JP2005017236A - 指針式計器 - Google Patents
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Abstract
【課題】通電スペースの縮小化を達成し得る指針式計器を提供する。
【解決手段】第1の透視部11とこの透視部11を取り巻く指標部12とを有する指標板1と、この指標板1の背後に配置に配置され第1の透視部11に対応する第2の透視部31が形成される回転体3と、第1の透視部11または指標部12の外側を介して回転体に固定される透光性材料からなる指針4と、回転体3に対し固定され指針を発光させる光源5と、少なくとも第1,第2の透視部11,31の外側に配置され回転体3を回転させることにより指針4による指標部12の指示を可能とする駆動装置6と、回転体3の背後に配置され第1,第2の透視部11,31を通じて観察者に所定情報を表示する表示装置8とを備えており、回転体3に一部が光源5の接続部材51に接続され、他の一部が端子(他の電気部材)Tに導通接続される導電部材35を固定した。
【選択図】 図3
【解決手段】第1の透視部11とこの透視部11を取り巻く指標部12とを有する指標板1と、この指標板1の背後に配置に配置され第1の透視部11に対応する第2の透視部31が形成される回転体3と、第1の透視部11または指標部12の外側を介して回転体に固定される透光性材料からなる指針4と、回転体3に対し固定され指針を発光させる光源5と、少なくとも第1,第2の透視部11,31の外側に配置され回転体3を回転させることにより指針4による指標部12の指示を可能とする駆動装置6と、回転体3の背後に配置され第1,第2の透視部11,31を通じて観察者に所定情報を表示する表示装置8とを備えており、回転体3に一部が光源5の接続部材51に接続され、他の一部が端子(他の電気部材)Tに導通接続される導電部材35を固定した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車を代表とする車両に搭載される指針式計器に関し、特に指針の仮想回転中心を含む指標板の中央領域に、貫通孔または透明部からなる透視部が形成され、この透視部を通じて指標板の背後に配置される液晶表示装置のごとき表示装置を視認させると共に、透視部の外周にて指針式表示を行う指針式計器(以降、便宜上、センターレスタイプの指針式計器と称する)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、センターレスタイプの指針式計器として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。この指針式計器は、中央領域に貫通孔状の透視部を有する環状の指標板と、この指標板の透視部に臨む液晶パネルからなる表示装置と、この表示装置と指標板との間に配置され透視部に対応する貫通孔を有するリング状の回転体と、透視部の内縁を通して回転体に装着され指標板上に延びる指針と、透視部を外れた箇所に配置され回転体を回転駆動させる駆動装置とを備え、駆動装置によって回転体を回転駆動することにより指標板上に延びる指針を回転移動させる構成である。
【0003】
一方、指針が発光するセンターレスタイプの指針式計器も知られており、例えば下記特許文献2には、表示装置を透視可能な透明円板からなる回転体に指針とこの指針を照明する発光ダイオードからなる光源を搭載し、この光源への電力供給を回転体の背面側に位置する帯状の可撓性導体(導電部材)にて行う点が記載され、この際、可撓性導体は、回転体に対して同心的に湾曲され且つ180度曲げ返し部を備えており、回転体の移動に伴って可撓性導体も移動するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−131099号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2000−186948号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2記載の指針式計器は、回転体の移動に伴って可撓性導体を移動させる構成であるため、可撓性導体を自由に移動させるスペースが必要であり、また回転体の背後に表示装置を配置する場合に表示装置を避けて可撓性導体を引き回す必要がある。このため設計自由度の低下や装置全体の大型化、適用し得る表示装置のサイズが制約される等の問題がある。
また、特許文献2記載の指針式計器に限らず、センターレスタイプの指針式計器にあっては、その構造上、高さ寸法が大型化しやすい。このため、回転体もできる限り薄型のものを使用するのが望ましいが、回転体を薄型にすると、剛性強度が低下するという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、通電スペースの縮小化を図ることが可能な指針式計器を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、第1の透視部とこの第1の透視部を取り巻く指標部とを有する指標板と、前記第1の透視部に対応する第2の透視部が形成される回転体と、この回転体に固定され前記第1の透視部の周囲を前記指標部に沿って移動する透光性材料からなる指針と、前記回転体に対し固定され前記指針を発光させる光源と、前記回転体を回転駆動し前記指針を移動させる駆動装置と、前記第1,第2の透視部を通じて観察者に所定情報を表示する表示装置とを備え、前記回転体に一部が前記光源に接続され、他の一部が他の電気部材に導通接続される導電部材を固定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記導電部材が前記第2の透視部を取り巻くように前記回転体の回転方向に延びることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記導電部材の他の一部が前記電気部材に摺動接続されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記回転体が合成樹脂でなり、前記導電部材が外部に露出するよう前記回転体内に埋設される金属材でなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記表示装置の外形サイズが前記第1の透視部よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明による指針式計器の実施形態を説明する。図1〜図7は、本発明の第1の実施形態を示すもので、図1は本実施形態による指針式計器の正面図、図2はその概略構成を示す分解斜視図、図3は図1のA−A断面図、図4は本実施形態に採用される回転体の正面図、図5は本実施形態に採用される支持体の正面図、図6は回転体の要部を示す正面図、図7は本実施形態に採用される導電部材と他の電気部材との接続状態を示す要部断面図である。
【0014】
本実施形態による指針式計器は、図1〜図3に示すように、指標板1と、この指標板の背後に配置に配置される支持板2と、この支持板2の背後に配置される回転体3と、指針4と、光源5と、後述する第1,第2の透視部の外側に配置される駆動装置6と、回転体3を回転可能に支持する支持体7と、この支持体7の背後に配置される表示装置8と、この表示装置8の背後に位置する回路基板9とを備えている。
【0015】
指標板1は、第1の透視部11を構成する例えば円形の貫通孔を有する概略円環形状の板材からなり、第1の透視部11の周囲には、指針4の移動経路に沿って円弧状に配列された文字や目盛等の指標部12を備えている。これら指標部12は、図3に示すように、概略円環プレート形状を有する基材13上にスクリーン印刷等の手段により形成されている。この場合、基材13は、電界発光素子(EL)からなり、電界発光素子を構成する封止フィルム(例えばPETフィルム)上に直接スクリーン印刷することで、指標部12が形成されており、従って、基材13を構成する電界発光素子が発光すると、指標部12が発光するようになっている。
【0016】
支持板2は、指標板1を背後から支持する遮光性合成樹脂板からなり、第1の透視部11に対応した貫通孔21を備えている。
【0017】
回転体3は、第1の透視部11に対応する形状の貫通孔からなる第2の透視部31を有する概略円環形状の板材からなり、その材質は合成樹脂からなる。この回転体3には、歯車部32と、指針支持部33と、段部34とが形成される他、導電部材35が固定されている。
【0018】
歯車部32は、回転体3の円板部外周の全周にわたって形成されており、駆動装置6の後述する駆動歯車に連結される。
【0019】
指針支持部33は、第2の透視部31の内縁から第1の透視部11側に延びるボス形状を有しており、その上端側にて指針4と光源5の双方を支持する。
【0020】
段部34は、回転体3の円板部背面であって、第2の透視部31を取り巻くように形成され、支持体7の後述する内側環状突出部に嵌合する。
【0021】
導電部材35は、図4に示すように、第2の透視部31を取り巻くように回転体3の回転方向に延びる2本の独立した導電路を形成する略環状の金属板からなり、その一部(背面)が外部に露出するようにインサート成型等の手段により回転体3内に埋設されている。
【0022】
そして、これら導線部材35の一部(指針側端部:第1の部分35a)は、図6に示すように、指針支持部33側に引き回され、光源5に導通接続された後述する接続部材と半田付け等の手段により接続される。一方、導電部材35の他の一部(回転方向に延びる環状部分:第2の部分35b)は、図5に示すように、支持体7に固定した後述する端子(他の電気部材)に接触し、回転体3の回転に応じて端子に摺動接触し、光源5に対する電力供給路を形成する。
【0023】
指針4は、透光性の合成樹脂からなり、光源5と共に指針支持部33に装着固定され、さらにその一部が光源5と共に遮光性カバー41によって覆われる。そしてこのように光源5と共に指針支持部33に装着されることで指針4は、第2の透視部31及び第1の透視部11を介して回転体3に固定され、回転体3の回転により、指標板1上で指標部12を指示し、また光源5の光を受けて線状に発光する。
【0024】
光源5は、例えば発光ダイオードからなり、その発光部が指針4の先端側を向くように指針4の端面に対向配置されている。この光源5には、例えばFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)からなる可撓性を有する接続部材51が接続され、この接続部材51は、図3に示すように、回転体3の指針支持部32を通って回転体3の円板部背面に引き回されて、導電部材35の第1の部分35aに電気接続される。
【0025】
駆動装置6は、例えばステッピングモータや交差コイル式ムーブメントからなり、第1,第2の透視部11,31の外側(回転体3の外周側)に位置して回路基板9上に配置されている。この駆動装置6の回転軸61には、回転体3の歯車部32に連結される駆動歯車62が固定され、駆動装置6が計測量に応じて回転させることにより、回転体3に固定された指針4が指標板1の指標部12を指示する。
【0026】
支持体7は、第1,第2の透視部11,31及び貫通孔21に対応する貫通孔71を有する概略環状形状を有する合成樹脂部材からなる。この支持体7には、内側環状突出部72と外側環状突出部73と底壁部74とで形成される断面略凹形状のガイド部を有し、このガイド部内によって回転体3を背後から回転可能に支持している。また底壁部74の回転体3側の適所には、図5,図7に示すように、導電部材35の第2の部分35bに摺動接続される一対の端子Tが固定されている。
【0027】
これら端子Tは、導電性金属材からなり、導電部材35に接触する側はバネ性を有する弾性片として形成され、この弾性片には導電部材35の第2の部分35aに摺動接触(点接触)して光源5への給電経路の一部を構成する接点部T1が形成されている。また弾性片とは反対側の部分は、支持体7の外側に突出し、その突出部分は電気コネクタCNに電気接続される。なお端子Tの支持体7への固定は、任意であるが本実施形態では導電部材35と同様、インサート成型等の手段により埋設固定されている。また本実施形態では電気コネクタCNを使用したが、端子Tを回路基板1に半田付けやコネクタ接続してもよい。
【0028】
表示装置8は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)型の液晶表示素子または有機電界発光素子からなる表示パネル81を枠体82内に組み込んでなり、枠体82の開口部83によって規定される表示パネル81の表示面が第1,第2の透視部11,31に臨むように、回路基板9上に配置されている。ここで枠体82を含めた表示装置8の外形サイズは、図1に示すように、第1の透視部11よりも大きく形成され、第1の透視部11を通して表示装置8を見たとき、表示パネル81の表示面が視認され、枠体82や開口部83は不可視となるように設定されている。なお表示装置8の表示情報は任意であるが、一例として例えば走行距離情報、ナビゲーション情報、シフトポジション情報、外気温情報の他、各種映像情報が挙げられる。
【0029】
回路基板1は、硬質の回路基板からなり、駆動装置6、表示装置8、電界発光素子からなる基材13、光源5の動作を制御する図示しない駆動制御回路が搭載されている。
【0030】
以上のように、本実施形態による指針式計器は、第1の透視部11とこの透視部11を取り巻く指標部12とを有する指標板1と、この指標板1の背後に配置され第1の透視部11に対応する第2の透視部31が形成される回転体3と、第1の透視部11または指標部12の外側を介して回転体に固定され第1の透視部11の周囲を指標部12に沿って移動する透光性材料からなる指針4と、回転体3に対し固定され指針を発光させる光源5と、第1,第2の透視部11,31の外側に配置され回転体3を回転駆動することにより指針4を移動させる駆動装置6と、回転体3の背後に配置され第1,第2の透視部11,31を通じて観察者に所定情報を表示する表示装置8とを備えており、回転体3に一部が光源5の接続部材51に接続され、他の一部が端子(他の電気部材)Tに導通接続される導電部材35を固定したことにより、通電スペースの縮小化を図ることが可能となり、設計自由度の低下や装置全体の大型化を抑制することができる。
また光源5に電力を供給する導電部材35が表示装置8を配置する上で障害となることを抑制でき、この結果、大型の表示装置8、例えば第1の透視部11のサイズよりも大きな外形サイズの表示装置8を搭載でき、その分、情報表示エリアを広くし、商品性を向上させることができる。
【0031】
また、導電部材35を回転体3の補強材となすことができるため、回転体3の厚みを薄くでき、その分、指針式計器の薄型化するこことができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、導電部材35が第2の透視部31を取り巻くように回転体3の回転方向に延びる形状を有することにより、補強強度を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、導電部材35の他の一部(第2の部分)を端子(電気部材)T1に摺動接続したことにより、光源5への給電構造をコンパクトにすることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、回転体3が合成樹脂でなり、導電部材35が外部に露出するよう回転体3内に埋設される金属材でなることにより、補強と薄型化の双方を達成することができる。
【0035】
また本実施形態では、第1,第2の透視部11,31及び各貫通孔21,71を貫通部分により設けたが、表示装置8を透視できれば、透明または半透明な部分であってもよい。また本実施形態では第1,第2の透視部11,31及び貫通部21を介して指針4を回転体3の指針支持部32に固定したが、指標板1や支持板2の外側を通じて指針4を回転体3に装着してもよい。
【0036】
また本実施形態では、導電部材35として金属材を埋設したが、硬質回路基板のごとき導電部材を回転体3に固定してもよいし、特に補強を考慮しないのであれば、FPCのごとき可撓性を有する導電部材を固定したり、導電性合成樹脂により導電部材を設けてもよい。
【0037】
また本実施形態では、光源5を回転体3の指針支持部32に装着する例を示したが、光源5は指針4に固定してもよい。
【0038】
また本実施形態では、導電部材35と光源5とを接続部材51により電気接続したが、導電部材35に直接光源5を電気接続してもよい。
【0039】
また本実施形態では、指標板1の背後に回転体3を配置したが、回転体3は、指標板1の前方に配置してもよい。
【0040】
図8,図9は、本発明の第2の実施形態として、一対の導電部材35を回転体3に埋設するにあたり、各導電部材を連結部を介して一体化した状態で回転体3に埋設し、その後、その連結部を周囲の合成樹脂と共に打ち抜きいて除去することにより、両導電部材の絶縁性を確保したものであり、図8は、除去前の回転体の要部を示す正面図、図9は除去後の回転体の要部を示す正面図である。
【0041】
すなわち、導電部材35を回転体3にインサート成形するにあたり、まず、連結部350(複数)を介して互いに接続された状態で、各導電部材35を回転体3に埋設する(図8参照)。その後、連結部350及びその周囲の合成樹脂部分(図8中、一点鎖線による丸囲み参照)を打ち抜いて除去し、各導電部材35の絶縁を図る(図9参照)。従って、打ち抜き後の回転体3には、打ち抜き除去による孔部351が存在することになる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、各導電部材35を連結部350を介して一体化した状態で回転体3に埋設し、その後、その連結部350を周囲の合成樹脂と共に打ち抜きいて除去することにより、各導電部材35を別々に成形型にセットする必要がなくなり、成形作業性を向上させることができる。
【0043】
図10は、本発明の第3の実施形態を示す断面図であり、本実施形態では、導電部材35によって、回転体3の強度的に弱い箇所となる指針支持部33と円板部との接合部Pを補強したものである。
【0044】
すなわち、導電部材35の第1の部分35aを、接合部Pを補強し得る位置(少なくとも接合部Pを裏打ちできる位置)まで延長して延長部35cを設け、この延長部35cにて接合部Pを裏打ち補強したものである。なお接合部Pは、指針支持部33に指針4や光源5等を取り付ける際、応力が集中しやすい箇所である。
【0045】
このように、本実施形態によれば、導電部材35の延長部35cによって、接合部Pを裏打ちすることにより、この部分を補強して剛性を高めることができる。
【0046】
なお延長部35cは、接合部Pの剛性を高めることができればよく、例えば光源5付近まで延長してもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、初期の目的を達成することができ、通電スペースの縮小化を達成し得る指針式計器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による指針式計器の正面図。
【図2】同上実施形態の概略構成を示す分解斜視図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】同上実施形態に採用される回転体の正面図。
【図5】同上実施形態に採用される支持体の正面図。
【図6】同上実施形態に採用される回転体の要部正面図。
【図7】同上実施形態における導電部材と電気部材との接続状態を示す要部断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態による回転体の要部を示すもので、連結部打ち抜き前の状態を示す要部正面図。
【図9】同上実施形態による回転体を示すもので、連結部打ち抜き後の状態を示す要部正面図。
【図10】本発明の第3の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
1 指標板
2 支持板
3 回転体
4 指針
5 光源
6 駆動装置
7 支持体
8 表示装置
9 回路基板
11 第1の透視部
12 指標部
31 第2の透視部
35 導電部材
T 端子(他の電気部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車を代表とする車両に搭載される指針式計器に関し、特に指針の仮想回転中心を含む指標板の中央領域に、貫通孔または透明部からなる透視部が形成され、この透視部を通じて指標板の背後に配置される液晶表示装置のごとき表示装置を視認させると共に、透視部の外周にて指針式表示を行う指針式計器(以降、便宜上、センターレスタイプの指針式計器と称する)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、センターレスタイプの指針式計器として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。この指針式計器は、中央領域に貫通孔状の透視部を有する環状の指標板と、この指標板の透視部に臨む液晶パネルからなる表示装置と、この表示装置と指標板との間に配置され透視部に対応する貫通孔を有するリング状の回転体と、透視部の内縁を通して回転体に装着され指標板上に延びる指針と、透視部を外れた箇所に配置され回転体を回転駆動させる駆動装置とを備え、駆動装置によって回転体を回転駆動することにより指標板上に延びる指針を回転移動させる構成である。
【0003】
一方、指針が発光するセンターレスタイプの指針式計器も知られており、例えば下記特許文献2には、表示装置を透視可能な透明円板からなる回転体に指針とこの指針を照明する発光ダイオードからなる光源を搭載し、この光源への電力供給を回転体の背面側に位置する帯状の可撓性導体(導電部材)にて行う点が記載され、この際、可撓性導体は、回転体に対して同心的に湾曲され且つ180度曲げ返し部を備えており、回転体の移動に伴って可撓性導体も移動するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−131099号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2000−186948号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2記載の指針式計器は、回転体の移動に伴って可撓性導体を移動させる構成であるため、可撓性導体を自由に移動させるスペースが必要であり、また回転体の背後に表示装置を配置する場合に表示装置を避けて可撓性導体を引き回す必要がある。このため設計自由度の低下や装置全体の大型化、適用し得る表示装置のサイズが制約される等の問題がある。
また、特許文献2記載の指針式計器に限らず、センターレスタイプの指針式計器にあっては、その構造上、高さ寸法が大型化しやすい。このため、回転体もできる限り薄型のものを使用するのが望ましいが、回転体を薄型にすると、剛性強度が低下するという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、通電スペースの縮小化を図ることが可能な指針式計器を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、第1の透視部とこの第1の透視部を取り巻く指標部とを有する指標板と、前記第1の透視部に対応する第2の透視部が形成される回転体と、この回転体に固定され前記第1の透視部の周囲を前記指標部に沿って移動する透光性材料からなる指針と、前記回転体に対し固定され前記指針を発光させる光源と、前記回転体を回転駆動し前記指針を移動させる駆動装置と、前記第1,第2の透視部を通じて観察者に所定情報を表示する表示装置とを備え、前記回転体に一部が前記光源に接続され、他の一部が他の電気部材に導通接続される導電部材を固定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記導電部材が前記第2の透視部を取り巻くように前記回転体の回転方向に延びることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記導電部材の他の一部が前記電気部材に摺動接続されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記回転体が合成樹脂でなり、前記導電部材が外部に露出するよう前記回転体内に埋設される金属材でなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記表示装置の外形サイズが前記第1の透視部よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明による指針式計器の実施形態を説明する。図1〜図7は、本発明の第1の実施形態を示すもので、図1は本実施形態による指針式計器の正面図、図2はその概略構成を示す分解斜視図、図3は図1のA−A断面図、図4は本実施形態に採用される回転体の正面図、図5は本実施形態に採用される支持体の正面図、図6は回転体の要部を示す正面図、図7は本実施形態に採用される導電部材と他の電気部材との接続状態を示す要部断面図である。
【0014】
本実施形態による指針式計器は、図1〜図3に示すように、指標板1と、この指標板の背後に配置に配置される支持板2と、この支持板2の背後に配置される回転体3と、指針4と、光源5と、後述する第1,第2の透視部の外側に配置される駆動装置6と、回転体3を回転可能に支持する支持体7と、この支持体7の背後に配置される表示装置8と、この表示装置8の背後に位置する回路基板9とを備えている。
【0015】
指標板1は、第1の透視部11を構成する例えば円形の貫通孔を有する概略円環形状の板材からなり、第1の透視部11の周囲には、指針4の移動経路に沿って円弧状に配列された文字や目盛等の指標部12を備えている。これら指標部12は、図3に示すように、概略円環プレート形状を有する基材13上にスクリーン印刷等の手段により形成されている。この場合、基材13は、電界発光素子(EL)からなり、電界発光素子を構成する封止フィルム(例えばPETフィルム)上に直接スクリーン印刷することで、指標部12が形成されており、従って、基材13を構成する電界発光素子が発光すると、指標部12が発光するようになっている。
【0016】
支持板2は、指標板1を背後から支持する遮光性合成樹脂板からなり、第1の透視部11に対応した貫通孔21を備えている。
【0017】
回転体3は、第1の透視部11に対応する形状の貫通孔からなる第2の透視部31を有する概略円環形状の板材からなり、その材質は合成樹脂からなる。この回転体3には、歯車部32と、指針支持部33と、段部34とが形成される他、導電部材35が固定されている。
【0018】
歯車部32は、回転体3の円板部外周の全周にわたって形成されており、駆動装置6の後述する駆動歯車に連結される。
【0019】
指針支持部33は、第2の透視部31の内縁から第1の透視部11側に延びるボス形状を有しており、その上端側にて指針4と光源5の双方を支持する。
【0020】
段部34は、回転体3の円板部背面であって、第2の透視部31を取り巻くように形成され、支持体7の後述する内側環状突出部に嵌合する。
【0021】
導電部材35は、図4に示すように、第2の透視部31を取り巻くように回転体3の回転方向に延びる2本の独立した導電路を形成する略環状の金属板からなり、その一部(背面)が外部に露出するようにインサート成型等の手段により回転体3内に埋設されている。
【0022】
そして、これら導線部材35の一部(指針側端部:第1の部分35a)は、図6に示すように、指針支持部33側に引き回され、光源5に導通接続された後述する接続部材と半田付け等の手段により接続される。一方、導電部材35の他の一部(回転方向に延びる環状部分:第2の部分35b)は、図5に示すように、支持体7に固定した後述する端子(他の電気部材)に接触し、回転体3の回転に応じて端子に摺動接触し、光源5に対する電力供給路を形成する。
【0023】
指針4は、透光性の合成樹脂からなり、光源5と共に指針支持部33に装着固定され、さらにその一部が光源5と共に遮光性カバー41によって覆われる。そしてこのように光源5と共に指針支持部33に装着されることで指針4は、第2の透視部31及び第1の透視部11を介して回転体3に固定され、回転体3の回転により、指標板1上で指標部12を指示し、また光源5の光を受けて線状に発光する。
【0024】
光源5は、例えば発光ダイオードからなり、その発光部が指針4の先端側を向くように指針4の端面に対向配置されている。この光源5には、例えばFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)からなる可撓性を有する接続部材51が接続され、この接続部材51は、図3に示すように、回転体3の指針支持部32を通って回転体3の円板部背面に引き回されて、導電部材35の第1の部分35aに電気接続される。
【0025】
駆動装置6は、例えばステッピングモータや交差コイル式ムーブメントからなり、第1,第2の透視部11,31の外側(回転体3の外周側)に位置して回路基板9上に配置されている。この駆動装置6の回転軸61には、回転体3の歯車部32に連結される駆動歯車62が固定され、駆動装置6が計測量に応じて回転させることにより、回転体3に固定された指針4が指標板1の指標部12を指示する。
【0026】
支持体7は、第1,第2の透視部11,31及び貫通孔21に対応する貫通孔71を有する概略環状形状を有する合成樹脂部材からなる。この支持体7には、内側環状突出部72と外側環状突出部73と底壁部74とで形成される断面略凹形状のガイド部を有し、このガイド部内によって回転体3を背後から回転可能に支持している。また底壁部74の回転体3側の適所には、図5,図7に示すように、導電部材35の第2の部分35bに摺動接続される一対の端子Tが固定されている。
【0027】
これら端子Tは、導電性金属材からなり、導電部材35に接触する側はバネ性を有する弾性片として形成され、この弾性片には導電部材35の第2の部分35aに摺動接触(点接触)して光源5への給電経路の一部を構成する接点部T1が形成されている。また弾性片とは反対側の部分は、支持体7の外側に突出し、その突出部分は電気コネクタCNに電気接続される。なお端子Tの支持体7への固定は、任意であるが本実施形態では導電部材35と同様、インサート成型等の手段により埋設固定されている。また本実施形態では電気コネクタCNを使用したが、端子Tを回路基板1に半田付けやコネクタ接続してもよい。
【0028】
表示装置8は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)型の液晶表示素子または有機電界発光素子からなる表示パネル81を枠体82内に組み込んでなり、枠体82の開口部83によって規定される表示パネル81の表示面が第1,第2の透視部11,31に臨むように、回路基板9上に配置されている。ここで枠体82を含めた表示装置8の外形サイズは、図1に示すように、第1の透視部11よりも大きく形成され、第1の透視部11を通して表示装置8を見たとき、表示パネル81の表示面が視認され、枠体82や開口部83は不可視となるように設定されている。なお表示装置8の表示情報は任意であるが、一例として例えば走行距離情報、ナビゲーション情報、シフトポジション情報、外気温情報の他、各種映像情報が挙げられる。
【0029】
回路基板1は、硬質の回路基板からなり、駆動装置6、表示装置8、電界発光素子からなる基材13、光源5の動作を制御する図示しない駆動制御回路が搭載されている。
【0030】
以上のように、本実施形態による指針式計器は、第1の透視部11とこの透視部11を取り巻く指標部12とを有する指標板1と、この指標板1の背後に配置され第1の透視部11に対応する第2の透視部31が形成される回転体3と、第1の透視部11または指標部12の外側を介して回転体に固定され第1の透視部11の周囲を指標部12に沿って移動する透光性材料からなる指針4と、回転体3に対し固定され指針を発光させる光源5と、第1,第2の透視部11,31の外側に配置され回転体3を回転駆動することにより指針4を移動させる駆動装置6と、回転体3の背後に配置され第1,第2の透視部11,31を通じて観察者に所定情報を表示する表示装置8とを備えており、回転体3に一部が光源5の接続部材51に接続され、他の一部が端子(他の電気部材)Tに導通接続される導電部材35を固定したことにより、通電スペースの縮小化を図ることが可能となり、設計自由度の低下や装置全体の大型化を抑制することができる。
また光源5に電力を供給する導電部材35が表示装置8を配置する上で障害となることを抑制でき、この結果、大型の表示装置8、例えば第1の透視部11のサイズよりも大きな外形サイズの表示装置8を搭載でき、その分、情報表示エリアを広くし、商品性を向上させることができる。
【0031】
また、導電部材35を回転体3の補強材となすことができるため、回転体3の厚みを薄くでき、その分、指針式計器の薄型化するこことができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、導電部材35が第2の透視部31を取り巻くように回転体3の回転方向に延びる形状を有することにより、補強強度を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、導電部材35の他の一部(第2の部分)を端子(電気部材)T1に摺動接続したことにより、光源5への給電構造をコンパクトにすることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、回転体3が合成樹脂でなり、導電部材35が外部に露出するよう回転体3内に埋設される金属材でなることにより、補強と薄型化の双方を達成することができる。
【0035】
また本実施形態では、第1,第2の透視部11,31及び各貫通孔21,71を貫通部分により設けたが、表示装置8を透視できれば、透明または半透明な部分であってもよい。また本実施形態では第1,第2の透視部11,31及び貫通部21を介して指針4を回転体3の指針支持部32に固定したが、指標板1や支持板2の外側を通じて指針4を回転体3に装着してもよい。
【0036】
また本実施形態では、導電部材35として金属材を埋設したが、硬質回路基板のごとき導電部材を回転体3に固定してもよいし、特に補強を考慮しないのであれば、FPCのごとき可撓性を有する導電部材を固定したり、導電性合成樹脂により導電部材を設けてもよい。
【0037】
また本実施形態では、光源5を回転体3の指針支持部32に装着する例を示したが、光源5は指針4に固定してもよい。
【0038】
また本実施形態では、導電部材35と光源5とを接続部材51により電気接続したが、導電部材35に直接光源5を電気接続してもよい。
【0039】
また本実施形態では、指標板1の背後に回転体3を配置したが、回転体3は、指標板1の前方に配置してもよい。
【0040】
図8,図9は、本発明の第2の実施形態として、一対の導電部材35を回転体3に埋設するにあたり、各導電部材を連結部を介して一体化した状態で回転体3に埋設し、その後、その連結部を周囲の合成樹脂と共に打ち抜きいて除去することにより、両導電部材の絶縁性を確保したものであり、図8は、除去前の回転体の要部を示す正面図、図9は除去後の回転体の要部を示す正面図である。
【0041】
すなわち、導電部材35を回転体3にインサート成形するにあたり、まず、連結部350(複数)を介して互いに接続された状態で、各導電部材35を回転体3に埋設する(図8参照)。その後、連結部350及びその周囲の合成樹脂部分(図8中、一点鎖線による丸囲み参照)を打ち抜いて除去し、各導電部材35の絶縁を図る(図9参照)。従って、打ち抜き後の回転体3には、打ち抜き除去による孔部351が存在することになる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、各導電部材35を連結部350を介して一体化した状態で回転体3に埋設し、その後、その連結部350を周囲の合成樹脂と共に打ち抜きいて除去することにより、各導電部材35を別々に成形型にセットする必要がなくなり、成形作業性を向上させることができる。
【0043】
図10は、本発明の第3の実施形態を示す断面図であり、本実施形態では、導電部材35によって、回転体3の強度的に弱い箇所となる指針支持部33と円板部との接合部Pを補強したものである。
【0044】
すなわち、導電部材35の第1の部分35aを、接合部Pを補強し得る位置(少なくとも接合部Pを裏打ちできる位置)まで延長して延長部35cを設け、この延長部35cにて接合部Pを裏打ち補強したものである。なお接合部Pは、指針支持部33に指針4や光源5等を取り付ける際、応力が集中しやすい箇所である。
【0045】
このように、本実施形態によれば、導電部材35の延長部35cによって、接合部Pを裏打ちすることにより、この部分を補強して剛性を高めることができる。
【0046】
なお延長部35cは、接合部Pの剛性を高めることができればよく、例えば光源5付近まで延長してもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、初期の目的を達成することができ、通電スペースの縮小化を達成し得る指針式計器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による指針式計器の正面図。
【図2】同上実施形態の概略構成を示す分解斜視図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】同上実施形態に採用される回転体の正面図。
【図5】同上実施形態に採用される支持体の正面図。
【図6】同上実施形態に採用される回転体の要部正面図。
【図7】同上実施形態における導電部材と電気部材との接続状態を示す要部断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態による回転体の要部を示すもので、連結部打ち抜き前の状態を示す要部正面図。
【図9】同上実施形態による回転体を示すもので、連結部打ち抜き後の状態を示す要部正面図。
【図10】本発明の第3の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
1 指標板
2 支持板
3 回転体
4 指針
5 光源
6 駆動装置
7 支持体
8 表示装置
9 回路基板
11 第1の透視部
12 指標部
31 第2の透視部
35 導電部材
T 端子(他の電気部材)
Claims (5)
- 第1の透視部とこの第1の透視部を取り巻く指標部とを有する指標板と、
前記第1の透視部に対応する第2の透視部が形成される回転体と、
この回転体に固定され前記第1の透視部の周囲を前記指標部に沿って移動する透光性材料からなる指針と、
前記回転体に対し固定され前記指針を発光させる光源と、
前記回転体を回転駆動し前記指針を移動させる駆動装置と、
前記第1,第2の透視部を通じて観察者に所定情報を表示する表示装置とを備え、
前記回転体に一部が前記光源に接続され、他の一部が他の電気部材に導通接続される導電部材を固定したことを特徴とする指針式計器。 - 前記導電部材が前記第2の透視部を取り巻くように前記回転体の回転方向に延びることを特徴とする請求項1記載の指針式計器。
- 前記導電部材の他の一部が前記電気部材に摺動接続されることを特徴とする請求項1記載の指針式計器。
- 前記回転体が合成樹脂でなり、前記導電部材が外部に露出するよう前記回転体内に埋設される金属材でなることを特徴とする請求項1記載の指針式計器。
- 前記表示装置の外形サイズが前記第1の透視部よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の指針式計器。
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JP2003185989A JP2005017236A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 指針式計器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2005017236A (ja) |
Cited By (1)
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JP2021110731A (ja) * | 2019-12-31 | 2021-08-02 | ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス | 腕時計のためのディスプレイ機構 |
-
2003
- 2003-06-30 JP JP2003185989A patent/JP2005017236A/ja active Pending
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TWI830968B (zh) * | 2019-12-31 | 2024-02-01 | 瑞士商伊塔瑞士鐘錶製造公司 | 用於錶的顯示機構 |
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