JP2005016576A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Hiroshi Kato
寛 加藤
Norihisa Kobayashi
功久 小林
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Abstract

【課題】無段変速機の近傍に強固なケーシングを配置することが難しい場合でも、支持剛性の高いヨーク支持構造を構成して、変速機の動力伝達効率、制御安定性、耐久性を確保する。
【解決手段】ケーシング50と、入力側ディスク2A,2Bおよび出力側ディスク3A,3Bと、パワーローラ11と、枢軸14を中心に揺動するとともにパワーローラ11を回転自在に支持するトラニオン15と、トラニオン15を枢軸14の軸線O2方向に変位させる駆動装置32と、枢軸14をそれぞれ揺動自在且つ軸線O2方向に変位自在に支持するとともに、トラニオン15の変位により揺動する一対のヨーク34A,35とを備えるトロイダル型無段変速機において、一対のヨークの少なくとも一方のヨーク34Aは、固定部61に少なくともその一端70aを固定された支柱70によって支持されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用あるいは各種産業機械用の変速機として利用されるトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機は、図6乃至図8に示すように構成されている。
図6に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2A,2Bと2つの出力側ディスク3A,3Bとが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のスリーブ4aには、出力側ディスク3A,3Bがスプライン結合によって連結されている。
【0003】
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2Aとカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の中心軸線O1を中心に回転できる一方で、中心軸線O1方向の変位が阻止されている。
【0004】
出力側ディスク3A,3Bは、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の中心軸線O1を中心に回転自在に支持されている。
また、入力側ディスク2A,2Bは、入力軸1にボールスプライン6,6を介して支持されており、これら入力側ディスク2A,2Bは入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2A,2Bの内側面(凹面)2a,2bと出力側ディスク3A,3Bの内側面(凹面)3a,3bとの間には、パワーローラ11,11(図7参照)が回転自在に挟持されている。
【0005】
図6中右側に位置する入力側ディスク2Bと、この入力側ディスク2Bの中心軸線O1方向の変位を規制するためのローディングナット9との間には、皿ばね10およびシム36が設けられている。
皿ばね10は、シム36を介して入力側ディスク2Bを出力側ディスク3Bに向けて押圧しており、この皿ばね10は、ローディングナット9およびシム36とともに、各ディスク2A,2B,3A,3Bの内側面2a,2b,3a,3bとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する予圧付与装置を構成する。
【0006】
左側の入力側ディスク2Aの内側面2aと左側の出力側ディスク3Aの内側面3aとの間の部分である第1キャビティ39、および右側の入力側ディスク2Bの内側面2bと右側の出力側ディスク3Bの内側面3bとの間の部分である第2キャビティ40には、図7に示すように、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15がそれぞれ設けられている。
【0007】
各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図7の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
【0008】
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2A,2Bおよび各出力側ディスク3A,3Bの間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
【0009】
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク34,35に対して揺動自在およびその軸線O2方向(図6および図7の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク34,35により、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。すなわち、枢軸14,14は、一対のヨーク34,35により水平方向の移動を規制されるように支持されている。
【0010】
各ヨーク34,35は、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。図8に示すように、各ヨーク34,35の四隅には円形の支持孔18が4つ設けられ、中央には出力側ディスク3A,3Bとの干渉を避けるための開口部41が形成されている。各支持孔18には、トラニオン15,15の両端部に設けた枢軸14,14がラジアルニードル軸受30,30を介して揺動自在に支持されている。ラジアルニードル軸受30の外面は、支持孔18の内面に接する球面になっている。
【0011】
また、各ヨーク34,35の中央部にはそれぞれ、貫通孔37,37が設けられており、これらの貫通孔37,37にはそれぞれ、各ポスト64,68が挿通されている。上側のポスト64は、ケーシング50に固定部材52を介して固定されており、下側のポスト68は、ケーシング50に固定された駆動シリンダ31の上側バルブボディ61に固定されている。
【0012】
また、各ポスト64,68の両端部にはそれぞれ、挿通孔64a,68aが入力軸1の中心軸線O1に平行な軸線O3に沿って形成され、一方、各ヨーク34,35にもそれぞれ、各貫通孔37,37を横切る挿通孔34a,35aが入力軸1の中心軸線O1に平行な軸線O3に沿って形成されている。上側のポスト64の挿通孔64aおよび上側ヨーク34の挿通孔34aは、一直線状に配置されており、これらの挿通孔64a,34aには、上側ヨーク34を上側のポスト64に揺動自在に支持する支持ピン51が挿通されている。同様に、下側のポスト68の挿通孔68aおよび下側ヨーク35の挿通孔35aは一直線状に配置されており、これらの挿通孔68a、35aには、下側ヨーク35を下側のポスト68に揺動自在に支持する支持ピン51が挿通されている。
【0013】
なお、支持ピン51によるピン結合の代わりに、図9、図10に示すように、外面を球面とした球面ポスト64A,68Aを、ヨーク34,35に形成された円形の係止孔38に嵌合させて揺動自在に支持する方法も採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0014】
また、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、各ディスク2A,2B,3A,3Bの回転方向に対して同方向(図7で上下逆方向)となっている。この偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸線方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
【0015】
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11,11の外側面に、外輪軌道は各外輪28,28の内側面にそれぞれ形成されている。
【0016】
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
【0017】
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図7の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側バルブボディ61と下側バルブボディ62とによって構成されたシリンダ室31a,31aに油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33とシリンダ室31a,31aとで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸線方向にそれぞれ変位させる駆動装置32,32を構成している。
【0018】
このように構成されたトロイダル型無段変速機においては、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2A,2Bに伝えられる。そして、これら入力側ディスク2A,2Bの回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3A,3Bに伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3A,3Bの回転が、出力歯車4より取り出される。
【0019】
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図7の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2A,2Bおよび各出力側ディスク3A,3Bの内側面2a,2b,3a,3bとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク34,35に枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動する。
【0020】
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと入力側ディスク2Aおよび出力側ディスク3Aの各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11及びこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a,23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
【0021】
【特許文献1】
特開平2−283949号公報
【特許文献2】
特開平11−63184号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなトロイダル型無段変速機においては、パワーローラが受けるトラクション力によってトラニオンに回転モーメントが発生し、これはトラニオンの枢軸を受ける軸受においてヨークに負荷される。また、変速時には、トラニオンの上下動に伴い、ヨークはピンを中心にシーソー運動する。したがって、ヨークの支持剛性が低下すると、パワーローラの接触点位置がずれ、効率が低下したり、変速制御が安定しなくなってしまい、また耐久性も確保できない。
【0023】
しかしながら、近年、このような無段変速機が使用される自動車等の装置における設計上の要請から、上述したようなヨークの支持構造を確保することが難しい場合がある。図6および図7において、トラニオンを駆動する駆動装置側にある下側ヨーク35は、必然的に駆動シリンダ31の上側バルブボディ61に支持されるので、変更の要請は、対向する上側ヨーク34の支持構造に向けられる。
【0024】
例えば、近年、小型乗用車に頻用される前輪駆動方式を想定したトランスミッションを構成する場合、トランスミッションは車体の前部に配置されたエンジンと前輪の間に配置されるため、軸方向寸法は短くなければならい。また、車体幅は決められており、床下部分の最低地上高も確保しなければならず、床上の乗員収容空間も確保しなければならない。その結果、必然的に、無段変速機とその出力を伝える第二軸は、軸方向にオーバーラップし、且つ、水平または垂直ではなく斜め方向にオフセット配置される(例えば、特許文献2参照)。このため、無段変速機の反バルブボディ側に強固なケーシングを配置することが難しくなっており、逆に、この部分にケーシングを設置すれば、無段変速機の他の部分を小さくして容量が低下する、あるいは上述した乗用車としての設計の自由度が減少するなどの不具合が起きる。
【0025】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、装置の小型化、設計の自由度の向上を図るとともに、無段変速機の近傍に強固なケーシングを配置することが難しい場合でも、支持剛性の高いヨーク支持構造を構成して、変速機の動力伝達効率、制御安定性、耐久性を確保することができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、ケーシングと、該ケーシング内において互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これら両ディスク間に挟持されるパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸線に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた上部の枢軸および下部の枢軸を中心に揺動するとともに前記パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、前記トラニオンを前記枢軸の軸線方向に変位させる駆動装置と、前記トラニオンの前記上部の枢軸および前記下部の枢軸をそれぞれ揺動自在且つ軸線方向に変位自在に支持するとともに、前記トラニオンの変位により揺動する一対のヨークとを備えるトロイダル型無段変速機において、前記一対のヨークの少なくとも一方のヨークは、固定部に少なくともその一端を固定された支柱によって支持されていることを特徴とする。
【0027】
請求項1に記載の発明においては、少なくとも一方のヨークは、所定の固定部に一端を固定された支柱によって支持されている。したがって、適宜の固定部から支柱を延ばしてきて、ヨークを支持させることができ、従来のように、ヨークの近傍の特定の箇所にヨークを支持するためのケーシング等の固定要素を設ける必要が無く、装置の小型化、設計の自由度の向上が図られる。また、ヨークを適宜の固定部に支持させることができるので、例えば、事前にヨークを含む主な構成要素を固定部に組み付けてから、これをケーシング内に組み込むことにより、組立作業が容易になる。
【0028】
請求項2に記載のトロイダル型無段変速機は、請求項1に記載の発明において、前記少なくとも一方のヨークは、その縁部において前記支柱により支持されていることを特徴とする。
【0029】
請求項2に記載の発明においては、ヨークは、その縁部において前記支柱により支持されるので、従来のように、ヨークの中央部の近傍にケーシング等の固定要素を設ける必要が無く、装置の小型化、設計の自由度の向上が図られる。
【0030】
請求項3に記載のトロイダル型無段変速機は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記支柱の前記少なくとも一方のヨークを支持する位置に球面座が設けられ、前記少なくとも一方のヨークには、前記球面座に接する内接面を形成する貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【0031】
請求項3に記載の発明においては、球面座と貫通孔の内接面が接触することで、ヨークが揺動を許容される一方、水平方向への変位が規制される。
【0032】
請求項4に記載のトロイダル型無段変速機は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記支柱は、さらに第2の固定部に固定されていることを特徴とする。
【0033】
請求項4に記載の発明においては、支柱を2つの固定部に固定することにより、支柱の支持剛性が向上する。固定部の組み合わせは、状況に応じて適宜に選択する。
【0034】
請求項5に記載のトロイダル型無段変速機は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明において、前記支柱は複数設けられ、これらを互いに連結する連結部材が設けられていることを特徴とする。
【0035】
請求項5に記載の発明においては、複数の支柱を互いに連結することにより、支柱の支持剛性が向上する。
【0036】
請求項6に記載のトロイダル型無段変速機は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の発明において、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクが二対設けられ、前記一対のヨークは、これらの二対の前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクに挟持されたパワーローラをそれぞれ支持するトラニオンを共通に支持するものであることを特徴とする。
【0037】
請求項6に記載の発明においては、一対のヨークによって、いわゆるダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の2つのキャビティに配置されたパワーローラがトラニオンを介して支持され、それにより同期して変位する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の各図において、図6、図7、図9および図10と同様な構成要素には、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0039】
図1および図2は、本発明の第1実施の形態のトロイダル型無段変速機を示すもので、図1は入力軸1に直交する断面を示す図、図2は上側ヨーク34Aの平面図である。
【0040】
図1に示すように、この実施の形態では、第1のキャビティ39および第2のキャビティ40の外側の位置に中心軸線(入力軸の軸線)O1を挟んで二対の支柱70が立設されている。そして、上側ヨーク34Aは、その両端部において支柱70によって揺動自在に支持されている。
【0041】
図2に示すように、上側ヨーク34Aは、図10に示す従来のヨーク34と比較すると、球面ポスト68Aに取り付けるための係止孔38は形成されておらず、各支持孔18の側部が外方に突出して形成されている。そして、この突出部71には、支持孔18の中心を結ぶ線上に貫通孔72が、計4つ形成されている。
【0042】
一方、駆動シリンダ31の上側バルブボディ61には、各貫通孔72に対応する位置に、4本の支柱70が立設され、これらはそれぞれ上側ヨーク34Aの貫通孔72を挿通している。各支柱70は、上側ヨーク34Aを支持するのに充分な剛性を有する素材から、そのような剛性を有するような形状、寸法を有するように形成され、図示するように基端部70aが上側バルブボディ(固定部)61に強固に取り付けられている。各支柱70には、上側ヨーク34Aの貫通孔72に対応する高さ位置に、球面状の外面を有する中空リング状の球面ブッシュ73が、リニアブッシュ74を介して支柱70に嵌合するように取り付けられている。球面ブッシュ73は軸受用等の適宜の素材から形成され、その外径は、貫通孔72の内径よりやや小さく設定されている。また、球面ブッシュ73の外面および貫通孔72の内面は滑らかに仕上げられ、必要に応じて潤滑がされている。
【0043】
なお、下側ヨーク35は、図9および図10の場合と同様に、駆動シリンダ31を構成する上側バルブボディ61の上面に設けられた球面ポスト68Aに係止孔38を嵌合させることによって揺動自在に支持されている。
【0044】
このように構成されたダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機においては、変速時には、例えば、図1において、左側の駆動ピストン33が下側に変位し、右側の駆動ピストン33が上側に変位すると、これらの駆動ピストン33,33と結合されている各トラニオン15,15が互いに逆方向、すなわち、左側のトラニオン15は下側に変位し、右側のトラニオン15は上側に変位する。これにより、上側ヨーク34Aは、球面ブッシュ73と貫通孔72の内面の摺動により、上側ヨーク34Aの右側が上になる方向に傾く。下側ヨーク35は、球面ポスト68Aを中心に、上側ヨーク34Aと同じ方向に傾く。
【0045】
一方、左側の駆動ピストン33が上側に変位し、右側の駆動ピストン33が下側に変位した場合には、上側ヨーク34Aは左側が上になる方向に傾き、下側ヨーク35も上側ヨーク34Aと同方向に傾く。そして、これら各ヨーク34A,35の揺動により、各ヨーク34A,35に支持された各トラニオン15,15の変位動作を同期させる。
【0046】
上記の過程において、トラニオン15,15には、パワーローラ11,11と入出力側ディスク2A,2B,3A,3Bとの接触部におけるトラクション力によって回転モーメントを受け、これは、ヨーク34A,35と枢軸14との連結部である支持孔18においてヨーク34A,35に負荷される。ヨーク34A,35に掛かる力の合力はそれぞれの支持部である支柱70および球面ポスト68Aに負荷される。この実施の形態において、下側ヨーク35は、球面ポスト68Aを介して上側バルブボディ61により充分な支持剛性をもって支持されている。また、上側ヨーク34Aは、貫通孔72内面と球面ブッシュ73の外面の接触を介して、充分な支持剛性を有する支柱70によって支持されている。したがって、これらのヨーク34A,35で支持している各トラニオン15,15の位置決めの精度が維持されるため、入力側ディスク2A,2Bおよび出力側ディスク3A,3Bと各パワーローラ11,11との接触部の位置のばらつきを防止することができる。
【0047】
したがって、これらの接触部の一部に応力が集中することを防止できるので、各パワーローラ11,11の耐久性を向上させることができるとともに、各パワーローラ11,11の傾転運動を確実に同期させることができるので、動力伝達効率を向上させることができる。また、精度良く位置決めされた両ヨーク34A,35が上記のように揺動するので、各トラニオン15,15の変位動作を安定して同期させることができるため、トロイダル型無段変速機の変速特性を安定化させることができる。
【0048】
また、この実施の形態においては、上側ヨーク34Aを支柱70を介して上側バルブボディ61で支持するので、上方にケーシングが不要であり、変速機やトランスミッションを小型化することができる。したがって、無段変速機の反駆動装置側に強固なケーシングを配置することが難しい小型の前輪駆動車のような場合でも採用することができる。また、ケーシングを配置していたスペースに軸、歯車機構、クラッチ、デフなどを効率よく配置できるので、自動車の設計やレイアウトの自由度が増す。
【0049】
図3は、本発明に係る第2実施の形態を示す図である。なお、図3において、図1と同様な構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態においても、図1と同様に、上側ヨーク34Aは、支柱70によって支持されている。この実施の形態では、上部にケーシングの壁(第2の固定部)50Aが配置されており、この壁50Aに各支柱70の上側バルブボディ61と反対側の先端部70bが固定されている。この実施の形態では、スペースの関係上、壁50Aの中央部が薄肉になっている。
【0050】
このような構成の第2実施の形態では、第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、支柱70が両端部70a,70bで固定されているので、剛性がさらに向上している。したがって、上側ヨーク34Aの支持剛性も向上し、上述した、動力伝達効率の向上、変速特性の安定化等の効果を一層高めることができる。
【0051】
なお、上記の実施の形態では、支柱70をケーシングの壁50Aに取り付けたが、この近傍にある適当な固定部分であれば、他の装置やその部品等であってもよく、状況に応じて適宜の取付部を採用することができる。また、4本の支柱70のうち、全部が固定可能でない場合には、可能なもののみを固定すればよい。また、上記の実施の形態では、支柱70の先端部70bを固定しているが、支持剛性を高めることができるような適当な固定部があれば、支柱70を適宜の位置で固定することができる。また、固定部に直接固定できない場合には、適当な支持部材を介して固定すればよい。
【0052】
図4および図5は、本発明に係る第3実施の形態を示す図である。なお、図4において、図1と同様な構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態においても、図1と同様に、上側ヨーク34Aは、上側バルブボディ61に立設された支柱70によって支持されている。この実施の形態では、4本の支柱70の上側バルブボディ61とは反対側の先端部70bを連結する連結部材75が設けられている。この実施の形態では、図5に示すように、連結部材75は上側ヨーク34Aとほぼ同じ平面形状に形成され、出力側ディスク3A,3B用の開口部41Aと、先端部70bを固定する取付穴76が形成され、収容スペースの関係上、中央部が薄肉になっている。
【0053】
このような構成の第3実施の形態では、4本の支柱70が連結部材75により先端部70bで連結されているので、剛性が向上しており、したがって、第2実施の形態と同様に、上側ヨーク34Aの支持剛性が向上し、動力伝達効率の向上、変速特性の安定化等の効果を一層高めることができる。
【0054】
なお、上記の実施の形態では、連結部材75を板状に形成したが、枠状、棒状等適宜の形状とすることができる。また、先端部70bで連結したが、適宜の位置で連結することができる。また、4本の支柱70のうち、全部が連結可能でない場合には、可能なもののみを連結すればよい。
【0055】
以上、3つの実施の形態により本発明を説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施の形態では、支柱70の第1の固定部を駆動シリンダ31の上側バルブボディ61としたが、これに限られることなく、状況に応じて適宜に選択することができる。
【0056】
また、上記各実施の形態のダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機において、支柱70による支持構造を第1キャビティ39および第2キャビティ40の両方の計4カ所に設けたが、その内の1個所のみを支柱70で支持する、あるいは、第1キャビティ39または第2キャビティ40のいずれかのみを支柱70で支持するようにしてもよい。
【0057】
その場合、他は別の構造、例えば先に説明したような従来の構造を採用するようにしてもよい。例えば、第1のキャビティ39には上部の壁50Aが有り、第2のキャビティ40には上側に壁50Aが無い場合、第1のキャビティ39では、例えば、図7や図9の従来の支持構造を採用し、第2のキャビティ40では本発明の図1または図4の実施の形態の支持構造を用いる。その場合、上側ヨーク34Aの形状は、図8または図10に示す従来のものと、図2に示す本発明のものの混合型になる。
【0058】
また、上述した実施の形態やその変形例を適宜に組み合わせて採用してもよい。例えば、第1のキャビティ39には上部の壁50Aが有り、第2のキャビティ40には上側に壁50Aが無い場合、第1のキャビティ39には本発明の図1または図4の支持構造を採用し、第2のキャビティ40では図3の支持構造を採用すればよい。
また、上述した実施の形態では、本発明をダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機について適用したが、キャビティが1つであるシングルキャビティ式のトロイダル型無段変速機に適用することも可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトロイダル型無段変速機によれば、特定の箇所にヨークを支持するためのケーシング等の固定要素を設ける必要が無く、装置の小型化、設計の自由度の向上が図られるとともに、無段変速機の近傍に強固なケーシングを配置することが難しい場合でも、支持剛性の高いヨーク支持構造を構成して、変速機の動力伝達効率、制御安定性、耐久性を確保することができる。また、ヨークを適宜の固定部に支持させることができるので、例えば、事前にヨークを含む主な構成要素を固定部に組み付けてから、これをケーシング内に組み込むことにより、組立作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図2】図1のトロイダル型無段変速機の上側ヨークを示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図4】本発明の第3実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図5】図4のトロイダル型無段変速機の連結部材を示す平面図である。
【図6】従来のトロイダル型無段変速機を示す断面図である。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】図6のヨークを示す平面図である。
【図9】従来の他のトロイダル型無段変速機を示す断面図である。
【図10】図9のヨークを示す平面図である。
【符号の説明】
1 入力軸1
2A,2B 入力側ディスク
3A,3B 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15 トラニオン
31 駆動シリンダ
32 駆動装置
33 駆動ピストン
34A 上側ヨーク
35 下側ヨーク
50A 壁(第2の固定部)
50 ケーシング
50A 壁(第2の固定部)
61 上側バルブボディ(固定部)
70 支柱
70a 基端部
70b 先端部
O1 中心軸線
O2 軸線

Claims (6)

  1. ケーシングと、該ケーシング内において互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これら両ディスク間に挟持されるパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸線に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた上部の枢軸および下部の枢軸を中心に揺動するとともに前記パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、前記トラニオンを前記枢軸の軸線方向に変位させる駆動装置と、前記トラニオンの前記上部の枢軸および前記下部の枢軸をそれぞれ揺動自在且つ軸線方向に変位自在に支持するとともに、前記トラニオンの変位により揺動する一対のヨークとを備えるトロイダル型無段変速機において、
    前記一対のヨークの少なくとも一方のヨークは、固定部に少なくともその一端を固定された支柱によって支持されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記少なくとも一方のヨークは、その縁部において前記支柱により支持されていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記支柱の前記少なくとも一方のヨークを支持する位置に球面座が設けられ、前記少なくとも一方のヨークには、前記球面座に接する内接面を形成する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
  4. 前記支柱は、さらに第2の固定部に固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のトロイダル型無段変速機。
  5. 前記支柱は複数設けられ、これらを互いに連結する連結部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のトロイダル型無段変速機。
  6. 前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクが二対設けられ、前記一対のヨークは、これらの二対の前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクに挟持されたパワーローラをそれぞれ支持するトラニオンを共通に支持するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のトロイダル型無段変速機。
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