JP2005013225A - 安全で幼木の生育を阻害せず長期間忌避効果を維持する野生鹿及びカモシカによる食害防止方法及び防護用網目状発泡体。 - Google Patents
安全で幼木の生育を阻害せず長期間忌避効果を維持する野生鹿及びカモシカによる食害防止方法及び防護用網目状発泡体。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 人工林の野生鹿及びカモシカによる被害対策及び施工後の環境保全対策を兼ねたシステムの提供
【解決手段】 熱可塑性プラスティックを用いたホール数が20−50、発泡倍率が5〜25で成形した、網目の空間面積(交差するストランドに囲まれた面積)が0.3〜4.8cm2、網目の個数(10cm四方中)が11〜83、高さと直径の比率が6〜10の柔軟且つ自立する程度の剛性を有し、樹木の生長に合わせて目合いが広がってある程度たわむ柔軟性のある網目状発泡体に野生鹿及びカモシカが生理的に忌避する忌避剤を練り込み又は塗布して担持させた筒状又はシート状防護用網目状発泡体を用いる。
【選択図】 図2
【解決手段】 熱可塑性プラスティックを用いたホール数が20−50、発泡倍率が5〜25で成形した、網目の空間面積(交差するストランドに囲まれた面積)が0.3〜4.8cm2、網目の個数(10cm四方中)が11〜83、高さと直径の比率が6〜10の柔軟且つ自立する程度の剛性を有し、樹木の生長に合わせて目合いが広がってある程度たわむ柔軟性のある網目状発泡体に野生鹿及びカモシカが生理的に忌避する忌避剤を練り込み又は塗布して担持させた筒状又はシート状防護用網目状発泡体を用いる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、忌避剤を用いた野生鹿及びカモシカ等の野生動物による植栽された幼木の食害防止方法に関する。
幼木を野生鹿、野生動物から守る方法としては物理的に隔離する為の強度の高い防護網・防護柵で単位植林地域を囲む方法、幼木を一本ずつ強度の高いプラスティック製の筒や網目の粗いネット又は網目の細かい繊維製のネットで覆う方法と忌避剤を用いる化学的な方法に大別される。
このうち化学的な方法として臭覚による忌避剤がよく用いられるが、臭覚による忌避剤は揮発性のものが多く、その持続性の為に鹿沼土の如き多孔性天然粘土鉱物に担持する方法が提案されている (特許文献1)。
このうち化学的な方法として臭覚による忌避剤がよく用いられるが、臭覚による忌避剤は揮発性のものが多く、その持続性の為に鹿沼土の如き多孔性天然粘土鉱物に担持する方法が提案されている (特許文献1)。
防護網や防護柵は一般に山深い、急傾斜な場所にある植林地に広範囲に設置しなければならずその作業は重労働であり、防護柵は設置費用が高く、また防護網の場合はイニシャルコストは比較的安いが1カ所でも破られると全体に防御できなくなり、また動物が網に角などを引っ掛け動けなくなることがあるので、常にパトロ−ルし、異常があれば補修しなければならず、維持管理に労力と経費を要する。
防護柵でも防護網でも斜面の下方からは十分な高さに施工されているので侵入はできないが斜面の上方からでは比較的容易に飛び越えて侵入できるし、防護網を破ったり、網の下を掘って侵入するという問題がある。また、網に角を引っ掛けて動けなくなり、発見が遅れると死に至ることもある。
苗木を一本ずつ筒状にしたプラスティック製チュ−ブ(ヘキサチュ−ブ)やプラスティック製又は繊維製の蚊帳のような細かいメッシュ状のネットや網目の粗い硬質のネットを筒状にして幼木を覆って隔離する方法も用いられているがそれらが壁になり生長した枝がぶつかり幹がまがったり、枝が曲がったりして樹木の生長を阻害する。 さらにヘキサチュ−ブは温室効果のため幹の生長が早すぎて幹に比べて根が十分に発達せず倒れ良い木になり、生長過程で下枝が壁に支えて幹が曲がるという欠点がある。また網目の粗い硬質のネットは同様に幹がまがり、また、生長した一部の枝がはみ出し、その部分が食われる。
苗木を一本ずつ筒状にしたプラスティック製チュ−ブ(ヘキサチュ−ブ)やプラスティック製又は繊維製の蚊帳のような細かいメッシュ状のネットや網目の粗い硬質のネットを筒状にして幼木を覆って隔離する方法も用いられているがそれらが壁になり生長した枝がぶつかり幹がまがったり、枝が曲がったりして樹木の生長を阻害する。 さらにヘキサチュ−ブは温室効果のため幹の生長が早すぎて幹に比べて根が十分に発達せず倒れ良い木になり、生長過程で下枝が壁に支えて幹が曲がるという欠点がある。また網目の粗い硬質のネットは同様に幹がまがり、また、生長した一部の枝がはみ出し、その部分が食われる。
一方、忌避剤の場合は材料費、施工費が安く簡便であるが、今のところその効果が長時間持続できるものが殆ど無い。また比較的効果があるものでも風向きや気温等の諸条件によってその効果が半減するものや環境に問題のあるものがある。
例えば触覚を刺激する「とりもち」のような粘着性を利用して違和感をあたえるものは効果はあるが、鹿やカモシカの身体に付着したものが周囲の樹木についたり、下草刈りやパトロ−ルの際の作業者や管理者の手や衣服に付着し、とれにくいので嫌われるという問題がある。 また粘着力の持続性にも問題がある。
味覚によるものは、樹葉に塗りつけたり、散布して用いられるので、塗布されている樹葉に於いては効果も持続性も十分であるが処理後に発生した最も肝心な梢頭部の新芽や樹葉が無防備になり、食害を受けるという致命的な問題がある。
鹿やカモシカが忌避する臭気によるものは安全で環境を汚染せず、新芽が出た後も忌避効果があり期待できるものが多数あるが一般的に揮発性であるので持続性に乏しく徐放性のある多孔質物質に担持させるかペ−スト状又は高分子化合物に練り込んで持続効果を出すように工夫したものや低重合度のオリゴマ−に鹿やカモシカの忌避する臭気を発する官能基を付加したものが紹介されている。
これらの忌避剤は作業性も材料コストの面でも優れているが設置場所の風下には効果があるが、風上からの野生動物の接近には効果がない。このため風向きが常に変化する山間部では動物が接近し易い状況が頻繁に発生するので効果がなくなる。また、寒冷期には臭気の発散量が激減し、更に餌となる草木が少なくなるので雪融け時に雪面に出ている芽や樹葉が食われる。従って四季を通じて効果を維持することは難しいという問題がある。さらに、その組成中に雨などにより地中にとけ込み、水源を汚染するものもあり、その選択には十分な吟味が必要である。
本発明は安全で環境を汚染する成分を含まず効果の持続性の高いオリゴマ−をベ−スとした忌避剤や多孔質物質に担持させた忌避剤を柔軟な広い表面積を有する発泡体に担時させることによりその有効範囲を広くした網目状発泡体で植栽幼木を1本ずつ囲う場合でも梢頭部から上部に空間を確保して囲むことにより梢頭部の芽の生長を阻害せず、枝が生長しても発泡体の一部が破れ枝の生長を邪魔しないので幹や枝が変形せずに四季を通じて効果を維持できるようにしたものである。
本発明の筒状又はシート状防護用網目状発泡体は、熱可塑性プラスティックを用いたホール数が20−50、発泡倍率が5〜25で成形した、網目の空間面積(交差するストランドに囲まれた面積)が0.3〜4.8cm2、網目の個数(10cm四方中)が11〜83、高さと直径の比率が6〜10の柔軟且つ自立する程度の剛性を有し、目合いが広がって樹木の生長に合わせてある程度たわむことができる柔軟性のある網目状発泡体に野生鹿及びカモシカが生理的に忌避する忌避剤を練り込み又は塗布して担持させたことを要旨とする
本発明の筒状又はシート状防護用網目状発泡体は忌避剤として臭気性忌避剤と味覚性忌避剤を併用して練りこみ又は塗布したことを要旨とする。
本発明の筒状又はシート状防護用網目状発泡体の熱可塑性プラスティックとして生分解性の材料を用いたことを要旨とする。
本発明の植栽幼木の食害防止方法は、樹木の生長を阻害しないように柔軟且つ自立する程度の剛性を有する熱可塑性プラスティック網目状発泡体に野生鹿及びカモシカが生理的に忌避する忌避剤を練り込み又は塗布して担持させることにより、忌避剤の発散する表面積を広くした請求項1から3のいずれかに記載の筒状又はシート状防護用網目状発泡体を用いて、植栽した幼木を1本ずつ個別に周囲を囲うことにより、樹木の生長にも目合いが広がることにより柔軟に変形対応し、生長により網目からはみ出した枝についても幼木の周囲に均等に忌避剤を発散させることで網目周囲の忌避効果を持続可能としたことを要旨とする。
本発明の植栽幼木の食害防止方法は、幼木を挟んで対称位置に防護用網目状発泡体の網目をくぐらせた支持棒2本を地面に一部埋め込み設置することを要旨とする。
本発明によれば、樹葉の物理的保護が柔軟性のある網目状発泡体により弾力的に図れるとともに、その発泡体自体に忌避剤が含まれているため、効果的に樹葉の周囲全体について忌避剤の発散効果が均質に認められ、樹葉の生長により網目から樹葉がはみ出しても、果的な野生鹿及びカモシカに対する忌避効果が認められる。
さらに、本発明の防護用網目状発泡体は、網目状発泡体単独あるいは網目状発泡体と支持棒のみあれば、他の部材を必要としないため、防護用網目状発泡体の設置作業効率が優れている。さらに、網目状発泡体には柔軟性をもたせているため、樹葉の生長に対しても目合いが広がって撓むことにより無理に生長を阻害することが少なく好ましい上に運搬においても軽量化が図れる。
また、発泡体を生分解性材料で構成した場合は、森林の二次公害を引き起こすことがないので、設置後地面に放置することが可能であり、使用済みのネットの処理が格段と容易になる。
さらに、本発明の防護用網目状発泡体は、網目状発泡体単独あるいは網目状発泡体と支持棒のみあれば、他の部材を必要としないため、防護用網目状発泡体の設置作業効率が優れている。さらに、網目状発泡体には柔軟性をもたせているため、樹葉の生長に対しても目合いが広がって撓むことにより無理に生長を阻害することが少なく好ましい上に運搬においても軽量化が図れる。
また、発泡体を生分解性材料で構成した場合は、森林の二次公害を引き起こすことがないので、設置後地面に放置することが可能であり、使用済みのネットの処理が格段と容易になる。
本発明に於いて、臭気性を有する忌避剤とは忌避効果のあるモノマ−、オリゴマ−からポリマ−まですべての天然及び有機合成化合物を含み、例えば、液状ポリサルファイドポリマ−、フェノ−ル系ポリマ−、フェノチアジン、βメルカプトプロピオン酸、チオグリコ−ル酸、クレゾ−ル、及びクレゾ−ル系化合物、さらにはライオン、トラ等肉食動物の糞尿等があげられるが好ましい忌避剤としては液状ポリサルファイドポリマ−、フェノ−ル系ポリマ−、ライオンの糞尿である。
本発明において、味覚性の忌避剤とは忌避効果のあるモノマ−、オリゴマ−からポリマ−まですべての天然及び有機合成化合物を含み、例えば、山葵、唐辛子、芥子等天然香辛料、カプサイシン、チアゾ−ル系化合物、チウラム系化合物等があげられるが好ましい忌避剤はカプサイシン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイドである。
本発明において、熱可塑性プラスティックとは全ての押し出し発泡成形の可能な合成ポリマ−及び天然の動植物由来の生分解性ポリマ−及び合成生分解性ポリマ−を含み、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ−ル、ポリエチレン酢酸ビニ−ル等の汎用樹脂及びプルラン等の多糖類、キチンやキトサンなど動植物由来の生分解性ポリマ−、ポリ乳酸系及びカプロラクタム系生分解性ポリマ−等があげられるがポリエチレン、ポリ乳酸系及びカプロラクタム系生分解性ポリマ−が好ましい。
また、本発明において、生分解性ポリマ−については、微生物により分解されるプルラン等の多糖類やキチン、キトサン等の動植物由来のもの、ポリ乳酸系及びカプロラクタム系のポリマ−など、生分解性のあるものであれば、何れも良好な結果を得ることが出来るが、望ましくは土地との接触後2−3年で分解するものが好ましい。本発明における網目状発泡体の網目は樹葉が網目より外部に飛び出さない程度のものが好ましい。さらに、網目状発泡体は上部の空間が確保されていることが梢頭部の芽の生長にとって必要である。
本発明において重要な要素となる筒状網目発泡体の柔軟且つ自立する程度の剛性は網目を構成する紐状発泡体の使用する樹脂本来の材質及び忌避剤を練り込んだ樹脂の材質(伸び率、引っ張りモジュラス等)、ホール数、発泡倍率、網目の空間面積、高さ直径との比率等により設計出来、ホール数が20〜50、発泡倍率が5〜25、網目の空間面積(交差するストランドに囲まれた面積)が0.3〜4.8cm2、網目の個数(10cm2中)が11〜83、にすることにより目的が達せられるが
ホール数:37
発泡倍率:14倍
空間面積:0.9cm2
網目の個数:42 (ストランドの幅:5mm、厚み:2.5mm、重なり:5mm
長軸:20mm、短軸:10mmの菱形形状)
高さが150cm、直径が18cmに設計した網目状発泡体が最適である。
ホール数:37
発泡倍率:14倍
空間面積:0.9cm2
網目の個数:42 (ストランドの幅:5mm、厚み:2.5mm、重なり:5mm
長軸:20mm、短軸:10mmの菱形形状)
高さが150cm、直径が18cmに設計した網目状発泡体が最適である。
このネットの構造設計は下記の実験結果により得られたものである。
自立性と保護性(伸縮性)の関係
自立性と保護性(伸縮性)の関係
檜の場合、他の樹木にくらべて生長は遅いが、1年間で約30cm生長することが知られている。 鹿やカモシカの届く高さは大きさによって異なるが少なくとも1.5m位に樹木が生長するまで食害から守るの必要があると推察される。梢頭部の芽又は樹葉に鹿やカモシカが届かないような高さまで生長するには樹木の生長スピ−ドから計算して苗木を植栽後4−5年の期間が必要であると考えられる。従って、少なくともその期間が必要であると考えられるので少なくともその期間保護出来るようにしなければならない。 本発明における筒状の網目状発泡体は臭気による忌避効果によって鹿やカモシカを近づけないように出来るのでネットの設置する高さはそこまで必要ではないと思われる。しかし出来るだけ高くするほうがよいと考えられるので安全性をみて1.5m前後にしたほうがよい。
本発明の網目状発泡体は自立出来る程度の剛性を持たせているがそれだけでは強風や台風によって倒される可能性が大きいので2本以上の支持棒で支持するか、少なくとも支持棒に図3(a)や(b)に示すような発泡体を固定させる工夫が必要となる。この工夫はこれらに限るものではない。支持棒が1本であると、図6に示すように取り付けた網目状発泡体が風によって支持棒を中心に回転し、植栽した幼木が外に出てしまうことがあり、先に説明した臭気の発散が弱くなったときに食害を防止することができなくなる。また、その支持棒は設置したときその上端と網目状発泡体の上端をほぼ同じ位置になるように設置することが好ましい。そうしないと支持棒に支持されていない網目状発泡体の上方部分が支持棒の先端を支点にしてその上部の網目状発泡体が風により折り曲げられる。また、支持棒を安定的に固定するためにはその下部を50cm以上地中に埋め込む必要がある。従って、支持棒の長さは網目状発泡体の長さプラス約50cmにする必要がある。例えば発泡体の長さが1.5mの場合、支持棒は2m前後になる。
また、シート状の網目状発泡体の設置方法であるが、シートの両端を重ねて筒状とし、重なり部分に支持棒を図3(a)に示すように縫うように通して、シート状の発泡体を筒状に形成する。この場合は、シートの筒状の形成と地面への設置の役割を支持棒が担うこととなる。発泡体と支持棒との結合方法であるが、別紐やベルトで括りつけるなどの方法もあるが、図3(b)や(c)に示すように、支持棒に切れ込みあるいは突起等の固定部材を備えておくとこれらの固定部材を利用して網目状発泡体の取り付けが容易となり、作業の効率化に役立つ。
また、シート状の網目状発泡体の設置方法であるが、シートの両端を重ねて筒状とし、重なり部分に支持棒を図3(a)に示すように縫うように通して、シート状の発泡体を筒状に形成する。この場合は、シートの筒状の形成と地面への設置の役割を支持棒が担うこととなる。発泡体と支持棒との結合方法であるが、別紐やベルトで括りつけるなどの方法もあるが、図3(b)や(c)に示すように、支持棒に切れ込みあるいは突起等の固定部材を備えておくとこれらの固定部材を利用して網目状発泡体の取り付けが容易となり、作業の効率化に役立つ。
本発明の第1の実施例及び比較例1から3を図1から図6を参照しながら説明する。
なお、実施例比較例ともに、野生鹿の食害がひどい地域で実施し、それぞれ実験開始から1ヶ月後(11月)、6ヶ月後(翌年4月:融雪後)の樹葉の様子を観察した。
図1は本発明の発泡体を用いた網目状発泡体及びその支持棒の正面図である。(a)は筒状網目状発泡体、(b)シート状網目状発泡体、(c)は支持棒を示す。
図2は幼木への網目状発泡体の設置状態を示した使用状態図を示す。
図3(a)は本発明の網目状発泡体と支持棒との関係を示す説明図である。(b)(c)は支持棒への網目状発泡体を固定するための固定部材の説明図である。
図4は実施例1の実験状態を示す図である。
図5は支持棒を1本にした場合の説明図である。
図6は支持棒を1本にした場合の半年後の幼木の状態を示す説明図である。
[実施例 1]
なお、実施例比較例ともに、野生鹿の食害がひどい地域で実施し、それぞれ実験開始から1ヶ月後(11月)、6ヶ月後(翌年4月:融雪後)の樹葉の様子を観察した。
図1は本発明の発泡体を用いた網目状発泡体及びその支持棒の正面図である。(a)は筒状網目状発泡体、(b)シート状網目状発泡体、(c)は支持棒を示す。
図2は幼木への網目状発泡体の設置状態を示した使用状態図を示す。
図3(a)は本発明の網目状発泡体と支持棒との関係を示す説明図である。(b)(c)は支持棒への網目状発泡体を固定するための固定部材の説明図である。
図4は実施例1の実験状態を示す図である。
図5は支持棒を1本にした場合の説明図である。
図6は支持棒を1本にした場合の半年後の幼木の状態を示す説明図である。
[実施例 1]
ポリ乳酸系生分解性ポリマーに発泡剤、ThiokolLP-3をSilica powder に対し40%担時した微粉末(臭気性忌避剤)と0.5%とゴム加硫促進剤TS(味覚性忌避剤)を0.5%の割合で練り込み、押し出し成形により練り込み、発泡倍率8.8,網目の空間面積0.9cm2、10cm平方当たりの網目数42、高さ150cm、直径18cmの円筒状網目状発泡体を作成し、10月に植栽した檜の2年生苗木に50本に1本ずつ被せ、その内、25本は支持棒を1本にし、残りの25本は支持棒を2本にした。なお、本実施例においては支持棒も生分解性樹脂であるポリ乳酸系生分解性ポリマーを使用した。寒冷期、積雪期を過ぎた翌年4月の観察結果では、2本の支持棒を用いたものはすべて10月に設置したままの状態を維持し、幼木の食害は全く無かった。支持棒が1本のものはほとんどの円筒状網目状発泡体が風により支持棒を中心に回転し、幼木が図6に示すようにはみ出しており、幼木は食害を受けていた。
このことから、支持棒は1本より2本の方が好ましいことがわかる。さらに、この実施例のように、生分解性剤材料で発泡体および支持棒を作製すると、使用済みの網目発泡体および支持棒は取り外して地面に置いておくだけで分解するので余分な処理のための手数がかからない。このような網目状発泡体を使用することで、取り外しの膨大な手間を軽減できるとともに、使用済み発泡体の放置による森林の2次公害を防止することができる。
[実施例 2]
このことから、支持棒は1本より2本の方が好ましいことがわかる。さらに、この実施例のように、生分解性剤材料で発泡体および支持棒を作製すると、使用済みの網目発泡体および支持棒は取り外して地面に置いておくだけで分解するので余分な処理のための手数がかからない。このような網目状発泡体を使用することで、取り外しの膨大な手間を軽減できるとともに、使用済み発泡体の放置による森林の2次公害を防止することができる。
[実施例 2]
低密度ポリエチレン樹脂に発泡剤、ThiokolLP-3(臭覚性忌避剤)をSilica powder に対し40%担時した微粉末を0.5%とテトラメチルチウラムジサルファイド(味覚性忌避剤)を0.5%の割合で練り込み、押し出し成形により発泡倍率14,網目の空間面積0.9cm2、10cm平方当たりの網目数30、高さ150cm、幅64cmの網目状発泡体シートを作成した。このシートを丸めて重なった部分の網目を縫うようにして支持棒を通し、高さ150cmの直径25cmの筒状にし、その対称位置の反対側にもう1本の支持棒を図2に示すように取り付けて、10月に植栽した檜の2年生苗木に50本に1本ずつ被せた。
翌年4月の観察結果は実施例1と同様に全て10月に設置した状態を維持した。
このことから、シート状でも筒状と同様に支持棒を用いることで、あたかも筒状である発泡体と同じように効果を上げることが可能であることが実証できた。
[比較例 1]
翌年4月の観察結果は実施例1と同様に全て10月に設置した状態を維持した。
このことから、シート状でも筒状と同様に支持棒を用いることで、あたかも筒状である発泡体と同じように効果を上げることが可能であることが実証できた。
[比較例 1]
無発泡体にした以外は実施例1と同様にして、押し出し成形により無発泡のネット状にしたネットを作製し、10月に植栽した檜の2年生苗木に被せた。支持棒はすべて2本にした。無発泡のネットは強度は高いが、重くなり、幼木の枝の中に入り込み、網目から樹葉がはみ出し、また臭いの発生は発泡体に比べて少なかった。
設置1ヶ月後(11月)はすべて無事であったが翌年4月には半数以上が倒されており樹葉に食害がみられた。
このことから、発泡体を用いることで忌避剤の忌避効果が長時間持続することが判明した。
[比較例 2]
設置1ヶ月後(11月)はすべて無事であったが翌年4月には半数以上が倒されており樹葉に食害がみられた。
このことから、発泡体を用いることで忌避剤の忌避効果が長時間持続することが判明した。
[比較例 2]
味覚性忌避剤を使用せず臭覚性忌避剤のみを使用した以外は実施例2と同様にして網目状発泡体を作製した。10月に植栽した檜の2年生苗木に被せた。支持棒はすべて2本にした。
寒冷期、積雪期を過ぎた翌年4月の観察結果では、すべての幼木は無事であったが、25本中19本の円筒状網目状発泡体が設置時の状態からずれており、野生鹿が取り外そうとした状態が観察された。
このことから、臭覚性忌避剤のみを用いるよりも、臭覚性忌避剤と味覚性忌避剤を両方併用することで、忌避効果がさらに増すことが判明した。
[比較例 3]
寒冷期、積雪期を過ぎた翌年4月の観察結果では、すべての幼木は無事であったが、25本中19本の円筒状網目状発泡体が設置時の状態からずれており、野生鹿が取り外そうとした状態が観察された。
このことから、臭覚性忌避剤のみを用いるよりも、臭覚性忌避剤と味覚性忌避剤を両方併用することで、忌避効果がさらに増すことが判明した。
[比較例 3]
10月に桧の苗を25本植栽し、防護策を施さなかった。
1ヶ月後、すべて幼木の樹葉がほとんど無くなっているのが観察された。
1ヶ月後、すべて幼木の樹葉がほとんど無くなっているのが観察された。
本発明によれば、柔軟性のある網目状発泡体を用いているため、非常に軽量化ができ、持ち運びに便利である。また、幼木の生長にあわせてたわむことが可能で幼木の保護機能も有する。設置が容易で効果的であるため、産業上の利用性を有するものである。
Claims (5)
- 熱可塑性プラスティックを用いたホール数が20−50、発泡倍率が5〜25で成形した、網目の空間面積(交差するストランドに囲まれた面積)が0.3〜4.8cm2、網目の個数(10cm四方中)が11〜83、高さと直径の比率が6〜10の柔軟且つ自立する程度の剛性を有し、目合いが広がって樹木の生長に合わせてたわみ可能な柔軟性のある網目状発泡体に野生鹿及びカモシカが生理的に忌避する忌避剤を練り込み又は塗布して担持させたことを特徴とする筒状又はシート状防護用網目状発泡体。
- 該忌避剤は臭気性忌避剤と味覚性忌避剤を併用して練りこみ又は塗布したことを特徴とする請求項1記載の筒状又はシート状防護用網目状発泡体。
- 該熱可塑性プラスティックは生分解性の材料を用いたことを特徴とする請求項1記載の筒状又はシート状防護用網目状発泡体。
- 樹木の生長を阻害しないように柔軟且つ自立する程度の剛性を有する熱可塑性プラスティック網目状発泡体に野生鹿及びカモシカが生理的に忌避する忌避剤を練り込み又は塗布して担持させることにより、忌避剤の発散する表面積を広くした請求項1から3のいずれかに記載の筒状又はシート状防護用網目状発泡体を用いて、植栽した幼木を1本ずつ個別に周囲を囲うことにより、樹木の生長にも目合いが広がることにより樹木の生長にも柔軟に変形対応し、生長により網目からはみ出した枝についても幼木の周囲に均等に忌避剤を発散させることで網目周囲の忌避効果を持続可能とした植栽幼木の食害防止方法。
- 幼木を挟んで対称位置に防護用網目状発泡体の網目をくぐらせた支持棒2本を地面に一部埋め込み設置することを特徴とする請求項4記載の植栽幼木の食害防止方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010239889A (ja) * | 2009-04-03 | 2010-10-28 | Arkhe Will Co Ltd | 幼齢木の食害防止用プロテクター |
GB2475677A (en) * | 2009-11-23 | 2011-06-01 | Invictus Pest Man Ltd | Pest barrier material |
JP2011188828A (ja) * | 2010-03-16 | 2011-09-29 | Masao Hasegawa | 樹皮防護用シート材及びそれを用いた樹皮防護具 |
JP2020120633A (ja) * | 2019-01-31 | 2020-08-13 | 信濃化学工業株式会社 | 鳥獣害防止シート及び鳥獣害防止方法 |
JP2021195317A (ja) * | 2020-06-11 | 2021-12-27 | 公立大学法人秋田県立大学 | 動物忌避用杭 |
JP2023082708A (ja) * | 2023-02-07 | 2023-06-14 | 国土防災技術株式会社 | 有害動物の忌避効果を有する緑化工法 |
-
2004
- 2004-05-28 JP JP2004160058A patent/JP2005013225A/ja active Pending
Cited By (6)
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