JP2005017133A - 免疫組織化学的染色方法による抗原の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の抗原の検出方法は、呈色物又は発光物で抗原を多重染色する多重免疫組織化学的染色方法を用いて二以上の異なる抗原を検出する抗原の検出方法であって、非特異反応抑制処理を行なうことによって、一次抗体と非特異的に結合する非特異的結合物質へ非特異反応抑制物質を被膜し、前記一次抗体と非特異的結合物質との結合を抑制することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、抗原の検出方法に関し、特に、多重免免疫組織化学的染色方法を用いた抗原の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の免疫科学の進歩により、抗原抗体反応を用いて微量の物資を感度良く検出する免疫測定が広く用いられている。免疫測定の中で一般的なものとして、免疫組織染色及び酵素免疫測定がある。
【0003】
免疫組織染色とは、組織上の特定の抗原を、その抗原を特異的に認識する抗体によって検出する方法である。通常、組織を固定後パラフィン包埋したブロックから薄切した切片上に特定の抗原を認識する抗体を反応させ、反応した抗体の有無から抗原の存在を判断する。最初に抗原と反応させる抗体を、通常、第一抗体と呼ぶ。第一抗体に、視覚又は機器により検出し得るシグナルを発する物質を結合させておけば、そのシグナルの強度から第一抗体の量がわかり、それは即ち切片上の抗原の量に対応する。この目的を達成するためのシグナルを発する物質として蛍光物質、酵素などが挙げられる。
【0004】
光学顕微鏡での染色像の解析が可能となった現在では、シグナルを発する物質として酵素を用いるのが一般的となった。免疫組織染色を行なう際、第一抗体に酵素を結合させておけば、その酵素の発色性の基質を加えることにより酵素活性に対応した発色が得られ、それは抗体の量に対応、即ち組織上に存在する抗原の量に対応する。しかし、この方法では通常十分な感度が得られない。
【0005】
抗原を検出する免疫組織化学的染色方法には、一次抗体を可視化できる酵素や標識物で標識したものを用いる直接法と一次抗体を標識せずに二次抗体を標識する間接法があることが記載されている(酵素抗体法 学際企画 20002.2.18発刊、p.23−25(以下、非特許文献1という))。一般に、間接法には、抗原を一次抗体で標識した後に、この特異抗体を標識する間接法に属するペルオキシダーゼ抗ペルオキシダーゼ法(以下、PAP法という)、ストレプトアビチンービオチン複合体法(以下、sABC法という)、二次抗体と標識酵素とのポリマーへ結合させたポリマー試薬法、FITCで標識した一次抗体ないし二次抗体をHRP標識抗FITC抗体を用いる方法、sABC法に異化レポーター沈着反応(以下、CARDという)を追加した超高感度の免疫組織化学的染色方法がある。
【0006】
PAP法は、「改訂四版 渡辺・中根 酵素抗体法 名倉宏、長村義之、堤寛編 学際企画 20002.2.18発刊、非特許文献1」に記載されている。これには、ウサギの一次抗体を反応させ、次ぎに、過剰なブタ抗ウサギ抗体を反応させる方法である(当該文献、p.136−138)。ブタ抗ウサギ抗体の2つのウサギ抗体に対する結合部の一つに、ウサギ抗HRP抗体とHRPを可溶性結合させた複合体(PAP複合体)を抗原抗体反応で結合する。HRPと過酸化水素水とジアミノベンチジン等のカップリング色素で抗原の存在部位に呈色反応を生じさせる。ヘマトキシリン溶液で核を対比染色した後に、濃度の漸増するエタノール系列に切片を浸し脱水し、キシレンを浸透させ、カバーガラスでプラスチック溶剤を用いて封入する。
【0007】
次に、sABC法は、上記非特許文献1のp.138−144に記載されている。この方法によれば、固定組織パラフィン切片のパラフィンの除去、非特許文献1のp.163に記載されている0.03%過酸化水素水メータノール液に20分間浸し内因性ぺルオキシダーゼ活性を抑制し、リン酸緩衝液で親水化する。切片中の抗原を一次抗体で標識する。ビオチン化二次抗体を一次抗体と反応させ、ストレプトアビチン−HRP複合体で標識し、HRPと過酸化水素水とジアミノベンチジン等のカップリング色素で抗原の存在部位に呈色反応を生じさせる。ヘマトキシリン溶液で核を対比染色した後に、濃度の漸増するエタノール系列に切片を浸し脱水し、キシレンを浸透させ、カバーグラスでプラスチック溶剤を用いて封入する。
【0008】
また、HRP標識抗FITC抗体を用いる方法は、上記非特許文献1のp.158に記載されている。これによれば、sABC法と同様に固定標本切片を親水化し、FITC標識の一次抗体で抗原を標識するか、抗原と反応させた一次抗体をFITC標識二次抗体で標識し、そのFITCをHRPなどの酵素で標識した抗FITC抗体と反応させ、HRPなどの呈色反応で、抗原の検出を間接的に行う。ザイメッド社のホームページ(以下、非特許文献2という)に、商業的にこのキットの記載がある。
【0009】
また、特開2001−181299号(以下、特許文献1という)では、ポリマー試薬法が知られている。特許文献1では、ポリマーを担体として酵素(HRPなど)と抗体(蛋白)の複合体で、高感度に特異抗体で標識される物質の検出が可能との記載がある。この特許文献1の請求項13に、ポリマー試薬法の記載がある。また、上記非特許文献1のp.147に、以下に示すポリマー試薬法の実施法の記載がある。sABC法と同様に固定標本切片を親水化し、切片中の抗原を特異抗体と反応させ、二次抗体とHRP等の酵素とポリマーの複合体と反応させ、HRPなどの呈色反応で、抗原の検出を間接的に行う。商業的には、ENVISION、ChemMate ENVISIONがダコサイトメーション社から、simple stain systemがニチレイから、二次抗体の代わりに特異抗体と酵素とポリマーの複合体を用いるEPOS systemがダコサイトメーション社から供給されている。
【0010】
また、CARDは、米国特許第 5,731,158 号(以下、特許文献2という)に記載があり、この特許文献2では、claim 9に、ビオチン化タイラマイドや蛍光標識(フルオレスシン・イソサイアネート(FITC)等)タイラマイドの利用の記述がある。この特許文献2の請求項9に、ビオチン化タイラマイドのCARDの記載がある。上記非特許文献1のp.150−152とJImmunol Methods. 1989(以下、非特許文献3という)では、酵素反応での特異物質の沈着を特定の物質の検出の増幅に用い、超高感度の検出が可能であるとの記載がある。また、Lab Invest.(以下、非特許文献4という)では、化学固定された組織のパラフィン切片で、抗原回復処理と〔非特許文献1〕の標識シグナルの増幅法の組み合わせ(ImmunoMax法)で、化学固定された組織のパラフィン切片では検出できなかった抗原を検出することができるとの記載がある。上記非特許文献3及び上記非特許文献4に、超高感度の免疫組織化学的染色法の以下に示す実施法の記載がある。すなわち、sABC法と同様に固定標本切片を親水化し、抗原回復し、sABC法で抗原を標識し、HRPによるビオチン化タイラマイドを沈着させ、ストレプトアビチン−HRP複合体で標識増幅を行い、抗原の検出感度をsABC法の1000倍に増幅する超高感度の免疫組織化学的染色を行う方法である。この染色方法はImmunoMax法として報告され、商業的にはcatalyzed signal amplification (CSA) systemとしてダコサイトメーション社より供給されている。しかし、抗原回復による内因性ビオチンによる非特異反応は強く、非特許文献1のp164−165に記載の内因性ビオチンを0.1%アビチン溶液と0.01%ビオチン溶液に浸しマスクする方法を導入したものが開発された。そして、DENDRITIC CELLS 1997(以下、非特許文献5という)と平成10年度〜平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 HTLV−1関連疾患のHTLV−1超高感度組織科学的検出法による研究(以下、非特許文献6という)に記載のmodified ImmunoMax法が開発された。また、sABC法の代わりに、HRP標識抗FITC抗体を用いる方法に、HRPによるビオチン化タイラマイドを沈着させ、ストレプトアビチン−HRP複合体で標識増幅を行い、抗原の検出感度をHRP標識抗FITC抗体を用いる方法の1000倍に増幅する超高感度の免疫組織化学的染色方法がキット化され、非ビオチン法としてザイメット社から供給されている。さらに、米国特許第 6,203,989号(以下、特許文献5という)では、標的核酸を標識するin−situ hybridizationの増幅したシグナルを可視化する方法として、HRP、アルカリフォスファターゼなどの酵素反応の他に、蛍光標識(フルオレスシン・イソサイアネート(FITC)等)が利用できるとの記載がある。特許文献2の請求項9と特許文献5にCARDでの沈着したタイラマイドの標識に、蛍光物質を使う記載がある。
【0011】
現在、固定組織標本パラフィン切片中の二つ以上の抗原を検出する免疫組織化学的染色方法には、二つの抗原(以下、第1抗原と第2抗原と記載)を検出する場合には、第1抗原を検出し呈色反応物(以下カップリング色素という)ないし発光反応物の沈着を含む免疫組織化学的染色後に、沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物をpH3以下ないしpH9以上の緩衝液で洗浄することで除去し、第2抗原の免疫組織化学的染色を行う古典的多重免疫組織化学的染色方法がある。
【0012】
また、古典的多重免液組織化学的染色方法の、一般的な説明と実施法の解説が知られている(ザイメッド社のホームページ、p.191−194(http://www.zymed.com/)のNBA kit(非ビオチン法のキット)のページ(http://www.zymed.com/pindex/index9.html)。この染色方法で行われる沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物をpH3以下ないしpH9以上の緩衝液での洗浄は、一般に、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2が用いられ、第1抗原の免疫組織化学的染色を終えた固定組織パラフィン標本切片をこの緩衝液に浸し、室温で、数時間、攪拌させながらこの緩衝液を3度は交換することで行われると記載されている。また、この文献においては、加熱処理によって、抗原回復を行なうことも記載されている。すなわち、この文献のp.195に抗原回復の加熱処理を行うことで第1抗原の検出の免疫反応産物の沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物を無効又は除去する方法の説明の記載がある。この方法は、一般に、第1抗原の免疫組織化学的染色を終えた固定組織パラフィン標本切片を0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0に浸し、加熱型攪拌器やオートクレーブで加熱することにより行われる。抗原回復の加熱処理を行うことで第1抗原の検出の免疫反応産物の沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物を無効又は除去する方法の一つが、ダコサイトメーション社からキット化されて供給されている。
【0013】
その他に、免疫組織化学的染色方法に含まれる抗原抗体反応等の飽和状態を利用するか、抗原回復の加熱処理を行うことで第1抗原の免疫組織化学的染色の沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物を無効又は除去し、第2抗原を検出する免疫組織化学的染色の呈色ないし発光反応反応物の酵素反応における酵素を例えば西洋ワサビペルオキシダーゼからアルカリフォスファターゼに変えて実施する方法がある。
【0014】
また、第1抗原と第2抗原を検出する免疫組織化学的反応の特異抗体(以下一次抗体という)の抗原性の異なるものを用いるか、異なる抗原抗体反応ないし化学的反応で特異的に検出できる標識物例えばフルオレスシン・イソチオネート(以下FITCという)で標識した一次抗体を用いて、同時に第1抗原と第2抗原を標識し、その標識された二つの抗原を一次抗体の抗原性ないし標識物の特異性に依存して検出する方法がある。
【0015】
これらの二つ以上の抗原を検出する免疫組織化学的染色方法は多重免疫染色法と呼ばれるが、三つ以上の抗原を検出する方法は実用性があまり無く、実用性のある二つの抗原を検出する免疫組織化学的染色方法が二重免疫染色法と呼ばれている。この多重免疫染色法は、一般に、免疫組織化学的染色方法で一度検索された二つの抗原の関係を知る為に用いられる。
【0016】
また、免疫組織化学的染色における非特異反応は、目的とする抗原以外の非特異的結合物質をも染色され、ひいては目的とする抗原として最終的に検出されてしまうという問題がある。
【0017】
このような非特異反応は、固定組織標本切片に内在する原因によるものと固定組織標本切片の処理に起因するもの、染色の各反応の試薬の問題、染色の各反応後の洗浄の問題、染色操作の問題が原因となるものがある。
【0018】
このような非特異的反応による問題を解決するために、内因性ぺルオキシダーゼ活性による非特異反応の抑制方法が知られている(上記非特許文献1のp.163)。内因性ぺルオキシダーゼ活性による非特異反応は、固定組織標本切片の内在する原因による非特異反応の一つである。内因性ぺルオキシダーゼ活性の抑制は、固定組織標本パラフィン切片のパラフィンを除き親水化の前に、0.03%過酸化水素メタノール溶液に切片を20分間浸すか、親水化後に0.3%過酸化水素リン酸緩衝液に5分間浸して行なう。
【0019】
抗体の非特異反応は、染色の各反応の試薬の問題、染色の各反応後の洗浄の問題による非特異反応に含まれる。染色に関わる非特異的反応の問題に対して、断片化免疫グロブリン抗体を特異(一次)抗体や二次抗体に用いることで非特異反応を抑制することが知られている米国特許第 5,869,274 号(以下、特許文献4という)では、特異抗体反応の前に一価の抗体を反応させることで、抗体の非特異反応を抑制できるとの記載がある。この特許文献4と上記非特許文献1のp.43)。非特許文献1のp. 185に、抗体希釈液に一次抗体と対応したウマ、ヒツジ、ウサギなどの動物血清を1%から5%加えることで非特異反応を抑制することの記載がある。また、非特許文献1のp.115に、0.25%カゼイン溶液を抗体反応の前に5〜30分間反応させることで非特異反応抑制することの記載がある。抗体希釈液に0.1%Tween20などの界面活性剤を添加したトリス緩衝液が商業的に供給され用いられている。
【0020】
また、抗原回復法による非特異反応は、固定組織標本切片の処理に起因するものであるが、超高感度の免疫組織化学的染色法で問題となる。その主たる原因が抗原回復された内因性ビオチンである。非特許文献1のp164−165に、0.1%アビチン溶液で、内因性ビオチンをマスクし、アビチンの残余ビオチンとの結合部を0.01%ビオチン溶液でマスクする方法の知られている。この方法をsABC法を含む超高感度の免疫組織化学的染色方法に導入することも知られている(Hasui K, Sato E, Tanaka Y, Yashiki S, Izumo S. (1997) Quantitative highly−sensitive immunohistochemistry(Modified ImmunoMax) of HTLV−1 p40tax and p27rex proteins in HTLV−1−associated non−neoplastic lymphadenopathy (HANNLA) with estimation of HTLV−1dose by polymerase chain reaction. DENDRITIC CELLS 1997 Japanese Dendritic Cell Society 7:19−27.(以下、非特許文献5という。))。この非特許文献5には、〔非特許文献2〕のImmunoMax法で、内因性ビオチンによる非特異反応があり、従来発表されているアビチン溶液とビオチン溶液でのビオチンのマスクを導入し、反応後の洗浄条件を変えることで、超高感度免疫組織化学染色が可能であるとの記載がある。(蓮井和久 平成10年度〜平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 HTLV−1関連疾患のHTLV−1超高感度組織科学的検出法による研究(課題番号 10670166))(以下非特許文献6という)。この文献には、平成12年3月 p.3−9では、HRPによるビオチン化タイラマイドの沈着反応による標識の増幅が1000倍であること、内印性ビオチンのマスク法の超高感度免疫染色法への至適導入部、各超高感度免疫組織科学的染色の反応後の洗浄、後固定の非特異反応抑制条件等の記載がある。
【0021】
免疫組織化学的染色法の洗浄液は、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、界面活性剤を加えたトリス緩衝液が用いられる。免疫組織化学的染色では、各反応後に、5分間3回の洗浄が行われる。非特許文献5と非特許文献6に、超高感度免疫組織化学的染色方法では、それに含まれるsABC法では充分な反応後の洗浄が必要であり、CARDのビオチン化タイラマイドの沈着は非特異なものであるので、非沈着ビオチン化タイラマイドの残留を除く洗浄と沈着ビオチン化タイラマイドのHRP標識ストレプトアビチンによる標識後のある程度の洗浄が必要になることの記載がある。また、非特許文献5と非特許文献6に、キャピラリーギャップ法の染色装置を用いた場合には、sABC法の充分な洗浄は35℃に加熱した界面活性剤を加えたトリス緩衝液で、HRPによるビオチン化タイラマイド沈着反応後は室温トリス緩衝液での洗浄が必要であるとの記載がある。
【0022】
一方、免疫組織化学的染色法の基準化の為に、自動免疫染色装置が普及してきている。キャピラリーギャップ法と呼ばれる2枚の固定組織標本切片のスライドグラスを向き合わせ、その間に毛細管現象を利用して反応液や洗浄液を吸い上げ、反応ないし洗浄後に吸収材で溶液を吸収する。この操作をコンピューター制御するものである。また、コンピューター制御で、反応液や洗浄液を所定の場所からマイクロポンプで吸引し、水平に配置した固定組織標本切片のスライドグラスに反応液や洗浄液を滴下する滴下型がある。この滴下型の自動免疫染色装置の染色方法は用手法と同じもので、普及して来ている。更に、加熱温度制御の出来る基盤の上に、基盤に固定組織標本切片を対面させてスライドガラスをセットし、反応液や洗浄液を基盤とスライドガラスの間に送り、温度制御下で諸反応と洗浄を行う自動免疫装置も出現している。
【0023】
自動免疫染色装置は、コンピューター制御下の装置で、組織化学的染色方法を実施するものである。組織標本の切片を貼付したスライドの装置へのセットの方法で、二枚のスライドを狭い間隙で重ね、その間に毛細管現象で反応試薬等は入ってくるキャピラリーギャップ法とその変法、スライドに反応試薬等を滴下する滴下型がある。また、免疫組織染色方法の各反応の時間、各反応後の洗浄の方法等をコンピューターのプログラムとして供給されているものと、各反応の試薬の各スライドへの分配、各反応の時間、各反応後の洗浄方法を、任意に設定できるものがある。前者は、特定の免疫組織化学的方法を実施するもの(固定型装置)であり、一般に、その試薬や洗浄液等が共に供給されることが多い。後者は、その使用者の設定した免疫組織化学的染色法を実施させることが可能なもの(自由型装置)がある。米国特許第 6,349,264号(以下、特許文献3という)では、コンピューター制御による水平に配列したスライドへの滴下方式での自動免疫染色装置の記載がある。この特許文献3に、この自由型装置の記載がある。また、Appl Immunohistochem Mol Morphol. 2001 Mar(以下、非特許文献7という)では、抗原回復を加熱式攪拌装置での熱処理による抗原回復法と従来発表されているアビチン溶液とビオチン溶液でのビオチンのマスクを導入した超高感度免疫染色法(CSA法)の自動免疫染色装置での実施が可能であるとの記載がある。この非特許文献7には、この自動免疫染色装置での超高感度の免疫組織化学的染色が可能であると記載されている。http://www.ventanadiscovery.com/product/index.html(以下、非特許文献8という)では、加熱温度制御の出来る基盤の上に、基盤に対応する面に固定組織標本切片が来る形でスライドグラスをセットし、反応液や洗浄液を基盤とスライドグラスの間に送り、温度制御下で諸反応と洗浄を行う自動免疫装置(The Ventana Discovery)の記載がある。この非特許文献8には、加熱温度制御の出来る基盤の上に、基盤に対面して固定組織標本切片のスライドガラスをセットし、反応液や洗浄液を基盤とスライドガラスの間に送り、温度制御下で諸反応と洗浄を行う自動免疫装置の記載がある。
【0024】
【特許文献1】
特開2001−181299号公報(株式会社ニチレイ、平成13(2001)年7月3日、酵素−タンパク質複合体)。
【特許文献2】
米国特許第 5,731,158 号公報明細書 (Bobrow, et al. March 24, 1998, Catalyzed reporter deposition)。
【特許文献3】
米国特許第 6,349,264号公報明細書 (Rhett, et al. February 19, 2002 Method and apparatus for automatic tissue staining)。
【特許文献4】
米国特許第 5,869,274 号公報明細書 (Tsao, et al. February 9, 1999 Immuno−histochemical method that reduces background staining )。
【特許文献5】
米国特許第 6,203,989号公報明細書 (Goldberg , et al. March 20, 2001 Methods and compositions for amplifying detectable signals in specific binding assays )。
【非特許文献1】
改訂四版 渡辺・中根 酵素抗体法 名倉宏、長村義之、堤寛編 学際企画 20002.2.18発刊
【非特許文献2】
ザイメッド社のホームページ(http://www.zymed.com/)のNBA kit(非ビオチン法のキット)のページ(http://www.zymed.com/pindex/index9.html)
【非特許文献3】
Bobrow MN, Harris TD, Shaughnessy KJ, Litt GJ. Catalyzed reporter deposition, a novel method of signal amplification. Application to immunoassays. J−Immunol−Methods. 1989 Dec 20; 125(1−2): 279−85。
【非特許文献4】
Merz H, Malisius R, Mannweiler S, Zhou R, Hartmann W, Orscheschek K, Moubayed P, Feller AC (1995) ImmunoMax. A maximized immunohistochemical method for the retrieval and enhancement of hidden antigens. Lab Invest. The United States and Canadian Academy of Pathology. LWW, Lippincott Williams and Wilkins publishes 1995 Jul;73(1):149−56.。
【非特許文献5】
Hasui K, Sato E, Tanaka Y, Yashiki S, Izumo S. (1997) Quantitative highly−sensitive immunohistochemistry (Modified ImmunoMax) of HTLV−1 p40tax and p27rex proteins in HTLV−1−associated non−neoplastic lymphadenopathy (HANNLA) with estimation of HTLV−1 dose by polymerase chain reaction. DENDRITIC CELLS 1997 Japanese DendriticCell Society 7:19−27。
【非特許文献6】
蓮井和久 平成10年度〜平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 HTLV−1関連疾患のHTLV−1超高感度組織科学的検出法による研究(課題番号 10670166)。
【非特許文献7】
Hashizume K, Hatanaka Y, Kamihara Y, Tani Y. Automated immunohistochemical staining of formalin−fixed and paraffin−embedded tissues using a catalyzed signal amplification method. Appl−Immunohistochem−Mol−Morphol. 2001 Mar; 9(1): 54−60。
【非特許文献8】
http://www.ventanadiscovery.com/product/index.html。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した古典的多重免液組織化学的染色方法において、沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物を0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2等で除去するには、室温で数時間要し、完全な除去の達成の指標がなく、基準化されていない。また、カップリング色素は、HRPでも複数あり、その組み合わせが明らかにされていない。ダコサイトメーション社からキット化され供給されているものは、加熱処理がその染色過程で必要とされ、自動免疫染色装置への導入が困難である等の問題がある。
【0026】
そこで、本発明は、抗原の検出に際して、検出時間の大幅な短縮、染色に用いる色素の選別、方法の自動化にも適する抗原の検出方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、一次抗体の非特異的反応の抑制に着目し、種々の緩衝液、非特異反応抑制物質を鋭意研究した結果、本発明の抗原の検出方法を見出すに至った。すなわち、本発明の抗原の検出方法は、呈色物又は発光物で抗原を多重染色する多重免疫組織化学的染色方法を用いて二以上の異なる抗原を検出する抗原の検出方法であって、非特異反応抑制処理を行なうことによって、一次抗体と非特異的に結合する非特異的結合物質へ非特異反応抑制物質を被膜し、前記一次抗体と非特異的結合物質との結合を抑制することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、前記非特異的反応抑制処理を、第一抗原と一次抗体との抗原抗体反応の前に行なうことを特徴とする。
【0029】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、前記非特異的反応抑制処理が、二次抗体と同種の動物血清による処理、スキンミルクによる処理、ノンファットミルクによる処理、及びガゼイン溶液による処理からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0030】
また、前記カゼイン処理を、0.025〜2.5%の範囲のカゼインを含む溶液により行なうことを特徴とする。
【0031】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、抗体に結合している免疫反応物であって、最後に検出する抗原以外の抗原を検出する免疫反応産物の呈色物又は発光物を除いたものを、pH3以下又はpH9以上の緩衝液で除去することを特徴とする。
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、さらに、非特異反応生成物、及びその他の残存反応物を除去するために、加熱した洗浄液によって洗浄する工程を含む、ことを特徴とする。
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、前記加熱した洗浄液の温度が、25〜60℃の範囲内であることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、前記呈色物又は発光物の除去を、前記最後に検出する抗原以外の抗原の同定後に行なうことを特徴とする。
【0033】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、免疫組織化学的染色方法が、異なる成分強度を有する複数の色素を用いて染色する方法であり、前記成分強度の差異に基づいて抗原を検出することを特徴とする。
【0034】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、前記成分が、R(赤)成分、B(青)成分、及びG(緑)成分からなることを特徴とする。
【0035】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、前記呈色物又は発光物が、可視化することができる物質であることを特徴とする。
【0036】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、可視化することができる物質が、免疫組織化学的反応の標識酵素の基質との反応で呈色ないし発光するカップリング物質であることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、可視化することができる物質が、西洋ワサビペルオキシダーゼ(以下、HRPという)、アルカリフォスファターゼ(以下、ALPという)、グルコースオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼからなる群からなることを特徴とする。
【0038】
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、反応液、反応時間、及び洗浄回数をプログラムして自動免疫装置に組み込み、自動化して行なうことを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の抗原の検出方法について概略を説明すれば、以下のようになる。すなわち、抗原回復処理(この処理は必須ではないが、抗原の抗原性をより高め、ひいては、目的抗原を検出しやすくするのに用いられる。)、洗浄、非特異反応抑制処理、特異抗体反応(一次抗体と第一抗原との抗原抗体反応)、前記抗原抗体反応した一次抗体と酵素を含む二次抗体との結合(複合体の形成)、第一抗原の同定、洗浄、の工程からなる。これらの工程を繰り返しながら、最終的に複数あるすべての抗原を検出せんとするものである。
【0040】
二以上の抗原は、通常、一つの固定組織標本切片中に設置させることができるので、このような固定組織標本切片を用いてもよい。ここで、固定組織(パラフィン包埋)標本切片について説明すると、固定組織(パラフィン包埋)標本とは、生物組織から切り出され、固定化された標本のことで、例えば、10%緩衝ホルマリン液等で化学固定され、濃度が漸増するエタノール溶液系列で水分が除かれ、100%キシレン等で浸透され、60℃前後の溶解したパラフィン等の溶液で浸透され、低温下でパラフィン等で固化された標本をいう。固定組織(パラフィン包埋)標本切片は、通常、薄切装置で作成されたその標本の3ミクロン前後の厚さの切片で、適切に処理されたスライドに貼付されている。固定組織パラフィン標本切片が免疫組織化学的染色に供される時には、100%キシレンに浸透することでパラフィンを除き、100%エタノールでそのキシレンを置換した後に、リン酸緩衝液等に浸透して、親水化される。
【0041】
次に、本発明の方法の原理について説明する。図1は、古典的二重免疫組織化学的染色方法による局在の異なる第1と第2抗原を検出した場合の産物の概念図を示す。図1では、説明を簡略化するために2つの抗原を用いるが、本発明は2つの抗原に限定されることを意図するものではなく、複数の抗原の検出を行なうことが可能である。従来の方法では、第1抗原の一次抗体とその検出の酵素を含む複合体の除去を行っても、完全には非特異的に結合した一次抗体の除去が出来ないので、結果として非特異的に結合した一次抗体を第2抗原の一次抗体の検出の酵素を含む複合体が検出し、それぞれの一次抗体の非特異的結合部に、第1と第2抗原の検出の為のカップリング色素の共染が見られる。これに対して、本発明の方法では、一次抗体の非特異結合を非特異反応抑制処理で抑制され、一次抗体とその酵素を含む検出複合体が除去されているので、第1抗原の周囲には沈着したカップリング色素のみが存在し、第2抗原には一次抗体とその酵素を含む検出複合体とその酵素のカップリング色素が存在する。古典的二重免疫染色方法以外の二重免疫染色でも、一次抗体の非特異結合反応の抑制を実施しない場合には、第1と第2抗原の検出の為のカップリング色素の共染を認めることになる。従って、本発明においては、非特異的結合物質に抗体等が結合することはないので、目的の抗原のみを精度良く検出することが可能であり、従来の方法と本発明の二重免疫組織化学的染色方法の最終産物は異なることが理解出来る。
【0042】
本発明の抗原の検出方法では、呈色物又は発光物で抗原を多重染色する多重免疫組織化学的染色方法を用いて二以上の異なる抗原を検出する。多重染色とは、複数の色素を用いて免疫組織染色する方法である。
【0043】
本発明では、当該多重免疫組織化学的染色を用いて、さらに、非特異反応抑制処理を行なうことによって、一次抗体と非特異的に結合する非特異的結合物質へ被膜し、前記一次抗体と非特異的結合物質との結合を抑制する。
【0044】
ここで、非特異反応抑制処理とは、広く、一次抗体と、非特異反応結合物質との結合を抑制する処理を意図し、このような作用があれば、特に限定されるものではない。このような非特異反応抑制処理として、例えば、カゼインによる処理、二次抗体と同種の動物血清、スキンミルク乃至ノンファットミルク、からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。スキンミルク、ノンファットミルクは、特に血清中の酵素等の活性を避ける為にも用いることができる。
【0045】
また、前記カゼイン処理を、0.025〜2.5%の範囲のカゼインを含む溶液により行なうことが好ましい。このような範囲としたのは、さらに好ましくは、0.1〜1.0%の範囲、最も好ましくは、0.25%±0.1%である。
【0046】
本発明においては、複数の抗原を検出することが事実上可能であるが、第一抗原(最初に検出する抗原)から第n抗原(最後に検出する抗原、n=1,2,3・・・)を検出する場合、抗体に結合している免疫反応物であって、最後に検出する抗原(第n抗原)以外の抗原(第1〜(n−1)抗原)を検出する免疫反応産物の呈色物又は発光物を除いたものを、pH3以下又はpH9以上の緩衝液で除去することが好ましい。pH3以下又はpH9以上としたのは、pH3以下又はpH9以上では、抗原抗体反応が起こらないので、結合していた一次抗体が抗原から離れ、ひいては抗体に結合している免疫反応物であって、カップリング色素(呈色物、発光物)を除いたものを除去できるという観点からである。
ここで、抗体に結合している免疫反応物であって、最後に検出する抗原(第n抗原)以外の抗原(第1〜(n−1)抗原)を検出する免疫反応産物の呈色物又は発光物を除いたものについて、具体的に述べると、ABC法の場合、一次抗体、ボオチン標識二次抗体、酵素標識アビチンを意味する。また、ポリマー法の場合、一次抗体、酵素、二次抗体を標識したポリマーを意味する。
また、本発明の抗原の検出方法の好ましい実施態様において、さらに、非特異反応生成物、及びその他の残存反応物を除去するために、加熱した洗浄液によって洗浄する工程を含む。この工程において、非特異的反応生成物及び残存反応物を除去することができる。また、前記加熱した洗浄液の温度が、25〜60℃の範囲内であることを特徴とする。かかる温度範囲では、抗原抗体反応が起こり、ひいては、非特異的反応生成物及び残存反応物の充分な除去が可能となる。
【0047】
また、前記呈色物又は発光物を除いたものの除去を、最後に検出する抗原以外の抗原の同定後に行なうことができる。これは、それ以降で行なわれる工程の抗原の検出への影響を最小限度にするという観点からである。但し、特殊な第1と第2抗原に対する一次抗体の二次抗体を含む検出系の組み合わせが可能な場合には、このような洗浄は特に要求されない。このような特殊な例として、CD68とFacinとによる二重染色(実施例4)を挙げることができる。
【0048】
ここで、免疫組織化学的染色方法について説明すると、これは、組織上の特定の抗原を、その抗原を特異的に認識する抗体によって検出する方法である。本発明においては、免疫組織化学的染色方法が、異なる成分強度を有する複数の色素を用いて染色する方法であり、前記成分強度の差異に基づいて抗原を検出することができる。これは、異なる成分強度を有する複数の色素を用いれば、原理的に複数の抗原の検出が可能となるからである。成分強度の差異に基づいて検出するとは、例えば、色素としてジアミノベンチジン(DAB)と、シアミノベンチジンニッケル(DAB−Ni)を用いた場合、DABはR成分の強度が高く、DAB−NiもR成分の強度が高いが(表2)、各成分比から相対的には、DABのR成分強度が、他のG,B成分と比較して高いといえる。実際に、デジタル電子顕微鏡画像をRGB分解して、R、G、B成分として解析した場合、DABでは、GとBとの成分を強く反映する一方で、DAB−Niは、R,G,B成分を均等に強く反映するという異なる結果を表示する。したがって、これらの強度差を利用すれば、抗原の検出も可能となる。
【0049】
好ましい実施態様において、前記成分が、R(赤)成分、B(青)成分、及びG(緑)成分からなる。このようなRGB成分を採用したのは、カラー図における各カップリング色素の組み合わせを白黒図でも理解できるようにという観点からであり、採用する成分として特に限定されることを意図するものではない。前記呈色物又は発光物は、また可視化することができるものが好ましい。
【0050】
また、当該呈色物又は発光物は、標識物質との反応で呈色乃至発光するカップリング物質であることが好ましい。さらに、好ましくは、可視化することができる物質が、免疫組織化学的反応の標識酵素の基質との反応で呈色ないし発光するカップリング物質である。このように標識酵素の基質との反応で呈色乃至発光するものとしたのは、免疫染色された標本の観察に光学顕微鏡と蛍光顕微鏡又はレーザー共焦点顕微鏡が用いられるという観点からである。
【0051】
可視化することができる物質としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(以下、HRPという)、アルカリフォスファターゼ(以下、ALPという)、グルコースオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼを挙げることができる。可視化することができる物質は、一般的で汎用性が高いという観点から、HRP、ALPを挙げることができる。
【0052】
免疫組織化学的反応の標識酵素の基質との反応で呈色するカップリング色素としては、HRPでは、過酸化水素を基質に、一般に用いられるジアミノベンチジン(以下、DABという)、アミノエチルカルバゾール(以下、AECという)の他に、ベクター社からVIP、SG、NovaRED、TMBと呼ばれる色素が供給されている。ALPでは、ナフトールAS−BIリン酸ナトリウム等を基質に、ファストレッド、ファストバイオレット、ファストブルー、ニューフクシン、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシルフォスフェート/ニトロブルーテトラゾリウ等のカップリング色素がある。
【0053】
また、本発明の好ましい実施態様において、反応液、反応時間、及び洗浄回数をプログラムして自動免疫装置に組み込み、自動化して行なうことが可能である。
【0054】
すなわち、市販の自動免疫組織化学的染色装置に、上記反応液、反応時間、及び洗浄回数などの情報をプログラムして導入し、自動化して行なうことができる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定して解釈される意図ではない。
【0056】
実施例1
本発明の多重免疫組織化学的染色方法の第1抗原と第2抗原を検出し一次抗体をポリマー試薬法を用いた二重免疫組織化学的染色方法は、次ぎの18工程により実施した。
1)固定組織パラフィン切片を、キシレンとエタノールにそれぞれ3〜5回、3〜20分間浸すことでパラフィンを除き、
2)0.3〜6% 過酸化水素水メタノール溶液に5〜30分間浸し、一次の内因性ぺルオキシダーゼの活性の抑制を行い、
3)0.005〜0.02Mリン酸緩衝液0.5〜1%塩化ナトリウム溶液(PBS)で洗浄し、固定組織標本切片の親水化を行い、
4)抗原に対応した抗原回復処理(一般的には、0.001〜0.02Mクエン酸緩衝液等に切片を浸し、オートクレーブで110〜140℃、1〜15分間の熱処理を行い、冷却後に、0.01〜0.1Mリン酸緩衝液0.85%塩化ナトリウム溶液(以下、PBSという)に浸す。)を行い、
5)自動免疫染色装置に固定組織標本切片を配置し、
6)25〜60℃に加熱した0.01〜0.2%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(tween 20)を含む0.5〜1%塩化ナトリウムを加えた0.01〜0.1Mトリス緩衝液(以下、TBSという)洗浄液で1〜4回洗浄し、
7)0.1〜1%カゼイン溶液に2〜30分間反応させ、第1抗原に対する一次抗体の非特異反応の抑制前処理を行い、
8)第1抗原に対する一次抗体の至適希釈溶液と至適反応時間(13分間〜2時間)で反応させた後、25〜60℃に加熱したTBS洗浄液で2〜5回洗浄し、
9)反応した一次抗体をポリマー試薬を10分間〜1時間反応させて標識し、25〜60℃前後に加熱したTBS洗浄液で2〜5回洗浄し、
10)対応した酵素の発色剤(HRPであればヂアミノベンチジン(以下、DABという)ないしヂアミノベンチジンニッケル(以下、DAB−Niという)ないしベクター社のSGと過酸化水素)の溶液で呈色反応させ、25〜60℃前後に加熱したTBS洗浄液で2〜5回洗浄し、
11)pH3以下かpH9以上の緩衝液、例えば、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2、を1分間、3回反応させ、25〜60℃前後に加熱したTBS洗浄液で2〜5回洗浄し、
12)0.1〜1%カゼイン溶液に2〜30分間反応させ、第2抗原に対する一次抗体の非特異反応の抑制前処理を行い、
13)第2抗原に対する一次抗体の至適希釈溶液と至適反応時間(13分間〜2時間)で反応させた後、25〜60℃に加熱したTBS洗浄液で2〜5回洗浄し、
14)反応した一次抗体をポリマー試薬を10分間〜1時間反応させて標識し、25〜60℃前後に加熱したTBS洗浄液で2〜5回洗浄し、
15)対応した酵素の発色剤(HRPであれば工程10で用いた色素以外のDABないしDAB−Niないしベクター社のVIP、SG、NovaREDの一つと過酸化水素)の溶液で呈色反応させ、25〜60℃前後に加熱したTBS洗浄液で2〜5回洗浄する。
16)ヘマトキシン等の溶液で、後対比染色を行い、水で1〜3回洗浄し、
17)自動免疫染色装置から固定組織標本切片を外し、
18)封入剤に対応した処理を行い、超高感度免疫染色を行った固定組織標本パラフィン切片を永久標本とし、光学顕微鏡下での抗原の検出となる。
【0057】
工程10と15で、ストレプトアビチンないし蛍光物質を標識した物質の沈着反応を行い、工程15と特異的に反応する抗体と蛍光物質の複合体溶液を用いる場合、その後に、蛍光物質による核等の対比染色を実施するか、実施せずに、染色は終了し、蛍光顕微鏡下での抗原の検出となる。
【0058】
工程7から10と工程12から15で、一次抗体を検出する免疫組織化学的染色で、ストレプトアビチンないし蛍光物質を標識した物質の沈着反応を行い、工程15と特異的に反応する抗体と蛍光物質の複合体溶液を用いる場合、その後に、蛍光物質による核等の対比染色を実施するか、実施せずに、染色は終了し、蛍光顕微鏡下での抗原の検出となる。
【0059】
自動化とは、上記工程5から工程15までの各反応液、反応時間、洗浄回数をプログラムして自動免疫染色装置に組み込み、染色を基準化することである。
【0060】
<溶液等の説明>
なお、用いた溶液等について説明すれば、以下の通りである。
キシレン
キシレンは、特級キシレンを用いた。
【0061】
エタノール
エタノールは、特級エタノールを用いた。
【0062】
0.3%過酸化水素水メタノール溶液
特級過酸化水素水(30%溶液)を、特級メタノールで100倍希釈したものを用いた。
【0063】
0.01Mリン酸緩衝液0.85%塩化ナトリウム溶液(PBS)
28.7gのリン酸水素第二ナトリウム・12水と3.3gのリン酸第二水素ナトリウム二水和物を1Lのイオン交換水に溶解した0.1Mリン酸緩衝液に、85gの塩化ナトリウムを加え、オートクレーブで完全に溶解し室温まで冷却し、10N 水酸化ナトリウム水でpHを7.6に調整したものを10倍溶液として、使用時に10倍にイオン交換水で希釈した。
【0064】
0.01Mクエン酸緩衝液等pH6.0
2.1gのクエン酸・一水和物と2.94gクエン酸三ナトリウム・二水和物を100 mlのイオン交換水にオートクレーブで加熱し溶解し、10N水酸化ナトリウム水でpHを6.0に調整し、イオン交換水で100mlに調節したものを10倍溶液とし、使用時に10倍にイオン交換水で希釈した。商業的には、10倍溶液がダコサイトメーション社やダイヤトロン社から供給されている。その他に、抗原回復には、
【非特許文献7】のp.114に記載されている1mMEDTA溶液pH8.0、などが用いられ、ダコサイトメーション社から供給されている。
【0065】
3%過酸化水素水PBS
特級過酸化水素水(30%溶液)を、28.7gのリン酸水素第二ナトリウム・12水と3.3gのリン酸第二水素ナトリウム二水和物を1Lのイオン交換水に溶解した0.1Mリン酸緩衝液に、85gの塩化ナトリウムを加え、オートクレーブで完全に溶解し室温まで冷却し、10N 水酸化ナトリウム水でpHを7.6に調整したものを10倍溶液として、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する0.01Mリン酸緩衝液0.85%塩化ナトリウム溶液(PBS)で100倍に希釈した。
【0066】
35℃前後に加熱した0.1%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(tween 20)を含む0.825塩化ナトリウム加0.05Mトリス緩衝液(TBS)洗浄液
121.1gのトリスハイドロオキシメチルアミノメタン(シグマ社)を800mlのイオン交換水で希釈しオートクレーブで加熱溶解後に、1N塩酸でpHを7.5に調整し、イオン交換水で1Lにした1Mトリス溶液500mlと、292.2gの塩化ナトリウムを800mlのイオン交換水でオートクレーブ加熱溶解しイオン交換水で1Lにした5M塩化ナトリウム溶液360mlを、イオン交換水で20Lに希釈し、0.1%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(tween 20)とした溶液。自動免疫染色装置の洗浄液タンクに入れて、35℃前後に加熱したものである。
【0067】
0.25%カゼイン溶液
25mgのカゼイン(シグマ社)を28.7gのリン酸水素第二ナトリウム・12水と3.3gのリン酸第二水素ナトリウム二水和物を1Lのイオン交換水に溶解した0.1Mリン酸緩衝液に、85gの塩化ナトリウムを加え、オートクレーブで完全に溶解し室温まで冷却し、10N水酸化ナトリウム水でpHを7.6に調整したものを10倍溶液として、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する0.01M PBSの10mlに希釈したもの。商業的には、ダコサイトメーション社から供給されている。
【0068】
0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2
グリシン7.5グラムを500mlのイオン交換水に溶解し、濃塩酸を滴下してpH2.2に調整し、イオン交換水を加えて1Lにする。
【0069】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコ ChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0070】
酵素の発色剤(カップリング色素)
ヂアミノベンチジン(DAB)
3,3’−ヂアミノベンチジン(以下DABという)四塩酸塩(同仁化学社)20mgを100mlの0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH.7.6)に溶解し、これに、過酸化水素原液20μlを加えて使用する。ダコサイトメーション社から、液状試薬としてK3466として供給されている。ベクター社からDAB基質キット(SK−4100)として供給されている。0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH.7.6)は、121.1gのトリスハイドロオキシメチルアミノメタン(シグマ社)を800mlのイオン交換水で希釈しオートクレーブで加熱溶解後に、1N塩酸でpHを7.6に調整し、イオン交換水で1Lにした1Mトリス溶液500mlと、292.2gの塩化ナトリウムを800mlのイオン交換水でオートクレーブ加熱溶解しイオン交換水で1Lにした5M塩化ナトリウム溶液360mlを、イオン交換水で20Lに希釈する。
【0071】
ヂアミノベンチジンニッケル(DAB−Ni)
DAB20mg、硫化ニッケル(NiSO4・(NH4)2SO4・6H2O)40mgを0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH7.6)100mlに溶解し、7μlの過酸化水素水原液を加え、ろ過して使用する。ベクター社からDAB基質キット(SK−4100)として供給されている。
【0072】
アミノエチルカルバゾール(AEC)
3ーアミノー9ーエチルカルバゾール(シグマ社)を0.4%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、保全液とする。保存液5mlを0.1M酢酸緩衝液pH5.0の95mlと混合し、20μlの過酸化水素水原液を加え、ろ過して用いる。0.1M酢酸緩衝液pH5.0は、99%酢酸11.5mlをイオン交換水で1Lとし、この14.8mlと酢酸ナトリウム16.4gないし酢酸ナトリウム・三水塩27.2gをイオン交換水に溶解し1Lとした0.2M酢酸ナトリウム水溶液35.2mlを混合し、イオン交換水を加えて100mlとする。ダコサイトメーション社からキットが供給されている。
【0073】
VIP、SG、NovaRED
それぞれ、西洋ワサビペルオキシダーゼの発色カップリング色素として、ベクター社から、SK−4600、SK−4700、SK−4800としてキット化され供給されている。
【0074】
ヘマトキシン等の溶液
上記の発色色素と区別できる色素溶液を用いた核ないし細胞質の染色で、後対比染色を行う。一般的には、ヘマトキシリン溶液が用いられる。ダコサイトメーション社から自動免疫染色装置での染色用にダコChemMateヘマトキシリン試薬が供給されている。
【0075】
封入剤に対応した処理
発色基質に合わせて、ジアミノベンチジンであれば、エタノール系列に浸しての脱水後に、プラスチック封入剤(オイキット)で封入し、長期の保存に耐える永久標本を作成する。AECでの発色では、ダコサイトメーション社から供給されるUltramount試薬で、70℃での加熱固化で永久標本を作成する。ベクター社の種々の発色基質では、冷風による乾燥後に、VectaMount封入剤で封入し乾燥固化し、永久標本を作成する。
【0076】
次に、実際に非特異反応抑制処理と緩衝液の効果を確かめるために試験を行なった。
【0077】
工程1から10(但し、工程7を除く)と16から18を行い、工程11のpH3以下かpH9以上の緩衝液として、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2を用い、工程11を工程9と10の間で0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2溶液を反応時間を変えて反応させる実験A、工程8と9の間で0.1Mグリシン塩酸緩衝pH2.2溶液を反応時間を変えて反応させる実験Bを行った。固定組織標本切片はヒト扁桃組織の10%ホルマリン固定パラフィン包埋標本切片を用い、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0でオートクレーブによる加熱による抗原回復を行い、リンパ小節に分布する樹状細胞等を標識する抗CD68抗体を用いた。工程9のポリマー試薬はダコChemMate ENVISION試薬を用いた。工程10の酵素はHRPでカップリング色素はDABを用い、工程18ではエタノールで脱水し、キシレンへ浸透し、プラスチック封入剤(オイキット)で封入した。
【0078】
実験Aは一次抗体と二次抗体と酵素が標識された複合体(ポリマー試薬)の除去効果を検討するものであり、実験Bは一次抗体の除去効果を検討している。ただし、工程7は実験A、Bでは実施せずに、実験B#では実施している。
【0079】
表1に示すように、実験Aでは、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2での反応時間を2、7、17、37、77分間の全てで,残留抗体産物を示すDAB反応は見られなかった。実験Bでは、淡い染色が77分の処理でも除去出来ていないことが判明した。この残存反応は,一次抗体の非特異的反応の結果である可能性が考えられたので,工程7の0.25%カゼイン溶液反応を行う(実験B#)と,1分のグリシン溶液反応でも一次抗体が除去されていることが判明した。図2のAは実験Bの、Bは実験B#の染色結果を示す。図2は、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2の反応なし(A1,A4,B1,B4)、17分間反応(A2,A5,B2,B5)、37分間反応(A3,A6,B3,B6)の染色結果を示す。図2のA5とB5、図2のA6とB6で、工程7の0.25%カゼイン溶液反応で、非特異反応の陽性像が図2B5とB6で消失していることが解る。
【0080】
従って、この実施例1で、工程11のpH3以下かpH9以上の緩衝液として、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2を用いた場合、1分間の反応で抗原抗体反応での抗体の結合は解離することが示された。従って、工程11で、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2を用いた場合、1分間3回の反応で、一次抗体反応の前に非特異反応を抑制する処理を行うと、固定パラフィン包埋標本切片に反応した一次抗体もその検出試薬も、除去できることが明らかになった。表1は、グリシン処理後の残留免疫組織化学的反応産物の評価結果を示す。
【0081】
【表1】
【0082】
<実施例1において行なった処理と用いた溶液等>
0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2
グリシン7.5グラムを500mlのイオン交換水に溶解し、濃塩酸を滴下してpH2.2に調整し、イオン交換水を加えて1Lにする。
【0083】
抗原回復
パラフィン等を除かれた固定組織パラフィン標本切片を、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0に浸し加熱処理する。加熱処理は、オートクレーブで行なう。
【0084】
0.01Mクエン酸緩衝液等pH6.0
2.1gのクエン酸・一水和物と2.94gクエン酸三ナトリウム・二水和物を100mlのイオン交換水にオートクレーブで加熱し溶解し、10N水酸化ナトリウム水でpHを6.0に調整し、イオン交換水で100mlに調節したものを10倍溶液とし、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する。商業的には、10倍溶液がダコサイトメーション社やダイヤトロン社から供給されている。
【0085】
抗CD68抗体
ダコサイトメーション社が供給しているマウス抗ヒトCD68マクロファージ抗体(PG−M1,M0876)で、50倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈する。
【0086】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0087】
酵素の発色剤(カップリング色素)
ヂアミノベンチジン(DAB)
ダコサイトメーション社から、液状試薬としてK3466として供給されている。
【0088】
〔実施例2〕
次に、pH3以下又はpH9以上の緩衝液の使用による抗原の影響を調べた。
工程1から6、工程11から18を行い、固定組織標本切片はヒト扁桃組織のもので、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0でオートクレーブによる加熱による抗原回復を行い、CD68とKi−67抗原抗体の一次抗体を用いて、工程11に於けるpH3以下かpH9以上の緩衝液として、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2を用いた場合の抗原への影響を検討した。工程14のポリマー試薬はダコChemMate ENVISION試薬を用いた。工程15の酵素はHRPで発色色素はヂアミノベンチジンを用い、工程18ではエタノールで脱水し、キシレンへ浸透し、プラスチック封入剤(オイキット)で封入した。
【0089】
その結果を図3に示す。図3では、aとbとcはCD68抗体で、dとeとfはKi−67抗原抗体、aとdは、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2の代わりにリン酸緩衝液pH7.4を反応させ、bとeでは0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2を7分間、cとfでは0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2を17分間反応させた染色結果を示す。CD68の抗原は、この0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2反応77分間まで観察しても変化が認められなかったが、Ki67抗原はこの0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2反応7分間でその回復された抗原が再度マスクされ始めていることが判明した。従って、Ki−67抗原の検出は工程11のpH3以下かpH9以上の緩衝液による色素以外の免疫反応産物の除去の前に行う必要があることが示唆された。
【0090】
従って、本発明の多重染色では、抗体の除去の処理の前ですべき抗原の検出と抗体の除去の後の検出で問題のない抗原を、実施する前に検討しておく必要があることが示唆された。
【0091】
<実施例2において行なった処理と用いた溶液等>
抗原回復処理
パラフィン等を除かれた固定組織パラフィン標本切片を、トリプシン等の酵素で処理するか、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0などの緩衝液に浸し加熱処理する方法がある。加熱処理は、マイクロウエーブ装置、オートクレーブ、圧力鍋、温浴装置等で行なわれる。酵素処理も加熱処理も、標的抗原により、その処理条件は異なる。
【0092】
0.01Mクエン酸緩衝液等pH6.0
2.1gのクエン酸・一水和物と2.94gクエン酸三ナトリウム・二水和物を100mlのイオン交換水にオートクレーブで加熱し溶解し、10N水酸化ナトリウム水でpHを6.0に調整し、イオン交換水で100mlに調節したものを10倍溶液とし、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する。商業的には、10倍溶液がダコサイトメーション社やダイヤトロン社から供給されている。
【0093】
抗CD68抗体
ダコサイトメーション社が供給しているマウス抗ヒトCD68マクロファージ抗体(PG−M1,M0876)で、50倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0094】
抗Ki−67抗原抗体
ダコサイトメーション社が供給しているマウス抗ヒトKi−67抗原抗体(MIB−1, M7240)で、50倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0095】
0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2
グリシン7.5グラムを500mlのイオン交換水に溶解し、濃塩酸を滴下してpH2.2に調整し、イオン交換水を加えて1Lにする。
【0096】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0097】
酵素の発色剤(カップリング色素)
ヂアミノベンチジン(DAB)
ダコサイトメーション社から、液状試薬としてK3466として供給されている。
【0098】
〔実施例3〕
工程1から6、工程12から18で、固定組織標本切片はヒト扁桃組織のもので、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0でオートクレーブによる加熱による抗原回復を行い、CD68一次抗体を用い、ポリマー試薬ダコChemMate ENVISIONを用いて、以下の検討を行った。
【0099】
西洋ワサビペルオキシダーゼ過酸化水素反応のカップリング色素で、商業的に供給されてダコサイトメーションのDABとAEC、ベクター社のDAB−NiとNovaRED,VIP,TMB,SG,TMBの永久標本作成の封入方法と色素の組み合わせを検討した。
【0100】
染色後に、固定組織標本切片を、エタノールに浸し脱水し、キシレンに浸し透徹し、プラスチック封入剤のオイキットで封入する通常法、ダコサイトメーション社のUltramountを固定組織標本切片を被うように滴下して70℃で加熱固化する方法(Ultramount法),ベクター社から供給されているVectaMountを固定組織標本切片を被うように滴下しスライドグラスで被い自然固化させる方法(VectaMount法)を検討した。
【0101】
各色素の色は、デジタル顕微鏡画像で陽性部位をPhotoshopでRGBチャンネル分解し、NIH−imageでR,G,Bの画像が反転させて、その平均濃度を求め、R,G,B成分として解析した。
【0102】
使用出来る色素は封入法に規定された。図4にカラーないしグレースケール、R,G,B成分の対応した染色像を示し、表2に、それぞれの色素のRGB解析の結果を示す。図4のaは通常法で封入したDABでありGとB成分が強いことが解る。bは通常法で封入したDAB−NiでありR,G,B成分の均等に強いことが解る。cはUltramount法で封入したAECであり、DAB同様にGとBの成分が強いことが解る。dはVectaMount法で封入したNovaRED、eはVectaMount法で封入したVIPであり、両者共に、R、G、B成分が強いことが解る。fはVectaMount法で封入したSGであり、R、G、B成分が強いことが解る。DAB、AEC、NovaRED、VIPがR画像で、前2者と後2者で区別出来ることが解かる。表2は、それぞれの色素は特徴的なR,G,B成分の構成を示した。通常法では,DAB,DAB−Ni,SGが使用可能であった。これらの色素はグリシン処理にて赤(R)成分が増加し青(B)成分が減少するが,使用可能であり,2重染色の標的抗原Aの検出に用い得ることが示された。Ultramount法では,DAB,DAB−Ni,AEC,SGが使えた。VectaMount法では,DAB,DAB−Ni,NovaRED,VIP,SGが使えた。
【0103】
SGは,発色自体が他の色素に比べて低くかったが,それぞれの封入とグリシン処理で変化しないことから、検出結果が強すぎる抗原と検出結果が弱い抗原の2重染色で、前者の呈色に使える色素であることが判明した。
【0104】
TMBは反応後の沈着が明瞭でなく,封入操作で退色した。表2〜4は、西洋ワサビペルオキダーゼ過酸化水素反応のカップリング色素の封入方法とそのRGB解析を示す。
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
<実施例3において行なった処理と用いた溶液等>
抗原回復
パラフィン等を除かれた固定組織パラフィン標本切片を、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0に浸し加熱処理する方法がある。加熱処理は、オートクレーブ行なう。
【0109】
0.01Mクエン酸緩衝液等pH6.0
2.1gのクエン酸・一水和物と2.94gクエン酸三ナトリウム・二水和物を100mlのイオン交換水にオートクレーブで加熱し溶解し、10N水酸化ナトリウム水でpHを6.0に調整し、イオン交換水で100mlに調節したものを10倍溶液とし、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する。商業的には、10倍溶液がダコサイトメーション社やダイヤトロン社から供給されている。その他に、抗原回復には、〔非特許文献7〕のp.114に記載されている1mM EDTA溶液pH 8.0、などが用いられ、ダコサイトメーション社から供給されている。
【0110】
抗CD68抗体
ダコサイトメーション社が供給しているマウス抗ヒトCD68マクロファージ抗体(PG−M1,M0876)で、50倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0111】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0112】
酵素の発色剤(カップリング色素)
ヂアミノベンチジン(DAB)
ダコサイトメーション社から、液状試薬としてK3466として供給されている。
【0113】
ヂアミノベンチジンニッケル (DAB−Ni)
DAB20mg、硫化ニッケル(NiSO4・(NH4)2SO4・6H2O)40mgを0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH7.6)100mlに溶解し、7μlの過酸化水素水原液を加え、ろ過して使用する。ベクター社からDAB基質キット(SK−4100)として供給されている。
【0114】
アミノエチルカルバゾール(AEC)
3ーアミノー9ーエチルカルバゾール(シグマ社)を0.4%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、保全液とする、保存液5mlを0.1M酢酸緩衝液pH5.0の95mlと混合し、20μlの過酸化水素水原液を加え、ろ過して用いる。0.1M酢酸緩衝液pH5.0は、99%酢酸11.5mlをイオン交換水で1Lとし、この14.8mlと酢酸ナトリウム16.4gないし酢酸ナトリウム・三水塩27.2gをイオン交換水に溶解し1Lとした0.2M酢酸ナトリウム水溶液35.2mlを混合し、イオン交換水を加えて100mlとする。ダコサイトメーション社からキットが供給されている。
【0115】
VIP、SG、NovaRED、TMB
VIP、SG、NovaRED,TMBのそれぞれ、西洋ワサビペルオキシダーゼの発色カップリング色素として、ベクター社から、SK−4600、SK−4700、SK−4800、SK−4400としてキット化され供給されている。
【0116】
永久標本作成の為の封入法
染色後に、固定組織標本切片を、エタノールに浸し脱水し、キシレンに浸し透徹し、プラスチック封入剤のオイキットで封入する。通常用いられる封入方法であり、通常法と記す。
【0117】
Ultramount法
ダコサイトメーション社から供給されている永久標本用マウンティングメディウムUltramount(S1964)を、固定組織標本切片を被うように滴下して、70℃加熱したオーブン中で加熱固化する方法。
【0118】
VectaMount法
ベクター社から供給されているVectaMount (H−5000)を固定組織標本切片を被うように滴下しスライドグラスで被い自然固化させる方法。
【0119】
Photoshop
アドベ社から供給されているコンピュータソフトで、画像処理を行う。この検索では、Photoshop 3.0Jを使用している。このソフトを用いて、顕微鏡カラー写真画像をカラー画像を、チャンネル分割機能で、RGBないしCMYKのグレースケール画像に分割できる。RGBシステムで色を表現する場合には、光が基準となるので、以下のNIH−imageでそのRGB各成分の測定値を得るには、画像を反転する必要がある。画像の反転の機能はNIH−imageにある。
【0120】
NIH−image
画像の解析ソフト。分析メニューの測定で、画像の平均グレースケールと面積(ピクセル換算)を得ることができる。
【0121】
〔実施例4〕
一部で同一局在を示す二つの抗原の二重免疫染色の例として、CD68とFascin の2重免疫染色を行った。実施例3で検討したHRP過酸化水素反応のカップリング色素を用い実施し、色素の組み合わせの妥当性を検討した。実際の2重免疫染色は、核の対比染色を行うので、表2に示すヘマトキシリンを加えた3重染色になる。一次抗体のCD68は 単球と組織球,状細胞)を標識し、一次抗体のFascinは樹状細胞を標識する。固定組織標本切片はヒト扁桃組織を用いた。抗原回復は,EDTA溶液によるオートクレーブによる熱処理で行った。反応した一次抗体の検出はポリマー試薬のChemMate ENVISIONを用いた。
【0122】
その二重免疫染色像を図5に示す。aは、DAB−NiとDAB、bはDAB−NiとAEC、cはDABとAEC、dはDABとVIP、eはSGとAEC、fはSGとNovaREDのカップリング色素の組み合わせである。図5は、DABとAEC,DABとVIP,SGとAEC,SGとNovaREDが使用可能な色素の組み合わせであることを示唆し、一部で同一局在を示す抗原の2重免疫染色では有効なカップリング色素の組み合わせであることが示唆された。
【0123】
表2によれば、DAB−Niのグリシン処理による赤(R)成分の増加からDAB−NiとDABと区別できる可能性があるが、DAB−Niのグリシン処理による青(B)成分の減少によりDAB−NiとDABは近似した青(B)成分を示し、結果的に、図5aに示すように、DAB−Ni−とDABの組み合わせは、DAB−NiとDABの識別が容易でない結果になっている。
【0124】
また、DAB−NiとAECの組み合わせは、DAB−Niのグリシン処理による赤(R)成分の増加により、DAB−NiとAECは近似した赤(R)成分を示し、図5bに示すように、DAB−NiとAECの識別が容易でないものになっている。
【0125】
RGB画像では、DABとVIPの組み合わせが、DABをB画像で、VIPをR画像で判別出来、良い組み合わせであることが、R、G、Bのグレースケールの画像でも理解できる。
【0126】
<実施例4において行なった処理と用いた溶液等>
抗原回復
パラフィン等を除かれた固定組織パラフィン標本切片を、トリプシン等の酵素で処理するか、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0などの緩衝液に浸し加熱処理する方法がある。加熱処理は、マイクロウエーブ装置、オートクレーブ、圧力鍋、温浴装置等で行なわれる。酵素処理も加熱処理も、標的抗原により、その処理条件は異なる。
【0127】
1mMないし0.01M EDTA溶液pH8.0
エチレンジアミン四酢酸(以下,EDTAという)・二ナトリウム(同仁化学社)0.37gをイオン交換水1Lに加え、1N水酸化ナトリウムでpH 8.0に調整する。ダコサイトメーション社からこの試薬(S3307ないしS3308)が供給されている。
【0128】
抗CD68抗体
ダコサイトメーション社が供給しているマウス抗ヒトCD68マクロファージ抗体(PG−M1,M0876)で、50倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0129】
抗Fascin抗体
ダコサイトメーション社が供給しているマウス抗ヒトFascin蛋白抗体(55K−2、M3567)で、50倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0130】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコ ChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0131】
酵素の発色剤(カップリング色素)
ヂアミノベンチジン(DAB)
ダコサイトメーション社から、液状試薬としてK3466として供給されている。
【0132】
ヂアミノベンチジンニッケル(DAB−Ni)
DAB20mg、硫化ニッケル(NiSO4・(NH4)2SO4・6H2O)40mgを0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH7.6)100mlに溶解し、7μlの過酸化水素水原液を加え、ろ過して使用する。ベクター社からDAB基質キット(SK−4100)として供給されている。
【0133】
アミノエチルカルバゾール(AEC)
3ーアミノー9ーエチルカルバゾール(シグマ社)を0.4%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、保全液とする。保存液5mlを0.1M酢酸緩衝液pH5.0の95mlと混合し、20μlの過酸化水素水原液を加え、ろ過して用いる。0.1M酢酸緩衝液pH5.0は、99%酢酸11.5mlをイオン交換水で1Lとし、この14.8mlと酢酸ナトリウム16.4gないし酢酸ナトリウム・三水塩27.2gをイオン交換水に溶解し1Lとした0.2M酢酸ナトリウム水溶液35.2mlを混合し、イオン交換水を加えて100mlとする。ダコサイトメーション社からキットが供給されている。
【0134】
VIP、SG、NovaRED
それぞれ、西洋ワサビペルオキシダーゼの発色カップリング色素として、ベクター社から、SK−4600、SK−4700、SK−4800としてキット化され供給されている。
【0135】
グレースケールの画像
各ピクセルを0から255の256階調の濃淡で表した画像。ピクセルとは、画像の一つの要素で細小単位の面積を有する。R、G、Bのカラー画像からPhotoshopのRGBチャンネル分割機能で作成された各画像は、このグレースケール画像になる。
【0136】
〔実施例5〕
一部で局在が異なる二つの抗原の二重免疫染色として、CD3とCD5の2重免疫染色を行った。CD3はT細胞に認められる抗原であり、CD5はT細胞とB細胞の一部に見られる。固定組織標本切片は10%ホルマリン緩衝液固定のヒト扁桃組織のものを用い、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0でオートクレーブで抗原回復を行った。反応した一次抗体はポリマー試薬のChemMate ENVISIONを用い、HRPのカップリング色素としては、CD3ではDABを、CD5ではVIPを用いた。
【0137】
図6に、リンパ瀘胞マントル周囲の染色像を示す。多くのCD3陽性CD5陽性のT細胞の分布を図の左側に認め、B画像の陽性細胞として認める。図右側が胚中心領域である。図中央部がマントルから瀘胞辺縁域であり、この部分でにCD3陰性CD5陽性のB細胞を認める。このCD3陰性CD5陽性のB細胞は、R画像での陽性細胞と判別される。これは、DABを用いた場合BGでしか現われず、VIPでは、BGRすべてにおいて現われるからである。
【0138】
<実施例5において行なった処理と用いた溶液等>
抗原回復
パラフィン等を除かれた固定組織パラフィン標本切片を、トリプシン等の酵素で処理するか、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0などの緩衝液に浸し加熱処理する方法がある。加熱処理は、マイクロウエーブ装置、オートクレーブ、圧力鍋、温浴装置等で行なわれる。酵素処理も加熱処理も、標的抗原により、その処理条件は異なる。
【0139】
0.01Mクエン酸緩衝液等
2.1gのクエン酸・一水和物と2.94gクエン酸三ナトリウム・二水和物を100mlのイオン交換水にオートクレーブで加熱し溶解し、10N 水酸化ナトリウム水でpHを6.0に調整し、イオン交換水で100mlに調節したものを10倍溶液とし、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する。
【0140】
抗CD3抗体
ノボキャストラ社が供給しているマウス抗ヒトCD3抗体(NCL−CD3−PS1)で、100倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈する。
【0141】
抗CD5抗体
ノボキャストラ社が供給しているマウス抗ヒトCD5抗体(NCL−CD5−4C7)で,100倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈する。
【0142】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0143】
ヂアミノベンチジン (DAB)
ダコサイトメーション社から、液状試薬としてK3466として供給されている。
【0144】
VIP
西洋ワサビペルオキシダーゼの発色カップリング色素として、ベクター社から、SK−4600としてキット化され供給されている。
【0145】
〔実施例6〕
局在の異なる二つの抗原の二重免疫染色の例としてCD3とCD79aの二重免疫染色を行った。CD3はT細胞に認められ、CD79aはB細胞に認められる。抗原回復は0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0でのオートクレーブ処理を行い,酵素処理を通常使用の10分1活性で35℃で5分間の反応を自動免疫染色装置のプロトコールに組み込み行った。固定組織標本切片は10%ホルマリン緩衝液固定のヒト扁桃組織のものを用い、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0でオートクレーブで抗原回復を行った。反応した一次抗体はポリマー試薬のChemMate ENVISIONを用い、HRPのカップリング色素としては、CD3ではDABを、CD79aではVIPを用いた。
【0146】
その染色像を図7に示す。図7のaとbは弱拡大像、cとdは強拡大像、cは胚中心、dはマントルから辺縁域である。DABで標識されたT細胞は茶色に発色しB画像の陽性細胞であり、B細胞は紫に発色しR画像の陽性細胞である。明瞭に本発明の免疫組織化学的染色方法で、T細胞をB細胞が染め分けられているのが解る。
【0147】
<実施例6において行なった処理と用いた溶液等>
抗原回復
パラフィン等を除かれた固定組織パラフィン標本切片を、トリプシン等の酵素で処理するか、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0などの緩衝液に浸し加熱処理する方法がある。加熱処理は、マイクロウエーブ装置、オートクレーブ、圧力鍋、温浴装置等で行なわれる。酵素処理も加熱処理も、標的抗原により、その処理条件は異なる。
【0148】
0.01Mクエン酸緩衝液等pH6.0
2.1gのクエン酸・一水和物と2.94gクエン酸三ナトリウム・二水和物を100 mlのイオン交換水にオートクレーブで加熱し溶解し、10N 水酸化ナトリウム水でpHを6.0に調整し、イオン交換水で100mlに調節したものを10倍溶液とし、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する。
【0149】
酵素処理
トリプシン(シグマ社、T7168 Tablet)
一錠を1mlのイオン交換水に溶解したものを反応液として用いる。
【0150】
プロナーゼ
プロナーゼ(ダコサイトメーション社)100mgを10mlの0.1M/Lの塩化ナトリウムを含む0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.2に溶解する。この原液を0.1M/Lの塩化ナトリウムを含む0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.2で20倍に希釈する。
【0151】
プロテイナーゼK
プロテイナーゼK濃縮液(ダコサイトメーション社、S3004)の40μlを0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.5〜7.7の2mlに加える。
【0152】
抗CD3抗体
ノボキャストラ社が供給しているマウス抗ヒトCD3抗体(NCL−CD3−PS1)で、100倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0153】
抗CD79a抗体
ノボキャストラ社が供給しているマウス抗ヒトCD79a抗体(CD79a、Bセッl、JCB117、M7050)で,200倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0154】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0155】
ヂアミノベンチジン(DAB)
ダコサイトメーション社から、液状試薬としてK3466として供給されている。
【0156】
VIP
西洋ワサビペルオキシダーゼの発色カップリング色素として、ベクター社から、SK−4600としてキット化され供給されている。
【0157】
〔実施例7〕
局在が同じ二つの抗原の二重免疫染色の例として、増殖抑制遺伝子産物であるp53 蛋白と増殖細胞を標識するKi−67抗原の2重免疫染色を行った。緩衝10%ホルマリン溶液固定組織パラフィン包埋標本切片は口腔粘膜扁平上皮癌の周辺粘膜の切片である。抗原回復は、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0でオートクレーブで行った。一次抗体はポリマー試薬ダコChemMate ENVISIONで検出し、HRPのカップリング色素は、p53蛋白はSGを、Ki−37抗原はAECを用いた。
【0158】
図8に、その染色像を示す。図8のaは過形成を示す扁平上皮、bは異形成を示す扁平上皮、cは強度の異形成ないしin−situの癌を示す扁平上皮である。p53蛋白の過剰核内蓄積はSGで核に青黒に標識され、G画像の陽性核で示されている。Ki−67抗原陽性の増殖細胞の核はAECで赤く、B画像の陽性核で示されている。過形成から強度の異形成ないしin−situの癌までの扁平上皮の増殖性病変を特徴づけるp53蛋白とKi67抗原の2重免疫染色像が得られた。
【0159】
<実施例7において行なった処理と用いた溶液等>
緩衝10%ホルマリン溶液
リン酸一ナトリウム・2水塩4gとリン酸二ナトリウム・12水塩26gをイオン交換水900mlに溶解し、特級ホルムアルデヒド液(ホルマリン)100mlを加えて作成する。
【0160】
抗原回復
パラフィン等を除かれた固定組織パラフィン標本切片を、トリプシン等の酵素で処理するか、0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0などの緩衝液に浸し加熱処理する方法がある。加熱処理は、マイクロウエーブ装置、オートクレーブ、圧力鍋、温浴装置等で行なわれる。酵素処理も加熱処理も、標的抗原により、その処理条件は異なる。
【0161】
0.01Mクエン酸緩衝液等pH6.0
2.1gのクエン酸・一水和物と2.94gクエン酸三ナトリウム・二水和物を100 mlのイオン交換水にオートクレーブで加熱し溶解し、10N 水酸化ナトリウム水でpHを6.0に調整し、イオン交換水で100mlに調節したものを10倍溶液とし、使用時に10倍にイオン交換水で希釈する。
【0162】
抗p53蛋白抗体
ノボキャストラ社が供給しているマウス抗ヒトp53蛋白抗体(NCL−p53−1801)で、100倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0163】
抗Ki−67抗原抗体
ダコサイトメーション社が供給しているマウス抗ヒトKi−67抗原抗体(MIB−1, M7240)で、50倍にダコサイトメーション社が供給しているダコChemMate抗体希釈液(S2022)で希釈し、使用する。
【0164】
ポリマー試薬
デキストランポリマーに直接二次抗体とHRPを結合させた試薬で、ダコサイトメーション社から商業的にダコ ChemMate ENVISION試薬として供給されている。
【0165】
アミノエチルカルバゾール(AEC)
3ーアミノー9ーエチルカルバゾール(シグマ社)を0.4%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、保全液とする、保存液5mlを0.1M酢酸緩衝液pH5.0の95mlと混合し、20μlの過酸化水素水原液を加え、ろ過して用いる。0.1M酢酸緩衝液pH5.0は、99%酢酸11.5mlをイオン交換水で1Lとし、この14.8mlと酢酸ナトリウム16.4gないし酢酸ナトリウム・三水塩27.2gをイオン交換水に溶解し1Lとした0.2M酢酸ナトリウム水溶液35.2mlを混合し、イオン交換水を加えて100mlとする。ダコサイトメーション社からキットが供給されている。
【0166】
SG
西洋ワサビペルオキシダーゼの発色カップリング色素として、ベクター社から、SK−4700としてキット化され供給されている。
【0167】
【発明の効果】
本発明は、抗原の検出に際して、検出時間の大幅な短縮、染色に用いる色素の選別、方法の自動化にも適する抗原の検出方法を提供し得るという有利な効果を奏する。
【0168】
また、本発明は、多重免疫染色方法の普及にも大きく貢献するものであり、また、腫瘍化の段階を2つ以上の抗原を標識する多重免液染色方法の実用化の大きな契機にもなるものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二重免疫染色を含む免疫組織化学的染色法の一実施態様による光顕的に識別される最終産物の概念図である。
【図2】グリシン緩衝液による一次抗体除去効果を示すもので、非特異的一次抗体反応の抑制の効果を示す。
【図3】グリシン緩衝液による抗原のマスク効果を示す。
【図4】西洋ワサビペルオキシダーゼのカップリング色素の発色の実際を示す。
【図5】西洋ワサビペルオキシダーゼのカップリング色素の組み合わせによるCD68とFascin(抗原の局在が一部で重なる場合)の二重免疫染色を示す。
【図6】西洋ワサビペルオキシダーゼのカップリング色素であるDABとVIPによるCD3とCD5(抗原の局在が一部で異なる場合)の二重免疫染色像を示す。
【図7】西洋ワサビペルオキシダーゼのカップリング色素であるDABとVIPによるCD3とCD79a(抗原の局在が異なる場合)の二重免疫染色像を示す。
【図8】西洋ワサビペルオキシダーゼのカップリング色素であるSGとAECによるp53蛋白とKi−67抗原(抗原の局在が異なる場合)の二重免疫染色像を示す。
Claims (14)
- 呈色物又は発光物で抗原を多重染色する多重免疫組織化学的染色方法を用いて二以上の異なる抗原を検出する抗原の検出方法であって、非特異反応抑制処理を行なうことによって、一次抗体と非特異的に結合する非特異的結合物質へ非特異反応抑制物質を被膜し、前記一次抗体と非特異的結合物質との結合を抑制することを特徴とする検出方法。
- 前記非特異的反応抑制処理を、第一抗原と一次抗体との抗原抗体反応の前に行なうことを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記非特異的反応抑制処理が、二次抗体と同種の動物血清による処理、スキンミルクによる処理、ノンファットミルクによる処理、及びガゼイン溶液による処理からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2項に記載の方法。
- 前記カゼイン処理を、0.025〜2.5%の範囲のカゼインを含む溶液により行なうことを特徴とする請求項1〜3項のいずれか1項に記載の方法。
- 抗体に結合している免疫反応物であって、最後に検出する抗原以外の抗原を検出する免疫反応産物の呈色物又は発光物を除くものを、pH3以下又はpH9以上の緩衝液で除去する請求項1〜4項のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、非特異反応生成物、及びその他の残存反応物を除去するために、加熱した洗浄液によって洗浄する工程を含む、ことを特徴とする請求項5記載の方法。
- 前記加熱した洗浄液の温度が、25〜60℃の範囲内であることを特徴とする請求項6記載の方法。
- 前記呈色物又は発光物を除くものの除去を、前記最後に検出する抗原以外の抗原の同定後に行なう請求項5〜7項のいずれか1項に記載の方法。
- 免疫組織化学的染色方法が、異なる成分強度を有する複数の色素を用いて染色する方法であり、前記成分強度の差異に基づいて抗原を検出する請求項1〜8項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記成分が、R(赤)成分、B(青)成分、及びG(緑)成分からなることを特徴とする請求項9記載の方法。
- 前記呈色物又は発光物が、可視化することができる物質であることを特徴とする請求項1〜10項のいずれか1項に記載の方法。
- 可視化することができる物質が、免疫組織化学的反応の標識酵素の基質との反応で呈色ないし発光するカップリング物質であることを特徴とする請求項11項記載の方法。
- 可視化することができる物質が、西洋ワサビペルオキシダーゼ(以下、HRPという)、アルカリフォスファターゼ(以下、ALPという)、グルコースオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 反応液、反応時間、及び洗浄回数をプログラムして自動免疫装置に組み込み、自動化して行なう請求項1〜13項のいずれか1項に記載の方法。
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