JP7262922B2 - タンパク質をイメージングする方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、タンパク質をイメージングする方法に関する。
肺癌の原因の一つとして上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor:EGFR)の変異がある。EGFR変異陽性肺癌の患者に、その分子標的治療薬であるアファチニブやゲフィチニブを数ヶ月~1年半ほど継続的に投与すると、変異型EGFRが更に変異し、治療薬が効かなくなる症例がある。このような更なる変異の一例として、変異型EGFRのエクソン20における790番目のスレオニンがメチオニンに変異したT790M変異がある。T790M変異は、日本人患者においては、耐性を有する変異型EGFRの変異の約50%を占める。T790M変異に対する治療薬としてオシメルチニブが知られている。オシメルチニブの投与は、T790M変異陽性症例の患者へは認められているが、陰性症例への投与は保険医療では認められていない。そのため、T790M変異を高感度で検出する方法が求められている。T790M変異を検出する方法として、例えば、病巣の組織を採取してT790M変異を検出する組織生検や血液を採取してT790M変異由来の遺伝子を検出するリキッド・バイオプシーなどが行われている。
一方、癌などの疾患を検出する方法の一つとして、画像診断装置を用いて疾患に関連するタンパク質などのバイオマーカーなどをイメージングする方法がある。イメージングでは、バイオマーカーに結合する、標識した低分子化合物又は抗体などを患者に投与し、低分子化合物又は抗体から得られる信号を画像診断装置によって検出する。イメージングは、例えば、疾患の診断又は層別化治療において重要な技術であり、より正確にバイオマーカーを検出する方法の開発が求められている。
Hirano et al. (2015) Oncotarget, Vol.6, No 36, 38789-38803「In vitro modeling to determine mutation specificity of EGFR tyrosine kinase inhibitors against clinically relevant EGFR mutants in non-small-cell lung cancer」
組織生検は、組織採取の際に検査対象のT790M変異が含まれていない部位を採取してしまう可能性や、全ての病巣から組織を採取できない場合があるため、正確にT790M変異を検出することができない。リキッド・バイオプシーについては、対象とするT790M変異由来の遺伝子が必ずしも血中に流出するとは限らず、また遺伝子が採取できたとしてもそれが原発巣由来のものであるのか、転移巣由来のものであるのか区別がつかない。加えて、これらの検査方法の検査対象が進行癌患者である場合に、患者が組織や血液の採取に耐えられないこともある。
イメージングは、組織や血液を採取することなく一度に全身の病巣を検出できるため、組織生検及びリキッド・バイオプシーの問題点を克服できる。しかしながら、イメージングに用いられる低分子化合物や抗体は、検査対象のバイオマーカーと似た構造を有する検査対象外のバイオマーカーにも結合する場合がほとんどである。そのために、検査結果が偽陽性となり、正確に対象のバイオマーカーを検出することができないことが問題であった。
本発明が解決しようとする課題は、試料中の標的タンパク質を、非侵襲的に、非標的タンパク質と区別してイメージングする方法を提供することである。
実施形態に従うタンパク質をイメージングする方法は、試料中の標的タンパク質をイメージングする方法であり、以下の工程を含む。(S1)標的タンパク質と結合親和性を有するイメージング剤を決定すること。(S2)イメージング剤と結合親和性を有する非標的タンパク質を決定すること。(S3)イメージング剤を標識物質で標識した標識イメージング剤を用意すること。(S4)マスキング剤を用意すること。ここで、マスキング剤は、標的タンパク質及び非標的タンパク質と結合親和性を有し、標的タンパク質との結合親和性が、イメージング剤のそれよりも低く、非標的タンパク質との結合親和性が、イメージング剤のそれよりも高い。(S5)試料に、マスキング剤及び標識イメージング剤を投与すること。(S6)標識物質からの信号を検出し、検出の結果に基づいて画像を作成すること。
第1の実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態の方法におけるイメージングの原理を説明する図である。 第2の実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態の方法におけるイメージングの原理を説明する図である。 第2の実施形態の方法におけるイメージングの原理を説明する図である。 第3の実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 第4の実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 第5の実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 第5の実施形態の方法におけるイメージングの原理を説明する図である。 第5の実施形態の方法におけるイメージングの原理を説明する図である。
以下に、図面を参照しながら種々の実施形態について説明する。
実施形態に従うタンパク質をイメージングする方法は、試料中の標的タンパク質をイメージングする方法である。
試料は、実施形態のイメージング方法による検査を実施される対象であり、イメージングの標的である標的タンパク質を含む可能性のあるものであればよい。試料は、例えば、動物である。動物は、例えば、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類又は魚類に属する生物である。哺乳類は、例えば、サル及びヒト等の霊長類、マウス、ラット及びモルモット等の齧歯類、イヌ、ネコ及びウサギ等の伴侶動物、ウマ、ウシ及びブタ等の家畜動物、或いは展示動物などに属する哺乳動物である。試料は、例えば、上記動物に由来する組織又は培養細胞などであってもよい。
標的タンパク質は、試料中に存在する可能性のある、実施形態のイメージング方法においてイメージングされるべきタンパク質である。標的タンパク質は、例えば、特定の疾患の病巣又は病変などの存在、性質、経過又は薬剤に対する反応などを判断するための指標となるタンパク質であり、特定の疾患の病巣又は病変で、或いはその付近で特異的に発現されるタンパク質である。そのような標的タンパク質は、例えば、バイオマーカーであってもよい。バイオマーカーは、例えば、診断マーカー、予後マーカー、薬力学マーカー、モニタリング用マーカー又は治療マーカーなどであってもよい。例えば、治療マーカーは、特定の疾患の分子標的治療の標的である。
特定の疾患は、例えば、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、精神疾患などである。増殖性疾患は、例えば、癌又は腫瘍である。癌又は腫瘍は、例えば、結腸直腸癌、結腸癌、大腸癌、胃癌、乳癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肝臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌、脳腫瘍、頚部癌、頭頸部扁平上皮癌、中枢神経系(CNS)癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌、リンパ腫、神経芽腫、骨髄腫及び/又は白血病などである。
・第1の実施形態
以下、第1の実施形態に従うタンパク質をイメージングする方法について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態の方法の一例を示す概略フローチャートである。
まず、工程(S1)において、イメージング剤を決定する。イメージング剤は、標的タンパク質をイメージングするための物質である。即ち、イメージング剤は標的タンパク質と結合親和性を有する物質であり、標識したイメージング剤を標的タンパク質に結合させることによって標的タンパク質をイメージングすることができる。
標的タンパク質と「結合親和性を有する」とは、例えば、標的タンパク質と結合することができることをいう。結合親和性を有するかどうかは、例えば、in vitroにおける50%阻害濃度(IC50)値、解離定数又は結合定数などを測定又は算出することによって決定することができる。例えば、イメージング剤として、標的タンパク質との結合のIC50値や解離定数がより小さい物質を用いることが好ましく、結合定数については、値がより大きい物質を用いることが好ましい。つまり、より標的タンパク質に結合しやすい物質を用いることが好ましい。
イメージング剤は、標的タンパク質と親和性を有することが予想される物質であってもよい。例えば、標的タンパク質の構造によってイメージング剤を決定してもよいし、実際の薬学的効果又は試験的に行ったイメージングの結果などから標的タンパク質と親和性を有する物質を推測し、それをイメージング剤としてもよい。或いは、標的タンパク質と結合親和性を有することが知られている物質をイメージング剤として用いてもよい。
イメージング剤として、例えば、低分子化合物、抗体、ペプチド又はDNAアプタマーを用いることができる。
低分子化合物は、例えば、標的タンパク質と結合親和性を有する分子量が約200~約1000の化合物である。例えば、標的タンパク質が酵素である場合、低分子化合物は酵素阻害剤であってもよい。標的タンパク質が受容体である場合、低分子化合物はリガンドであってもよい。又は、低分子化合物は、標的タンパク質に対する分子標的治療薬として用いられる「低分子医薬品」又は「低分子薬」などと称される化合物であってもよい。そのような低分子化合物は、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ阻害剤、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、MEK阻害剤、CDK阻害剤又はプロテアソーム阻害剤などであってもよい。
抗体は、例えば、標的タンパク質と結合親和性を有する抗体である。抗体は、標的タンパク質に対する分子標的治療薬として用いられる「抗体医薬品」又は「抗体薬」などと称される抗体であってもよい。抗体は、例えば、モノクローナル抗体である。抗体は、例えば、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト型抗体、或いはこれらのフラグメント抗体などであってもよい。
イメージング剤は、例えば、1種の標的タンパク質に対して1種選択される。
次に、工程(S2)において非標的タンパク質を決定する。
非標的タンパク質は、試料中に存在し、イメージング剤と結合親和性を有するタンパク質である。非標的タンパク質は、標的タンパク質をイメージング剤でイメージングしようとする際に、イメージング剤と結合親和性を有するためにイメージング剤が結合してしまい、標的タンパク質の特異的なイメージングを妨げるイメージングの対象外のタンパク質である。即ち、非標的タンパク質は、イメージングの結果が偽陽性となる原因となり得るタンパク質である。
例えば、非標的タンパク質と標的タンパク質とは、それぞれがイメージング剤と結合できる結合部位を有し得る。例えば、非標的タンパク質と標的タンパク質とは、正常なタンパク質とその変異型とであってもよい。また例えば、非標的タンパク質と標的タンパク質とは、変異型のタンパク質とその更なる変異型のタンパク質とであってもよい。
非標的タンパク質は、イメージング剤と親和性を有することが予想されるタンパク質であってもよい。例えば、構造によって非標的タンパク質を決定してもよいし、実際の薬学的効果又は試験的に行ったイメージングの結果などからイメージング剤と親和性を有するタンパク質を推測し、それを非標的タンパク質としてもよい。或いは、イメージング剤と親和性を有することが知られている標的タンパク質以外のタンパク質を非標的タンパク質としてもよい。
次に、工程(S3)において、標識イメージング剤を用意する。
標識イメージング剤は、イメージング剤を標識物質によって標識したものである。標識物質は、例えば、陽電子(ポジトロン)を放出する放射性同位元素である。陽電子を放射する放射性同位元素は、例えば、11C(炭素11)、13N(窒素13)、15O(酸素15)、18F(フッ素18)などである。陽電子を放出する放射性同位元素は、例えば、陽電子断層撮影法(positron emission tomography、PET)で検出することができる放射性同位元素である。
陽電子を放出する放射性同位元素で標識された標識イメージング剤は、例えば、イメージング剤に含まれる何れかの炭素、窒素、酸素などの元素をその放射性同位元素に置き換えたものである。イメージング剤の複数の同じ種類の原子が、同じ種類の放射性同位元素で置換されていてもよい。或いは、イメージング剤の、標的タンパク質との結合親和性に影響しない何れかの位置に、上記の何れかの放射性同位元素を付加したものであってもよい。
或いは、標識物質は、ガンマ線を放出する金属放射性同位元素を含む化合物であってもよい。このような金属放射性同位元素として、99mTc(テクネチウム99m)、111In(インジウム111)、67Ga(ガリウム67)又は201Tl(タリウム201)などを用いることができる。ガンマ線を放出する金属放射性同位元素は、例えば、単一光子放射段増撮影法(Single poton emission computed tomography:SPECT)によって検出することができる放射性同位元素である。
金属放射性同位元素を含む化合物は、例えば、錯体である。錯体は、上記の何れかの金属放射性同位元素を中心金属として有し、試料に投与するものとして適切な構造を有する。例えば、好ましい99mTcの錯体は、オキソコア錯体、モノオキソコア錯体又はN型錯体、NS型錯体、N錯体又はジオキソコア錯体などである。
上記のような金属放射性同位元素で標識された標識イメージング剤は、例えば、イメージング剤の何れかの位置に、上記の何れかの金属放射性同位元素を含む化合物を付加したものである。標識物質として金属放射性同位元素の錯体を用いる場合、イメージング剤は、抗体であることが好ましい。
或いは、標識物質は、ガンマ線を放出するヨウ素の放射性同位元素であってもよい。ヨウ素の放射性同位元素は、例えば、123I又は131Iなどである。このような標識物質で標識された標識イメージング剤は、例えば、イメージング剤の何れかの位置に、上記の何れかのヨウ素の放射性同位元素を付加したものである。
工程(S4)において、マスキング剤を用意する。
マスキング剤は、非標的タンパク質をマスキングするためのタンパク質である。即ち、マスキング剤は、試料中の非標的タンパク質に結合し、標識イメージング剤が非標的タンパク質に結合することを防ぐ物質である。マスキング剤は、非標的タンパク質と結合親和性を有する物質である。また、マスキング剤は、標的タンパク質とも結合親和性を有する。そして、マスキング剤と標的タンパク質との結合親和性は、イメージング剤と標的タンパク質との結合親和性よりも低く、マスキング剤と非標的タンパク質との結合親和性は、イメージング剤と非標的タンパク質との結合親和性よりも低い。この関係性については、詳しくは後述する。
マスキング剤として、例えば、低分子化合物、抗体、ペプチド又はDNAアプタマーを用いることができる。
低分子化合物は、例えば、非標的タンパク質と結合親和性を有する分子量が約200~約1000の化合物である。例えば、非標的タンパク質が酵素である場合、低分子化合物は酵素阻害剤であってもよい。非標的タンパク質が受容体である場合、低分子化合物はリガンドであってもよい。又は、低分子化合物は、非標的タンパク質に対する分子標的治療薬として用いられる「低分子医薬品」又は「低分子薬」などと称される化合物であってもよい。そのような低分子化合物は、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ阻害剤、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、MEK阻害剤、CDK阻害剤又はプロテアソーム阻害剤などであってもよい。
抗体は、例えば、非標的タンパク質と結合親和性を有する抗体である。抗体は、非標的タンパク質に対する分子標的治療薬として用いられる「抗体医薬品」又は「抗体薬」などと称される抗体であってもよい。抗体は、例えば、モノクローナル抗体である。抗体は、例えば、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト型抗体、或いはこれらのフラグメント抗体などであってもよい。
マスキング剤は、例えば、1種の非標的タンパク質に対して1種選択される。
イメージング剤及びマスキング剤は、互いに異なる物質である。しかしながら、同種の物質であってもよい。例えば、イメージング剤及びマスキング剤が両方とも低分子化合物であってもよい。又は、イメージング剤及びマスキング剤は、異なる種類のものであってもよい。例えば、イメージング剤が低分子化合物であり、マスキング剤が抗体であってもよい。
以下に、イメージング剤及びマスキング剤の、標的タンパク質及び非標的タンパク質への親和性の関係について詳細に説明する。イメージング剤及びマスキング剤は、それぞれ非標的タンパク質及び標的タンパク質と結合親和性を有する。そして、標的タンパク質とマスキング剤との結合親和性は、標的タンパク質とイメージング剤との結合親和性よりも低く、非標的タンパク質とマスキング剤との結合親和性は、非標的タンパク質とイメージング剤との結合親和性よりも低い。即ち、以下の表1に示すように、標的タンパク質とイメージング剤との結合親和性の度合いを「A」、標的タンパク質とマスキング剤との結合親和性の度合いを「B」、非標的タンパク質とイメージング剤との結合親和性の度合いを「C」、非標的タンパク質とマスキング剤との結合親和性の度合いを「D」とすると、A>B及びC<Dの関係式が成り立つ。
Figure 0007262922000001
また例えば、in vitroにおけるIC50値については、結合親和性が高いほど低い値を示すため、標的タンパク質への結合のIC50値は、イメージング剤の方がマスキング剤よりも小さく、非標的タンパク質への結合のIC50値は、マスキング剤の方がイメージング剤よりも小さい。即ち、以下の表2に示すように、標的タンパク質とイメージング剤とのIC50値を「a」、標的タンパク質とマスキング剤とのIC50値を「b」、非標的タンパク質とイメージング剤とのIC50値を「c」、非標的タンパク質とマスキング剤とのIC50値を「d」とすると、a<b及びc>dの関係式が成り立つ。
Figure 0007262922000002
標識イメージング剤及びマスキング剤は、後述する工程(S5)において試料へ投与するために適切な形態で用意されることが好ましい。例えば、標識イメージング剤とマスキング剤とは、1つの医薬組成物に含まれた形態で用意される。又は標識イメージング剤とマスキング剤とは、別々の医薬組成物に含まれた形態で用意される。医薬組成物は、例えば、薬学的に許容され得る担体、希釈剤及び賦形剤などを含む。医薬組成物は、例えば、静脈注射用の液体の形態などである。
陽電子を放出する放射性同位元素で標識された標識イメージング剤を含む医薬組成物は、例えば、PET用製剤などである。ガンマ線を放出する放射性同位元素で標識された標識イメージング剤を含む医薬組成物は、例えば、SPECT用製剤などである。
医薬組成物は、例えば、商業的に入手してもよいし、実施形態のイメージング方法を実施する場所で調製してもよい。陽電子を放出する放射性同位元素で標識された標識イメージング剤を含む医薬組成物は放射性同位元素の半減期が短いため、実施形態のイメージング方法を行う場所で、例えば、医療用サイクロトロンなどを用いて調製することが好ましい。
次に、工程(S5)について、それぞれ図2を用いて説明する。まず試料1にマスキング剤2及び標識イメージング剤3を投与する(図2の(a))。標識イメージング剤3は、イメージング剤4を標識物質5で標識したものである。投与は、工程(S4)において用意した医薬組成物の静脈内への注射などによって行うことができる。標識イメージング剤3及びマスキング剤2が別々に用意されている場合、一方を投与した後に連続して他方を投与してもよい。標識イメージング剤3及びマスキング剤2の両方が含まれる医薬組成物を用意した場合、それを投与すればよい。
投与された標的タンパク質6に対する結合親和性の度合いは、標識イメージング剤3の方がマスキング剤2よりも高いことから、標識イメージング剤3が標的タンパク質6に優先的に結合する(図2の(b))。また、非標的タンパク質7に対する結合親和性の度合いは、マスキング剤2の方が高いことから、マスキング剤2が非標的タンパク質7に優先的に結合する(図2の(b))。しかしながら、マスキング剤2は、標的タンパク質6とも親和性を有することから、標的タンパク質6にも結合し得る(図2の(b)中の矢印8)。その場合、そのマスキング剤2は、標識イメージング剤3が近づくと標的タンパク質6から解離し、そこに標識イメージング剤3が結合する(図2の(c))。また、標識イメージング剤3は、非標的タンパク質7とも親和性を有することから、非標的タンパク質7にも標識イメージング剤3が結合し得る(図2の(b)中の矢印9)。その場合、その標識イメージング剤3は、マスキング剤2が近づくと解離し、そこにマスキング剤2が結合する(図2の(c))。その後、非標的タンパク質7及び標的タンパク質6に結合していないマスキング剤2及び標識イメージング剤3は流失する(図2の(d))。このようにして、標識イメージング剤3は、非標的タンパク質7に結合することなく、標的タンパク質6に結合することができる。その結果、標的タンパク質6が標識物質5によって標識される。
例えば、マスキング剤2及び標識イメージング剤3の標的タンパク質6に対する親和性の差、即ち、前記表1に示される「A」及び「B」、又は表2に示される「a」及び「b」の差が大きいほど、標的タンパク質6にマスキング剤2が結合する可能性が低く、また標的タンパク質6に結合したマスキング剤2が標識イメージング剤3に置き換わる可能性が高くなる。例えば、表2の「a」の値は、「b」の値の10分の1以下であることが好ましい。100分の1以下であれば更に好ましい。
また例えば、マスキング剤2及び標識イメージング剤3の非標的タンパク質7に対する親和性の差、即ち、表1に示される「C」及び「D」、又は表2に示される「c」及び「d」の差が大きいほど、非標的タンパク質7に標識イメージング剤3が結合する可能性が低く、また非標的タンパク質7に結合したイメージング剤3がマスキング剤2と入れ替わる可能性が高くなる。例えば、表2の「d」の値は、「c」の値の10分の1以下であることが好ましい。100分の1以下であれば更に好ましい。
次に、工程(S6)において、標識物質からの信号を検出し、検出の結果に基づいて画像を作成する。
標識物質が陽電子(ポジトロン)を放射する放射性同位元素である場合、信号は、放射性同位元素から放出された陽電子が近傍の電子と対消滅した結果として生じる、180度反対の方向に放射される2本の消滅放射線(ガンマ線)である。例えば、このような2方向に放射されたガンマ線を同時計数することによって、信号を検出し、画像化することができる。即ち、2本のガンマ線を、試料の周囲にリング状に配置された複数のガンマ線検出器によって同時に検出することによって、ガンマ線が検出されたガンマ線検出器同士を結ぶ線上に放射性同位元素が存在するというデータ、例えば、サイノグラムを得ることができる。得られたデータを画像再構成することによって、放射性同位元素の分布を断層画像として得ることができる。例えば、このような消滅放射線の検出及び画像の作成は、陽電子放出断層撮影(Positoron emmission tomography:PET)装置、PET装置とX線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置とを組み合わせたPET-CT装置、又はTOF-PET(time-of-flight PET)装置などの核医学診断装置によって行うことができる。
標識物質が、ガンマ線を放出する放射性同位元素である場合、信号は、放射性同位元素から放射されるガンマ線である。例えば、このようなガンマ線を、試料側にコリメータ、例えば、平行型コリメータを備えるガンマ線検出器によって検出することによって、ガンマ線が到達して電力パルスが出力されたガンマ線検出器の位置及び電力パルスが検出された回数などのデータを得ることができる。得られたデータから平面画像を作成することができる。ガンマ線検出器で試料の様々な方向からガンマ線を検出して平面画像を収集し、コンピュータで画像再構成することによって放射性同位元素の分布を断層画像として得ることができる。例えば、このようなガンマ線の検出及び画像の作成は、単一光子放射断層撮影(Single poton emission computed tomography:SPECT)装置、又はSPECT装置とCT装置とを組み合わせたSPECT-CT装置などの核医学診断装置を用いて行うことができる。
信号の検出及び画像の作成は、試料の全体に亘って行ってもよいし、試料の一部において行ってもよい。
以上に説明したタンパク質をイメージングする方法によれば、イメージング対象外の非標的タンパク質にイメージング剤が結合するのを効率的に防止することができる。その結果、イメージング結果が偽陽性となることが防止され、標的タンパク質を高感度に検出することができる。また、実施形態の方法によれば、組織や血液を採取に耐えられない試料においても、非侵襲的に、試料全体に亘って標的タンパク質の有無又は分布を一度に検出することが可能である。
標的タンパク質が特定の疾患に関連するタンパク質であり、実施形態の方法によって標的タンパク質がイメージングされた場合は、例えば、試料が特定の疾患に罹患していると診断することができる。また、イメージングされた標的タンパク質の位置や量によって、その疾患の発症している器官、転移の有無若しくは浸潤性の有無などの疾患の特性、疾患の重症度、経過及び/又は医薬品に対する効果若しくは副作用などを診断することが可能である。そのような診断は、例えば、コンパニオン診断であってもよい。また、その診断によって試料を層別化することが可能である。実施形態の方法によれば、このような診断が偽陽性となることが無く、より精度よく診断を行うことが可能である。
・第2の実施形態
実施形態のイメージング方法の更なる実施形態を図4に示す。図4は、第2の実施形態の方法の一例を示す概略フローチャートである。
まず、工程(S11)においてイメージング剤を決定し、工程(S12)において非標的タンパク質を決定する。工程(S11)及び(S12)はそれぞれ、例えば、上記工程(S1)及び(S2)と同じ方法で行うことができる。
次に、工程(S13)において標識イメージング剤を用意し、工程(S14)においてマスキング剤を用意する。工程(S13)及び工程(S14)はそれぞれ、例えば、上記工程(S3)及び(S4)と同じ方法で行うことができる。第2の実施形態において、標識イメージング剤及びマスキング剤は、別々の医薬組成物に含まれた形態で用意される。
次に、工程(S15)及び工程(S16)について図4及び図5を参照して説明する。
工程(S15)において、試料1にマスキング剤2を投与する(図4の(a))。投与は、例えば、マスキング剤を含む医薬組成物の静脈内への注射などによって行うことができる。投与方法は、標的タンパク質、非標的タンパク質及びマスキング剤の種類などに依存して選択される。
投与されたマスキング剤2は、非標的タンパク質7に結合する(図4の(b))。例えば、非標的タンパク質7にマスキング剤2が結合するまで、試料を放置することが好ましい。マスキング剤2は標的タンパク質6とも結合親和性を有することから、標的タンパク質6にも結合し得る(図4の(b)中の矢印)。その後、非標的タンパク質7又は標的タンパク質6に結合していないマスキング剤2は流失する(図4(c))。このようにして、マスキング剤2によって非標的タンパク質7がマスキングされる。
次に、工程(S16)において、試料1に、イメージング剤4を標識物質5で標識した標識イメージング剤3を投与する(図5(d))。投与は、標識イメージング剤3を含む医薬組成物の静脈内への注射などによって行うことができる。投与方法は、標的タンパク質、非標的タンパク質及びマスキング剤の種類に依存して選択される。
投与された標識イメージング剤3は、標的タンパク質6に結合する(図5の(e))。例えば、標的タンパク質6に標識イメージング剤3が結合するまで、試料1を放置することが好ましい。標的タンパク質6にマスキング剤2が結合している場合(図5の(e)中の矢印)、標的タンパク質6に対する結合親和性の度合いは、標識イメージング剤3の方が高いことから、標的タンパク質6に結合したマスキング剤2に標識イメージング剤3が近づくと、そのマスキング剤2が解離し、そこに標識イメージング剤3が結合する(図5の(f))。その後、非標的タンパク質7及び標的タンパク質6に結合していないマスキング剤2及び標識イメージング剤3は流失する(図5の(g))。このようにして、標識イメージング剤3は、非標的タンパク質7に結合することなく、標的タンパク質6に結合することができる。その結果、標的タンパク質6が標識物質5によって標識される。
例えば、第1の実施形態において説明したように、マスキング剤及び標識イメージング剤の標的タンパク質に対する親和性の差大きいほど、標的タンパク質6にマスキング剤2が結合する可能性が低く、また標的タンパク質6に結合したマスキング剤2が標識イメージング剤3に置き換わる可能性が高くなる。
次に、工程(S15)において、標識物質からの信号を検出し、検出の結果に基づいて画像を作成する。この工程は、上記工程(S6)と同じ方法で行うことができる。
以上に説明した実施形態の方法によれば、非標的タンパク質を、マスキング剤でマスキングした状態で標識イメージング剤を投与するため、標識イメージング剤が非標的タンパク質に結合する可能性がより低くなる。その結果、標的タンパク質を更に高感度に検出することができる。
・第3の実施形態
更なる実施形態において、標的タンパク質及びイメージング剤は、それぞれ複数種類であってもよい。そのような例について、図6を参照して説明する。図6は、第3の実施形態の方法の一例を示す概略フローチャートである。
この例の場合、実施形態のイメージング方法は、試料中の第1~第nの標的タンパク質をイメージングする方法であり、図6に示す工程(S21)~(S26)を含む。ここで、nは2以上の整数である。
まず、工程(S21)において、第1~第nの標的タンパク質それぞれと結合親和性を有する第1~第nのイメージング剤をそれぞれ決定する。この工程は、例えば、第1~第nの標的タンパク質に対して、上記工程(S1)と同じ方法で、それぞれの標的タンパク質に対応する第1~第nのイメージング剤を決定することにより行うことができる。1~nの何れかの値をtとすると、第tの標的タンパク質に対する第tのイメージング剤の親和性は、第tの標的タンパク質に対する第t以外のイメージング剤の親和性の何れよりも高い。
次に、工程(S22)において、第1~第nのイメージング剤と結合親和性を有する非標的タンパク質を決定する。この工程は、例えば、上記工程(S2)と同じ方法によって第1~第nのイメージング剤と親和性を有する非標的タンパク質を決定することができる。非標的タンパク質は、第1~第nのイメージング剤の何れかと親和性を有するタンパク質であってもよいし、或いは、第1~第nのイメージング剤の全てと結合親和性を有するタンパク質であってもよい。
次に、工程(S23)において、第1~第nの標識イメージング剤を用意する。第1~第nの標識イメージング剤は、それぞれ第1~第nの標識物質により標識された第1~第nのイメージング剤である。第1~第nのイメージング剤の第1~第nの標識物質による標識はそれぞれ、例えば、上記(S3)と同じ方法によって行うことができる。
第1~第nの標識物質は互いにエネルギーが異なる標識物質である。それによって、複数種類の標的タンパク質を区別して画像化することができる。しかしながら、第1~第nの標識物質は全てが陽電子を放出する放射性同位元素であるか、又は全てがガンマ線を放射する放射性同位元素であることが好ましい。それによって一度に同じ装置を用いて標的タンパク質を画像化できる。
工程(S24)において、マスキング剤を用意する。マスキング剤は、第1~第nの標的タンパク質及び非標的タンパク質と結合親和性を有する。そして、マスキング剤と第1~第nの標的タンパク質との結合親和性はそれぞれ、第1~第nのイメージング剤と第1~第nの標的タンパク質とのそれぞれの親和性の何れよりも低い。また、マスキング剤と非標的タンパク質との結合親和性は、第1~第nのイメージング剤と非標的タンパク質との親和性の何れよりも高い。
例えば、2種類の標的タンパク質及び1種類の非標的タンパク質、並びに2種類のイメージング剤及び1種類のマスキング剤を用いる場合の各物質の結合親和性の関係について説明する。例えば、表3に示すように、第1の標的タンパク質と、第1のイメージング剤、第2のイメージング剤及びマスキング剤との結合親和性の度合いをそれぞれ「E」、「F」、「G」とし、第2の標的タンパク質と、第1のイメージング剤、第2のイメージング剤及びマスキング剤との結合親和性の度合いをそれぞれ「H」、「I」、「J」とし、非標的タンパク質と、第1のイメージング剤、第2のイメージング剤及びマスキング剤との結合親和性の度合いをそれぞれ「K」、「L」、「M」とすると、「E>F,G」、「I>H,J」、「M>K,L」の式が成り立つ。
Figure 0007262922000003
第1~第nの標識イメージング剤及びマスキング剤は、後述する工程(S25)で投与されるのに適切な医薬組成物に含まれた形態で用意されることが好ましい。第1~第nの標識イメージング剤は、全て別々の医薬組成物に含まれていてもよいし、全てが一つの医薬組成物に含まれていてもよいし、何れかの組み合わせで複数の医薬組成物に含まれていてもよい。
工程(S25)において、第1~第nの標識イメージング剤及びマスキング剤を投与する。第1~第nの標識イメージング剤が別々の医薬組成物に含まれている場合は、それらの医薬組成物を同時に投与するか又は間隔を空けずに連続して投与してもよい。全ての標識イメージング剤が一つの医薬組成物に含まれている場合、その医薬組成物を投与すればよい。例えば、第1~第nの標識イメージング剤及びマスキング剤を含む医薬組成物を調製し、それを投与してもよい。投与は、例えば、上記工程(S5)と同じ方法で行うことができる。或いは、マスキング剤を投与した後に、第1~第nの標識イメージング剤を投与してもよい。
工程(S26)において、第1~第nの標識物質からの信号を検出し、検出の結果に基づいて画像を作成する。この工程は、例えば、工程(S6)と同じ方法によって、第1~第nの標識物質からの信号をそれぞれ検出し、画像を作成することによって行うことができる。この例においては、第1~第nの標識物質からの信号のエネルギーが異なるため、信号を区別することができる。エネルギーの異なる標識物質から得られた信号それぞれにおいて別々の画像を作成してもよいし、各信号によって得られたデータを統合した画像を作成してもよい。統合する場合は、信号毎に別の色を用いて画像化することによって第1~第nの標識物質を区別して画像化することができる。
以上に説明した第3の実施形態の方法によれば、複数種類の標識物質を一度に、区別してイメージングすることができる。
・第4の実施形態
更なる実施形態において、非標的タンパク質及びマスキング剤は、それぞれ複数種類であってもよい。そのような例について、図7を参照して説明する。図7は、第4の実施形態の方法の一例を示す概略フローチャートである。
この例の場合、実施形態のイメージング方法は、試料中の標的タンパク質をイメージングする方法であり、図7に示す工程(S31)~(S36)を含む。
まず、工程(S31)において、標的タンパク質と結合親和性を有するイメージング剤を決定する。この工程は、例えば、上記工程(S1)とおなじ方法によって行うことができる。
次に、工程(S32)において、イメージング剤と結合親和性を有する第1~第nの非標的タンパク質を決定する。この工程は、例えば、上記工程(S2)と同じ方法で、イメージング剤と結合親和性を有する非標的タンパク質を複数種類選択することによって、行うことができる。
工程(S33)において、イメージング剤を標識物質で標識した標識イメージング剤を用意する。標識イメージング剤は、例えば、上記工程(S3)と同じ方法で用意することができる。
工程(S34)において、第1~第nのマスキング剤を用意する。第1~第nのマスキング剤はそれぞれ、標的タンパク質及び第1~第nの非標的タンパク質と結合親和性をそれぞれ有する。即ち、1~nの何れかの値をpとすると、第pのマスキング剤は、標的タンパク質及び対応する第pの非標的タンパク質と結合親和性を有する。そして、第pの非標的タンパク質に対する第pのマスキング剤の親和性は、第pの非標的タンパク質に対する第p以外のイメージング剤の親和性の何れよりも高い。
また、標的タンパク質と第1~第nのマスキング剤との結合親和性は、標的タンパク質とイメージング剤との結合親和性よりもそれぞれ低く、第1~第nの非標的タンパク質と、対応する第1~第nのマスキング剤との結合親和性はそれぞれ、第1~第nの非標的タンパク質とイメージング剤との親和性よりもそれぞれ高い。
例えば、1種類の標的タンパク質及び2種類の非標的タンパク質、並びに1種類のイメージング剤及び2種類のマスキング剤を用いる場合の各物質の結合親和性について説明する。例えば、表4に示すように、標的タンパク質と、イメージング剤、第1のマスキング剤及び第2のマスキング剤との結合親和性の度合いをそれぞれ「O」、「P」、「Q」とし、第1の非標的タンパク質と、イメージング剤、第1のマスキング剤及び第2のマスキング剤との結合親和性の度合いをそれぞれ「R」、「S」、「T」とし、第2の非標的タンパク質と、イメージング剤、第1のマスキング剤及び第2のマスキング剤との結合親和性の度合いをそれぞれ「U」、「V」、「W」とすると、「O>P,Q」、「S>R,T」、「W>U,V」の式が成り立つ。
Figure 0007262922000004
標識イメージング剤及び第1~第nのマスキング剤は、後述する工程(S35)で投与されるのに適切な、医薬組成物に含まれた形態で用意されることが好ましい。第1~第nのマスキング剤は、全て別々の医薬組成物に含まれていてもよいし、全てが一つの医薬組成物に含まれていてもよいし、何れかの組み合わせで複数の医薬組成物に含まれていてもよい。
工程(S35)において、試料に第1~第nのマスキング剤及び標識イメージング剤を投与する。第1~第nのマスキング剤が別々の医薬組成物に含まれている場合は、それらの医薬組成物を同時に投与するか又は間隔を空けずに連続して投与してもよい。全てのマスキング剤が一つの医薬組成物に含まれている場合、その医薬組成物を投与すればよい。例えば、標識イメージング剤及び第1~第nのマスキング剤を含む医薬組成物を調製し、それを投与してもよい。この工程は、例えば、上記工程(S5)と同じ方法で行うことができる。或いは、第1~第nのマスキング剤を投与した後に、標識イメージング剤を投与してもよい。
次に、工程(S36)において、標識物質からの信号を検出し、検出の結果に基づいて画像を作成する。この工程は例えば、上記工程(S6)と同じ方法によって行うことができる。
以上に説明した第4の実施形態によれば、複数種類の非標的タンパク質を同時に効率よくマスキングすることができ、検出の精度がより向上する。非標的タンパク質をより多く選択すれば、より標的タンパク質のイメージングの感度が向上する。
或いは、標的タンパク質及びイメージング剤が複数種類であり、かつ非標的タンパク質及びマスキング剤が複数種類であってもよい。
・第5の実施形態
ある実施形態において、標的タンパク質は変異型EGFRのT790M変異型(以下、「変異型EGFR/T790M」と称する)であり、非標的タンパク質は変異型EGFRであり、イメージング剤はオシメルチニブ(Osimertinib)であり、マスキング剤はアファチニブ(Afatinib)である。そのような例について、図8を参照して説明する。図8は、第5の実施形態の方法の一例を示す概略フローチャートである。この例における方法は、試料中の変異型EGFR/T790Mをイメージングする方法であり、図8に示す工程(S41)~(S44)を含む。
まず、工程(S41)において、標識オシメルチニブを用意する。オシメルチニブは、下記の化学式であらわされる化合物である。
Figure 0007262922000005
標識オシメルチニブは、標識物質で標識されている。標識物質は、例えば、上述の何れかの陽電子を放射する放射性同位元素であることが好ましい。このような標識物質で標識された標識オシメルチニブの一例の化学式を以下に示す。
Figure 0007262922000006
この例では、1つの炭素を放射性同位元素の11Cに置き換えることで標識したオシメルチニブを示した。放射性同位元素で置き換えられる炭素の位置は、上記の化学式に示される位置でなくてもよい。また、複数の炭素が11Cに置き換えられていてもよい。また、何れかの窒素が13Nであってもよいし、何れかの酸素が15Oであってもよい。
工程(S42)において、アファチニブを用意する。アファチニブは、下記の化学式であらわされる化合物である。
Figure 0007262922000007
変異型EGFR及び変異型EGFR/T790Mのアファチニブ及びオシメルチニブとの結合のIC50値は、例えば、表5に示すとおりである。
Figure 0007262922000008
表1に示されるように、オシメルチニブ及びアファチニブはそれぞれ、変異型EGFR/T790M及び変異型EGFRへの結合親和性をそれぞれ有する。そして、アファチニブの変異型EGFR/T790Mに対する結合親和性は、オシメルチニブにおけるよりも低く、アファチニブの変異型EGFRに対する結合親和性は、オシメルチニブにおけるよりも高い。
標識オシメルチニブ及びアファチニブは、例えば、工程(S42)において試料に投与されるのに適切な形態で用意されることが好ましい。例えば、標識オシメルチニブ及びアファチニブは、1つの医薬組成物に含まれた形態で用意される。又は標識オシメルチニブ及びアファチニブは、別々の医薬組成物に含まれた形態で用意される。医薬組成物は、例えば、薬学的に許容され得る担体、希釈剤及び賦形剤などを含む。医薬組成物は、例えば、PET用製剤であってもよい。
次に、工程(S43)において、標識オシメルチニブ及びアファチニブを試料に投与する。例えば、標識オシメルチニブ及びアファチニブを含む医薬組成物を投与してもよいし、別々に用意された標識オシメルチニブ及びアファチニブを連続して投与してもよいが、アファチニブを投与した後、標識オシメルチニブを投与することが好ましい。そのような例について、図9及び図10を用いて説明する。
まず、試料11にアファチニブ12を投与する(図9の(a))。投与は、例えば、静脈内注射によって行われる。投与されたアファチニブ12は、変異型EGFR13に結合する(図9の(b))。例えば、変異型EGFR13にアファチニブ12が結合するまで、試料を放置することが好ましい。アファチニブ12は変異型EGFR/T790M14とも結合親和性を有することから、変異型EGFR/T790M14にも結合し得る(図9の(b)中の矢印)。その後、変異型EGFR13又は変異型EGFR/T790M14に結合していないアファチニブ12は、流失する(図9の(c))。このようにして、アファチニブ12によって変異型EGFR13がマスキングされる。
次に、試料11に標識オシメルチニブ17を投与する(図10の(d))。標識オシメルチニブ17は、11C16によって標識されたオシメルチニブである。投与は、例えば、静脈内注射によって行われる。投与された標識オシメルチニブ17は、変異型EGFR13に結合する(図10の(e))。変異型EGFR/T790M14とアファチニブ12が結合している場合(図10の(e)中の矢印)、そのアファチニブ12は、標識オシメルチニブ17に置き換わり、変異型EGFR/T790M14に標識オシメルチニブ17が結合する(図10の(f))。その後、変異型EGFR13及び変異型EGFR/T790M14に結合していないアファチニブ12及び標識オシメルチニブ17は、流失する(図10の(g))。このようにして、標識オシメルチニブ17は、変異型EGFR13に結合することなく、変異型EGFR/T790M14に結合することができる。その結果、変異型EGFR/T790M14が11C16によって標識される。
次に、工程(S44)において、標識物質からの信号を検出し、画像を作成する。この例の場合、信号は、標識物質である放射性同位元素から放出された陽電子と、近傍の電子とが対消滅して生じる2本のガンマ線である。ガンマ線の検出及び画像の作成は、例えば、上記工程(S6)と同じ方法によって、例えば、PET装置などを用いて行うことができる。
以上に説明した第5の実施形態の方法によれば、変異型EGFRがアファチニブによってマスキングされ、変異型EGFRにオシメルチニブが結合することが防止される。その結果、変異型EGFR/T790Mを変異型EGFRと区別して正確にイメージングすることができる。この方法によれば、組織や血液の採取に耐えられない試料であっても、試料全体における変異型EGFR/T790Mの有無又は分布を非侵襲的に検出することが可能である。
実施形態の方法によって変異型EGFR/T790Mがイメージングされた場合は、例えば、試料が変異型EGFR/T790M陽性肺癌に罹患していると診断することができる。また、イメージングされた変異型EGFR/T790Mの位置や量によって、変異型EGFR/T790Mが発症している器官、原発巣及び転移巣における変異型EGFR/T790Mの有無、肺癌の進行度及び重症度、経過及び/又は医薬品に対する効果などを診断することが可能である。実施形態の方法によれば、変異型EGFR/T790Mの診断が偽陽性となることが無く、より精度よく変異型EGFR/T790Mの診断を行うことが可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
試料中の標的タンパク質をイメージングする方法であって、
(S1)前記標的タンパク質と結合親和性を有するイメージング剤を決定すること、
(S2)前記イメージング剤と結合親和性を有する非標的タンパク質を決定すること、
(S3)前記イメージング剤を標識物質で標識した標識イメージング剤を用意すること、
(S4)前記標的タンパク質及び前記非標的タンパク質と結合親和性を有し、前記標的タンパク質との結合親和性が、前記イメージング剤のそれよりも低く、前記非標的タンパク質との結合親和性が、前記イメージング剤のそれよりも高いマスキング剤を用意すること、
(S5)前記試料に、前記マスキング剤及び前記標識イメージング剤を投与すること、及び
(S6)前記標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
を含むタンパク質をイメージングする方法。
[2]
前記工程(S5)において、前記マスキング剤を投与した後に、前記標識イメージング剤を投与する[1]に記載の方法。
[3]
前記標的タンパク質がバイオマーカーである[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
前記バイオマーカーが、診断マーカー、予後マーカー、薬力学マーカー、モニタリング用マーカー又は治療マーカーである[3]に記載の方法。
[5]
前記標識物質が、陽電子を放出する放射性同位元素である[1]~[4]の何れか1つに記載の方法。
[6]
試料中の第1~第nの標的タンパク質をイメージングする方法であって、ここで、nは2以上の整数であり、
(S21)前記第1~第nの標的タンパク質とそれぞれ結合親和性を有する第1~第nのイメージング剤をそれぞれ決定すること、
(S22)前記第1~第nのイメージング剤とそれぞれ結合親和性を有する非標的タンパク質を決定すること、
(S23)前記第1~第nのイメージング剤を第1~第nの標識物質で標識した第1~第nの標識イメージング剤を用意すること、
(S24)前記第1~第nの標的タンパク質及び前記非標的タンパク質と結合親和性を有し、前記第1~第nの標的タンパク質との結合親和性がそれぞれ、前記第1~第nのイメージング剤のそれよりも低く、前記非標的タンパク質との結合親和性が、前記第1~第nのイメージング剤のそれよりも高いマスキング剤を用意すること、
(S25)前記試料に、前記マスキング剤及び前記第1~第nの標識イメージング剤を投与すること、及び
(S26)前記第1~第nの標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
を含むタンパク質をイメージングする方法。
[7]
試料中の標的タンパク質をイメージングする方法であって、
(S31)前記標的タンパク質とそれぞれ結合親和性を有するイメージング剤を決定すること、
(S32)前記イメージング剤とそれぞれ結合親和性を有する第1~第nの非標的タンパク質を決定すること、
(S33)前記イメージング剤を標識物質で標識した標識イメージング剤を用意すること、
(S34)前記標的タンパク質及び前記第1~第nの非標的タンパク質と結合親和性を有し、前記標的タンパク質との結合親和性が、前記イメージング剤のそれよりもそれぞれ低く、前記第1~第nの非標的タンパク質との結合親和性がそれぞれ、前記イメージング剤のそれよりもそれぞれ高い第1~第nのマスキング剤を用意すること、
(S35)前記試料に、前記第1~第nのマスキング剤及び前記標識イメージング剤を投与すること、及び
(S36)前記標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
を含むタンパク質をイメージングする方法。
[8]
試料中の変異型EGFRのT790M変異型(以下、「変異型EGFR/T790M」と称する)をイメージングする方法であって、
(S41)オシメルチニブを標識物質で標識した標識オシメルチニブを用意すること、
(S42)アファチニブを用意すること、
(S43)前記試料に、前記アファチニブ及び前記標識オシメルチニブを投与すること、及び
(S44)前記標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
を含むタンパク質をイメージングする方法。
1…試料 2…マスキング剤 3…標識イメージング剤 4…イメージング剤
5…標識物質 6…標的タンパク質 7…非標的タンパク質
11…試料 12…アファチニブ 13…変異型EGFR
14…変異型EGFR/T790M 15…オシメルチニブ
16…11C 17…標識オシメルチニブ

Claims (8)

  1. 試料中の標的タンパク質をイメージングする方法であって、
    (S1)前記標的タンパク質と結合親和性を有するイメージング剤を決定すること、
    (S2)前記イメージング剤と結合親和性を有する非標的タンパク質を決定すること、
    (S3)前記イメージング剤を標識物質で標識した標識イメージング剤を用意すること、
    (S4)前記標的タンパク質及び前記非標的タンパク質と結合親和性を有し、前記標的タンパク質との結合親和性が、前記イメージング剤のそれよりも低く、前記非標的タンパク質との結合親和性が、前記イメージング剤のそれよりも高いマスキング剤を用意すること、
    (S5)前記マスキング剤及び前記標識イメージング剤を投与された前記試料、及び前記標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
    を含むタンパク質をイメージングする方法。
  2. 前記工程(S5)において、前記試料は、前記マスキング剤投与された後に、前記標識イメージング剤投与されている請求項1に記載の方法。
  3. 前記標的タンパク質がバイオマーカーである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記バイオマーカーが、診断マーカー、予後マーカー、薬力学マーカー、モニタリング用マーカー又は治療マーカーである請求項3に記載の方法。
  5. 前記標識物質が、陽電子を放出する放射性同位元素である請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
  6. 試料中の第1~第nの標的タンパク質をイメージングする方法であって、ここで、nは2以上の整数であり、
    (S21)前記第1~第nの標的タンパク質のそれぞれとそれぞれ結合親和性を有する第1~第nのイメージング剤を決定すること、
    (S22)前記第1~第nのイメージング剤とそれぞれにまたはそれらの全てと結合親和性を有する非標的タンパク質を決定すること、
    (S23)前記第1~第nのイメージング剤のそれぞれを第1~第nの標識物質のそれぞれで標識した第1~第nの標識イメージング剤を用意すること、
    (S24)前記第1~第nの標的タンパク質及び前記非標的タンパク質と結合親和性を有し、前記第1~第nの標的タンパク質との結合親和性がそれぞれ、前記第1~第nのイメージング剤のそれよりも低く、前記非標的タンパク質との結合親和性が、前記第1~第nのイメージング剤のそれよりも高いマスキング剤を用意すること、
    (S25)前記マスキング剤及び前記第1~第nの標識イメージング剤を投与された前記試料、及び前記第1~第nの標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
    を含むタンパク質をイメージングする方法。
  7. 試料中の標的タンパク質をイメージングする方法であって、
    (S31)前記標的タンパク質と結合親和性を有するイメージング剤を決定すること、
    (S32)前記イメージング剤と結合親和性を有する第1~第nの非標的タンパク質を決定すること、ここで、nは2以上の整数である、
    (S33)前記イメージング剤を標識物質で標識した標識イメージング剤を用意すること、
    (S34)前記標的タンパク質及び前記第1~第nの非標的タンパク質と結合親和性を有し、前記標的タンパク質との結合親和性が、前記イメージング剤のそれよりもそれぞれ低く、前記第1~第nの非標的タンパク質との結合親和性がそれぞれ、前記イメージング剤のそれよりもそれぞれ高い第1~第nのマスキング剤を用意すること、
    (S35)前記第1~第nのマスキング剤及び前記標識イメージング剤を投与された前記試料、及び前記標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
    を含むタンパク質をイメージングする方法。
  8. 試料中の変異型EGFRのT790M変異型(以下、「変異型EGFR/T790M」
    と称する)をイメージングする方法であって、
    (S41)オシメルチニブを標識物質で標識した標識オシメルチニブを用意すること、
    (S42)アファチニブを用意すること、
    (S43)前記アファチニブ及び前記標識オシメルチニブを投与された前記試料、及び前記標識物質からの信号を検出し、前記検出の結果に基づいて画像を作成すること
    を含む変異型EGFR/T790Mをイメージングする方法。
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