JP2005016572A - 螺子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】螺子部品は、無機フィラー及び樹脂を含有し、樹脂の含有率が総容量に対し40容量%以下で、該無機フィラーは、5〜50μmの平均粒径を有する無機粉体と、前記無機粉体の10分の1以下の平均粒径を有する他の無機粉体とを有する混合粉体である。また本発明の螺子部品は、前記無機フィラー及び樹脂を均一に混合した後、所定の形状に成形すること、好適には、該成形は、射出成形により行うことにより得ることができる。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボルト、ナット、ワッシャー等の螺子部品及びその製造方法に関し、特に、軽量かつ高強度であり、耐蝕性に優れ、磁化せず、長期の寸法安定性に優れる螺子部品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、各種の電気電子部品や機械部品を接合・固定する際に、ボルト、ナット、ワッシャー等の螺子部品が利用されている。
かかる螺子部品は、各種部品の特性や用途に応じて、接合・固定に係る機能以外の付加的な特性が求められるようになっている。例えば、トランスやコンデンサなどの重電部品においては絶縁性が、船舶の計器などの海洋部品などには耐蝕性が、携帯電話などの電磁波を利用する部品では非磁性が、各々求められている。
【0003】
螺子部品としては、鉄、ステンレスなどの金属材料を利用したものが一般的であるが、金属製の螺子部品は、比重が大きく、導電性を有し、錆びが発生し易く、しかも磁化し易い等の欠点を有する。従って、これらの特性により不具合を生じる部品・機器の接合・固定には、金属製螺子部品が利用できない。
【0004】
一方、軽量化や絶縁性が求められる部品には、プラスチック製の螺子部品も利用されている。
しかしながら、プラスチック製螺子部品は、金属製螺子部品と比較して伸び易く、締め付け時の締め具合の判断が難しく、また、曲げ弾性係数が小さく、一定加重に対する変形量が大きいため、締付けトルクが先端まで伝わりにくく、さらには、クリープによる変形が大きいため、螺子が緩むなどの長期的な寸法変化が起こり易いという欠点を有している。
【0005】
金属製螺子部品に替わる成形品として、特開2003−64266号公報に記載されているように、フィラーと熱可塑性樹脂とを含有するフィラー高充填樹脂組成物を利用した成形品が提案されている。このような成形品を螺子部品として利用する場合には、金属製螺子部品と比較して軽量化でき、機械的強度もプラスチック製より高く設定することが可能ではあるが、フィラーとして導電性材料が多用化されているため、導電性を有し、絶縁性が求められる箇所では利用することが困難であるという欠点を有する。また、大きさを特定した組み合わせのフィラーを使用していないため、成形性が悪くなり、更に均一な性状を有する成形品が製造できす、曲げ弾性率等の機械的強度が劣るという欠点も有する。
【0006】
他方、本出願人による特許出願(特願2002−162333号、平成14年6月4日出願)において、金属製部品や樹脂製部品に変わる新規な成形品として、水硬性組成物を利用した成形品、具体的には、エアシリンダを提案した。該エアシリンダは、極めて寸法安定性に優れ、複雑な形状の成形品でも容易に製造可能である等、金属製部品や樹脂製部品が有さない、優れた性能を有する成形品である。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解消し、軽量でありながら機械的強度が高く、特に、絶縁性、耐蝕性、非磁性及び長期寸法安定性に優れた螺子部品を提供することである。
また本発明の他の目的は、上記本発明の螺子部品を、成形性よく、複雑な形状かつ自由な形状に製造することができ、再現性よく、寸法精度に優れ、簡便かつ経済的に製造することができる螺子部品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を達成すべく研究を重ねた結果、無機フィラーと樹脂とを含有し、特に導電性を有さない無機フィラーと樹脂とを含有する材料であって、特定の2種類の平均粒径を有する無機フィラーと、一定量以下の樹脂とを含有する材料を使用することで、螺子部品に必要とされる、機械的強度、寸法安定性、成形性、特に射出成形性に優れ、得られる成形体は、高強度である上、軽量であり、絶縁性、耐蝕性、非磁性及び長期寸法安定性を向上できることを見出した。
しかも水硬性粉体を含有する無機フィラーを用いた場合には、成形後に養生硬化させて得られる成形体は、より高強度となることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
本発明の螺子部品は、無機フィラー及び樹脂を含有し、該樹脂の含有率が、総容量に対し40容量%以下であり、該無機フィラーは、5〜50μmの平均粒径を有する無機粉体と、該無機粉体の10分の1以下の平均粒径を有する他の無機粉体とを有する混合粉体であることを特徴とする。
【0010】
好適には、上記螺子部品において、該無機フィラーは水硬性粉体及び/又は非水硬性粉体を含有することを特徴とする。
【0011】
また、好適には、上記螺子部品において、該樹脂は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂からなることを特徴とする。
さらに好適には、上記螺子部品において、該熱可塑性樹脂は、シラン変性樹脂であることを特徴とする。
【0012】
より好適には、上記螺子部品において、更に強化材を含有することを特徴とする。
【0013】
本発明の螺子部品の製造方法は、無機フィラー及び樹脂を均一に混合した後、所定の形状に成形することを特徴とする。
好適には、上記螺子部品の製造方法において、該成形は、射出成形により行うことを特徴とする。
【0014】
より好適には、上記螺子部品の製造方法において、該無機フィラーが水硬性粉体を含み、螺子部品形状の成形後に、該水硬性粉体を水和硬化させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の螺子部品は、無機フィラー及び樹脂を含有する材料から構成されるものである。
前記樹脂は、無機フィラーと混合したときの総容量含有率が40容量%以下、好ましくは35容量%以下であることが、得られる螺子部品が高い曲げ弾性率を発現するために望ましい。当該樹脂の含有率が上記規定値を超えると、曲げ弾性率が低下し、好ましくない。
【0016】
また、本発明に用いる無機フィラーは、5〜50μmの平均粒径を有する無機粉体と、該無機粉体の10分の1以下の平均粒径を有する他の無機粉体とを含有する混合粉体である。平均粒径が大きく異なる2種類の平均粒径を有する無機粉体を用いることで、前記樹脂との混合材料の成形に必要な流動性を付与し、当該材料を用いて得られた成形品には無機フィラーが十分に高密度に充填されているため、高い曲げ弾性率を発現することができる。
混合粉体でなく、単一の種類の無機フィラーを用いる場合、例えば樹脂の含有率が33容量%となるように該樹脂と単一の種類の無機フィラーとを混合すると、樹脂と無機フィラーとの間の空隙を十分に充填できないため、均一な混合材料を得ることが困難となる。
【0017】
上記2種類の平均粒径を有する上記無機粉体のうち、平均粒径が大きいほうの無機粉体は、5〜50μmの平均粒径であることが好ましい。平均粒径が5μm未満の無機粉体のみで構成されると、樹脂との混合材料の流動性が極端に悪くなる場合があり、成形上好ましくない。一方、無機フィラーの平均粒径が50μmを越える無機粉体が含まれると、成形時に当該無機フィラーが偏在しやすく、均一な成形品を得られないため、好ましくない。
2種類の平均粒径を有する無機粉体間の混合比率は特に制限されず、樹脂との混合材料の流動性と、成形時の成形性とから、適宜判断、選択することが可能である。
【0018】
上記無機フィラーの種類は特に限定されないが、好適には、無機フィラーは非導電性のものが望ましく、例えば水硬性粉体及び/又は非水硬性粉体を含有することが好ましい。
ここで、水硬性粉体とは、水によって硬化する粉体を意味し、好ましくはポルトランドセメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が使用される。
【0019】
前記水硬性粉体の粒径等は特に制限されないが、成形性ならびに得られる成形体の強度の点から、平均粒径が5〜50μmのものを含むことが好ましく、特に平均粒径10〜40μm程度のものが好ましい。
【0020】
また、本発明の螺子部品に用いられる無機フィラーは、上記水硬性粉体のほかに、当該水硬性粉体とともに、または当該水硬性粉体を使用せずに、非水硬性粉体を使用することができる。
当該非水硬性粉体は、単体では水と接触しても硬化することがない粉体を意味するが、アルカリ性若しくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気においてその成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む意である。
【0021】
非水硬性粉体としては、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末及びシリカヒューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体を好適に用いることができる。
これらの非水硬性粉体は、ポゾラン反応もしくはマイクロフィラー効果により、強度を増進する機能を有する。
【0022】
本発明の螺子部品に用いられる、無機フィラーと混合される材料を構成する樹脂は、特に限定されず、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を使用することができる。
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂には、加熱により融解し、冷却すると固化する樹脂を意味し、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、PEEK、PEN、パラフィンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、脂肪酸エステル、グリセライト、変性ワックス及びシラン変性ポリオレフィン重合体等、公知の熱可塑性樹脂を挙げられる。
【0023】
また、上記樹脂の熱硬化性樹脂とは、熱可塑性樹脂とは逆に加熱により固化する樹脂を意味し、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が挙げられ、その分子量は10000以上のものが好ましい。なお、その上限については、混練性に影響を与える恐れがあるので、混練性に影響を与えない範囲で分子量を適宜選択することが好ましい。
【0024】
前記熱可塑性樹脂は、1種類でも、それ以上混合して用いてもかまわないが、好ましくは、分子量10000以上のものが望ましい。なお、その上限については、分子量が高くなると混練性に影響を与える恐れがあるので、混練性に影響を与えない範囲で分子量を適宜選択することが好ましい。
【0025】
上記に例示した熱可塑性樹脂のうち、特に、水または熱により架橋反応を示す熱可塑性樹脂が好適に用いられる。かかる樹脂の使用によって成形体の高強度化及び耐衝撃性を向上させることができる。
特に、本発明の螺子部品を製造する際に好適に使用される射出成形法では、螺子部品の成形工程においては、射出成形後の養生段階前までは水を使用することなしに成形が可能であり、水との反応により架橋反応を示す樹脂の使用が成形時に使用可能だからである。
【0026】
このような架橋高分子となる樹脂としては、前述のシラン変性樹脂、例えばシラン変性ポリオレフィン重合体があり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン共重合体及びプロピレン共重合体からなる群より選ばれるシラン変性ポリマーを使用することができる。
【0027】
また、使用する樹脂がシラン変性樹脂重合体の場合であって、無機フィラーとして水硬性粉体を含む場合には、水硬性粉体の硬化段階において、水硬性粉体が水との接触により硬化が進行する際に、同時に樹脂が水と接触することにより架橋反応が進行して硬化することとなる。
【0028】
この硬化した成形体中の樹脂は、架橋反応により3次元の網目構造を呈し、より高強度となると推測される。
【0029】
上記無機フィラーと樹脂とが混合された混合材料は、射出成形、押出成形、加圧成形等の種々の成形に使用できるものであるが、特に射出成形に好適に使用することができる。
【0030】
好ましくは、本発明の螺子部品に用いる無機フィラーと樹脂との混合材料の耐衝撃性、強度、特に引張強度を更に向上させるため、該混合材料に更に強化材を含有させることが望ましい。
当該強化材としては、例えばガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の繊維およびチタン酸カリウムウィスカー等の強化繊維が使用できる。
好適には強化繊維の長さは1〜20mm、より好適には3〜13mmであり、また太さは5〜30μmであることが、混合材料の調製の容易さ及び、得られる混合材料の成形性の点から好ましい。
【0031】
当該強化材の添加量については、前記樹脂100容量部に対して、1〜100容量部を添加することが好ましく、特に3〜50容量部を添加することがより好ましい。100容量部より多いと流動性への影響が大きく成形不良の原因となり、また、1容量部より少ないと強化材の効果が発揮されないからである。
【0032】
本発明の螺子部品に用いる無機フィラーと樹脂との混合材料に添加するその他の添加物としては、シランカップリング剤等の公知のカップリング剤等がある。
例えばシランカップリング剤は、有機物とケイ素とから構成される化合物で、通常では結合し難い有機材料と無機材料を結ぶ仲介機能を有するため、適量添加することによって、本発明のような複合材料の機械的強度の強化等に寄与する。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどが使用できる。
【0033】
本発明の螺子部品は、上記混合材料を所定の形状に成形して製造される。無機フィラーとして水硬性粉体を含有する場合には、次いで養生硬化することにより螺子部品を製造することが、より高強度の成形品を得られる点から好ましい。
該混合材料を調製するには、上記樹脂と、上記無機フィラーと、更に必要に応じて添加される強化材やシランカップリング剤等とを、上記した割合で均一に混合する。混合方法については、特に限定はなく、これらの成分を均一に混合できればよい。
【0034】
次いで、得られた混合材料を用いて、所定の螺子形状に成形して螺子部品の成形体を製造する。
【0035】
具体的には、螺子部品を製造する成形方法としては、射出成形法、押出成形法、加圧成形法等を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の成形法を利用することができる。特に射出成形では、三次元の任意の形状に精度よく成形できるので、寸法精度の優れた良好な螺子部品を製作することができる。
射出成形を用いることにより、予め螺子立てしたナットや、L字形状に曲がったボルトや、途中に空洞を有するボルトなど、複雑な形状や自由な形状の螺子部品を再現性よく、かつ寸法精度性よく製造することができる。
【0036】
射出成形を用いる場合には、上記樹脂と、上記無機フィラーとを混合して、例えばペレット状に成形し、これを射出成形用の原料として用いることが好ましい。
【0037】
特に樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、当該熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度で、無機フィラーと樹脂との混合材料を溶融混練して、射出用ペレット状原料に成形する。
前記ペレット状原料は、射出成形機内部の加熱シリンダ内で再び溶融・混練されて、射出装置によって所望する螺子部品形状の金型内に充填され、本発明の螺子部品成形体を得る。
【0038】
特に、得られた成形体が水硬性粉体を含む場合には、成形後に水分を供給して養生することが好ましい。
【0039】
当該成形体に水分を供給する養生方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、養生は20〜180℃で3時間以上行うことが好ましい。養生方法としては、例えば、常圧蒸気養生、高圧蒸気養生及び熱水養生からなる群より選ばれる少なくとも1種の養生方法を用いることができるが、好ましくは常圧蒸気養生、高圧蒸気養生または熱水養生等の養生法を単独で行うか、あるいは常圧蒸気養生と熱水養生との組合せ、あるいは高圧蒸気養生と熱水養生との組合せにより行うことができる。特に、本発明においては加圧条件下における熱水養生が好ましい。
かかる養生・硬化により、無機フィラーに水硬性粉体を含有する螺子部品においては、水硬性粉体の硬化を促進する機能をも有し、機械的強度をも増進させることができる。
【0040】
このようにして、得られた本発明の螺子部品は、軽量でありながら機械的強度が高く、特に、絶縁性、耐蝕性、非磁性及び長期寸法安定性に優れた特性を有することができる。
【0041】
【実施例】
本発明を、次の実施例、比較例及び試験例に基づき詳細に説明する。
<実施例1〜6>
<実施例1>
表1に示す配合割合(容量部)に従って、無機フィラーとして、水硬性粉体であるポルトランドセメント(平均粒径20μm、商品名 普通ポルトランドセメント、住友大阪セメント株式会社製)、非水硬性粉体としてフライアッシュ(平均粒径20μm、球状粒子、商品名 中部フライアッシュ、株式会社中部テクノ製)及びシリカヒューム(平均粒径0.2μm、商品名 マイクロシリカ、SKW株式会社製)、樹脂としてシラン変性ポリエチレン樹脂(商品名 モルデックス、住友ベークライト株式会社製)、更には強化材としてカーボン繊維(商品名べスファイト、東邦テナックス株式会社製)を添加し、均一に混合して、混合材料を調製した。
【0042】
次いで、当該混合材料を、ニーダー混練機(商品名;ラボブラストミル:東洋精機製作所株式会社製)にて220℃で45分間混練して、ペレットを得た。
該ぺレットを使用して、M(メートルねじ)1.4、長さ10mmのボルト形状の成形体を得た。
得られた成形体について、熱水養生(160℃、12時間)を行い、本発明の螺子部品であるボルトを得た。
【0043】
<実施例2>
強化材としてのカーボン繊維を用いない以外は実施例1と同様にして、表1に示す配合割合(容量部)で混合材料を調製し、これをボルト形状に射出成形し、次いで熱水養生(160℃、12時間)を行って、本発明の螺子部品であるボルトを得た。
【0044】
<実施例3>
樹脂をポリプロピレン樹脂(商品名 スミコンFM、住友ベークライト株式会社製)に代えた以外は実施例1と同様にして、表1に示す配合割合(容量部)で混合材料を調製し、これをボルト形状に射出成形して、本発明の螺子部品であるボルトを得た。
【0045】
<実施例4>
実施例3と同様にして、混合材料を調製し、これを射出成形し、得られたボルト形状の成形品を熱水養生(160℃、12時間)することにより、本発明の螺子部品であるボルトを得た。
【0046】
<実施例5>
無機フィラーとしてフライアッシュ(平均粒径20μm、球状粒子、商品名 中部フライアッシュ、株式会社中部テクノ製)及びシリカヒューム(平均粒径0.2μm、商品名 マイクロシリカ、SKW株式会社製)、樹脂としてポリフェニレンサルファイド樹脂(商品名 フォートロン、ポリプラスチック株式会社製)を用い、更には強化材としてカーボン繊維(商品名 べスファイト、東邦テナックス株式会社製)を添加し、混練温度を270℃とした以外は実施例1と同様にして、表1に示す配合割合(容量部)で、混合材料を調製し、これをボルト形状に射出成形し、本発明の螺子部品であるボルトを得た。
【0047】
<実施例6>
強化材としてのカーボン繊維を用いない以外は実施例5と同様にして、本発明の螺子部品であるボルトを得た。
【0048】
<比較例1〜2>
比較例1として、ポリカーボネート(商品名 タフロン、出光石油化学株式会社製)製の、M1.4、長さ10mmのボルトを製造した。また比較例2として、転造法で加工されたSUS410ステンレスボルト(株式会社葵精螺製作所製)を用いた。
【0049】
<試験例>
上記実施例1〜6、及び比較例1〜2で得られたボルト形状の螺子部品を、以下の試験に供した。
〔比重の評価〕
比重は、ASTM D−792に準拠し、各試験体の比重の測定を行った。
【0050】
〔破断トルク及び破断に至る締付角度の評価〕
各試験体のボルト1に超硬製スペーサー(内径φ1.5×8)3を被せ、さらに黄銅ナット(Ni鍍金付き)4をボルト1に捩じ込んだ。図1に示すように、ボルト1のネジ頭部をバイス2に固定し、ナット4をトルクドライバーで破断するまで締付を行い、最大値を破断トルクとして測定した。
また、締付角度については、バイス上の角度の目盛りを見ながら、トルクドライバーの回転角度を15°単位で読み取ることにより測定した。
【0051】
〔引張伸びの評価〕
引張伸びは、ASTM D−638に準拠し、各試験体の引張り伸び率の測定を行った。
【0052】
〔曲げ弾性率と曲げクリープ歪みの評価〕
曲げ弾性率と曲げクリープ歪みは、ASTM D−790に準拠し(19.6MPa、23℃、1000時間)、各試験体の曲げ弾性率と曲げクリープ歪みの測定を行った。
【0053】
〔体積抵抗率の評価〕
体積抵抗率は、ASTM D−257に準拠し、各試験体の体積抵抗率の測定を行った。
【0054】
〔耐蝕性の評価〕
耐蝕性は、JIS Z 2371に準拠し、各試験体のさびの発生の有無を目視観察することによって、判断した。
【0055】
〔磁性の評価〕
磁性は、市販の棒磁石(幅約1cm×高さ約0.5cm×長さ約10cm)を用いて試験体と接触させて、試験体が磁石に保持されるか否かを、目視観察により判断した。
これらの結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
上記結果から、本発明に係る螺子部品は、比較例2の金属製螺子部品と比較して約4分の1の比重であり、軽量化が図られていることが理解される。
また、破断トルクは、比較例1の樹脂製螺子部品と比較して約40%以上高い強度が得られている。
さらに、破断に至る締付角度に関しては、樹脂製螺子部品は、2〜5回転して破断に至るが、本発明に係る螺子部品は、いずれも延び変形が現れず、約30°の締付角度で破断していた。
【0058】
また、引張伸び、曲げ弾性率、曲げクリープ歪みのいずれにおいても、比較例1の樹脂製螺子部品と比較し、本発明に係る螺子部品として好適な特性を示すことが理解される。
さらに、体積抵抗率については、比較例1の樹脂製螺子部品と比較し、若干、導電性が高いが、比較例2の金属製螺子部品と比較して、十分、導電性が抑えられていることがわかる。
【0059】
耐蝕性及び非磁性については、比較例2の金属製螺子部品と比較して、同等の結果が得られた。ただし、このような結果となったのは、比較例2の金属製螺子部品の材質がステンレスであったためであり、現在、広く利用されている螺子部品のように、当該材質が鉄の場合には、本発明の螺子部品の方が、耐蝕性、及び非磁性に関しては優れた特性を示す。
【0060】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明のように、少なくとも2種類の大きさを有する無機フィラーと樹脂とを含有する螺子部品によれば、軽量でありながら機械的強度が高く、特に、絶縁性、耐蝕性、非磁性及び長期寸法安定性に優れた螺子部品を提供することが可能となる。
また、本発明の螺子部品の製造方法によれば、複雑な形状かつ自由な形状で、再現性よく、寸法精度に優れた螺子部品を、簡便な方法でかつ経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】螺子部品であるボルトの破断トルク等の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 試験体
2 バイス
3 スペーサー
4 ナット
Claims (8)
- 無機フィラー及び樹脂を含有し、該樹脂の含有率は総容量に対し40容量%以下であり、また該無機フィラーは、5〜50μmの平均粒径を有する無機粉体と、前記無機粉体の10分の1以下の平均粒径を有する他の無機粉体とを有する混合粉体であることを特徴とする螺子部品。
- 請求項1記載の螺子部品において、該無機フィラーは水硬性粉体及び/又は非水硬性粉体を含有することを特徴とする螺子部品。
- 請求項1又は2記載の螺子部品において、該樹脂は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂であることを特徴とする螺子部品。
- 請求項3に記載の螺子部品において、該熱可塑性樹脂は、シラン変性樹脂であることを特徴とする螺子部品。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の螺子部品において、更に強化材を含有することを特徴とする螺子部品。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の螺子部品を製造するに際し、無機フィラー及び樹脂を均一に混合した後、所定の螺子部品形状に成形することを特徴とする螺子の製造方法。
- 請求項6に記載の螺子部品の製造方法において、該成形は、射出成形により行うことを特徴とする螺子部品の製造方法。
- 請求項6又は7に記載の螺子部品の製造方法において、該無機フィラーが水硬性粉体を含み、螺子部品形状の成形後に、該水硬性粉体を水和硬化させることを特徴とする螺子部品の製造方法。
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