JP2005016800A - 乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材1を直線状に走行させると共に、その塗布面側に、基材1の塗布面から間隔をあけて且つ基材1に平行に走行する直線状走行部分10aが形成されるように、多数の開口を持つ無端状のベルト10及びそれを保持するプーリ11、11を配置し、その無端状のベルト10の内側に赤外線ヒータ8を配置して、基材1の塗布面を赤外線で直接加熱する構成とすると共に、給気装置4による乾燥用気体が基材1とベルト10の間を流れるようにすることで、基材の塗布面上方の気流の乱れを防止し、塗工面質の低下を抑制する構成とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺フィルム、枚葉の薄板などの基材の表面に塗布した塗膜を乾燥する装置に関し、特に、エレクトロニクス製品、光学製品、ディスプレイ製品などの製造工程に用いられる、精密、高効率乾燥が要求される乾燥に用いるのに好適な乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルタや液晶の製造に当たって、基材の表面にカラーフィルタ用インキや液晶を塗布し、乾燥することが行われている。この種材料の乾燥に当たっては、塗布膜の表面が極力平滑となり且つ膜厚が均一となるように精密に且つ効率良く乾燥する必要がある。従来、この種の乾燥に用いられる装置は、図2に示すように、基材1を、その塗布面を上にしてガイドロール2によって水平に直線状に走行するように案内し、基材下面側に配置した赤外線ヒータ3によって基材1を加熱し、且つ基材1の上面側には、給気用ブロワ5、ヒータ6、排気用ブロワ7等を備えた給気装置4を配置して乾燥用の空気を加熱して基材1に沿って走行させ、基材1を乾燥させる構成であった。また、図3に示すように、乾燥用の空気を基材1の走行方向とは逆方向に流す構成とした装置も知られている。更に、図4に示すように、赤外線ヒータ8を基材1の塗布面側(図面で上面側)に配置し、基材の塗布面側から赤外線ヒータ3と熱風による乾燥を行う構成としたものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる従来技術にはいずれも問題点があった。
・図2、図3に示す乾燥装置のように、基材下面からの赤外線加熱方式では、赤外線が基材を通過した後、塗膜を加熱するため非常にロスが大きい。特に金属性の基材の場合、赤外線を反射するため、塗膜を加熱する効果がほとんどない。
・図4に示す乾燥装置のように、塗膜側から赤外線ヒータ8により加熱を行った場合は、エネルギー効率は良いが、基材上方に取り付けられた赤外線ヒータ8が上壁面から下方に突き出しているため、これに給気がぶつかって乱れてしまい、塗工面表面に風紋を生じさせ、塗工面質を低下させてしまう。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、塗工面質を低下させることなく、高効率で乾燥を行うことの可能な乾燥装置を提供すること課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、基材の塗布面側に赤外線ヒータを配置して塗布面を直接赤外線で加熱する構成とすると共に、塗布面上における気流の乱れを回避するため、前記基材と赤外線ヒータとの間に、多数の開口を持つベルトを前記基材に平行に走行させる構成としたものである。なお、本明細書において赤外線ヒータとは、厳密な意味での赤外線を用いたヒータに限らず、遠赤外線、近赤外線等を用いたヒータをも含むものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の乾燥装置の基本的な形態は、直線状に走行する基材の塗布面側に配置され、該基材の塗布面から間隔をあけて且つ前記基材に平行に走行する直線状走行部分を形成するように配置された、多数の開口を持つ無端状のベルトと、該無端状のベルトの内側に配置され、該ベルトを通して前記基材を加熱する赤外線ヒータと、前記基材とベルトとの間に乾燥用の気体を流す給気装置を備えたものである。この構成により、基材の塗布面を、塗布面側から赤外線ヒータで加熱することができる。ここで、赤外線ヒータと基材との間をベルトが走行しているがそのベルトは多数の開口を備えているので赤外線ヒータのエネルギーをさほど遮断することはなく、このため、赤外線ヒータで基材塗布面を効率よく加熱、乾燥することができる。また、乾燥用の気体は基材とベルトとの間を流れるので、気流が赤外線ヒータで乱されるということがなく、基材に沿って安定して流れることとなり、塗工面品質を低下させることがない。かくして、この乾燥装置により精密且つ高効率の乾燥を行うことができる。
【0007】
ここで、前記基材の塗布面側とは反対側にも、前記基材を加熱する赤外線ヒータを配置することが好ましく、これによって一層加熱速度を高めて乾燥効率を上げることができる。
【0008】
前記した給気装置は、乾燥用の気体を基材とベルトとの間に流すことができるものであれば任意であり、乾燥用の気体も加熱したもの、常温のもの等任意であるが、加熱した気体(熱風)を供給する構成とすることが好ましい。熱風を供給することで一層加熱速度を高めることができる。
【0009】
前記ベルトは多数の開口を備えたものであれば、その構造は任意であるが、好ましくは金網を用いる。金網は、開口率を大きくできるので、赤外線ヒータのエネルギー遮断を少なくできる。
【0010】
以下、図面に示す本発明の好適な実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る乾燥装置の概略側面図であり、図2〜図4に示す従来例と同一部分には同一符号を付している。図1において、1は基材であり、図面で上面側に塗膜を有している。2はその基材1を支持して水平に且つ直線状に走行させるガイドロール、3は基材1の下面側に配置された赤外線ヒータ、4は基材1と後述するベルト10との間に乾燥用の気体を供給する給気装置であり、給気用ブロワ5、ヒータ6、排気用ブロワ7等を備えている。8は基材1の塗布面側に配置された赤外線ヒータ、10は基材1の塗布面側に配置された無端状のベルト、11はそのベルト10を掛けたプーリである。プーリ11、11はベルト10の一部が、基材1の塗布面から間隔をあけて且つ基材1に平行に走行する直線状走行部分10aを形成するように、ベルト10を保持しており、且つそのベルト10を、基材1に面する直線状走行部分10aが基材1と同方向に、基材1とは異なる速度で走行するように駆動するようになっている。ベルト10は、赤外線を通すことができるよう多数の開口を備えたものであり、例えば、金網で形成されている。基材1の塗布面側に配置される赤外線ヒータ8は、無端状のベルト10の内側に配置され、そのベルト10を通して基材1を加熱するようになっている。なお、図示は省略しているが、ベルト10を適当な張力を加えた状態とするためのテンションプーリも設けられている。
【0011】
上記構成の乾燥装置では、基材1が連続的に走行し、同時にベルト10も連続的に走行し、この状態で、基材1を、上面側(塗布面側)から赤外線ヒータ8で加熱し且つ下面側からも赤外線ヒータ3で加熱し、同時に給気装置4が熱風を基材1とベルト10の直線状走行部分10aの間に流して基材1の塗布面の乾燥を行う。この際、基材1が両面から赤外線ヒータ3、8で加熱され、特に塗布面側から赤外線ヒータ8で加熱されるため、きわめて敏速な加熱が行われる。しかも、この赤外線ヒータ8はベルト10の背後に配置されているため、基材1の表面を流れる乾燥用の熱風を乱すことがなく、乾燥用の熱風は基材1とベルト10の間を整流された状態で安定して流れる。このため、基材1の塗膜を加熱し且つ塗膜から発生した溶剤等の蒸発成分を敏速に排除して乾燥を早め、しかも、塗膜表面を乱すことはない。また、ベルト10の走行速度を基材1の走行速度とは異ならせているので、ベルト10の開口の無い部分の陰が基材1の同じ位置に位置するということがなく、加熱むらは生じにくい。かくして、この乾燥装置では、塗工面の品質を低下させることなく、高効率での乾燥が行われる。
【0012】
なお、上記実施の形態では、ベルト10を基材1と同方向に走行させているが、この代わりにベルト10を基材1とは反対方向に走行させる構成としてもよい。また、気流を基材1と反対方向に流すようにしてもよい。
【0013】
【実施例】
[実施例1]
図1に示す乾燥装置で且つ、基材下面側の赤外線ヒータ3は非作動として、次の乾燥条件で乾燥テストを行い、乾燥後の面質及び乾燥状態を検査した。その結果を表1に示す。
[乾燥条件]
・基材: PETフィルム(厚さ75μm)
・塗布液: カラーフィルター用インキ(固形分20%)
・塗布厚: 乾燥後 6.5μm
・風速: 1〜2m/秒
・熱風温度: 40°C
・赤外線ヒータ表面温度: 70°C
・ベルト走行速度: 50m/分
・基材走行速度: 30m/分
【0014】
[比較例1、2]
また、比較のため図2(比較例1)、図4(比較例2)に示す乾燥装置を用いて同様に乾燥テストを行い、乾燥後の面質及び乾燥状態を検査した。なお、乾燥条件は、ベルト10を用いていないことを除いては、実施例1と同様である。この結果も表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施の形態に係る乾燥装置を用いることで、塗膜の高効率乾燥、面質不良のない精密乾燥を行うことができることを確認できた。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明の乾燥装置は、基材の塗布面側から赤外線ヒータで塗布面を加熱する構成としたことできわめて効率良く塗布面を加熱、乾燥することができ、しかも、その赤外線ヒータと基材との間に多数の開口を持つベルトを基材に平行に走行させる構成としたことで、基材表面を流れる気流を乱すことがなく、このため塗工面質の低下のない精密乾燥を高効率で行うことができるという効果を有している。そして、本発明の乾燥装置はこの特性を有するため、カラーフィルタや液晶の乾燥などの、精密且つ高効率が要求される乾燥にきわめて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係る乾燥装置の概略側面図
【図2】従来の乾燥装置の1例を示す概略側面図
【図3】従来の乾燥装置の他の例を示す概略側面図
【図4】従来の乾燥装置の更に他の例を示す概略側面図
【符号の説明】
1 基材
2 ガイドロール
3、8 赤外線ヒータ
4 給気装置
5 給気用ブロワ
6 ヒータ
7 排気用ブロワ
10 ベルト
10a 直線状走行部分
11 プーリ
Claims (4)
- 直線状に走行する基材の塗布面側に、該基材の塗布面から間隔をあけて且つ前記基材に平行に走行する直線状走行部分を形成するように配置された、多数の開口を持つ無端状のベルトと、該無端状のベルトの内側に配置され、該ベルトを通して前記基材を加熱する赤外線ヒータと、前記基材とベルトとの間に乾燥用の気体を流す給気装置を備えた乾燥装置。
- 更に、前記基材の塗布面側とは反対側に、前記基材を加熱する赤外線ヒータを配置したことを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
- 前記給気装置が、乾燥用の熱風を供給するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の乾燥装置。
- 前記ベルトが金網で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の乾燥装置。
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- 2003-06-24 JP JP2003180331A patent/JP4390485B2/ja not_active Expired - Fee Related
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