JP2005013944A - 2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルケニル基を有する芳香族炭化水素から、2,6−ジメチルナフタレンを効率的に製造するための触媒を提供すること。
【解決手段】周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%および必要に応じて周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜10質量%を含む複合酸化物からなる2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒を用いると、アルケニル基を有する芳香族炭化水素から、2,6−ジメチルナフタレンを高収率で製造することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%および必要に応じて周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜10質量%を含む複合酸化物からなる2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒を用いると、アルケニル基を有する芳香族炭化水素から、2,6−ジメチルナフタレンを高収率で製造することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有用な芳香族ポリエステル高分子材料の原料である2,6−ジメチルナフタレンを効率的に製造する触媒およびその触媒を用いた2,6−ジメチルナフタレンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2,6−ジメチルナフタレンは、ナフタレンもしくはメチルナフタレン類をゼオライト触媒の存在下、メチル化剤と反応させて製造する方法が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながらこの方法で用いられている触媒では、2,6−ジメチルナフタレンの選択率が工業的に満足できるレベルになく、複雑な分離精製および異性化工程が必要で経済的な製法とは言えない。
【0004】
一方、オレフィン側鎖を有する芳香族炭化水素を出発原料として、2,6−ジメチルナフタレンを製造する方法も知られている。
【0005】
p−キシレンと1,3−ブタジエンとから得られる2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンを酸化クロム/酸化アルミニウム触媒の存在下で環化脱水素させて2,6−ジメチルナフタレンを製造する方法が開示されているが、2,6−ジメチルナフタレンの収率は必ずしも高くない(特許文献2〜4を参照)。
【0006】
2−メチル−1−(p−トリル)−ブタンを原料として貴金属を担持したハイドロタルサイト触媒を用いた2,6−ジメチルナフタレンの製造方法も開示されているが、原料である2−メチル−1−(p−トリル)−ブタンを効率よく得る方法はなく、経済的な製造方法とは言えない(特許文献5および6を参照)。
【0007】
o−キシレンと1,3−ブタジエンとから得られる5−(o−トリル)−2−ペンテンを経る2,6−ジメチルナフタレンの製造方法が示されているが、原料である5−(o−トリル)−2−ペンテンの収率は高くない(非特許文献1および2を参照)。
【0008】
上述のような技術背景のためo−キシレンとブタジエンを原料とする2,6−ジメチルナフタレン製造方法が最も経済的な製法とされているが、多段の反応工程が必要となるなど、必ずしも満足できるレベルでなく、さらに効率的な製法が求められている。
【0009】
アルケニル基を有する芳香族炭化水素を原料とした場合には、比較的容易に環化脱水素反応が起こり、従来技術の触媒でも低収率ながら2,6−ジメチルナフタレンを得ることができるが、経済性を高めるためには更なる低コスト、一段反応、高収率、高選択率で目的生成物を与える触媒の開発が求められている。
【0010】
【特許文献1】
特開平06−065112号
【特許文献2】
特開平06−336447号
【特許文献3】
特開平07−017879号
【特許文献4】
特開平07−309789号
【特許文献5】
特開平08−3078号
【特許文献6】
特開平7−285894
【非特許文献1】
C.Song, Cattech, 6, 64(2002).
【非特許文献2】
L.D.Lillwitz, Appl. Catal., 221, 337(2001).
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特に比較的安価な原料から容易に合成することが可能であるアルケニル基を有するジメチルベンゼン、より具体的には2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンを高収率、高選択率で2,6−ジメチルナフタレンへと環化脱水素させる触媒を提供することを目的とする。
【0012】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンを原料として環化脱水素反応により2,6−ジメチルナフタレンを製造する触媒に関して鋭意検討した結果、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素および周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素とが導入されたハイドロタルサイトから形成される複合酸化物を触媒として用いると2,6−ジメチルナフタレンを高転化率、高選択率で製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は以下の[1]〜[10]からなる。
[1]周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%を含む複合酸化物からなることを特徴とする2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[2]周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%および周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%を含む複合酸化物からなることを特徴とする2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[3]前記2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒が、アルケニル基を有する芳香族炭化水素を環化脱水素して2,6−ジメチルナフタレンを製造するための触媒である、[1]〜[2]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[4]前記2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒が、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素および必要に応じて周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素をハイドロタルサイトに導入して調製したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[5]周期表第6族元素がクロムおよび/またはモリブデンであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[6]周期表第12族元素が亜鉛であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[7]周期表第6族元素がクロムである[1]〜[5]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[8]アルケニル基を有する芳香族炭化水素が2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンであることを特徴とする[3]に記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[9]アルケニル基を有する芳香族炭化水素が2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンであることを特徴とする[3]に記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[10]アルケニル基を有する芳香族炭化水素を、[1]〜[7]のいずれかに記載の触媒の存在下に環化脱水素することによって、2,6−ジメチルナフタレンを製造することを特徴とする2,6−ジメチルナフタレンの製造方法。
【0014】
【発明実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の触媒は、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%を含む複合酸化物からなる。また本発明の触媒は、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%および周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%を含む複合酸化物からなる。ここで周期表とはIUPAC無機化学命名法改訂版(1989)に従った18族型のものを採用する。
【0016】
好ましい第6族元素としては、クロム、モリブデン、タングステンが挙げられ、クロム、モリブデンが良く、クロムが特に好ましい。第12族元素としては亜鉛、カドミウム、水銀などが挙げられ、亜鉛が好ましい。また、第6族と第12族以外の元素が含有されていても構わない。第11族元素や第12族元素などは少量含有されることにより触媒寿命を延長する効果を期待することもでき、白金、パラジウム、金などを少量含んでいてもよい。
【0017】
複合酸化物に導入される第6族元素および必要に応じて導入される第12族元素は、それぞれ複合酸化物中に含まれる第6族元素が1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%となり、第12族元素が0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%となるような量で導入される。
【0018】
本発明の触媒は、さまざまな製法で調製することが可能であるが、一般式 [M2+ 1−xM3+ x (OH)2] [An− x/n・zH2O] (M2+:二価金属、M3+:三価金属、A−:層間アニオン)で表される層状化合物であるハイドロタルサイトを担体とし、このハイドロタルサイトに周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素そして必要に応じて周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を導入して焼成することに調製することができる。また層状複水酸化物またはハイドロタルサイト型化合物と呼ばれる一般式[M2+ 1−xM3+ b(OH)2a+2b](A−)2b・xH2O(M2+:二価金属、M3+:三価金属、A−:層間アニオン)で表される化合物を担体として調製することもできる。
【0019】
ハイドロタルサイトは、例えば1991年発行のCatal.Today誌、11巻173ページに掲載されているような常法により合成することが可能であるが、もちろんこの方法に限定されるのもではなく、これまで開示されたさまざまな既知の合成方法を採用することが可能である。またハイドロタルサイトもしくは層状複水酸化物またはハイドロタルサイト型化合物は、樹脂改質剤、排水中の不純物除去等のさまざまな分野で一般的に用いられている汎用化合物であり、これらの市販品を利用することも可能である。
【0020】
担体となるハイドロタルサイトもしくは層状複水酸化物またはハイドロタルサイト型化合物のホスト層を形成する2価金属(M2+)としては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+が挙げられ、3価金属(M3+)としては、Sc3+、Y3+、Sm3+、Ti3+、Fe3+、Co3+、Cr3+、Mo3+、Rh3+、Ir3+、Al3+、Ga3+、In3+が挙げられる。
【0021】
本発明において、2価金属が、Mg2+、Ca2+、Zn2+であることが好ましく、3価金属がSc3+、Al3+、Ga3+、Cr3+、Mo3+であることが好ましい。これら2価金属および3価金属は複数の元素が共存しても構わない。
【0022】
ホスト層間に存在するアニオン(An−)で例示されるのはCO3 2−、SO4 2−のような無機陰イオンが挙げられる。
【0023】
本発明では、ハイドロタルサイトから導かれる複合酸化物に導入される周期表第6族元素および必要に応じて導入される周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素は、ハイドロタルサイト様骨格内に高分散状態で導入されていることが好ましく、例えばこれらの元素を含有する金属塩溶液を原料としてハイドロタルサイト類を合成することでホスト層中に高分散で取り込ませることが可能である。
【0024】
他の方法として、T. Shishido et al., Stud. Surf. Sci. Catal., 143,35(2002).およびT. Shishido et al., Catal. Lett., 73, 21 (2001).に示されているようなハイドロタルサイトを焼成した複合酸化物を用いた触媒調製法が利用できる。
【0025】
ハイドロタルサイトは2価金属(M2+)を中心とする八面体が二次元的に連なって一つの層を構成しているブルサイト(組成M2+(OH−)2)層を基本とし、2価金属(M2+)の一部を3価金属(M3+)で置き換えた構造を形成している。そのため層は正電荷を帯びており、層間中に存在するアニオン(An−)の負電荷がこの正電荷と釣り合って、ハイドロタルサイト構造全体としては電気的中性が保たれている。
【0026】
ハイドロタルサイトを焼成することによって層間のアニオンが失われ、また層間での脱水縮合によって高表面積を有する複合酸化物を生じる。得られた酸化物は,溶液に浸すと再び層構造へと再生する特徴がある。このときに溶液中に基本層を形成する金属元素以外の1価金属あるいは2価金属、3価金属もしくは4価金属イオンが溶液中に存在すると、基本層中の金属元素が溶液中に溶出し、水溶液中の金属イオンと交換されて少なくとも部分的にハイドロタルサイト骨格を構成する元素として導入される。ここで1価金属としては、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+が挙げられ、2価金属としては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+が挙げられ、3価金属としては、Sc3+、Y3+、Sm3+、Ti3+、Fe3+、Co3+、Cr3+、Mo3+、Rh3+、Ir3+、Al3+、Ga3+、In3+が挙げられ、4価金属としては、Ti4+、Zr4+、Hf4+が挙げられる。
【0027】
一旦焼成して層状構造が壊れたハイドロタルサイトから得られた複合酸化物は、この処理によりハイドロタルサイトの層状構造を再構築するとされているが、本発明においてその程度は完全に元の層構造まで戻る必要は必ずしも必須でなく、一部がハイドロタルサイト様構造へ戻るだけでもよい。またこの触媒調製では、調製前処理としてハイドロタルサイトを焼成し、高表面積の複合酸化物を得るが、その焼成温度、焼成時間および焼成雰囲気に特に制限はなく、例えば、焼成温度は300℃〜800℃、好ましくは400℃〜600℃である。また焼成時間は1時間〜20時間、好ましくは2時間〜15時間である。焼成は酸素を含む酸化雰囲気中で行なうことが好ましい。
【0028】
ハイドロタルサイトを焼成して得られた複合酸化物に、前述の方法で周期表第6族元素および必要に応じて周期表第12族の元素を導入するには、それぞれの金属炭酸塩、金属硝酸塩、金属硫酸塩、好ましくは金属硝酸塩の溶液に一旦焼成したハイドロタルサイトを浸漬し一定時間接触させればよい。この処理は元々ハイドロタルサイトに含有されていた金属の少なくとも一部が溶液中の金属イオンと交換され、ハイドロタルサイトの層構造の再構築と同時に溶液中の金属がハイドロタルサイト骨格に取り込まれること(導入されること)による。
【0029】
このような方法は、1価金属を導入する場合、2価金属を導入する場合、3価金属を導入する場合あるいは4価金属を導入するいずれの場合としても用いることが可能であり、もしくはそれら金属の混合物を同時に導入する方法として用いることができる。導入する金属塩の溶液濃度を調節することで、ハイドロタルサイト骨格内の金属の比を容易に変化させることが可能である。
【0030】
金属塩の溶液とハイドロタルサイトを焼成して得られた複合酸化物とを接触させる温度は、10℃〜100℃、好ましくは20℃〜40℃である。溶媒としては、金属塩を溶解すれば特に制限するものではないが、水、アルコール、もしくは両者の混合物がよい。焼成したハイドロタルサイトと接触させる溶液の量は、ハイドロタルサイトの吸水量相当でもよいし、体積比で10倍〜30倍の範囲であってもよい。混練りおよび攪拌は実施することが好ましい。
【0031】
このようにして周期表第6族元素および必要に応じて周期表第12族の元素が導入されたハイドロタルサイトを再び焼成することにより、複合酸化物触媒として2,5−ジメチル−2−ブテニルベンゼンの環化脱水素反応に供することができる。焼成温度は300℃〜800℃、好ましくは500℃〜600℃である。また焼成時間は1時間〜20時間、好ましくは2時間〜15時間である。焼成雰囲気に特に制限はないが、酸素を含む酸化雰囲気の使用が好ましい。
【0032】
本発明の触媒の形状は、粉末状の他、顆粒状、ペレット状、球形状、筒体状等の各種の形状に加工して用いることができる。流通反応で用いる場合には顆粒状、ペレット状、球形状がよい。
【0033】
アルケニル基を有する芳香族炭化水素は2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンが好ましく、さらに好ましくは2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンである。
【0034】
本発明の触媒の存在下に、2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンの環化脱水素して2,6−ジメチルナフタレンを製造するに際し、その反応はバッチ式、連続式のどちらでも行なうこともできる。連続式の方法として固定床流通式反応器、流動床式反応器、連続式槽型反応器、固定床式反応蒸留型反応器等の様々な反応形式のいずれでも用いることができる。
【0035】
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよく、また反応温度は150℃〜600℃、特に好ましくは400℃〜500℃である。反応雰囲気は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下であることが好ましく、原料である2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンはそのまま単独で供給してもよいが、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系の溶媒とともに気化させて触媒を充填した反応容器内に導くことが望ましい。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
触媒調製例
(触媒Aの調製)
合成ハイドロタルサイトであるキョーワード500(協和化学工業(株)製)20.59gを電気炉にて空気気流下、600℃で12時間焼成し、担体を作製した。得られた担体を25.56gの硝酸クロム・九水和物を含む水溶液200mlに投入し、室温で3時間撹拌してクロムをハイドロタルサイト中に導入した。イオン交換水で十分に洗浄し、80℃で乾燥させた。空気気流下、600℃で12時間焼成して触媒Aを調製した。
【0037】
ここで得られた触媒A約50mgを正確に秤量し、H2SO4:2mL+HNO3:4mLを加えてホットプレート上で100℃で加熱分解した。放冷後、純水で50mLに定容し100倍希釈、HNO3を加えて硝酸酸性としてICP−AESでMg、Al、Crを定量したところ、Mgは25質量%、Alは12質量%、Cr11質量%であった。
(触媒Bの調製)
触媒Aの調整において、硝酸クロム・九水和物を含む水溶液にさらに硝酸亜鉛・六水和物1.71gを添加する以外は、触媒Aの調製例と同様にして触媒Bを調製した。
【0038】
触媒Aと同様にICP−AESでMg、Al、Cr、Znを定量したところ、Mgは29質量%、Alは14質量%、Cr10質量%、Zn2.0質量%であった。
(触媒Cの調製)
γ−アルミナ(NORTON社製 SA6137)10gに40%硝酸クロム水溶液5.73gに水2mlを加えた溶液を含浸させ、乾燥させた。空気気流下、600℃で5時間焼成して触媒Cを調製した。
(実施例1)
固定床流通反応式反応器に触媒Aを4ml充填し、窒素気流中触媒層を430℃に保った。2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンをトルエンに溶解して0.01質量%の溶液を調製し、この溶液を4.65ml/hで235℃に保った気化器を通じて気化し、窒素ガス(83mL/min)と共に触媒層に供給した。出口ガスを1時間にわたって氷冷温度でトラップしガスクロマトグラフを用いて分析した。結果を表1に示した。
【0039】
【化1】
【0040】
(実施例2)
実施例1において、触媒Aの代わりに触媒Bを用いる以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、触媒Aの代わりに触媒Cを用いる以外は、実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明の触媒によれば、2,6−ジメチルナフタレンを従来法よりも高収率で得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有用な芳香族ポリエステル高分子材料の原料である2,6−ジメチルナフタレンを効率的に製造する触媒およびその触媒を用いた2,6−ジメチルナフタレンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2,6−ジメチルナフタレンは、ナフタレンもしくはメチルナフタレン類をゼオライト触媒の存在下、メチル化剤と反応させて製造する方法が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながらこの方法で用いられている触媒では、2,6−ジメチルナフタレンの選択率が工業的に満足できるレベルになく、複雑な分離精製および異性化工程が必要で経済的な製法とは言えない。
【0004】
一方、オレフィン側鎖を有する芳香族炭化水素を出発原料として、2,6−ジメチルナフタレンを製造する方法も知られている。
【0005】
p−キシレンと1,3−ブタジエンとから得られる2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンを酸化クロム/酸化アルミニウム触媒の存在下で環化脱水素させて2,6−ジメチルナフタレンを製造する方法が開示されているが、2,6−ジメチルナフタレンの収率は必ずしも高くない(特許文献2〜4を参照)。
【0006】
2−メチル−1−(p−トリル)−ブタンを原料として貴金属を担持したハイドロタルサイト触媒を用いた2,6−ジメチルナフタレンの製造方法も開示されているが、原料である2−メチル−1−(p−トリル)−ブタンを効率よく得る方法はなく、経済的な製造方法とは言えない(特許文献5および6を参照)。
【0007】
o−キシレンと1,3−ブタジエンとから得られる5−(o−トリル)−2−ペンテンを経る2,6−ジメチルナフタレンの製造方法が示されているが、原料である5−(o−トリル)−2−ペンテンの収率は高くない(非特許文献1および2を参照)。
【0008】
上述のような技術背景のためo−キシレンとブタジエンを原料とする2,6−ジメチルナフタレン製造方法が最も経済的な製法とされているが、多段の反応工程が必要となるなど、必ずしも満足できるレベルでなく、さらに効率的な製法が求められている。
【0009】
アルケニル基を有する芳香族炭化水素を原料とした場合には、比較的容易に環化脱水素反応が起こり、従来技術の触媒でも低収率ながら2,6−ジメチルナフタレンを得ることができるが、経済性を高めるためには更なる低コスト、一段反応、高収率、高選択率で目的生成物を与える触媒の開発が求められている。
【0010】
【特許文献1】
特開平06−065112号
【特許文献2】
特開平06−336447号
【特許文献3】
特開平07−017879号
【特許文献4】
特開平07−309789号
【特許文献5】
特開平08−3078号
【特許文献6】
特開平7−285894
【非特許文献1】
C.Song, Cattech, 6, 64(2002).
【非特許文献2】
L.D.Lillwitz, Appl. Catal., 221, 337(2001).
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特に比較的安価な原料から容易に合成することが可能であるアルケニル基を有するジメチルベンゼン、より具体的には2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンを高収率、高選択率で2,6−ジメチルナフタレンへと環化脱水素させる触媒を提供することを目的とする。
【0012】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンを原料として環化脱水素反応により2,6−ジメチルナフタレンを製造する触媒に関して鋭意検討した結果、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素および周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素とが導入されたハイドロタルサイトから形成される複合酸化物を触媒として用いると2,6−ジメチルナフタレンを高転化率、高選択率で製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は以下の[1]〜[10]からなる。
[1]周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%を含む複合酸化物からなることを特徴とする2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[2]周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%および周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%を含む複合酸化物からなることを特徴とする2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[3]前記2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒が、アルケニル基を有する芳香族炭化水素を環化脱水素して2,6−ジメチルナフタレンを製造するための触媒である、[1]〜[2]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[4]前記2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒が、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素および必要に応じて周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素をハイドロタルサイトに導入して調製したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[5]周期表第6族元素がクロムおよび/またはモリブデンであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[6]周期表第12族元素が亜鉛であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[7]周期表第6族元素がクロムである[1]〜[5]のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[8]アルケニル基を有する芳香族炭化水素が2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンであることを特徴とする[3]に記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[9]アルケニル基を有する芳香族炭化水素が2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンであることを特徴とする[3]に記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
[10]アルケニル基を有する芳香族炭化水素を、[1]〜[7]のいずれかに記載の触媒の存在下に環化脱水素することによって、2,6−ジメチルナフタレンを製造することを特徴とする2,6−ジメチルナフタレンの製造方法。
【0014】
【発明実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の触媒は、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%を含む複合酸化物からなる。また本発明の触媒は、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%および周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%を含む複合酸化物からなる。ここで周期表とはIUPAC無機化学命名法改訂版(1989)に従った18族型のものを採用する。
【0016】
好ましい第6族元素としては、クロム、モリブデン、タングステンが挙げられ、クロム、モリブデンが良く、クロムが特に好ましい。第12族元素としては亜鉛、カドミウム、水銀などが挙げられ、亜鉛が好ましい。また、第6族と第12族以外の元素が含有されていても構わない。第11族元素や第12族元素などは少量含有されることにより触媒寿命を延長する効果を期待することもでき、白金、パラジウム、金などを少量含んでいてもよい。
【0017】
複合酸化物に導入される第6族元素および必要に応じて導入される第12族元素は、それぞれ複合酸化物中に含まれる第6族元素が1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%となり、第12族元素が0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%となるような量で導入される。
【0018】
本発明の触媒は、さまざまな製法で調製することが可能であるが、一般式 [M2+ 1−xM3+ x (OH)2] [An− x/n・zH2O] (M2+:二価金属、M3+:三価金属、A−:層間アニオン)で表される層状化合物であるハイドロタルサイトを担体とし、このハイドロタルサイトに周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素そして必要に応じて周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を導入して焼成することに調製することができる。また層状複水酸化物またはハイドロタルサイト型化合物と呼ばれる一般式[M2+ 1−xM3+ b(OH)2a+2b](A−)2b・xH2O(M2+:二価金属、M3+:三価金属、A−:層間アニオン)で表される化合物を担体として調製することもできる。
【0019】
ハイドロタルサイトは、例えば1991年発行のCatal.Today誌、11巻173ページに掲載されているような常法により合成することが可能であるが、もちろんこの方法に限定されるのもではなく、これまで開示されたさまざまな既知の合成方法を採用することが可能である。またハイドロタルサイトもしくは層状複水酸化物またはハイドロタルサイト型化合物は、樹脂改質剤、排水中の不純物除去等のさまざまな分野で一般的に用いられている汎用化合物であり、これらの市販品を利用することも可能である。
【0020】
担体となるハイドロタルサイトもしくは層状複水酸化物またはハイドロタルサイト型化合物のホスト層を形成する2価金属(M2+)としては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+が挙げられ、3価金属(M3+)としては、Sc3+、Y3+、Sm3+、Ti3+、Fe3+、Co3+、Cr3+、Mo3+、Rh3+、Ir3+、Al3+、Ga3+、In3+が挙げられる。
【0021】
本発明において、2価金属が、Mg2+、Ca2+、Zn2+であることが好ましく、3価金属がSc3+、Al3+、Ga3+、Cr3+、Mo3+であることが好ましい。これら2価金属および3価金属は複数の元素が共存しても構わない。
【0022】
ホスト層間に存在するアニオン(An−)で例示されるのはCO3 2−、SO4 2−のような無機陰イオンが挙げられる。
【0023】
本発明では、ハイドロタルサイトから導かれる複合酸化物に導入される周期表第6族元素および必要に応じて導入される周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素は、ハイドロタルサイト様骨格内に高分散状態で導入されていることが好ましく、例えばこれらの元素を含有する金属塩溶液を原料としてハイドロタルサイト類を合成することでホスト層中に高分散で取り込ませることが可能である。
【0024】
他の方法として、T. Shishido et al., Stud. Surf. Sci. Catal., 143,35(2002).およびT. Shishido et al., Catal. Lett., 73, 21 (2001).に示されているようなハイドロタルサイトを焼成した複合酸化物を用いた触媒調製法が利用できる。
【0025】
ハイドロタルサイトは2価金属(M2+)を中心とする八面体が二次元的に連なって一つの層を構成しているブルサイト(組成M2+(OH−)2)層を基本とし、2価金属(M2+)の一部を3価金属(M3+)で置き換えた構造を形成している。そのため層は正電荷を帯びており、層間中に存在するアニオン(An−)の負電荷がこの正電荷と釣り合って、ハイドロタルサイト構造全体としては電気的中性が保たれている。
【0026】
ハイドロタルサイトを焼成することによって層間のアニオンが失われ、また層間での脱水縮合によって高表面積を有する複合酸化物を生じる。得られた酸化物は,溶液に浸すと再び層構造へと再生する特徴がある。このときに溶液中に基本層を形成する金属元素以外の1価金属あるいは2価金属、3価金属もしくは4価金属イオンが溶液中に存在すると、基本層中の金属元素が溶液中に溶出し、水溶液中の金属イオンと交換されて少なくとも部分的にハイドロタルサイト骨格を構成する元素として導入される。ここで1価金属としては、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+が挙げられ、2価金属としては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+が挙げられ、3価金属としては、Sc3+、Y3+、Sm3+、Ti3+、Fe3+、Co3+、Cr3+、Mo3+、Rh3+、Ir3+、Al3+、Ga3+、In3+が挙げられ、4価金属としては、Ti4+、Zr4+、Hf4+が挙げられる。
【0027】
一旦焼成して層状構造が壊れたハイドロタルサイトから得られた複合酸化物は、この処理によりハイドロタルサイトの層状構造を再構築するとされているが、本発明においてその程度は完全に元の層構造まで戻る必要は必ずしも必須でなく、一部がハイドロタルサイト様構造へ戻るだけでもよい。またこの触媒調製では、調製前処理としてハイドロタルサイトを焼成し、高表面積の複合酸化物を得るが、その焼成温度、焼成時間および焼成雰囲気に特に制限はなく、例えば、焼成温度は300℃〜800℃、好ましくは400℃〜600℃である。また焼成時間は1時間〜20時間、好ましくは2時間〜15時間である。焼成は酸素を含む酸化雰囲気中で行なうことが好ましい。
【0028】
ハイドロタルサイトを焼成して得られた複合酸化物に、前述の方法で周期表第6族元素および必要に応じて周期表第12族の元素を導入するには、それぞれの金属炭酸塩、金属硝酸塩、金属硫酸塩、好ましくは金属硝酸塩の溶液に一旦焼成したハイドロタルサイトを浸漬し一定時間接触させればよい。この処理は元々ハイドロタルサイトに含有されていた金属の少なくとも一部が溶液中の金属イオンと交換され、ハイドロタルサイトの層構造の再構築と同時に溶液中の金属がハイドロタルサイト骨格に取り込まれること(導入されること)による。
【0029】
このような方法は、1価金属を導入する場合、2価金属を導入する場合、3価金属を導入する場合あるいは4価金属を導入するいずれの場合としても用いることが可能であり、もしくはそれら金属の混合物を同時に導入する方法として用いることができる。導入する金属塩の溶液濃度を調節することで、ハイドロタルサイト骨格内の金属の比を容易に変化させることが可能である。
【0030】
金属塩の溶液とハイドロタルサイトを焼成して得られた複合酸化物とを接触させる温度は、10℃〜100℃、好ましくは20℃〜40℃である。溶媒としては、金属塩を溶解すれば特に制限するものではないが、水、アルコール、もしくは両者の混合物がよい。焼成したハイドロタルサイトと接触させる溶液の量は、ハイドロタルサイトの吸水量相当でもよいし、体積比で10倍〜30倍の範囲であってもよい。混練りおよび攪拌は実施することが好ましい。
【0031】
このようにして周期表第6族元素および必要に応じて周期表第12族の元素が導入されたハイドロタルサイトを再び焼成することにより、複合酸化物触媒として2,5−ジメチル−2−ブテニルベンゼンの環化脱水素反応に供することができる。焼成温度は300℃〜800℃、好ましくは500℃〜600℃である。また焼成時間は1時間〜20時間、好ましくは2時間〜15時間である。焼成雰囲気に特に制限はないが、酸素を含む酸化雰囲気の使用が好ましい。
【0032】
本発明の触媒の形状は、粉末状の他、顆粒状、ペレット状、球形状、筒体状等の各種の形状に加工して用いることができる。流通反応で用いる場合には顆粒状、ペレット状、球形状がよい。
【0033】
アルケニル基を有する芳香族炭化水素は2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンが好ましく、さらに好ましくは2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンである。
【0034】
本発明の触媒の存在下に、2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンの環化脱水素して2,6−ジメチルナフタレンを製造するに際し、その反応はバッチ式、連続式のどちらでも行なうこともできる。連続式の方法として固定床流通式反応器、流動床式反応器、連続式槽型反応器、固定床式反応蒸留型反応器等の様々な反応形式のいずれでも用いることができる。
【0035】
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよく、また反応温度は150℃〜600℃、特に好ましくは400℃〜500℃である。反応雰囲気は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下であることが好ましく、原料である2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンはそのまま単独で供給してもよいが、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系の溶媒とともに気化させて触媒を充填した反応容器内に導くことが望ましい。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
触媒調製例
(触媒Aの調製)
合成ハイドロタルサイトであるキョーワード500(協和化学工業(株)製)20.59gを電気炉にて空気気流下、600℃で12時間焼成し、担体を作製した。得られた担体を25.56gの硝酸クロム・九水和物を含む水溶液200mlに投入し、室温で3時間撹拌してクロムをハイドロタルサイト中に導入した。イオン交換水で十分に洗浄し、80℃で乾燥させた。空気気流下、600℃で12時間焼成して触媒Aを調製した。
【0037】
ここで得られた触媒A約50mgを正確に秤量し、H2SO4:2mL+HNO3:4mLを加えてホットプレート上で100℃で加熱分解した。放冷後、純水で50mLに定容し100倍希釈、HNO3を加えて硝酸酸性としてICP−AESでMg、Al、Crを定量したところ、Mgは25質量%、Alは12質量%、Cr11質量%であった。
(触媒Bの調製)
触媒Aの調整において、硝酸クロム・九水和物を含む水溶液にさらに硝酸亜鉛・六水和物1.71gを添加する以外は、触媒Aの調製例と同様にして触媒Bを調製した。
【0038】
触媒Aと同様にICP−AESでMg、Al、Cr、Znを定量したところ、Mgは29質量%、Alは14質量%、Cr10質量%、Zn2.0質量%であった。
(触媒Cの調製)
γ−アルミナ(NORTON社製 SA6137)10gに40%硝酸クロム水溶液5.73gに水2mlを加えた溶液を含浸させ、乾燥させた。空気気流下、600℃で5時間焼成して触媒Cを調製した。
(実施例1)
固定床流通反応式反応器に触媒Aを4ml充填し、窒素気流中触媒層を430℃に保った。2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンをトルエンに溶解して0.01質量%の溶液を調製し、この溶液を4.65ml/hで235℃に保った気化器を通じて気化し、窒素ガス(83mL/min)と共に触媒層に供給した。出口ガスを1時間にわたって氷冷温度でトラップしガスクロマトグラフを用いて分析した。結果を表1に示した。
【0039】
【化1】
【0040】
(実施例2)
実施例1において、触媒Aの代わりに触媒Bを用いる以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、触媒Aの代わりに触媒Cを用いる以外は、実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明の触媒によれば、2,6−ジメチルナフタレンを従来法よりも高収率で得ることができる。
Claims (10)
- 周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%を含む複合酸化物からなることを特徴とする2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- 周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素1〜30質量%および周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜10質量%を含む複合酸化物からなることを特徴とする2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- 前記2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒が、アルケニル基を有する芳香族炭化水素を環化脱水素して2,6−ジメチルナフタレンを製造するための触媒であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- 前記2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒が、周期表第6族元素から選ばれる少なくとも1種の元素および必要に応じて周期表第12族元素から選ばれる少なくとも1種の元素をハイドロタルサイトに導入して調製したものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- 周期表第6族元素がクロムおよび/またはモリブデンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- 周期表第12族元素が亜鉛であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- 周期表第6族元素がクロムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- アルケニル基を有する芳香族炭化水素が2,5−ジメチル−ブテニルベンゼンであることを特徴とする請求項3に記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- アルケニル基を有する芳香族炭化水素が2,5−ジメチル−(2−ブテニル)−ベンゼンであることを特徴とする請求項3に記載の2,6−ジメチルナフタレン製造用触媒。
- アルケニル基を有する芳香族炭化水素を、請求項1〜7のいずれかに記載の触媒の存在下に環化脱水素することによって、2,6−ジメチルナフタレンを製造することを特徴とする2,6−ジメチルナフタレンの製造方法。
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