JP2006250166A - 直動案内装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 走行音の低減による騒音特性の向上及びスライダ本体の滑らかな作動性を実現するとともに、転動体通過振動の低減による運動制動の向上を図ることが可能な直動案内装置を提供する。
【解決手段】 ベアリングブロック2Aの転動体軌道溝11の端部に、所定の曲率半径Rで曲面形状としたクラウニング24を設けている。このクラウニング24のクラウニング量Cは、転動体転動路14内で、予圧や外部荷重によって弾性変形している転動体Bの最大弾性変形量Hmaxより大きな値(C > Hmax)に設定されている。このようにすると、ベアリングブロック2Aに大きな荷重が作用したり、こじり等で大きな取付け誤差が生じた場合であっても、転動体軌道溝11の端部側を転動する転動体Bの弾性変形量がクラウニング量Cより大きくならず転動体Bが円滑に転動する。したがって、著しい騒音レベル、振動レベルの悪化や作動性の悪化を防止することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 ベアリングブロック2Aの転動体軌道溝11の端部に、所定の曲率半径Rで曲面形状としたクラウニング24を設けている。このクラウニング24のクラウニング量Cは、転動体転動路14内で、予圧や外部荷重によって弾性変形している転動体Bの最大弾性変形量Hmaxより大きな値(C > Hmax)に設定されている。このようにすると、ベアリングブロック2Aに大きな荷重が作用したり、こじり等で大きな取付け誤差が生じた場合であっても、転動体軌道溝11の端部側を転動する転動体Bの弾性変形量がクラウニング量Cより大きくならず転動体Bが円滑に転動する。したがって、著しい騒音レベル、振動レベルの悪化や作動性の悪化を防止することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、直動案内装置に関する。
ころやボール等の転動体を内部で無限循環させながら被案内物を直線的に案内する直動案内装置は、半導体製造装置や超精密加工機械,超精密測定機器等の運動精度に大きな影響を与える重要な機械要素の一つである。
直動案内装置は、レール側転動体軌道溝を設けた案内レールと、レール側転動体軌道溝に対向するスライダ側転動体軌道溝を設け、このスライダ側転動体軌道溝及びレール側転動体軌道溝の間に形成した転動体転動路内に配設された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能となるように案内レールに支持されたスライダ本体とを備えた装置である。そして、この装置は、転動体転動路と略平行となるようにスライダ本体内に設けた転動体戻し路と、スライダ本体の移動方向の両端部に取付けられ、転動体戻し路の端部と前記転動体転動路の端部とを連通する半円弧状の転動体循環路の外周側循環溝を形成したエンドキャップと、このエンドキャップとスライダ本体との間に介装され、外周側循環溝と対向する位置に転動体循環路の内周側循環溝を形成しているリターンガイドとを備えている。
直動案内装置は、レール側転動体軌道溝を設けた案内レールと、レール側転動体軌道溝に対向するスライダ側転動体軌道溝を設け、このスライダ側転動体軌道溝及びレール側転動体軌道溝の間に形成した転動体転動路内に配設された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能となるように案内レールに支持されたスライダ本体とを備えた装置である。そして、この装置は、転動体転動路と略平行となるようにスライダ本体内に設けた転動体戻し路と、スライダ本体の移動方向の両端部に取付けられ、転動体戻し路の端部と前記転動体転動路の端部とを連通する半円弧状の転動体循環路の外周側循環溝を形成したエンドキャップと、このエンドキャップとスライダ本体との間に介装され、外周側循環溝と対向する位置に転動体循環路の内周側循環溝を形成しているリターンガイドとを備えている。
直動案内装置の転動体が、転動体転動路、転動体循環路及び転動体戻し路を無限循環する際には、周期的な微小振動(以下、転動体通過振動という)が発生し、前述した機器類の運動精度を大きく左右してしまう。前記転動体通過振動は、予圧や外部荷重によって負荷を受けながら転動体転動路(負荷域)を転動している転動体が、負荷域から転動体循環路(無負荷域)に出る際に負荷が開放されたり、また反対に、無負荷域から負荷域に進入する際に新たに負荷を負うことにより現れる。
この転動体通過振動の抑制には、転動体転動路を形成しているスライダ側転動体軌道溝の両端部にクラウニング加工を施すことにより、転動体の負荷域出入りに伴う負荷変動を徐々に行わせることで対応している(例えば、特許文献1)。
特開平04-54310号公報(第11図、第15図)
しかしながら、上述した直動案内装置は、スライダ本体に大きな荷重が作用したり、こじり等で大きな取付け誤差が生じた場合に、騒音レベル、振動レベルや作業性が悪化しやすいという問題がある。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、走行音の低減による騒音特性の向上及びスライダ本体の滑らかな作動性を実現するとともに、転動体通過振動の低減による運動制動の向上を図ることが可能な直動案内装置を提供することを目的としている。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、走行音の低減による騒音特性の向上及びスライダ本体の滑らかな作動性を実現するとともに、転動体通過振動の低減による運動制動の向上を図ることが可能な直動案内装置を提供することを目的としている。
本出願人は、直動案内装置の騒音特性及び作動性について鋭意研究した結果、以下のことが判明した。
すなわち、直動案内装置の騒音特性及び作動性の悪化は、スライダ本体のスライダ側転動体軌道溝の両端部に形成したクラウニングのクラウニング量と、転動体の弾性変形量とに相関があるという知見を得た。ここで、クラウニング量とは、転動体とスライダ側転動体軌道溝の接触角方向の接触位置におけるスライダ側転動体軌道溝の逃げ量である。
すなわち、直動案内装置の騒音特性及び作動性の悪化は、スライダ本体のスライダ側転動体軌道溝の両端部に形成したクラウニングのクラウニング量と、転動体の弾性変形量とに相関があるという知見を得た。ここで、クラウニング量とは、転動体とスライダ側転動体軌道溝の接触角方向の接触位置におけるスライダ側転動体軌道溝の逃げ量である。
クラウニング量と転動体の弾性変形量との相関についてさらに説明すると、従来の装置は、負荷容量の低下を最小限に抑えるため、或いは予圧量の値を基としたため、クラウニング量を転動体の直径の0.15%以下程度としており、スライダ本体に大きな荷重が作用したり、こじり等で大きな取付け誤差が生じると、クラウニングを形成したスライダ側転動体軌道溝の端部側での転動体の弾性変形量がクラウニング量以上となり、転動体の円滑な転動が妨げられて騒音が大きくなるのである。なお、騒音は、転動体の列の隙間を僅かに設定した場合や、転動体の間に保持ピースを介装して転動体間のピッチを一定とした場合は、より顕著に発生する。
そこで、本願請求項1記載の直動案内装置は、軸方向に沿う側面にレール側転動体軌道溝を設けた案内レールと、前記レール側転動体軌道溝に対向するスライダ側転動体軌道溝を有し、これらレール側転動体軌道溝及びスライダ側転動体軌道溝の間に形成した転動体転動路内に配設された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能となるように前記案内レールに支持されたスライダ本体と、前記転動体転動路と略平行となるように前記スライダ本体内に設けた転動体戻し路と、前記スライダ本体の移動方向の両端部に取付けられ、前記転動体戻し路の端部と前記転動体転動路の端部とを連通する半円弧状の転動体循環路の外周側循環溝を形成しているエンドキャップと、このエンドキャップと前記スライダ本体との間に介装され、前記外周側循環溝と対向する位置に前記転動体循環路の内周側循環溝を形成しているリターンガイドと、前記スライダ側転動体軌道溝の両端部に設けたクラウニングと、を備えた直動案内装置において、前記クラウニングのクラウニング量を、前記転動体転動路を転動する前記転動体の最大の弾性変形量より大きな値に設定した。
また、請求項2記載の発明は、軸方向に沿う側面にレール側転動体軌道溝を設けた案内レールと、前記レール側転動体軌道溝に対向するスライダ側転動体軌道溝を有し、これらレール側転動体軌道溝及びスライダ側転動体軌道溝の間に形成した転動体転動路内に配設された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能となるように前記案内レールに支持されたスライダ本体と、前記転動体転動路と略平行となるように前記スライダ本体内に設けた転動体戻し路と、前記スライダ本体の移動方向の両端部に取付けられ、前記転動体戻し路の端部と前記転動体転動路の端部とを連通する半円弧状の転動体循環路の外周側循環溝を形成しているエンドキャップと、このエンドキャップと前記スライダ本体との間に介装され、前記外周側循環溝と対向する位置に前記転動体循環路の内周側循環溝を形成しているリターンガイドと、前記スライダ側転動体軌道溝の両端部に設けたクラウニングと、を備えた直動案内装置において、前記クラウニングのクラウニング量を、前記転動体の直径の1.5%以下の値に設定した。
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の直動案内装置において、前記クラウニング量を、前記転動体の直径の0.3%以上とした。
また、請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の直動案内装置において、前記クラウニングを、所定の曲率半径で湾曲する曲面形状とするとともに、前記曲率半径を、前記転動体の直径の20倍以上に設定した。
また、請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の直動案内装置において、前記クラウニングを、所定の曲率半径で湾曲する曲面形状とするとともに、前記曲率半径を、前記転動体の直径の20倍以上に設定した。
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の直動案内装置において、前記クラウニングの端部と、この端部に連続している前記リターンガイドの内周側循環溝の溝端部との間に段差解消部を設けた。
さらに、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の直動案内装置において、少なくとも前記スライダ側転動体溝及びクラウニングとの境界部分に、ホーニング加工を施した。
さらに、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の直動案内装置において、少なくとも前記スライダ側転動体溝及びクラウニングとの境界部分に、ホーニング加工を施した。
本発明の直動案内装置によると、スライダ側転動体軌道溝の端部に転動体の最大の弾性変形量より大きなクラウニングを設けたことで、予圧や外部荷重によって負荷を受けながら転動体転動路(負荷域)を転動している転動体が、転動体循環路(無負荷域)に出る際に負荷が開放されたり、また反対に、無負荷域から負荷域に進入する際に新たに負荷を負うときに負荷変動が徐々に行われるので、転動体通過振動の低減による運動制動の向上を図ることができ、著しい騒音レベル、振動レベルの悪化や作動性の悪化を防止することができる。また、スライダ本体に大きな荷重が作用したり、こじり等で大きな取付け誤差が生じた場合であっても、上記のクラウニング量を設定し、最適なクラウニング形状としたことから転動体が負荷域及び無負荷域を円滑に転動するので、負荷容量の低下を抑えつつ著しい騒音レベル、振動レベルの悪化や作動性の悪化を防止することができる。
本発明に係る直動案内装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、直動案内装置の外観を示すものである。この直動案内装置は、案内レール1上に、門型形状のスライダ2が移動可能に組み付けられている。この案内レール1の上面と側面1aとが交差する稜線部には、軸方向に延びる略1/4円弧形状の凹溝からなる転動体軌道溝10が形成されている。また、案内レール1の両側面1aの中間位置にも、軸方向に延びる断面ほぼ半円形の凹溝からなる転動体軌道溝10が形成されている。
図1は、直動案内装置の外観を示すものである。この直動案内装置は、案内レール1上に、門型形状のスライダ2が移動可能に組み付けられている。この案内レール1の上面と側面1aとが交差する稜線部には、軸方向に延びる略1/4円弧形状の凹溝からなる転動体軌道溝10が形成されている。また、案内レール1の両側面1aの中間位置にも、軸方向に延びる断面ほぼ半円形の凹溝からなる転動体軌道溝10が形成されている。
スライダ2は、スライダ2の本体をなすベアリングブロック2Aと、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられた門型形状のエンドキャップ2Bとで構成されており、さらに、スライダ2の両端部(各エンドキャップ2Bの端面)には、案内レール1とスライダ2との間の隙間の開口をシールするサイドシール5がそれぞれ装着されている。
図2に示すように、ベアリングブロック2Aの両袖部6の内側面の角部には、案内レール1の転動体軌道溝10に対向する断面ほぼ半円形の転動体軌道溝11が形成され、両袖部6の内側面の中央部には、案内レール1の転動体軌道溝10に対向する断面ほぼ半円形の転動体軌道溝11が形成されている。
図2に示すように、ベアリングブロック2Aの両袖部6の内側面の角部には、案内レール1の転動体軌道溝10に対向する断面ほぼ半円形の転動体軌道溝11が形成され、両袖部6の内側面の中央部には、案内レール1の転動体軌道溝10に対向する断面ほぼ半円形の転動体軌道溝11が形成されている。
そして、案内レール1の転動体軌道溝10とベアリングブロック2Aの両袖部6の転動体軌道溝11とで4箇所の転動体転動路14が形成されており、これらの転動体転動路14は軸方向に延びている。また、スライダ2は、ベアリングブロック2Aの袖部6の肉厚部分の上部及び下部に、転動体転動路14と平行に軸方向に貫通した円形の貫通孔からなる転動体戻し路13を備えている。
ここで、図3は、本発明に係る第1実施形態を示すものである。
エンドキャップ2Bは、図3に示すように、ベアリングブロック2Aとの当接面側に、半円弧状の外周側循環溝16を設けている。また、図3の符号18で示す部材は、ベアリングブロック2Aとエンドキヤップ2Bとの間に介装されたリターンガイドであり、このリターンガイド18の外周には、外周側循環溝16に対向する位置に内周側循環溝20を設けている。これら外周側循環溝16及び内周側循環溝20が、転動体転動路14と転動体戻し路路13とを連通させる転動体循環路22となっており、この転動体循環路22内を転動する転動体Bを転動体転動路14の終点から転動体戻し路13の始点へ送り、或いは、転動体戻し路13の終点から転動体転動路14の始点へ送るようになっている。
エンドキャップ2Bは、図3に示すように、ベアリングブロック2Aとの当接面側に、半円弧状の外周側循環溝16を設けている。また、図3の符号18で示す部材は、ベアリングブロック2Aとエンドキヤップ2Bとの間に介装されたリターンガイドであり、このリターンガイド18の外周には、外周側循環溝16に対向する位置に内周側循環溝20を設けている。これら外周側循環溝16及び内周側循環溝20が、転動体転動路14と転動体戻し路路13とを連通させる転動体循環路22となっており、この転動体循環路22内を転動する転動体Bを転動体転動路14の終点から転動体戻し路13の始点へ送り、或いは、転動体戻し路13の終点から転動体転動路14の始点へ送るようになっている。
そして、本実施形態では、図3に示すように、ベアリングブロック2Aの転動体軌道溝11の端部に、所定の曲率半径Rで曲面形状としたクラウニング24を設けている。このクラウニング24の符号Cで示している寸法が、転動体Bと転動体軌道溝11の接触角方向の接触位置における転動体軌道溝11の逃げ量を示すクラウニング量である。
また、図3において転動体転動路14内の実線で示す転動体Bは、予圧や外部荷重によって弾性変形している状態を示すものである。変形荷重が加わっていないときの転動体B(破線で示す転動体)の直径をD、実線のように転動体Bが最大に弾性変形しているときの直径をL1とすると、転動体Bの最大弾性変形量Hmaxは、以下の式で求められる。
Hmax = L1 − D ……(1)
ここで、本実施形態では、クラウニング24のクラウニング量Cを、転動体Bの最大弾性変形量Hmaxより大きな値に設定している(C > Hmax)。
また、図3において転動体転動路14内の実線で示す転動体Bは、予圧や外部荷重によって弾性変形している状態を示すものである。変形荷重が加わっていないときの転動体B(破線で示す転動体)の直径をD、実線のように転動体Bが最大に弾性変形しているときの直径をL1とすると、転動体Bの最大弾性変形量Hmaxは、以下の式で求められる。
Hmax = L1 − D ……(1)
ここで、本実施形態では、クラウニング24のクラウニング量Cを、転動体Bの最大弾性変形量Hmaxより大きな値に設定している(C > Hmax)。
本実施形態では、転動体軌道溝11の端部にクラウニング24を設けたことで、予圧や外部荷重によって負荷を受けながら転動体転動路14(負荷域)を転動している転動体Bが、負荷域から転動体循環路22(無負荷域)に出る際に負荷が開放されたり、また反対に、無負荷域から負荷域に進入する際に新たに負荷を負うときに、負荷変動が徐々に行われるので、転動体通過振動の低減による運動制動の向上を図ることができ、著しい騒音レベルの悪化や作動性の悪化を防止することができる。
そして、直動案内装置は、各方向からの荷重やモーメントが複合して作用したり、取付け誤差がある状態で使用されることもあり、その大きさの許容値の目安としては、走行距離寿命(疲労による剥離寿命)を元に複合荷重や取付け誤差をラジアル方向の負荷荷重に換算し、その場合の許容値を、動定格荷重の20%以下とするのが一般的であり、長寿命を要求される場合でのその値は、動定格荷重の10%以下とするのが一般的である。しかしながら、従来の直動案内装置のスライダ本体に設けたクラウニングのクラウニング量は、ラジアル方向に動定格荷重の20%の外力が作用したときの転動体の最大弾性変形量よりも小さい値としていたので、騒音レベルの悪化や作動性の悪化を生じる可能性があった。
それに対して、本実施形態では、クラウニング24のクラウニング量Cを、転動体Bの最大弾性変形量Hmaxより大きな値に設定したことで、ベアリングブロック2Aに大きな荷重が作用したり、こじり等で大きな取付け誤差が生じた場合であっても、転動体軌道溝11の端部側を転動する転動体Bの弾性変形量がクラウニング量Cより大きくならず転動体Bが円滑に転動するので、著しい騒音レベルの悪化や作動性の悪化を防止することができる。
さらに、本実施形態の騒音特性と耐久性の両立を考慮した直動案内装置を使用することにより、稼働前のテーブル体の稼働で騒音が発生した場合は、著しい取付け誤差や負荷荷重によって寿命の大幅な低下等の耐久性に悪影響を及ぼすことが見込まれ、本格的な稼働の前に取付け誤差の発生の有無等を検知することも可能となる。
さらに、本実施形態の騒音特性と耐久性の両立を考慮した直動案内装置を使用することにより、稼働前のテーブル体の稼働で騒音が発生した場合は、著しい取付け誤差や負荷荷重によって寿命の大幅な低下等の耐久性に悪影響を及ぼすことが見込まれ、本格的な稼働の前に取付け誤差の発生の有無等を検知することも可能となる。
次に、本発明に係る第2実施形態について、前述した図3と図4及び図5を参照しながら説明する。
本実施形態では、クラウニング24の長手方向の曲率半径Rを1000mmとし、クラウニング量Cを転動体Bの直径Dに対して0.75%に設定した。
そして、ベアリングブロック2Aにローリング方向に大きな取付け誤差(0.001rad)を設けて騒音レベルを実測したところ、取付け誤差がない場合と比較して、騒音レベルの上昇値を従来の装置では12dB(A)であったのに対し、本実施形態では1dB(A)に抑えることがわかった。
本実施形態では、クラウニング24の長手方向の曲率半径Rを1000mmとし、クラウニング量Cを転動体Bの直径Dに対して0.75%に設定した。
そして、ベアリングブロック2Aにローリング方向に大きな取付け誤差(0.001rad)を設けて騒音レベルを実測したところ、取付け誤差がない場合と比較して、騒音レベルの上昇値を従来の装置では12dB(A)であったのに対し、本実施形態では1dB(A)に抑えることがわかった。
また、図4は、ベアリングブロック2Aにローリング方向に0.001radの取付け誤差を設け、クラウニング24のクラウニング長さL2を一定にし、クラウニング量Cを変化させて騒音レベル及び負荷容量の割合(クラウニングを設けていない従来装置の負荷容量を1とし、この従来装置に対して本実施形態の装置のクラウニング量を変化させたときの負荷容量の割合)を計測した騒音測定と、寿命の計算結果を示すグラフである。
図4に示すグラフの横軸は、クラウニング量Cを、転動体Bの直径Dに対する割合(%)で示している。
一般的に、騒音レベルが5dB(A)以上であると、人間の間隔でも音の大きさの有意差を確認することができることから、図4に示すように、騒音レベルが5dB(A)未満となるように、クラウニング量Cを転動体直径に対して0.3%以上とすることが望ましい。
一般的に、騒音レベルが5dB(A)以上であると、人間の間隔でも音の大きさの有意差を確認することができることから、図4に示すように、騒音レベルが5dB(A)未満となるように、クラウニング量Cを転動体直径に対して0.3%以上とすることが望ましい。
しかし、クラウニング量Cが増大すると、騒音上昇が小さくなるが、所定の値を境として負荷容量が低下して直動案内装置の寿命が低下してくる。すなわち、クラウニング量Cを1.5%より大きな値にすると、負荷容量が80%以下となって直動案内装置の寿命が大幅に低下してくることがわかる。これは、クラウニング量Cを1.5%より大きな値にすると、クラウニング長さL2が長くなることで転動体軌道溝11の有効長L3を十分に確保することができず、負荷を受ける転動体の数が減少するので、転動体転動路14の負荷容量が従来装置に対して80%以下となり、耐久性が大幅に低下するからである。このため、直動案内装置の寿命の面から考えると、クラウニング量Cを1.5%以下とすることで、負荷容量の低下を最小限に抑え、従来の装置と比較して80%以上の負荷容量の確保が可能となる。
したがって、クラウニング量Cを、0.3%〜1.5%の範囲に設定すると、騒音特性が向上すると同時に、耐久性の低減を最小限に抑えた直動装置を提供することができる。
したがって、クラウニング量Cを、0.3%〜1.5%の範囲に設定すると、騒音特性が向上すると同時に、耐久性の低減を最小限に抑えた直動装置を提供することができる。
また、図5は、ベアリングブロック2Aにローリング方向に大きな取付け誤差(0.001rad)を設け、例えばクラウニング量Cを0.75%とし、クラウニング24の曲率半径Rを変化させて振動レベルを計測した実験結果のグラフである。
このグラフから明らかなように、クラウニング24の曲率半径Rが、転動体Bの直径Dの20倍以上となると、振動レベルが大幅に低減していく。ここで、曲率半径Rが大きいと、ラウニング長さL2が長くなることで転動体軌道溝11の有効長L3を十分に確保することができないので、クラウニング24の曲率半径Rは転動体Bの直径Dの800倍を上限とすることが望ましい。
このグラフから明らかなように、クラウニング24の曲率半径Rが、転動体Bの直径Dの20倍以上となると、振動レベルが大幅に低減していく。ここで、曲率半径Rが大きいと、ラウニング長さL2が長くなることで転動体軌道溝11の有効長L3を十分に確保することができないので、クラウニング24の曲率半径Rは転動体Bの直径Dの800倍を上限とすることが望ましい。
次に、図6は、本発明に係る第3実施形態を示すものである。
本実施形態では、クラウニング24の端部に平面的に延在する面取り部26を形成し、前記端部と連続するリターンガイド18の内周側循環溝20の溝端部との間に僅かな凹みを設けている。この面取り部26の長さは、転動体Bの直径以下に設定されている。また、転動体軌道溝11とクラウニング24との境界部28には、ホーニング加工が施されている。
本実施形態では、クラウニング24の端部に平面的に延在する面取り部26を形成し、前記端部と連続するリターンガイド18の内周側循環溝20の溝端部との間に僅かな凹みを設けている。この面取り部26の長さは、転動体Bの直径以下に設定されている。また、転動体軌道溝11とクラウニング24との境界部28には、ホーニング加工が施されている。
本実施形態では、クラウニング24の端部に面取り部26を形成したことで、クラウニング24とリターンガイド18の内周側循環溝20との間の連続部分での、大きな段差の解消やベアリング端面に装着する循環部品(エンドキャップ、リターンガイド)の位置ズレの吸収、或いは鋼球(転動体)等の他部品との干渉を防止することができ、転動体転動路14、クラウニング24及び転動体循環路22との間を転動体Bが円滑に転動する。また、転動体軌道溝11とクラウニング24との境界部28にホーニング加工を施したことで、転動体転動路14及びクラウニング24の間を転動体Bが円滑に転動する。したがって、騒音特性をさらに向上させることができる。
なお、上述した面取り部26に限らず、曲面的に延在する面取り部であってもよい。また、面取り部26の他に、クラウニング24の端部に別形状のクラウニングを形成したり、リターンガイド18とともに同時に加工する部分を設けてもよい。
また、第1〜第3実施形態で示したクラウニング24は、所定の曲率半径Rで湾曲した曲面形状としているが、平面的に延在するクラウニングであっても、同様の効果を奏することができる。
また、第1〜第3実施形態で示したクラウニング24は、所定の曲率半径Rで湾曲した曲面形状としているが、平面的に延在するクラウニングであっても、同様の効果を奏することができる。
また、図1及び図2では、案内レール1の両側とベアリングブロック2Aの両袖部6との間に2箇所ずつの転動体転動路14を形成した構造を示したが、1箇所ずつの転動体転動路14を形成しても、同様の作用効果を奏することができる。
また、上記実施形態のクラウニング量Cは、転動体Bと転動体軌道溝11の接触角方向の接触位置における転動体軌道溝11の逃げ量であるが、加工の都合上、例えば2列同時に転動体転動溝11にクラウニング加工を行う場合には、クラウニング量Cを転動体転動溝11の溝底の変化量に換算し、その値を管理するようにすると、同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態のクラウニング量Cは、転動体Bと転動体軌道溝11の接触角方向の接触位置における転動体軌道溝11の逃げ量であるが、加工の都合上、例えば2列同時に転動体転動溝11にクラウニング加工を行う場合には、クラウニング量Cを転動体転動溝11の溝底の変化量に換算し、その値を管理するようにすると、同様の効果を得ることができる。
1 案内レール
2 スライダ
2A ベアリングブロック(スライダ本体)
2B エンドキヤップ
10 転動体軌道溝(レール側転動体軌道溝)
11 転動体軌道溝(スライダ側転動体軌道溝)
13 転動体戻し路
14 転動体転動路
16 外周側循環溝
18 リターンガイド
20 内周側循環溝
22 転動体循環路
24 クラウニング
26 面取り部(段差解消部)
28 転動体転動溝とクラウニングの境界部
B 転動体
C クラウニング量
2 スライダ
2A ベアリングブロック(スライダ本体)
2B エンドキヤップ
10 転動体軌道溝(レール側転動体軌道溝)
11 転動体軌道溝(スライダ側転動体軌道溝)
13 転動体戻し路
14 転動体転動路
16 外周側循環溝
18 リターンガイド
20 内周側循環溝
22 転動体循環路
24 クラウニング
26 面取り部(段差解消部)
28 転動体転動溝とクラウニングの境界部
B 転動体
C クラウニング量
Claims (6)
- 軸方向に沿う側面にレール側転動体軌道溝を設けた案内レールと、前記レール側転動体軌道溝に対向するスライダ側転動体軌道溝を有し、これらレール側転動体軌道溝及びスライダ側転動体軌道溝の間に形成した転動体転動路内に配設された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能となるように前記案内レールに支持されたスライダ本体と、前記転動体転動路と略平行となるように前記スライダ本体内に設けた転動体戻し路と、前記スライダ本体の移動方向の両端部に取付けられ、前記転動体戻し路の端部と前記転動体転動路の端部とを連通する半円弧状の転動体循環路の外周側循環溝を形成しているエンドキャップと、このエンドキャップと前記スライダ本体との間に介装され、前記外周側循環溝と対向する位置に前記転動体循環路の内周側循環溝を形成しているリターンガイドと、前記スライダ側転動体軌道溝の両端部に設けたクラウニングと、を備えた直動案内装置において、
前記クラウニングのクラウニング量を、前記転動体転動路を転動する前記転動体の最大の弾性変形量より大きな値に設定したことを特徴とする直動案内装置。 - 軸方向に沿う側面にレール側転動体軌道溝を設けた案内レールと、前記レール側転動体軌道溝に対向するスライダ側転動体軌道溝を有し、これらレール側転動体軌道溝及びスライダ側転動体軌道溝の間に形成した転動体転動路内に配設された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能となるように前記案内レールに支持されたスライダ本体と、前記転動体転動路と略平行となるように前記スライダ本体内に設けた転動体戻し路と、前記スライダ本体の移動方向の両端部に取付けられ、前記転動体戻し路の端部と前記転動体転動路の端部とを連通する半円弧状の転動体循環路の外周側循環溝を形成しているエンドキャップと、このエンドキャップと前記スライダ本体との間に介装され、前記外周側循環溝と対向する位置に前記転動体循環路の内周側循環溝を形成しているリターンガイドと、前記スライダ側転動体軌道溝の両端部に設けたクラウニングと、を備えた直動案内装置において、
前記クラウニングのクラウニング量を、前記転動体の直径の1.5%以下の値に設定したことを特徴とする直動案内装置。 - 前記クラウニング量を、前記転動体の直径の0.3%以上としたことを特徴とする請求項2記載の直動案内装置。
- 前記クラウニングを、所定の曲率半径で湾曲する曲面形状とするとともに、前記曲率半径を、転動体の直径の20倍以上に設定したことを特徴とする請求項2又は3記載の直動案内装置。
- 前記クラウニングの端部と、この端部に連続している前記リターンガイドの内周側循環溝の溝端部との間に、段差解消部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の直動案内装置。
- 少なくとも前記スライダ側転動体溝及びクラウニングとの境界部分に、ホーニング加工を施したことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の直動案内装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005063912A JP2006250166A (ja) | 2005-03-08 | 2005-03-08 | 直動案内装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005063912A JP2006250166A (ja) | 2005-03-08 | 2005-03-08 | 直動案内装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006250166A true JP2006250166A (ja) | 2006-09-21 |
Family
ID=37090898
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005063912A Pending JP2006250166A (ja) | 2005-03-08 | 2005-03-08 | 直動案内装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006250166A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012219835A (ja) * | 2011-04-04 | 2012-11-12 | Nsk Ltd | リニアガイド装置 |
WO2015151478A1 (ja) * | 2014-04-01 | 2015-10-08 | 日本精工株式会社 | 直動案内装置 |
-
2005
- 2005-03-08 JP JP2005063912A patent/JP2006250166A/ja active Pending
Cited By (6)
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