JP2005013989A - 塗布方法及び塗布機 - Google Patents

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泰彦 時政
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Abstract

【課題】 気泡によるスジや泡などの塗布膜故障の発生を抑制する。
【解決手段】 連続走行するウェブ11に湿潤膜厚が25μm以下となるように塗布を行う。移動台23の上の保持台21にダイ11をのせ、ダイ11の移動速度は3cm/秒以下とする。退避位置における塗布準備操作は、塗布液の溶媒として用いた充填液を吐出口13aから吐出させて行う。その後、塗布液に送液を切り替えて吐出口13aから出しながら、ダイ13を塗布位置に30mm/秒以下で移動させる。ダイ11のスロット15は、間隙G1が50μm以上200μm以下の部分であって充填液の流れ方向における長さが25mm以上の最も狭い部分を有し、この最も狭い部分の水平面に対する角度をスロット角θ1としたときに、15°≦θ1≦60°の範囲内の一定角度にダイ11を保持する。ダイ11内の残留気泡がなくなり、これに起因する塗布膜故障の発生が抑制される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、塗布方法及び塗布機(コーター)に関するものであり、特に写真感光剤、磁性液、反射防止や防眩性などを付与する液、視野角拡大効果を付与する液、カラーフィルタ用顔料液、表面保護液等の塗布液を、プラスチックフィルムや紙、金属箔等の可撓性支持体(必要に応じて支持体上に何らかの表面処理が施されたもの、或いは既に支持体上に何らかの方法により積層形成されたものを含む。以下これらの支持体をウェブと称する。)に塗布して、薄層の高機能性積層膜を形成するための塗布方法及び塗布機に関する。
前記したような高機能性積層膜は、一般には塗布ダイを用いるコーターにより塗布液をウェブ上に塗布させ、積層させることにより製造されている。このとき、ダイの先端からウェブにかけてビードが形成されるビード塗布が適用されることが多い。ビード塗布においては、ビードを良好に形成して、連続的に安定させるために、ビードに関してその背面側、つまりウェブの走行方向における上流側を減圧することが一般的となっている。
近年では高機能性積層膜の製造において、所望の機能を発現させるために、従来よりも薄い湿潤厚みである10μm以下の領域の塗布方法に対する要求が高まっている。このような高機能性積層膜は、求められる塗布厚み精度及び塗布膜性状が厳しく、高精度な薄層塗布技術が求められる。薄層化を図るにしたがい、一般的にダイ内のスロット間隙が小さくなる傾向にあり、ダイとウェブとの間隔(クリアランス)も短縮される傾向にある。また、上記の塗布中のビード背面側の減圧度も大きくする傾向があるが、実際の製造工程においては、減圧度を大きくするほど、減圧度の変動がビードの形成に与える影響が大きくなる。
そのため、減圧度を可能な限り小さく設定することができるように、塗布ダイの先端を構成する上流側と下流側の各ブロック先端とウェブとのクリアランスに差をつけたオーバーバイト形状のエクストルージョンダイが提案されている(例えば特許文献1)。ここで、下流側とはウェブの進行方向側を意味し、上流側とはウェブの反進行方向側を意味する。このオーバーバイト形状は、下流側のブロック先端とウェブとの距離が、上流側のそれとウェブとの距離よりも小さいものとされる。このオーバーバイト形状により、さらにダイとウェブとの最も狭い間隔が、小さくなる傾向にある。
ところで、塗布液には、その固体成分が凝縮した凝縮物や、析出物等の未溶解物や気泡等が含まれていることがあり、塗布されるまでの間に、ゴミ等が混入することもある。また、塗布工程に搬送されてくるウェブにもゴミ等が付着する場合もある。これらの異物は、ブロックの先端とウェブとの間に引っかかり、塗布膜にスジ等を引き起こすため、塗布を停止せざるを得ないことがある。また、このように引っかかった異物は、ブロックの先端とウェブとの間の僅かな隙間に滞留することが多い。この異物が滞留する隙間は、ウェブとのクリアランスが非常に狭いうえに、減圧チャンバの設置等により拭き取り作業が困難な部位となっており、塗布を中断させてダイを退避位置まで戻して拭き取りや洗浄をする必要がある。塗布の中断、つまり連続生産の中断は、製造コスト及び作業性にとって非常に大きなロスとみなされる。また、ダイとウェブとの間に引っかからずに塗布液とともに流動した異物は塗布液とともに塗布膜となる。この異物は塗布膜に欠陥を引き起こすため、製品として不良品とせざるをえない場合もある。
上記のような異物による塗布膜故障の中で、ゴミや凝集物に関しては、ある程度の対処が可能である。例えば、ウェブに付着するゴミ等については粘着ローラの設置や除電処理の強化等によって塗布前にウェブから除去することができる。また、塗布液中の凝集物については、塗布ダイへの送液路にフィルタを設けてこれを濾別することにより除去することができる。しかし、気泡に関しては問題が残り、気泡の中でも、例えば、塗布ダイへの送液中に何らかの形で塗布液中に混入した気泡はフィルタによる除去が可能であるが、一方、塗布事前に塗布液を塗布ダイのマニホールド及びスロットに満たす際に残存してしまう気体については完全な除去が困難であって、これが塗布時に断続的に気泡として塗布液中に排出され、塗布膜で泡による欠陥を引き起こすことがある。さらに、この排出された泡がダイのブロック先端とウェブの隙間に引っ掛かって滞留した場合には、スジ等を引き起こすこととなる。そこで、塗布事前にこのダイ内に残存する気体(空気)を完全に液で置換して除去するための方法として、ダイのマニホールドの流れ方向の端部に空気排出口を設け、マニホールド内の気泡を排出した後に、走行するウェブに連続塗布を行う塗布方法(例えば、特許文献2)、さらにマニホールドの断面形状を工夫した方法及び装置(例えば、特許文献3)等が提案されている。また、枚葉基板に間欠塗布を行う態様として、塗布ダイの吐出口を上向きとして塗布液の供給、吐出を行いダイ及び経路の空気の除去を行った後に、塗布ダイを回転させて塗布作動姿勢に位置決めして枚葉基板に間欠塗布を行う方法及び装置(例えば、特許文献4)が提案されている。
特開2003−211052号公報 特開平5−68927号公報(第2〜3頁、第1〜5図) 特開平9−276771号公報(第2〜6頁、第1〜3図) 特開平9−253556号公報(第2〜7頁、第1〜9図)
しかしながら、例えば、エクストリュージョンダイ塗布方式において、一般的にダイが設置される角度は横向きすなわちマニホールドからスロット吐出口に至るスロットがほぼ水平方向であるが、この場合、マニホールド内の気体を上記手段などで置換し除去したとしても、マニホールドのスロット入口近辺からほぼ水平のスロットを経てスロット吐出口に至る部分の気体を完全に液で置換し除去することは困難である。また、ダイを縦置きすなわちマニホールドからスロット吐出口に至るスロットの角度をほぼ鉛直方向に設置することにより、この問題は改善されるが、塗布前準備時や塗布中断退避時においてダイのスロット吐出口から液を吐出したままの状態において、液の回収が困難でダイブロック表面及びその周辺が液で汚れるという問題がある。さらに、特に塗布設備の高さ方向のスペースが必要となり、ダイ設置位置の自由度もなくなる。また、塗布ダイの吐出口を上向きとして塗布液の供給、吐出を行いダイ及び経路の気体の除去を行った後に、塗布ダイを回転させて塗布作動姿勢に位置決めするという方法は、数10cm幅以上のウェブに連続塗布を行う重量物である高精度な塗布ダイを回転移動させることが困難である上に、仮に何らかの位置決めを行ったとしても、特に、塗布ダイとウェブとが近接され、そのクリアランスが数100μm 以下でかつ10μm 以下の精度が重要視される薄層塗布においては、この精度を維持することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ダイ内に残存する気泡に起因する欠陥やスジ等の塗布膜故障のない良好な塗布膜を得る塗布方法及び塗布機を提供すること、特に湿潤厚みで10μm 以下の薄層塗布膜を形成する塗布方法及び塗布機を提供することを目的とする。さらに、限られたスペース内に塗布機をコンパクトに設置可能とすること及び塗布準備及び塗布中のダイブロック表面の汚れを少なくすることを両立させるような塗布方法及び塗布機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、内部にマニホールドと、一端が前記マニホールドに連結し他端が吐出口となっているスロットとを有するダイを用いて、液体を前記マニホールドに送って前記スロットの吐出口から吐出させ、走行するウェブに前記吐出口を近接させた塗布位置で前記吐出口とウェブとの間にビードを形成し、前記ビードから搬送上流側の前記ウェブ部分を減圧チャンバにより減圧して、前記ビードを介して前記ウェブに液体を塗布する塗布方法において、前記ウェブから前記ダイが離れた退避位置で、前記吐出口が上を向き前記スロットが水平面に対して交差するように前記ダイを保持した状態で、液体をマニホールドに送って、この液体が前記吐出口から吐出されるまで送る第1送液工程と、この第1送液工程の後に、さらに、第1送液工程で送られた液体と同じ液体をマニホールドに送って前記吐出口から液体の吐出しを行う第2送液工程と、この第2送液工程の後に、前記マニホールドに液体を送って前記吐出口から液体を吐出させた状態で、前記ダイを退避位置から塗布位置に直線移動させる第3送液ダイ移動工程とを経て、前記ウェブへの塗布を開始することを特徴とする。なお、上記各工程は連続して行ってもよく、さらには送液を中断する休止期間を各工程の間に入れて行ってもよい。また、第2送液工程は、少なくとも5分以上行うことが好ましい。
前記スロットは、間隙が50μm以上200μm以下の部分であって前記液体の流れ方向における長さが25mm以上の最も狭い部分を有し、この最も狭い部分の水平面に対する角度をスロット角θ1としたときに、15°≦θ1≦90°の範囲内の一定角度に前記ダイを退避位置で保持し、この角度を保持した状態で前記退避位置から塗布位置へ移動させることが好ましい。また、前記第1送液工程では、前記スロットの最も狭い部分における液体の線流速の平均値が3cm/秒以下である流量で、前記マニホールドに液体を送ることが好ましい。
第1送液工程及び第2送液工程で送られる液体の溶存空気量が、飽和溶解度の70%以下であることが好ましい。また、前記液体は、ダイ内残存気泡排出用の第1液体と、塗布用の第2液体であり、第1送液工程と第2送液工程では第1液体が送られ、第2送液工程と第3送液ダイ移動工程との間に、マニホールドへ送られる液体が第1液体から第2液体に切り換えられることが好ましい。
前記ダイが退避位置から塗布位置へ移動する際のダイの移動速度が3cm/秒以下であることが好ましい。また、前記塗布位置の前記ウェブはバックアップローラに巻き掛けられて走行していることが好ましい。さらに、前記吐出口から流下した液体を前記ダイの下方に設けた回収部材で回収することが好ましい。前記減圧チャンバの一部から前記回収部材を構成することが好ましい。前記塗布位置において塗布直後の前記ウェブと前記スロットとのなす角度を塗布角θ3としたときに、塗布角θ3が90°≦θ3≦150°の範囲の一定角度になるように前記ダイが保持されることが好ましい。
前記塗布位置における前記ダイと前記ウェブとの最も狭い間隔(クリアランス)が30μm以上100μm以下であることが好ましい。また、前記最も狭い間隔が、前記ウェブの走行方向下流側のダイ先端による間隔であることが好ましい。また、前記ウェブに形成される前記液体の湿潤厚みが10μm以下であることが好ましい。
また、本発明の塗布機は、内部にマニホールドと、一端が前記マニホールドに連結し他端が吐出口となっているスロットとを有するダイを用いて、液体を前記マニホールドに送り前記スロットの吐出口から吐出させ、走行するウェブに前記吐出口を近接させた塗布位置で前記吐出口とウェブとの間にビードを形成し、前記ビードから搬送上流側の前記ウェブ部分を減圧チャンバにより減圧して前記ビードを介して前記ウェブに液体を塗布する塗布機において、前記スロットの吐出口が上を向き前記スロットが水平面に対して交差するように前記ダイを保持する保持台と、この保持台を前記ウェブから前記ダイが離れた退避位置と、前記ウェブに前記ダイが接近して前記ビードが形成される塗布位置との間で直線移動させる移動台と、前記移動台を退避位置にして前記マニホールドに液体を送り、液体が前記吐出口から吐出されるまで液体を吐出させる第1送液と、さらに退避位置で液体を吐出口から5分以上吐出させる第2送液とを行い、この後に、液体を吐出口から吐出させた状態で移動台を退避位置から塗布位置にして前記液体を前記ウェブに塗布するコントローラとを有することを特徴とする。なお、前記スロットは、間隙が50μm以上200μm以下の部分であって前記液体の流れ方向における長さが25mm以上の最も狭い部分を有し、この最も狭い部分の水平面に対する角度をスロット角θ1としたときに、前記保持台は、15°≦θ1≦90°の範囲内の一定角度に前記ダイを退避位置で保持し、この角度を保持した状態で前記移動台は前記退避位置から塗布位置へ前記ダイを移動させることが好ましい。また、前記コントローラは、前記第1送液において、前記スロットの最も狭い部分における液体の線流速の平均値が3cm/秒以下である流量で、前記マニホールドに液体を送ることが好ましい。さらに、第1送液及び第2送液とで送られる液体の溶存空気量を、飽和溶解度の70%以下とする膜脱気装置を備えることが好ましい。
吐出口が上を向き、ダイのスロットが水平面に対して交差するように前記ダイを保持した状態で、ウェブから前記ダイが離れた退避位置にして液体を前記吐出口から吐出させる第1送液工程と、この第1送液工程の後にダイのマニホールドに液体を送る第2送液工程と、この第2送液工程後にマニホールドに液体を送って前記吐出口から液体を吐出させた状態で、前記ダイを退避位置から塗布位置に直線移動させる第3送液ダイ移動工程とを有することにより、ダイ内のマニホールド及びスロット内の空気を液体に置換してマニホールド及びスロット内の気泡を確実に除去することができる。したがって、ウェブに液体の塗布を開始した後に、ウェブとダイとの間に気泡が発生することがなく気泡に起因するスジ状の塗布むらや泡による欠陥がなくなる。
また、塗布液をスロットの吐出口から吐出した状態で、退避位置から塗布位置へのダイの直線移動を行い塗布を開始することにより、高い精度でダイを塗布位置に設置することが可能となり、また、ウェブへの塗りつけ、ビード形成が安定に行え、塗りつけ時のビードへ周囲の空気が取り込まれることによる気泡の発生が防止される。特に、ダイが退避位置から塗布位置に移動する際に、少なくとも前記塗布位置へ到達する際の前記ダイの速度を30mm/秒以下、より好ましくは15mm/秒以下とすることにより、より一層高い精度でダイを塗布位置に設置することができる。しかも、ウェブへの塗りつけ、ビードの形成をより安定して行うことができ、塗りつけ時のビードへの周囲の空気の取込みが抑制され、取り込まれた気泡によるスジ故障などの発生がなくなる。
前記スロットは、間隙が50μm以上200μm以下の部分であって前記液体の流れ方向における長さが25mm以上の最も狭い部分を有し、この最も狭い部分の水平面に対する角度をスロット角θ1としたときに、15°≦θ1≦90°の範囲内の一定角度に前記ダイを保持することにより、ダイを水平方向に配置した場合と比較して塗布機全体の水平方向のサイズを抑えることが可能になる。特に、スロット角θ1を、15°以上60°以下とすることにより、さらに、ダイを垂直方向に配置した場合と比較して塗布機全体の高さ方向のサイズを抑えることが可能となって、塗布機をコンパクトにまとめることができる。しかも、スロット角θ1を15°以上60°以下の範囲の一定角度に保持することにより、塗布準備時や塗布中断の一時退避時にスロット吐出口から吐出される液をパン等の回収部材で受けて排出することが容易になり、ダイ表面及び周辺部の汚れを防止することができる。また、回収部材を減圧チャンバの一部から構成することにより、操作性に優れ、液体の回収が容易になる。
また、塗布位置において、スロット吐出口における塗布液の吐出方向(スロット吐出口の延長方向)が、塗布後の搬送下流側のウェブに対してなす角度を塗布角θ3としたときに、90°≦θ3≦150°の範囲をすることにより、さらに塗布機全体の高さを抑えることが可能となる。
また、前記第1送液工程では、前記スロットの最も狭い部分における液体の線流速の平均値が3cm/秒以下である流量で、前記マニホールドに液体を送ることが好ましく、1.5cm/秒以下とすることにより、間隙が50μm以上200μm以下の部分であって前記液体の流れ方向における長さが25mm以上の最も狭い部分を有するスロット内の空気を液体に置換して、気泡を確実に除去することができる。また、マニホールドに供給する液体の溶存空気量を飽和溶解度の70%以下、特に50%以下にすることにより、塗布事前にダイへ液体を送液する際の、マニホールド内及びスロット内の空気から液体への置換及び気泡の除去がさらに効率よく行われる。
ダイ内残存気泡排出用の第1液体と、塗布用の第2液体とを用意し、ダイ内の空気を第1液体で置換し気泡を除去した後に、塗布液としての第2液体へ切り替えることにより、塗布液の無駄を少なくし、効率の良い塗布作業が行える。すなわち、塗布事前から塗布液を使用する場合には、吐出した塗布液を廃棄することによる無駄があり、また再利用するにしても塗布液の溶剤揮発分を補正する必要があり、手間となっていたが、これらが解消される。
図1に示すように、塗布機10は、ウェブ11を支持しながら搬送するバックアップローラ12と、スロットダイ(エクストルージョンダイともいう。以下、単にダイと称する。)13とを有している。バックアップローラ12は軸12aを回転中心として回転駆動される。ダイ13は内部にマニホールド14及びスロット15が形成されており、二つのダイブロック13c,13dから構成されている。マニホールド14は、ダイ13内で塗布幅方向に延びるように形成されている。このマニホールド14の一端には流入口13bが形成されており、この流入口13bには送液管19を介して塗布液8が送られる。スロット15は、一端がマニホールド14に連通し他端が吐出口13aとなっている狭く絞られた通路から構成されており、吐出口13aは塗布幅に対応した長さで形成されている。マニホールド14に供給された塗布液8は、スロット15を通過することでほぼ幅方向に均一な流量で吐出口13aから吐出される。
図2に示すように、塗布位置にあるダイ13の先端の吐出口13aはウェブ11に近接しており、吐出口13aから吐出された塗布液8は走行するウェブ11にビード9を介して接触し、塗布液8が連続的にウェブ11に薄膜として塗布される。
図1に示すように、マニホールド14の流入口13bには、送液管19、バルブ18及びポンプ24,25を介して第1供給元16及び第2供給元17が接続されている。また、バルブ18,ポンプ24,25、及び後に説明するシフト機構26を制御するコントローラ20が設けられている。通常、ポンプ24,25からバルブ18を経てマニホールド14の流入口13bに至る送液管19は、液体による空気の置換、気泡の排出のために上り勾配に設置される。第1供給元16は塗布液8を供給し、第2供給元17はダイ内残存気泡排出液(以下、単に残存気泡排出液または充填液という)7を供給する。この残存気泡排出液7は、塗布作業の初期段階でダイ13内の塗布液流路内の空気を排出するために充填される液体であり、本実施形態ではコスト的に有利な溶媒が用いられる。この溶媒は塗布液用の溶媒が好ましく用いられる。これら塗布液8または残存気泡排出液7はバルブ18によって切り替えられ、選択された塗布液8または残存気泡排出液7がポンプ24,25によってマニホールド14に送られる。各供給元16,17とバルブ18との間にはさらに、膜脱気装置27,28が設けられている。この膜脱気装置27,28は、内部を通過する塗布液8または残存気泡排出液7に対して、インラインの減圧処理により溶存空気量を減少させる。なお、液体中の溶存空気量を減少させることができるものであればよく、各種の脱気装置を用いてよい。
前記マニホールド14の断面形状は、塗布事前に残存気泡排出液7をマニホールド14に供給して、空気を残存気泡排出液7で置換し充てんする際に、気泡が残留しないような抜け易い形状とされており、例として長辺が上に位置するように配置される台形や半円形、半楕円形等があげられる。また、マニホールド14への液体の流入口13bの位置は、塗布幅方向の一端に設けられており、サイド給液方式を採用しているが、これに限定されることなく、流入口は中央または両端に設けられていてもよい。
ダイ13のスロット15は、間隙G1が狭く且つある程度以上の長さL1に設計されている。これは、スロット15での圧力損失をダイ13内の塗布液流路全体による圧力損失の大部分(律速)として、スロット15からの塗布液の吐出量の幅方向分布を均一とした薄層塗布を可能とするためである。本実施形態では、湿潤膜厚で10μm前後の塗布が対象であり、そのためスロット15の間隙G1が50〜200μの部分を塗布液流出方向における長さL1を25mm以上確保している。マニホールド14からダイ13の吐出口13aに至るスロット15の形状は、一般的には直線で間隙G1も均一であるが、間隙G1が徐々に或いは段階的に変化するスロットや、直線でなく屈曲点を有するスロット、湾曲しているスロットであってもよく、これらのスロットに対しても本発明を適用することができる。
図2に示すように、ダイ13は、ウェブ走行方向における下流側のブロック13cの先端(第1リップランド)13eが、上流側のブロック13dの先端(第2リップランド)13fよりもウェブ11に近接したオーバーバイト形状とされており、その表面は超硬材質とされている。超硬材質としては、タングステンカーバイドが用いられる。
図1に示すように、ダイ13は、保持台21に設置され、この保持台21はレール22上の移動台23の所定位置に設置される。移動台23の反ウェブ側端部には軸23aが設けられており、移動台23はこの軸23aを中心として0°以上90°以下の範囲で回転可能とされている。また、移動台23はレール22に取り付けられている。レール22の前端部には塗布位置ストッパ22aが設けられており、後端部には退避位置ストッパ22bが設けられている。これらストッパ22a,22b間で、移動台23はシフト機構26により直線移動される。このシフト機構26は、コントローラ20によって制御され、移動台23の移動速度も調節する。また、移動台23には、保持台21及びダイ13の回転角度を制御する回転機構(図示せず)が設けられており、これによって、ダイ13のスロット角θ1が一定範囲内で変更可能にされており、変更されたスロット角θ1が保持される。
本実施形態においては、移動台23が、退避位置ストッパ22bに当接した退避位置でダイ13内のマニホールド14及びスロット15の液充填や吐出口13aの仕上げ等の塗布事前の準備がなされ、その後に塗布位置ストッパ22aに当接した塗布位置に直線移動され塗布が行われる。塗布を一時的に停止、あるいは終了する際には移動台23は退避位置ストッパ22bに当接した退避位置まで後退される。
スロット15は水平面に対して斜めに交差するように保持されており、且つ吐出口13aが上向きにされている。このため、残存気泡排出液7及び塗布液8は、流路であるスロット15を通り、吐出口13aにおいて吐出される際には、スロット15に沿った向きで吐出される。このスロット15でスロット間隙G1が50〜200μの部分の流路面が、任意の水平面に対してなす角度をスロット角θ1とする。スロット15が直線でなく流路の角度が変化する場合は、水平面に対する最小の角度をスロット角θ1とする。本実施形態においては、前記スロット角θ1は、軸23aを中心として0°以上90°以下の範囲で移動台23とともに保持台21及びダイ13が回転することで設定可能となっている。
また、スロット吐出口13aにおける塗布液8の吐出方向(スロット吐出口の延長方向)がウェブ11と交差する位置において、塗布後の搬送下流側のウェブ11に対してなす角度を塗布角θ3とする。ダイ13、保持台21、移動台23及びレール22を一体で高さ方向に移動することにより、バックアップローラ12に支持されたウェブ11に対して吐出口13aの位置が変更され、これによって、塗布角θ3が変更される。また、塗布中にビード9を介してウェブ11に塗布膜が形成され始める点(塗布開始点)をPSとして、塗布開始点PSとバックアップローラ12の回転中心とを結ぶ線と水平面とのなす角度を塗布開始点角θ2とする。この塗布開始点角θ2は図1に示すように塗布開始点がバックアップローラ12の下側の周面に位置するときには正となり、図5に示すように、塗布開始点がバックアップローラ2の上側の周面に位置するときには負となる。スロット吐出口13aの延長方向がウェブ11と交差する位置は、塗布開始点PSと厳密には一致することはないが、θ1−θ2≒θ3−90°の関係となる。
これらダイ13、保持台21、移動台23及びレール22の可動部分には、強固な固定手段とμmオーダーでの狂いが生じないようにストッパ(図示なし)が設けられており、所定の位置及び角度に設定された後、高度な設置精度を長時間維持することができるものとなっている。
なお、本実施形態のように保持台21と可動式の移動台23の代わりに、例えば移動台23を前後の移動及びその移動速度制御の機構を有するものとし、さらにダイ13を設置する設置面に予め角度を持たせた保持台を作成して用いてもよい。いずれにしても、移動台23や保持台21は、長期の連続使用にたえうる設置精度を有するものとすることが好ましい。
ダイ13は、退避位置と塗布位置の間で双方向に直線移動されるため、退避位置及び塗布位置においても、スロット角θ1は変化しない。本発明において、スロット角θ1は、15°以上90°以下の一定角度に保持される。そして、塗布事前に退避位置において、残存気泡排出液7がマニホールド14に供給され吐出口13aから吐出されることにより、ダイ13の内部の気体(空気)が残存気泡排出液7で置換され、また気泡として浮力によって吐出口13aから排出される。
このようにダイ13を傾斜させて塗布位置に設置した場合には、ダイ13、保持台21及びバックアップローラ12を含む塗布機全体としてのサイズが特に高さ方向に大きくなる。また、傾斜すなわちスロット角θ1をあまり大きくすると塗布準備時や塗布中断で退避位置でのスロット15から吐出された液の回収が困難となり、重力方向下側のダイブロック13dの表面が塗布液8で汚れることとなる。これは、単にダイ13が汚れて塗布中、または塗布後の清掃の負担が増えるだけでなく、例えば低沸点有機溶剤を含む塗布液がダイ13のブロック表面に不均一に付着することにより、有機溶剤の揮発によりブロック13dが冷却され、このブロック表面の温度分布によりブロック13dが変形する一因ともなる。このため、スロット角θ1は実質的には15°以上60°以下とすることが妥当である。また、ダイ13の吐出口13aの重力方向下方には塗布液8の受け部材や塗布液がダイに直接に接触することがないようにする覆い部材を設けることが好ましく、この場合には、塗布準備時や塗布中断で一時退避時に吐出された溶剤や塗布液によってダイを汚したり、ダイに温度むらを発生させたりすることなく、回収することができる。
本発明の塗布方法においては、ビード9の形成を最適化にするために、図3に示すように、減圧チャンバ30をビード9の下方に設置し、ビード9の背面を減圧している。減圧チャンバ30は、ダイ13側に取り付けられており、ビード9の下部を覆うように、底板30a、前板30b、両側板30c、後板30dにより箱型状に構成されている。側板30cの一方には回収管31が接続されており、この回収管31によって底部に溜まった残存気泡排出液7や塗布液8が回収される。また、バックアップローラ12の下方に位置する前板30bにはサクション管32が接続されており、このサクション管32には図示しないバッファを介してブロアが接続されており、減圧チャンバ30内を所定の減圧度となるように減圧する。本実施形態においては、塗布時における最適減圧度が、 0.4×103Pa以上3.0×103Pa以下の範囲とされている。しかし、これは、塗布液の粘度や表面張力、塗布速度、オーバーバイト量等に応じて適宜設定されるものであり、本発明は減圧条件に依存するものではない。
また、本発明の実施形態においては、塗布準備時にダイ13の吐出口13aから出た残存気泡排出液7や塗布液8、塗布中断退避時に吐出口13aから出てウェブ11に塗布されなかった塗布液8は、減圧チャンバ30の底部にたまり、前記回収管31を介して抜き取られる。この塗布液8等は回収した後に溶媒などを加えて再度塗布液として用いてもよい。
塗布事前に退避位置において、コントローラ20は各部を制御することによって、ダイ13のマニホールド14に残存気泡排出液7を供給する。これにより、スロット15をはじめとするダイ13の内部や、液体供給元16,17からダイ13に至る送液管19中に存在していた空気は、残存気泡排出液7に置換されて吐出口13aから押し出され、また残存気泡排出液7に気泡として取り込まれて残存気泡排出液7とともに吐出口13aから外部へ排出される。このダイ13内の流路を空気から残存気泡排出液7に置換するのが、第1送液工程となる。この第1送液工程において、マニホールド14に残存気泡排出液7の供給を開始してから、少なくとも残存気泡排出液7が吐出口13aから吐出されるまでは、スロット15の間隙G1が50〜200μmの部分において流れる液体の線流速(単位;cm/秒)の平均値は、3cm/秒以下とすることが好ましい。さらに、スロット15における上記線流速の平均値が1.5cm/秒以下となる範囲とすることがより好ましい。なお、スロット15における線流速は、その断面における位置によりばらつきがあり、特に幅方向においては、ばらつきがあるので、線流速の平均値とは、これらのばらつきを有する線流速を平均化して求めた値である。また、本実施形態においては、スロット15における線流速は、スロット15の間隙G1が50〜200μmの部分の断面積で送液流量を除した値としており、さらにスロット15の開口部の断面積は、スロット15の間隙G1と塗布幅を乗じた値としている。
ダイ13内の気泡の除去を確実とするため、吐出口13aから残存気泡排出液7が吐出された後も、残存気泡排出液7を少なくとも5分送液する。この送液が第2送液工程となる。この第2送液工程において、ダイ13への残存気泡排出液7の送液流量は第1送液工程における送液流量に対し変化させてもよい。
供給する残存気泡排出液7は、何らかの手段で脱気処理を行い、溶存空気量を飽和溶解度に対して70%以下に減少させることが好ましい。さらに、溶存空気量は飽和溶解度に対して50%以下とすることがより好ましい。脱気手段として、供給元タンクの加熱処理、真空(減圧)処理、ダイへの供給ラインの途中におけるインライン真空(減圧)処理等があげられ、特に手段は限定されないが、到達する溶存空気量が低いこと(脱気度が高いこと)、供給される液体の溶存空気量が一定であること等から、インラインでの膜による真空(減圧)処理が好ましく、本実施形態では、この真空処理による膜脱気装置27,28を用いて、残存気泡排出液7及び塗布液8の脱気処理を行っている。
なお、塗布事前に退避位置において第1、第2送液工程で、マニホールド14に供給する液体として残存気泡排出液7を用いたが、これに代えて塗布液8を最初から用いてもよい。この塗布液8を最初から用いる場合には、送液系統として第1供給元16のみを設けるだけでよく、送液系統の構成が簡単になる反面、塗布事前に吐出口13aから吐出された塗布液8を廃棄することによるロスや、廃棄コストが発生するというデメリットがある。したがって、吐出された塗布液8を回収して再利用する場合に溶剤揮発分を補正することの手間や処理コスト等を考慮したりすると、塗布液8以外の安価な液体(一般的には溶剤)、特に塗布液8の主成分である溶媒を使用することが好ましい。
塗布液8に用いる溶媒としては公知の各種溶媒を用いることができる。例えば、水、各種ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトンなどを単独でまたは複数混合して溶媒として用いてよい。また、残存気泡排出液7としては、上記各種溶媒を単独または混合したものの他に、これらの溶媒と他の液体を混合したものを用いてもよい。さらに、気泡の除去効果を高めるため、ダイ13の接液部の材質との親和性(濡れ性)を考慮した液体を残存気泡排出液7として用いてもよい。
なお、残存気泡排出液7を用いる場合には、ダイ13内のマニホールド14及びスロット15を含む塗布液流路内の空気の置換、気泡の除去作業を終えて塗布を開始する前に、残存気泡排出液7から塗布液8に切り替え、塗布液流路内を塗布液8で置換する。例えば、最初に第2供給元17から残存気泡排出液7を送り、ダイ13内の空気の置換、気泡の除去を所定の条件で行う第1送液工程、及び第2送液工程の後に、バルブ18により第2供給先17の残存気泡排出液7から第1供給先16の塗布液8へ切り替え、ダイ13へ塗布液8を送り、バルブ18からダイ13に至る送液管19とダイ13内のマニホールド14及びスロット15の残存気泡排出液7を塗布液8に置換する。この塗布液置換工程の後に、第3送液ダイ移動工程を行う。
塗布開始の際には、塗布液8をマニホールド14に供給して吐出口13aから吐出させたまま、ダイ13を塗布位置に直線移動させる。この第3送液工程とダイ移動工程とを含めたものが、第3送液ダイ移動工程となる。この第3送液ダイ移動工程によって、ビード9を介して塗布液8がウェブ11に塗布される。この第3送液ダイ移動工程における塗布液8の流量を、実際の塗布中の塗布量に相当する流量(塗布流量)とすることが一般的であるが、塗り付けを向上させるために塗布流量よりも大きくしたり、塗り付け開始時の液の飛散等を考慮して塗布流量よりも小さくしたりしてもよい。いずれにしても、ダイ13を塗布位置に移動して、塗り付けが行われ塗布が開始された後は、塗布液8の送液量は所定の塗布流量に設定され、定常の連続塗布製造が行われる。
ダイ13の塗布位置への位置設定を正確に行うためにはダイ13には好ましい移動速度範囲があり、退避位置から塗布位置への移動速度を5mm/秒以上30mm/秒以下とすることが好ましい。30mm/秒より大きいと、塗布位置ストッパ22aに移動台23が強くぶつかってしまい、大きな振動が発生して、事前にμmオーダーで調整したダイ11の設置位置や設置角度に狂いが生じ、予め設定していた減圧条件にも影響を及ぼすので好ましくない。なお、湿潤膜厚が大きい塗布では、一般的にはダイ13とウェブ11とのクリアランスC1は100μmから300μm程度の比較的大きな設定となり、数μmの位置のずれは大きな問題にはならない。しかし、本実施形態のように、10μm以下の薄層塗布を行う場合には、ダイ13とウェブ11とのクリアランスC1を100μm以下とする必要があり、このような場合には、塗布開始時におけるダイ13の移動速度を制限することにより、精度よく塗布位置にダイ13を移動することができる。しかも、塗布位置へのダイ13の移動速度を一定範囲に制限することにより、塗布位置にダイ13をセットする際に生じる設置位置のずれがなく、ダイ13とウェブ11とのクリアランスC1を高精度に維持することができる。
退避位置から塗布位置へのダイ13の移動速度を上記範囲に制限することは、ビード9の発泡を抑制する意味でも効果がある。ビード9中への気泡の取り込みは、塗布故障の大きな原因のひとつであり、この現象は、塗布開始時のみならず、塗布を一時的に中断してダイ13を塗布位置から退避位置へと移動させて再び塗布位置に移動させて塗布を再開する場合にも発生しやすい。塗布の一時中断は、例えば、ウェブ11の接合部がダイ13とバックアップローラ12との間を通過する際に行われる。ダイ13の退避位置から塗布位置への移動速度は、上記範囲とされることが好ましいが、5mm/秒以上20mm/秒以下とされることがより好ましく、また、ダイ13が退避位置から塗布位置に移動する間の任意の位置における移動速度も常に上記範囲とされることがさらに好ましい。また、塗布が一時的に中断される場合には、塗布位置から退避位置へと移動する際においても、その移動速度を上記範囲とすることが好ましく、少なくともその初期速度を上記範囲とすることが好ましい。
ダイ13の移動速度は、遅ければ遅いほど気泡のビード9への取り込み、及び振動の発生や塗布機10に対するその振動の伝達が抑制されるので望ましいが、工業レベルでの生産性をも考慮に入れる必要がある。したがって、上記速度にすることにより両方の条件をほぼ満足することができる。生産性をより一層重視する場合には、気泡の取り込み抑制効果は下がることもあるが、退避位置から塗布位置への移動に関しては、移動台23の移動を2段階方式にして、第1段階は速く移動させ、第2段階である塗布位置への移動のみ5mm/秒以上30mm/秒以下とすることで対応が可能である。無段階変速機能である移動台の場合もこれを適用して、塗布位置に達する最終速度を5mm/秒以上30mm/秒以下になるようにしてもよい。
塗布位置における塗布角θ3は90°以上150°以下の範囲にして塗布することが好ましい。これにより、さらに塗布機全体の高さを抑えることが可能となる。ただし、あまり塗布角θ3を大きくすると、高精度が要求されるダイの先端(リップ形状)の製作、仕上げが困難であることから、塗布角θ3は150°以下が実用的である。
本発明は、ひとつのダイ13に形成されている吐出口13aならびにそれに至るスロット15の数は、ひとつに限定されず、例えば、図4に示すように、吐出口が複数設けられたダイを用いて塗布する場合に本発明を適用してもよい。この実施形態では、ダイ40は、第1〜第3の吐出口41a,41b,41cを有しており、第1〜第3の吐出口41a,41b,41cをそれぞれ形成する第1〜第4のランド42a,42b,42c,42dをそのウェブ46側先端としている。このダイ40は、第1〜第4のランド42a,42b,42c,42dをそれぞれ有する互いに独立したブロックが組み立てられて一体化されている。なお、図4ではスロット41を3個形成しているが、これは2個以上であればよい。ウェブ46は、バックアップローラに支持されながら搬送されているがここでは図示を省略している。
ダイ40を用いた塗布では、3種類の塗布液をそれぞれダイ40に送り、それらの塗布液をそれぞれ第1〜第3の吐出口41a〜41cからウェブ46へ吐出させて塗布する。ただし、このダイ40を用いる場合であっても、用途に応じて、塗布液は3種類に限定されるものではない。第1〜第3の吐出口41a〜41cからウェブ46へは3層からなるビード48が形成され、同層数からなる塗布膜49が形成される。
第1〜第4のランド42a,42b,42c,42dのうち、ウェブ46の走行方向において最下流側に位置する第1吐出口41aを形成している第1ランド42aは、第2〜第4のランド42b,42c,42dよりも、ウェブ46に近接しており、オーバーバイト形状のダイ40とされている。塗布位置における第1ランド42aとウェブ46とのクリアランスC1は30μm以上100μm以下とされ、第2〜第4のランド42b,42c,42dとウェブ46とのクリアランスC2は80μm以上300μm以下とされている。ただし、本発明は、第2〜第4のランド42b,42c,42dとウェブ46とのクリアランスC2は必ずしも同一である必要はなく、また、第1ランド42aと第2〜第4ランド42b,42c,42dのオーバーバイト量C2−C1に依存するものではない。さらに、スロット角θ1に関しては全てのスロット41で、塗布角θ3に関してはすべてのスロット吐出口41a〜41cに関し、単層の場合と同様の範囲とする。本発明はダイ40のような3層同時塗布にも適用されるが、この層数は3層に限定されるものではなく、2層以上の任意の重層であればよい。
なお、図1に示す吐出口13aはバックアップローラ12の右下側の周面を塗布位置に設定しているが、図5に示すように、バックアップローラ12の右上側の周面を塗布位置に設定してもよい。このようにバックアップローラ12の上側の周面上に塗布位置を設定することで、塗布位置を高く設定することができ、塗布準備作業をオペレータが作業し易い姿勢で容易に行うことができるようになる。なお、図5に示す実施形態において、図1に示すものと同一構成部材には同一符号が付してあり、重複した説明を省略している。
本発明は、塗布膜の湿潤厚みが概ね25μm以下の薄膜塗布を行う場合であれば有効であるが、10μm以下の精密薄層塗布を行う系に特に効果がある。また、単層の1回塗布のみならず、単層の塗布を逐次繰り返して行い重層を形成する場合においても、各層の湿潤厚みが10μm以下の薄膜塗布の場合に特に有効である。塗布速度は、概ね100m/分以下の領域で適用可能である。
単層塗布、重層塗布のいずれの場合においても、塗布液8に界面活性剤が含有されているときには特に気泡が発生し易く、本発明はこのような塗布においても大きな効果が得られる。また、塗布液8が、高粘度の場合には、ダイ13のマニホールド(図示せず)やスロット15における気体の液置換が容易であるので、気泡の発生頻度ならびに発生量が小さくなるが、低粘度の場合には、気体の取り込み性が高く、気泡の発生頻度や発生量が大きい傾向にある。このような低粘度の液体、特に、塗布液の粘度が20mPa・s以下である系において、本発明はよりよい効果が得られる。
本発明は一般には塗布するのが困難といわれる湿潤膜厚がより小さい系、塗布速度が大きい系ほど効果が大きい。以上の各方法は、単独でなされてもよいが、組み合わせて用いられることが最も有効であり、塗布系に応じて適用できる方法のみを採用してもよい。本発明の塗布方法は、ウェブにダイを近接させて塗布液が塗布される塗布方法に有効であり、本実施形態で示したような、バックアップローラ12に巻き掛けられて走行するウェブ11にエクストリュージョンダイ13を近接させて塗布する形態だけでなく、塗布位置でバックアップローラに巻き掛けられずに走行するウェブに、エクストリュージョンダイを近接させて塗布する方法にも当然に適用することができる。さらに、エクストリュージョンダイだけでなく、スライドビード塗布に本発明を適用することも可能である。
また、本発明は、以下に示すような、塗布液中の気泡による塗布膜の欠陥、スジ等の抑制対策と併用することができる。例えば、塗布事前に残存気泡排出液7や塗布液8などの液体をダイに送液する際に、発振器によりダイ13を介して液体に振動を与える。この振動により、より効率的、効果的にダイ13及び送液経路から気泡が除去される。発振器による振動の付加は、ダイ13に直接与えてもよいし、あるいは、第2供給元17からダイ13への送液管19や送液ホース等に与えてもよい。発振器の取り付け位置は、ダイ13の外表面や、ダイ13を着脱自在に設置している保持台21の表面の他、これらに接続されてダイ13の内部に必要十分な振動を与えることができる位置であればよく、より好ましくは、ダイ13における塗布液等の供給口である流入口13bから1m以内とされる。また、ダイ13のマニホールド壁に発振器を設けて、液体に直接振動を与えてもよい。
また、発振器に代えて、塗布事前に液体をダイに送液する際に、例えば送液ポンプの流量を単位時間当たりで変更し脈動を与えることにより、気泡の除去効率を上げてもよい。この場合には、短時間単位での流量切り替えが可能なポンプを、第2供給元17からダイ13に至る送液管19に設ける。
塗布時の気泡に起因する塗布欠陥の発生は、スロット15をはじめとする流路内での液体充填時の残留気泡のみが原因ではなく、塗布液8自体にもともと含まれている気泡や、塗布液8に溶解していた気体成分などが原因で気泡が発生することもある。したがって、これらの気泡に起因する塗布膜欠陥の発生を抑えるために、前記したような膜脱気等の何らかの脱気処理を行い、溶存空気量を低下させた塗布液8を使用することが好ましい。また、送液系の上流から下流に向かうに従い塗布液温度を低下させて、気体の溶解度を下げて気泡の発生を防止することも有効である。これは、例えば塗布液タンクジャケットよりも送液管ジャケット(二重管)、送液管ジャケットよりもダイの温度を調節する温調保温孔の温調媒体のそれぞれの温度を徐々に下げることで実現することができる。
本発明のウェブとしては、公知の各種ウェブを用いることができる。一般的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、セルロースダイアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)等の公知の各種ポリマーフィルム、紙、紙にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンブチレン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布またはラミネートした各種積層紙、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、スズ(Sn)等の金属箔等、帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたもの、あるいはこれらを積層した各種複合材料が含まれる。さらにウェブには、光学補償シート塗布液、反射防止フィルム塗布液、磁性塗布液、写真感光性塗布液、表面保護、帯電防止あるいは滑性用塗布液等がその表面に塗布され、乾燥された後、所望する長さ及び幅に裁断される場合も含まれ、この代表例としては、光学補償シート、反射防止フィルム等が挙げられるが、これらに限定されない。
〔実施例1、2〕
既存の光学補償シート製造設備にて、本発明の塗布方法を実施した。一般に光学補償シートは、以下の(a) 〜(c) の各工程を経て製造される。
(a) 必要に応じてゼラチン下塗り、アルカリ鹸化処理等が施された透明プラスティックフィルムベースの表面上にPVA(ポリビニルアルコール)溶液等を塗布、乾燥して配向膜用樹脂層を形成する。
(b) 上記樹脂層にラビング処理を行う。
(c) ラビング処理した樹脂層の表面上に硬化樹脂を含む液晶層を塗布した後、乾燥、加熱熟成、硬化(紫外線照射など)を行い光学異方性層を形成する。
上記(c) の液晶層の塗布工程に、本発明の塗布方法を実施した。
ウェブ11としては、厚み100μm、幅1300mmのセルローストリアセテート(商品名;フジタック、富士写真フイルム(株)製)を用いた。ウェブ11の表面に、長鎖アルキル変性ポバール(商品名;MP−203、クラレ(株)製)の2重量%溶液を25ml/m2で塗布し、60℃で1分間乾燥して配向膜用樹脂層を形成した。この配向膜用樹脂層を形成したウェブ11を送り、配向膜用樹脂層の表面にラビング処理を施して配向膜を形成し、そのまま液晶層の塗布工程へ搬送して本実施例の塗布を行った。なお、ラビング処理におけるラビングローラの回転周速を5.0m/秒とし、配向膜用樹脂層に対する押しつけ圧力を9.8×10-3Paに設定した。
液晶層の塗布液として、ディスコティック化合物TE−(1)とTE−(2)の重量比率4:1の混合物に、光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を1重量%添加した混合物を、40重量%メチルエチルケトン溶液とした、液晶性化合物を含む溶液を用いた。塗布液8を本実施例により塗布したウェブ11を、100℃に設定した乾燥ゾーン、及び130℃に設定した加熱ゾーンを通過させ、この液晶層表面に紫外線ランプにより紫外線を照射した。
Figure 2005013989
図1に示すような、マニホールド14の断面形状が台形 (高さが20mm,平行な対向する辺の長辺が30mm,短辺が20mm)のダイ13を用い、サイド給液によりマニホールド14の一端に設けた流入口13bから液体を供給した。スロット15は間隙G1が300μm、200μm、50μmの3種類とし、スロット長さL1は25mmとした。また、マニホールド幅及びスロット吐出幅は、1200mmとした。そして、下流側リップランド長50μm、上流側リップランド長1mmとし、スロット吐出口(リップ)形状のオーバーバイト長さを50μmとした。そして、表1,2の各実施例のスロット角θ1となるように、ダイ13を設置した。また、塗布位置におけるダイ13とウェブ11とのクリアランスC1を表1、2の各実施例の値に設定した。また、塗布角は100°に設定した。
塗布事前に、塗布位置から離れた退避位置において、4.0cm/秒のスロット流速となる送液量で塗布液(溶存空気量がほぼ飽和状態)8をダイ13のマニホールド14の一端の流入口13bに供給し、スロット15から塗布液8を吐出させた(第1送液工程)。そのままの流量で塗布液8の供給を表1,2の第2送液工程時間継続(第2送液工程)した後に、ダイを退避位置から塗布位置に20mm/秒の速度で直線移動(第3送液ダイ移動工程)して、速度50m/分で走行するウェブ11に塗布を行った。
表1に示す本実施例の評価結果において、
気泡に関しては、以下のような基準で判定した。
◎は、塗布開始直後から気泡がほとんど認められないレベル。
○は、塗布開始初期は、気泡による欠陥が多少認められるが、1分経過以降は、ほとんど認められないもので製品として許容されるレベル。
△は、塗布開始1分経過以降も気泡による欠陥が1個/m2以下認められるもので製品として許容限度のレベル。
×は、塗布開始1分経過以降も気泡による欠陥が1個/m2を超えて3個/m2以下認められるレベル。
××は、塗布開始1分経過以降も気泡による欠陥が3個/m2を超えて認められるレベル。
スジに関しては、以下のような基準で判定した。
○:スジが認められなかったもの。
△:部分的に短いスジが確認されたもので、ウェブを幅方向に見た場合にスジが1本以で、製品として許容レベルのもの。
×:長いスジが確認されたもので ウェブを幅方向に見た場合にスジが2本以上で、製品として許容外のもの。
ダイのブロック表面の汚れに関しては、以下のような基準で判定した。
○は、重力下側のダイブロック表面がほとんど汚れない。
△は、液体の垂れは多少あるが、重力下側のダイブロック表面の一部が汚れるレベル。
×は、液体が垂れて、重力下側のダイブロック表面の全面が汚れる。
Figure 2005013989
Figure 2005013989
実施例1−1〜1−6により、θ1=0 °となるスロット15が水平状態での塗布では、スロット間隙G1が300μmから200μmと小さくなるにしたがい、塗布膜で気泡による欠陥が増加していることが判る。また、スロット間隙G1が200μm以下では、もはや製品として許容できないレベルとなることが判る。これらの実施例では、塗布事前準備で置換、除去されずにダイ13内のマニホールド14からスロット15に至る部分に残留した空気が塗布中に断続的に排出され、塗布膜で欠陥となったものと推定される。
実施例1−1〜1−3,1−4〜1−6により、スロット間隙G1が同一でも、吐出口13aのリップとウェブとのクリアランスC1が小さくなると、塗布膜のスジが悪化していく傾向にあることが判る。また、クリアランスC1が狭くなったことにより、塗布中にスロット吐出口13aから断続的に排出された気泡がウェブ11とダイ13の先端との間のビード9に滞留することにより、スジが発生したものと推定される。
実施例2−1〜2−18により、スロット角θ1を大きくして、スロット15の水平面に対する傾斜角度を増加させていくに従い、気泡による欠陥の発生が減少していくことが判る。スロット間隙G1が50〜200μmの範囲では、スロット角θ1を15°以上とすることで、欠陥、スジの発生が製品として許容レベルにあることが判る。このように、本発明はクリアランスC1が小さく湿潤膜厚が小さい領域で特に有効であることが判る。なお、スロット角θ1をあまり大きくすることは、塗布機全体の高さ方向のサイズが大きくなってしまうこと、塗布前の準備中に吐出される気泡置換用の充填液や塗布液、または一時退避中に吐出される塗布液によるダイブロック表面の付着(汚れ)や、この付着による気化熱によってダイが局所的に冷却され、ダイの均一な温度分布状態が保たれなくことによるダイブロックの変形が発生し、好ましくない。このため、スロット角θ1の実質的な適正範囲は15°以上60°以下の範囲である。また、実施例1−6〜1−8、2−15、2−19、2−20から、第2送液工程の時間として、5分以下では塗布膜での気泡による欠陥が悪化する傾向があるので、5分以上とするのが好ましいことが判る。
〔実施例3〕
塗布を始める前に、退避位置において、以下の操作を実施した。なお、その他の条件は実施例1,2と同じにした。退避位置において、まず塗布液をダイ13のマニホールド14の流入口13bに送液し、吐出口13aからは塗布液を吐出(第1送液工程)させ、このときのダイ13への送液流量をスロット内の線流速換算でX(cm/秒)とする。その後、送液流量をスロット内の線流速換算でY(cm/秒)に変えて5分間、ダイ13への送液とダイ13からの吐出を継続した(第2送液工程)。その後、吐出量を4(cm/秒)とし、塗布液を吐出口13aから吐出させたまま、ダイ13を塗布位置に移動(第3送液ダイ移動工程)して塗布を開始した。なお、塗布時における塗布液8の吐出量は4cm/秒であって、これは塗布時におけるスロット内での線流速の平均値に等しい値である。表3の結果欄における塗布膜の評価は、表1及び表2と同様の方法で評価した。
Figure 2005013989
実施例3−1〜3−10により、スロット角θ1が0°であり、スロット15が水平状態の時は、ダイ13内のマニホールド14及びスロット15内を充填する際の流量Xを変化させても、塗布膜での気泡による欠陥に変化はない。しかし、スロット角θ1が15°の状態では、流量Xを3cm/秒以下とすることで、さらに流量Xを1.5cm/秒以下とすることで、気泡による欠陥の発生が減少することが判る。
また、実施例3−11〜3−14により、スロット吐出口13aから液体を吐出させてから、ダイ13への送液流量を変化させることは、特に塗布膜の欠陥に影響を与えないことも判る。
[実施例4]
塗布事前に塗布位置から離れた退避位置で、表4の各実施例のスロット流速の流量で残存気泡排出液7としてのMEK(メチルエチルケトン)をマニホールド14に供給して、ダイ13内の流路を充填した(第1送液工程)。スロット吐出口13aからMEKが吐出された後、そのままの流量でMEKを5分間供給し吐出を継続した(第2送液工程)。その後、ダイ13のマニホールド14への供給を塗布液8に切替え、塗布流量4cm/秒で送液を行い、ダイ13内のMEKを塗布液8で置換した後、ダイ13を塗布位置に移動(第3送液ダイ移動工程)して塗布を行った。実施例4−2〜4−4、4−6〜4−8のMEKは、事前にインライン膜脱気装置27,28により減圧脱気処理して飽和度70%、または50%としたものを用いた。インライン膜脱気装置27,28としては、ジャパンゴアテックス(株)製のDMS05F−B/8mを用いた。なお、溶存空気の飽和度は、ダイに送液したMEKの溶存酸素量を溶存酸素計(飯島電子製B−505)により測定し、溶存酸素量と溶存空気量が比例するものとして換算した。その他の条件については実施例1,2と同様として実施した。表4の結果欄における塗布膜の評価は、表1及び表2と同じ方法で評価した。
Figure 2005013989
実施例4−1〜4−8により、脱気処理して溶存空気量を飽和溶解度の70%以下に低下させた液体を使用すると、塗布膜上での欠陥の発生が抑制されることが判る。
本発明を実施した塗布機の概略図である。 塗布位置におけるダイとウェブとの関係を示す概略の断面図である。 減圧チャンバを取り付けた状態のダイとウェブとの関係を示す概略の斜視図である。 3個のスロットを有する別の実施形態におけるダイとウェブとの関係を示す概略の断面図である。 塗布位置をバックアップローラの上部に設定した別の実施形態におけるダイとウェブとの関係を示す概略の断面図である。
符号の説明
7 残存気泡排出液
8 塗布液
9 ビード
10 塗布機
11 ウェブ
12 バックアップローラ
13 ダイ
14 マニホールド
15 スロット
16 第1供給元
17 第2供給元
18 バルブ
19 送液管
21 保持台
22 レール
22a 塗布位置ストッパ
22b 退避位置ストッパ
23 移動台
23a 回転軸
24,25 ポンプ
26 シフト機構
27,28 膜脱気装置
40 ダイ
41a 第1吐出口
42a〜d 第1〜第4ランド
46 ウェブ
49 塗布膜
C1 第1リップランドとウェブとのクリアランス
C2 第2〜第4リップランドとウェブとのクリアランス
G1 スロット間隙
L1 スロット長さ
T 塗布膜の湿潤厚み

Claims (18)

  1. 内部にマニホールドと、一端が前記マニホールドに連結し他端が吐出口となっているスロットとを有するダイを用いて、液体を前記マニホールドに送って前記スロットの吐出口から吐出させ、走行するウェブに前記吐出口を近接させた塗布位置で前記吐出口とウェブとの間にビードを形成し、前記ビードから搬送上流側の前記ウェブ部分を減圧チャンバにより減圧して、前記ビードを介して前記ウェブに液体を塗布する塗布方法において、
    前記ウェブから前記ダイが離れた退避位置で、前記吐出口が上を向き前記スロットが水平面に対して交差するように前記ダイを保持した状態で、液体をマニホールドに送って、この液体が前記吐出口から吐出されるまで送る第1送液工程と、
    この第1送液工程の後に、さらに、第1送液工程で送られた液体と同じ液体をマニホールドに送って前記吐出口から液体の吐出しを行う第2送液工程と、
    この第2送液工程の後に、前記マニホールドに液体を送って前記吐出口から液体を吐出させた状態で、前記ダイを退避位置から塗布位置に直線移動させる第3送液ダイ移動工程とを経て、
    前記ウェブへの塗布を開始することを特徴とする塗布方法。
  2. 前記第2送液工程で前記液体を5分以上送ることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  3. 前記スロットは、間隙が50μm以上200μm以下の部分であって前記液体の流れ方向における長さが25mm以上の最も狭い部分を有し、この最も狭い部分の水平面に対する角度をスロット角θ1としたときに、15°≦θ1≦90°の範囲内の一定角度に前記ダイを退避位置で保持し、この角度を保持した状態で前記退避位置から塗布位置へ移動させることを特徴とする請求項1または2記載の塗布方法。
  4. 前記第1送液工程では、前記スロットの最も狭い部分における液体の線流速の平均値が3cm/秒以下である流量で、前記マニホールドに液体を送ることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つ記載の塗布方法。
  5. 第1送液工程及び第2送液工程で送られる液体の溶存空気量が、飽和溶解度の70%以下であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つ記載の塗布方法。
  6. 前記液体は、ダイ内残存気泡排出用の第1液体と、塗布用の第2液体であり、
    第1送液工程と第2送液工程では第1液体が送られ、
    第2送液工程と第3送液ダイ移動工程との間に、マニホールドへ送られる液体が第1液体から第2液体に切り換えられることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つ記載の塗布方法。
  7. 前記ダイが退避位置から塗布位置へ移動する際のダイの移動速度が3cm/秒以下であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つ記載の塗布方法。
  8. 前記塗布位置の前記ウェブはバックアップローラに巻き掛けられて走行していることを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つ記載の塗布方法。
  9. 前記吐出口から流下した液体を前記ダイの下方に設けた回収部材で回収することを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つ記載の塗布方法。
  10. 前記減圧チャンバの一部から前記回収部材を構成することを特徴とする請求項9記載の塗布方法。
  11. 前記塗布位置において、塗布直後の前記ウェブと、前記スロットの吐出口の延長線とのなす角度をθ3としたときに、θ3が90°≦θ3≦150°の範囲の一定角度になるように前記ダイが保持されることを特徴とする請求項1ないし10いずれか一つ記載の塗布方法。
  12. 前記塗布位置における前記ダイと前記ウェブとの最も狭い間隔が30μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1ないし11いずれか一つ記載の塗布方法。
  13. 前記最も狭い間隔が、前記ウェブの走行方向下流側のダイ先端による間隔であることを特徴とする請求項1ないし12いずれか一つ記載の塗布方法。
  14. 前記ウェブに形成される前記液体の湿潤厚みが10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし13いずれか一つ記載の塗布方法。
  15. 内部にマニホールドと、一端が前記マニホールドに連結し他端が吐出口となっているスロットとを有するダイを用いて、液体を前記マニホールドに送り前記スロットの吐出口から吐出させ、走行するウェブに前記吐出口を近接させた塗布位置で前記吐出口とウェブとの間にビードを形成し、前記ビードから搬送上流側の前記ウェブ部分を減圧チャンバにより減圧して前記ビードを介して前記ウェブに液体を塗布する塗布機において、
    前記スロットの吐出口が上を向き前記スロットが水平面に対して交差するように前記ダイを保持する保持台と、
    この保持台を前記ウェブから前記ダイが離れた退避位置と、前記ウェブに前記ダイが接近して前記ビードが形成される塗布位置との間で直線移動させる移動台と、
    前記移動台を退避位置にして前記マニホールドに液体を送り、液体が前記吐出口から吐出されるまで液体を吐出させる第1送液と、さらに退避位置で液体を吐出口から5分以上吐出させる第2送液とを行い、この後に、液体を吐出口から吐出させた状態で移動台を退避位置から塗布位置にして前記液体を前記ウェブに塗布するコントローラとを有することを特徴とする塗布機。
  16. 前記スロットは、間隙が50μm以上200μm以下の部分であって前記液体の流れ方向における長さが25mm以上の最も狭い部分を有し、この最も狭い部分の水平面に対する角度をスロット角θ1としたときに、前記保持台は、15°≦θ1≦90°の範囲内の一定角度に前記ダイを退避位置で保持し、この角度を保持した状態で前記移動台は前記退避位置から塗布位置へ前記ダイを移動させることを特徴とする請求項15記載の塗布機。
  17. 前記コントローラは、前記第1送液において、前記スロットの最も狭い部分における液体の線流速の平均値が3cm/秒以下である流量で、前記マニホールドに液体を送ることを特徴とする請求項15または16記載の塗布機。
  18. 第1送液と第2送液とで送られる液体の溶存空気量を、飽和溶解度の70%以下とする膜脱気装置を備えることを特徴とする請求項15ないし17いずれか一つ記載の塗布機。
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