JP2005016201A - 鉄筋の継ぎ手 - Google Patents
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Abstract
【課題】既設の鉄筋コンクリート構築物の内部にある鉄筋が、ネジ山を有する異形鉄筋である場合に、屈曲部分において破断した部分の補修を容易に実施することができる鉄筋の継ぎ手を提供する。
【解決手段】低合金鋳鋼を材料とし、L字型で表面にオネジを有する継ぎ手を鋳造により用意する。補修は、鉄筋の破断した部分のコンクリートを剥がして露出させたのち、継ぎ手の長さに合致するよう鉄筋の端を切断する。継ぎ手の端と異形鉄筋の端とを、両者のオネジにまたがらせて結合ナットを位置させることにより、接続する。継ぎ手のオネジを異形鉄筋のオネジとは逆ネジにつくり、結合ナットに順逆2種のメネジを刻んでおくことにより、継ぎ手の端と鉄筋の端とが突き合わされた状態で強固に固定される。異形鉄筋の端に、順逆ネジを刻んだ結合部材をネジのかみ合いでとりつけて、それに継ぎ手を接続することもできる。接続後、再びコンクリートで被覆して補修が完了する。
【選択図】 図14
【解決手段】低合金鋳鋼を材料とし、L字型で表面にオネジを有する継ぎ手を鋳造により用意する。補修は、鉄筋の破断した部分のコンクリートを剥がして露出させたのち、継ぎ手の長さに合致するよう鉄筋の端を切断する。継ぎ手の端と異形鉄筋の端とを、両者のオネジにまたがらせて結合ナットを位置させることにより、接続する。継ぎ手のオネジを異形鉄筋のオネジとは逆ネジにつくり、結合ナットに順逆2種のメネジを刻んでおくことにより、継ぎ手の端と鉄筋の端とが突き合わされた状態で強固に固定される。異形鉄筋の端に、順逆ネジを刻んだ結合部材をネジのかみ合いでとりつけて、それに継ぎ手を接続することもできる。接続後、再びコンクリートで被覆して補修が完了する。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート用の鉄筋を連結して、直角に折り曲げた部分を形成するための鉄筋の継ぎ手に関する。この継ぎ手は、新しく鉄筋コンクリートの構築物をつくる場合にも、またすでに建設された構築物中にあって損傷した鉄筋を修理する場合にも有用である。
【0002】
【従来の技術】
建築物の柱部分や橋脚のような柱状のものを鉄筋コンクリートで構築する場合には、よく知られているように、縦方向の鉄筋に対し、それを巻くように横方向の鉄筋を組み合わせる。この横方法の鉄筋は、縦方向の鉄筋に対して相対的に細い鉄筋材を切断し、四隅に当たる部分を折り曲げて四角環状にして、突き合わせ部分を溶接することにより構成している。
【0003】
縦方向の鉄筋は、長く形成する必要があるときは、鉄筋素材を必要な本数だけ継ぎ手を用いて連結している。この継ぎ手には、「ジョイント」とか、「カプラー」とか、さまざまな名称が与えられている。多くの場合、鉄筋素材として異形鉄筋材が使用されるので、そのネジ節を利用して継ぎ手との結合を強固にすることが行なわれている。具体的には、異形鉄筋材のオネジにかみ合うメネジの形状をもった継ぎ手を用意して両者をかみ合わせ、さらに必要に応じて、鉄筋材と継ぎ手との間に無機グラウト材を注入固化させることにより、結合を確実なものにしている。継ぎ手の両側にロックナットを使用して、異形鉄筋との結合を確実にすることも行なわれている。
【0004】
円弧面を有する構造物を構築するため、鉄筋の接続部分において、わずかな角度の変化が生じてもよいようにした継ぎ手が提案されている(特開平6−146412)。最近、直線状の鉄筋を所定の角度、たとえば120度で接続する場合に備えて、「く」字型のカプラーを使用する技術も開示された(特開2002−13249)。
【0005】
鉄筋用カプラーの材料としては、従来から球状黒鉛鋳鉄が使用されている。この材料は、靱性が低いことが弱点であり、それを、パーライトの面積比を高くして緻密な組織とするか、またはフェライトの発生しやすい黒鉛の周囲をフェライトとパーライトの共存組織にして緻密化して補うことも試みられている(特開2000−026932)。
【0006】
最近、高速道路や新幹線などのコンクリート橋脚内部の鉄筋が、しばしば折り曲げ部で破断しているという事実が報告され、衝撃を与えている。いうまでもなく、鉄筋コンクリート内部での鉄筋の破断は、その構築物が設計強度を発揮できなくなっているということを意味し、危険きわまりない。
【0007】
鉄筋コンクリートの内部で鉄筋が破断する原因として、現在考えられているのは、いわゆるアルカリ骨材反応、すなわち、コンクリート中のアルカリ成分が骨材中の成分と反応して、ゲル状の物質を形成するという現象である。このゲル状物質が水分を吸収して膨張することにより、コンクリート内部に圧力がかかってコンクリートがひび割れをおこし、それが進行すると、遂に鉄筋の破断に至る、という機構である。
【0008】
2001年の日本鋳造学会で、オーステンパー球状黒鉛鋳鉄の試験片に、濡れたティッシュペーパーを巻き付けた状態で引張り強度を測定したところ、乾いた状態で試験した場合にくらべ、強度が20〜30%、伸びは80〜90%も低い値が得られたことが報告されている。そこでは現象の報告に止まり、機構についての検討はなされていないが、発明者は、このような現象が起こる原因として、水素イオン脆化があるのではないかと考えており、鉄筋の破断の原因もまた、同じ原因によるものであろうと解釈している。
【0009】
「水素イオン脆化」とは、鉄筋のような材料が、たとえば引っ張られて切断する寸前のような塑性臨界状態において生じると考えられる現象であって、水中の水素イオンが、オーステナイト粒界、析出黒鉛や、パーライトを構成するフェライト−セメンタイトの層状組織の間に入り込み、炭素原子から電子を奪ってそれをイオン化し、イオン化したC原子が隣接するC原子をイオン化するという、電子の伝達ないし移動が連鎖的に生じる結果として、局所的に強度が低下する現象である。
【0010】
前述のように、折り曲げにより構成された鉄筋には、折り曲げ部に大きな歪みが残留しており、とくに引っ張りを受けた外側の面は、引っ張り試験における切断寸前の状態に近いから、水素イオン脆化が起こりやすい状態にあることが明らかである。このような機構による鉄筋の切断という現象を抜本的に防ぐには、折り曲げ部をなくすことであるという考えに基づき、発明者は、鉄筋の折り曲げ部を形成時から曲がった形状にしておくということ、そしてそれを鋳造により実現することを着想し、本発明に至った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した着想に基づいてなされたものであって、第一の目的は、鉄筋コンクリート構築物の内部にある鉄筋が切断する危険をなくした、新設する鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手を提供することにある。本発明の第二の目的は、前述したような、既存の鉄筋コンクリート構築物の内部にあって、切断した、または切断に至らないまでも著しく損傷し、その役割を果たせなくなった鉄筋を補修し、本来の強度を回復させるのに有用な、既設鉄筋コンクリートの鉄筋の継ぎ手を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した第一の目的を達成する本発明の鉄筋の継ぎ手は、図1ないし図3に示すように、2本の鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、L字型の形状を有し、少なくとも両辺は中空であって、開口した端部(11)から鉄筋(6)の端部を挿入して固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手(1)である。
【0013】
第二の目的を達成する本発明の鉄筋の継ぎ手には、三種の態様が可能である。その一つは、図6に示すように、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジと同じオネジ(22)を刻んだ継ぎ手本体(2A)と、これらのオネジにかみ合うメネジ(23)を刻んだ2個の結合ナット(2B)とからなり、図7に示すように、継ぎ手本体両端部(21)を異形鉄筋(6)の端部(61)に付き合わせた状態で、結合ナット(2B)を本体と異形鉄筋とにまたがるように位置させることにより、上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手(2)である。
【0014】
第二の目的を達成する本発明の鉄筋の継ぎ手における第二の態様は、やはり2本の異形鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、図9に示すように、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジと逆ネジの関係にあるオネジ(32)を刻んだ継ぎ手本体(3A)と、異形鉄筋のオネジとかみ合う順ネジ(33)および継ぎ手本体のオネジとかみ合う逆ネジ(34)とを、隣接して、ただし若干の間隔をもって刻んだ結合ナット(3B)2個とからなり、継ぎ手本体の端部と異形鉄筋の端部とを向かい合わせた状態で結合ナット(3B)を回し、図10に示すように、異形鉄筋の端部と継ぎ手本体の端とを引き寄せ、かつ、付き合わせた状態で、結合ナットを継ぎ手本体の端と異形鉄筋の端とにまたがるように存在させ、継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手(3)である。
【0015】
第三の態様は、これも2本の異形鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、図12に示すような、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジより大径であって、それと逆ネジの関係にあるオネジ(41)を刻んだ継ぎ手本体(4A)と、図13に示すような、筒状で、異形鉄筋のオネジとかみ合う小径の順ネジ(42)および継ぎ手本体のオネジとかみ合う大径の逆ネジ(43)の2種を隣接して刻んだ結合部材(4B)2個とからなり、結合部材の小径の順ネジ(42)を異形鉄筋の端に半ばかみ合わせた状態で大径の逆ネジ(43)を継ぎ手本体(4A)の端にかみ合わせ、さらに結合部材(4B)を回して、図14に示すように、継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより上記接続を可能にした継ぎ手(4)である。継ぎ手本体(4A)は、図示したような完全な中空体であってもよいし、両辺の端近くだけが中空のものであってもよいし、中実体であってもよい。
【0016】
【発明の実施形態】
本発明の鉄筋の継ぎ手には、種々のバリエーションがあり得る。第一の目的を達成するものにおいて、図1に示した例は、接続する鉄筋が異形鉄筋である場合に、継ぎ手(1)の内部に、図2にみるように、異形鉄筋のオネジに対応するメネジ(12)を設け、継ぎ手に対して異形鉄筋の端部をネジ込むことにより固定するようにしたものである。図4は、異形鉄筋の端部のオネジ(62)をネジ込んで、固定したところを示す。いうまでもなく、ネジ込みに当たって、異形鉄筋と継ぎ手のどちらを回転させてもよい。
【0017】
図1〜3に示した態様の鉄筋の継ぎ手に、異形鉄筋の端部をネジ込んで図4に示したように固定した場合、固定を確実なものにするためには、ロックナットを使用することが推奨される。図5は、ロックナット(7A)を使用する変更態様を示す。この例では、継ぎ手(1)の両端がフランジ(13)を備え、その内側に円錐形台形の陥入部(14)があり、ロックナット(7A)のフランジ側には、この凹みに対応する円錐台形の突出部(74)が設けてあって、ロックを確実にしている。
【0018】
鉄筋を連結する折り曲げ部は、これまで取り上げて来た橋脚などの縦−横の鉄筋を構成する場合の横方向の鉄筋では、図1に示したように、屈曲部が二方向に伸び、その二つの開口部に鉄筋を挿入するもので足りるが、本発明の鉄筋の継ぎ手は、鋳造により製造するものであるから、屈曲部から二方向に向かうものには限定されず、三方向はもちろん、四方向、五方向または六方向に向かう形状のものが可能である。
【0019】
前述のように、縦方向の鉄筋の素材を連結するためには、ストレートな形状の継ぎ手が用いられており、そこでは、鉄筋素材と継ぎ手とをネジにより結合させた場合、両者の結合を確実にするために、継ぎ手に小さな孔を開けておき、そこからグラウト剤を注入することが行なわれる。本発明の実施に当たっても、同様な技術が適用可能である。この目的で、図1の継ぎ手においては、グラウト剤注入用の孔(5)を設けてある。この点は、後に説明する第二の目的を達成する本発明の継ぎ手の各態様に関しても、同様である。
【0020】
継ぎ手と鉄筋の端部との結合は、上記したネジ込み式またはネジ込み+ロックナット併用式が一般的であるが、場合によっては溶接による方が好都合な場合がある。溶接が強固に行なえれば、継ぎ手の内面に異形鉄筋の凹凸に対応させた凹凸を設ける必要はなくなり、平らな内面をもった継ぎ手で足りる。その場合は、鉄筋の端部を回転させて継ぎ手に結合させる必要もなくなるから、継ぎ手への鉄筋端部の挿入は、きわめて容易になる。ロックナットを用いない単なるネジ式の結合を行なった場合でも、それに加え、溶接により結合を堅固にすることが可能である。
【0021】
第二の目的を達成する、本発明に従う鉄筋の継ぎ手の諸態様においても、継ぎ手の辺にフランジを設けることは好ましい。図8は、その第一の態様において、鉄筋の継ぎ手(2)のオネジ(22)基部に、フランジ(24)を設けた例を示す。この例では、フランジのオネジ側には円錐台形の突出部(25)が設けてあり、結合ナット(2B)のフランジ側にはこの突出部に対応する円錐台形の陥入部(26)が設けてあって、それらの間のロック作用により、結合ナットの位置が安定化される。
【0022】
同様に図11は、本発明に従う鉄筋の継ぎ手の、第二の態様において、鉄筋の継ぎ手(3)のオネジ(32)基部に、フランジ(35)を設けた例を示す。この例でも、フランジのオネジ側には円錐台形の突出部(36)が設けてあり、結合ナット(3B)のフランジ側にはこの突出部に対応する円錐台形の陥入部(37)が設けてあって、結合ナットの位置の安定化をはかっている。
【0023】
本発明の特徴のひとつは、継ぎ手を構成する材料として、既知のストレートな継ぎ手において常用されてきた球状黒鉛鋳鉄でなく、低合金鋳鋼を選択したことである。それにより、前述した水素イオン脆化の現象が、根本的に排除できる。いうまでもなく、本発明の継ぎ手を使用すれば、従来技術とちがって鉄筋の折り曲げ加工部が存在しないから、極端な応力が残留している部分はあり得ず、鉄筋が受ける応力は、コンクリート構築物としての応力である。従って、構成した鉄筋がコンクリート中に埋設されたのちも、鉄筋に加わる応力は従来の鉄筋にくらべて格段に低く、その上に、黒鉛組織をほとんど含まない低合金鋳鋼を継ぎ手材料とすることにより、水素イオン脆化が完全に防止される。
【0024】
本発明の継ぎ手は、応力の加わる方向に関しても、従来のストレートな継ぎ手が長手方向の引っ張りと圧縮だけ考慮すればよかったのとは事情が異なり、折り曲げ部に対して、開く方向や閉じる方向の応力があり得る。そのような応力に対して、従来の継ぎ手に用いられていた球状黒鉛鋳鉄では、靱性が不足する場合があり得る。本発明で採用した低合金鋳鋼は、その点で万全である。さらに、球状黒鉛鋳鉄は溶接ができないが、低合金鋳鋼であれば、溶接が容易である。
【0025】
使用できる低合金鋳鋼は、低マンガン鋳鋼、シリコンマンガン鋳鋼、マンガンクロム鋳鋼、クロムモリブデン鋳鋼、マンガンクロムモリブデン鋳鋼、ニッケルクロムモリブデン鋳鋼、あるいはステンレス鋳鋼など多種類にのぼり、継ぎ手に要求される強度や耐食性に応じて選択すればよいが、通常は、低マンガン鋳鋼、ニッケルクロムモリブデン鋳鋼、マンガンクロム鋳鋼で足り、機械的性質とコストのバランスからみても、それらが適切である。
【0026】
本発明の継ぎ手において、第二の目的を達成するもの、すなわち、結合ナットにより継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより接続できるようにしたものは、前記のように三種の態様があるが、いずれも、上に説明してきた第一の目的を達成するものと同じく、新しく鉄筋コンクリートの構築物をつくる場合にも使用できることはもちろんであるが、すでに建設された構築物中にあって損傷した鉄筋を修理する場合に、とりわけ有用である。
【0027】
第二の目的を達成する継ぎ手の第一の態様について、それを用いた修理のようすを説明すれば、図15および図16に示すとおりである。まず、図15にみるように、屈曲部に損傷が発見された鉄筋がネジ形状を有する異形鉄筋(6)である場合は、それとかみあうメネジを刻んだ結合ナット(2B)と継ぎ手本体(2A)とからなる鉄筋の継ぎ手(2)を用意する。つぎに、鉄筋を被覆しているコンクリート(9)を、必要な限度で取り除き、鉄筋の損傷部分を露出させるとともに、折り曲げ部を継ぎ手の辺の長さに合わせて切り取る。その後、継ぎ手を当てて結合ナット(2B)を回し、結合ナットがL字型の継ぎ手の端部と鉄筋の端部の両方にまたがるような位置に移動させる。これにより、鉄筋の継ぎ手と異形鉄筋とが接続される。あとは、その上からコンクリートを施工して、再度被覆すればよい。
【0028】
第二の態様に属する鉄筋の継ぎ手を用いた修理も、図15および図16に示したとおりである。この場合も、この継ぎ手の適用は、屈曲部に損傷が発見された鉄筋がネジ形状を有する異形鉄筋であることを要する。必要な限度でコンクリート(9)を取り除いて鉄筋の損傷部分を露出させるとともに、折り曲げ部を継ぎ手の辺の長さに合わせて切り取るという準備も、同様である。
【0029】
つぎに、図10に示したように、継ぎ手本体(3A)の端部(31)と異形鉄筋の端部(61)とを向かい合わせた状態で結合ナット(3B)を回す。このようにして、異形鉄筋の端と本体の端とが引き寄せられ、かつ、付き合わされた状態で、結合ナットが継ぎ手本体の辺と異形鉄筋の端とにまたがるように存在するから、継ぎ手の辺が異形鉄筋の端に固定される。
【0030】
第三の態様に属する鉄筋の継ぎ手を用いた修理のようすは、図15および図16を参照して説明したところに、図14を適用した形になる。この継ぎ手の適用が、屈曲部に損傷が発見された鉄筋がネジ形状を有する異形鉄筋であることを要することは、これまでと異ならない。必要な限度でコンクリート(9)を取り除いて鉄筋の損傷部分を露出させるとともに、折り曲げ部を継ぎ手の辺の長さに合わせて切り取るという準備もまた、上に説明したとおりである。
【0031】
切断した鉄筋を接続するに当り、第三の態様の継ぎ手(4)を用いる場合は、はじめに結合部材(4B)を異形鉄筋(6)の端部に当てて回し、両者を少しかみ合わせておいてから、継ぎ手本体(4A)と結合部材(4B)とをかみ合わせる。結合部材を回すことにより、異形鉄筋の端は継ぎ手本体に向かって進み、同じく継ぎ手本体は異形鉄筋の端に向かって進み、継ぎ手本体が中空でない場合は、付き合わされた状態で止まる。継ぎ手本体が中空である場合は、それが結合部材に刻んだ大径の逆ネジ(43)の奥に当たって止まる。いずれにしても、最終的には結合部材(4B)がロックナットの役割を果たし、接続状態が確実に固定される。
【0032】
【実施例1】
ニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図1および図2に示した形状の継ぎ手(1)を製造した。その一辺の長さは60mmであって、内面に、異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」(普通鋼製、外径約19mm、ネジのピッチ8.0mm、節の高さ1.75mm)のオネジとかみ合うメネジを刻んである。
【0033】
上記の継ぎ手のうち1個の一辺だけメネジ(23)を削り取って、鉄筋がそのまま入る(ネジのかみ合いはない)ようにグラインダー加工した。この継ぎ手1個と、加工してない継ぎ手(すべてネジのかみ合いができる)3個とを、上記のボルト呼び径「D−19」の異形鉄筋で長さ150cmおよび400cmに切断したもの各2本とを組み合わせ、7箇所はネジ込みにより、そして最後の1箇所はストレートに挿入し溶接して固定することにより、四角環状の組立て鉄筋とした。この組立て鉄筋を必要個数用意し、縦方向の太い鉄筋に対する横方向の細い鉄筋として組み合わせ、柱状の鉄筋コンクリート構築物を施工した。
【0034】
【実施例2】
やはりニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図6に示した形状の継ぎ手本体(2A)と、六角の結合ナット(2B)とからなる鉄筋の継ぎ手(2)を製造した。継ぎ手本体のオネジおよび結合ナットのメネジは、それぞれ異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」のオネジに対応し、またはそれとかみ合うものである。継ぎ手の一片の長さは30mm、結合ナットの長さは75mm、一辺の幅は32mmである。
【0035】
工場建家の鉄筋コンクリート製の柱であって、機械的衝撃を受けてコンクリートが剥落し、横方向に配置された四角環状の鉄筋が露出した部分を対象に、上記の継ぎ手を使用して補修を行なった。その手順は前記したとおりである。
【0036】
【実施例3】
ここでもニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図9に示した形状の継ぎ手本体(3A)および六角の長ナットであって、順逆のメネジを刻んだ結合ナット(3B)からなる鉄筋の継ぎ手(3)を製造した。この場合も、結合ナットの順ネジは、異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」のオネジにかみ合うものであり、逆ネジはこれと同寸・同ピッチで、結合ナットの長さは75mm、順逆2種のメネジの間には8mmの間隔がある。
【0037】
この継ぎ手を、実施例2と同様な鉄筋コンクリート製の柱の修理に使用して、同様な成績を収めた。
【0038】
【実施例4】
おなじくニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図12および図13に示した形状の継ぎ手本体(4A)および結合部材(4B)からなる鉄筋の継ぎ手(4)を製造した。結合部材の小径の順ネジは、異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」のオネジにかみ合うものであり、外径22.5mm、内径19.0mm、ピッチ8.0mmである。大径の逆ネジは、ピッチは順ネジと同じであるが、外径34.0mm、内径30.5mmである。
【0039】
【発明の効果】
本発明の継ぎ手は、鉄筋コンクリート用の鉄筋の折り曲げ部を、あらかじめその屈曲形状に鋳造して用意することにより、折り曲げ部に残留歪みが存在することを原理的に解消し、かつ、材料として低合金鋳鋼を採用したことにより、コンクリート構築物中で水素イオン脆化を受けて破断する可能性を全面的に防止することができた。それゆえ、この継ぎ手を用いることにより、構築物が設計強度を維持できなくなるというおそれがなくなった。
【0040】
第一の目的を達成する継ぎ手は、開口した端部から鉄筋の端を挿入して固定する、それも、ネジ込みもしくは溶接、またはそれらの組み合わせという簡単な操作によって実施でき、鉄筋素材の折り曲げ操作を行なわなくても、折り曲げ部をそなえた鉄筋を構成することができる。
【0041】
本発明の継ぎ手は、量産すれば、それ自体の製造コストは廉価にできる。従来の鉄筋製造方法と部品および工程を対比してみると、本発明に従った場合は、継ぎ手が必要になるとともに、継ぎ手と鉄筋の端とを固定するためのネジ込みなどの作業を要する一方で、鉄筋素材の曲げ作業と、曲げた鉄筋素材の突き合わせ端部を溶接するという作業が不要になる。どちらがコスト的に有利であるかは、場合により一概にいえないようであるが、鉄筋が長期にわたって安全に維持され、設計強度を享受できるということは、コスト問題とくらべものにならない利益である。
【0042】
第二の目的を達成する鉄筋の継ぎ手は、三種の態様のどれを採用しても、上に述べたように、とりわけ、既存の鉄筋コンクリート構築物内で損傷を受けた鉄筋の補修を、簡易に実施することを可能にする。鉄筋の損傷部分を露出させるための、コンクリート駆体の破壊が最小限で済み、鉄筋補修に続くコンクリート再被覆の作業もまた最小限ですむから、工事が安全かつ迅速に行なえる上、工費は低廉に止まる。前述した鉄筋コンクリート構築物中の鉄筋の切断という大きな問題に対処する技術として、これらの態様の継ぎ手は有用である。
【0043】
第二および第三の態様は、逆ネジを利用することにより、継ぎ手と異形鉄筋との接続が強固に固定されるという利点がある。とくに第三の態様において、接続の強固さは最高のものになる。ただし、他の態様にくらべて結合部材が大きくなるので、隣接する鉄筋との間隔や、作業のための空間的に余裕がないと実施困難であり、空間の制約がある場合は、第二の態様を採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第一の目的を達成するものの代表的な例を示す平面図。
【図2】図1に示した鉄筋の継ぎ手の縦断面図。
【図3】図1に示した鉄筋の継ぎ手の矢視図。
【図4】図1に示した鉄筋の継ぎ手に対して異形鉄筋の端を挿入し、ネジのかみ合いにより結合させた状態を示す、一部を切り欠いた平面図。
【図5】図1に示した鉄筋の継ぎ手において、ロックナットを使用した変更態様を示す、主要部の、一部切り欠いて断面を示した側面図。
【図6】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第二の目的を達成するものの第一の態様における代表的な例を示す、図1および図2に対応する、一部を切り欠いて断面を示した平面図。
【図7】図6の鉄筋の継ぎ手を使用して異形鉄筋の端を接続したところを示す、図4と同様な、一部を切り欠いた平面図。
【図8】図7の鉄筋の継ぎ手において、継ぎ手本体にフランジを設けた変更態様を示す、主要部の側面図。
【図9】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第二の目的を達成するものの第二の態様における代表的な例を示す、図6に対応する、一部を切り欠いて断面を示した平面図。
【図10】図11の継ぎ手を使用して異形鉄筋の端を接続したところを示す、図6と同様な、一部を切り欠いた平面図。
【図11】図6の継ぎ手において、継ぎ手本体にフランジを設けた変更態様を示す、主要部の側面図。
【図12】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第二の目的を達成するものの第三の態様における継ぎ手本体の代表的な例を示す図であって、Aは図5に対応する平面図、BはAの矢視図。
【図13】図12の継ぎ手本体と組み合わせて使用する結合部材の代表的な例を示す図であって、Aは縦断面図、BはAのB方向矢視図、CはAのC方向矢視図。
【図14】図12および13の継ぎ手を使用して異形鉄筋の端を接続したところを示す、図7と同様な、一部を切り欠いて内部を示した平面図。
【図15】図6の鉄筋の継ぎ手を、既設の鉄筋コンクリート構築物の中で損傷を受けた鉄筋の補修に使用する場合の、構築物の横断面図。
【図16】図15に続いて、鉄筋の補修を行なった段階を示す構築物の横断面図。
【符号の説明】
1 鉄筋の継ぎ手(第一の目的を達成するもの)
11 開口した端部
12 メネジ
13 フランジ
14 円錐台形の陥入部
2 鉄筋の継ぎ手(第二の目的を達成するものの第一の態様)
2A 継ぎ手本体
2B 結合ナット
21 本体の端部
22 オネジ
23 メネジ
24 フランジ
25 円錐台形の突出部
26 円錐台形の陥入部
3 鉄筋の継ぎ手(第二の目的を達成するものの第二の態様)
3A 継ぎ手本体
3B 結合ナット
31 本体の端部
32 オネジ
33 順ネジ
34 逆ネジ
35 フランジ
36 円錐台形の突出部
37 円錐台形の陥入部
4 鉄筋の継ぎ手(第二の目的を達成するものの第三の態様)
4A 継ぎ手本体
4B 結合部材
41 オネジ
42 小径の順ネジ
43 大径の逆ネジ
5 グラウト剤注入用の孔
6 鉄筋(または異形鉄筋)
61 (異形)鉄筋の端部
62 異形鉄筋のオネジ
7A ロックナット(第一の態様に用いるもの)
74 円錐台形の突出部
9 コンクリート
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート用の鉄筋を連結して、直角に折り曲げた部分を形成するための鉄筋の継ぎ手に関する。この継ぎ手は、新しく鉄筋コンクリートの構築物をつくる場合にも、またすでに建設された構築物中にあって損傷した鉄筋を修理する場合にも有用である。
【0002】
【従来の技術】
建築物の柱部分や橋脚のような柱状のものを鉄筋コンクリートで構築する場合には、よく知られているように、縦方向の鉄筋に対し、それを巻くように横方向の鉄筋を組み合わせる。この横方法の鉄筋は、縦方向の鉄筋に対して相対的に細い鉄筋材を切断し、四隅に当たる部分を折り曲げて四角環状にして、突き合わせ部分を溶接することにより構成している。
【0003】
縦方向の鉄筋は、長く形成する必要があるときは、鉄筋素材を必要な本数だけ継ぎ手を用いて連結している。この継ぎ手には、「ジョイント」とか、「カプラー」とか、さまざまな名称が与えられている。多くの場合、鉄筋素材として異形鉄筋材が使用されるので、そのネジ節を利用して継ぎ手との結合を強固にすることが行なわれている。具体的には、異形鉄筋材のオネジにかみ合うメネジの形状をもった継ぎ手を用意して両者をかみ合わせ、さらに必要に応じて、鉄筋材と継ぎ手との間に無機グラウト材を注入固化させることにより、結合を確実なものにしている。継ぎ手の両側にロックナットを使用して、異形鉄筋との結合を確実にすることも行なわれている。
【0004】
円弧面を有する構造物を構築するため、鉄筋の接続部分において、わずかな角度の変化が生じてもよいようにした継ぎ手が提案されている(特開平6−146412)。最近、直線状の鉄筋を所定の角度、たとえば120度で接続する場合に備えて、「く」字型のカプラーを使用する技術も開示された(特開2002−13249)。
【0005】
鉄筋用カプラーの材料としては、従来から球状黒鉛鋳鉄が使用されている。この材料は、靱性が低いことが弱点であり、それを、パーライトの面積比を高くして緻密な組織とするか、またはフェライトの発生しやすい黒鉛の周囲をフェライトとパーライトの共存組織にして緻密化して補うことも試みられている(特開2000−026932)。
【0006】
最近、高速道路や新幹線などのコンクリート橋脚内部の鉄筋が、しばしば折り曲げ部で破断しているという事実が報告され、衝撃を与えている。いうまでもなく、鉄筋コンクリート内部での鉄筋の破断は、その構築物が設計強度を発揮できなくなっているということを意味し、危険きわまりない。
【0007】
鉄筋コンクリートの内部で鉄筋が破断する原因として、現在考えられているのは、いわゆるアルカリ骨材反応、すなわち、コンクリート中のアルカリ成分が骨材中の成分と反応して、ゲル状の物質を形成するという現象である。このゲル状物質が水分を吸収して膨張することにより、コンクリート内部に圧力がかかってコンクリートがひび割れをおこし、それが進行すると、遂に鉄筋の破断に至る、という機構である。
【0008】
2001年の日本鋳造学会で、オーステンパー球状黒鉛鋳鉄の試験片に、濡れたティッシュペーパーを巻き付けた状態で引張り強度を測定したところ、乾いた状態で試験した場合にくらべ、強度が20〜30%、伸びは80〜90%も低い値が得られたことが報告されている。そこでは現象の報告に止まり、機構についての検討はなされていないが、発明者は、このような現象が起こる原因として、水素イオン脆化があるのではないかと考えており、鉄筋の破断の原因もまた、同じ原因によるものであろうと解釈している。
【0009】
「水素イオン脆化」とは、鉄筋のような材料が、たとえば引っ張られて切断する寸前のような塑性臨界状態において生じると考えられる現象であって、水中の水素イオンが、オーステナイト粒界、析出黒鉛や、パーライトを構成するフェライト−セメンタイトの層状組織の間に入り込み、炭素原子から電子を奪ってそれをイオン化し、イオン化したC原子が隣接するC原子をイオン化するという、電子の伝達ないし移動が連鎖的に生じる結果として、局所的に強度が低下する現象である。
【0010】
前述のように、折り曲げにより構成された鉄筋には、折り曲げ部に大きな歪みが残留しており、とくに引っ張りを受けた外側の面は、引っ張り試験における切断寸前の状態に近いから、水素イオン脆化が起こりやすい状態にあることが明らかである。このような機構による鉄筋の切断という現象を抜本的に防ぐには、折り曲げ部をなくすことであるという考えに基づき、発明者は、鉄筋の折り曲げ部を形成時から曲がった形状にしておくということ、そしてそれを鋳造により実現することを着想し、本発明に至った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した着想に基づいてなされたものであって、第一の目的は、鉄筋コンクリート構築物の内部にある鉄筋が切断する危険をなくした、新設する鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手を提供することにある。本発明の第二の目的は、前述したような、既存の鉄筋コンクリート構築物の内部にあって、切断した、または切断に至らないまでも著しく損傷し、その役割を果たせなくなった鉄筋を補修し、本来の強度を回復させるのに有用な、既設鉄筋コンクリートの鉄筋の継ぎ手を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した第一の目的を達成する本発明の鉄筋の継ぎ手は、図1ないし図3に示すように、2本の鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、L字型の形状を有し、少なくとも両辺は中空であって、開口した端部(11)から鉄筋(6)の端部を挿入して固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手(1)である。
【0013】
第二の目的を達成する本発明の鉄筋の継ぎ手には、三種の態様が可能である。その一つは、図6に示すように、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジと同じオネジ(22)を刻んだ継ぎ手本体(2A)と、これらのオネジにかみ合うメネジ(23)を刻んだ2個の結合ナット(2B)とからなり、図7に示すように、継ぎ手本体両端部(21)を異形鉄筋(6)の端部(61)に付き合わせた状態で、結合ナット(2B)を本体と異形鉄筋とにまたがるように位置させることにより、上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手(2)である。
【0014】
第二の目的を達成する本発明の鉄筋の継ぎ手における第二の態様は、やはり2本の異形鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、図9に示すように、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジと逆ネジの関係にあるオネジ(32)を刻んだ継ぎ手本体(3A)と、異形鉄筋のオネジとかみ合う順ネジ(33)および継ぎ手本体のオネジとかみ合う逆ネジ(34)とを、隣接して、ただし若干の間隔をもって刻んだ結合ナット(3B)2個とからなり、継ぎ手本体の端部と異形鉄筋の端部とを向かい合わせた状態で結合ナット(3B)を回し、図10に示すように、異形鉄筋の端部と継ぎ手本体の端とを引き寄せ、かつ、付き合わせた状態で、結合ナットを継ぎ手本体の端と異形鉄筋の端とにまたがるように存在させ、継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手(3)である。
【0015】
第三の態様は、これも2本の異形鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、図12に示すような、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジより大径であって、それと逆ネジの関係にあるオネジ(41)を刻んだ継ぎ手本体(4A)と、図13に示すような、筒状で、異形鉄筋のオネジとかみ合う小径の順ネジ(42)および継ぎ手本体のオネジとかみ合う大径の逆ネジ(43)の2種を隣接して刻んだ結合部材(4B)2個とからなり、結合部材の小径の順ネジ(42)を異形鉄筋の端に半ばかみ合わせた状態で大径の逆ネジ(43)を継ぎ手本体(4A)の端にかみ合わせ、さらに結合部材(4B)を回して、図14に示すように、継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより上記接続を可能にした継ぎ手(4)である。継ぎ手本体(4A)は、図示したような完全な中空体であってもよいし、両辺の端近くだけが中空のものであってもよいし、中実体であってもよい。
【0016】
【発明の実施形態】
本発明の鉄筋の継ぎ手には、種々のバリエーションがあり得る。第一の目的を達成するものにおいて、図1に示した例は、接続する鉄筋が異形鉄筋である場合に、継ぎ手(1)の内部に、図2にみるように、異形鉄筋のオネジに対応するメネジ(12)を設け、継ぎ手に対して異形鉄筋の端部をネジ込むことにより固定するようにしたものである。図4は、異形鉄筋の端部のオネジ(62)をネジ込んで、固定したところを示す。いうまでもなく、ネジ込みに当たって、異形鉄筋と継ぎ手のどちらを回転させてもよい。
【0017】
図1〜3に示した態様の鉄筋の継ぎ手に、異形鉄筋の端部をネジ込んで図4に示したように固定した場合、固定を確実なものにするためには、ロックナットを使用することが推奨される。図5は、ロックナット(7A)を使用する変更態様を示す。この例では、継ぎ手(1)の両端がフランジ(13)を備え、その内側に円錐形台形の陥入部(14)があり、ロックナット(7A)のフランジ側には、この凹みに対応する円錐台形の突出部(74)が設けてあって、ロックを確実にしている。
【0018】
鉄筋を連結する折り曲げ部は、これまで取り上げて来た橋脚などの縦−横の鉄筋を構成する場合の横方向の鉄筋では、図1に示したように、屈曲部が二方向に伸び、その二つの開口部に鉄筋を挿入するもので足りるが、本発明の鉄筋の継ぎ手は、鋳造により製造するものであるから、屈曲部から二方向に向かうものには限定されず、三方向はもちろん、四方向、五方向または六方向に向かう形状のものが可能である。
【0019】
前述のように、縦方向の鉄筋の素材を連結するためには、ストレートな形状の継ぎ手が用いられており、そこでは、鉄筋素材と継ぎ手とをネジにより結合させた場合、両者の結合を確実にするために、継ぎ手に小さな孔を開けておき、そこからグラウト剤を注入することが行なわれる。本発明の実施に当たっても、同様な技術が適用可能である。この目的で、図1の継ぎ手においては、グラウト剤注入用の孔(5)を設けてある。この点は、後に説明する第二の目的を達成する本発明の継ぎ手の各態様に関しても、同様である。
【0020】
継ぎ手と鉄筋の端部との結合は、上記したネジ込み式またはネジ込み+ロックナット併用式が一般的であるが、場合によっては溶接による方が好都合な場合がある。溶接が強固に行なえれば、継ぎ手の内面に異形鉄筋の凹凸に対応させた凹凸を設ける必要はなくなり、平らな内面をもった継ぎ手で足りる。その場合は、鉄筋の端部を回転させて継ぎ手に結合させる必要もなくなるから、継ぎ手への鉄筋端部の挿入は、きわめて容易になる。ロックナットを用いない単なるネジ式の結合を行なった場合でも、それに加え、溶接により結合を堅固にすることが可能である。
【0021】
第二の目的を達成する、本発明に従う鉄筋の継ぎ手の諸態様においても、継ぎ手の辺にフランジを設けることは好ましい。図8は、その第一の態様において、鉄筋の継ぎ手(2)のオネジ(22)基部に、フランジ(24)を設けた例を示す。この例では、フランジのオネジ側には円錐台形の突出部(25)が設けてあり、結合ナット(2B)のフランジ側にはこの突出部に対応する円錐台形の陥入部(26)が設けてあって、それらの間のロック作用により、結合ナットの位置が安定化される。
【0022】
同様に図11は、本発明に従う鉄筋の継ぎ手の、第二の態様において、鉄筋の継ぎ手(3)のオネジ(32)基部に、フランジ(35)を設けた例を示す。この例でも、フランジのオネジ側には円錐台形の突出部(36)が設けてあり、結合ナット(3B)のフランジ側にはこの突出部に対応する円錐台形の陥入部(37)が設けてあって、結合ナットの位置の安定化をはかっている。
【0023】
本発明の特徴のひとつは、継ぎ手を構成する材料として、既知のストレートな継ぎ手において常用されてきた球状黒鉛鋳鉄でなく、低合金鋳鋼を選択したことである。それにより、前述した水素イオン脆化の現象が、根本的に排除できる。いうまでもなく、本発明の継ぎ手を使用すれば、従来技術とちがって鉄筋の折り曲げ加工部が存在しないから、極端な応力が残留している部分はあり得ず、鉄筋が受ける応力は、コンクリート構築物としての応力である。従って、構成した鉄筋がコンクリート中に埋設されたのちも、鉄筋に加わる応力は従来の鉄筋にくらべて格段に低く、その上に、黒鉛組織をほとんど含まない低合金鋳鋼を継ぎ手材料とすることにより、水素イオン脆化が完全に防止される。
【0024】
本発明の継ぎ手は、応力の加わる方向に関しても、従来のストレートな継ぎ手が長手方向の引っ張りと圧縮だけ考慮すればよかったのとは事情が異なり、折り曲げ部に対して、開く方向や閉じる方向の応力があり得る。そのような応力に対して、従来の継ぎ手に用いられていた球状黒鉛鋳鉄では、靱性が不足する場合があり得る。本発明で採用した低合金鋳鋼は、その点で万全である。さらに、球状黒鉛鋳鉄は溶接ができないが、低合金鋳鋼であれば、溶接が容易である。
【0025】
使用できる低合金鋳鋼は、低マンガン鋳鋼、シリコンマンガン鋳鋼、マンガンクロム鋳鋼、クロムモリブデン鋳鋼、マンガンクロムモリブデン鋳鋼、ニッケルクロムモリブデン鋳鋼、あるいはステンレス鋳鋼など多種類にのぼり、継ぎ手に要求される強度や耐食性に応じて選択すればよいが、通常は、低マンガン鋳鋼、ニッケルクロムモリブデン鋳鋼、マンガンクロム鋳鋼で足り、機械的性質とコストのバランスからみても、それらが適切である。
【0026】
本発明の継ぎ手において、第二の目的を達成するもの、すなわち、結合ナットにより継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより接続できるようにしたものは、前記のように三種の態様があるが、いずれも、上に説明してきた第一の目的を達成するものと同じく、新しく鉄筋コンクリートの構築物をつくる場合にも使用できることはもちろんであるが、すでに建設された構築物中にあって損傷した鉄筋を修理する場合に、とりわけ有用である。
【0027】
第二の目的を達成する継ぎ手の第一の態様について、それを用いた修理のようすを説明すれば、図15および図16に示すとおりである。まず、図15にみるように、屈曲部に損傷が発見された鉄筋がネジ形状を有する異形鉄筋(6)である場合は、それとかみあうメネジを刻んだ結合ナット(2B)と継ぎ手本体(2A)とからなる鉄筋の継ぎ手(2)を用意する。つぎに、鉄筋を被覆しているコンクリート(9)を、必要な限度で取り除き、鉄筋の損傷部分を露出させるとともに、折り曲げ部を継ぎ手の辺の長さに合わせて切り取る。その後、継ぎ手を当てて結合ナット(2B)を回し、結合ナットがL字型の継ぎ手の端部と鉄筋の端部の両方にまたがるような位置に移動させる。これにより、鉄筋の継ぎ手と異形鉄筋とが接続される。あとは、その上からコンクリートを施工して、再度被覆すればよい。
【0028】
第二の態様に属する鉄筋の継ぎ手を用いた修理も、図15および図16に示したとおりである。この場合も、この継ぎ手の適用は、屈曲部に損傷が発見された鉄筋がネジ形状を有する異形鉄筋であることを要する。必要な限度でコンクリート(9)を取り除いて鉄筋の損傷部分を露出させるとともに、折り曲げ部を継ぎ手の辺の長さに合わせて切り取るという準備も、同様である。
【0029】
つぎに、図10に示したように、継ぎ手本体(3A)の端部(31)と異形鉄筋の端部(61)とを向かい合わせた状態で結合ナット(3B)を回す。このようにして、異形鉄筋の端と本体の端とが引き寄せられ、かつ、付き合わされた状態で、結合ナットが継ぎ手本体の辺と異形鉄筋の端とにまたがるように存在するから、継ぎ手の辺が異形鉄筋の端に固定される。
【0030】
第三の態様に属する鉄筋の継ぎ手を用いた修理のようすは、図15および図16を参照して説明したところに、図14を適用した形になる。この継ぎ手の適用が、屈曲部に損傷が発見された鉄筋がネジ形状を有する異形鉄筋であることを要することは、これまでと異ならない。必要な限度でコンクリート(9)を取り除いて鉄筋の損傷部分を露出させるとともに、折り曲げ部を継ぎ手の辺の長さに合わせて切り取るという準備もまた、上に説明したとおりである。
【0031】
切断した鉄筋を接続するに当り、第三の態様の継ぎ手(4)を用いる場合は、はじめに結合部材(4B)を異形鉄筋(6)の端部に当てて回し、両者を少しかみ合わせておいてから、継ぎ手本体(4A)と結合部材(4B)とをかみ合わせる。結合部材を回すことにより、異形鉄筋の端は継ぎ手本体に向かって進み、同じく継ぎ手本体は異形鉄筋の端に向かって進み、継ぎ手本体が中空でない場合は、付き合わされた状態で止まる。継ぎ手本体が中空である場合は、それが結合部材に刻んだ大径の逆ネジ(43)の奥に当たって止まる。いずれにしても、最終的には結合部材(4B)がロックナットの役割を果たし、接続状態が確実に固定される。
【0032】
【実施例1】
ニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図1および図2に示した形状の継ぎ手(1)を製造した。その一辺の長さは60mmであって、内面に、異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」(普通鋼製、外径約19mm、ネジのピッチ8.0mm、節の高さ1.75mm)のオネジとかみ合うメネジを刻んである。
【0033】
上記の継ぎ手のうち1個の一辺だけメネジ(23)を削り取って、鉄筋がそのまま入る(ネジのかみ合いはない)ようにグラインダー加工した。この継ぎ手1個と、加工してない継ぎ手(すべてネジのかみ合いができる)3個とを、上記のボルト呼び径「D−19」の異形鉄筋で長さ150cmおよび400cmに切断したもの各2本とを組み合わせ、7箇所はネジ込みにより、そして最後の1箇所はストレートに挿入し溶接して固定することにより、四角環状の組立て鉄筋とした。この組立て鉄筋を必要個数用意し、縦方向の太い鉄筋に対する横方向の細い鉄筋として組み合わせ、柱状の鉄筋コンクリート構築物を施工した。
【0034】
【実施例2】
やはりニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図6に示した形状の継ぎ手本体(2A)と、六角の結合ナット(2B)とからなる鉄筋の継ぎ手(2)を製造した。継ぎ手本体のオネジおよび結合ナットのメネジは、それぞれ異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」のオネジに対応し、またはそれとかみ合うものである。継ぎ手の一片の長さは30mm、結合ナットの長さは75mm、一辺の幅は32mmである。
【0035】
工場建家の鉄筋コンクリート製の柱であって、機械的衝撃を受けてコンクリートが剥落し、横方向に配置された四角環状の鉄筋が露出した部分を対象に、上記の継ぎ手を使用して補修を行なった。その手順は前記したとおりである。
【0036】
【実施例3】
ここでもニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図9に示した形状の継ぎ手本体(3A)および六角の長ナットであって、順逆のメネジを刻んだ結合ナット(3B)からなる鉄筋の継ぎ手(3)を製造した。この場合も、結合ナットの順ネジは、異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」のオネジにかみ合うものであり、逆ネジはこれと同寸・同ピッチで、結合ナットの長さは75mm、順逆2種のメネジの間には8mmの間隔がある。
【0037】
この継ぎ手を、実施例2と同様な鉄筋コンクリート製の柱の修理に使用して、同様な成績を収めた。
【0038】
【実施例4】
おなじくニッケルクロムモリブデン鋳鋼を材料として、ロストワックス鋳造法により、図12および図13に示した形状の継ぎ手本体(4A)および結合部材(4B)からなる鉄筋の継ぎ手(4)を製造した。結合部材の小径の順ネジは、異形鉄筋のボルト呼び径「D−19」のオネジにかみ合うものであり、外径22.5mm、内径19.0mm、ピッチ8.0mmである。大径の逆ネジは、ピッチは順ネジと同じであるが、外径34.0mm、内径30.5mmである。
【0039】
【発明の効果】
本発明の継ぎ手は、鉄筋コンクリート用の鉄筋の折り曲げ部を、あらかじめその屈曲形状に鋳造して用意することにより、折り曲げ部に残留歪みが存在することを原理的に解消し、かつ、材料として低合金鋳鋼を採用したことにより、コンクリート構築物中で水素イオン脆化を受けて破断する可能性を全面的に防止することができた。それゆえ、この継ぎ手を用いることにより、構築物が設計強度を維持できなくなるというおそれがなくなった。
【0040】
第一の目的を達成する継ぎ手は、開口した端部から鉄筋の端を挿入して固定する、それも、ネジ込みもしくは溶接、またはそれらの組み合わせという簡単な操作によって実施でき、鉄筋素材の折り曲げ操作を行なわなくても、折り曲げ部をそなえた鉄筋を構成することができる。
【0041】
本発明の継ぎ手は、量産すれば、それ自体の製造コストは廉価にできる。従来の鉄筋製造方法と部品および工程を対比してみると、本発明に従った場合は、継ぎ手が必要になるとともに、継ぎ手と鉄筋の端とを固定するためのネジ込みなどの作業を要する一方で、鉄筋素材の曲げ作業と、曲げた鉄筋素材の突き合わせ端部を溶接するという作業が不要になる。どちらがコスト的に有利であるかは、場合により一概にいえないようであるが、鉄筋が長期にわたって安全に維持され、設計強度を享受できるということは、コスト問題とくらべものにならない利益である。
【0042】
第二の目的を達成する鉄筋の継ぎ手は、三種の態様のどれを採用しても、上に述べたように、とりわけ、既存の鉄筋コンクリート構築物内で損傷を受けた鉄筋の補修を、簡易に実施することを可能にする。鉄筋の損傷部分を露出させるための、コンクリート駆体の破壊が最小限で済み、鉄筋補修に続くコンクリート再被覆の作業もまた最小限ですむから、工事が安全かつ迅速に行なえる上、工費は低廉に止まる。前述した鉄筋コンクリート構築物中の鉄筋の切断という大きな問題に対処する技術として、これらの態様の継ぎ手は有用である。
【0043】
第二および第三の態様は、逆ネジを利用することにより、継ぎ手と異形鉄筋との接続が強固に固定されるという利点がある。とくに第三の態様において、接続の強固さは最高のものになる。ただし、他の態様にくらべて結合部材が大きくなるので、隣接する鉄筋との間隔や、作業のための空間的に余裕がないと実施困難であり、空間の制約がある場合は、第二の態様を採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第一の目的を達成するものの代表的な例を示す平面図。
【図2】図1に示した鉄筋の継ぎ手の縦断面図。
【図3】図1に示した鉄筋の継ぎ手の矢視図。
【図4】図1に示した鉄筋の継ぎ手に対して異形鉄筋の端を挿入し、ネジのかみ合いにより結合させた状態を示す、一部を切り欠いた平面図。
【図5】図1に示した鉄筋の継ぎ手において、ロックナットを使用した変更態様を示す、主要部の、一部切り欠いて断面を示した側面図。
【図6】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第二の目的を達成するものの第一の態様における代表的な例を示す、図1および図2に対応する、一部を切り欠いて断面を示した平面図。
【図7】図6の鉄筋の継ぎ手を使用して異形鉄筋の端を接続したところを示す、図4と同様な、一部を切り欠いた平面図。
【図8】図7の鉄筋の継ぎ手において、継ぎ手本体にフランジを設けた変更態様を示す、主要部の側面図。
【図9】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第二の目的を達成するものの第二の態様における代表的な例を示す、図6に対応する、一部を切り欠いて断面を示した平面図。
【図10】図11の継ぎ手を使用して異形鉄筋の端を接続したところを示す、図6と同様な、一部を切り欠いた平面図。
【図11】図6の継ぎ手において、継ぎ手本体にフランジを設けた変更態様を示す、主要部の側面図。
【図12】本発明にしたがう鉄筋コンクリート用の鉄筋の継ぎ手であって、第二の目的を達成するものの第三の態様における継ぎ手本体の代表的な例を示す図であって、Aは図5に対応する平面図、BはAの矢視図。
【図13】図12の継ぎ手本体と組み合わせて使用する結合部材の代表的な例を示す図であって、Aは縦断面図、BはAのB方向矢視図、CはAのC方向矢視図。
【図14】図12および13の継ぎ手を使用して異形鉄筋の端を接続したところを示す、図7と同様な、一部を切り欠いて内部を示した平面図。
【図15】図6の鉄筋の継ぎ手を、既設の鉄筋コンクリート構築物の中で損傷を受けた鉄筋の補修に使用する場合の、構築物の横断面図。
【図16】図15に続いて、鉄筋の補修を行なった段階を示す構築物の横断面図。
【符号の説明】
1 鉄筋の継ぎ手(第一の目的を達成するもの)
11 開口した端部
12 メネジ
13 フランジ
14 円錐台形の陥入部
2 鉄筋の継ぎ手(第二の目的を達成するものの第一の態様)
2A 継ぎ手本体
2B 結合ナット
21 本体の端部
22 オネジ
23 メネジ
24 フランジ
25 円錐台形の突出部
26 円錐台形の陥入部
3 鉄筋の継ぎ手(第二の目的を達成するものの第二の態様)
3A 継ぎ手本体
3B 結合ナット
31 本体の端部
32 オネジ
33 順ネジ
34 逆ネジ
35 フランジ
36 円錐台形の突出部
37 円錐台形の陥入部
4 鉄筋の継ぎ手(第二の目的を達成するものの第三の態様)
4A 継ぎ手本体
4B 結合部材
41 オネジ
42 小径の順ネジ
43 大径の逆ネジ
5 グラウト剤注入用の孔
6 鉄筋(または異形鉄筋)
61 (異形)鉄筋の端部
62 異形鉄筋のオネジ
7A ロックナット(第一の態様に用いるもの)
74 円錐台形の突出部
9 コンクリート
Claims (12)
- 2本の鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、L字型の形状を有し、少なくとも両辺は中空であって、開口した端部から鉄筋の端部を挿入して固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手。
- 2本の鉄筋がオネジを有する異形鉄筋である場合に使用する継ぎ手であって、継ぎ手の内部に、異形鉄筋のオネジに対応するメネジを設け、継ぎ手に対して異形鉄筋の端部をネジ込んで固定するようにした請求項1の鉄筋の継ぎ手。
- ロックナットを用いて異形鉄筋の継ぎ手への固定を確実にした請求項2の鉄筋の継ぎ手。
- 継ぎ手の両端がフランジを備え、その内側が円錐形台形に凹んでいて、ロックナットのフランジ側には、この凹みに対応する円錐台形の突出部が設けてある請求項3の鉄筋の継ぎ手。
- 2本の異形鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジと実質上同じオネジを刻んだ継ぎ手本体と、これらのオネジにかみ合うメネジを刻んだ2個の結合ナットとからなり、継ぎ手本体の両端を異形鉄筋の端に付き合わせた状態で結合ナットを回し、結合ナットを継ぎ手本体の端と異形鉄筋の端とにまたがるように存在させ、継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手。
- 継ぎ手の両辺においてオネジ基部にフランジを設けてあり、その内側が円錐台形に突出していて、結合ナットのフランジ側には、この突出部に対応する円錐台形の凹みが設けてある請求項5の鉄筋の継ぎ手。
- 2本の異形鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジと逆ネジの関係にあるオネジを刻んだ継ぎ手本体と、異形鉄筋のオネジとかみ合う順ネジおよび継ぎ手本体のオネジとかみ合う逆ネジとを、隣接して、ただし若干の間隔をもって刻んだ結合ナット2個とからなり、継ぎ手本体の端と異形鉄筋の端とを向かい合わせた状態で結合ナットを回し、異形鉄筋の端と継ぎ手本体の端とを引き寄せ、かつ、付き合わせた状態で、結合ナットを継ぎ手本体の端と異形鉄筋の端とにまたがるように存在させ、継ぎ手の辺を異形鉄筋の端に固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手。
- 継ぎ手本体の両辺において、オネジ基部にフランジを設けてある請求項7の鉄筋の継ぎ手。
- オネジ基部に設けたフランジのオネジ側が円錐台形に突出していて、結合ナットのフランジ側には、この突出部に対応する円錐台形の凹みが設けてある請求項8の鉄筋の継ぎ手。
- 2本の異形鉄筋をほぼ直角に接続することができる鉄筋の継ぎ手であって、低合金鋳鋼を材料とし、L字型の形状を有し、両辺に異形鉄筋のオネジより大径であって、それと逆ネジの関係にあるオネジを刻んだ継ぎ手本体と、筒状で、異形鉄筋のオネジとかみ合う小径の順ネジおよび継ぎ手本体のオネジとかみ合う大径の逆ネジの2種を隣接して刻んだ結合部材2個とからなり、結合部材の小径の順ネジを異形鉄筋の端に半ばかみ合わせた状態で大径の逆ネジを継ぎ手本体の端にかみ合わせ、さらに結合部材を回して、結合部材を継ぎ手本体の端と異形鉄筋の端とにまたがるように存在させ、継ぎ手本体の辺を異形鉄筋の端に固定することにより上記接続を可能にした鉄筋の継ぎ手。
- グラウト剤注入用の孔を設けた請求項1および4〜10のいずれかの鉄筋の継ぎ手。
- 材料とする低合金鋳鋼が、低マンガン鋳鋼、ニッケルクロムモリブデン鋳鋼またはマンガンクロム鋳鋼である請求項1および4ないし10のいずれかの鉄筋の継ぎ手。
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