JP2005014259A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリアル型のインクジェット記録装置でJPEG画像を記録する際に、装置全体の価格を上昇させずに濃度ムラを低減させる。
【解決手段】JPEGヘッダーを解析してサイズ等の情報を取得し(S101)、取得したJPEGのサイズと使用する記録媒体のサイズから拡大率を求め(ステップS102)、JPEGデータのサイズ及び拡大率から、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間と、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間とを算出し、1回の走査に要する時間との関係から1回の走査での使用ノズル数を決定する(S103)。
【選択図】 図1
【解決手段】JPEGヘッダーを解析してサイズ等の情報を取得し(S101)、取得したJPEGのサイズと使用する記録媒体のサイズから拡大率を求め(ステップS102)、JPEGデータのサイズ及び拡大率から、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間と、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間とを算出し、1回の走査に要する時間との関係から1回の走査での使用ノズル数を決定する(S103)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関し、特に、所定のフォーマットで圧縮された画像データを復号して記録することができるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行うプリンタが広く使用されている。
【0003】
プリンタの記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されており、又その構成としては、所望される記録情報に応じてインクを吐出する記録ヘッドを用紙等の記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復走査させながら記録を行なうシリアル記録方式が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。
【0004】
また、最近は、デジタルカメラが急速に普及し、パーソナルコンピュータを介さずに、デジタルカメラと直接接続して、あるいはメモリカードを挿入するスロットを有し、所定のフォーマット(例えば、JPEG)で圧縮された画像データを復号(デコード)して記録することができる、ダイレクトプリンタと呼ばれる記録装置も提案されている。
【0005】
近年は、記録速度の向上と高画質化を達成するために、記録ヘッドに集積配列されるインク吐出口(ノズル)の数が増大すると共に、各ノズル及びインク流路を高密度化した構成が一般的となっている。
【0006】
このような記録ヘッドは、製造工程でノズル毎に僅かなバラツキが生じやすく、これに起因して記録画像に濃度ムラが生じる場合がある。
【0007】
このような濃度ムラの発生を防止する方法として、マルチパス記録が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
更に、濃度ムラの原因としては、上記の他にも記録ヘッドの走査の間隔をなるべく一定にしないとその時間差によって濃度ムラが生ずることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開昭60−107975号公報
【特許文献2】
特開2000−15868号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、JPEGフォーマットで圧縮された画像データを記録装置側で復号する場合、復号処理の後に変倍処理、色変換処理、ハーフトーニング等の画像処理が必要となり、各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データ作成までの前段階での処理に要する時間が長くなるため、画像データの処理単位と1回の走査の記録領域の大きさとの関係で記録ヘッドの走査間隔が一定とはならず、このため記録画像に濃度ムラが生じることがある。
【0011】
この現象を図2を参照して説明する。201はJPEG復号後の画像データを示し、そのサイズは640×480ピクセルとする。202は出力データを示し、そのサイズは1920×1440ピクセルであり、201の画像データを3倍に拡大する必要が有る。JPEGの復号単位は8ライン又は16ラインであるが、この例では8ラインとする。従って、JPEGの1回目の復号で得られる画像データは2aで示す640×8ピクセルの画像データである。これを3倍に拡大すると2Aで示す1920×24ピクセルの画像データになる。同様に、2回目の復号で得られる画像データを2bで示し、これを3倍に拡大した画像データを2Bで示している。
【0012】
ここで、記録ヘッドのノズル数を64ノズルとし、これらのノズルを上から順に16個ずつグループ分けし、1回の走査で16ノズルを使用して4回の走査で全ノズルを使用する場合、1回目の走査で記録する領域は、2Xで示す1920×16ピクセルの領域である。同様に、2回目の走査で記録する領域は2Yで示す領域であり、3回目の走査で記録する領域は2Zで示す領域である。
【0013】
2X、2Y、2Zの各領域の記録データ作成までの処理を比較すると、領域2Xについては2aの画像データの復号と拡大処理が必要であり、同様に領域2Yについては2bの画像データの復号と拡大処理が必要であるが、領域2Zについては復号や拡大処理は必要ない。このため1回目と2回目の走査の間隔よりも2回目と3回目の走査の間隔が短くなり、そのため濃度ムラが発生しやすくなる。
【0014】
このような走査間の時間差に起因する濃度ムラを防止するためには、走査間の間隔を一定とする必要があり、その解決策としては、記録実行前に予めJPEGの復号を全て行うことと、JPEGの復号を高速化することが考えられる。
【0015】
しかしながら、記録実行前に予めJPEGの復号を全て行うためには膨大なメモリ容量が必要となり装置全体の価格が高価になってしまう。また、JPEGの復号を高速化するためには復号専用のハードウェアを設けることが考えられるが、この場合にも装置全体の価格が高価になってしまう。
【0016】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、所定のフォーマットで圧縮された画像データを復号して記録する記録装置において、装置全体の価格を上昇させずに濃度ムラを低減させることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の一態様としてのインクジェット記録装置は、それぞれがインクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列された記録ヘッドを、前記所定方向と交差する方向に記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置であって、
所定のフォーマットで圧縮された画像データを受信する受信手段と、
前記画像データを復号する復号手段と、
使用される記録媒体のサイズに応じて復号された画像データに対して変倍処理を施す変倍手段と、
変倍処理された画像データに対して画像処理を施して各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データを生成する吐出データ生成手段と、
復号された画像データのサイズに応じて、1回の走査で使用するノズルの数を決定するノズル数決定手段と、を備えている。
【0018】
すなわち、本発明では、それぞれがインクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列された記録ヘッドを、所定方向と交差する方向に記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置において、所定のフォーマットで圧縮された画像データを受信し、画像データを復号し、使用される記録媒体のサイズに応じて復号された画像データに対して変倍処理を施し、変倍処理された画像データに対して画像処理を施して各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データを生成し、復号された画像データのサイズに応じて、1回の走査で使用するノズルの数を決定する。
【0019】
このようにすると、例えば、JPEG等の所定のフォーマットで圧縮された画像データの記録を行う際に、該画像データの復号及び記録データ生成に要する時間が復号された画像データのサイズに応じて変化することを考慮して、1回の走査で使用するノズルの数が決定される。
【0020】
従って、走査の間に、復号、変倍処理、画像処理、記録データの生成等による待ち時間が生じないように1回の走査に使用するノズル数を決定することができ、走査間隔を一定として、走査のつなぎ目に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。
【0021】
ノズル数設定手段は、復号された画像データのサイズと、変倍手段での変倍率とに応じて、ノズルの数を決定するのがよい。
【0022】
ノズル数設定手段は、各走査の間に、復号、変倍処理、画像処理、記録データの生成のいずれかによる待ち時間が生じないように、ノズルの数を決定するのが好ましい。
【0023】
ノズル数設定手段は、所定のテーブルを参照して、ノズルの数を決定してもよい。
【0024】
設定されるノズルの数は全ノズル数の整数分の1であり、各走査で配列において設定されたノズルの数だけ連続したノズル群を使用するのが好ましい。
【0025】
複数回の走査で全ノズルを使用するように、各走査で使用するノズル群を配列における順番で切り換えるようにしてもよい。
【0026】
受信手段は、メモリカードを挿入可能なスロットを含み、該スロットに挿入されたメモリカードから圧縮された画像を読み出すようにしてもよい。
【0027】
所定のフォーマットとしては、例えばJPEGフォーマットがある。
【0028】
熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えている記録ヘッドを用いるのが好ましい。
【0029】
なお、本発明は上記のインクジェット記録装置としての態様以外に、上記記録装置に対応したインクジェット記録方法、該方法をコンピュータ装置で実現するコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを格納する記憶媒体の態様としても実現され得る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0031】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
【0032】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0033】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0034】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係るプリンタ1000の概観斜視図である。本実施形態のプリンタは、パーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器からデータを受信して記録を実行する、通常のPCプリンタとしての機能と、メモリカードなどの記憶媒体に格納されている画像データを直接読み取って記録を実行する、ダイレクトプリンタとしての機能とを備えている。
【0036】
図4において、プリンタ1000の外殻をなす本体は、下ケース1001、上ケース1002、アクセスカバー1003及び排出トレイ1004の外装部材を有している。また、下ケース1001は、装置1000の略下半部を、上ケース1002は本体の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなし、その上面部及び前面部にはそれぞれ開口部が形成されている。さらに、排出トレイ1004は、その一端部が下ケース1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケース1001の前面部に形成される開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイ1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録媒体が排出可能となると共に、排出された記録媒体を順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイ1004には、2枚の補助トレイ1004a,1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、排出された記録媒体の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0037】
アクセスカバー1003は、その一端部が上ケース1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバー1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジ(不図示)あるいはインクタンク(不図示)等の交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバー1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0038】
また、上ケース1002の上面には、電源キー1005が押下可能に設けられている。
【0039】
また、上ケース1002の右側には、液晶表示部1006や各種キースイッチ等を備える操作パネル1010が設けられている。この操作パネル1010の構成については、図5を参照して詳しく後述する。1007は自動給送部で、シート状の記録媒体を装置本体内へと自動的に給送する。1008は紙間選択レバーで、記録ヘッドと記録媒体との間隔を調整するためのレバーである。
【0040】
上ケース1002の左側にはカードスロット部1009が設けられており、本実施形態では各種のメモリカードを挿入可能なスロットとして2つのスロットを有しており、いずれかのスロットに挿入されたメモリカードに格納されている画像データを直接取り込んで記録することができる。メモリカードとしては、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CFカード)、スマートメディア、メモリースティックに対応可能である。
【0041】
1011はビューワ(液晶表示部)で、この装置本体に着脱可能であり、メモリカードに格納されている画像の中からプリントしたい画像を検索する場合などに、1コマ毎の画像やインデックス画像などを表示するのに使用される。1013は、ホスト機器を接続するためのUSBバスコネクタを示す。
【0042】
図5は、本実施形態に係るプリンタの操作パネル1010の構成を示す概観図である。
【0043】
図5において、液晶表示部1006には、その左右に記録されている項目に関するデータを各種設定するためのメニュー項目が表示される。ここに表示される項目としては、記録したい範囲の先頭の画像データの番号〜指定コマ番号(開始/指定)〜記録を終了したい範囲の最後の画像データの番号(終了)、記録部数(部数)、記録に使用する記録媒体(用紙)の種類(用紙種類)、1枚の用紙に記録する写真の枚数設定(レイアウト)、記録の品位の指定(品位)、画像データの作成された日付を記録するかどうかの指定(日付記録)、画像データを補正して記録するかどうかの指定(画像補正)、記録に必要な用紙枚数の表示(用紙枚数)等がある。これら各項目は、カーソルキー2001を用いて選択、或いは指定される。
【0044】
また、ホスト機器が接続されていてホスト機器から本プリンタへのアクセスが可能な場合に、メモリカード内の画像データをホスト機器に転送することが可能である。
【0045】
2002はモードキーで、このキーを押下する毎に、記録の種類(インデックス記録、全コマ記録、1コマ記録等)を切り替えることができ、これに応じてLED2003の対応するLEDが点灯される。2004はメンテナンスキーで、記録ヘッドのクリーニング等、プリンタのメンテナンスを行わせるためのキーである。2005は記録開始キーで、記録の開始を指示する時、或いはメンテナンスの設定を確定する際に押下される。2006は記録中止キーで、記録を中止させる時や、メンテナンスの中止を指示する際に押下される。
【0046】
次に図6を参照して、本実施形態に係るプリンタの制御に係る主要部の構成を説明する。尚、この図6においては、前述の図面と共通する部分には同じ記号を付与して、それらの説明を省略する。
【0047】
図6において、3000は制御部(制御基板)を示している。3001はASIC(専用カスタムLSI)であり、メモリカード3011に記憶されている画像データを、ホスト機器を経由しないで記録する場合にプリンタエンジン3004との間のデータのやり取りを行うIEEE1284インターフェース部、PC3010との間でのデータのやり取りを行うUSBインターフェース部、操作パネル1010からの各種操作信号を入力したり、表示部1006への表示データの出力などを行う操作パネル・インターフェース部、ビューワ1011への画像データの表示を制御するビューワ・インターフェース部、各種スイッチやLED4009等との間のインターフェースを制御するインターフェース部、CPU3002との間でのデータのやり取りの制御を行うCPUインターフェース部等を有し、各部は内部バス(ASICバス)で接続されている。
【0048】
3002はCPUで、システム制御及び、輝度信号(RGB)から濃度信号(CMYK)への変換、JPEGフォーマットの画像データの復号、変倍処理(スケーリング)、ガンマ変換、誤差拡散等の画像処理等を実行する。3003はメモリで、CPU3002の制御プログラムを記憶するプログラムメモリ3003a、及び実行時のプログラムを記憶するRAMエリア、画像データなどを記憶するワークメモリとして機能するワークエリアを有している。3004はプリンタエンジンで、ここでは、複数色のカラーインクを用いてカラー画像を記録するインクジェットプリンタ用のプリンタエンジンが搭載されている。3006はビューワ1011を接続するためのコネクタである。
【0049】
3005はメモリカードコントロール部で、CPU3002からの命令に基づいて、スロット部1009に挿入されたメモリカード3011に格納されている画像データを読み取ったり、或いはメモリカード3011へのデータの書き込み等を行う。
【0050】
3008はUSBバスハブ(USB HUB)で、このプリンタ1000がホスト機器として接続されたPC3010からの記録データに基づいて記録を行う際には、PC3010からのデータをそのままスルーし、USBバス3021を介してプリンタエンジン3004に出力する。これにより、接続されているPC3010は、プリンタエンジン3004と直接、データや信号のやり取りを行って記録を実行することが出来る。すなわち、この場合本プリンタは一般的なPCプリンタとして機能する。3009は電源コネクタで、電源パック3013によって商用AC電源から変換された直流電圧が入力される。
【0051】
PC3010はホスト機器として接続されている一般的なパーソナルコンピュータであり、本実施形態のプリンタに対応して、通常のPCプリンタモードでの処理を行なうプリンタドライバがインストールされている。3011は前述したメモリカードである。
【0052】
尚、この制御部3000とプリンタエンジン3004との間の信号のやり取りは、前述したUSBバス3021又はIEEE1284バス3022を介して行われる。
【0053】
カードスロット部1009に挿入されたメモリカード3011に格納されたJPEGフォーマットの画像データを記録する際には、指定された画像データがメモリカードコントロール部3005を介して読み取られ、CPU3002によってメモリ3003をワークエリアとして用いて復号処理及び各種画像処理が行われ、記録に使用する記録ヘッドに合わせて、各ノズルでの吐出の有無を示す記録データが生成されてプリンタエンジン3004に送信される。記録データを受信したプリンタエンジンは、不図示の記録ヘッドによる走査と記録媒体の搬送とを交互に行って記録媒体に記録を行う。
【0054】
以下、本実施形態のプリンタによってJPEGフォーマットの画像データを記録する際に、1回の走査で記録するラスタ数(使用するノズル数)をどのように決定するかについて説明する。なお、上述のように本実施形態のプリンタは複数のインクに対応して複数の記録ヘッドを備えているが、以下では、1つの記録ヘッドのみを用いて記録する場合を説明する。
【0055】
<従来のJPEG画像の記録>
まず、従来のように、JPEG画像を記録する際にも通常と同じ設定で記録を行う場合について説明する。
【0056】
使用する記録ヘッドはノズル数が64であり、通常はこれらのノズルを上から順に16個ずつグループ分けし、1回の走査で16ノズルを使用して4回の走査で全ノズルを使用する。記録すべきJPEG画像は、上記で説明した図2の201で示される640×480ピクセルのサイズであり、出力サイズは202で示される1920×1440ピクセルとする。従って、この場合の拡大率は3倍である。またJPEGの復号は640×8ピクセルのブロックを単位に行われるものとする。
【0057】
以上のような設定であると、JPEGデータの1回の復号から24ラスタ分の記録データが得られることとなる。1回の走査で記録されるラスタは16ラスタであるので、両者の最小公倍数から、2回の復号から得られる48ラスタの記録データは、3回の走査で記録されることとなる。以降、復号と走査が、2:3の割合で繰り返されて画像が記録される。
【0058】
ここで、記録ヘッドの1回の走査に要する時間が8、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間が6、復号された画像データに変倍処理や画像処理を施して1ラスタの記録データを生成するのに要する時間が0.5であると想定する。この場合、48ラスタの記録データを生成するのに要する時間は36であり、記録ヘッドが3回走査するのに要する時間は24である。従って、両者の差である12が待ち時間となる。
【0059】
図3Aは、上記の設定での記録データの生成と走査との関係を示すタイミング図である。始めに1回目の復号と16ラスタの記録データが生成された後に、1回目の走査が行われるが、その間では2回目の復号と16ラスタの記録データ生成が間に合わないので、2回目の走査の前に6の待ち時間が生じる。2回目の走査の間に16ラスタの記録データが生成されるので、2回目と3回目の走査の間には待ち時間は生じない。3回目の走査の間には、3回目の復号と16ラスタの記録データ生成が間に合わないので、4回目の走査の前に6の待ち時間が生じる。
【0060】
このように、JPEG画像の記録を通常の記録と同じ設定で行うと、走査の間に待ち時間が入る場合が有るため、走査間隔が一定とはならず、走査のつなぎ目に濃度ムラが生じやすい。
【0061】
<本実施形態によるJPEG画像の記録>
本実施形態では、JPEG画像を記録する際に、上記従来例のように走査の間に待ち時間が生じないように1回の走査で記録するラスタ数(使用ノズル数)を決定して、走査間隔を一定とする。
【0062】
図1は、本実施形態でJPEG画像を記録する際に、1回の走査での使用ノズル数(記録ラスタ数)を決定する処理を示すフローチャートである。
【0063】
最初に、JPEGヘッダーを解析してサイズ等の情報を取得する(ステップS101)。次に、取得したJPEGのサイズと使用する記録媒体のサイズから拡大率を求める(ステップS102)。そして、JPEGデータのサイズ及び拡大率から、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間と、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間を算出し、1回の走査に要する時間との関係から1回の走査での使用ノズル数を決定する(ステップS103)。この場合、記録ヘッドの全ノズルが均等に使用されるように、1回の走査での使用ノズル数は、記録ヘッドの全ノズル数の整数分の1であるのが好ましい。
【0064】
ステップS103での使用ノズル数の決定方法をより詳細に説明すると、
(1回の走査に要する時間×走査回数P)/(1ブロックから生成される全ラスタの記録データ生成に要する時間×復号回数n)、の比率が1以下となる必要が有り、かつ最も効率が良いのは1となる場合である。
【0065】
ここで、記録するJPEGデータやそれぞれの処理に要する時間が上記の従来例と同じであると想定すると、1回の走査に要する時間=8であり、1ブロックから生成される全ラスタの記録データを生成するのに要する時間=6+24×0.5=18である。従ってこの場合、P=9、n=4のときに(8×P)/(18×n)が1となる。これは、24ラスタ×4=96ラスタを9回の走査で記録すれば良いことを意味する。96/9を超えない最も大きな整数は10であるので、各走査での使用ノズル数は10となる。
【0066】
ここで、記録ヘッドのノズル数は64であるので、64ノズルのうち、60個のノズルを6つに分割して6回の走査で使用することとなる。記録ヘッドの全ノズルを均等に使用するようにするのであれば、96/9を超えない整数で64の約数となる整数を選べば良い。この場合には8であり、64ノズルを8つに分割して8回の走査で使用するのが好ましい。
【0067】
図3Bは、各走査での使用ノズル数を8とした場合の記録データの生成と走査との関係を、図3Aと同様に示したタイミング図である。
【0068】
始めに1回目の復号と8ラスタの記録データが生成された後に、1回目の走査が行われ、その間に2回目と3回目の走査で使用する8ラスタ×2の記録データ生成が行われる。2回目の走査の間に2回目の復号が行われ、3回目の走査が終了するまでに、4回目と5回目の走査で使用する8ラスタ×2の記録データ生成が行われる。6回目の走査で使用される8ラスタの記録データの生成は、4回目の走査が終了する前に完了している。
【0069】
このように、本実施形態によれば、JPEG画像の記録を行う際に、1回の走査で使用するノズル数が、JPEG画像の復号及び記録データ生成に要する時間を考慮して決定されるので、走査の間に待ち時間が入らず、走査間隔が一定となり、走査のつなぎ目に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。
【0070】
<変形例>
上記実施形態では、JPEGデータのサイズ、拡大率等から、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間を算出し、1回の走査に要する時間との関係から1回の走査の使用ノズル数を決定するようにしたが、JPEGデータのサイズと拡大率とから、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間と、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間を予め所定の演算で算出し、JPEGデータのサイズと拡大率とを複数の範囲に分類し、各範囲に対応して1回の走査に使用するノズル数が一意に求められるようなテーブルを備えるようにしてもよい。
【0071】
また他の変形例として、単純にJPEG画像のサイズが所定の画像サイズの大きさを複数の範囲に分類し、どの範囲に入るかに応じて1回の走査で使用するノズル数を決定するようにしても、従来例と比べて待ち時間が緩和されるので有効である。この場合、特に走査方向の大きさに応じて1回の走査で使用するノズル数を決定するようにするのが好ましい。また、この場合にも、画像サイズの大きさと1回の走査で使用するノズル数との対応をテーブル形式で持つようにしてもよい。
【0072】
[その他の実施形態]
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0073】
上記実施形態では、画像データの圧縮フォーマットとしてJPEGを例に挙げて説明したが、これ以外のフォーマット(例えば、JPEG2000やJPEG−LSなど)で圧縮された画像データに対しても本発明は適用できる。
【0074】
同様に、記録ヘッドのノズル数や1回の走査で使用するノズル数についても、上記の実施形態における数はあくまで例示であり、記録ヘッドの走査に要する時間と圧縮された画像データから記録データを生成するのに要する時間との関係から1回の走査で使用するノズル数が決定される。
【0075】
本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0076】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(本実施形態では図1に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0077】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0078】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0079】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0080】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の範囲に含まれるものである。
【0081】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0082】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0083】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0084】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、例えば、JPEG等の所定のフォーマットで圧縮された画像データの記録を行う際に、該画像データの復号及び記録データ生成に要する時間が復号された画像データのサイズに応じて変化することを考慮して、1回の走査で使用するノズルの数が決定される。
【0085】
従って、走査の間に、復号、変倍処理、記録データの生成等による待ち時間が生じないように1回の走査に使用するノズル数を決定することができ、走査間隔を一定として、走査のつなぎ目に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態でJPEG画像を記録する際に、1回の走査での使用ノズル数を決定する処理を示すフローチャートである。
【図2】復号されたJPEG画像と出力される画像の例を示す図である。
【図3A】従来例における記録データの生成と走査との関係を示すタイミング図である。
【図3B】本発明の実施形態における記録データの生成と走査との関係を示すタイミング図である。
【図4】本発明の実施形態に係るダイレクトプリンタの概観斜視図である。
【図5】図4のプリンタの操作パネルの概観図である。
【図6】図4のプリンタの制御に係る主要部の構成を示すブロック図である。
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関し、特に、所定のフォーマットで圧縮された画像データを復号して記録することができるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行うプリンタが広く使用されている。
【0003】
プリンタの記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されており、又その構成としては、所望される記録情報に応じてインクを吐出する記録ヘッドを用紙等の記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復走査させながら記録を行なうシリアル記録方式が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。
【0004】
また、最近は、デジタルカメラが急速に普及し、パーソナルコンピュータを介さずに、デジタルカメラと直接接続して、あるいはメモリカードを挿入するスロットを有し、所定のフォーマット(例えば、JPEG)で圧縮された画像データを復号(デコード)して記録することができる、ダイレクトプリンタと呼ばれる記録装置も提案されている。
【0005】
近年は、記録速度の向上と高画質化を達成するために、記録ヘッドに集積配列されるインク吐出口(ノズル)の数が増大すると共に、各ノズル及びインク流路を高密度化した構成が一般的となっている。
【0006】
このような記録ヘッドは、製造工程でノズル毎に僅かなバラツキが生じやすく、これに起因して記録画像に濃度ムラが生じる場合がある。
【0007】
このような濃度ムラの発生を防止する方法として、マルチパス記録が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
更に、濃度ムラの原因としては、上記の他にも記録ヘッドの走査の間隔をなるべく一定にしないとその時間差によって濃度ムラが生ずることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開昭60−107975号公報
【特許文献2】
特開2000−15868号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、JPEGフォーマットで圧縮された画像データを記録装置側で復号する場合、復号処理の後に変倍処理、色変換処理、ハーフトーニング等の画像処理が必要となり、各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データ作成までの前段階での処理に要する時間が長くなるため、画像データの処理単位と1回の走査の記録領域の大きさとの関係で記録ヘッドの走査間隔が一定とはならず、このため記録画像に濃度ムラが生じることがある。
【0011】
この現象を図2を参照して説明する。201はJPEG復号後の画像データを示し、そのサイズは640×480ピクセルとする。202は出力データを示し、そのサイズは1920×1440ピクセルであり、201の画像データを3倍に拡大する必要が有る。JPEGの復号単位は8ライン又は16ラインであるが、この例では8ラインとする。従って、JPEGの1回目の復号で得られる画像データは2aで示す640×8ピクセルの画像データである。これを3倍に拡大すると2Aで示す1920×24ピクセルの画像データになる。同様に、2回目の復号で得られる画像データを2bで示し、これを3倍に拡大した画像データを2Bで示している。
【0012】
ここで、記録ヘッドのノズル数を64ノズルとし、これらのノズルを上から順に16個ずつグループ分けし、1回の走査で16ノズルを使用して4回の走査で全ノズルを使用する場合、1回目の走査で記録する領域は、2Xで示す1920×16ピクセルの領域である。同様に、2回目の走査で記録する領域は2Yで示す領域であり、3回目の走査で記録する領域は2Zで示す領域である。
【0013】
2X、2Y、2Zの各領域の記録データ作成までの処理を比較すると、領域2Xについては2aの画像データの復号と拡大処理が必要であり、同様に領域2Yについては2bの画像データの復号と拡大処理が必要であるが、領域2Zについては復号や拡大処理は必要ない。このため1回目と2回目の走査の間隔よりも2回目と3回目の走査の間隔が短くなり、そのため濃度ムラが発生しやすくなる。
【0014】
このような走査間の時間差に起因する濃度ムラを防止するためには、走査間の間隔を一定とする必要があり、その解決策としては、記録実行前に予めJPEGの復号を全て行うことと、JPEGの復号を高速化することが考えられる。
【0015】
しかしながら、記録実行前に予めJPEGの復号を全て行うためには膨大なメモリ容量が必要となり装置全体の価格が高価になってしまう。また、JPEGの復号を高速化するためには復号専用のハードウェアを設けることが考えられるが、この場合にも装置全体の価格が高価になってしまう。
【0016】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、所定のフォーマットで圧縮された画像データを復号して記録する記録装置において、装置全体の価格を上昇させずに濃度ムラを低減させることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の一態様としてのインクジェット記録装置は、それぞれがインクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列された記録ヘッドを、前記所定方向と交差する方向に記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置であって、
所定のフォーマットで圧縮された画像データを受信する受信手段と、
前記画像データを復号する復号手段と、
使用される記録媒体のサイズに応じて復号された画像データに対して変倍処理を施す変倍手段と、
変倍処理された画像データに対して画像処理を施して各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データを生成する吐出データ生成手段と、
復号された画像データのサイズに応じて、1回の走査で使用するノズルの数を決定するノズル数決定手段と、を備えている。
【0018】
すなわち、本発明では、それぞれがインクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列された記録ヘッドを、所定方向と交差する方向に記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置において、所定のフォーマットで圧縮された画像データを受信し、画像データを復号し、使用される記録媒体のサイズに応じて復号された画像データに対して変倍処理を施し、変倍処理された画像データに対して画像処理を施して各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データを生成し、復号された画像データのサイズに応じて、1回の走査で使用するノズルの数を決定する。
【0019】
このようにすると、例えば、JPEG等の所定のフォーマットで圧縮された画像データの記録を行う際に、該画像データの復号及び記録データ生成に要する時間が復号された画像データのサイズに応じて変化することを考慮して、1回の走査で使用するノズルの数が決定される。
【0020】
従って、走査の間に、復号、変倍処理、画像処理、記録データの生成等による待ち時間が生じないように1回の走査に使用するノズル数を決定することができ、走査間隔を一定として、走査のつなぎ目に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。
【0021】
ノズル数設定手段は、復号された画像データのサイズと、変倍手段での変倍率とに応じて、ノズルの数を決定するのがよい。
【0022】
ノズル数設定手段は、各走査の間に、復号、変倍処理、画像処理、記録データの生成のいずれかによる待ち時間が生じないように、ノズルの数を決定するのが好ましい。
【0023】
ノズル数設定手段は、所定のテーブルを参照して、ノズルの数を決定してもよい。
【0024】
設定されるノズルの数は全ノズル数の整数分の1であり、各走査で配列において設定されたノズルの数だけ連続したノズル群を使用するのが好ましい。
【0025】
複数回の走査で全ノズルを使用するように、各走査で使用するノズル群を配列における順番で切り換えるようにしてもよい。
【0026】
受信手段は、メモリカードを挿入可能なスロットを含み、該スロットに挿入されたメモリカードから圧縮された画像を読み出すようにしてもよい。
【0027】
所定のフォーマットとしては、例えばJPEGフォーマットがある。
【0028】
熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えている記録ヘッドを用いるのが好ましい。
【0029】
なお、本発明は上記のインクジェット記録装置としての態様以外に、上記記録装置に対応したインクジェット記録方法、該方法をコンピュータ装置で実現するコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを格納する記憶媒体の態様としても実現され得る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0031】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
【0032】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0033】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0034】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係るプリンタ1000の概観斜視図である。本実施形態のプリンタは、パーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器からデータを受信して記録を実行する、通常のPCプリンタとしての機能と、メモリカードなどの記憶媒体に格納されている画像データを直接読み取って記録を実行する、ダイレクトプリンタとしての機能とを備えている。
【0036】
図4において、プリンタ1000の外殻をなす本体は、下ケース1001、上ケース1002、アクセスカバー1003及び排出トレイ1004の外装部材を有している。また、下ケース1001は、装置1000の略下半部を、上ケース1002は本体の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなし、その上面部及び前面部にはそれぞれ開口部が形成されている。さらに、排出トレイ1004は、その一端部が下ケース1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケース1001の前面部に形成される開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイ1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録媒体が排出可能となると共に、排出された記録媒体を順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイ1004には、2枚の補助トレイ1004a,1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、排出された記録媒体の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0037】
アクセスカバー1003は、その一端部が上ケース1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバー1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジ(不図示)あるいはインクタンク(不図示)等の交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバー1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0038】
また、上ケース1002の上面には、電源キー1005が押下可能に設けられている。
【0039】
また、上ケース1002の右側には、液晶表示部1006や各種キースイッチ等を備える操作パネル1010が設けられている。この操作パネル1010の構成については、図5を参照して詳しく後述する。1007は自動給送部で、シート状の記録媒体を装置本体内へと自動的に給送する。1008は紙間選択レバーで、記録ヘッドと記録媒体との間隔を調整するためのレバーである。
【0040】
上ケース1002の左側にはカードスロット部1009が設けられており、本実施形態では各種のメモリカードを挿入可能なスロットとして2つのスロットを有しており、いずれかのスロットに挿入されたメモリカードに格納されている画像データを直接取り込んで記録することができる。メモリカードとしては、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CFカード)、スマートメディア、メモリースティックに対応可能である。
【0041】
1011はビューワ(液晶表示部)で、この装置本体に着脱可能であり、メモリカードに格納されている画像の中からプリントしたい画像を検索する場合などに、1コマ毎の画像やインデックス画像などを表示するのに使用される。1013は、ホスト機器を接続するためのUSBバスコネクタを示す。
【0042】
図5は、本実施形態に係るプリンタの操作パネル1010の構成を示す概観図である。
【0043】
図5において、液晶表示部1006には、その左右に記録されている項目に関するデータを各種設定するためのメニュー項目が表示される。ここに表示される項目としては、記録したい範囲の先頭の画像データの番号〜指定コマ番号(開始/指定)〜記録を終了したい範囲の最後の画像データの番号(終了)、記録部数(部数)、記録に使用する記録媒体(用紙)の種類(用紙種類)、1枚の用紙に記録する写真の枚数設定(レイアウト)、記録の品位の指定(品位)、画像データの作成された日付を記録するかどうかの指定(日付記録)、画像データを補正して記録するかどうかの指定(画像補正)、記録に必要な用紙枚数の表示(用紙枚数)等がある。これら各項目は、カーソルキー2001を用いて選択、或いは指定される。
【0044】
また、ホスト機器が接続されていてホスト機器から本プリンタへのアクセスが可能な場合に、メモリカード内の画像データをホスト機器に転送することが可能である。
【0045】
2002はモードキーで、このキーを押下する毎に、記録の種類(インデックス記録、全コマ記録、1コマ記録等)を切り替えることができ、これに応じてLED2003の対応するLEDが点灯される。2004はメンテナンスキーで、記録ヘッドのクリーニング等、プリンタのメンテナンスを行わせるためのキーである。2005は記録開始キーで、記録の開始を指示する時、或いはメンテナンスの設定を確定する際に押下される。2006は記録中止キーで、記録を中止させる時や、メンテナンスの中止を指示する際に押下される。
【0046】
次に図6を参照して、本実施形態に係るプリンタの制御に係る主要部の構成を説明する。尚、この図6においては、前述の図面と共通する部分には同じ記号を付与して、それらの説明を省略する。
【0047】
図6において、3000は制御部(制御基板)を示している。3001はASIC(専用カスタムLSI)であり、メモリカード3011に記憶されている画像データを、ホスト機器を経由しないで記録する場合にプリンタエンジン3004との間のデータのやり取りを行うIEEE1284インターフェース部、PC3010との間でのデータのやり取りを行うUSBインターフェース部、操作パネル1010からの各種操作信号を入力したり、表示部1006への表示データの出力などを行う操作パネル・インターフェース部、ビューワ1011への画像データの表示を制御するビューワ・インターフェース部、各種スイッチやLED4009等との間のインターフェースを制御するインターフェース部、CPU3002との間でのデータのやり取りの制御を行うCPUインターフェース部等を有し、各部は内部バス(ASICバス)で接続されている。
【0048】
3002はCPUで、システム制御及び、輝度信号(RGB)から濃度信号(CMYK)への変換、JPEGフォーマットの画像データの復号、変倍処理(スケーリング)、ガンマ変換、誤差拡散等の画像処理等を実行する。3003はメモリで、CPU3002の制御プログラムを記憶するプログラムメモリ3003a、及び実行時のプログラムを記憶するRAMエリア、画像データなどを記憶するワークメモリとして機能するワークエリアを有している。3004はプリンタエンジンで、ここでは、複数色のカラーインクを用いてカラー画像を記録するインクジェットプリンタ用のプリンタエンジンが搭載されている。3006はビューワ1011を接続するためのコネクタである。
【0049】
3005はメモリカードコントロール部で、CPU3002からの命令に基づいて、スロット部1009に挿入されたメモリカード3011に格納されている画像データを読み取ったり、或いはメモリカード3011へのデータの書き込み等を行う。
【0050】
3008はUSBバスハブ(USB HUB)で、このプリンタ1000がホスト機器として接続されたPC3010からの記録データに基づいて記録を行う際には、PC3010からのデータをそのままスルーし、USBバス3021を介してプリンタエンジン3004に出力する。これにより、接続されているPC3010は、プリンタエンジン3004と直接、データや信号のやり取りを行って記録を実行することが出来る。すなわち、この場合本プリンタは一般的なPCプリンタとして機能する。3009は電源コネクタで、電源パック3013によって商用AC電源から変換された直流電圧が入力される。
【0051】
PC3010はホスト機器として接続されている一般的なパーソナルコンピュータであり、本実施形態のプリンタに対応して、通常のPCプリンタモードでの処理を行なうプリンタドライバがインストールされている。3011は前述したメモリカードである。
【0052】
尚、この制御部3000とプリンタエンジン3004との間の信号のやり取りは、前述したUSBバス3021又はIEEE1284バス3022を介して行われる。
【0053】
カードスロット部1009に挿入されたメモリカード3011に格納されたJPEGフォーマットの画像データを記録する際には、指定された画像データがメモリカードコントロール部3005を介して読み取られ、CPU3002によってメモリ3003をワークエリアとして用いて復号処理及び各種画像処理が行われ、記録に使用する記録ヘッドに合わせて、各ノズルでの吐出の有無を示す記録データが生成されてプリンタエンジン3004に送信される。記録データを受信したプリンタエンジンは、不図示の記録ヘッドによる走査と記録媒体の搬送とを交互に行って記録媒体に記録を行う。
【0054】
以下、本実施形態のプリンタによってJPEGフォーマットの画像データを記録する際に、1回の走査で記録するラスタ数(使用するノズル数)をどのように決定するかについて説明する。なお、上述のように本実施形態のプリンタは複数のインクに対応して複数の記録ヘッドを備えているが、以下では、1つの記録ヘッドのみを用いて記録する場合を説明する。
【0055】
<従来のJPEG画像の記録>
まず、従来のように、JPEG画像を記録する際にも通常と同じ設定で記録を行う場合について説明する。
【0056】
使用する記録ヘッドはノズル数が64であり、通常はこれらのノズルを上から順に16個ずつグループ分けし、1回の走査で16ノズルを使用して4回の走査で全ノズルを使用する。記録すべきJPEG画像は、上記で説明した図2の201で示される640×480ピクセルのサイズであり、出力サイズは202で示される1920×1440ピクセルとする。従って、この場合の拡大率は3倍である。またJPEGの復号は640×8ピクセルのブロックを単位に行われるものとする。
【0057】
以上のような設定であると、JPEGデータの1回の復号から24ラスタ分の記録データが得られることとなる。1回の走査で記録されるラスタは16ラスタであるので、両者の最小公倍数から、2回の復号から得られる48ラスタの記録データは、3回の走査で記録されることとなる。以降、復号と走査が、2:3の割合で繰り返されて画像が記録される。
【0058】
ここで、記録ヘッドの1回の走査に要する時間が8、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間が6、復号された画像データに変倍処理や画像処理を施して1ラスタの記録データを生成するのに要する時間が0.5であると想定する。この場合、48ラスタの記録データを生成するのに要する時間は36であり、記録ヘッドが3回走査するのに要する時間は24である。従って、両者の差である12が待ち時間となる。
【0059】
図3Aは、上記の設定での記録データの生成と走査との関係を示すタイミング図である。始めに1回目の復号と16ラスタの記録データが生成された後に、1回目の走査が行われるが、その間では2回目の復号と16ラスタの記録データ生成が間に合わないので、2回目の走査の前に6の待ち時間が生じる。2回目の走査の間に16ラスタの記録データが生成されるので、2回目と3回目の走査の間には待ち時間は生じない。3回目の走査の間には、3回目の復号と16ラスタの記録データ生成が間に合わないので、4回目の走査の前に6の待ち時間が生じる。
【0060】
このように、JPEG画像の記録を通常の記録と同じ設定で行うと、走査の間に待ち時間が入る場合が有るため、走査間隔が一定とはならず、走査のつなぎ目に濃度ムラが生じやすい。
【0061】
<本実施形態によるJPEG画像の記録>
本実施形態では、JPEG画像を記録する際に、上記従来例のように走査の間に待ち時間が生じないように1回の走査で記録するラスタ数(使用ノズル数)を決定して、走査間隔を一定とする。
【0062】
図1は、本実施形態でJPEG画像を記録する際に、1回の走査での使用ノズル数(記録ラスタ数)を決定する処理を示すフローチャートである。
【0063】
最初に、JPEGヘッダーを解析してサイズ等の情報を取得する(ステップS101)。次に、取得したJPEGのサイズと使用する記録媒体のサイズから拡大率を求める(ステップS102)。そして、JPEGデータのサイズ及び拡大率から、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間と、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間を算出し、1回の走査に要する時間との関係から1回の走査での使用ノズル数を決定する(ステップS103)。この場合、記録ヘッドの全ノズルが均等に使用されるように、1回の走査での使用ノズル数は、記録ヘッドの全ノズル数の整数分の1であるのが好ましい。
【0064】
ステップS103での使用ノズル数の決定方法をより詳細に説明すると、
(1回の走査に要する時間×走査回数P)/(1ブロックから生成される全ラスタの記録データ生成に要する時間×復号回数n)、の比率が1以下となる必要が有り、かつ最も効率が良いのは1となる場合である。
【0065】
ここで、記録するJPEGデータやそれぞれの処理に要する時間が上記の従来例と同じであると想定すると、1回の走査に要する時間=8であり、1ブロックから生成される全ラスタの記録データを生成するのに要する時間=6+24×0.5=18である。従ってこの場合、P=9、n=4のときに(8×P)/(18×n)が1となる。これは、24ラスタ×4=96ラスタを9回の走査で記録すれば良いことを意味する。96/9を超えない最も大きな整数は10であるので、各走査での使用ノズル数は10となる。
【0066】
ここで、記録ヘッドのノズル数は64であるので、64ノズルのうち、60個のノズルを6つに分割して6回の走査で使用することとなる。記録ヘッドの全ノズルを均等に使用するようにするのであれば、96/9を超えない整数で64の約数となる整数を選べば良い。この場合には8であり、64ノズルを8つに分割して8回の走査で使用するのが好ましい。
【0067】
図3Bは、各走査での使用ノズル数を8とした場合の記録データの生成と走査との関係を、図3Aと同様に示したタイミング図である。
【0068】
始めに1回目の復号と8ラスタの記録データが生成された後に、1回目の走査が行われ、その間に2回目と3回目の走査で使用する8ラスタ×2の記録データ生成が行われる。2回目の走査の間に2回目の復号が行われ、3回目の走査が終了するまでに、4回目と5回目の走査で使用する8ラスタ×2の記録データ生成が行われる。6回目の走査で使用される8ラスタの記録データの生成は、4回目の走査が終了する前に完了している。
【0069】
このように、本実施形態によれば、JPEG画像の記録を行う際に、1回の走査で使用するノズル数が、JPEG画像の復号及び記録データ生成に要する時間を考慮して決定されるので、走査の間に待ち時間が入らず、走査間隔が一定となり、走査のつなぎ目に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。
【0070】
<変形例>
上記実施形態では、JPEGデータのサイズ、拡大率等から、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間を算出し、1回の走査に要する時間との関係から1回の走査の使用ノズル数を決定するようにしたが、JPEGデータのサイズと拡大率とから、1ブロックのJPEGデータの復号に要する時間と、復号されたJPEGデータから1ラスタの記録データを生成するのに要する時間を予め所定の演算で算出し、JPEGデータのサイズと拡大率とを複数の範囲に分類し、各範囲に対応して1回の走査に使用するノズル数が一意に求められるようなテーブルを備えるようにしてもよい。
【0071】
また他の変形例として、単純にJPEG画像のサイズが所定の画像サイズの大きさを複数の範囲に分類し、どの範囲に入るかに応じて1回の走査で使用するノズル数を決定するようにしても、従来例と比べて待ち時間が緩和されるので有効である。この場合、特に走査方向の大きさに応じて1回の走査で使用するノズル数を決定するようにするのが好ましい。また、この場合にも、画像サイズの大きさと1回の走査で使用するノズル数との対応をテーブル形式で持つようにしてもよい。
【0072】
[その他の実施形態]
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0073】
上記実施形態では、画像データの圧縮フォーマットとしてJPEGを例に挙げて説明したが、これ以外のフォーマット(例えば、JPEG2000やJPEG−LSなど)で圧縮された画像データに対しても本発明は適用できる。
【0074】
同様に、記録ヘッドのノズル数や1回の走査で使用するノズル数についても、上記の実施形態における数はあくまで例示であり、記録ヘッドの走査に要する時間と圧縮された画像データから記録データを生成するのに要する時間との関係から1回の走査で使用するノズル数が決定される。
【0075】
本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0076】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(本実施形態では図1に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0077】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0078】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0079】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0080】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の範囲に含まれるものである。
【0081】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0082】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0083】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0084】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、例えば、JPEG等の所定のフォーマットで圧縮された画像データの記録を行う際に、該画像データの復号及び記録データ生成に要する時間が復号された画像データのサイズに応じて変化することを考慮して、1回の走査で使用するノズルの数が決定される。
【0085】
従って、走査の間に、復号、変倍処理、記録データの生成等による待ち時間が生じないように1回の走査に使用するノズル数を決定することができ、走査間隔を一定として、走査のつなぎ目に濃度ムラが発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態でJPEG画像を記録する際に、1回の走査での使用ノズル数を決定する処理を示すフローチャートである。
【図2】復号されたJPEG画像と出力される画像の例を示す図である。
【図3A】従来例における記録データの生成と走査との関係を示すタイミング図である。
【図3B】本発明の実施形態における記録データの生成と走査との関係を示すタイミング図である。
【図4】本発明の実施形態に係るダイレクトプリンタの概観斜視図である。
【図5】図4のプリンタの操作パネルの概観図である。
【図6】図4のプリンタの制御に係る主要部の構成を示すブロック図である。
Claims (12)
- それぞれがインクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列された記録ヘッドを、前記所定方向と交差する方向に記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置であって、
所定のフォーマットで圧縮された画像データを受信する受信手段と、
前記画像データを復号する復号手段と、
使用される記録媒体のサイズに応じて復号された画像データに対して変倍処理を施す変倍手段と、
変倍処理された画像データに対して画像処理を施して各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データを生成する吐出データ生成手段と、
復号された画像データのサイズに応じて、1回の走査で使用するノズルの数を決定するノズル数決定手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記ノズル数設定手段は、前記復号された画像データのサイズと、前記変倍手段での変倍率とに応じて、前記ノズルの数を決定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ノズル数設定手段は、各走査の間に、前記復号、前記変倍処理、前記画像処理、前記記録データの生成のいずれかによる待ち時間が生じないように、前記ノズルの数を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ノズル数設定手段は、所定のテーブルを参照して、前記ノズルの数を決定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ノズルの数は全ノズル数の整数分の1であり、各走査で前記配列において前記ノズルの数だけ連続したノズル群を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 複数回の走査で全ノズルを使用するように、各走査で使用する前記ノズル群を前記配列における順番で切り換えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 前記受信手段は、メモリカードを挿入可能なスロットを含み、該スロットに挿入されたメモリカードから前記圧縮された画像を読み出すことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記所定のフォーマットがJPEGフォーマットを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- それぞれがインクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列された記録ヘッドを、前記所定方向と交差する方向に記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
所定のフォーマットで圧縮された画像データを受信する受信工程と、
前記画像データを復号する復号工程と、
使用される記録媒体のサイズに応じて復号された画像データに対して変倍処理を施す変倍工程と、
変倍処理された画像データに対して画像処理を施して各ノズルでの吐出の有無に対応した記録データを生成する吐出データ生成工程と、
前記復号された画像データのサイズに応じて、1回の走査で使用するノズルの数を決定するノズル数決定工程と、を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 請求項10に記載のインクジェット記録方法をコンピュータ装置によって実現させるプログラムコードを備えるコンピュータプログラム。
- 請求項11に記載のコンピュータプログラムを格納した記憶媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003178611A JP2005014259A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007261036A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Noritsu Koki Co Ltd | インクジェット式プリント装置 |
JP2007268930A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Brother Ind Ltd | 印刷装置 |
-
2003
- 2003-06-23 JP JP2003178611A patent/JP2005014259A/ja not_active Withdrawn
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US8319990B2 (en) | 2006-03-31 | 2012-11-27 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Printing apparatus with data decryption |
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