JP2005016151A - 低騒音排水性舗装 - Google Patents
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Abstract
【課題】排水性舗装のさらに効果的かつ確実な低騒音化を容易に図りつつ骨材間の接合強度を高めることができると共に、湿潤した路面や温度が十分に低下していない路面に対しても施工することができ、また施工時に臭気の発生の少ない低騒音排水性舗装を提供する。
【解決手段】骨材12間の空隙13を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした低騒音の排水性舗装10であって、排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材16を散布する。ウレタン系樹脂15は、変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂であることが好ましく、排水性舗装10の表層部分に0.1〜3.0kg/m2塗布される。硬質骨材16は、硅砂、エメリー、又はセラミックであり、0.1〜2.0kg/m2散布される。
【選択図】 図2
【解決手段】骨材12間の空隙13を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした低騒音の排水性舗装10であって、排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材16を散布する。ウレタン系樹脂15は、変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂であることが好ましく、排水性舗装10の表層部分に0.1〜3.0kg/m2塗布される。硬質骨材16は、硅砂、エメリー、又はセラミックであり、0.1〜2.0kg/m2散布される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低騒音排水性舗装に関し、特に骨材間の空隙を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした排水性舗装における低騒音排水性舗装に関する。
【0002】
排水性舗装は、アスファルトコンクリートに配合される骨材の粒径を調整して骨材間に空隙を保持することにより、当該空隙を介して舗装の表面から雨水等の水を内部に浸透させ、表面の水を排除するすることにより、水溜りによって自動車のタイヤが滑ってしまうハイドロプレーニング現象等を効果的に回避できると共に、晴天時等においてはタイヤとの間に挟まれる表面の空気を舗装の内部に逃がすことにより、自動車のタイヤによる舗装の表面へのプレッシャー音を低減して、低騒音化を効果的に図ることのできる機能を備えている。
【0003】
また、排水性舗装による低騒音化は、道路の供用条件や、使用される骨材等の材料の生産地による相違等によってばらつきを生じているのが現状である。したがって、低騒音性に対する材料(特に骨材)の影響を低減することができると共に、さらに効果的かつ確実に低騒音化を図ることのできる低騒音排水性舗装の開発が要望されている。
【0004】
一方、排水性舗装は、骨材間に空隙が確保されることから、アスファルトを接合剤とした骨材間の接合が点接触的接合構造となるため接合強度が弱くなり、自動車の繰り返し荷重を受けると、タイヤの摩擦力によって骨材が跳ね飛ばされたり、骨材間の空隙に跳ね飛ばされた骨材が入り込んで目詰まりを生じることにより、排水機能や低騒音化機能を十分に発揮できなくなる場合がある。
【0005】
このような排水性舗装における骨材の飛散等を防止する技術として、骨材間の接合強度を高めるべく、排水性アスファルト混合物層の表層部分に、メタクリレート樹脂又は/及びアクリレート樹脂の未硬化物と硬化剤を主剤とする液状混合物を、排水性アスファルト混合物層の排水性を確保し得る塗布量で塗布するようした排水性道路舗装構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−222705号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の骨材間の接合強度を高めた排水性舗装によれば、当該メタクリレート樹脂やアクリレート樹脂は硬い樹脂であることから、さらに効果的かつ確実な低騒音化を図ることが困難である。またメタクリレート樹脂やアクリレート樹脂は、これらが塗布される舗装面に水分が残っている場合や、排水性舗装の施工後の路面温度が常温まで十分に低下していない場合には、塗布作業を行うことができないため、効率良く施工することが困難である。さらに、メタクリレート樹脂やアクリレート樹脂は、臭気を発生するため、繁華街や住宅地等における施工に適さない。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、排水性舗装のさらに効果的かつ確実な低騒音化を容易に図りつつ骨材間の接合強度を高めることができると共に、湿潤した路面や温度が十分に低下していない路面に対しても施工することができ、また施工時に臭気の発生の少ない低騒音排水性舗装を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、骨材間の空隙を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした排水性舗装において、該排水性舗装の表層部分にウレタン系樹脂を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材を散布することを特徴とする低騒音排水性舗装を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記ウレタン系樹脂は、変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記ウレタン系樹脂には遮熱性材料が混入されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記ウレタン系樹脂は、前記排水性舗装の表層部分に0.1〜3.0kg/m2の塗布量で塗布されることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記すべり止め用の硬質骨材は、硅砂、エメリー、又はセラミックであり、0.1〜2.0kg/m2の散布量で散布されることが好ましい。
【0014】
ここで、本発明における排水性舗装は、当該排水性舗装に浸透した水を、基層の上面に沿って横断方向に流下させて排水するようにしたいわゆる排水性舗装の他、浸透した水を下方の基礎地盤まで流下させる透水性舗装等の、骨材間の空隙を介して水を内部に浸透させる機能を備えるその他の種々の通水性の舗装をも含むものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい一実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態の低騒音排水性舗装10は、図1に示すように、例えば高速道路や幹線道路等の車両の往来の頻繁な道路において、基層11の上面に敷設されることにより、排水性舗装面10の表面に降り注いだ雨水等の水を、当該排水性舗装10の内部に浸透させると共に、基層11の上面に沿って横断勾配により横方向に流下させつつ排水する機能を備えており、また道路を通過する車両による騒音を効果的に低減できる機能を備えている。
【0016】
そして、本実施形態の低騒音排水性舗装10は、図2に示すように、骨材12間の空隙13を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした排水性舗装であって、当該排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材16を散布することによって構成されている。
【0017】
本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10は、図1に示すように、基層11と共に道路の舗装部分17を構成するものであり、この舗装部分17は、路床18の上方に設けられた下層路盤19及び上層路盤20からなる路盤21を介して基礎地盤から支持された状態で設けられている。なお、路床18、下層路盤19、及び上層路盤20は、土、砂、砂利、砕石、セメント安定処理材、石灰安定処理材等を用いて、公知の各種の工法により、道路の設計荷重等に応じた所定の厚さで設けられることになる。また舗装部分17の基層11は、例えば骨材と、フィラーと、アスファルトと、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを混合して形成される、密粒度アスファルトコンクリート、細粒度アスファルトコンクリート、粗粒度アスファルトコンクリート等の公知の各種のアスフアルト舗装用のアスファルトコンクリートを用い、これらを道路の設計荷重等に応じた例えば20〜100mm程度の所定の厚さで敷設して、水を浸透を遮断する状態で形成されることになる。
【0018】
本実施形態の低騒音排水性舗装10の本体部分を構成する排水性舗装本体22は、骨材間隙が大きくなるようにその粒度が調整された骨材を配合した、例えば排水性アスファルトコンクリートや特殊ギャップアスファルトコンクリート等を用いて、道路の設計荷重等に応じた例えば20〜100mm程度の所定の厚さで敷設形成されることになる。これによって、低騒音排水性舗装10(排水性舗装本体22)の内部には、図2に示すように、骨材12間に空隙13が保持されることになり、これらの連接連通する空隙13を通水路として、雨水等の水を排水性舗装10の内部に浸透通過させ、基層11の上面に沿ってさらに横方向に流下させることができるようになっている。
【0019】
本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10の表層部分14に塗布されるウレタン系樹脂15として、好ましくは、例えば変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂が用いられている。ここで、変性ポリオール樹脂としては、例えばPPG(ポリプロピレングリコール)、PTMEG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)等のポリエーテルポリオール、アジペート系、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等のポリエステルポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリルポリオール、ポリマーポリオール、難燃性ポリオールなどを用いることができる。
【0020】
また、ウレタン系樹脂15には遮熱性材料を混入して用いることもできる。ここで、遮熱性材料としては、例えば粒径が0.1〜30μm程度の放熱機能を有するポリマーや、無機系或いは金属系の化合物等を用いることができる。
【0021】
さらに、本実施形態によれば、ウレタン系樹脂15は、低騒音排水性舗装10の表層部分14に、0.1〜3.0kg/m2の塗布量で塗布されることが好ましい。ウレタン系樹脂15の塗布量が0.1kg/m2よりも少ないと低騒音化機能や骨材の飛散防止機能が低下することになり、ウレタン系樹脂15の塗布量が3.0kg/m2よりも多いと雨水等を浸透させる機能が低下することになる。
【0022】
そして、本実施形態によれば、表層部分14にウレタン系樹脂15が塗布された低騒音排水性舗装10の表面(路面)には、すべり止め用の硬質骨材16が散布されて、ウレタン系樹脂15を介して路面に強固に付着固定されている。ここで、硬質骨材16としては、好ましくは粒径が75〜5000μm程度の硅砂、エメリー、セラミック等を用いることができる。また硬質骨材16の路面への散布量は、0.1〜2.0kg/m2とすることが好ましい。硬質骨材16の散布量が0.1kg/m2よりも少ないとすべり止め機能を効果的に発揮させることができなくなり、硬質骨材16の散布量が2.0kg/m2よりも多いと低騒音化機能や雨水等を浸透させる機能が低下することになる。
【0023】
本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に硬質骨材16を散布して、排水性舗装本体22をコーティングする作業は、図3に示すように、以下のようにして行われる。すなわち、敷設形成された低騒音排水性舗装10の排水性舗装本体22の表面に、二液混合樹脂散布機23を用いて、例えば0.5kg/m2の散布量でウレタン系樹脂15を散布する。散布は、散布量及び散布圧を調整した所定のガン24を使用して行うと共に、散布面積当たりの散布時間によって均一な散布量となるように管理する。排水性舗装本体22の表面へのウレタン系樹脂15の散布によって、ウレタン系樹脂15は、低騒音排水性舗装10の路面に塗布されると共に、骨材12間の空隙13を介して内部に侵入して排水性舗装本体22の表層部分14の内部の骨材12にも塗布されることになり、これによって、当該表層部分14における点接触的接合構造による骨材12間の接合を強化することになる。
【0024】
また、ウレタン系樹脂15を散布した後、直ちに、予め計量された硬質骨材16を、例えば背負式散布機25を用いて、例えば0.2kg/m2の散布量で低騒音排水性舗装10の表面に散布する。さらに、硬質骨材16の散布作業を終了した後、ウレタン系樹脂15の硬化状況を確認しながら、例えば2時間程度、自然養生を行うことにより、ウレタン系樹脂15の硬化によって、硬質骨材16が路面に強固に付着すると共に、表層部分14の骨材12間の接合強度が増した低騒音排水性舗装10が、容易かつ効率良く形成されることになる。
【0025】
なお、本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10は、当該排水性舗装10を新設する際に、排水性舗装本体22の表層部分14にウレタン系樹脂15を硬質骨材16と共にコーティングして形成することができる他、排水性舗装の補修時や改修時に、排水性舗装本体22の表層部分14にウレタン系樹脂15を硬質骨材16と共にコーティングして、低騒音排水性舗装10とすることもできる。
【0026】
そして、本実施形態の低騒音排水性舗装10によれば、さらに効果的かつ確実な低騒音化を容易に図りつつ骨材間の接合強度を高めることができると共に、湿潤した路面や温度が十分に低下していない路面に対しても施工することができ、また施工時の臭気の発生を抑制することができる。ずなわち、本実施形態によれば、排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材16を散布することによって構成され、ウレタン系樹脂15は、例えばメタクリル樹脂等と比較して塗膜硬度の小さい柔軟な樹脂であることから、排水性舗装10を構成する材料の産地等による相違にかかわらず、車両のタイヤとの接触音を効果的に抑制することが可能になり、これによって排水性舗装10のさらなる低騒音化を容易に図ることが可能になると共に、表層部分14に塗布されたウレタン系樹脂15の硬化によって骨材12間の接合強度が増すことにより、骨材12の飛散や排水性舗装10の目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。
【0027】
また、ウレタン系樹脂15は、湿潤した塗布面や高温の塗布面に対しても塗布作業を行うことが可能な樹脂であり、また湿潤や高い温度によって硬化が阻害されることもないので、塗布される舗装面に水分が残っている場合や、排水性舗装本体22の施工後に路面温度が常温まで十分に低下していない場合でも塗布作業を行うことができ、したがって雨天の回復や新設された排水性舗装本体22の敷設転圧後の冷却を待つことなく、効率良く低騒音排水性舗装10を施工してゆくことが可能になる。さらに、ウレタン系樹脂15は、低臭気の樹脂であることから、施工時の臭気の発散を抑制することができ、繁華街や住宅地等においても、周囲の環境に影響を及ぼすことなく施工することが可能になる。
【0028】
さらにまた、本実施形態によれば、ウレタン系樹脂15に遮熱性材料を混入して低騒音排水性舗装10の表層部分14に塗布するようにすれば、入射した太陽光による太陽光エネルギーの熱エネルギーへの変換を抑制して、舗装に蓄熱され難くすることが可能になり、これによってヒートアイランド現象等の発生回避に寄与することが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、低騒音排水性舗装の表層部分に塗布されるウレタン系樹脂は、変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂である必要は必ずしもなく、またウレタン系樹脂に遮熱性材料を混入して用いる必要は必ずしもない。さらに、ウレタン系樹脂を塗布した後に、硬質骨材と共に、ゴム粒子等の他の材料を散布して本発明の低騒音排水性舗装を形成することもできる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明の低騒音排水性舗装はこれらに限定されるものではない。
【0031】
〔実施例1,2〕
骨材として13mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を、既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した排水性舗装本体の表面に、表2に示す性状のウレタン系樹脂を0.5kg/m2の散布量で散布すると共に、表3に示す性状の硬質骨材を0.2kg/m2の散布量で散布することによって、実施例1の低騒音排水性舗装を形成した。また、骨材として10mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を、既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した排水性舗装本体の表面に、表2に示す性状のウレタン系樹脂を0.5kg/m2の散布量で散布するとと共に、表3に示す性状の硬質骨材を0.2kg/m2の散布量で散布することによって実施例2の低騒音排水性舗装を形成した。実施例1,2の低騒音排水性舗装に対して、後述する方法によって、タイヤ/路面騒音とすべり抵抗を測定した。なお、表2に示す性状のウレタン系樹脂としては、商品名「タフコートD−34X」(アルバー工業(株)製)を使用した。また表3に示す性状の硬質骨材としては、商品名「PSサンド5号」(大銑産業(株)製)を使用した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
〔比較例1,2〕
骨材として13mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を、既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布しない舗装を比較例1の排水性舗装とした。また、骨材として10mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布しない舗装を比較例2の排水性舗装とした。比較例1,2の排水性舗装に対して、後述する方法によって、タイヤ/路面騒音とすべり抵抗を測定した。
【0036】
〔タイヤ/路面騒音の測定〕
左側後輪近傍の所定の位置にマイクロホンを取り付けた騒音測定車を、実施例1,2の低騒音排水性舗装及び比較例1,2の排水性舗装に対して50km/hで走行させ、タイヤ/路面音を騒音計で計測した。測定結果を図4に示す。
【0037】
図4に示す測定結果によれば、ウレタン系樹脂をコーティングしない比較例1、比較例2の排水性舗装と比較して、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布した実施例1、実施例2の低騒音排水性舗装は、測定された騒音レベルが相当程度低下しており、したがって本発明の低騒音排水性舗装は、優れた騒音低減効果を発揮できることが判明する。また、使用した材料(骨材)が相違する実施例1、実施例2の低騒音排水性舗装について、同等の騒音レベルが測定されたことから、本発明の低騒音排水性舗装によれば、材料(特に骨材)の種類にかかわらず、略同様の騒音低減効果が得られることが判明する。
【0038】
〔すべり抵抗の測定〕
「舗装試験法便覧別冊」に従い、実施例1,2の低騒音排水性舗装及び比較例1,2の排水性舗装に対して、DFテスターによる動的摩擦係数μ(速度40km/h)の測定を行った。測定結果を図5に示す。
【0039】
図5に示す測定結果によれば、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布した実施例1、実施例2の低騒音排水性舗装の動的摩擦係数μは、ウレタン系樹脂をコーティンしていない比較例1、比較例2の排水性舗装と同等もしくは若干大きな値を示しており、ウレタン系樹脂のコーティングによる表面処理のすべり抵抗性への影響は認められなことが判明する。
【0040】
【発明の効果】
本発明の低騒音排水性舗装によれば、排水性舗装のさらに効果的かつ確実な低騒音化を容易に図りつつ骨材間の接合強度を高めることができると共に、湿潤した路面や温度が十分に低下していない路面に対しても施工することができ、また臭気の発生を抑制しつつ施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る低騒音排水性舗装が設けられる道路構造を説明する略示断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る低騒音排水性舗装の構成を説明する略示部分拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る低騒音排水性舗装の施工状況を説明図である。
【図4】タイヤ/路面騒音の測定結果を示すチャートである。
【図5】すべり抵抗の測定結果を示すチャートである。
【符号の説明】
10 低騒音排水性舗装
11 基層
12 骨材
13 空隙
14 表層部分
15 ウレタン系樹脂
16 硬質骨材
17 舗装部分
18 路床
19 下層路盤
20 上層路盤
21 路盤
22 排水性舗装本体
【発明の属する技術分野】
本発明は、低騒音排水性舗装に関し、特に骨材間の空隙を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした排水性舗装における低騒音排水性舗装に関する。
【0002】
排水性舗装は、アスファルトコンクリートに配合される骨材の粒径を調整して骨材間に空隙を保持することにより、当該空隙を介して舗装の表面から雨水等の水を内部に浸透させ、表面の水を排除するすることにより、水溜りによって自動車のタイヤが滑ってしまうハイドロプレーニング現象等を効果的に回避できると共に、晴天時等においてはタイヤとの間に挟まれる表面の空気を舗装の内部に逃がすことにより、自動車のタイヤによる舗装の表面へのプレッシャー音を低減して、低騒音化を効果的に図ることのできる機能を備えている。
【0003】
また、排水性舗装による低騒音化は、道路の供用条件や、使用される骨材等の材料の生産地による相違等によってばらつきを生じているのが現状である。したがって、低騒音性に対する材料(特に骨材)の影響を低減することができると共に、さらに効果的かつ確実に低騒音化を図ることのできる低騒音排水性舗装の開発が要望されている。
【0004】
一方、排水性舗装は、骨材間に空隙が確保されることから、アスファルトを接合剤とした骨材間の接合が点接触的接合構造となるため接合強度が弱くなり、自動車の繰り返し荷重を受けると、タイヤの摩擦力によって骨材が跳ね飛ばされたり、骨材間の空隙に跳ね飛ばされた骨材が入り込んで目詰まりを生じることにより、排水機能や低騒音化機能を十分に発揮できなくなる場合がある。
【0005】
このような排水性舗装における骨材の飛散等を防止する技術として、骨材間の接合強度を高めるべく、排水性アスファルト混合物層の表層部分に、メタクリレート樹脂又は/及びアクリレート樹脂の未硬化物と硬化剤を主剤とする液状混合物を、排水性アスファルト混合物層の排水性を確保し得る塗布量で塗布するようした排水性道路舗装構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−222705号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の骨材間の接合強度を高めた排水性舗装によれば、当該メタクリレート樹脂やアクリレート樹脂は硬い樹脂であることから、さらに効果的かつ確実な低騒音化を図ることが困難である。またメタクリレート樹脂やアクリレート樹脂は、これらが塗布される舗装面に水分が残っている場合や、排水性舗装の施工後の路面温度が常温まで十分に低下していない場合には、塗布作業を行うことができないため、効率良く施工することが困難である。さらに、メタクリレート樹脂やアクリレート樹脂は、臭気を発生するため、繁華街や住宅地等における施工に適さない。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、排水性舗装のさらに効果的かつ確実な低騒音化を容易に図りつつ骨材間の接合強度を高めることができると共に、湿潤した路面や温度が十分に低下していない路面に対しても施工することができ、また施工時に臭気の発生の少ない低騒音排水性舗装を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、骨材間の空隙を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした排水性舗装において、該排水性舗装の表層部分にウレタン系樹脂を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材を散布することを特徴とする低騒音排水性舗装を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記ウレタン系樹脂は、変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記ウレタン系樹脂には遮熱性材料が混入されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記ウレタン系樹脂は、前記排水性舗装の表層部分に0.1〜3.0kg/m2の塗布量で塗布されることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の低騒音排水性舗装によれば、前記すべり止め用の硬質骨材は、硅砂、エメリー、又はセラミックであり、0.1〜2.0kg/m2の散布量で散布されることが好ましい。
【0014】
ここで、本発明における排水性舗装は、当該排水性舗装に浸透した水を、基層の上面に沿って横断方向に流下させて排水するようにしたいわゆる排水性舗装の他、浸透した水を下方の基礎地盤まで流下させる透水性舗装等の、骨材間の空隙を介して水を内部に浸透させる機能を備えるその他の種々の通水性の舗装をも含むものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい一実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態の低騒音排水性舗装10は、図1に示すように、例えば高速道路や幹線道路等の車両の往来の頻繁な道路において、基層11の上面に敷設されることにより、排水性舗装面10の表面に降り注いだ雨水等の水を、当該排水性舗装10の内部に浸透させると共に、基層11の上面に沿って横断勾配により横方向に流下させつつ排水する機能を備えており、また道路を通過する車両による騒音を効果的に低減できる機能を備えている。
【0016】
そして、本実施形態の低騒音排水性舗装10は、図2に示すように、骨材12間の空隙13を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした排水性舗装であって、当該排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材16を散布することによって構成されている。
【0017】
本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10は、図1に示すように、基層11と共に道路の舗装部分17を構成するものであり、この舗装部分17は、路床18の上方に設けられた下層路盤19及び上層路盤20からなる路盤21を介して基礎地盤から支持された状態で設けられている。なお、路床18、下層路盤19、及び上層路盤20は、土、砂、砂利、砕石、セメント安定処理材、石灰安定処理材等を用いて、公知の各種の工法により、道路の設計荷重等に応じた所定の厚さで設けられることになる。また舗装部分17の基層11は、例えば骨材と、フィラーと、アスファルトと、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを混合して形成される、密粒度アスファルトコンクリート、細粒度アスファルトコンクリート、粗粒度アスファルトコンクリート等の公知の各種のアスフアルト舗装用のアスファルトコンクリートを用い、これらを道路の設計荷重等に応じた例えば20〜100mm程度の所定の厚さで敷設して、水を浸透を遮断する状態で形成されることになる。
【0018】
本実施形態の低騒音排水性舗装10の本体部分を構成する排水性舗装本体22は、骨材間隙が大きくなるようにその粒度が調整された骨材を配合した、例えば排水性アスファルトコンクリートや特殊ギャップアスファルトコンクリート等を用いて、道路の設計荷重等に応じた例えば20〜100mm程度の所定の厚さで敷設形成されることになる。これによって、低騒音排水性舗装10(排水性舗装本体22)の内部には、図2に示すように、骨材12間に空隙13が保持されることになり、これらの連接連通する空隙13を通水路として、雨水等の水を排水性舗装10の内部に浸透通過させ、基層11の上面に沿ってさらに横方向に流下させることができるようになっている。
【0019】
本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10の表層部分14に塗布されるウレタン系樹脂15として、好ましくは、例えば変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂が用いられている。ここで、変性ポリオール樹脂としては、例えばPPG(ポリプロピレングリコール)、PTMEG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)等のポリエーテルポリオール、アジペート系、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等のポリエステルポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリルポリオール、ポリマーポリオール、難燃性ポリオールなどを用いることができる。
【0020】
また、ウレタン系樹脂15には遮熱性材料を混入して用いることもできる。ここで、遮熱性材料としては、例えば粒径が0.1〜30μm程度の放熱機能を有するポリマーや、無機系或いは金属系の化合物等を用いることができる。
【0021】
さらに、本実施形態によれば、ウレタン系樹脂15は、低騒音排水性舗装10の表層部分14に、0.1〜3.0kg/m2の塗布量で塗布されることが好ましい。ウレタン系樹脂15の塗布量が0.1kg/m2よりも少ないと低騒音化機能や骨材の飛散防止機能が低下することになり、ウレタン系樹脂15の塗布量が3.0kg/m2よりも多いと雨水等を浸透させる機能が低下することになる。
【0022】
そして、本実施形態によれば、表層部分14にウレタン系樹脂15が塗布された低騒音排水性舗装10の表面(路面)には、すべり止め用の硬質骨材16が散布されて、ウレタン系樹脂15を介して路面に強固に付着固定されている。ここで、硬質骨材16としては、好ましくは粒径が75〜5000μm程度の硅砂、エメリー、セラミック等を用いることができる。また硬質骨材16の路面への散布量は、0.1〜2.0kg/m2とすることが好ましい。硬質骨材16の散布量が0.1kg/m2よりも少ないとすべり止め機能を効果的に発揮させることができなくなり、硬質骨材16の散布量が2.0kg/m2よりも多いと低騒音化機能や雨水等を浸透させる機能が低下することになる。
【0023】
本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に硬質骨材16を散布して、排水性舗装本体22をコーティングする作業は、図3に示すように、以下のようにして行われる。すなわち、敷設形成された低騒音排水性舗装10の排水性舗装本体22の表面に、二液混合樹脂散布機23を用いて、例えば0.5kg/m2の散布量でウレタン系樹脂15を散布する。散布は、散布量及び散布圧を調整した所定のガン24を使用して行うと共に、散布面積当たりの散布時間によって均一な散布量となるように管理する。排水性舗装本体22の表面へのウレタン系樹脂15の散布によって、ウレタン系樹脂15は、低騒音排水性舗装10の路面に塗布されると共に、骨材12間の空隙13を介して内部に侵入して排水性舗装本体22の表層部分14の内部の骨材12にも塗布されることになり、これによって、当該表層部分14における点接触的接合構造による骨材12間の接合を強化することになる。
【0024】
また、ウレタン系樹脂15を散布した後、直ちに、予め計量された硬質骨材16を、例えば背負式散布機25を用いて、例えば0.2kg/m2の散布量で低騒音排水性舗装10の表面に散布する。さらに、硬質骨材16の散布作業を終了した後、ウレタン系樹脂15の硬化状況を確認しながら、例えば2時間程度、自然養生を行うことにより、ウレタン系樹脂15の硬化によって、硬質骨材16が路面に強固に付着すると共に、表層部分14の骨材12間の接合強度が増した低騒音排水性舗装10が、容易かつ効率良く形成されることになる。
【0025】
なお、本実施形態によれば、低騒音排水性舗装10は、当該排水性舗装10を新設する際に、排水性舗装本体22の表層部分14にウレタン系樹脂15を硬質骨材16と共にコーティングして形成することができる他、排水性舗装の補修時や改修時に、排水性舗装本体22の表層部分14にウレタン系樹脂15を硬質骨材16と共にコーティングして、低騒音排水性舗装10とすることもできる。
【0026】
そして、本実施形態の低騒音排水性舗装10によれば、さらに効果的かつ確実な低騒音化を容易に図りつつ骨材間の接合強度を高めることができると共に、湿潤した路面や温度が十分に低下していない路面に対しても施工することができ、また施工時の臭気の発生を抑制することができる。ずなわち、本実施形態によれば、排水性舗装10の表層部分14にウレタン系樹脂15を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材16を散布することによって構成され、ウレタン系樹脂15は、例えばメタクリル樹脂等と比較して塗膜硬度の小さい柔軟な樹脂であることから、排水性舗装10を構成する材料の産地等による相違にかかわらず、車両のタイヤとの接触音を効果的に抑制することが可能になり、これによって排水性舗装10のさらなる低騒音化を容易に図ることが可能になると共に、表層部分14に塗布されたウレタン系樹脂15の硬化によって骨材12間の接合強度が増すことにより、骨材12の飛散や排水性舗装10の目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。
【0027】
また、ウレタン系樹脂15は、湿潤した塗布面や高温の塗布面に対しても塗布作業を行うことが可能な樹脂であり、また湿潤や高い温度によって硬化が阻害されることもないので、塗布される舗装面に水分が残っている場合や、排水性舗装本体22の施工後に路面温度が常温まで十分に低下していない場合でも塗布作業を行うことができ、したがって雨天の回復や新設された排水性舗装本体22の敷設転圧後の冷却を待つことなく、効率良く低騒音排水性舗装10を施工してゆくことが可能になる。さらに、ウレタン系樹脂15は、低臭気の樹脂であることから、施工時の臭気の発散を抑制することができ、繁華街や住宅地等においても、周囲の環境に影響を及ぼすことなく施工することが可能になる。
【0028】
さらにまた、本実施形態によれば、ウレタン系樹脂15に遮熱性材料を混入して低騒音排水性舗装10の表層部分14に塗布するようにすれば、入射した太陽光による太陽光エネルギーの熱エネルギーへの変換を抑制して、舗装に蓄熱され難くすることが可能になり、これによってヒートアイランド現象等の発生回避に寄与することが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、低騒音排水性舗装の表層部分に塗布されるウレタン系樹脂は、変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂である必要は必ずしもなく、またウレタン系樹脂に遮熱性材料を混入して用いる必要は必ずしもない。さらに、ウレタン系樹脂を塗布した後に、硬質骨材と共に、ゴム粒子等の他の材料を散布して本発明の低騒音排水性舗装を形成することもできる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明の低騒音排水性舗装はこれらに限定されるものではない。
【0031】
〔実施例1,2〕
骨材として13mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を、既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した排水性舗装本体の表面に、表2に示す性状のウレタン系樹脂を0.5kg/m2の散布量で散布すると共に、表3に示す性状の硬質骨材を0.2kg/m2の散布量で散布することによって、実施例1の低騒音排水性舗装を形成した。また、骨材として10mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を、既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した排水性舗装本体の表面に、表2に示す性状のウレタン系樹脂を0.5kg/m2の散布量で散布するとと共に、表3に示す性状の硬質骨材を0.2kg/m2の散布量で散布することによって実施例2の低騒音排水性舗装を形成した。実施例1,2の低騒音排水性舗装に対して、後述する方法によって、タイヤ/路面騒音とすべり抵抗を測定した。なお、表2に示す性状のウレタン系樹脂としては、商品名「タフコートD−34X」(アルバー工業(株)製)を使用した。また表3に示す性状の硬質骨材としては、商品名「PSサンド5号」(大銑産業(株)製)を使用した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
〔比較例1,2〕
骨材として13mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を、既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布しない舗装を比較例1の排水性舗装とした。また、骨材として10mmTop排水性の骨材を用いた表1に示す配合のアスファルト混合物を既設舗装の上面に4cmの厚さで敷設した、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布しない舗装を比較例2の排水性舗装とした。比較例1,2の排水性舗装に対して、後述する方法によって、タイヤ/路面騒音とすべり抵抗を測定した。
【0036】
〔タイヤ/路面騒音の測定〕
左側後輪近傍の所定の位置にマイクロホンを取り付けた騒音測定車を、実施例1,2の低騒音排水性舗装及び比較例1,2の排水性舗装に対して50km/hで走行させ、タイヤ/路面音を騒音計で計測した。測定結果を図4に示す。
【0037】
図4に示す測定結果によれば、ウレタン系樹脂をコーティングしない比較例1、比較例2の排水性舗装と比較して、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布した実施例1、実施例2の低騒音排水性舗装は、測定された騒音レベルが相当程度低下しており、したがって本発明の低騒音排水性舗装は、優れた騒音低減効果を発揮できることが判明する。また、使用した材料(骨材)が相違する実施例1、実施例2の低騒音排水性舗装について、同等の騒音レベルが測定されたことから、本発明の低騒音排水性舗装によれば、材料(特に骨材)の種類にかかわらず、略同様の騒音低減効果が得られることが判明する。
【0038】
〔すべり抵抗の測定〕
「舗装試験法便覧別冊」に従い、実施例1,2の低騒音排水性舗装及び比較例1,2の排水性舗装に対して、DFテスターによる動的摩擦係数μ(速度40km/h)の測定を行った。測定結果を図5に示す。
【0039】
図5に示す測定結果によれば、ウレタン系樹脂や硬質骨材を散布した実施例1、実施例2の低騒音排水性舗装の動的摩擦係数μは、ウレタン系樹脂をコーティンしていない比較例1、比較例2の排水性舗装と同等もしくは若干大きな値を示しており、ウレタン系樹脂のコーティングによる表面処理のすべり抵抗性への影響は認められなことが判明する。
【0040】
【発明の効果】
本発明の低騒音排水性舗装によれば、排水性舗装のさらに効果的かつ確実な低騒音化を容易に図りつつ骨材間の接合強度を高めることができると共に、湿潤した路面や温度が十分に低下していない路面に対しても施工することができ、また臭気の発生を抑制しつつ施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る低騒音排水性舗装が設けられる道路構造を説明する略示断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る低騒音排水性舗装の構成を説明する略示部分拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る低騒音排水性舗装の施工状況を説明図である。
【図4】タイヤ/路面騒音の測定結果を示すチャートである。
【図5】すべり抵抗の測定結果を示すチャートである。
【符号の説明】
10 低騒音排水性舗装
11 基層
12 骨材
13 空隙
14 表層部分
15 ウレタン系樹脂
16 硬質骨材
17 舗装部分
18 路床
19 下層路盤
20 上層路盤
21 路盤
22 排水性舗装本体
Claims (5)
- 骨材間の空隙を介して雨水等の水を内部に浸透させるようにした排水性舗装において、
該排水性舗装の表層部分にウレタン系樹脂を塗布すると共に、すべり止め用の硬質骨材を散布することを特徴とする低騒音排水性舗装。 - 前記ウレタン系樹脂は、変性ポリオール樹脂を主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤とする2液混合型の樹脂である請求項1に記載の低騒音排水性舗装。
- 前記ウレタン系樹脂には遮熱性材料が混入されている請求項1又は2に記載の低騒音排水性舗装。
- 前記ウレタン系樹脂は、前記排水性舗装の表層部分に0.1〜3.0kg/m2の塗布量で塗布される請求項1〜3のいずれかに記載の低騒音排水性舗装。
- 前記硬質骨材は、硅砂、エメリー、又はセラミックであり、0.1〜2.0kg/m2の散布量で散布される請求項1〜4のいずれかに記載の低騒音排水性舗装。
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JP2003182414A JP2005016151A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 低騒音排水性舗装 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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ES2379421A1 (es) * | 2012-03-13 | 2012-04-26 | Alejandro Irazu Barbero | Composición antideslizante para superficies |
JP2015500930A (ja) * | 2011-11-30 | 2015-01-08 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | 道路、通路及びその他交通に使用される場所を補修する補修方法及び補修キット |
-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003182414A patent/JP2005016151A/ja not_active Withdrawn
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