクロックレジスタ設定値がROM46に格納されている。CPU43はモード遷移を行なう場合、その設定値をROM46から読み出し、クロックドライバ47のレジスタに書き込むことでそのモードに応じた動作クロックの供給を受けることが可能となる。この動作について以下詳述する。
【0051】
図6は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の動作例(1)を示すフローチャートである。画像形成装置は電源投入後、復帰要因をアサートし(ステップS11)、シーケンス制御板40の初期化を行ない(ステップS12)、内部タイマをスタートさせる(ステップS13)。続いて、画像形成の要求有無を操作部(不図示)のスタート信号の有無によって判断する(ステップS14)。ここで、画像形成の要求があると、画像形成モードへ移行し(ステップS15)、復帰モード用設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定し(ステップS16)、画像形成動作を実行する(ステップS17)。その後、この復帰モードによるタイマ値があらかじめ定めた画像形成用の規定値に達したか大きくなった否かを判断する(ステップS18)。ここで、上記タイマ値が規定値以上であると判断した場合、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS19)。
【0052】
一方、ステップS14において画像形成の要求がなければ、待機モード(省エネルギーモード)に移行し(ステップS20)、復帰モード用設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS21)。続いて、タイマ値が待機状態の規定値以上になったか否かを判断し(ステップS22)、当該タイマ値が規定値以上になったと判断した場合、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS19)。
【0053】
すなわち、画像形成装置は電源投入後、ある一定時間、画像形成動作が行われないと内部タイマによるタイムアウトが発生し、省エネルギーモードに移行する。省エネルギーモードに移行する際、ソフトウェアはクロックドライバ47のクロックレジスタB,C,Dに0000hを設定し、出力B,C,Dの出力を停止する。またクロックレジスタAには0001hを設定し、クロックドライバ47が出力可能な最も遅い周波数(=本例においては水晶振動子48の発振周波数)をCPU43自身に入力し、シーケンス制御板40の消費電力を低減させる。
【0054】
このように省エネルギーモードにおいてはクロックの供給を最低限に抑えることにより、論理回路による消費電力が低減する。また、省エネルギーモードにおいて復帰信号(画像形成要求コマンド)がCPU43に入力されるとソフトウェアは動作モードを画像形成モードに切り替えるが、このとき、クロックドライバ47のクロックレジスタに対してクロックレジスタA,B,CとDに対してそれぞれ0006h、0008h、0014hを設定する(復帰モード)。
【0055】
このためCPU43、各ASICの動作速度は通常の2/3になり、記録紙の搬送、画像データの転送なども全て通常の2/3となる。しかし定着ローラ25を加熱するヒータに対する供給電力は通常の商用電源のままであり、また温度制御は定着ローラの温度測定デバイス27からのフィードバック値が元に制御されるため、通常動作時と同様の加熱能力を発揮することができる。このため記録紙に対する定着能力が通常動作状態より大きくなり、復帰直後の定着器24が十分に加熱されていない状態でも定着品質を保証することが可能となる。
【0056】
また、省エネルギーモードから復帰すると同時にCPU43は内部カウンタの動作を開始し、カウンタ値が規定値以上になると定着器24の温度が通常動作に対応可能な状態になったと判断し、クロックレジスタA,B,C,Dにそれぞれ0009h,000Ch,001Eh,001Ehを設定し、画像形成装置の生産性を本来の値に復帰させる。
【0057】
なお、省エネルギーモードから復帰し、画像形成動作に移行する場合、記録紙により定着器2のが熱が奪われるため、定着器24が十分に熱量を蓄えるまでの所要時間は待機状態に復帰した場合より長くなる。このためクロック設定変更の判断基準となるカウンタ値は復帰後の動作モードによって異なる値が設定される。
【0058】
以上のようにクロックドライバ47から出力される動作クロックを低減させることで画像形成装置の生産性を制御することが可能であり、省エネルギーモードからの復帰時、定着器24の能力が十分に発揮されない状態においては画像形成動作の生産性を低下させることで定着不良の発生を防止することが可能となる。
【0059】
また、ソフトウェア的観点から見ると、省エネルギーモード、起動モード、通常動作モードの3モードを切り替える際、各ASICやCPU43の分周設定レジスタ、カウンタ設定値など、多岐にわたる設定変更を行なうのに比較し、クロックドライバ47のクロックレジスタの変更のみでモードの切り替えが可能となるため、モード切替に伴う変更時間が短縮できる。
【0060】
また、モード切替に対応するため、ROM46に保持する設定データのテーブルもクロックドライバ関連の設定のみとなり、メモリの使用量も削減することが可能である。使用者の立場からすると起動モードにおける画像形成装置の生産性は落ちるものの、省エネルギーモードからの復帰時間の短縮、定着性が安定することによる画像品質の向上といった効果を奏することが可能となる。
【0061】
このように、本構成の画像形成装置においては画像形成装置の駆動制御を行うモータ類、シーケンス制御を行うシーケンス制御板40、画像形成動作を行う画像処理ASIC45の動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる「復帰モード」を有する。
【0062】
この省エネモードに復帰する際には、モータ類に対する基準クロック、シーケンス制御板40のCPU43や画像処理ASIC45のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させる。これにより記録紙が定着器24の内部を通過する時間が長くなり、十分に熱を蓄えていない定着器24でも大きなサイズあるいは厚紙の記録紙に対して十分な熱量を供給し、定着性を向上させることができる。
【0063】
また、記録紙が定着ローラ25を通過する時間が通常動作時よりも長くなるため、より低温な状態の定着ローラ25でも十分な定着プロセスが行なえ、定着性を確保することが可能であり、また、起動後、画像形成動作可能に至るまでのウォームアップ時間を短縮することもできる。
【0064】
シーケンス制御板40、画像処理ASIC45については動作クロックが同比率で低下し、CPU43の内部カウンタのカウント値によりタイミングを作り出すシーケンス制御においては、クロックの低下と共に制御タイミングも遅くなり、その結果として通常の動作制御パラメータで、モータの回転が遅くなっていることを意識することなく画像形成動作の制御を行うことが可能となり、モータの回転が遅くなることによる各種制御パラメータの設定変更が不要となる。したがって、モード切替に対応するため、ROM46に保持する設定データのテーブルも動作クロックを選択するための設定のみとなり、複数の動作モードが存在してもメモリの使用量の増加を防止することが可能となる。使用者の立場からすると起動モードにおける画像形成装置の生産性は落ちるものの、省エネルギーモードからの復帰時間の短縮、定着性が安定することによる画像品質の向上も期待できる。
【0065】
したがって、この実施の形態1の画像形成装置においては、画像形成装置の駆動制御を行うモータ類、シーケンス制御を行う制御部、画像形成動作を行う画像処理部の動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる復帰モードを有し、省エネモードからの復帰時にはモータ類に対する基準クロック、シーケンス制御部のCPUや画像処理部のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させることで、定着性を保証することが可能となる。また本構成を取ることで制御動作モードごとの各種制御パラメータの設定変更が不要となり、モード切替に伴う変更時間の短縮、メモリの使用量の増加防止、省エネルギーモードからの復帰時間の短縮を実現することが可能となる。
【0066】
(実施の形態2)
ところで、前述した実施の形態1の画像形成装置においては、画像形成装置を構成する機能デバイスすべての動作クロックを同比率で低下させることにより、各種設定パラメータの変更など、モードの切り替わりを意識せずに制御を行うことが可能となっている。しかし、定着器24の温度制御や感光体ドラム15の電位を管理する作像プロセスなどにおいては、温度情報や電位情報といった制御対象信号をシーケンス制御板40が取り込み、その値を最適化するように制御信号を出力するフィードバック制御が行われており、これらの制御については制御対象信号のサンプリング間隔が制御精度に大きく関わるため、動作クロックが低下することによりシーケンス制御板40の動作タイミングが遅くなるとフィードバック制御の精度が悪化し、画像品質の低下などが懸念される。
【0067】
そこで、この実施の形態2の画像形成装置においては、フィードバック制御に関する動作トリガをシーケンス制御板40の動作トリガから分離し、フィードバック制御の動作トリガ発生タイミングは動作モードによらず、変化させないことにする。本構成により、画像形成動作の動作クロックが低下した復帰モードにおいては、シーケンス制御とアクチュエータの動作速度を通常動作モードよりも遅くすることで、定着品質を保証し、また、定着器24の温度管理やプロセス制御は通常モードと同等の制御を行うことが可能となり、画像品質を保証するものである。
【0068】
図4は、本発明の実施の形態2にかかるデジタル複写機の構成を示すブロック図である。この実施の形態2の画像形成装置は、前述した図3の構成に対し、アナログ制御にCPU43のAD変換部44を使用する場合、その変換トリガをタイミング生成デバイス51から入力する構成とし、さらにタイミング生成デバイス51はクロックデバイスからの出力とは別の、固有の基準クロック源52に接続されている。なお、他の構成要素は図3と同様に機能については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0069】
すなわち、この実施の形態2では、アナログ値の制御条件を動作モードによらず一定に保つものである。また、アナログ制御にCPU43のAD変換部44を使用するが、その変換トリガをタイミング生成デバイス51から入力する。このタイミング生成デバイス51はクロックデバイスからの出力とは別の、固有の基準クロック源52を有し、あらかじめ設定された分周を行なった後、AD変換トリガをCPU43に対して出力する。
【0070】
このAD変換トリガ信号を受けたCPU43のAD変換部44は、アナログポートに入力されるフィードバック電圧をデジタル値に変換し、変換が終了した時点でCPU43に対して内部割込み信号を発行する。この内部割込み信号によりCPU43は、デジタル変換されたフィードバック値を読み出すことにより、現在の定着ローラ25やチャージャの出力電圧を認識する。
【0071】
さらに、上記の値を基準値と比較し、定着ヒータや高圧電源への制御信号を増減することにより、目標の設定値に近づける制御が完結する。
【0072】
ところで、AD変換値の読み出しタイミングをCPU43のソフトウェアタイマによって決定した場合、復帰モード時のCPU43の動作クロックが低減された状態においては、定着温度やチャージャ出力電圧のサンプリング実行間隔が長くなり、フィードバック制御の精度が低下し、定着温度や作像プロセスの出力電圧の変動が大きくなる。したがって、作像プロセスの特性変動は、画像品質に影響をおよぼすため、クロックが低減された状態においてもフィードバックループを用いた制御は通常と同等の処理精度を保持する必要がある。
【0073】
この実施の形態2の画像形成装置は、AD変換のタイミングをCPU43のソフトウェアタイマではなく、独自のクロックで信号を生成するタイミングデバイスから入力することにより、CPU43の動作クロックによらずAD変換制御を均一の間隔で実行することが可能になる。このため、動作モードによらず安定したアナログ制御が可能になり、画像品質の低下を回避することができる。
【0074】
すなわち、この実施の形態2では、フィードバック制御に関する動作タイミング生成機能をシーケンス制御板40の動作速度が変更される制御部から分離し、フィードバック制御の動作トリガを動作モードによって変化させないことで、省エネルギーモードから復帰した直後の画像形成動作(復帰モード)においても定着品質の保証と画像品質の保証とを両立することが可能となる。
【0075】
(実施の形態3)
さて、前述した実施の形態1の画像形成装置では、省エネルギーモードからの復帰時、定着器24が十分に熱量を蓄えるまで画像形成システムの動作クロックを低減させ、処理動作を低速化することで定着不良の防止を図っている。定着器24に蓄えられた熱量は省エネルギーモードから待機状態もしくは画像形成動作に移行後、経過した時間に応じて大きくなり、一定時間が経過した後は通常の動作クロックで画像形成プロセスを実行可能なレベルに達する。定着器24がどの程度、熱量を蓄えられるかは省エネルギーモードから通常モードに復帰した後の経過時間と、その時間中にどの程度の熱が記録紙によって取られたかによって決定される。記録紙によって奪われる熱量は定着対象となった記録紙の厚さや種別などに依存するため、単純に経過時間を測定したり、また通紙枚数を計測するだけでは定着器24がどの程度の熱量を蓄えたかは判断することができない。
【0076】
そこで、本構成の画像形成装置においては、通常、定着器24の定着ローラ25の温度を測定するための温度測定デバイス27のほかに動作モード切替の判断基準を得るためのデバイスを備える。シーケンス制御板40は、定着ローラ25の温度を測定し、ヒータの点灯制御を行なうと共に、定着器24内の温度を測定することでどの程度、定着器24が熱量を蓄えたかを間接的に判断し、その判断結果に応じてシーケンス制御板40の動作クロックおよびモータ類の基準クロックを変動させることにより、定着品質を保証しつつ、画像形成装置の生産性を本来の値に最短時間で復帰させる。
【0077】
図5は、本発明の実施の形態3にかかる画像形成装置の一部構成を示すブロック図であり、図3の構成に対して雰囲気温度測定デバイス55を付加した構成となっている。なお、他の構成およびその動作は図3(または図4)と同様であるので図示および説明は省略する。
【0078】
図7は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の動作例(2)を示すフローチャートである。まず、画像形成装置は電源投入後、復帰要因をアサートし(ステップS31)、シーケンス制御板40の初期化を行ない(ステップS32)、雰囲気温度測定デバイス27による定着器24の雰囲気温度があらかじめ定めた規定値以上になったか否かを判断する(ステップS33)。ここで、定着器24の雰囲気温度が規定値以上であると判断した場合、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定し(ステップS34)、画像形成の要求有無を判断する(ステップS35)。ここで、画像形成の要求があれば画像形成モードに移行し(ステップS36)、画像形成の要求がなければ待機モード(省エネルギーモード)に移行する(ステップS37)。
【0079】
一方、ステップS33において雰囲気温度測定デバイス27による定着器24の雰囲気温度があらかじめ定めた規定値に達していないと判断した場合、復帰モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定し(ステップS38)、画像形成の要求有無を判断する(ステップS39)。ここで、画像形成の要求があれば画像形成モードに移行し(ステップS40)、画像形成動作を実行する(ステップS41)。続いて、定着器24の雰囲気温度があらかじめ定めた規定値以上であるか否かを判断し(ステップS42)、規定値以上であれば、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS43)。一方、ステップS39において画像形成の要求がないと判断した場合には、待機モード(省エネルギーモード)に移行し(ステップS44)、ステップS42に進む。
【0080】
すなわち、省エネルギーモードからの復帰時、シーケンス制御部40は動作モードを復帰モード(各デバイスに対する動作クロック周波数を低減させた状態)に設定する。このため画像形成動作の生産性は低下するものの、安定した定着品質を実現することが可能になる。しかし、起動した直後は、定着ローラ25の表面こそ高温状態になるが、ローラ内部などに蓄えられた熱量が少ないため、定着器24の内部温度は、省エネルギーモードからの復帰時と比較した場合、あまり上昇していない。また、画像形成動作が終了し、待機状態に入るとヒータから発せられた熱は定着器24自体に蓄積され、定着器24の内部温度も上昇する。シーケンス制御板43は、定着器24の温度の測定を雰囲気温度測定デバイス55により定期的に行ない、ある一定値以上の達した場合、通常動作モードに切り替え、連続通紙を行なっても支障ないと判断し、クロックドライバ47のクロックレジスタ設定を通常動作モードに切り替える。
【0081】
このように、定着器24の内部温度を雰囲気温度測定デバイス55で測定することにより、間接的に定着器24に蓄えられた熱量(温度)を判断し、動作モードを切り替えることにより、定着品質と画像形成動作の生産性の最大能力を引き出すことが可能になる。
【0082】
なお、定着器24の内部温度の測定値は、省エネルギーモードからの復帰時以外にも測定を行なう。これにより、通常動作モードに移行した後の連続通紙による定着器24の熱量不足を検知し、動作モードを切り替えるなどの制御を行なうことも可能である。
【0083】
このように、画像形成装置においては、通常、定着器のローラ温度を測定するための温度測定デバイスのほかに動作モード切替の判断基準を得るためのデバイスを有し、その測定結果に応じてシーケンス制御部の動作クロックおよびモータ類の基準クロックを変動させることにより、定着品質を保証しつつ、画像形成装置の生産性を本来の値に最も短時間で復帰させることが可能となる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる画像形成装置(請求項1)によれば、画像形成装置を構成する各デバイスの動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる復帰モードを有し、省エネモードからの復帰時にはモータ類に対する基準クロック、シーケンス制御部のCPUや画像処理部のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させて画像形成を行なうため、定着性を確保した記録紙の出力が実現し、また、制御動作モードごとの各種制御パラメータの設定変更が不要となり、また、設定値の簡素化によってメモリ容量が低減するので、コスト高を回避することができると共に、モード切り替えの迅速化により省エネルギーモードからの復帰時間を短縮することができる。
【0085】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項2)によれば、作像プロセスのフィードバック制御に関する動作タイミング生成機能をシーケンス制御の動作速度が変更される制御部から分離し、フィードバック制御の動作トリガを動作モードによって変化させないので、省エネルギーモードから復帰した直後の画像形成動作(復帰モード)においても定着品質と画像品質とを両立することができる。
【0086】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項3)によれば、熱定着器の内部温度を雰囲気温度検知手段で検知することにより、間接的に熱定着器に蓄えられた熱量(温度)を判断し、動作モードを切り替えるので、定着品質と画像形成動作の生産性の最大能力を引き出すことができる。
【0087】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項4)によれば、少なくとも複数のデバイスが、画像を読み取る画像読み取り手段と、画像を書き込む画像書き込み手段と、を含むので、復帰モード時にこれらのデバイスの動作クロックを一括に変更して処理速度を下げることができる。
【0088】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項5)によれば、復帰モードを、所定時間経過した後に通常動作モードに移行するので、熱定着の加熱状態が本来の状態になった時点での通常動作モードへ移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施の形態にかかる画像形成装置であるデジタル複写機の構成を示す説明図である。
【図2】図1におけるレーザー書込みユニットの構成を示す説明図である。
【図3】図1のデジタル複写機の制御系の構成(1)を示すブロック図である。
【図4】図1のデジタル複写機の制御系の構成(2)を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる制御系の主構成の一部を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる動作例(1)を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態にかかる動作例(2)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
24 定着器
27 温度測定デバイス
40 シーケンス制御板
43 CPU
44 AD変換部
45 画像処理ASIC
46 ROM
47 クロックドライバ
48 水晶振動子
49 読み取り制御ASIC
50 書き込み制御ASIC
55 雰囲気温度測定デバイス
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱定着器を有する複写機やレーザプリンタなどの画像形成装置に関し、より詳細には、省エネルギーモードから起動する際に、画像形成を行なうための各デバイスの動作クロックを一括して変化させるといった復帰モードを有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護に対する意識の高揚と共に公的規制などによるOA機器においも消費電力の低減が求められている。このため複写機などの画像形成装置では、画像形成動作中の消費電力と共に画像形成動作を実行していない待機状態における消費電力の低減が強く求められている。これに対応するため、多くの画像形成装置の待機状態においては、機内の活電部をいくつかのブロックに分け、必要最低限のブロック以外については電源供給を停止する、いわゆる「省エネルギーモード」を設け、消費電力の低減を図っている。また、一方でユーザーの利便性を低下させないため、省エネルギーモードから画像形成動作に移行するまでの復帰時間を短くすることも要望として上げられており、一部公的規格においてはこの時間も規定されている。
【0003】
記録紙上に画像を形成するための現像剤(トナー)を定着器のヒータ熱により融解し、記録紙上に定着する方式を採用する画像形成装置においては、多くの電力を消費する定着器は省エネルギーモード時、電力の供給が断たれ、通常の定着温度に対して低温状態に保持されている。この方式を取る画像形成装置が省エネルギーモードから画像形成動作に移行する際、立ち上がり時間として最も時間を要するのが定着器の加熱であり、いかに早く定着器の温度を上昇させるかが復帰時間を短縮させるためのカギとなる。また、定着器が一旦、画像形成動作可能な温度まで上昇しても記録紙を通すことで熱を記録紙に奪われ、温度が低下してしまうという問題が発生する。これは温度の上昇が定着ローラの表面のみにとどまり、記録紙によって容易に熱を奪われてしまうことに起因する。
【0004】
そこで、この課題に対する対応策として、省エネルギーモードからの復帰後は、使用者の設定によらずに特定の動作モードに限定することにより、定着品質の保証を図っている(たとえば、特許文献1参照)。また、定着ローラを通過する単位時間あたりの記録紙の枚数を切り替えるものが開示されている(たとえば、特許文献2参照)。さらに、記録紙の搬送速度と定着温度を可変する装置が開示されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−27867号公報
【特許文献2】
特開2000−267507号公報
【特許文献3】
特開2002−132087号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示されるような従来の画像形成装置にあっては、まず、特許文献1の画像形成装置では、使用者に対して機能制限を課すことになり、利便性を著しく悪化させるという問題点が新たに発生する。また、特許文献2,3の画像形成装置は、同一の画像形成装置において複数の画像処理動作が存在するため、各々の動作モードに適応するように複数の設定値を準備する必要が生じる。近年の画像形成装置においてはASIC(application specific integrated circuit)などの内部レジスタ数が増加しており、複数の設定値を備えることはメモリ(ROM)容量の増加を招来させ、高コストになるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、省エネルギーモードから再起動する際に、デバイスに供給する動作クロックを一括変更して処理速度を低下することにより、定着性を確保し、かつ設定値の簡素化によってメモリ容量を低減してコスト高を回避し、かつモード切り替えの迅速化により省エネルギーモードからの復帰時間を短縮することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる画像形成装置にあっては、熱定着器を具備し、通常動作モードと前記熱定着器を前記通常動作モードより低温状態で待機する省エネルギーモードとの動作モードを有する画像形成装置において、処理速度に対応したクロックで動作する複数のデバイスを有し、当該デバイスの動作により記録紙に画像を再生する画像再生手段と、モード毎に対応したレジスタ設定値が格納されたレジスタ設定値格納手段と、前記レジスタ設定値にしたがってクロックを出力するクロック出力手段と、前記画像再生手段を構成する前記複数のデバイスに対し、前記レジスタ設定値格納手段からレジスタ設定値を読み出して前記クロック出力手段から出力するクロックの周波数をすべて同じ比率で変化させ、前記省エネルギーモードから処理速度を前記通常動作モードより低速で行なう復帰モードに切り替える制御手段と、を備えたものである。
【0009】
この発明によれば、画像形成装置を構成する各デバイスの動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる復帰モードを有し、省エネモードからの復帰時にはモータ類に対する基準クロック、シーケンス制御部のCPUや画像処理部のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させることにより、定着性が確保可能になり、また、制御動作モードごとの各種制御パラメータの設定変更が不要となる。
【0010】
また、請求項2にかかる画像形成装置にあっては、前記制御手段は、前記復帰モードに切り替える際に、作像プロセスにかかわる制御信号の動作クロックに対しては変化させないものである。
【0011】
この発明によれば、作像プロセスのフィードバック制御に関する動作タイミング生成機能をシーケンス制御の動作速度が変更される制御部から分離し、フィードバック制御の動作トリガを動作モードによって変化させないことにより、省エネルギーモードから復帰した直後の画像形成動作(復帰モード)においても定着品質と画像品質とを両立することが可能となる。
【0012】
また、請求項3にかかる画像形成装置にあっては、さらに、前記熱定着器内の雰囲気温度を検知する雰囲気温度検知手段を備え、前記制御手段は、前記雰囲気温度検知手段の検知情報にしたがって前記復帰モードから前記通常動作モードへの移行可否を判断するものである。
【0013】
この発明によれば、熱定着器の内部温度を雰囲気温度検知手段で検知することにより、間接的に熱定着器に蓄えられた熱量(温度)を判断し、動作モードを切り替えることにより、定着品質と画像形成動作の生産性の最大能力を引き出すことが可能になる。
【0014】
また、請求項4にかかる画像形成装置にあっては、前記複数のデバイスは、画像を読み取る画像読み取り手段と、画像を書き込む画像書き込み手段と、を含むものである。
【0015】
この発明によれば、少なくとも複数のデバイスが、画像を読み取る画像読み取り手段と、画像を書き込む画像書き込み手段と、を含むことにより、復帰モード時にこれらのデバイスの動作クロックを一括に変更して処理速度を下げることが可能になる。
【0016】
また、請求項5にかかる画像形成装置にあっては、前記復帰モードは、所定時間経過した後、前記通常動作モードに移行されるものである。
【0017】
この発明によれば、復帰モードを、所定時間経過した後に通常動作モードに移行することにより、熱定着の加熱状態が本来の状態になった時点での通常動作モードへ移行が可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる画像形成装置の好適な実施の形態について添付図面を参照し、詳細に説明する。なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
この実施の形態の画像形成装置においては、画像形成装置の駆動制御を行うモータ類、シーケンス制御を行う制御部、画像形成動作を行う画像処理部の動作クロックを、通常動作モード、省エネルギーモードなどの動作モードに応じて一括して変化させる「復帰モード」を有するものである。以下、具体的に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
まず、画像形成装置の詳細な構成について説明する。図1は、本発明の各実施の形態にかかる画像形成装置であるデジタル複写機の構成を示す説明図であり、大きくは、スキャナ部1とプリンタ部2とにより構成される。なお、この図1のように構成されるデジタル複写機は、基本的に実施の形態2,3にも同様に適用される。
【0021】
スキャナ部1は、コンタクトガラス3、光源4、第1ミラー5、第2ミラー7と第3ミラー8とを有する第2キャリッジ6、ステッピングモータ9、第4ミラー10、レンズ11、CCDイメージセンサ12を備えている。
【0022】
プリンタ部2は、画像再生系(作像系)ならびに給紙系などを備えている。感光体ドラム15、帯電チャージャ16、イレーザー17、現像ユニット18、転写チャージャ19、分離チャージャ20、分離爪21、クリーニングユニット22、レーザ書込みユニット35などの作像系を備えている。
【0023】
また、このプリンタ部2は、上段給紙カセット26および手差し給紙台27と、下段給紙カセット29との2系統の給紙系を有している。上段給紙カセット26および手差し給紙台27にセットされた記録紙は、給紙ローラ28によって給紙される。下段給紙カセット29内の記録紙は、給紙ローラ30によって給紙される。
【0024】
また、レーザ書込みユニット35は、図2に示すように構成されている。すなわち、LDユニット31、fθレンズ32、ポリゴンスキャナ33、ミラー34などを有している。
【0025】
また、図1において、符号23は搬送ベルト、符号24は定着器、符号25は定着ローラ、符号26は加圧ローラ、符号27はサーミスタなどの温度測定デバイス、符号28はメインモータ、符号29は排紙トレイ、符号31はレジストローラである。
【0026】
図3は、図1のデジタル複写機の制御系の構成(1)を示すブロック図である。図において、符号40はシーケンス制御板、符号41は読み取り制御板、符号42は書き込み制御板である。
【0027】
シーケンス制御板40は、AD変換部44を有するCPU43、画像処理ASIC45、ROM46、クロックドライバ47、水晶振動子48を備えている。
【0028】
読み取り制御板41は、CCDイメージセンサ12、読み取り制御ASIC49を有している。書き込み制御板42は、書き込み制御ASIC50を有している。
【0029】
つぎに、以上のように構成されたデジタル複写機において、まず、スキャナ部1について説明する。スキャナ部1におけるコンタクトガラス3の所定位置にセットされた原稿は、光源4によって照射され、その反射光は第1ミラー5から第2ミラー7、第3ミラー8、第4ミラー10、レンズ11を介してCCDイメージセンサ12の受光面に結像される。光源4および第1ミラー5は、コンタクトガラス3の下面をコンタクトガラス3と平行に副走査方向に移動する第1キャリッジに搭載され、この第1キャリッジによる反射光はステッピングモータ9により駆動される。ステッピングモータ9はシーケンス制御部40に実装されたドライバによって相励磁信号が供給される。
【0030】
シーケンス制御部40のCPU43はステッピングモータ9のドライバに対して制御クロックを出力し、ドライバから出力される相励磁信号を切りかえる。第2キャリッジ6は、上記第1キャリッジに連動して1/2の速度で副走査方向に移動する。主走査方向のスキャンは、CCDイメージセンサ12の走査によって行われ、前述のような光学系が移動することで原稿全体が光学走査されるようになっている。
【0031】
つぎに、プリンタ部2について説明する。レーザー書込みユニット35は、上述したように、LDユニット31、fθレンズ32ならびにミラー34を備えている。LDユニット31の内部には、レーザー光源であるレーザーダイオード(LD)が設けられている。ポリゴンスキャナ33は電気モータによって高速で回転するポリゴンミラーが設けられている。ポリゴンスキャナ33の回転制御は書き込み制御板42に実装された書き込み制御ASIC50によって行われ、書き込み制御ASIC50は、回転制御クロックの周波数を変化させることでポリゴンスキャナ33のポリゴンミラーを任意の回転数で回転させることが可能である。レーザー書込みユニット35から出力されるレーザ光は、画像再生系の感光体ドラム15に照射される。
【0032】
つぎに、このプリンタ部2における画像再生(作像)プロセスを簡単に説明する。このプロセスは、公知の電子写真プロセスにしたがって実行される。まず、感光体ドラム15の表面は、帯電チャージャー16によって一様に高電位に帯電される。続いて、その周囲にレーザー光が照射されると、照射された部分は電位が下がる。レーザー光は、記録再生の黒/白に応じてON/OFF制御されるので、レーザー光の照射によって、感光体ドラム15の表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。
【0033】
静電潜像が形成された部分が現像ユニット18を通ると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像が可視化されたトナー像となる。また、トナー像が形成された部分に、所定のタイミングで記録紙が、後述するカセットから送り込まれ、トナー像に重なる。このトナー像は転写チャージャー19の放電によって記録紙に転写処理される。その後、この記録紙は、分離チャージャー19の放電ならびに分離爪20の電気的および機械的な作用によって、感光体ドラム15から分離される。
【0034】
分離された記録紙は、搬送ベルト23によって搬送され、ヒータを内蔵した定着ローラ25によって加熱定着された後、排紙トレー29に排紙される。また、この実施の形態では、図1に示すように、プリンタ部2は給紙系を2系統有している。上段給紙カセット26および手差し給紙台27にセットされた記録紙は、給紙ローラ28によって給紙される。下段給紙カセット29内の記録紙は、給紙ローラ30によって給紙される。
【0035】
そして、いずれかの給紙ローラから給紙された記録紙は、レジストローラ31に当接した状態で一旦停止し、画像形成(画像再生)プロセスの進行に同期したタイミングで感光体ドラム15に送り込まれる。
【0036】
定着器24には、定着ローラ25の温度を計測する温度測定デバイス27が備えられている。温度測定デバイス27は定着ローラ25の表面に接触するよう設置されており、この温度測定デバイス27からの電圧をシーケンス制御板40に実装されたCPU43のAD変換部44に入力することでソフトウェアが定着ローラ25の表面温度を認識することが可能となる。
【0037】
また、画像再生プロセスには、感光体ドラム15の表面を帯電させたり、反対に除電するための各種チャージャやLEDが設けられており、これらの出力電圧も分圧(低電圧化)処理を施された上でCPU43のAD変換部44に入力される。ソフトウェアはAD変換部44によってデジタル値に変換されたフィードバック信号を随時、読み出すことで、画像形成動作によって作成される画像の品質を一定に保っている。
【0038】
さて、本構成における画像形成動作は、メカトロニクスを駆動するモータ類の回転速度と原稿画像の読み取り部から入力され、書き込み部より出力される画像データの転送速度によって画像形成装置の生産性が決定される。記録紙の給紙制御においてはメインモータ28を一定速度で回転させ、規定されたタイミングで給紙ローラ28,30のクラッチをオンし、記録紙を一定速度で作像系、定着器24を通過させることで狙いの生産性を実現する。また、読み取り制御においてもステッピングモータ9の回転速度により、書き込み制御においてはLDユニット31の点灯タイミングとポリゴンスキャナ33の回転数によって生産性が決定される。すなわち、上述の読み取り制御、書込み制御によって時間あたりのプリント効率を変えることが可能になる。
【0039】
メインモータ28の回転速度は、メインモータ28に供給される基準クロックの周波数によって決定される。メインモータ28に内蔵された制御部(ドライバ)は、基準クロックとメインモータ28の回転によって出力されるパルス信号を比較することで、基準クロックに応じた回転速度を保持するような回転制御を行なう。この基準クロックはシーケンス制御板40のCPU43から出力される。
【0040】
CPU43は、自身に入力される動作クロックを内部で分周し、所定の周波数のパルス信号をメインモータ28に対して供給する。また、ステッピングモータ9の回転速度はドライバに入力される制御クロックによって決定される。CPU43は、動作クロックを内部で分周し、上記ドライバに対して制御クロックを出力する。
【0041】
ドライバでは制御クロックが入るたびにステッピングモータ9に対して出力する相励磁信号のステートを切り替え、これによりステッピングモータ9が制御クロックに応じた回転数で回転する。また、記録紙の移動は給紙搬送路に設けられたセンサ類(不図示)により監視される。この検知もクラッチをオンしてから一定時間後に記録紙が有る/無いで正常/異常の判断を行なうが、これはシーケンス制御板40のCPU43がソフトウェアカウンタを持っており、クラッチのオンからソフトウェアカウンタがいくつ加算されたかによって検知タイミングが決定される。
【0042】
このようにアクチュエータの制御のタイミングは全てCPU43の動作クロックが基準となっており、この動作クロックの周波数を変化すると全ての制御クロックが同じ比率で変化する。このため制御ソフトウェアとしては基準クロックの周波数によらずモータの回転数、クラッチ(給紙ローラ、レジストローラなどのクラッチ)のオンタイミング、センサの検知タイミングなどの設定パラメータは一定のまま、異なった生産性で画像形成動作を実行することが可能となる。
【0043】
コピー動作を実行する場合、画像データは読み取り制御板41から出力され、シーケンス制御板40の画像処理ASIC45を経由し、書き込み制御板42が画像信号に同期してLDユニット31のLD(レーザダイオード)を画像データに同期して点滅させることで画像処理動作が完結する。
【0044】
読み取り制御板41には、CCDイメージセンサ12とその動作制御信号の生成およびCCDイメージセンサ12から出力されるアナログ信号をデジタル化する読み取り制御ASIC49が実装されている。この読み取り制御ASIC49は、シーケンス制御板40のCPU43、クロックドライバ47、画像処理ASIC45とそれぞれシリアル通信、動作クロック、パラレル画像信号によって接続されており、読み取り制御ASIC49の動作はCPU43から出力されるコマンドによって制御される。
【0045】
CCDイメージセンサ12から出力された画像データは、読み取り制御ASIC49によりデジタル化され、さらに画像処理ASIC45によって各種の画像処理が施される。書き込み制御板42には書き込み制御ASIC50とLDユニット31などの部品が実装される。書き込み制御ASIC50は、シーケンス制御板40のCPU43とシリアル通信により、画像処理ASIC45とはパラレルの画像データにより、またドライバを含むポリゴンスキャナ33とはスタート信号、回転制御クロックによって接続されている。
【0046】
シーケンス制御板40のCPU43は、シリアル通信のコマンドにより書き込み制御ASIC50の動作制御を行なう。書き込み制御ASIC50はポリゴンスキャナ33に対してスタート信号と回線制御用クロックを供給し、ポリゴンスキャナ33の回転制御を、LD出力ユニット31に対しては画像データに同期した点滅信号を出力する。シーケンス制御板40は、読み取り制御板41、書き込み制御板42に対してメカトロニクスの動作に同期してコマンドを発行することで一連の画像形成動作を実行する。
【0047】
本構成の画像形成装置においては、メインモータ28などアクチュエータに供給される動作クロックはシーケンス制御板40のCPU43から供給され、シーケンス制御板40のCPU43の動作クロック、および各ASICの動作クロックはクロックドライバ47によって供給される。クロックドライバ47は、CPUバス51に接続されており、また、クロックの基準となる水晶振動子48等の発振子が接続されている。クロックドライバ47は、内部レジスタの設定値に応じて水晶振動子48から入力されるクロックを逓倍し、外部に動作クロックとして供給する。
【0048】
クロックドライバ47からは複数の種類の動作クロックが出力可能であり、それぞれの出力に対して固有のレジスタが備えられている。ここで一例として出力Aの設定はクロックレジスタA、出力Bの設定はクロックレジスタB、出力Cの設定はクロックレジスタC、出力Dの設定はクロックレジスタDであるとする。クロックレジスタAに0009hを設定すると基準クロック×9の周波数が出力Aから出力され、クロックレジスタBに000Chを設定すると、出力Bからは基準クロック×12の周波数が出力、クロックレジスタC、Dに001Ehを設定すると基準クロック×30の周波数が出力され、それぞれCPU43、読み取り制御ASIC49、画像処理ASIC45、書き込み制御ASIC50の動作クロックとなる。
【0049】
クロックドライバ47のレジスタ設定はCPU43によって行われる。画像形成装置の電源投入後、クロックドライバ47のレジスタには規定値(ハードウェアリセットによって決定される初期値)が設定され、CPU43、ASICに供給される。その後、CPU43の初期化動作などが実行された後、ソフトウェアによりクロックドライバ47のレジスタに所定の値が設定され、クロックドライバ47からは画像形成動作を行なうために必要な動作クロックが出力される。
【0050】
本構成の画像形成装置には省エネルギーモード、復帰モード、通常モード(画像形成/待機状態)と最低3つの動作モードが備えられており、それぞれのモードに対応したクロックレジスタ設定値がROM46に格納されている。CPU43はモード遷移を行なう場合、その設定値をROM46から読み出し、クロックドライバ47のレジスタに書き込むことでそのモードに応じた動作クロックの供給を受けることが可能となる。この動作について以下詳述する。
【0051】
図6は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の動作例(1)を示すフローチャートである。画像形成装置は電源投入後、復帰要因をアサートし(ステップS11)、シーケンス制御板40の初期化を行ない(ステップS12)、内部タイマをスタートさせる(ステップS13)。続いて、画像形成の要求有無を操作部(不図示)のスタート信号の有無によって判断する(ステップS14)。ここで、画像形成の要求があると、画像形成モードへ移行し(ステップS15)、復帰モード用設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定し(ステップS16)、画像形成動作を実行する(ステップS17)。その後、この復帰モードによるタイマ値があらかじめ定めた画像形成用の規定値に達したか大きくなった否かを判断する(ステップS18)。ここで、上記タイマ値が規定値以上であると判断した場合、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS19)。
【0052】
一方、ステップS14において画像形成の要求がなければ、待機モード(省エネルギーモード)に移行し(ステップS20)、復帰モード用設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS21)。続いて、タイマ値が待機状態の規定値以上になったか否かを判断し(ステップS22)、当該タイマ値が規定値以上になったと判断した場合、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS19)。
【0053】
すなわち、画像形成装置は電源投入後、ある一定時間、画像形成動作が行われないと内部タイマによるタイムアウトが発生し、省エネルギーモードに移行する。省エネルギーモードに移行する際、ソフトウェアはクロックドライバ47のクロックレジスタB,C,Dに0000hを設定し、出力B,C,Dの出力を停止する。またクロックレジスタAには0001hを設定し、クロックドライバ47が出力可能な最も遅い周波数(=本例においては水晶振動子48の発振周波数)をCPU43自身に入力し、シーケンス制御板40の消費電力を低減させる。
【0054】
このように省エネルギーモードにおいてはクロックの供給を最低限に抑えることにより、論理回路による消費電力が低減する。また、省エネルギーモードにおいて復帰信号(画像形成要求コマンド)がCPU43に入力されるとソフトウェアは動作モードを画像形成モードに切り替えるが、このとき、クロックドライバ47のクロックレジスタに対してクロックレジスタA,B,CとDに対してそれぞれ0006h、0008h、0014hを設定する(復帰モード)。
【0055】
このためCPU43、各ASICの動作速度は通常の2/3になり、記録紙の搬送、画像データの転送なども全て通常の2/3となる。しかし定着ローラ25を加熱するヒータに対する供給電力は通常の商用電源のままであり、また温度制御は定着ローラの温度測定デバイス27からのフィードバック値が元に制御されるため、通常動作時と同様の加熱能力を発揮することができる。このため記録紙に対する定着能力が通常動作状態より大きくなり、復帰直後の定着器24が十分に加熱されていない状態でも定着品質を保証することが可能となる。
【0056】
また、省エネルギーモードから復帰すると同時にCPU43は内部カウンタの動作を開始し、カウンタ値が規定値以上になると定着器24の温度が通常動作に対応可能な状態になったと判断し、クロックレジスタA,B,C,Dにそれぞれ0009h,000Ch,001Eh,001Ehを設定し、画像形成装置の生産性を本来の値に復帰させる。
【0057】
なお、省エネルギーモードから復帰し、画像形成動作に移行する場合、記録紙により定着器2のが熱が奪われるため、定着器24が十分に熱量を蓄えるまでの所要時間は待機状態に復帰した場合より長くなる。このためクロック設定変更の判断基準となるカウンタ値は復帰後の動作モードによって異なる値が設定される。
【0058】
以上のようにクロックドライバ47から出力される動作クロックを低減させることで画像形成装置の生産性を制御することが可能であり、省エネルギーモードからの復帰時、定着器24の能力が十分に発揮されない状態においては画像形成動作の生産性を低下させることで定着不良の発生を防止することが可能となる。
【0059】
また、ソフトウェア的観点から見ると、省エネルギーモード、起動モード、通常動作モードの3モードを切り替える際、各ASICやCPU43の分周設定レジスタ、カウンタ設定値など、多岐にわたる設定変更を行なうのに比較し、クロックドライバ47のクロックレジスタの変更のみでモードの切り替えが可能となるため、モード切替に伴う変更時間が短縮できる。
【0060】
また、モード切替に対応するため、ROM46に保持する設定データのテーブルもクロックドライバ関連の設定のみとなり、メモリの使用量も削減することが可能である。使用者の立場からすると起動モードにおける画像形成装置の生産性は落ちるものの、省エネルギーモードからの復帰時間の短縮、定着性が安定することによる画像品質の向上といった効果を奏することが可能となる。
【0061】
このように、本構成の画像形成装置においては画像形成装置の駆動制御を行うモータ類、シーケンス制御を行うシーケンス制御板40、画像形成動作を行う画像処理ASIC45の動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる「復帰モード」を有する。
【0062】
この省エネモードに復帰する際には、モータ類に対する基準クロック、シーケンス制御板40のCPU43や画像処理ASIC45のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させる。これにより記録紙が定着器24の内部を通過する時間が長くなり、十分に熱を蓄えていない定着器24でも大きなサイズあるいは厚紙の記録紙に対して十分な熱量を供給し、定着性を向上させることができる。
【0063】
また、記録紙が定着ローラ25を通過する時間が通常動作時よりも長くなるため、より低温な状態の定着ローラ25でも十分な定着プロセスが行なえ、定着性を確保することが可能であり、また、起動後、画像形成動作可能に至るまでのウォームアップ時間を短縮することもできる。
【0064】
シーケンス制御板40、画像処理ASIC45については動作クロックが同比率で低下し、CPU43の内部カウンタのカウント値によりタイミングを作り出すシーケンス制御においては、クロックの低下と共に制御タイミングも遅くなり、その結果として通常の動作制御パラメータで、モータの回転が遅くなっていることを意識することなく画像形成動作の制御を行うことが可能となり、モータの回転が遅くなることによる各種制御パラメータの設定変更が不要となる。したがって、モード切替に対応するため、ROM46に保持する設定データのテーブルも動作クロックを選択するための設定のみとなり、複数の動作モードが存在してもメモリの使用量の増加を防止することが可能となる。使用者の立場からすると起動モードにおける画像形成装置の生産性は落ちるものの、省エネルギーモードからの復帰時間の短縮、定着性が安定することによる画像品質の向上も期待できる。
【0065】
したがって、この実施の形態1の画像形成装置においては、画像形成装置の駆動制御を行うモータ類、シーケンス制御を行う制御部、画像形成動作を行う画像処理部の動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる復帰モードを有し、省エネモードからの復帰時にはモータ類に対する基準クロック、シーケンス制御部のCPUや画像処理部のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させることで、定着性を保証することが可能となる。また本構成を取ることで制御動作モードごとの各種制御パラメータの設定変更が不要となり、モード切替に伴う変更時間の短縮、メモリの使用量の増加防止、省エネルギーモードからの復帰時間の短縮を実現することが可能となる。
【0066】
(実施の形態2)
ところで、前述した実施の形態1の画像形成装置においては、画像形成装置を構成する機能デバイスすべての動作クロックを同比率で低下させることにより、各種設定パラメータの変更など、モードの切り替わりを意識せずに制御を行うことが可能となっている。しかし、定着器24の温度制御や感光体ドラム15の電位を管理する作像プロセスなどにおいては、温度情報や電位情報といった制御対象信号をシーケンス制御板40が取り込み、その値を最適化するように制御信号を出力するフィードバック制御が行われており、これらの制御については制御対象信号のサンプリング間隔が制御精度に大きく関わるため、動作クロックが低下することによりシーケンス制御板40の動作タイミングが遅くなるとフィードバック制御の精度が悪化し、画像品質の低下などが懸念される。
【0067】
そこで、この実施の形態2の画像形成装置においては、フィードバック制御に関する動作トリガをシーケンス制御板40の動作トリガから分離し、フィードバック制御の動作トリガ発生タイミングは動作モードによらず、変化させないことにする。本構成により、画像形成動作の動作クロックが低下した復帰モードにおいては、シーケンス制御とアクチュエータの動作速度を通常動作モードよりも遅くすることで、定着品質を保証し、また、定着器24の温度管理やプロセス制御は通常モードと同等の制御を行うことが可能となり、画像品質を保証するものである。
【0068】
図4は、本発明の実施の形態2にかかるデジタル複写機の構成を示すブロック図である。この実施の形態2の画像形成装置は、前述した図3の構成に対し、アナログ制御にCPU43のAD変換部44を使用する場合、その変換トリガをタイミング生成デバイス51から入力する構成とし、さらにタイミング生成デバイス51はクロックデバイスからの出力とは別の、固有の基準クロック源52に接続されている。なお、他の構成要素は図3と同様に機能については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0069】
すなわち、この実施の形態2では、アナログ値の制御条件を動作モードによらず一定に保つものである。また、アナログ制御にCPU43のAD変換部44を使用するが、その変換トリガをタイミング生成デバイス51から入力する。このタイミング生成デバイス51はクロックデバイスからの出力とは別の、固有の基準クロック源52を有し、あらかじめ設定された分周を行なった後、AD変換トリガをCPU43に対して出力する。
【0070】
このAD変換トリガ信号を受けたCPU43のAD変換部44は、アナログポートに入力されるフィードバック電圧をデジタル値に変換し、変換が終了した時点でCPU43に対して内部割込み信号を発行する。この内部割込み信号によりCPU43は、デジタル変換されたフィードバック値を読み出すことにより、現在の定着ローラ25やチャージャの出力電圧を認識する。
【0071】
さらに、上記の値を基準値と比較し、定着ヒータや高圧電源への制御信号を増減することにより、目標の設定値に近づける制御が完結する。
【0072】
ところで、AD変換値の読み出しタイミングをCPU43のソフトウェアタイマによって決定した場合、復帰モード時のCPU43の動作クロックが低減された状態においては、定着温度やチャージャ出力電圧のサンプリング実行間隔が長くなり、フィードバック制御の精度が低下し、定着温度や作像プロセスの出力電圧の変動が大きくなる。したがって、作像プロセスの特性変動は、画像品質に影響をおよぼすため、クロックが低減された状態においてもフィードバックループを用いた制御は通常と同等の処理精度を保持する必要がある。
【0073】
この実施の形態2の画像形成装置は、AD変換のタイミングをCPU43のソフトウェアタイマではなく、独自のクロックで信号を生成するタイミングデバイスから入力することにより、CPU43の動作クロックによらずAD変換制御を均一の間隔で実行することが可能になる。このため、動作モードによらず安定したアナログ制御が可能になり、画像品質の低下を回避することができる。
【0074】
すなわち、この実施の形態2では、フィードバック制御に関する動作タイミング生成機能をシーケンス制御板40の動作速度が変更される制御部から分離し、フィードバック制御の動作トリガを動作モードによって変化させないことで、省エネルギーモードから復帰した直後の画像形成動作(復帰モード)においても定着品質の保証と画像品質の保証とを両立することが可能となる。
【0075】
(実施の形態3)
さて、前述した実施の形態1の画像形成装置では、省エネルギーモードからの復帰時、定着器24が十分に熱量を蓄えるまで画像形成システムの動作クロックを低減させ、処理動作を低速化することで定着不良の防止を図っている。定着器24に蓄えられた熱量は省エネルギーモードから待機状態もしくは画像形成動作に移行後、経過した時間に応じて大きくなり、一定時間が経過した後は通常の動作クロックで画像形成プロセスを実行可能なレベルに達する。定着器24がどの程度、熱量を蓄えられるかは省エネルギーモードから通常モードに復帰した後の経過時間と、その時間中にどの程度の熱が記録紙によって取られたかによって決定される。記録紙によって奪われる熱量は定着対象となった記録紙の厚さや種別などに依存するため、単純に経過時間を測定したり、また通紙枚数を計測するだけでは定着器24がどの程度の熱量を蓄えたかは判断することができない。
【0076】
そこで、本構成の画像形成装置においては、通常、定着器24の定着ローラ25の温度を測定するための温度測定デバイス27のほかに動作モード切替の判断基準を得るためのデバイスを備える。シーケンス制御板40は、定着ローラ25の温度を測定し、ヒータの点灯制御を行なうと共に、定着器24内の温度を測定することでどの程度、定着器24が熱量を蓄えたかを間接的に判断し、その判断結果に応じてシーケンス制御板40の動作クロックおよびモータ類の基準クロックを変動させることにより、定着品質を保証しつつ、画像形成装置の生産性を本来の値に最短時間で復帰させる。
【0077】
図5は、本発明の実施の形態3にかかる画像形成装置の一部構成を示すブロック図であり、図3の構成に対して雰囲気温度測定デバイス55を付加した構成となっている。なお、他の構成およびその動作は図3(または図4)と同様であるので図示および説明は省略する。
【0078】
図7は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の動作例(2)を示すフローチャートである。まず、画像形成装置は電源投入後、復帰要因をアサートし(ステップS31)、シーケンス制御板40の初期化を行ない(ステップS32)、雰囲気温度測定デバイス27による定着器24の雰囲気温度があらかじめ定めた規定値以上になったか否かを判断する(ステップS33)。ここで、定着器24の雰囲気温度が規定値以上であると判断した場合、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定し(ステップS34)、画像形成の要求有無を判断する(ステップS35)。ここで、画像形成の要求があれば画像形成モードに移行し(ステップS36)、画像形成の要求がなければ待機モード(省エネルギーモード)に移行する(ステップS37)。
【0079】
一方、ステップS33において雰囲気温度測定デバイス27による定着器24の雰囲気温度があらかじめ定めた規定値に達していないと判断した場合、復帰モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定し(ステップS38)、画像形成の要求有無を判断する(ステップS39)。ここで、画像形成の要求があれば画像形成モードに移行し(ステップS40)、画像形成動作を実行する(ステップS41)。続いて、定着器24の雰囲気温度があらかじめ定めた規定値以上であるか否かを判断し(ステップS42)、規定値以上であれば、通常動作モード用の設定値をクロックドライバ47のクロックレジスタに設定する(ステップS43)。一方、ステップS39において画像形成の要求がないと判断した場合には、待機モード(省エネルギーモード)に移行し(ステップS44)、ステップS42に進む。
【0080】
すなわち、省エネルギーモードからの復帰時、シーケンス制御部40は動作モードを復帰モード(各デバイスに対する動作クロック周波数を低減させた状態)に設定する。このため画像形成動作の生産性は低下するものの、安定した定着品質を実現することが可能になる。しかし、起動した直後は、定着ローラ25の表面こそ高温状態になるが、ローラ内部などに蓄えられた熱量が少ないため、定着器24の内部温度は、省エネルギーモードからの復帰時と比較した場合、あまり上昇していない。また、画像形成動作が終了し、待機状態に入るとヒータから発せられた熱は定着器24自体に蓄積され、定着器24の内部温度も上昇する。シーケンス制御板43は、定着器24の温度の測定を雰囲気温度測定デバイス55により定期的に行ない、ある一定値以上の達した場合、通常動作モードに切り替え、連続通紙を行なっても支障ないと判断し、クロックドライバ47のクロックレジスタ設定を通常動作モードに切り替える。
【0081】
このように、定着器24の内部温度を雰囲気温度測定デバイス55で測定することにより、間接的に定着器24に蓄えられた熱量(温度)を判断し、動作モードを切り替えることにより、定着品質と画像形成動作の生産性の最大能力を引き出すことが可能になる。
【0082】
なお、定着器24の内部温度の測定値は、省エネルギーモードからの復帰時以外にも測定を行なう。これにより、通常動作モードに移行した後の連続通紙による定着器24の熱量不足を検知し、動作モードを切り替えるなどの制御を行なうことも可能である。
【0083】
このように、画像形成装置においては、通常、定着器のローラ温度を測定するための温度測定デバイスのほかに動作モード切替の判断基準を得るためのデバイスを有し、その測定結果に応じてシーケンス制御部の動作クロックおよびモータ類の基準クロックを変動させることにより、定着品質を保証しつつ、画像形成装置の生産性を本来の値に最も短時間で復帰させることが可能となる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる画像形成装置(請求項1)によれば、画像形成装置を構成する各デバイスの動作クロックを動作モードに応じて一括して変化させる復帰モードを有し、省エネモードからの復帰時にはモータ類に対する基準クロック、シーケンス制御部のCPUや画像処理部のデバイスに供給する動作クロックを一括して低減し、画像形成装置の処理速度を低下させて画像形成を行なうため、定着性を確保した記録紙の出力が実現し、また、制御動作モードごとの各種制御パラメータの設定変更が不要となり、また、設定値の簡素化によってメモリ容量が低減するので、コスト高を回避することができると共に、モード切り替えの迅速化により省エネルギーモードからの復帰時間を短縮することができる。
【0085】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項2)によれば、作像プロセスのフィードバック制御に関する動作タイミング生成機能をシーケンス制御の動作速度が変更される制御部から分離し、フィードバック制御の動作トリガを動作モードによって変化させないので、省エネルギーモードから復帰した直後の画像形成動作(復帰モード)においても定着品質と画像品質とを両立することができる。
【0086】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項3)によれば、熱定着器の内部温度を雰囲気温度検知手段で検知することにより、間接的に熱定着器に蓄えられた熱量(温度)を判断し、動作モードを切り替えるので、定着品質と画像形成動作の生産性の最大能力を引き出すことができる。
【0087】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項4)によれば、少なくとも複数のデバイスが、画像を読み取る画像読み取り手段と、画像を書き込む画像書き込み手段と、を含むので、復帰モード時にこれらのデバイスの動作クロックを一括に変更して処理速度を下げることができる。
【0088】
また、本発明にかかる画像形成装置(請求項5)によれば、復帰モードを、所定時間経過した後に通常動作モードに移行するので、熱定着の加熱状態が本来の状態になった時点での通常動作モードへ移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施の形態にかかる画像形成装置であるデジタル複写機の構成を示す説明図である。
【図2】図1におけるレーザー書込みユニットの構成を示す説明図である。
【図3】図1のデジタル複写機の制御系の構成(1)を示すブロック図である。
【図4】図1のデジタル複写機の制御系の構成(2)を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる制御系の主構成の一部を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる動作例(1)を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態にかかる動作例(2)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
24 定着器
27 温度測定デバイス
40 シーケンス制御板
43 CPU
44 AD変換部
45 画像処理ASIC
46 ROM
47 クロックドライバ
48 水晶振動子
49 読み取り制御ASIC
50 書き込み制御ASIC
55 雰囲気温度測定デバイス
Claims (5)
- 熱定着器を具備し、通常動作モードと前記熱定着器を前記通常動作モードより低温状態で待機する省エネルギーモードとの動作モードを有する画像形成装置において、
処理速度に対応したクロックで動作する複数のデバイスを有し、当該デバイスの動作により記録紙に画像を再生する画像再生手段と、
モード毎に対応したレジスタ設定値が格納されたレジスタ設定値格納手段と、
前記レジスタ設定値にしたがってクロックを出力するクロック出力手段と、
前記画像再生手段を構成する前記複数のデバイスに対し、前記レジスタ格納手段からレジスタ設定値を読み出して前記クロック出力手段から出力するクロックの周波数をすべて同じ比率で変化させ、前記省エネルギーモードから処理速度を前記通常動作モードより低速で行なう復帰モードに切り替える制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記復帰モードに切り替える際に、作像プロセスにかかわる制御信号の動作クロックに対しては変化させないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- さらに、前記熱定着器内の雰囲気温度を検知する雰囲気温度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記雰囲気温度検知手段の検知情報にしたがって前記復帰モードから前記通常動作モードへの移行可否を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記複数のデバイスは、
画像を読み取る画像読み取り手段と、画像を書き込む画像書き込み手段と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記復帰モードは、所定時間経過した後、前記通常動作モードに移行されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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