JP2005016971A - 燃料供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、既存の設備をそのまま利用して燃料に気泡が混入したか否かを判定することを課題とする。
【解決手段】燃料供給装置10の制御装置36は、流量計28から出力された流量パルスの周期または周波数を計測する流量パルス計測手段と、計測された周期または周波数が正常な数値から外れているか否かを判定する流量パルス判定手段と、周期または周波数が正常な数値から外れた発生回数を積算する積算手段と、積算された発生数が予め設定された閾値以上になった場合、前記燃料供給経路に気泡が混入しているものと判定する気泡発生判定手段と、を有する。従って、流量パルスの周期を監視することにより気泡混入の有無を判定することが可能になるので、気泡を検出するためのセンサなどを別個に設ける必要がなく、計量機11の構成を変更することなく気泡混入の有無を判定することが可能になる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料供給装置に係り、特に燃料供給経路で気泡が発生したことを判定できるよう構成された燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の燃料タンクに燃料を供給する給油装置などの燃料供給装置においては、燃料を送出する燃料送出手段としてのポンプ、ポンプから送出された燃料を自動車の燃料タンク(被燃料供給体)に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とが設けられている。
【0003】
そして、給液所の地下タンクに貯留された燃料は、ポンプによって汲み上げられて給液ノズルから燃料タンクに供給される。また、地下タンクには、燃料タンクを汲み上げるための挿入管路が上方から挿入されており、挿入管路の上端部と給油装置との間は地中に埋設された燃料供給管路によって連通される。
【0004】
このように、地下タンクと給油装置との間を連通する燃料供給経路では、温度上昇やポンプの送液動作により気泡が燃料に混入してしまうことがある。そのため、例えば、燃料供給経路に気泡混入を検出するための気泡検出センサユニットを設けた構成のものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−188400号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の燃料供給装置では、燃料供給経路に気泡検出センサユニットを設けて気泡混入を検出するように構成したため、その分構成が複雑化しており、例えば、既存設備に適用することが難しかった。
そこで、本発明は、上記課題を解決した燃料供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
上記請求項1記載の発明は、燃料を送出する燃料送出手段と、該燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、
前記流量計から出力された流量パルスの周期または周波数を計測する流量パルス計測手段と、
前記流量パルス計測手段により計測された周期または周波数が所定の周期または周波数から外れているか否かを判定し、その判定結果を出力する流量パルス判定手段と、
を備えたものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。
【0008】
請求項2記載の発明の前記流量パルス判定手段は、
前記流量パルス計測手段により計測された周期または周波数の発生回数を周期または当該周波数ごとに記憶する記憶手段を有し、
前記記憶手段に記憶された周期または周波数のうち、所定の周期または周波数の発生回数が所定の回数を超えたか否かを判定し、その判定結果を出力するものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。
【0009】
請求項3に記載の発明の前記流量パルス判定手段は、
前記流量パルス計測手段により計測された周期または周波数の平均値を求める平均値算出手段を有し、
該平均値算出手段により算出された平均値が予め設定された値から外れているか否かを判定し、当該判定結果を出力するものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。
【0010】
請求項4記載の発明は、燃料を送出する燃料送出手段と、該燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、
前記流量計から出力される流量パルスの周波数スペクトラムを計測する周波数スペクトラム計測手段と、
該周波数スペクトラム計測手段により計測された周波数スペクトラムが予め設定された基準周波数スペクトラム範囲から外れていか否かを判定し、その判定結果を出力する周波数スペクトラム判定手段と、
を備えたものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定する気泡発生判定手段と、を備えたものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。
【0011】
請求項5記載の発明は、燃料を送出する燃料送出手段と、該燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、
前記流量計が出力する流量パルスの波形をアナログ信号として計測する流量パルス波形計測手段と、
該流量パルス波形計測手段により計測されたアナログ信号の自己相関関数を演算する自己相関関数演算手段と、
該自己相関関数演算手段により演算された自己相関関数と、予め設定された基準自己相関関数と比較し、特定時間での自己相関値との差分が所定の範囲から外れているか否かを判定し、その判定結果を出力する自己相関関数判定手段と、
を備えたものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明になる燃料供給装置の一実施例を示す概略構成図である。図2は燃料供給装置の外観形状を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【0014】
図1及び図2に示されるように、燃料供給装置10は、自動車の燃料タンク(図示せず)にガソリン等の燃料を供給する計量機11と、計量機11に燃料を供給するための地下タンク22とを有する。燃料供給装置10の筐体12の側面からは、給液ノズル14に接続された給液ホース16が引き出されている。
【0015】
給液ノズル14は、通常、筐体12の側面に設けられたノズル掛け18に掛止されている。そして、顧客の自動車が給液所に到着すると、給液所の作業員は、給液ノズル14をノズル掛け18から外して自動車の燃料タンクに設けられた給液口(図示せず)に挿入する。給液ノズル14は、レバー14aが引き上げられる方向に操作されると、内部の弁部が開弁して燃料を供給することが可能になる。
【0016】
また、筐体12の内部には、給液ホース16が連通接続された給液管路20が配設されており、給液管路(燃料供給経路)20の下端が地下タンク22に挿入された挿入管路(燃料供給経路)24に接続されている。挿入管路24は、地下タンク22の上方から垂直に挿入されており、その先端24aが地下タンク22の底部近傍まで延在している。
【0017】
尚、本実施例では、計量機11の底部から引き出された配管がそのまま下方に延在して地下タンク22に挿入される構成を一例として挙げたが、これに限らず、実際の施工例では、地下タンク22の位置が計量機11から離れた位置にあるので、挿入管路24の上端から水平方向に延在形成された水平管路を介して計量機11内部の給液管路20に連通接続される。
【0018】
筐体12の内部に設けられた給液管路20には、油液を地下タンク22から吸引するための給液ポンプ(燃料送出手段)26と、燃料の供給量を計測するための流量計28と、給液ポンプ26の吸込側に設けられたフィルタ30と、給液ポンプ26の吐出側に設けられたストレーナ32とが配設されている。
【0019】
流量計28は、例えば、容積式流量計であり、吸い込まれた燃料の体積を流量に変換して流量パルスを出力するように構成されている。そのため、流量計28は、気泡の体積分も計測してしまう構造であり、燃料に気泡が含まれている場合には、計測誤差が生じてしまう。
【0020】
フィルタ30は、地下タンク22内の異物が挿入管路24に吸い込まれた場合に異物が給液ポンプ26に吸い込まれることを防止する。また、ストレーナ32は、フィルタ30によって侵入を防止しきれなかった微細な異物や給液ポンプ26内で発生する金属粉等の異物を燃料から除去するものである。
【0021】
また、筐体12の前面には、給油量を表示するための給油量表示器34が配設されている。そして、筐体12の内部には、各機器を制御する制御装置36が設けられている。
【0022】
制御装置36は、上記ノズル掛け18に設けられたノズルスイッチ18aと、給液ポンプ26を駆動するポンプモータ26aと、流量計28によって計測された流量に比例する流量パルスを出力する流量パルス発信器28aと、給油量表示器34と、油種や給液量を設定するための設定器38とが電気的に接続されている。
【0023】
そして、制御装置36は、後述するように給液ノズル14がノズル掛け18より外されてノズルスイッチ18aからの信号が入力されると、流量パルス発信器28aから出力される流量パルス信号を積算して給油量を算出して給油量表示器34に表示する。
【0024】
図3は各機器の構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、制御装置36は、給液ポンプモー夕26a、給液量表示器34、油種ランプ38a、設定器表示器38bに対して制御信号を送信すると共に、流量パルス発信器28a、ノズルスイッチ18a、表示確認スイッチ38c、基準吐出量設定スイッチ38dからの入力信号を受信するI/O(入力/出力)ポート36aを有する。
【0025】
また、制御装置36は、I/Oポート36aで受信した入力信号に基づいて、後述するような監視処理、判定処理、報知処理、給油作業制御処理、給油作業時計測処理、計測結果表示処理、基準吐出量設定処理等のデータ処理を行なうCPU(中央処理装置)36b、CPU36bでの処理プログラムが格納されたROM36c、CPU36bでのデータ処理時にワーク領域として用いられるRAM36d、計時を行なうタイマ36eを有する。
【0026】
ここで、図4(A)(B)を参照して、流量パルス発信器28aから出力される流量パルスについて説明する。図4(A)は給液開始時の流速変化の一例を示すグラフ、図4(B)は流量パルスの周期変化の一例を示す図である。
【0027】
流量パルス発信器28aは、例えばロータリエンコーダによって構成されており、容積式流量計の回転軸(図示せず)と機械的に結合されており、流量計28の回転軸の回転数に同期したパルスを出力する。その出力パルス数は、流量パルス発信器28aの仕様により異なるが、例えば50パルス/回転を出力するように調整されている。尚、流量パルスの周期は、パルス間の時間間隔により求まり、あるいは単位時間当たりに出力されたパルス周波数の逆数から求まめることも可能である。
【0028】
図4(A)(B)に示されるように、給液される燃料の流速に比例して流量パルスのパルス周期も変化する(t1>t2>t3)ことから、この流量パルスの周波数は流速に比例していることが分かる。
【0029】
ここで、図5(A)(B)に示す流量パルスの周期のヒストグラム(正規分布)を参照して、通常給液の場合と供給される燃料に気泡が混入した場合の、流量パルス周期の違いについて説明する。尚、図5(A)(B)は横軸にパルス周期、縦軸にパルス数を示し、1回の給液で発生するパルス周期をヒストグラム化した一例のグラフである。
【0030】
図5(A)に示されるように、燃料に気泡混入されない通常給液の場合、給液開始時と給液終了時に長い周期のパルスが発生し、その後最大流量での給油となることから、本実施例においては、例えば、流量パルスの周期が約20msec以下と約60msec付近の流量パルスが多く発生していることが分かる。
【0031】
これに対して、図5(B)に示されるように、燃料に気泡が混入した場合には、給液ポンプ26や流量計28の動作が不安定になるために、燃料に気泡が混入しない場合に比べて、通常は発生していない周期領域α(破線で囲んだ部分)に流量パルスが発生していることが分かる。このような、気泡発生の周期領域αに流量パルスが発生する原因としては、例えば、燃料に気泡が混入することにより、流量計28の内部に設けられたロータに対する負荷が変化して流量パルスの周期が変化することが考えられる。
【0032】
このことから、図5(B)に示す周期領域αでの流量パルスの発生の有無を監視することで、気泡混入の有無を判定することが可能となる。
【0033】
次に、図6に示すフローチャートを用いて計量機11に搭載された制御装置36のCPU36bが実行する気泡混入の診断処理の第1実施例について説明する。
【0034】
気泡混入診断処理は、制御装置36のROM36cに記億される制御プログラムをCPU36bが処理することによって実行される。なお、本制御プログラムには、給油を制御するための処理も含まれているが、以下の説明では本発明に関連する処理のみを抜粋して説明する。
【0035】
給液ノズル14が開弁操作されて燃料の供給が開始されると、流量パルス発信器28aから流量パルスが出力される。この流量パルスは、I/Oポート36aを介して、CPU36bの割り込み入カポートに入力される。
【0036】
また、この流量パルスの立ち上がりエッジに同期して、図6に示す流量パルス割り込みサブルーチンが起動する。CPU36bは、まず、現在のプログラムの状態が待機状態か否かを確認し(S11)、待機状態である場合には周期計測タイマカウンタをスタートし(S12)、次の流量パルスの入力までの周期計測を開始する。
【0037】
続いて、待機状態移行タイマカウンタをスタートし(S13)、給油完了時に待機状態に戻す準備をする。そして、制御プログラムの状態を計測状態に変更する(S14)。
【0038】
また、上記S11において、既に計測状態だった場合には、現在の周期計測タイマカウンタの値を読み出し、この値を流量パルス周期として記憶する(S15:流量パルス計測手段)。そして、次の周期計測を行うために、タイマカウンタの値をリセットし(S16)、計測を継続する。
【0039】
次に、今回の周期が周期領域α(約20msec〜60msec)に入っているか否かを確認し(S17:流量パルス判定手段)、今回の流量パルスの周期が気泡混入時に発生する前述した周期領域α(図5(B)に参照)でない場合には、割り込みサブルーチンを終了する。
【0040】
また、S17において、今回検出された流量パルスの周期が前述した周期領域αに入っていた場合には、異常パルス発生カウンタCを+1する(S18:積算手段)。尚、本実施例では図5(B)に示す一例に従い、約20msec〜60msecを周期領域αとしているが、複数の周期領域に分けて監視することも可能である。
【0041】
続いて、気泡が混入したかどうかを判定する(S19:気泡発生判定手段)。S19においては、カウンタCと予め設定された判定値(閾値)Ceとを比較し、C≧Ceの場合には気泡が混入したものと判断する(S20)。尚、判定値(閾値)Ceは、任意に設定される数値であるが、Ce=1の場合だと偶然に流量パルスの周期が変動した場合でも気泡混入と判定してしまうおそれがあるので、例えば、Ce>2であることが望ましい。
【0042】
そして、S20で気泡が混入と判断された場合には、ポンプモータ26aへの通電を停止し(S21)、異常検出信号を出力して作業員に報知する(S22)。これにより、作業員は、燃料の給液経路で何らかの異常が発生しているものと判断してメンテナンス会社へ点検を要請することが可能になる。これで、今回の処理を終了する。
【0043】
なお、上記S19では、C≧Ceを条件として気泡発生を判定したが、C<Ceを条件として気泡発生を判定しても良い。
【0044】
このように、流量パルスの周期を監視することにより気泡混入の有無を判定することが可能になるので、気泡を検出するためのセンサなどを別個に設ける必要がなく、計量機11の構成を変更することなく気泡混入の有無を判定することが可能になる。
【0045】
図7は給液終了した場合に実行されるサブルーチンを説明するためのフローチャートである。
図7に示されるように、CPU36bは、流量パルスの立ち上がりエッジを検出してから一定時間が経過すると、待機状態移行タイマカンタオーバフロー割り込みが発生し、サブルーチンが起動する。このサブルーチンでは、待機状態以降タイマカウンタを停止し(S31)、状態を待機状態にする(S32)。
【0046】
ここで、制御装置36のCPU36bで実行される制御処理の変形例1について説明する。
上記実施例のS19では、判定値Ceを全機器に対して同一値としたが、機器組み立て完了直後の検査で基準となるデータCiを取得し、そのデータCiとの差分|△C|で比較することも可能である。
【0047】
また、図8は横軸に周波数、縦軸にスペクトルを示しており、(A)は気泡が混入しない場合の流量パルスのパワースペクトルであり、(B)は気泡が混入した場合の流量パルスのパワースペクトルである。
【0048】
図8(A)に示す流量パルスのパワースペクトルIと図8(B)に示す流量パルスのパワースペクトルIIとを比較すると、例えば、80Hz付近でパワースペクトルIが最大値に上昇しているのに対して、パワースペクトルIIでは最小値に低下していることが分かる。従って、パワースペクトルIとIIは、80Hz付近の周波数領域での差異が大きく見られる。
【0049】
このようにパワースペクトルの現れ方にも違いが出ており、本変形例では、流量パルスの周波数を監視し、図8(B)に示す流量パルスより検出された周波数が破線で示す異常領域βで発生するようであれば、気泡混入を検出することが可能となる。
【0050】
図9は計量機11に搭載された制御装置36のCPU36bが実行する気泡混入の診断処理の変形例2のフローチャートである。尚、図9において、S51〜S54の処理は、前述した図6のS11〜S14の処理と同一処理であるので、その説明を省略する。
【0051】
CPU36bは、図9に示すS51で既に計測状態だった場合には、現在の周期計測タイマカウンタの値を読み出し、この値を逆数とすることで流量パルスの周波数を算出し、記憶する(S55:周波数スペクトラム計測手段)。そして、次の周期計測を行うために、タイマカウンタの値をリセットし、計測を継続する(S56)。次に、今回の周波数が70Hz〜90Hzに入るか否かを確認し(S57:気泡発生判定手段)、今回の周波数が70Hz〜90Hzに入らず気泡混入時に発生する周波数でない場合には、割り込みサブルーチンを終了する。
【0052】
また、上記S57において、今回の周波数が70Hz〜90Hzに入り気泡混入時に発生する周波数である場合には、S58〜S62の処理を実行する。尚、S58〜S62の処理は、前述した図6のS18〜S22の処理と同じため、ここではその説明を省略する。これで、今回の処理を終了する。
【0053】
このように、流量パルスの周波数を監視することにより気泡混入の有無を判定することが可能になるので、気泡を検出するためのセンサなどを別個に設ける必要がなく、計量機11の構成を変更することなく気泡混入の有無を判定することが可能になる。
【0054】
ここで、変形例3について図10乃至図12を参照して説明する。
図10は給液回数に対する気泡混入と思われる給液が発生した累積の回数の変化を示すグラフである。
【0055】
図10に示すグラフIIIから、累積の発生回数に対して異常判定値を閾値として設定することにより、燃料供給経路の漏れなどにより徐々に気泡混入量が増加する場合に、その気泡増加量の変化を捉えて給液不能になる前に対策を取ることが可能となる。
【0056】
図11は計量機11に搭載された制御装置36のCPU36bが実行する気泡混入の診断処理の変形例3のフローチャートである。尚、図11において、S71〜S74の処理は、前述した図6のS11〜S14の処理と同一処理であるので、その説明を省略する。
【0057】
CPU36bは、図11に示すS71で既に計測状態だった場合には、現在の周期計測タイマカウンタのカウント値を読み出し、この値を流量パルス周期として記憶する(S75)。そして、次の周期計測を行うために、タイマカウンタのカウント値をリセットし、計測を継続する(S76)。
【0058】
次に、今回の周期が周期領域α(約20msec〜60msec)に入っているか否かを確認し(S77)、今回の流量パルスの周期が気泡混入時に発生する前述した周期領域α(図5(B)に参照)でない場合には、割り込みサブルーチンを終了する。
【0059】
また、S77において、今回検出された流量パルスの周期が前述した周期領域αに入っていた場合には、異常パルス発生カウンタのカウント値Cに1を加算する(S78)。これで、今回の処理を終了する。
【0060】
図12は変形例3の気泡混入を判定するサブルーチンを説明するためのフローチャートである。
図12に示されるように、CPU36bは、給液が終了した場合には、計測した異常パルス発生カウンタのカウント値Cと基準値Ciとの差分を△C=|C−Ci|で求める(S81)。そして、この△Cと判定値Ceとを比較し(S82)、△C≧Ceの場合には気泡混入と判断する(S83)。
【0061】
そして、S83で気泡混入と判断された場合には、ポンプモータ26aへの通電を停止し(S84)、異常検出信号を出力して作業員に報知する(S85)。これにより、作業員は、燃料の給液経路で何らかの異常が発生しているものと判断してメンテナンス会社へ点検を要請することが可能になる。これで、今回の処理を終了する。
【0062】
このように、異常パルス発生カウンタにより周期領域αの周期をカウントし、異常パルス発生カウンタのカウント値Cが所定値以上になったか否かを監視することにより気泡混入の有無を判定することが可能になるので、気泡を検出するためのセンサなどを別個に設ける必要がなく、計量機11の構成を変更することなく気泡混入の有無を判定することが可能になる。
【0063】
ここで、変形例4について図13及び図14を参照して説明する。
上記変形例3では、CPU36bの演算負荷を軽減するために、流量パルスの周期から求めた周波数の発生回数に基づいて、気泡混入状態か否かを判定したが、CPU36bの能力が十分である場合には、自己相関により気泡混入状態を検出することも可能である。
【0064】
例えば、燃料供給装置10の機器組み立て完工直後の検査で、例えば30L定量給液時の流量パルスの波形データをアナログ情報として記録し、その自己相関関数を求める(図13(A)参照)。
【0065】
そして、定期点検等の検査時に同一の試験を行った時の波形データをアナログ情報として記録し、同様に自己相関関数を求める。この時、自己相関関数を時間の関数x(t)で表した場合、自己相関関数は、次式(1)を用いて求めることができる。
【0066】
Figure 2005016971
この(1)式より、出荷前の自己相関関数Rxx(τ)と検査時の自己相関関数Rxx’(τ)について、気泡が混入している場合(図13(B)のグラフVを参照)には、気泡が混入しない正常給液(図13(A)のグラフIVを参照)の場合とは異なる相関値を示す。
【0067】
そこで、両自己相関関数について同一時刻での自己相関値を比較し、正常給油に対して、正常と判定できる判定幅△Xを設定する。自己相関値がこの判定幅△Xから外れる場合には、気泡が混入したものと判定する。尚、図13(A)(B)では、判定点をA点としたが、複数の判定点を設定し、各判定点をアンド条件として判定するようにしても良い。
【0068】
ここで、変形例4の制御処理について説明する。
【0069】
図13(A)(B)は前述した実施例で計測した流量パルスの周期、または周波数毎に発生パルス数をカウントし、それを給油毎に平均値を求め、ヒストグラム化した一例であり、横軸にパルス周期(又は周波数)、縦軸に発生パルス数を示している。
【0070】
供給される燃料に気泡の混入が無く、通常の給油が継続している場合には、1回の給油では図5(A)に示すような分布となることから、これを平均化した場合、図13(A)に示すグラフのような状態となる。
【0071】
一方、気泡混入が計測すると、図5(B)に示すヒストグラムの分布が加算されて平均化されるために、図13(B)のグラフVのようになる。そこで、波形の特徴点である判定点A,B,Cを設定し、各判定値X,Y,Xを設定する。そして、給液毎に各判定点の平均値と判定値を比較することで、気泡混入を検出することが可能になる。
【0072】
次に図14及び図15を参照して変形例4の気泡混入判定の制御処理について説明する。尚、図14に示すS91〜S94の処理は、前述した図6のS11〜S14の処理と同一処理であるので、その説明を省略する。
【0073】
CPU36bは、給液中においては、図14に示すS91で既に計測状態だった場合には、現在の周期計測タイマカウンタの値を読み出し、この値を流量パルス周期として記憶する(S95:流量パルス計測手段)。そして、次の周期計測を行うために、タイマカウンタの値をリセットし、計測を継続する(S96)。
【0074】
次に、今回の周期が判定点Aであるか否かを確認し(S97)、該当する場合には判定点Aのカウンタのカウント値Caに1を加算する(S98:積算手段)。上記S97において、今回の周期が判定点Aでない場合にはS99に進み、判定点Bであるか否かを確認する。そして、今回の周期が判定点Bである場合にはS100で判定点Bのカウンタのカウント値Cbに1を加算する(積算手段)。
【0075】
また、上記S99において、今回の周期が判定点Bでない場合にはS101に進み、今回の周期が判定点Cであるか否かを確認する。そして、今回の周期が判定点Cである場合には、S102で判定点Cのカウンタのカウント値Ccに1を加算する(積算手段)。
【0076】
また、上記S101において、今回の周期が判定点Cでないときは、上記S95に戻り、S95以降の処理を再度実行する。
【0077】
図15に示されるように、CPU36bは、給液が終了した場合には、判定点Aにおける発生パルス数の平均値(CaAve)を求め(S111:平均値算出手段)、次回給液時の判定のために総パルス数を更新する(S112)。
【0078】
続いて、判定点Aにおける発生パルス数の平均値CaAveと判定値(閾値)Xとを比較し(S113:気泡発生判定手段)、CaAve≧Xならば判定点Aで平均値CaAveが範囲外であるので、S114に進む。また、上記S113において、CaAve<Xならば判定点Aで平均値CaAveが判定値(閾値)Xより小さいので、判定点Aでの気泡混入は検出されず、今回の処理を終了する。
【0079】
次に、判定点Bにおける発生パルス数の平均値(CbAve)を求め(S114:平均値算出手段)、次回給液時の判定のために総パルス数を更新する(S115)。
【0080】
続いて、判定点Bにおける発生パルス数の平均値CbAveと判定値(閾値)Yとを比較し(S116:気泡発生判定手段)、CbAve≧Yならば判定点Bで平均値CbAveが範囲外であるので、S117に進む。また、上記S116において、CbAve<Yならば判定点Bで平均値CbAveが判定値(閾値)Yより小さいので、判定点Bでの気泡混入は検出されず、今回の処理を終了する。
【0081】
次に、判定点Cにおける発生パルス数の平均値(CcAve)を求め(S117:平均値算出手段)、次回給液時の判定のために総パルス数を更新する(S118)。
【0082】
続いて、判定点Cにおける発生パルス数の平均値CcAveと判定値(閾値)Zとを比較し(S119:気泡発生判定手段)、CcAve≧Zならば判定点Cで平均値CcAveが範囲外であるので、S120に進む。また、上記S119において、CcAve<Zならば判定点Cで平均値CcAveが判定値(閾値)Zより小さいので、判定点Cでの気泡混入は検出されず、今回の処理を終了する。
【0083】
次のS120では、上記のように判定点A,B,Cでの判定結果が全て判定値(閾値)X,Y,Z以上であるときは、供給されている燃料に気泡が混入したものと判断する。
【0084】
そして、上記S120で気泡混入と判断された場合には、ポンプモータ26aへの通電を停止し(S121)、異常検出信号を出力して作業員に報知する(S122)。これにより、作業員は、燃料の給液経路で何らかの異常が発生しているものと判断してメンテナンス会社へ点検を要請することが可能になる。これで、今回の処理を終了する。
【0085】
このように、時間的な経過に伴う判定点A,B,Cにおける発生パルス数の平均値を監視することにより、気泡混入の有無を判定することが可能になるので、気泡を検出するためのセンサなどを別個に設ける必要がなく、計量機11の構成を変更することなく気泡混入の有無を判定することが可能になる。
【0086】
本変形例4では、全ての判定点A,B,Cの発生パルス数の平均値が判定値以上であることを条件に気泡混入を判断する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、複数の判定点の何れか1点あるいは2点で判定値以上であるときに、燃料に気泡が混入したものと判断するようにしても良いのは勿論である。
【0087】
尚、上記実施の形態では、自動車の燃料タンクにガソリン等の燃料を供給する場合を一例としてあげたが、これに限らず、ガソリン以外の液体燃料を供給する装置であれば、他の液体燃料を供給する装置にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、燃料を送出する燃料送出手段と、該燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、流量計から出力された流量パルスの周期または周波数を計測する流量パルス計測手段と、流量パルス計測手段により計測された周期または周波数が所定の周期または周波数から外れているか否かを判定し、その判定結果を出力する流量パルス判定手段と、を備えたため、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。また、既存の流量計を用いて、流量パルス周期、または周波数を監視することができるので、新たなセンサを付加することなく、気泡の混入を検知することが可能となり、給液所などで給液不能になることを防止して不足の事態を予防できる。
【0089】
請求項2記載の発明によれば、流量パルス判定手段は、流量パルス計測手段により計測された周期または周波数の発生回数を周期または当該周波数ごとに記憶する記憶手段を有し、記憶手段に記憶された周期または周波数のうち、所定の周期または周波数の発生回数が所定の回数を超えたか否かを判定し、その判定結果を出力するため、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。また、経時的な変化から判定することができるので、気泡混入以外で突発的に発生し、すぐに正常に戻るような場合を除外することが可能である。そのため、頻繁に異常報知することが無くなるので、ユーザの使い勝手が悪化することを防止できる。
【0090】
請求項3記載の発明によれば、流量パルス計測手段により計測された周期または周波数の平均値を求める平均値算出手段を有し、平均値算出手段により算出された平均値が予め設定された値から外れているか否かを判定し、当該判定結果を出力するため、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。
【0091】
請求項4記載の発明によれば、燃料を送出する燃料送出手段と、燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、流量計から出力される流量パルスの周波数スペクトラムを計測する周波数スペクトラム計測手段と、周波数スペクトラム計測手段により計測された周波数スペクトラムが予め設定された基準周波数スペクトラム範囲から外れていか否かを判定し、その判定結果を出力する周波数スペクトラム判定手段と、を備えたため、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定する気泡発生判定手段と、を備えたものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。
【0092】
請求項5記載の発明によれば、燃料を送出する燃料送出手段と、燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、流量計が出力する流量パルスの波形をアナログ信号として計測する流量パルス波形計測手段と、流量パルス波形計測手段により計測されたアナログ信号の自己相関関数を演算する自己相関関数演算手段と、自己相関関数演算手段により演算された自己相関関数と、予め設定された基準自己相関関数と比較し、特定時間での自己相関値との差分が所定の範囲から外れているか否かを判定し、その判定結果を出力する自己相関関数判定手段と、を備えたものであり、気泡を検出するためのセンサ等を設けずに気泡混入を判定することが可能であるので、既存の設備をそのまま利用することができ、構成が複雑化することを防止できる。また、出荷時と点検時の流量パルスの相関性の高さで判定することにより、より高い確度で気泡混入の状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる燃料供給装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】燃料供給装置の外観形状を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】各機器の構成を示すブロック図である。
【図4】給液開始時の流速変化の一例及び流量パルスの周期を変化の一例を示す図である。
【図5】燃料に気泡混入されない通常給液の場合と気泡が混入された場合のヒストグラムを示す図である。
【図6】制御装置36のCPU36bが実行する気泡混入の診断処理の第1実施例を説明するためのフローチャートである。
【図7】給液終了した場合に実行されるサブルーチンを説明するためのフローチャートである。
【図8】気泡が混入しない場合の流量パルスのパワースペクトルと、気泡が混入した場合の流量パルスのパワースペクトルの一例を示す図である。
【図9】計量機11に搭載された制御装置36のCPU36bが実行する気泡混入の診断処理の変形例2のフローチャートである。
【図10】給液回数に対する気泡混入と思われる給液が発生した累積の回数の変化を示すグラフである。
【図11】計量機11に搭載された制御装置36のCPU36bが実行する気泡混入の診断処理の変形例3のフローチャートである。
【図12】変形例3の気泡混入を判定するサブルーチンを説明するためのフローチャートである。
【図13】流量パルスの周期、または周波数毎に発生パルス数をカウントし、気泡が混入しない場合の平均値と、気泡が混入した場合の平均値とをヒストグラム化した自己相関値の変化の一例を示す図である。
【図14】変形例4の流量パルス割り込み処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】変形例4の気泡混入判定の制御処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 燃料供給装置
11 計量機
14 給液ノズル
18 ノズル掛け
18a ノズルスイッチ
20 給液管路
24 挿入管路
26 給液ポンプ
26a ポンプモータ
28 流量計
28a 流量パルス発信器
36 制御装置
36b CPU
38 設定器

Claims (5)

  1. 燃料を送出する燃料送出手段と、該燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、
    前記流量計から出力された流量パルスの周期または周波数を計測する流量パルス計測手段と、
    前記流量パルス計測手段により計測された周期または周波数が所定の周期または周波数から外れているか否かを判定し、その判定結果を出力する流量パルス判定手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料供給装置。
  2. 前記流量パルス判定手段は、
    前記流量パルス計測手段により計測された周期または周波数の発生回数を周期または当該周波数ごとに記憶する記憶手段を有し、
    前記記憶手段に記憶された周期または周波数のうち、所定の周期または周波数の発生回数が所定の回数を超えたか否かを判定し、その判定結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
  3. 前記流量パルス判定手段は、
    前記流量パルス計測手段により計測された周期または周波数の平均値を求める平均値算出手段を有し、
    該平均値算出手段により算出された平均値が予め設定された値から外れているか否かを判定し、当該判定結果を出力することを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
  4. 燃料を送出する燃料送出手段と、該燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、
    前記流量計から出力される流量パルスの周波数スペクトラムを計測する周波数スペクトラム計測手段と、
    該周波数スペクトラム計測手段により計測された周波数スペクトラムが予め設定された基準周波数スペクトラム範囲から外れていか否かを判定し、その判定結果を出力する周波数スペクトラム判定手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料供給装置。
  5. 燃料を送出する燃料送出手段と、該燃料送出手段により送出された燃料を被燃料供給体に供給する燃料供給経路と、該燃料供給経路を流れる燃料の流量を計測する流量計とを有する燃料供給装置において、
    前記流量計が出力する流量パルスの波形をアナログ信号として計測する流量パルス波形計測手段と、
    該流量パルス波形計測手段により計測されたアナログ信号の自己相関関数を演算する自己相関関数演算手段と、
    該自己相関関数演算手段により演算された自己相関関数と、予め設定された基準自己相関関数と比較し、特定時間での自己相関値との差分が所定の範囲から外れているか否かを判定し、その判定結果を出力する自己相関関数判定手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料供給装置。
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