JP2005014664A - タイヤ空気圧検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ空気圧検出の精度向上を図る。
【解決手段】タイヤ空気圧評価値となる共振周波数を求めたときに、それを求めたときの車輪速度、外気温度および路面の種類ごとに区分けして記憶しておく。そして、以前に同じような条件下で求められた共振周波数と今回求めた共振周波数との関係、具体的には、それら各共振周波数の平均値の差に基づき、タイヤ空気圧低下を判定する。このため、タイヤ空気圧の変動要因が複雑に絡み合っていたとしても、十分な精度のタイヤ空気圧検出を行うことが可能となる。
【選択図】 図10
【解決手段】タイヤ空気圧評価値となる共振周波数を求めたときに、それを求めたときの車輪速度、外気温度および路面の種類ごとに区分けして記憶しておく。そして、以前に同じような条件下で求められた共振周波数と今回求めた共振周波数との関係、具体的には、それら各共振周波数の平均値の差に基づき、タイヤ空気圧低下を判定する。このため、タイヤ空気圧の変動要因が複雑に絡み合っていたとしても、十分な精度のタイヤ空気圧検出を行うことが可能となる。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両走行時におけるタイヤの振動成分から間接的にタイヤ空気圧を検出するタイヤ空気圧検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車輪速度センサからの車輪速度信号に車両走行時におけるタイヤの振動成分が含まれていることを利用し、車輪速度信号からタイヤの振動成分の共振周波数を抽出すると共に、その共振周波数に基づいてタイヤ空気圧の推定を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、タイヤの振動原因となる路面の凹凸、外気温度、車輪の速度、車輪の加速度、車両が旋回中であるか否か、タイヤのスリップ状態などの共振周波数変動要因となるものの情報に基づき、共振周波数を補正している。例えば、路面ゲインの影響が車輪速度の高い時と低い時とで異なるなどに基づき、車輪速度に応じた補正を行うなどの処理が成される。
【0004】
【特許文献1】
特許第3152151号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように共振周波数の補正を行うにしても、上記各共振周波数の変動要因が複雑に絡み合うため、十分な精度のタイヤ空気圧検出を行うことが困難であった。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、タイヤ空気圧検出の精度向上を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1ないし9に記載の発明では、車輪と共に回転する歯を備えたロータ(1)に基づいて車輪の回転情報の検出を行う回転情報検出手段(2)と、回転情報検出手段が検出した回転情報に基づいてタイヤの振動成分のタイヤ空気圧評価値を抽出するタイヤ空気圧評価値抽出手段(130)と、車輪におけるタイヤ空気圧評価値の変動要因の状態を検出する変動要因状態検出手段(2a、2b)と、変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態と関連付けてタイヤ空気圧評価値抽出したタイヤ空気圧評価値を記憶しておく記憶手段(3)と、タイヤ空気圧評価値抽出手段の抽出したタイヤ空気圧評価値に基づいてタイヤ空気圧の判定を行うタイヤ空気圧判定手段(140)とを有している。
【0008】
そして、タイヤ空気圧判定手段は、タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が変動要因状態検出手段にて検出された場合に、このときの変動要因の状態と関連付けたタイヤ空気圧評価値が記憶手段に先に記憶されているか否かを判定し、先に記憶されている場合には、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値と先に記憶されたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧を判定するようになっている。
【0009】
このように、変動要因の状態と関連付けてタイヤ空気圧評価値を記憶しておき、以前にタイヤ空気圧評価値を求めた際の条件と同様の条件でタイヤ空気圧評価値が求められた場合、記憶された以前のタイヤ空気圧評価値と今回求めたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧の判定を行うことができる。これにより、タイヤ空気圧検出の精度向上を図ることができる。
【0010】
例えば、請求項2に示すように、タイヤ空気圧判定手段は、抽出されたタイヤ空気圧評価値と先に記憶されたタイヤ空気圧評価値との差が所定のしきい値よりも大きい場合にタイヤ空気圧が低下していたと判定する。
【0011】
請求項3に記載の発明では、タイヤ空気圧評価値抽出手段が抽出したタイヤ空気圧評価値のうち、抽出されたときの変動要因の状態が同等なもの同士を所定個数分集めて平均化するタイヤ空気圧評価値平均化手段(200)を備え、記憶手段は、タイヤ空気圧評価値平均化手段が平均化したタイヤ空気圧評価値の平均値を対応する変動要因の状態と関連付けて記憶しておくものであることを特徴としている。
【0012】
このように、タイヤ空気圧評価値平均化手段によって所定個数分のタイヤ空気圧評価値を平均化し、その平均値を記憶させるようにすることもできる。
【0013】
この場合、請求項4に示すように、タイヤ空気圧判定手段は、平均化処理にて所定個数分のタイヤ空気圧評価値が平均化されて平均値が求められた場合に、対応する変動要因の状態と関連付けたタイヤ空気圧評価値の平均値が先に記憶されていれば、これら各平均値を比較することでタイヤ空気圧判定を行う。この場合においても、請求項5に示すように、タイヤ空気圧判定手段は、各平均値の差が所定のしきい値よりも大きかった場合にタイヤ空気圧が低下していると判定することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態に対し、記憶手段に記憶されている変動要因の状態の中でその状態が近い範囲を決定する近傍範囲決定手段(500)を有し、タイヤ空気圧判定手段は、タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が変動要因状態検出手段にて検出された場合に、近傍範囲決定手段にて決定された変動要因の状態と関連付けて記憶手段に先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧を判定するようになっていることを特徴としている。
【0015】
このように、近傍範囲決定手段によってタイヤ空気圧評価値が求められた条件が近い範囲を決定し、その範囲において先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と今回求められたタイヤ空気圧評価値とを比較することによってもタイヤ空気圧を判定することが可能である。
【0016】
請求項7に記載の発明では、変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態に対し、記憶手段に記憶されている変動要因の状態が遠い範囲を決定する遠方範囲決定手段を有し、タイヤ空気圧判定手段は、タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が変動要因状態検出手段にて検出された場合に、遠方範囲決定手段にて決定された変動要因の状態と関連付けて記憶手段に先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧を判定するようになっていることを特徴としている。
【0017】
このように、タイヤ空気圧評価値が求められた条件が近い範囲だけでなく、それよりも遠い範囲において先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と今回求められたタイヤ空気圧評価値とを比較することによってもタイヤ空気圧を判定することも可能である。このような遠方範囲のタイヤ空気圧評価値との比較は、請求項6に示される近傍範囲のタイヤ空気圧評価値との比較が不十分であった場合のみとすることも可能である。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態にかかるタイヤ空気圧検出装置の概略図を示す。以下、この図に基づいてタイヤ空気圧検出装置の構成について説明する。
【0020】
タイヤ空気圧検出装置は、車輪速度センサ2a、温度センサ2b、電子制御ユニット(以下、ECUという)3および表示部4を有して構成され、車輪速度センサ2aや温度センサ2bからの検出信号(車輪速度信号)に基づいてタイヤ空気圧を検出するものである。
【0021】
車輪速度センサ2aは、回転情報検出手段に相当するもので、例えば電磁ピックアップ式のもので構成され、ほぼ等間隔に配置された多数(例えば、48個)の歯を有する歯車状のシグナルロータ1の歯の通過に伴って車輪速度信号を出力する。すなわち、シグナルロータ1が磁性材料によって構成されることから、車輪速度センサ2aは、シグナルロータ1の歯の回転に伴う磁界の変化に基づいて、シグナルロータ1の歯の回転情報を含む信号を検出し、例えば、歯の1つ(歯の山1aおよび谷1b)が通過する毎に1つの正弦波の車輪速度信号を出力する。
【0022】
温度センサ2bは、外気温度を検出するものであり、この温度センサ2bからの検出信号に基づいてタイヤ周辺の外気温度が検出されるようになっている。
【0023】
ECU3は、予めインストールされたプログラムに基づいてタイヤ空気圧判定処理を実行するものであり、カウンタやタイマおよび記憶手段に相当するメモリ等が備えられた構成となっている。このECU3にて正弦波状の車輪速度信号を受け取り、波形整形等を行ったのち、その車輪速度信号に基づいてタイヤ空気圧検出処理を行う。具体的には、ECU3は、車輪速度センサ2aからの車輪速度信号に基づいて検出される車輪速度や路面の種類、更には温度センサ2bにて検出される外気温度をパラメータとして、タイヤ空気圧検出処理で推定されたタイヤ空気圧に関するデータをECU3内のデータベースにマップ化して記憶させ、過去のデータと比較することでタイヤ空気圧が低下しているか否かを検出するようになっている。
【0024】
表示部4は、ECU3からのタイヤ空気圧低下信号を受け取り、タイヤ空気圧が低下していることを表示することで運転者に報知する。例えば、表示部4は、インジケータなどで構成される。
【0025】
次に、上記構成のタイヤ空気圧検出装置が行うタイヤ空気圧検出処理の詳細について説明する。図2は、ECU3が実行するタイヤ空気圧検出処理のメインフローチャートである。この処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされると、所定の演算周期毎(例えば1秒毎)に実行されるものである。なお、タイヤ空気圧検出処理において、本発明の特徴部分に関する箇所以外は特許文献1等において周知となっている手法と同様であるため、それらの部分については説明を簡略化する。
【0026】
まず、ステップ110では、車輪速度演算処理が実行される。この処理は、車輪速度センサ2aからの車輪速度信号に基づいて車輪速度の演算を行うものである。例えば、車輪速度センサ2aから交流信号として送られてくる車輪速度信号を波形整形して2値のパルス信号に変換すると共に、所定のサンプリング周期毎にそのパルス間隔の平均値が算出され、算出された平均値の逆数から車輪速度が演算される。この演算結果が車輪速度に関するデータとして今後の処理に用いられる。また、このステップでは、外気温度入力処理が実行される。外気温度入力処理では、外気温度センサ2bからの検知信号に基づいて外気温度が求められる。
【0027】
ステップ120では、フィルタ処理が実行される。この処理は、車輪速度演算処理での演算結果に対してタイヤ空気圧に依存した共振周波数付近の信号成分のみを抽出するものであり、例えば30〜40Hzの周波数帯域のみが通過できるフィルタを用いて行われる。また、このフィルタ処理によって車輪速度演算結果からタイヤ振動成分のみが抽出されると、それの2乗平均から路面の種類が判定される。
【0028】
ステップ130では、ステップ120でフィルタリングされた後の車輪速度に関するデータからタイヤ空気圧評価値として、タイヤ振動に関する共振周波数が抽出される。例えば、車輪速度に関するデータから離散時間モデルのパラメータが同定され、同定したパラメータに基づいて共振周波数が算出される。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明のタイヤ空気圧評価値抽出手段に相当する。
【0029】
ステップ140では、ステップ130で求められた共振周波数に基づくタイヤ空気圧評価処理が実行される。例えば、タイヤ空気圧が高いと共振周波数が高く、タイヤ空気圧が低いと共振周波数が低くなるという相関関係より、共振周波数の高低に基づいたタイヤ空気圧推定が行われる。このタイヤ空気圧推定に基づき、タイヤ空気圧が低下したか否かが判定され、その旨の警報が必要であるか否かが判定される。このタイヤ空気圧評価処理については後で詳細に説明する。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明におけるタイヤ空気圧判定手段に相当する。
【0030】
ステップ150では、ステップ140でのタイヤ空気圧推定に基づくタイヤ空気圧表示処理が実行される。具体的には、ステップ140において警報が必要であるとの判定がなされた場合に、その旨を示すタイヤ空気圧低下信号が表示器4に向けて出力される。この処理によりタイヤ空気圧低下信号が出力されると、表示器4にてタイヤ空気圧が低下していることが表示される。これにより、運転者に対してタイヤ空気圧低下の警報が行われる。
【0031】
次に、上述したタイヤ空気圧評価処理の詳細について説明する。図3に、タイヤ空気圧評価処理のフローチャートを示す。このフローチャートは、図2に示すステップ140において実行されるもので、タイヤ空気圧検出の演算周期毎に実行される。
【0032】
まず、このタイヤ空気圧評価処理の概略について説明する。タイヤ空気圧評価処理は、図4に表したマトリクス状の3次元マップに示されるように、タイヤ空気圧評価値変動要因の一例となる車輪速度をX軸、外気温度をY軸、路面の種類をZ軸で定義した場合に、これら車輪速度、外気温度および路面の種類がどのような状態であったときに、今回の共振周波数のデータを取得したかをマップ化しておき、そのマップに基づいてタイヤ空気圧低下の評価を行うものである。
【0033】
図4に示される3次元マップは、車輪速度と外気温度との各パラメータが所定のセルに区分けした2次元マップを路面の種類別に複数段持つことで3次元化されたものであり、ECU3内のデータベース内に記憶されている。車輪速度で定義されるX軸は、例えば、40km/h以下、40〜80km/h、80〜120km/h、120〜160km/h、160km/h以上のように5段階に領域が分割されている。また、外気温度で定義されるY軸は、例えば、0度以下、0〜40度、40度以上のように3段階に領域が分割されている。そして、X軸およびY軸のそれぞれ分割された領域の各交点をセルとして、各セル毎に相応する車輪速度および外気温度が決められている。具体的には、車輪速度の各領域は線A1〜A5、外気温度の各領域は線a1〜a3で示されており、例えば、車輪速度が40〜80km/h、外気温度が17度であった場合には、これら車輪速度および外気温度に相当するセルは、線A2と線a2の交点で定義されるセルということになる。
【0034】
このように、タイヤ空気圧評価処理では、車輪速度、外気温度および路面の種類に応じたセルを定義しておき、共振周波数のデータが得られるたびに、そのデータがどのような条件下で得られたかを求める。そして、その条件に相当するセルのバッファ内に共振周波数のデータを記憶しておく。その後、新たに共振周波数のデータを得ると、そのデータを得たときの車輪速度、外気温度および路面の種類と一致するセルのバッファに先に記憶されたデータと比較され、タイヤ空気圧が低下しているか否かが判定される。
【0035】
続いて、タイヤ空気圧評価処理の詳細について図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、ステップ200では、セル平均化処理が実行される。この処理では、上述したように定義される3次元マップ中の各セルのバッファに記憶された共振周波数のデータの平均値が求められる。このセル平均化処理のフローチャートを図5に示す。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明におけるタイヤ空気圧評価値平均化手段に相当する。
【0036】
この図のステップ300に示されるように、まず、タイヤ空気圧評価値演算時のセルを決定する処理が成される。つまり、タイヤ空気圧評価値となる共振周波数がどのような条件下で演算されたか、具体的には、共振周波数演算時の車輪速度、外気温度および路面の種類がどのような状態であったかが求められる。これらの各状態は、ステップ110、120での演算および判定結果から求められる。そして、これら各状態に対応するセルを決定する。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明の変動要因状態検出手段に相当する。
【0037】
次いで、ステップ310では、セルのバッファにタイヤ空気圧評価値となる共振周波数を加算するという加算処理が成される。この処理は、ステップ300で決定されたセル(以下、該当セルという)において、以前から加算され続けている共振周波数の総和に今回取得した共振周波数を加算するものである。このように取得した共振周波数をその都度加算することで、ステップ300で該当セルのバッファ内に共振周波数のデータを記憶させることができる。また、このとき、ECU3内に備えられた図示しないカウンタのカウント値が1つインクリメントされる。これにより、共振周波数の加算回数が今回で何回目となるかというバッファ加算数を確認することができる。
【0038】
ステップ320では、今回の該当セルにおけるバッファ加算数が60回を超えているか否かが判定される。この処理は、上述したECU3内のカウンタのカウント値によって判定され、カウント値が60未満であれば、共振周波数のデータ数が不十分であるとしてタイヤ空気圧判定処理をそのまま終了する。この場合、次にまた今回共振周波数が演算された条件と類似する条件下で共振周波数が演算され、今回の該当セルが幾度も選択されるまで、そのセルでの平均化処理は成されないことになる。
【0039】
ステップ330では、今回の該当セルにおける共振周波数の平均値Dが求められる。この平均値Dは、共振周波数の加算値の総和をバッファ加算回数で割ったもの(平均値D=加算値の総和/バッファ加算回数)で求められる。本実施形態の場合、ECU3内のカウンタのカウント値が60に達すると平均値Dが求められることから、平均値Dは加算値の総和/60となる。このため、上述したようにタイヤ空気圧判定処理の演算周期が例えば1秒毎であるとすれば、1秒毎のタイヤ空気圧評価値を60個貯めた後に平均化することになる。ここでのバッファ加算回数やタイヤ空気圧判定処理の演算周期はマッチング定数であり、適宜設定変更可能である。
【0040】
また、ステップ330においてセルのバッファに記憶された共振周波数の平均値Dが求められると、これまでにそのセルのバッファ内に記憶させた共振周波数の加算値およびバッファ加算回数を示すカウンタがリセットされる。このため、そのセルのバッファ内に改めて共振周波数のデータが60個分貯められ、貯められると再度新たな平均値Dが求められる。以上のようにして、セル平均化処理が完了する。
【0041】
なお、ここでの平均化処理は、各セル毎に所定個数分の共振周波数のデータを貯め、貯められたデータを平均化し、その後に貯めたデータをリセットしている。しかしながら、貯めたデータをリセットせずに残しておき、所定個数以上のデータが集まったのであれば、その集まったデータ個数分の平均値を求めることも可能である。また、新たに共振周波数のデータが得られた場合に最も古いデータだけをリセットし、新たに得た共振周波数を含めた所定個数分のデータの平均値を求めることも可能である。
【0042】
次に、図3のステップ210では、図5のステップ300において今回の該当セルと同一セルに初期値が存在するか否かが判定される。ここでいう初期値とは、タイヤ空気圧評価値となる共振周波数の平均値Dの初期値であり、ステップ200に示したセル平均化処理で平均値Dが初めて求められたのであれば、該当セルに初期値が存在せず、初めて求められたものでなければ、該当セルに初期値が存在することになる。
【0043】
そして、このステップで否定判定されれば、ステップ220に進み、今回平均値Dが初めて求められたものとして、該当セルのバッファに今回求めた平均値Dが初期値として設定されると共に、ECU3に備えられたメモリに初期値が設定された時間を示すタイムスタンプが記される。また、このステップで肯定判定されれば、ステップ230に進む。
【0044】
ステップ230では、該当セルに存在する初期値(以下、該当セル初期値という)との比較によるタイヤ空気圧低下の判定処理が実行される。すなわち、この判定処理では、該当セルに先に設定されたタイヤ空気圧評価値との関係からタイヤ空気圧低下が判定される。この判定処理のフローチャートを図6に示す。
【0045】
この図に示されるように、まず、ステップ400では、警報判定値を決定する処理が成される。警報判定値は、各セル毎に個別に決定されているものであり、例えば、車輪速度の速度帯毎に細かく設定されている。具体的には、車輪速度が高速である場合には警報判定値が厳しく(低く)設定され、高速域において車両の安全性が高められるようになっている。
【0046】
ステップ410では、今回求めた共振周波数の平均値Dと先に設定されている該当セル初期値との差がステップ400で設定された警報判定値以上となっているか否かが判定される。そして、その差が警報判定値以上である場合には、タイヤ空気圧低下によって共振周波数が低下しているとして、警報を行うという判定が成される。この判定が成されると、タイヤ空気圧評価処理を終了し、図2のステップ150に進んで、タイヤ空気圧低下信号が出力される。これにより、表示器4にて、タイヤ空気圧が低下していることが表示されることになる。
【0047】
一方、ステップ410で否定判定されると、該当セル初期値との関係に基づいてはタイヤ空気圧が低下しているとは言えないとして、本処理を終了する。
【0048】
続いて、図3のステップ240に進み、近傍セル初期値との判定処理を実行する。ここでいう近傍セルとは、図5のステップ300で今回決定されたセルの近傍に位置するセルという意味であり、この処理では近傍セルに設定された初期値(以下、近傍セル初期値という)との関係からタイヤ空気圧低下の判定が行われる。この判定処理のフローチャートを図7に示す。
【0049】
この図に示されるように、まず、ステップ500では、判定を行う近傍セルの範囲が決定される。ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明における近傍範囲決定手段に相当する。
【0050】
具体的には、この処理では、今回の該当セルの近傍に位置するセルとしてどのセルが該当するかが決定され、該当する近傍セルのうち近傍セル初期値が設定されているものが判定を行う近傍セルの範囲とされる。また、ここでの近傍セルの範囲とは、今回の該当セルと比較的近い条件と考えられるセルの範囲ということを意味している。従って、今回の該当セルから多少遠い位置であってもタイヤ空気圧評価値の補正誤差が少ないような条件(例えば外気温度)に関しては、近傍セルの範囲が広く設定される。例えば、近傍セルの範囲として、車輪速度で定義されるX軸では1セル分、外気温度で定義されるY軸では3セル分、路面で定義されるZ軸では1セル分というように設定される。なお、この近傍セルの範囲は、後述するステップ510以降の処理で実行される補正誤差が少なくなるようマッチング設定されるため、各セル毎に異なる場合も有り得る。
【0051】
続く、ステップ510では、近傍セル初期値と今回求めた共振周波数の平均値Dのタイヤ空気圧変動要因とを比較し、これらの差分から今回求めた共振周波数の平均値Dの補正値を求める。つまり、今回求めた共振周波数の平均値Dが仮に近傍セルの条件下で求めたものであったなら、どの程度平均値Dがずれたものとなっていたかというズレ量を求める。このため、このステップで求められる補正値は、車輪速度に応じた補正値と外気温度に応じた補正値と路面の種類に応じた補正値それぞれを加味した値となる。
【0052】
ステップ520では、図6のステップ400で決定された警報判定値の補正がなされ、補正警報判定値が求められる。すなわち、ステップ400で決定された警報判定値は、今回求められた共振周波数の平均値Dを該当セル初期値と比較する場合に適用されるものであり、近傍セル初期値と比較する場合には、次のように補正する。つまり、補正警報判定値=(K×補正値)+警報判定値の式に基づいて、補正警報判定値が求められる。なお、この数式内における補正値はステップ510で求められた補正値であり、Kは感度係数である。このような補正を行った場合、補正値が大きくなるほど補正警報判定値が大きく設定されることになる。これは、補正値が大きいほど補正誤差が発生し、タイヤ空気圧評価値のデータとして信頼性に乏しいことから、警報判定値を緩めたものである。
【0053】
ステップ530では、今回求められた共振周波数の平均値Dの補正がなされ、補正平均値Dが求められる。補正平均値Dとは、今回求められた共振周波数の平均値Dが近傍セルの条件下で求められた場合に想定される値に相当するものである。具体的には、ステップ510で求められた補正値に基づき、補正平均値D=平均値D+補正値の式を利用して補正平均値Dが求められる。
【0054】
そして、ステップ540では、補正平均値Dと先に設定されている近傍セル初期値との差がステップ530で設定された補正警報判定値以上となっているか否かが判定される。そして、その差が補正警報判定値以上である場合には、タイヤ空気圧低下によって共振周波数が低下しているとして、警報を行うという判定が成される。この判定が成されると、タイヤ空気圧評価処理を終了し、図2のステップ150に進んで、タイヤ空気圧低下信号が出力される。これにより、表示器4にて、タイヤ空気圧が低下していることが表示されることになる。
【0055】
一方、ステップ540で否定判定されると、ステップ550にて、近傍セルすべてに対して上記各処理が実行されたか否かが判定される。そして、実行されていなかった場合には、再びステップ510に戻り、実行されていない他の近傍セルに対して、上記各処理が繰り返され、実行されていた場合には本処理を終了する。
【0056】
続いて、図3のステップ250に進み、遠方セルとの評価が必要であるか否かの度合いを判定する遠方セル評価必要度判定処理が成される。この評価は、ステップ240に示した近傍セル初期値との判定が十分であったか否かなどに応じて行われる。例えば、タイヤ空気圧評価に用いることが可能であった有効な近傍セルの数が不十分であった場合、近傍セルの初期値が新しいデータでタイヤ空気圧が空気の自然漏洩によるときのデータとして不十分である場合等に、遠方セルとの評価が必要であると判定される。この遠方セル評価必要度判定処理のフローチャートを図8に示す。
【0057】
この図に示されるように、まず、ステップ600では、近傍セル範囲該当数が予め決められた設定評価数以下であるか否かが判定される。近傍セル範囲該当数とは、図7のステップ500で決定された近傍セルの範囲内にどれだけの近傍セルがあったか、より具体的にはどれだけの近傍セルに近傍セル初期値が設定されていたかに基づいて判定される。そして、このステップで肯定判定されれば、遠方セルとの評価が必要であると判定され、ステップ610においてその旨を示す遠方セル評価必要フラグが立てられる。一方、このステップで否定判定されると、ステップ620に進む。
【0058】
ステップ620では、近傍セル初期値が設定された時間を示すタイムスタンプおよびECU3に備えられたタイマの計数値に基づき、近傍セル初期値が設定されてから所定の設定時間経過しているか否かが判定される。この処理により、近傍セル初期値が設定されてからある程度時間が経過しているか、すなわち新しすぎないか否かが判定される。そして、このステップで肯定判定されればステップ630に進み、近傍セル初期値がタイヤ空気圧評価に用いるデータとして有効であったものとして、ECU3内に備えられる有効近傍セルカウンタのカウント数を1つインクリメントし、有効カウントをプラス1に設定する。また、否定判定されると、近傍セル初期値がタイヤ空気圧評価に用いるデータとして不十分であったものとして、有効近傍セルカウンタのカウント数をインクリメントせずに、ステップ640に進む。
【0059】
ステップ640では、近傍セル初期値すべてに関して確認が終了したか否かが判定される。そして、終了していなかった場合には、再びステップ620に戻り、実行されていない他の近傍セルに対して上記各処理が繰り返され、終了していた場合にはステップ650に進む。
【0060】
ステップ650では、有効近傍セルカウンタのカウント数が設定カウント数以上であるか否かが判定される。そして、ここで肯定判定された場合には、近傍セルのタイヤ空気圧評価に用いることが可能であった有効な近傍セルの数が十分であるため、遠方セル評価不要であるとしてステップ660に進み、その旨を示すべく遠方セル評価必要フラグが立てられないままとされる。また、ここで否定判定された場合には、近傍セルのタイヤ空気圧評価に用いることが可能であった有効な近傍セルの数が不十分であったとして、ステップ610に進み、その旨を示すべく遠方セル評価必要フラグが立てられる。
【0061】
そして、図3のステップ260に進み、遠方セル評価が必要であるか否かが判定される。この判定は、図8のステップ610、660で設定される遠方セル評価必要フラグの状態に基づいて行われる。そして、遠方セル評価必要フラグが立っていない場合には遠方セル評価が必要でないため、そのままタイヤ空気圧判定処理を終了する。また、遠方セル評価必要フラグが立っていた場合には遠方セル評価が必要であるとして、ステップ270に進む。
【0062】
ステップ270では、遠方セル初期値との判定処理を実行する。ここでいう遠方セルとは、図5のステップ300で決定された該当セルおよび図7のステップ500で決定された近傍セルを除いた他のセルすべてを意味する。この処理では、遠方セルに設定された初期値(以下、遠方セル初期値という)との関係からタイヤ空気圧低下の判定が行われる。この判定処理のフローチャートを図9に示す。なお、遠方セルは、ECU3にて全セルから該当セルおよび近傍セルを除くことによって自動的に決定される。ECU3のうち、この遠方セルを決定する部分が本発明における遠方範囲決定手段に相当する。
【0063】
まず、ステップ700では、遠方セル初期値と該当セル初期値とを比較し、これらの差分から今回求めた共振周波数の平均値Dの補正値を求める。つまり、今回求めた共振周波数の平均値Dが仮に遠方セルの条件下で求めたものであったなら、どの程度平均値Dがずれたものとなっていたかというズレ量を求める。このため、このステップで求められる補正値は、車輪速度に応じた補正値と外気温度に応じた補正値と路面の種類に応じた補正値それぞれを加味した値となる。
【0064】
ステップ710では、図6のステップ400で決定された警報判定値の補正がなされ、補正警報判定値が求められる。ステップ400で決定された警報判定値は、今回求められた共振周波数の平均値Dを該当セル初期値と比較する場合に適用されるものであり、遠方セル初期値と比較する場合には次のように補正する。つまり、補正警報判定値=(K′×補正値)+警報判定値の式に基づいて、補正警報判定値が求められる。なお、この数式内における補正値はステップ510で求められた補正値であり、K′は感度係数である。このような補正を行った場合、補正値が大きくなるほど補正警報判定値が大きく設定されることになる。これは、補正値が大きいほど補正誤差が発生し、タイヤ空気圧評価値のデータとして信頼性に乏しいことから、警報判定値を緩めたものである。
【0065】
ステップ720では、今回求められた共振周波数の平均値Dの補正がなされ、補正平均値Dが求められる。補正平均値Dとは、今回求められた共振周波数の平均値Dが遠方セルの条件下で求められた場合に想定される値に相当するものである。具体的には、ステップ700で求められた補正値に基づき、補正平均値D=平均値D+補正値の式を利用して補正平均値Dが求められる。
【0066】
そして、ステップ730では、補正平均値Dと先に設定されている遠方セル初期値との差がステップ720で設定された補正警報判定値以上となっているか否かが判定される。そして、その差が補正警報判定値以上である場合には、タイヤ空気圧低下によって共振周波数が低下しているとして、警報を行うという判定が成される。この判定が成されると、タイヤ空気圧評価処理を終了し、図2のステップ150に進んで、タイヤ空気圧低下信号が出力される。これにより、表示器4にて、タイヤ空気圧が低下していることが表示されることになる。
【0067】
一方、ステップ730で否定判定されると、遠方セルすべてに対して上記各処理が実行されたか否かが判定される。そして、実行されていなかった場合には、再びステップ700に戻り、実行されていない他の遠方セルに対して、上記各処理が繰り返され、実行されていた場合には本処理を終了する。
【0068】
以上のような処理によれば、以下のようにタイヤ空気圧判定が実行される。図10にタイヤ空気圧判定により作成されるマップの概念図を示し、この図に基づいて説明する。
【0069】
まず、車輪速度が160km/h以上、外気温度が0度以下の状態が続き、共振周波数の演算回数が60回に至ると、線A5と線a1との交点で定義されるセルのバッファに共振周波数の平均値Dが記憶される。続いて、車輪速度が40km/h以下、外気温度が20度以上の状態が続く、共振周波数の演算回数が60回に至ると、線A1と線a2との交点Bで定義されるセルのバッファにそのときの共振周波数の平均値Dが記憶される。このようにして、色々な条件下での共振周波数の平均値Dが記憶されていき、A番目、B番目、C番目・・・と共振周波数の演算回数が60回に至った順番に共振周波数の平均値Dの初期値が設定されていく。
【0070】
そして、図10(b)に示されるように、P番目に共振周波数の演算回数が60回に至ったときの条件がA番目の条件と同じものであった場合には、今回求められた共振周波数の平均値DがA番目に相当するセルのバッファに記憶された初期値と比較される。そして、B番目やC番目等、P番目以前に初期値が記憶されたセルが近傍セルであれば、今回求められた共振周波数の平均値Dが補正されて近傍セル初期値と比較され、遠方セルであれば、今回求められた共振周波数の平均値Dが補正されて遠方セル初期値と比較される。
【0071】
以上説明したように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、以前に同じような条件下で求められた共振周波数と今回求めた共振周波数との関係、具体的には、それら各共振周波数の平均値からタイヤ空気圧低下を判定している。このため、タイヤ空気圧評価値の変動要因が複雑に絡み合っていたとしても、十分な精度のタイヤ空気圧検出を行うことが可能となる。
【0072】
また、以前に同じような条件下で求められた共振周波数が存在しない場合には、多少条件が異なっていたとしても、近い条件下で求められた共振周波数に基づいてタイヤ空気圧低下を判定するようにしている。このため、判定誤差を保ち、システムの応答性を落とすこと無く、より高い精度のタイヤ空気圧検出が行える。
【0073】
(他の実施形態)
上記実施形態では、タイヤ空気圧評価値の変動要因として、車輪速度、外気温度および路面の種類を例に挙げて説明したが、他の要因、車輪の加速度、車両が旋回中であるか否か、タイヤのスリップ状態、エンジン出力、荷重などのパラメータについても本発明を適用することが可能である。また、変動要因は3つ以上であってもそれ以下であっても関係なく本発明を適用することが可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、タイヤ空気圧評価値としてタイヤの共振周波数を例に挙げて説明したが、タイヤの動荷重半径を適用してタイヤ空気圧判定を行う場合についても本発明を適用することが可能である。
【0075】
さらに、上記実施形態では、該当セルのバッファに共振周波数を記憶していくようにしているが、該当セルと関連付けられる形で共振周波数を記憶させられれば良い。例えば、各セルにIDアドレスを付しておき、該当セルのIDアドレスと共に共振周波数を記憶しておくなどが考えられる。
【0076】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置におけるECU3が実行するタイヤ空気圧検出処理のメインフローチャートである。
【図3】図2に示すタイヤ空気圧検出処理中におけるタイヤ空気圧評価処理のフローチャートである。
【図4】車輪速度、外気温度および路面の種類の関係を3次元マップ化した図である。
【図5】図3に示すタイヤ空気圧評価処理におけるセル平均化処理のフローチャートである。
【図6】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における該当セル初期値との判定処理のフローチャートである。
【図7】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における近傍セル初期値との判定処理のフローチャートである。
【図8】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における遠方セル評価必要度判定処理のフローチャートである。
【図9】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における遠方セル初期値との判定処理のフローチャートである。
【図10】図3に示すタイヤ空気圧評価処理を実行した場合の様子を3次元マップ上に示した説明図である。
【符号の説明】
1…シグナルロータ、2a…車輪速度センサ、2b…温度センサ、3…ECU、4…表示部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両走行時におけるタイヤの振動成分から間接的にタイヤ空気圧を検出するタイヤ空気圧検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車輪速度センサからの車輪速度信号に車両走行時におけるタイヤの振動成分が含まれていることを利用し、車輪速度信号からタイヤの振動成分の共振周波数を抽出すると共に、その共振周波数に基づいてタイヤ空気圧の推定を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、タイヤの振動原因となる路面の凹凸、外気温度、車輪の速度、車輪の加速度、車両が旋回中であるか否か、タイヤのスリップ状態などの共振周波数変動要因となるものの情報に基づき、共振周波数を補正している。例えば、路面ゲインの影響が車輪速度の高い時と低い時とで異なるなどに基づき、車輪速度に応じた補正を行うなどの処理が成される。
【0004】
【特許文献1】
特許第3152151号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように共振周波数の補正を行うにしても、上記各共振周波数の変動要因が複雑に絡み合うため、十分な精度のタイヤ空気圧検出を行うことが困難であった。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、タイヤ空気圧検出の精度向上を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1ないし9に記載の発明では、車輪と共に回転する歯を備えたロータ(1)に基づいて車輪の回転情報の検出を行う回転情報検出手段(2)と、回転情報検出手段が検出した回転情報に基づいてタイヤの振動成分のタイヤ空気圧評価値を抽出するタイヤ空気圧評価値抽出手段(130)と、車輪におけるタイヤ空気圧評価値の変動要因の状態を検出する変動要因状態検出手段(2a、2b)と、変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態と関連付けてタイヤ空気圧評価値抽出したタイヤ空気圧評価値を記憶しておく記憶手段(3)と、タイヤ空気圧評価値抽出手段の抽出したタイヤ空気圧評価値に基づいてタイヤ空気圧の判定を行うタイヤ空気圧判定手段(140)とを有している。
【0008】
そして、タイヤ空気圧判定手段は、タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が変動要因状態検出手段にて検出された場合に、このときの変動要因の状態と関連付けたタイヤ空気圧評価値が記憶手段に先に記憶されているか否かを判定し、先に記憶されている場合には、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値と先に記憶されたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧を判定するようになっている。
【0009】
このように、変動要因の状態と関連付けてタイヤ空気圧評価値を記憶しておき、以前にタイヤ空気圧評価値を求めた際の条件と同様の条件でタイヤ空気圧評価値が求められた場合、記憶された以前のタイヤ空気圧評価値と今回求めたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧の判定を行うことができる。これにより、タイヤ空気圧検出の精度向上を図ることができる。
【0010】
例えば、請求項2に示すように、タイヤ空気圧判定手段は、抽出されたタイヤ空気圧評価値と先に記憶されたタイヤ空気圧評価値との差が所定のしきい値よりも大きい場合にタイヤ空気圧が低下していたと判定する。
【0011】
請求項3に記載の発明では、タイヤ空気圧評価値抽出手段が抽出したタイヤ空気圧評価値のうち、抽出されたときの変動要因の状態が同等なもの同士を所定個数分集めて平均化するタイヤ空気圧評価値平均化手段(200)を備え、記憶手段は、タイヤ空気圧評価値平均化手段が平均化したタイヤ空気圧評価値の平均値を対応する変動要因の状態と関連付けて記憶しておくものであることを特徴としている。
【0012】
このように、タイヤ空気圧評価値平均化手段によって所定個数分のタイヤ空気圧評価値を平均化し、その平均値を記憶させるようにすることもできる。
【0013】
この場合、請求項4に示すように、タイヤ空気圧判定手段は、平均化処理にて所定個数分のタイヤ空気圧評価値が平均化されて平均値が求められた場合に、対応する変動要因の状態と関連付けたタイヤ空気圧評価値の平均値が先に記憶されていれば、これら各平均値を比較することでタイヤ空気圧判定を行う。この場合においても、請求項5に示すように、タイヤ空気圧判定手段は、各平均値の差が所定のしきい値よりも大きかった場合にタイヤ空気圧が低下していると判定することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態に対し、記憶手段に記憶されている変動要因の状態の中でその状態が近い範囲を決定する近傍範囲決定手段(500)を有し、タイヤ空気圧判定手段は、タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が変動要因状態検出手段にて検出された場合に、近傍範囲決定手段にて決定された変動要因の状態と関連付けて記憶手段に先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧を判定するようになっていることを特徴としている。
【0015】
このように、近傍範囲決定手段によってタイヤ空気圧評価値が求められた条件が近い範囲を決定し、その範囲において先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と今回求められたタイヤ空気圧評価値とを比較することによってもタイヤ空気圧を判定することが可能である。
【0016】
請求項7に記載の発明では、変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態に対し、記憶手段に記憶されている変動要因の状態が遠い範囲を決定する遠方範囲決定手段を有し、タイヤ空気圧判定手段は、タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が変動要因状態検出手段にて検出された場合に、遠方範囲決定手段にて決定された変動要因の状態と関連付けて記憶手段に先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値とを比較することでタイヤ空気圧を判定するようになっていることを特徴としている。
【0017】
このように、タイヤ空気圧評価値が求められた条件が近い範囲だけでなく、それよりも遠い範囲において先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と今回求められたタイヤ空気圧評価値とを比較することによってもタイヤ空気圧を判定することも可能である。このような遠方範囲のタイヤ空気圧評価値との比較は、請求項6に示される近傍範囲のタイヤ空気圧評価値との比較が不十分であった場合のみとすることも可能である。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態にかかるタイヤ空気圧検出装置の概略図を示す。以下、この図に基づいてタイヤ空気圧検出装置の構成について説明する。
【0020】
タイヤ空気圧検出装置は、車輪速度センサ2a、温度センサ2b、電子制御ユニット(以下、ECUという)3および表示部4を有して構成され、車輪速度センサ2aや温度センサ2bからの検出信号(車輪速度信号)に基づいてタイヤ空気圧を検出するものである。
【0021】
車輪速度センサ2aは、回転情報検出手段に相当するもので、例えば電磁ピックアップ式のもので構成され、ほぼ等間隔に配置された多数(例えば、48個)の歯を有する歯車状のシグナルロータ1の歯の通過に伴って車輪速度信号を出力する。すなわち、シグナルロータ1が磁性材料によって構成されることから、車輪速度センサ2aは、シグナルロータ1の歯の回転に伴う磁界の変化に基づいて、シグナルロータ1の歯の回転情報を含む信号を検出し、例えば、歯の1つ(歯の山1aおよび谷1b)が通過する毎に1つの正弦波の車輪速度信号を出力する。
【0022】
温度センサ2bは、外気温度を検出するものであり、この温度センサ2bからの検出信号に基づいてタイヤ周辺の外気温度が検出されるようになっている。
【0023】
ECU3は、予めインストールされたプログラムに基づいてタイヤ空気圧判定処理を実行するものであり、カウンタやタイマおよび記憶手段に相当するメモリ等が備えられた構成となっている。このECU3にて正弦波状の車輪速度信号を受け取り、波形整形等を行ったのち、その車輪速度信号に基づいてタイヤ空気圧検出処理を行う。具体的には、ECU3は、車輪速度センサ2aからの車輪速度信号に基づいて検出される車輪速度や路面の種類、更には温度センサ2bにて検出される外気温度をパラメータとして、タイヤ空気圧検出処理で推定されたタイヤ空気圧に関するデータをECU3内のデータベースにマップ化して記憶させ、過去のデータと比較することでタイヤ空気圧が低下しているか否かを検出するようになっている。
【0024】
表示部4は、ECU3からのタイヤ空気圧低下信号を受け取り、タイヤ空気圧が低下していることを表示することで運転者に報知する。例えば、表示部4は、インジケータなどで構成される。
【0025】
次に、上記構成のタイヤ空気圧検出装置が行うタイヤ空気圧検出処理の詳細について説明する。図2は、ECU3が実行するタイヤ空気圧検出処理のメインフローチャートである。この処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされると、所定の演算周期毎(例えば1秒毎)に実行されるものである。なお、タイヤ空気圧検出処理において、本発明の特徴部分に関する箇所以外は特許文献1等において周知となっている手法と同様であるため、それらの部分については説明を簡略化する。
【0026】
まず、ステップ110では、車輪速度演算処理が実行される。この処理は、車輪速度センサ2aからの車輪速度信号に基づいて車輪速度の演算を行うものである。例えば、車輪速度センサ2aから交流信号として送られてくる車輪速度信号を波形整形して2値のパルス信号に変換すると共に、所定のサンプリング周期毎にそのパルス間隔の平均値が算出され、算出された平均値の逆数から車輪速度が演算される。この演算結果が車輪速度に関するデータとして今後の処理に用いられる。また、このステップでは、外気温度入力処理が実行される。外気温度入力処理では、外気温度センサ2bからの検知信号に基づいて外気温度が求められる。
【0027】
ステップ120では、フィルタ処理が実行される。この処理は、車輪速度演算処理での演算結果に対してタイヤ空気圧に依存した共振周波数付近の信号成分のみを抽出するものであり、例えば30〜40Hzの周波数帯域のみが通過できるフィルタを用いて行われる。また、このフィルタ処理によって車輪速度演算結果からタイヤ振動成分のみが抽出されると、それの2乗平均から路面の種類が判定される。
【0028】
ステップ130では、ステップ120でフィルタリングされた後の車輪速度に関するデータからタイヤ空気圧評価値として、タイヤ振動に関する共振周波数が抽出される。例えば、車輪速度に関するデータから離散時間モデルのパラメータが同定され、同定したパラメータに基づいて共振周波数が算出される。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明のタイヤ空気圧評価値抽出手段に相当する。
【0029】
ステップ140では、ステップ130で求められた共振周波数に基づくタイヤ空気圧評価処理が実行される。例えば、タイヤ空気圧が高いと共振周波数が高く、タイヤ空気圧が低いと共振周波数が低くなるという相関関係より、共振周波数の高低に基づいたタイヤ空気圧推定が行われる。このタイヤ空気圧推定に基づき、タイヤ空気圧が低下したか否かが判定され、その旨の警報が必要であるか否かが判定される。このタイヤ空気圧評価処理については後で詳細に説明する。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明におけるタイヤ空気圧判定手段に相当する。
【0030】
ステップ150では、ステップ140でのタイヤ空気圧推定に基づくタイヤ空気圧表示処理が実行される。具体的には、ステップ140において警報が必要であるとの判定がなされた場合に、その旨を示すタイヤ空気圧低下信号が表示器4に向けて出力される。この処理によりタイヤ空気圧低下信号が出力されると、表示器4にてタイヤ空気圧が低下していることが表示される。これにより、運転者に対してタイヤ空気圧低下の警報が行われる。
【0031】
次に、上述したタイヤ空気圧評価処理の詳細について説明する。図3に、タイヤ空気圧評価処理のフローチャートを示す。このフローチャートは、図2に示すステップ140において実行されるもので、タイヤ空気圧検出の演算周期毎に実行される。
【0032】
まず、このタイヤ空気圧評価処理の概略について説明する。タイヤ空気圧評価処理は、図4に表したマトリクス状の3次元マップに示されるように、タイヤ空気圧評価値変動要因の一例となる車輪速度をX軸、外気温度をY軸、路面の種類をZ軸で定義した場合に、これら車輪速度、外気温度および路面の種類がどのような状態であったときに、今回の共振周波数のデータを取得したかをマップ化しておき、そのマップに基づいてタイヤ空気圧低下の評価を行うものである。
【0033】
図4に示される3次元マップは、車輪速度と外気温度との各パラメータが所定のセルに区分けした2次元マップを路面の種類別に複数段持つことで3次元化されたものであり、ECU3内のデータベース内に記憶されている。車輪速度で定義されるX軸は、例えば、40km/h以下、40〜80km/h、80〜120km/h、120〜160km/h、160km/h以上のように5段階に領域が分割されている。また、外気温度で定義されるY軸は、例えば、0度以下、0〜40度、40度以上のように3段階に領域が分割されている。そして、X軸およびY軸のそれぞれ分割された領域の各交点をセルとして、各セル毎に相応する車輪速度および外気温度が決められている。具体的には、車輪速度の各領域は線A1〜A5、外気温度の各領域は線a1〜a3で示されており、例えば、車輪速度が40〜80km/h、外気温度が17度であった場合には、これら車輪速度および外気温度に相当するセルは、線A2と線a2の交点で定義されるセルということになる。
【0034】
このように、タイヤ空気圧評価処理では、車輪速度、外気温度および路面の種類に応じたセルを定義しておき、共振周波数のデータが得られるたびに、そのデータがどのような条件下で得られたかを求める。そして、その条件に相当するセルのバッファ内に共振周波数のデータを記憶しておく。その後、新たに共振周波数のデータを得ると、そのデータを得たときの車輪速度、外気温度および路面の種類と一致するセルのバッファに先に記憶されたデータと比較され、タイヤ空気圧が低下しているか否かが判定される。
【0035】
続いて、タイヤ空気圧評価処理の詳細について図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、ステップ200では、セル平均化処理が実行される。この処理では、上述したように定義される3次元マップ中の各セルのバッファに記憶された共振周波数のデータの平均値が求められる。このセル平均化処理のフローチャートを図5に示す。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明におけるタイヤ空気圧評価値平均化手段に相当する。
【0036】
この図のステップ300に示されるように、まず、タイヤ空気圧評価値演算時のセルを決定する処理が成される。つまり、タイヤ空気圧評価値となる共振周波数がどのような条件下で演算されたか、具体的には、共振周波数演算時の車輪速度、外気温度および路面の種類がどのような状態であったかが求められる。これらの各状態は、ステップ110、120での演算および判定結果から求められる。そして、これら各状態に対応するセルを決定する。なお、ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明の変動要因状態検出手段に相当する。
【0037】
次いで、ステップ310では、セルのバッファにタイヤ空気圧評価値となる共振周波数を加算するという加算処理が成される。この処理は、ステップ300で決定されたセル(以下、該当セルという)において、以前から加算され続けている共振周波数の総和に今回取得した共振周波数を加算するものである。このように取得した共振周波数をその都度加算することで、ステップ300で該当セルのバッファ内に共振周波数のデータを記憶させることができる。また、このとき、ECU3内に備えられた図示しないカウンタのカウント値が1つインクリメントされる。これにより、共振周波数の加算回数が今回で何回目となるかというバッファ加算数を確認することができる。
【0038】
ステップ320では、今回の該当セルにおけるバッファ加算数が60回を超えているか否かが判定される。この処理は、上述したECU3内のカウンタのカウント値によって判定され、カウント値が60未満であれば、共振周波数のデータ数が不十分であるとしてタイヤ空気圧判定処理をそのまま終了する。この場合、次にまた今回共振周波数が演算された条件と類似する条件下で共振周波数が演算され、今回の該当セルが幾度も選択されるまで、そのセルでの平均化処理は成されないことになる。
【0039】
ステップ330では、今回の該当セルにおける共振周波数の平均値Dが求められる。この平均値Dは、共振周波数の加算値の総和をバッファ加算回数で割ったもの(平均値D=加算値の総和/バッファ加算回数)で求められる。本実施形態の場合、ECU3内のカウンタのカウント値が60に達すると平均値Dが求められることから、平均値Dは加算値の総和/60となる。このため、上述したようにタイヤ空気圧判定処理の演算周期が例えば1秒毎であるとすれば、1秒毎のタイヤ空気圧評価値を60個貯めた後に平均化することになる。ここでのバッファ加算回数やタイヤ空気圧判定処理の演算周期はマッチング定数であり、適宜設定変更可能である。
【0040】
また、ステップ330においてセルのバッファに記憶された共振周波数の平均値Dが求められると、これまでにそのセルのバッファ内に記憶させた共振周波数の加算値およびバッファ加算回数を示すカウンタがリセットされる。このため、そのセルのバッファ内に改めて共振周波数のデータが60個分貯められ、貯められると再度新たな平均値Dが求められる。以上のようにして、セル平均化処理が完了する。
【0041】
なお、ここでの平均化処理は、各セル毎に所定個数分の共振周波数のデータを貯め、貯められたデータを平均化し、その後に貯めたデータをリセットしている。しかしながら、貯めたデータをリセットせずに残しておき、所定個数以上のデータが集まったのであれば、その集まったデータ個数分の平均値を求めることも可能である。また、新たに共振周波数のデータが得られた場合に最も古いデータだけをリセットし、新たに得た共振周波数を含めた所定個数分のデータの平均値を求めることも可能である。
【0042】
次に、図3のステップ210では、図5のステップ300において今回の該当セルと同一セルに初期値が存在するか否かが判定される。ここでいう初期値とは、タイヤ空気圧評価値となる共振周波数の平均値Dの初期値であり、ステップ200に示したセル平均化処理で平均値Dが初めて求められたのであれば、該当セルに初期値が存在せず、初めて求められたものでなければ、該当セルに初期値が存在することになる。
【0043】
そして、このステップで否定判定されれば、ステップ220に進み、今回平均値Dが初めて求められたものとして、該当セルのバッファに今回求めた平均値Dが初期値として設定されると共に、ECU3に備えられたメモリに初期値が設定された時間を示すタイムスタンプが記される。また、このステップで肯定判定されれば、ステップ230に進む。
【0044】
ステップ230では、該当セルに存在する初期値(以下、該当セル初期値という)との比較によるタイヤ空気圧低下の判定処理が実行される。すなわち、この判定処理では、該当セルに先に設定されたタイヤ空気圧評価値との関係からタイヤ空気圧低下が判定される。この判定処理のフローチャートを図6に示す。
【0045】
この図に示されるように、まず、ステップ400では、警報判定値を決定する処理が成される。警報判定値は、各セル毎に個別に決定されているものであり、例えば、車輪速度の速度帯毎に細かく設定されている。具体的には、車輪速度が高速である場合には警報判定値が厳しく(低く)設定され、高速域において車両の安全性が高められるようになっている。
【0046】
ステップ410では、今回求めた共振周波数の平均値Dと先に設定されている該当セル初期値との差がステップ400で設定された警報判定値以上となっているか否かが判定される。そして、その差が警報判定値以上である場合には、タイヤ空気圧低下によって共振周波数が低下しているとして、警報を行うという判定が成される。この判定が成されると、タイヤ空気圧評価処理を終了し、図2のステップ150に進んで、タイヤ空気圧低下信号が出力される。これにより、表示器4にて、タイヤ空気圧が低下していることが表示されることになる。
【0047】
一方、ステップ410で否定判定されると、該当セル初期値との関係に基づいてはタイヤ空気圧が低下しているとは言えないとして、本処理を終了する。
【0048】
続いて、図3のステップ240に進み、近傍セル初期値との判定処理を実行する。ここでいう近傍セルとは、図5のステップ300で今回決定されたセルの近傍に位置するセルという意味であり、この処理では近傍セルに設定された初期値(以下、近傍セル初期値という)との関係からタイヤ空気圧低下の判定が行われる。この判定処理のフローチャートを図7に示す。
【0049】
この図に示されるように、まず、ステップ500では、判定を行う近傍セルの範囲が決定される。ECU3のうち、この処理を実行する部分が本発明における近傍範囲決定手段に相当する。
【0050】
具体的には、この処理では、今回の該当セルの近傍に位置するセルとしてどのセルが該当するかが決定され、該当する近傍セルのうち近傍セル初期値が設定されているものが判定を行う近傍セルの範囲とされる。また、ここでの近傍セルの範囲とは、今回の該当セルと比較的近い条件と考えられるセルの範囲ということを意味している。従って、今回の該当セルから多少遠い位置であってもタイヤ空気圧評価値の補正誤差が少ないような条件(例えば外気温度)に関しては、近傍セルの範囲が広く設定される。例えば、近傍セルの範囲として、車輪速度で定義されるX軸では1セル分、外気温度で定義されるY軸では3セル分、路面で定義されるZ軸では1セル分というように設定される。なお、この近傍セルの範囲は、後述するステップ510以降の処理で実行される補正誤差が少なくなるようマッチング設定されるため、各セル毎に異なる場合も有り得る。
【0051】
続く、ステップ510では、近傍セル初期値と今回求めた共振周波数の平均値Dのタイヤ空気圧変動要因とを比較し、これらの差分から今回求めた共振周波数の平均値Dの補正値を求める。つまり、今回求めた共振周波数の平均値Dが仮に近傍セルの条件下で求めたものであったなら、どの程度平均値Dがずれたものとなっていたかというズレ量を求める。このため、このステップで求められる補正値は、車輪速度に応じた補正値と外気温度に応じた補正値と路面の種類に応じた補正値それぞれを加味した値となる。
【0052】
ステップ520では、図6のステップ400で決定された警報判定値の補正がなされ、補正警報判定値が求められる。すなわち、ステップ400で決定された警報判定値は、今回求められた共振周波数の平均値Dを該当セル初期値と比較する場合に適用されるものであり、近傍セル初期値と比較する場合には、次のように補正する。つまり、補正警報判定値=(K×補正値)+警報判定値の式に基づいて、補正警報判定値が求められる。なお、この数式内における補正値はステップ510で求められた補正値であり、Kは感度係数である。このような補正を行った場合、補正値が大きくなるほど補正警報判定値が大きく設定されることになる。これは、補正値が大きいほど補正誤差が発生し、タイヤ空気圧評価値のデータとして信頼性に乏しいことから、警報判定値を緩めたものである。
【0053】
ステップ530では、今回求められた共振周波数の平均値Dの補正がなされ、補正平均値Dが求められる。補正平均値Dとは、今回求められた共振周波数の平均値Dが近傍セルの条件下で求められた場合に想定される値に相当するものである。具体的には、ステップ510で求められた補正値に基づき、補正平均値D=平均値D+補正値の式を利用して補正平均値Dが求められる。
【0054】
そして、ステップ540では、補正平均値Dと先に設定されている近傍セル初期値との差がステップ530で設定された補正警報判定値以上となっているか否かが判定される。そして、その差が補正警報判定値以上である場合には、タイヤ空気圧低下によって共振周波数が低下しているとして、警報を行うという判定が成される。この判定が成されると、タイヤ空気圧評価処理を終了し、図2のステップ150に進んで、タイヤ空気圧低下信号が出力される。これにより、表示器4にて、タイヤ空気圧が低下していることが表示されることになる。
【0055】
一方、ステップ540で否定判定されると、ステップ550にて、近傍セルすべてに対して上記各処理が実行されたか否かが判定される。そして、実行されていなかった場合には、再びステップ510に戻り、実行されていない他の近傍セルに対して、上記各処理が繰り返され、実行されていた場合には本処理を終了する。
【0056】
続いて、図3のステップ250に進み、遠方セルとの評価が必要であるか否かの度合いを判定する遠方セル評価必要度判定処理が成される。この評価は、ステップ240に示した近傍セル初期値との判定が十分であったか否かなどに応じて行われる。例えば、タイヤ空気圧評価に用いることが可能であった有効な近傍セルの数が不十分であった場合、近傍セルの初期値が新しいデータでタイヤ空気圧が空気の自然漏洩によるときのデータとして不十分である場合等に、遠方セルとの評価が必要であると判定される。この遠方セル評価必要度判定処理のフローチャートを図8に示す。
【0057】
この図に示されるように、まず、ステップ600では、近傍セル範囲該当数が予め決められた設定評価数以下であるか否かが判定される。近傍セル範囲該当数とは、図7のステップ500で決定された近傍セルの範囲内にどれだけの近傍セルがあったか、より具体的にはどれだけの近傍セルに近傍セル初期値が設定されていたかに基づいて判定される。そして、このステップで肯定判定されれば、遠方セルとの評価が必要であると判定され、ステップ610においてその旨を示す遠方セル評価必要フラグが立てられる。一方、このステップで否定判定されると、ステップ620に進む。
【0058】
ステップ620では、近傍セル初期値が設定された時間を示すタイムスタンプおよびECU3に備えられたタイマの計数値に基づき、近傍セル初期値が設定されてから所定の設定時間経過しているか否かが判定される。この処理により、近傍セル初期値が設定されてからある程度時間が経過しているか、すなわち新しすぎないか否かが判定される。そして、このステップで肯定判定されればステップ630に進み、近傍セル初期値がタイヤ空気圧評価に用いるデータとして有効であったものとして、ECU3内に備えられる有効近傍セルカウンタのカウント数を1つインクリメントし、有効カウントをプラス1に設定する。また、否定判定されると、近傍セル初期値がタイヤ空気圧評価に用いるデータとして不十分であったものとして、有効近傍セルカウンタのカウント数をインクリメントせずに、ステップ640に進む。
【0059】
ステップ640では、近傍セル初期値すべてに関して確認が終了したか否かが判定される。そして、終了していなかった場合には、再びステップ620に戻り、実行されていない他の近傍セルに対して上記各処理が繰り返され、終了していた場合にはステップ650に進む。
【0060】
ステップ650では、有効近傍セルカウンタのカウント数が設定カウント数以上であるか否かが判定される。そして、ここで肯定判定された場合には、近傍セルのタイヤ空気圧評価に用いることが可能であった有効な近傍セルの数が十分であるため、遠方セル評価不要であるとしてステップ660に進み、その旨を示すべく遠方セル評価必要フラグが立てられないままとされる。また、ここで否定判定された場合には、近傍セルのタイヤ空気圧評価に用いることが可能であった有効な近傍セルの数が不十分であったとして、ステップ610に進み、その旨を示すべく遠方セル評価必要フラグが立てられる。
【0061】
そして、図3のステップ260に進み、遠方セル評価が必要であるか否かが判定される。この判定は、図8のステップ610、660で設定される遠方セル評価必要フラグの状態に基づいて行われる。そして、遠方セル評価必要フラグが立っていない場合には遠方セル評価が必要でないため、そのままタイヤ空気圧判定処理を終了する。また、遠方セル評価必要フラグが立っていた場合には遠方セル評価が必要であるとして、ステップ270に進む。
【0062】
ステップ270では、遠方セル初期値との判定処理を実行する。ここでいう遠方セルとは、図5のステップ300で決定された該当セルおよび図7のステップ500で決定された近傍セルを除いた他のセルすべてを意味する。この処理では、遠方セルに設定された初期値(以下、遠方セル初期値という)との関係からタイヤ空気圧低下の判定が行われる。この判定処理のフローチャートを図9に示す。なお、遠方セルは、ECU3にて全セルから該当セルおよび近傍セルを除くことによって自動的に決定される。ECU3のうち、この遠方セルを決定する部分が本発明における遠方範囲決定手段に相当する。
【0063】
まず、ステップ700では、遠方セル初期値と該当セル初期値とを比較し、これらの差分から今回求めた共振周波数の平均値Dの補正値を求める。つまり、今回求めた共振周波数の平均値Dが仮に遠方セルの条件下で求めたものであったなら、どの程度平均値Dがずれたものとなっていたかというズレ量を求める。このため、このステップで求められる補正値は、車輪速度に応じた補正値と外気温度に応じた補正値と路面の種類に応じた補正値それぞれを加味した値となる。
【0064】
ステップ710では、図6のステップ400で決定された警報判定値の補正がなされ、補正警報判定値が求められる。ステップ400で決定された警報判定値は、今回求められた共振周波数の平均値Dを該当セル初期値と比較する場合に適用されるものであり、遠方セル初期値と比較する場合には次のように補正する。つまり、補正警報判定値=(K′×補正値)+警報判定値の式に基づいて、補正警報判定値が求められる。なお、この数式内における補正値はステップ510で求められた補正値であり、K′は感度係数である。このような補正を行った場合、補正値が大きくなるほど補正警報判定値が大きく設定されることになる。これは、補正値が大きいほど補正誤差が発生し、タイヤ空気圧評価値のデータとして信頼性に乏しいことから、警報判定値を緩めたものである。
【0065】
ステップ720では、今回求められた共振周波数の平均値Dの補正がなされ、補正平均値Dが求められる。補正平均値Dとは、今回求められた共振周波数の平均値Dが遠方セルの条件下で求められた場合に想定される値に相当するものである。具体的には、ステップ700で求められた補正値に基づき、補正平均値D=平均値D+補正値の式を利用して補正平均値Dが求められる。
【0066】
そして、ステップ730では、補正平均値Dと先に設定されている遠方セル初期値との差がステップ720で設定された補正警報判定値以上となっているか否かが判定される。そして、その差が補正警報判定値以上である場合には、タイヤ空気圧低下によって共振周波数が低下しているとして、警報を行うという判定が成される。この判定が成されると、タイヤ空気圧評価処理を終了し、図2のステップ150に進んで、タイヤ空気圧低下信号が出力される。これにより、表示器4にて、タイヤ空気圧が低下していることが表示されることになる。
【0067】
一方、ステップ730で否定判定されると、遠方セルすべてに対して上記各処理が実行されたか否かが判定される。そして、実行されていなかった場合には、再びステップ700に戻り、実行されていない他の遠方セルに対して、上記各処理が繰り返され、実行されていた場合には本処理を終了する。
【0068】
以上のような処理によれば、以下のようにタイヤ空気圧判定が実行される。図10にタイヤ空気圧判定により作成されるマップの概念図を示し、この図に基づいて説明する。
【0069】
まず、車輪速度が160km/h以上、外気温度が0度以下の状態が続き、共振周波数の演算回数が60回に至ると、線A5と線a1との交点で定義されるセルのバッファに共振周波数の平均値Dが記憶される。続いて、車輪速度が40km/h以下、外気温度が20度以上の状態が続く、共振周波数の演算回数が60回に至ると、線A1と線a2との交点Bで定義されるセルのバッファにそのときの共振周波数の平均値Dが記憶される。このようにして、色々な条件下での共振周波数の平均値Dが記憶されていき、A番目、B番目、C番目・・・と共振周波数の演算回数が60回に至った順番に共振周波数の平均値Dの初期値が設定されていく。
【0070】
そして、図10(b)に示されるように、P番目に共振周波数の演算回数が60回に至ったときの条件がA番目の条件と同じものであった場合には、今回求められた共振周波数の平均値DがA番目に相当するセルのバッファに記憶された初期値と比較される。そして、B番目やC番目等、P番目以前に初期値が記憶されたセルが近傍セルであれば、今回求められた共振周波数の平均値Dが補正されて近傍セル初期値と比較され、遠方セルであれば、今回求められた共振周波数の平均値Dが補正されて遠方セル初期値と比較される。
【0071】
以上説明したように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、以前に同じような条件下で求められた共振周波数と今回求めた共振周波数との関係、具体的には、それら各共振周波数の平均値からタイヤ空気圧低下を判定している。このため、タイヤ空気圧評価値の変動要因が複雑に絡み合っていたとしても、十分な精度のタイヤ空気圧検出を行うことが可能となる。
【0072】
また、以前に同じような条件下で求められた共振周波数が存在しない場合には、多少条件が異なっていたとしても、近い条件下で求められた共振周波数に基づいてタイヤ空気圧低下を判定するようにしている。このため、判定誤差を保ち、システムの応答性を落とすこと無く、より高い精度のタイヤ空気圧検出が行える。
【0073】
(他の実施形態)
上記実施形態では、タイヤ空気圧評価値の変動要因として、車輪速度、外気温度および路面の種類を例に挙げて説明したが、他の要因、車輪の加速度、車両が旋回中であるか否か、タイヤのスリップ状態、エンジン出力、荷重などのパラメータについても本発明を適用することが可能である。また、変動要因は3つ以上であってもそれ以下であっても関係なく本発明を適用することが可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、タイヤ空気圧評価値としてタイヤの共振周波数を例に挙げて説明したが、タイヤの動荷重半径を適用してタイヤ空気圧判定を行う場合についても本発明を適用することが可能である。
【0075】
さらに、上記実施形態では、該当セルのバッファに共振周波数を記憶していくようにしているが、該当セルと関連付けられる形で共振周波数を記憶させられれば良い。例えば、各セルにIDアドレスを付しておき、該当セルのIDアドレスと共に共振周波数を記憶しておくなどが考えられる。
【0076】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置におけるECU3が実行するタイヤ空気圧検出処理のメインフローチャートである。
【図3】図2に示すタイヤ空気圧検出処理中におけるタイヤ空気圧評価処理のフローチャートである。
【図4】車輪速度、外気温度および路面の種類の関係を3次元マップ化した図である。
【図5】図3に示すタイヤ空気圧評価処理におけるセル平均化処理のフローチャートである。
【図6】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における該当セル初期値との判定処理のフローチャートである。
【図7】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における近傍セル初期値との判定処理のフローチャートである。
【図8】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における遠方セル評価必要度判定処理のフローチャートである。
【図9】図3に示すタイヤ空気圧評価処理における遠方セル初期値との判定処理のフローチャートである。
【図10】図3に示すタイヤ空気圧評価処理を実行した場合の様子を3次元マップ上に示した説明図である。
【符号の説明】
1…シグナルロータ、2a…車輪速度センサ、2b…温度センサ、3…ECU、4…表示部。
Claims (9)
- 車輪と共に回転する歯を備えたロータ(1)に基づいて前記車輪の回転情報の検出を行う回転情報検出手段(2)と、
前記回転情報検出手段が検出した回転情報に基づいて前記車輪におけるタイヤ空気圧評価値を抽出するタイヤ空気圧評価値抽出手段(130)と、
前記車輪におけるタイヤ空気圧評価値の変動要因の状態を検出する変動要因状態検出手段(2a、2b)と、
前記変動要因状態検出手段が検出した前記変動要因の状態と関連付けて前記タイヤ空気圧評価値抽出したタイヤ空気圧評価値を記憶しておく記憶手段(3)と、
前記タイヤ空気圧評価値抽出手段の抽出した前記タイヤ空気圧評価値に基づいてタイヤ空気圧の判定を行うタイヤ空気圧判定手段(140)とを有し、
前記タイヤ空気圧判定手段は、前記タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの前記変動要因の状態が前記変動要因状態検出手段にて検出された場合に、このときの前記変動要因の状態と関連付けたタイヤ空気圧評価値が前記記憶手段に先に記憶されているか否かを判定し、先に記憶されている場合には、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値と先に記憶されたタイヤ空気圧評価値とを比較することで前記タイヤ空気圧を判定するようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。 - 前記タイヤ空気圧判定手段は、前記抽出されたタイヤ空気圧評価値と先に記憶されたタイヤ空気圧評価値との差が所定のしきい値よりも大きい場合に前記タイヤ空気圧が低下していたと判定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
- 前記タイヤ空気圧評価値抽出手段が抽出したタイヤ空気圧評価値のうち、抽出されたときの前記変動要因の状態が同等なもの同士を所定個数分集めて平均化するタイヤ空気圧評価値平均化手段(200)を備え、
前記記憶手段は、前記タイヤ空気圧評価値平均化手段が平均化したタイヤ空気圧評価値の平均値を、対応する前記変動要因の状態と関連付けて記憶しておくものであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。 - 前記タイヤ空気圧判定手段は、前記平均化処理にて前記所定個数分の前記タイヤ空気圧評価値が平均化されて平均値が求められた場合に、対応する前記変動要因の状態と関連付けたタイヤ空気圧評価値の平均値が先に記憶されていれば、これら各平均値を比較することで前記タイヤ空気圧判定を行うようになっていることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ空気圧検出装置。
- 前記タイヤ空気圧判定手段は、前記各平均値の差が所定のしきい値よりも大きかった場合に前記タイヤ空気圧が低下していると判定するようになっていることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
- 前記変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態に対し、前記記憶手段に記憶されている前記変動要因の状態の中でその状態が近い範囲を決定する近傍範囲決定手段(500)を有し、
前記タイヤ空気圧判定手段は、前記タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が前記変動要因状態検出手段にて検出された場合に、前記近傍範囲決定手段にて決定された前記変動要因の状態と関連付けて前記記憶手段に先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値とを比較することで前記タイヤ空気圧を判定するようになっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。 - 前記変動要因状態検出手段が検出した変動要因の状態に対し、前記記憶手段に記憶されている前記変動要因の状態が遠い範囲を決定する遠方範囲決定手段を有し、
前記タイヤ空気圧判定手段は、前記タイヤ空気圧評価値抽出手段にてタイヤ空気圧評価値が抽出され、このタイヤ空気圧評価値を抽出したときの変動要因の状態が前記変動要因状態検出手段にて検出された場合に、前記遠方範囲決定手段にて決定された前記変動要因の状態と関連付けて前記記憶手段に先に記憶されたタイヤ空気圧評価値と、このとき抽出されたタイヤ空気圧評価値とを比較することで前記タイヤ空気圧を判定するようになっていることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ空気圧検出装置。 - 前記タイヤ空気圧評価値抽出手段は、前記回転情報検出手段が検出した回転情報に基づいて前記タイヤの振動成分の共振周波数を抽出する共振周波数抽出手段(130)であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
- 前記変動要因の状態とは、前記車輪の速度、外気温度および路面の種類の少なくとも1つを含んでいることを特徴する請求項1ないし8のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
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