JP2005016590A - リニアガイド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの上昇を招くことなくスライダの剛性を確保して剛性を高く保つと共に長寿命化を図ることのできるリニアガイド装置を提供する。
【解決手段】円筒ころ状に形成された転動体18の有効長Lweと直径Dwとの比をLwe/Dw=0.9〜1.5とする。
【選択図】 図3
【解決手段】円筒ころ状に形成された転動体18の有効長Lweと直径Dwとの比をLwe/Dw=0.9〜1.5とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直線運動する移動体をその移動方向に案内するリニアガイド装置に関するものであり、特に、案内レールに形成された転動体軌道面とスライダに形成された転動体軌道面との間に設けられた多数の転動体をころ状に形成したリニアガイド装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
直線運動する移動体をその移動方向に案内する機械部品として、リニアガイド装置を例えば工作機械や射出成形機などで使用する場合、比較的高い剛性がリニアガイド装置に要求される。そこで、かかる要求を満たすために、案内レールに形成された転動体軌道面とスライダに形成された転動体軌道面との間に設けられた多数の転動体をころ状に形成したものが知られている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−280537号公報
【特許文献2】
特開2000−291654号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなリニアガイド装置は、転動体としてボールを用いたものに比べて高い剛性を得ることができるが、十分な剛性を確保するためには、転動体に十分な予圧荷重を与えるとともに、高い部材剛性を確保する必要がある。しかし、上記文献に開示されたリニアガイド装置では、ころ状に形成された転動体を循環させるために、スライダ内に転動体の軸方向長さより径の大きい断面円形の貫通孔を形成し、この貫通孔の内側に断面矩形の転動体循環路を樹脂により形成している。このため、転動体としてボールを用いたものに比べて、貫通孔が大きくなりやすく、スライダの剛性が小さくなる。このため、転動体に与えられる予圧荷重の大きさによっては、図5(a)又は図5(b)に示すような弾性変形がスライダに生じる。このため、転動体に十分な予圧を与えても部材変形のために、剛性があまり高くならないという問題があった。
【0005】
このようなスライダの弾性変形を抑制する対策の一つとして、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成し、この貫通孔を転動体の循環路とする方法が考えられる。しかしながら、四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成することは極めて困難であり、コストの上昇を招くという問題がある。
【0006】
また、スライダの弾性変形を抑制する別の対策として、スライダに形成される貫通孔の径を小さくすることが考えられる。しかし、この場合、使用できるころの径が小さくなる。従って、リニアガイド装置の動定格荷重が小さくなってしまう。すなわち、寿命が短いものとなってしまう。
さらに別の対策として、スライダを大きくすることも考えられるが、コンパクト化を妨げる要因となるので、望ましくない。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、コストの上昇を招くことなくスライダの剛性を確保して剛性を高く保つと共に長寿命化を図ることのできるリニアガイド装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、案内レールに形成された転動体軌道面とスライダに形成された転動体軌道面との間に設けられた多数の転動体をころ状に形成したリニアガイド装置において、前記転動体の直径をDw、前記転動体の軸方向長さをLwt、前記転動体の端面周縁部に形成された面取り部の軸方向長さをCwとしたとき、(Lwt−2Cw)/Dw=0.9〜1.5としたことを特徴とする。
【0009】
このような構成であると、スライダのサイズや転動体の対角長を変えることなく基本動定格荷重を大きくすることができる。したがって、単純にころの直径や長さを大きくした場合のように、スライダに穿設される貫通孔の径を大きくする必要がないので、スライダの弾性変形を大きくすることがない。従って、スライダのサイズを大きくすることなく、リニアガイド装置の剛性の低下を防ぐことができる。また、スライダの弾性変形を抑制するために、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成する必要がないので、コストの上昇を招くことがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置の斜視図で、図2は同実施形態に係るリニアガイド装置の一部切欠正面図である。図1及び図2において、本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置は、案内レール11と、この案内レール11の長手方向に相対移動するスライダ12と、このスライダ12の前後方向両端に取り付けられた一対のエンドキャップ13,13とを備えており、案内レール11の左右両側面には、それぞれ転動体軌道面14,15が案内レール11の長手方向に沿って帯状に且つ互いに平行に形成されている。これらの転動体軌道面14,15は案内レール11の側面に傾斜して形成されており、その傾斜角度は互いに直交する角度となっている。また、転動体軌道面14,15はスライダ12の内側面に形成された転動体軌道面16,17(図2参照)とそれぞれ対向しており、レール側転動体軌道面14,15とスライダ側転動体軌道面16,17との間には、多数の転動体18が転動自在に設けられている。
【0011】
転動体18は円筒ころ状に形成されており、これらの転動体18は、スライダ12が案内レール11の長手方向に相対移動すると、これに伴って転動体軌道面14〜17を転動するようになっている。そして、転動体軌道面14〜17を転動した転動体18は、エンドキャップ13内に形成された転動体方向転換路(図示せず)を転動した後、スライダ12内に形成された断面矩形の転動体循環路19(図2参照)を転動するようになっている。
【0012】
転動体循環路19は樹脂で形成されており、スライダ12には、転動体循環路19を樹脂成形するための貫通孔20が転動体18の軸方向長さより大きな孔径で形成されている。
図3は転動体18の正面図であり、図中Dwは転動体18の直径、Lwtは転動体18の軸方向長さ、Cwは転動体18の端面周縁部に形成された面取り部21の軸方向長さ(以下「面取長」と記す)である。また、Dhは√(Dw2+Lwt2)で表される転動体18の対角長、LweはLwt−2Cwで表される転動体18の有効長であり、本実施形態では、転動体18の有効長Lweと直径Dwとの比がLwe/Dw=0.9〜1.5となっている。
次に、このように構成されたリニアガイド装置の作用及び効果について説明する。
【0013】
【表1】
【0014】
リニアガイド装置などの転がり案内要素では、寿命を評価するための指標として、一般に、定格寿命が用いられる。この定格寿命は、形式が同一のリニアガイド装置を同一の条件で使用したとき、そのうちの90%がフレーキング(転がり疲れによる軌道面の損傷)を生じることなく走行できる距離として定義される。そこで、本発明者は、表1に示す寸法の転動体を使用してリニアガイド装置(スライダ軌道長Ls:112mm)の定格寿命Lc[km]を次式により求め、定格寿命Lcと転動体の有効長対直径比(Lwe/Dw)との関係について調査した。
【0015】
Lc=100・(C/F)10/3 (1)
上式において、F:スライダに作用する荷重[N]、C:基本動定格荷重[N]であり、基本動定格荷重Cは次式により求められる。
C=195・bm・λ・Ls1/36・(i・Lwe)7/9・Z3/4・Dw35/27・cosα (2)
但し、bm:定格係数 最大1.1までの定数
λ:減少係数 最大0.83までの定数
Ls:スライダの軌道長[mm]
i:圧縮方向の荷重を受ける転動体列の列数
Lwe:転動体の有効長[mm]
Z:1列当りの転動体数
Dw:転動体の直径[mm]
α:圧縮方向の荷重を受ける転動体の接触角
【0016】
リニアガイド装置の基本動定格荷重Cを大きくするためには、転動体の直径Dw、有効長Lweおよび1列当りの転動体数Zを大きくすれば良いことが式(2)より分かるが、実際のリニアガイド装置では、周辺装置との関係からスライダのサイズをできる限り小さくすることが望ましい。ここで、スライダの軌道長Lsを一定とすると、転動体の直径Dwと転動体数Zは、
Ls=Dw・Z (3)
の関係が成り立つことから、式(2)及び(3)より次式が導かれる。
【0017】
C∝Lwe7/9・Dw59/108 (4)
式(4)において、記号∝は比例関係を示しており、スライダの軌道長Lsを一定とした条件下で基本動定格荷重Cを大きくし、リニアガイド装置の定格寿命Lcを高めるためには、転動体の直径Dwと有効長Lweを大きくすれば良いことがわかる。しかし、転動体の直径Dwと有効長Lweを大きくすると、スライダに形成される貫通孔20(図2参照)の孔径が大きくなり、スライダの剛性低下につながる。
【0018】
上式により求めた定格寿命Lcと転動体の有効長対直径比(Lwe/Dw)との関係を図4に示す。同図において、縦軸は寿命比、横軸は有効長Lweと直径Dwとの比を示しており、この図から明らかなように、スライダ軌道長Lsおよび転動体対角長Dhを一定とした場合、転動体の有効長Lweと直径Dwとの比がLwe/Dw=1.2〜1.4のときに定格寿命Lcが最大となる。そして、転動体の有効長Lweと直径Dwとの比がLwe/Dw=0.9〜1.5のときには、定格寿命Lcの最大値に対して約90%以上の定格寿命を確保することができ、これにより、スライダのサイズや転動体の対角長を変えることなく基本動定格荷重を大きくすることができる。したがって、スライダに形成される貫通孔の径を大きくしないで済むので、スライダの弾性変形を大きくすることがない。従って、スライダのサイズを大きくすることなく、剛性の低下を防止できる。また、スライダの弾性変形を抑制するために、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成する必要がないので、コストの上昇を招くことがない。
【0019】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上述した実施の形態では、案内レールとスライダの軌道面を転動する転動体として、円筒ころ状に形成された転動体を用いたが、特開2001−12453号公報に開示されているような球面ころを転動体として用いても良い。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るリニアガイド装置によれば、転動体の有効長と直径との比を0.9〜1.5としたことで、スライダのサイズや転動体の対角長を変えることなく基本動定格荷重を大きくすることができる。したがって、単純にころの直径や長さを大きくした場合のように、スライダに穿設される貫通孔の径を大きくする必要がないので、スライダの弾性変形を大きくすることがない。従って、スライダのサイズを大きくすることなく、リニアガイド装置の剛性の低下を防ぐことができる。また、スライダの弾性変形を抑制するために、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成する必要がないので、コストの上昇を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置の斜視図である。
【図2】図1に示すリニアガイド装置の一部切欠正面図である。
【図3】図2に示す転動体の正面図である。
【図4】リニアガイド装置の定格寿命と転動体の有効長対直径比との関係を示す図である。
【図5】本発明が解決しようとする課題を説明するための図である。
【符号の説明】
11 案内レール
12 スライダ
13 エンドキャップ
14〜17 転動体軌道面
18 転動体
19 転動体循環路
20 貫通孔
21 面取り部
【発明の属する技術分野】
本発明は、直線運動する移動体をその移動方向に案内するリニアガイド装置に関するものであり、特に、案内レールに形成された転動体軌道面とスライダに形成された転動体軌道面との間に設けられた多数の転動体をころ状に形成したリニアガイド装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
直線運動する移動体をその移動方向に案内する機械部品として、リニアガイド装置を例えば工作機械や射出成形機などで使用する場合、比較的高い剛性がリニアガイド装置に要求される。そこで、かかる要求を満たすために、案内レールに形成された転動体軌道面とスライダに形成された転動体軌道面との間に設けられた多数の転動体をころ状に形成したものが知られている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−280537号公報
【特許文献2】
特開2000−291654号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなリニアガイド装置は、転動体としてボールを用いたものに比べて高い剛性を得ることができるが、十分な剛性を確保するためには、転動体に十分な予圧荷重を与えるとともに、高い部材剛性を確保する必要がある。しかし、上記文献に開示されたリニアガイド装置では、ころ状に形成された転動体を循環させるために、スライダ内に転動体の軸方向長さより径の大きい断面円形の貫通孔を形成し、この貫通孔の内側に断面矩形の転動体循環路を樹脂により形成している。このため、転動体としてボールを用いたものに比べて、貫通孔が大きくなりやすく、スライダの剛性が小さくなる。このため、転動体に与えられる予圧荷重の大きさによっては、図5(a)又は図5(b)に示すような弾性変形がスライダに生じる。このため、転動体に十分な予圧を与えても部材変形のために、剛性があまり高くならないという問題があった。
【0005】
このようなスライダの弾性変形を抑制する対策の一つとして、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成し、この貫通孔を転動体の循環路とする方法が考えられる。しかしながら、四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成することは極めて困難であり、コストの上昇を招くという問題がある。
【0006】
また、スライダの弾性変形を抑制する別の対策として、スライダに形成される貫通孔の径を小さくすることが考えられる。しかし、この場合、使用できるころの径が小さくなる。従って、リニアガイド装置の動定格荷重が小さくなってしまう。すなわち、寿命が短いものとなってしまう。
さらに別の対策として、スライダを大きくすることも考えられるが、コンパクト化を妨げる要因となるので、望ましくない。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、コストの上昇を招くことなくスライダの剛性を確保して剛性を高く保つと共に長寿命化を図ることのできるリニアガイド装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、案内レールに形成された転動体軌道面とスライダに形成された転動体軌道面との間に設けられた多数の転動体をころ状に形成したリニアガイド装置において、前記転動体の直径をDw、前記転動体の軸方向長さをLwt、前記転動体の端面周縁部に形成された面取り部の軸方向長さをCwとしたとき、(Lwt−2Cw)/Dw=0.9〜1.5としたことを特徴とする。
【0009】
このような構成であると、スライダのサイズや転動体の対角長を変えることなく基本動定格荷重を大きくすることができる。したがって、単純にころの直径や長さを大きくした場合のように、スライダに穿設される貫通孔の径を大きくする必要がないので、スライダの弾性変形を大きくすることがない。従って、スライダのサイズを大きくすることなく、リニアガイド装置の剛性の低下を防ぐことができる。また、スライダの弾性変形を抑制するために、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成する必要がないので、コストの上昇を招くことがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置の斜視図で、図2は同実施形態に係るリニアガイド装置の一部切欠正面図である。図1及び図2において、本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置は、案内レール11と、この案内レール11の長手方向に相対移動するスライダ12と、このスライダ12の前後方向両端に取り付けられた一対のエンドキャップ13,13とを備えており、案内レール11の左右両側面には、それぞれ転動体軌道面14,15が案内レール11の長手方向に沿って帯状に且つ互いに平行に形成されている。これらの転動体軌道面14,15は案内レール11の側面に傾斜して形成されており、その傾斜角度は互いに直交する角度となっている。また、転動体軌道面14,15はスライダ12の内側面に形成された転動体軌道面16,17(図2参照)とそれぞれ対向しており、レール側転動体軌道面14,15とスライダ側転動体軌道面16,17との間には、多数の転動体18が転動自在に設けられている。
【0011】
転動体18は円筒ころ状に形成されており、これらの転動体18は、スライダ12が案内レール11の長手方向に相対移動すると、これに伴って転動体軌道面14〜17を転動するようになっている。そして、転動体軌道面14〜17を転動した転動体18は、エンドキャップ13内に形成された転動体方向転換路(図示せず)を転動した後、スライダ12内に形成された断面矩形の転動体循環路19(図2参照)を転動するようになっている。
【0012】
転動体循環路19は樹脂で形成されており、スライダ12には、転動体循環路19を樹脂成形するための貫通孔20が転動体18の軸方向長さより大きな孔径で形成されている。
図3は転動体18の正面図であり、図中Dwは転動体18の直径、Lwtは転動体18の軸方向長さ、Cwは転動体18の端面周縁部に形成された面取り部21の軸方向長さ(以下「面取長」と記す)である。また、Dhは√(Dw2+Lwt2)で表される転動体18の対角長、LweはLwt−2Cwで表される転動体18の有効長であり、本実施形態では、転動体18の有効長Lweと直径Dwとの比がLwe/Dw=0.9〜1.5となっている。
次に、このように構成されたリニアガイド装置の作用及び効果について説明する。
【0013】
【表1】
【0014】
リニアガイド装置などの転がり案内要素では、寿命を評価するための指標として、一般に、定格寿命が用いられる。この定格寿命は、形式が同一のリニアガイド装置を同一の条件で使用したとき、そのうちの90%がフレーキング(転がり疲れによる軌道面の損傷)を生じることなく走行できる距離として定義される。そこで、本発明者は、表1に示す寸法の転動体を使用してリニアガイド装置(スライダ軌道長Ls:112mm)の定格寿命Lc[km]を次式により求め、定格寿命Lcと転動体の有効長対直径比(Lwe/Dw)との関係について調査した。
【0015】
Lc=100・(C/F)10/3 (1)
上式において、F:スライダに作用する荷重[N]、C:基本動定格荷重[N]であり、基本動定格荷重Cは次式により求められる。
C=195・bm・λ・Ls1/36・(i・Lwe)7/9・Z3/4・Dw35/27・cosα (2)
但し、bm:定格係数 最大1.1までの定数
λ:減少係数 最大0.83までの定数
Ls:スライダの軌道長[mm]
i:圧縮方向の荷重を受ける転動体列の列数
Lwe:転動体の有効長[mm]
Z:1列当りの転動体数
Dw:転動体の直径[mm]
α:圧縮方向の荷重を受ける転動体の接触角
【0016】
リニアガイド装置の基本動定格荷重Cを大きくするためには、転動体の直径Dw、有効長Lweおよび1列当りの転動体数Zを大きくすれば良いことが式(2)より分かるが、実際のリニアガイド装置では、周辺装置との関係からスライダのサイズをできる限り小さくすることが望ましい。ここで、スライダの軌道長Lsを一定とすると、転動体の直径Dwと転動体数Zは、
Ls=Dw・Z (3)
の関係が成り立つことから、式(2)及び(3)より次式が導かれる。
【0017】
C∝Lwe7/9・Dw59/108 (4)
式(4)において、記号∝は比例関係を示しており、スライダの軌道長Lsを一定とした条件下で基本動定格荷重Cを大きくし、リニアガイド装置の定格寿命Lcを高めるためには、転動体の直径Dwと有効長Lweを大きくすれば良いことがわかる。しかし、転動体の直径Dwと有効長Lweを大きくすると、スライダに形成される貫通孔20(図2参照)の孔径が大きくなり、スライダの剛性低下につながる。
【0018】
上式により求めた定格寿命Lcと転動体の有効長対直径比(Lwe/Dw)との関係を図4に示す。同図において、縦軸は寿命比、横軸は有効長Lweと直径Dwとの比を示しており、この図から明らかなように、スライダ軌道長Lsおよび転動体対角長Dhを一定とした場合、転動体の有効長Lweと直径Dwとの比がLwe/Dw=1.2〜1.4のときに定格寿命Lcが最大となる。そして、転動体の有効長Lweと直径Dwとの比がLwe/Dw=0.9〜1.5のときには、定格寿命Lcの最大値に対して約90%以上の定格寿命を確保することができ、これにより、スライダのサイズや転動体の対角長を変えることなく基本動定格荷重を大きくすることができる。したがって、スライダに形成される貫通孔の径を大きくしないで済むので、スライダの弾性変形を大きくすることがない。従って、スライダのサイズを大きくすることなく、剛性の低下を防止できる。また、スライダの弾性変形を抑制するために、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成する必要がないので、コストの上昇を招くことがない。
【0019】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上述した実施の形態では、案内レールとスライダの軌道面を転動する転動体として、円筒ころ状に形成された転動体を用いたが、特開2001−12453号公報に開示されているような球面ころを転動体として用いても良い。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るリニアガイド装置によれば、転動体の有効長と直径との比を0.9〜1.5としたことで、スライダのサイズや転動体の対角長を変えることなく基本動定格荷重を大きくすることができる。したがって、単純にころの直径や長さを大きくした場合のように、スライダに穿設される貫通孔の径を大きくする必要がないので、スライダの弾性変形を大きくすることがない。従って、スライダのサイズを大きくすることなく、リニアガイド装置の剛性の低下を防ぐことができる。また、スライダの弾性変形を抑制するために、転動体の寸法に合わせて四角形の貫通孔をスライダに機械加工によって形成する必要がないので、コストの上昇を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置の斜視図である。
【図2】図1に示すリニアガイド装置の一部切欠正面図である。
【図3】図2に示す転動体の正面図である。
【図4】リニアガイド装置の定格寿命と転動体の有効長対直径比との関係を示す図である。
【図5】本発明が解決しようとする課題を説明するための図である。
【符号の説明】
11 案内レール
12 スライダ
13 エンドキャップ
14〜17 転動体軌道面
18 転動体
19 転動体循環路
20 貫通孔
21 面取り部
Claims (1)
- 案内レールに形成された転動体軌道面とスライダに形成された転動体軌道面との間に設けられた多数の転動体をころ状に形成したリニアガイド装置において、
前記転動体の直径をDw、前記転動体の軸方向長さをLwt、前記転動体の端面周縁部に形成された面取り部の軸方向長さをCwとしたとき、(Lwt−2Cw)/Dw=0.9〜1.5としたことを特徴とするリニアガイド装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003180005A JP2005016590A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | リニアガイド装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003180005A JP2005016590A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | リニアガイド装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005016590A true JP2005016590A (ja) | 2005-01-20 |
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ID=34181174
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003180005A Withdrawn JP2005016590A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | リニアガイド装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005016590A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI555922B (zh) * | 2015-01-09 | 2016-11-01 | 永進機械工業股份有限公司 | 一種改善滾動式線性滑軌動態特性的方法 |
WO2024004719A1 (ja) * | 2022-06-28 | 2024-01-04 | 日本精工株式会社 | 直動平面案内装置の直動体 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003180005A patent/JP2005016590A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI555922B (zh) * | 2015-01-09 | 2016-11-01 | 永進機械工業股份有限公司 | 一種改善滾動式線性滑軌動態特性的方法 |
WO2024004719A1 (ja) * | 2022-06-28 | 2024-01-04 | 日本精工株式会社 | 直動平面案内装置の直動体 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060621 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20080903 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |