JP2005011449A - 磁気ヘッド、並びに、これを用いたヘッドサスペンションアセンブリ及び磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ヘッド、並びに、これを用いたヘッドサスペンションアセンブリ及び磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】線方向及びトラック幅方向の記録密度を高める。
【解決手段】TMR素子2を構成する磁気抵抗効果層24〜27は、磁気シールド層21,31間に挟まれる。フリー層27へバイアス磁界を与える一対の縦バイアス層が、磁気シールド層21,31間に挟まれ、間磁気抵抗効果層24〜27のトラック幅方向の両側に配置される。一対の縦バイアス層は、軟磁性層34a,34bのみからなり、反強磁性層を含まない。軟磁性層34a,34bのアスペクト比は、例えば5以上である。磁気抵抗効果層24〜27のトラック幅方向の両側付近の磁気シールド層21,31間の間隔d2は、磁気抵抗効果層24〜27を挟んでいる箇所の磁気シールド層21,31間の間隔d1より小さい。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ヘッド、並びに、これを用いたヘッドサスペンションアセンブリ及び磁気ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクドライブ(HDD)の大容量小型化に伴い、高感度、高出力のヘッドが要求されている。その要求に対して、現行製品であるGMRヘッド(Giant Magneto−Resistive Head)の懸命な特性改善が進んでおり、一方でGMRヘッドの2倍以上の抵抗変化率が期待できるトンネル磁気抵抗効果型ヘッド(TMRヘッド)の開発も精力的に行われている。
【0003】
GMRヘッドとTMRヘッドは、一般的に、センス電流を流す方向の違いからヘッド構造が異なる。一般にGMRヘッドのような膜面に対して平行にセンス電流を流すヘッド構造をCIP(Current In Plane)構造、TMRヘッドのように膜面に対して垂直にセンス電流を流すヘッド構造をCPP(Current Perpendicular to Plane)構造と呼ぶ。CPP構造は、磁気シールドそのものを電極として用いることができるため、CIP構造の狭リードギャップ化において深刻な問題になっている、磁気シールド−素子間ショート(絶縁不良)が本質的に生じない。そのため、高記録密度化においてCPP構造は大変有利である。
【0004】
CPP構造の磁気ヘッドとしては、TMRヘッドの他にも、例えば、磁気抵抗効果素子にスピンバルブ膜(スペキュラー型、デュアルスピンバルブ型磁性多層膜を含む)を用いながらもCPP構造を持つCPP−GMRヘッドも知られている。
【0005】
スピンバルブ膜やTMR膜等を利用した磁気ヘッドでは、CIP構造及びCPP構造のいずれにおいても、バルクハウゼンノイズを抑制するために、フリー層へトラック幅方向に、フリー層を単磁区化するのに十分なバイアス磁界が印加される。このバイアス磁界が不足すると、バルクハウゼンノイズが発生し、ヘッドとして機能しない。一般に、トラック幅を規定するミリングに使用したレジストマスクをそのまま利用し、リフトオフ法により、前記バイアス磁界を印加する一対のバイアス層(縦バイアス層又は磁区制御膜とも呼ばれる。)を、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両隣に形成している(例えば、特許文献1〜3)。この構造をAbutted構造と呼ぶ。前記バイアス磁界を印加する手法としては、反強磁性層と軟磁性層との交換結合を利用する交換バイアス法と、硬磁性層を用いた硬磁性バイアス法とが知られている。交換バイアス法の場合、前記バイアス層は、NiFe、CoFe等の軟磁性層と、該軟磁性層と交換結合してその磁化方向を固定するIrMn、RuRhMn等の反強磁性層とから構成され、交換結合により固定された前記軟磁性層が発生する静磁場が、前記バイアス磁界として用いられる(例えば、特許文献1,2)。硬磁性バイアス法の場合、前記バイアス層は、TiW/CoCrPt、Cr/CoCrPt、CrTi/CoCrPt等の硬磁性層で構成され、前記硬磁性層が発生する静磁場が、前記バイアス磁界として用いられる(例えば、特許文献1,3)。
【0006】
そして、磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果層及び前記バイアス層は、磁気記録媒体の磁気ビットを検出できるように、上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間に配置されている(例えば、特許文献1〜3)。磁気抵抗効果層を挟んでいる箇所の上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔が狭いほど、検出できる磁気ビットの長さが短くなり、記録密度を高めることができる。CPP構造の磁気ヘッドでは磁気抵抗効果層に電流を流すためのリードが上部磁気シールド層及び下部磁気シールド層とは別に設けられるが、CIP構造の磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果層に電流を流すための上部電極及び下部電極が上部磁気シールド層及び下部磁気シールド層とは別に設けられる場合もあるし、上部磁気シールド層及び下部磁気シールド層が上部電極及び下部電極として兼用される場合もある。
【0007】
以上説明したような従来の磁気ヘッドでは、いずれのタイプの磁気ヘッドでも、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側付近における上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔は、磁気抵抗効果層を挟んでいる箇所の上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔と同じかあるいはその間隔より大きくされていた(例えば、特許文献1〜3)。特許文献3には、TMRヘッドの場合において、磁気抵抗効果層を挟んでいる箇所の上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔を狭めることにより、検出し得る磁気ビットの長さを短くして記録密度を高める際に、上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の電気的な絶縁を確保するためには、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側付近における上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔を、磁気抵抗効果層を挟んでいる箇所の上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔より大きくすることが好ましい旨が、記載されている。
【0008】
以上説明したような従来の磁気ヘッドの具体例として、第1及び第2の従来例の磁気ヘッドについて、以下に図面を参照して説明する。
【0009】
[第1の従来例]
【0010】
図12は、第1の従来例の磁気ヘッドのTMR素子2付近を模式的に示す断面図である。図13は、図12中のF−F’矢視概略図である。理解を容易にするため、図12及び図13に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。Z軸方向がTMR素子2のトラック幅方向と一致し、後述する保護膜4の+Y側の面がABS(エアベアリング面)を構成している。この点は、後述する第2の従来例及び本発明の第1の実施の形態についても同様である。図14は、第1の従来例の磁気ヘッドにおける上部金属層29より下側の層の、X軸方向から見た位置関係を模式的に示す概略平面図である。
【0011】
再生用磁気ヘッド素子として用いられる磁気抵抗効果素子としてのTMR素子2は、図12及び図13に示すように、下部磁気シールド層21と、下部磁気シールド層21の上側(+X側)に形成された上部磁気シールド層31と、磁気シールド層21,31間に下部磁気シールド層21側から順に積層された、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27、保護膜となる非磁性金属層としての上部金属層(キャップ層)28、及び、上部磁気シールド層31の下地層としての上部金属層29と、を備えている。ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26及びフリー層27が、磁気抵抗効果層を構成している。実際のTMR素子2は、図示されたような層数の膜構造ではなく、より多層の膜構造を有するのが一般的であるが、図に示す磁気ヘッドでは、説明の簡略化のため、TMR素子2の基本動作に必要な最少膜構造を示してある。
【0012】
第1の従来例では、下部磁気シールド層21及び上部磁気シールド層31は、下部電極及び上部電極としてそれぞれ兼用されている。磁気シールド層21,31は、例えば、NiFeなどの磁性材料で形成されている。
【0013】
下部金属層23は、導電体となっており、例えば、下側のTa層と上側のNiFe層とからなる2層膜などで構成される。ピン層24は、反強磁性層で構成されている。ピンド層25及びフリー層27は、それぞれ強磁性層で構成されている。ピンド層25は、ピン層24との間の交換結合バイアス磁界によってその磁化方向が所定方向に固定されている。一方、フリー層27は、基本的に磁気情報である外部磁場に応答して自由に磁化の向きが変わるようになっている。トンネルバリア層26は、例えば、Alなどの材料で形成されている。
【0014】
上部金属層28は、例えば、Ta等で構成される。上部磁気シールド層31の下地層となる上部金属層29は、導電体となっており、Taなどの非磁性金属材料で形成されている。
【0015】
図13に示すように、前記磁気抵抗効果層のZ軸方向の両側には、フリー層27に磁区制御のためのバイアス磁界を主としてトラック幅方向(Z軸方向)に付与する一対の縦バイアス層(磁区制御層)が、形成されている。第1の従来例では、この一対の縦バイアス層は、前記磁気抵抗効果層の−Z側及び+Z側にそれぞれ配置されたNiFe、CoFe等の軟磁性層134a,134bと、軟磁性層134a,134b上にそれぞれ積層され軟磁性層134a,134bとそれぞれ交換結合するIrMn、RuRhMn等の反強磁性層134a’,134b’とから構成されている。すなわち、第1の従来例では、前述した交換バイアス法が採用されている。
【0016】
軟磁性層134a,134bの下側には、それらの下地となるTa等の下地層33a,33bがそれぞれ形成されている。下地層33a,33bの下側には、絶縁層32a,32bがそれぞれ形成されている。絶縁層32a,32bは、下地層33a,33bと層23〜28の+Z側及び−Z側の端面との間にもそれぞれ介在し、層23〜28が下地層33a,33b等によって電気的に短絡しないようになっている。絶縁層32a,32bは、Al又はSiO等で構成されている。反強磁性層134a’,134b’上には、製造工程の都合で上部金属層29の形成前に一旦大気中に置かれた際に前記縦バイアス層(この第1の従来例では、特に反強磁性層35a,35b)を酸化等から保護するTa等の保護層35a,35bが、それぞれ形成されている。
【0017】
第1の従来例では、図12乃至図14に示すように、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28のX軸方向から見た平面視の大きさは、所望のトラック幅TW及びMRハイトMRhに従って規定されている。厳密に言えば、層23〜28は、後述するように同時にイオンミリングされることにより、平面視の大きさが定められ、それらの+Z側、−Z側及び−Y側端面は図12及び図13に示すようにテーパー面となっているので、層23〜28のうち下側の層ほど若干大きくなるが、これらの平面視の大きさは実質的に同じであると言える。図14では、層23〜28については、その上部金属層28のみを示し、その平面視の大きさがTW×MRhであるとして示している。なお、層23〜28の+Y側(ABS側)の端面は、後述するラッピング処理により定まり、膜面に対して垂直となっている。
【0018】
また、第1の従来例では、図13及び図14に示すように、絶縁層32a、下地層33a、軟磁性層134a、反強磁性層134a’及び保護層35aのMRハイト方向(Y軸方向。以下、単に「ハイト方向」という。)の幅Bha、並びに、絶縁層32b、下地層33b、軟磁性層134b、反強磁性層134b’及び保護層35bのハイト方向(Y軸方向)の幅Bhbは、MRハイトMRhと実質的に同一である。後述するように、ハイト方向に関して層23〜28、層32a,33a,134a,134a’,35a、及び層32b,33b,134b,134b’,35bが同時にミリングされることにより、これらの層の−Y側の端面が規定されるので、当該−Y側の端面が各材料に応じたテーパ面となることから、各層のハイト方向の幅は若干異なるが、これらの幅は実質的に同じであると言える。図14では、層32a,33a,134a,134a’,35aについては、保護層35aのみを示し、そのハイト方向の幅がBhaであるとして示している。同様に、図14では、層32b,33b,134b,134b’,35bについては、保護層35bのみを示し、そのハイト方向の幅がBhbであるとして示している。
【0019】
また、層23〜28、層32a,33a,134a,134a’,35a、及び層32b,33b,134b,134b’,35bが形成されていない領域には、下部磁気シールド層21と上部金属層29間において、Al又はSiO等の絶縁層30が形成されている。
【0020】
第1の従来例では、図13に示すように、間隔d2が間隔d1より大きくなっている。間隔d2は、前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域(第1の従来例では、磁気抵抗効果層において膜面と略々垂直な方向に電流が流れる領域であり、前記磁気抵抗効果層のほぼ全領域)と実質的に重ならない領域のうち前記有効領域のトラック幅方向(Z軸方向)の両側付近での、下部磁気シールド層21と上部磁気シールド層31との間の間隔である。間隔d1は、前記有効領域と実質的に重なる領域内での、下部磁気シールド層21と上部磁気シールド層31との間の間隔である。
【0021】
また、図13に示すように、下部磁気シールド層21は、いずれの箇所においても段差等を持たずに平坦に形成され、前記有効領域と実質的に重なる領域から前記有効領域と実質的に重ならない領域にかけて実質的に同一の高さ(X軸方向の高さ)を有している。
【0022】
なお、第1の従来例の磁気ヘッドは、図面には示していないが、後述する本発明の第1の実施の形態による磁気ヘッドと同様に、記録用磁気ヘッド素子としての誘導型磁気変換素子がTMR素子2上に積層され、複合型磁気ヘッドとして構成されている。なお、図12乃至図14において、4は、ABS側に形成されたDLC膜等からなる保護膜である。
【0023】
次に、この第1の従来例の磁気ヘッドの製造方法の一例について、説明する。
【0024】
まず、ウエハ工程を行う。すなわち、基体となるべきAl−TiC又はSiC等のウエハ101を用意し、薄膜形成技術等を用いて、ウエハ101上のマトリクス状の多数の磁気ヘッドの形成領域にそれぞれ、前述した各層を前述した構造となるように形成する。
【0025】
このウエハ工程の概要について、図15乃至図18を参照して説明する。図15乃至図18はウエハ工程を構成する各工程を模式的に示す図であり、図15(a)、図16(a)、図17(a)及び図18(a)はそれぞれ概略平面図である。図15(b)は図15(a)中のG−H線に沿った概略断面図、図16(b)は図16(a)中のG−H線に沿った概略断面図、図17(b)は図17(a)中のJ−K線に沿った概略断面図、図18(b)は図18(a)中のG−H線に沿った概略断面図、図18(c)は図18(a)中のJ−K線に沿った概略断面図である。なお、図16(a)において、TWはTMR素子2が規定するトラック幅を示している。
【0026】
ウエハ工程では、まず、ウエハ101上に、下地層16、下部磁気シールド層21、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28を、順次積層する(図15)。
【0027】
次に、第1のイオンミリングにより、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28を、部分的に除去してパターニングする。次いで、この除去した部分に、リフトオフ法により、絶縁層32a,32b、下地層33a,33b、軟磁性層134a,134b、反強磁性層134a’,134b’及び保護層35a,35bを順次形成する(図16)。なお、前記第1のイオンミリングの際に用いられるレジストマスクが形成される領域は、図16(a)中の保護層35a,35bの領域を除く領域である。
【0028】
次に、第2のイオンミリングにより、TMR素子2のハイト方向に関して必要な幅(Y軸方向の幅)を持つとともに所定長さだけZ軸方向に延びる帯状部分を残して、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27、上部金属層28、軟磁性層134a,134b、反強磁性層134a’,134b’及び保護層35a,35bを、部分的に除去してパターニングする。この第2のイオンミリングで、絶縁層32a,32b及び下地層33a,33bも、除去してもよい。次に、この除去した部分に、リフトオフ法により、絶縁膜30を形成する(図17)。なお、前記第2のイオンミリングの際に用いられるレジストマスクが形成される領域は、図17(a)中の保護層28,35a,35bの領域である。
【0029】
図17(a)には、前記第2のイオンミリング前における保護膜35a,35bの外形を想像線で示している。この点に関し、図17(a)を図16(a)と比較されたい。この製造方法では、保護層35a,35bの厚さや材料等は、前記第2のイオンミリングによって、レジストマスクが形成されていない領域の軟磁性層134a,134b、反強磁性層134a’,134b’及び保護層35a,35bが完全に除去されるように、定められている。したがって、保護層35a,35bの厚さは比較的薄くされている。
【0030】
その後、上部金属層29がスパッタ法等により形成され、更に、メッキ法等により磁気シールド層31を形成する(図18)。最後に、前記誘導型磁気変換素子等を形成する。これにより、ウエハ工程が完了する。
【0031】
次に、ウエハ工程が完了したウエハに対して、公知の工程を経て磁気ヘッドを完成させる。簡単に説明すると、前記ウエハから、基体上に複数の磁気ヘッドの部分が一列状に配列された各バー(バー状磁気ヘッド集合体)切り出す。次いで、このバーに対して、スロートハイト、MRハイト等を設定するために、そのABS側にラッピング処理(研磨)を施す。次に、ABS側に保護膜4等を形成する。最後に、機械加工により切断してバーを個々の磁気ヘッドに分離する。これにより、第1の従来例の磁気ヘッドが完成する。
【0032】
なお、前述した第1の従来例において、一対の縦バイアス層として、軟磁性層134a及び反強磁性層134a’、並びに、軟磁性層134b及び反強磁性層134b’に代えて、TiW/CoCrPt、Cr/CoCrPt、CrTi/CoCrPt等の硬磁性層を形成することが考えられる。すなわち、前記第1の従来例と同様に、縦バイアス層のハイト方向の幅Bha,BhbをMRハイトMRhと実質的に同一としながら(図14参照)、硬磁性バイアス法を採用することが考えられる。ところが、次の理由で、このような構造は一般的には採用されていない。すなわち、硬磁性バイアス法で使用される硬磁性材料(CoCrPt、CoPt等)の粒径は、交換バイアス法で使用される代表的な軟磁性材料(NiFe、CoFe等)の粒径に比べて、一般的に大きい。この大きさは、MRハイトMRh(〜100nm)に比べ無視できない大きさであるため、Bha=Bhb=MRhである場合に硬磁性バイアス法を採用すると、フリー層27へ十分なバイアス磁界を与えることができないとともに、歩留りが低下してしまう。したがって、Bha=Bhb=MRhである場合には、硬磁性バイアス法は採用されていないのが現状である。なお、交換バイアス法で使用される代表的な軟磁性材料(NiFe、CoFe等)の粒径は、一般的に小さいので、前記第1の従来例のようにBha=Bhb=MRhとしても、粒径の面から問題が生ずることはない。
【0033】
[第2の従来例]
【0034】
図19は、第2の従来例の磁気ヘッドのTMR素子2付近を模式的に示す断面図である。図20は、図19中のL−L’矢視概略図である。図21は、第2の従来例の磁気ヘッドにおける上部金属層29より下側の層の、X軸方向から見た位置関係を模式的に示す概略平面図である。図19乃至図21は、図12乃至図14にそれぞれ対応している。図19乃至図21において、図12乃至図14中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0035】
第2の従来例の磁気ヘッドが前記第1の従来例の磁気ヘッドと異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0036】
前記第1の従来例では、一対の縦バイアス層として、軟磁性層134a及び反強磁性層134a’、並びに、軟磁性層134b及び反強磁性層134b’が形成されているのに対し、第2の従来例では、その代わりに、一対の縦バイアス層として、TiW/CoCrPt、Cr/CoCrPt、CrTi/CoCrPt等の一対の硬磁性層234a,234bが形成されている。すなわち、前記第1の従来例では、交換バイアス法が採用されているのに対し、第2の従来例では、硬磁性バイアス法が採用されている。
【0037】
また、前記第1の従来例では、図13及び図14に示すように、軟磁性層134a、反強磁性層134a’及び保護層35aが図21中の領域R2に相当する領域のみに形成されているとともに、軟磁性層134b、反強磁性層134b’及び保護層35bが図21中の領域R4に相当する領域のみに形成されている。これに対し、第2の従来例では、図20及び図21に示すように、硬磁性層234a及び保護層35aが領域R2のみならず領域R1にも形成されているとともに、硬磁性層234b及び保護層35bが領域R4のみならず領域R3にも形成されている。したがって、前記第1の従来例では、縦バイアス層のハイト方向の幅Bha,BhbがMRハイトMRhと実質的に同一であるのに対し、第2の従来例では、縦バイアス層のハイト方向の幅Bha,BhbはMRハイトMRhよりかなり大きい。
【0038】
第2の従来例における領域R2での保護層35aの厚さ及び領域R4での保護膜35bの厚さは、前記第1の従来例における保護膜35a,35bの厚さより厚い。これは、領域R1,R3においても硬磁性層234a,234bを残すべく、保護膜35a,35bを、後述する製造工程における第2のイオンミリングに対するマスクとして機能させることによる。
【0039】
したがって、図20に示すように、第2の従来例においても、前記第1の従来例と同様に間隔d2が間隔d1より大きくなっているが、d2−d1は、第2の従来例の方が前記第1の従来例より大きい。
【0040】
また、第2の従来例では、領域R1での保護層35aの厚さ及び領域R3での保護膜35bの厚さは、領域R2での保護層35aの厚さ及び領域R4での保護膜35bの厚さより薄い。これは、後述する製造工程における第2のイオンミリングにより、保護膜35a,35bが領域R2,R4の上面側が部分的に除去されることによる。
【0041】
次に、この第2の従来例の磁気ヘッドの製造方法の一例について、説明する。この製造方法が前記第1の従来例の磁気ヘッドの製造方法と異なる所は、ウエハ工程のみである。このため、ここでは、第2の従来例の磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程のみについて説明する。
【0042】
このウエハ工程の概要について、図22乃至図25を参照して説明する。図22乃至図25はウエハ工程を構成する各工程を模式的に示す図であり、図22(a)、図23(a)、図24(a)及び図25(a)はそれぞれ概略平面図である。図22(b)は図22(a)中のM−N線に沿った概略断面図、図23(b)は図23(a)中のM−N線に沿った概略断面図、図24(b)は図24(a)中のP−Q線に沿った概略断面図、図25(b)は図25(a)中のM−N線に沿った概略断面図、図25(c)は図25(a)中のP−Q線に沿った概略断面図である。なお、図23(a)において、TWはTMR素子2が規定するトラック幅を示している。
【0043】
ウエハ工程では、まず、ウエハ101上に、下地層16、下部磁気シールド層21、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28を、順次積層する(図22)。
【0044】
次に、第1のイオンミリングにより、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28を、部分的に除去してパターニングする。次いで、この除去した部分に、リフトオフ法により、絶縁層32a,32b、下地層33a,33b、硬磁性層234a,234b及び保護層35a,35bを順次形成する(図23)。この製造方法では、保護層35a,35bの厚さや材料等は、保護層35a,35bが後述する第2のイオンミリングに対するマスクとして機能するように、定められている。したがって、保護層35a,35bの厚さは比較的厚くされている。なお、前記第1のイオンミリングの際に用いられるレジストマスクが形成される領域は、図23(a)中の保護層35a,35bの領域を除く領域である。
【0045】
次に、第2のイオンミリングにより、TMR素子2のハイト方向に関して必要な幅(Y軸方向の幅)を持つとともに所定長さだけZ軸方向に延びる帯状部分にレジストマスクを形成し、その部分を残して、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28を、部分的に除去してパターニングする。このとき、保護層35a,35bの厚さや材料等は前述したように保護膜35a,35bがマスクとして機能するように定められているので、前記レジストマスクが形成されていない領域では、前記第2のイオンミリングにより保護膜35a,35bの厚さは薄くなるものの、この領域においても保護膜35a,35bは残る。次に、前記レジストマスクを形成した領域以外の部分に、リフトオフ法により、絶縁膜30を形成する(図24)。
【0046】
その後、上部金属層29がスパッタ法等により形成され、更に、メッキ法等により磁気シールド層31を形成する(図25)。最後に、前記誘導型磁気変換素子等を形成する。これにより、ウエハ工程が完了する。
【0047】
この第2の従来例では、硬磁性バイアス法が採用されているが、縦バイアス層としての硬磁性層234a,234bのハイト方向の幅Bha,BhbはMRハイトMRhよりかなり大きいので、硬磁性層の粒径の面から問題が生ずることはない。
【0048】
なお、前述した第2の従来例において、一対の縦バイアス層として、硬磁性層234a,234bに代えて、軟磁性層及び反強磁性層を形成する場合もある。すなわち、縦バイアス層のハイト方向の幅Bha,BhbをMRハイトMRhよりかなり大きくしながら(図21参照)、交換バイアス法を採用する場合もある。さらに、前記第1の従来例と第2の従来例の中間の状態、即ち、第2のイオンミリングで、保護層35a,35bから絶縁層32a,32bの途中までミリングする場合も存在する。しかしながら、これは、バイアス層の抑制という観点からはあまり好ましくない。
【0049】
以上、第1及び第2の従来例の磁気ヘッドについて説明した。
【0050】
ところで、非特許文献1には、軟磁性層を矩形形状にパターニングし、その矩形形状のアスペクト比を高めると、前記軟磁性層と交換結合する反強磁性層を用いなくても、前記軟磁性層のフリー方向の保磁力Hcを高めることができる旨が開示されている。しかしながら、非特許文献1は、単に、軟磁性層の形状と当該軟磁性層の磁気特性との関係について言及しているに留まる。非特許文献1は、交換結合により当該軟磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層を用いることなく、アスペクト比の高い軟磁性層を、磁気ヘッドにおける磁気抵抗効果層に含まれるフリー層を単磁区化するために用いることは、何ら開示も示唆もしていない。
【0051】
【特許文献1】
特開2000−30223号公報
【特許文献2】
特開2001−14616号公報
【特許文献3】
特開平11−213351号公報
【非特許文献1】
Jing Shi,外6名,”End Domain States and Magnetization Reversal in Submicron Magnetic Structures”, IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, July 1998,Vol.34, No.4, p.997−999
【0052】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、従来のいずれの磁気ヘッドにおいても、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側付近における上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔(図13及び図20中の間隔d2に相当)は、磁気抵抗効果層を挟んでいる箇所の上部磁気シールド層と下部磁気シールド層との間の間隔(図13及び図20中の間隔d1に相当)と同じかあるいはその間隔より大きくされていた。すなわち、d2−d1≧0とされていた。そして、前述したように、特許文献3に記載されているように、d2−d1を大きくすることが好ましいと考えられてきた。
【0053】
しかしながら、d2−d1が大きくなると、例えば、上部磁気シールド層は、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側において、磁気抵抗効果層の真横の位置から上方に大きく遠ざかることになる。このため、リードギャップ(Read Gap)が広がったような結果を招いてしまい、線方向の高記録密度化が困難となる。また、上部磁気シールド層が、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側において、磁気抵抗効果層の真横の位置から上方に大きく遠ざかるため、サイドリーディングが増加してしまい、これに伴い、トラック幅方向の高記録密度化が困難となる。
【0054】
前記第2の従来例のように各縦バイアス層のハイト方向の幅Bha,BhbをMRハイトMRhより大きくした磁気ヘッド(説明の便宜上、「Wideタイプの磁気ヘッド」と呼ぶ。)の場合、保護層35a,35bに前記第2のイオンミリングに対するマスクとしての機能を持たせるべく保護膜35a,35bを厚くしなければならないので、保護膜35a,35bの厚さは比較的厚くなり、ひいてはd2−d1が大きくなる。これに対し、前記第1の従来例のように各縦バイアス層のハイト方向の幅Bha,BhbをMRハイトMRhと実質的に同じにした磁気ヘッド(説明の便宜上、「Narrowタイプの磁気ヘッド」と呼ぶ。)の場合、保護膜35a,35bが薄くなるので、d2−d1が小さくなる。したがって、Narrowタイプの磁気ヘッドは、Wideタイプの磁気ヘッドに比べて、線方向及びトラック幅方向の高記録密度化を図る上で、有利である。
【0055】
しかし、前述したように、硬磁性材料の粒径がMRハイトMRh(〜100nm)に比べ無視できないほど大きいため、硬磁性バイアス法を採用する場合、フリー層へ十分なバイアス磁界を与えるとともに、高い歩留りを得るためには、Wideタイプを一般的に採用する。一方、粒径的にはNarrowタイプを採用することが可能でありd2−d1を比較的小さくできる交換バイアス法においても、縦バイアス層が軟磁性層と反強磁性層との組み合わせであるために、反強磁性層の厚さの分、d2−d1を小さくすることができなかった。
【0056】
また、交換バイアス法を採用する場合、軟磁性層と反強磁性層との間の交換結合が、場合によっては、200℃程度以下において消失してしまい、温度特性的(ブロッキング温度、分散)にも問題があった。ちなみに、200℃程度の温度はレジストベーク等、ウエハプロセス中では一般的に使用されている温度である。
【0057】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、線方向及びトラック幅方向の記録密度を高めることができる磁気ヘッド、並びに、これを用いたヘッドサスペンションアセンブリ及び磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【0058】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による磁気ヘッドは、基体と、該基体の一方の面側に形成された第1及び第2の磁気シールド層と、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間に挟まれるように形成された磁気抵抗効果層と、を備え、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間の間隔が、前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域と実質的に重ならない領域のうち、少なくとも前記有効領域のトラック幅方向の両側付近の領域において、前記有効領域と実質的に重なる領域内よりも小さいものである。
【0059】
この第1の態様によれば、例えば、上部磁気シールド層は、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側において、磁気抵抗効果層の真横の位置へ近づくことになる。このため、リードギャップ(Read Gap)が広がったような結果を招くことがなく、線方向の記録密度を高めることができる。また、上部磁気シールド層が、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側において、磁気抵抗効果層の真横の位置へ近づくため、サイドリーディングが低減され、これにより、トラック幅方向の記録密度を高めることができる。
【0060】
この第1の態様のように第1の磁気抵抗効果層と第2の磁気シールド層との間の間隔を設定することは、特許文献3に記載されているように、両磁気シールド層間の電気的な絶縁を確保するために、両磁気シールド層間の間隔を磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側で広げることが好ましいと考えられてきたことと、相反するものである。しかしながら、本発明者の実験によって、前記第1の態様のように第1の磁気抵抗効果層と第2の磁気シールド層との間の間隔を設定しても、両磁気シールド層間の電気的な絶縁を確保し得ることが判明した。
【0061】
なお、線方向及びトラック幅方向の記録密度をより高めるために、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間の間隔は、前記トラック幅方向の両側付近の領域において、前記有効領域と実質的に重なる領域内よりも3nm以上小さいことが、より好ましい。
【0062】
本発明の第2の態様による磁気ヘッドは、前記第1の態様において、前記第1及び第2の磁気シールド層のうちの前記基体側の磁気シールド層は、前記有効領域と実質的に重なる領域から前記有効領域と実質的に重ならない領域にかけて実質的に同一の高さを有するものである。
【0063】
この第2の態様によれば、基体側の磁気シールド層に段差等を形成する必要がないので、製造が容易となり、好ましい。
【0064】
本発明の第3の態様による磁気ヘッドは、前記第1又は第2の態様において、前記磁気抵抗効果層がフリー層を含み、前記フリー層に対して主として前記トラック幅方向にバイアス磁界を与える一対のバイアス層を備え、前記一対のバイアス層は、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間において、前記磁気抵抗効果層の前記トラック幅方向の両側に配置されたものである。
【0065】
この第3の態様は、Abutted構造を構造を採用した例を挙げたものである。もっとも、前記第1及び第2の態様では、必ずしもAbutted構造を採用する必要はない。
【0066】
本発明の第4の態様による磁気ヘッドは、前記第3の態様において、前記各バイアス層は、軟磁性層を含むが該軟磁性層と交換結合する反強磁性層を含まないものである。
【0067】
この第4の態様によれば、各バイアス層が反強磁性層を含まないので、軟磁性層の他にこれと交換結合する反強磁性層を用いる交換バイアス法を採用する場合に比べて、前記反強磁性層の厚さの分、前記有効領域と実質的に重ならない領域のうちの前記有効領域のトラック幅方向の両側付近における第1及び第2の磁気シールド層間の間隔を、前記有効領域と実質的に重なる領域内の第1及び第2の磁気シールド層間の間隔より、一層小さくすることができる。したがって、前記第4の態様によれば、線方向及びトラック幅方向の記録密度をより高めることができる。また、当該軟磁性層によってもサイドリーディングが低減され、トラック幅方向の記録密度をより一層高めることができる。
【0068】
この第4の態様のように、バイアス層が反強磁性層が含まなくても、軟磁性層の形状を適切に設定することで、バルクハウゼンノイズを抑えるのに十分なバイアス磁界をフリー層へ与えることができることを、本発明者は実験により確認した。
【0069】
また、前記第4の態様によれば、各バイアス層が反強磁性層を用いていないこと、及び、代表的な軟磁性材料(NiFe、CoFe等)のキュリー温度は500℃はあることから、200℃程度では温度特性も良好である。
【0070】
本発明の第5の態様による磁気ヘッドは、基体と、該基体の一方の面側に形成された第1及び第2の磁気シールド層と、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間に挟まれるように形成されフリー層を含む磁気抵抗効果層と、前記フリー層に対して主としてトラック幅方向にバイアス磁界を与える一対のバイアス層とを備え、前記一対のバイアス層は、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間において、前記磁気抵抗効果層の前記トラック幅方向の両側に配置され、前記各バイアス層は、軟磁性層を含むが該軟磁性層と交換結合する反強磁性層を含まないものである。
【0071】
この第5の態様によれば、各バイアス層が反強磁性層を含まないので、軟磁性層の他にこれと交換結合する反強磁性層を用いる交換バイアス法を採用する場合に比べて、有効領域(磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域)と実質的に重ならない領域のうちの前記有効領域のトラック幅方向の両側付近の領域における、第1及び第2の磁気シールド層間の間隔を、前記反強磁性層の厚さの分、小さくすることができる。したがって、前記第5の態様によれば、線方向及びトラック幅方向の記録密度を高めることができる。
【0072】
また、前記第5の態様によれば、各バイアス層が反強磁性層を用いていないこと、及び、代表的な軟磁性材料(NiFe、CoFe等)のキュリー温度は500℃はあることから、200℃程度では温度特性も良好である。
【0073】
本発明の第6の態様による磁気ヘッドは、前記第4又は第5の態様において、前記各バイアス層の前記軟磁性層のMRハイト方向の幅に対する前記トラック幅方向の幅の比が、5以上であるものである。MRハイト方向は、記録媒体対向面に直交する方向である。
【0074】
この第6の態様のように、前記比を5とした場合にバルクハウゼンノイズを従来と同程度に抑制することができることが、本発明者の実験により確認された。なお、前記比が大きいほど軟磁性層のフリー方向の保磁力Hcが高まることは、非特許文献1に開示されている。したがって、前記第6の態様によれば、バルクハウゼンノイズを抑制するために十分なバイアス磁界をフリー層へ与えることができるので、好ましい。
【0075】
本発明の第7の態様による磁気ヘッドは、前記第4乃至第6のいずれかの態様において、前記軟磁性層の前記トラック幅方向の保磁力が650[Oe]以上であるものである。
【0076】
この第7の態様のように、軟磁性層のトラック幅方向の保磁力が650[Oe]以上であれば、バルクハウゼンノイズをかなり抑制することができるので、好ましい。
【0077】
本発明の第8の態様による磁気ヘッドは、前記第3乃至第7のいずれかの態様において、前記各バイアス層のMRハイト方向の幅が、前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域の前記MRハイト方向の幅と略同一であるものである。
【0078】
この第8の態様によれば、前述したNarrowタイプが採用されているので、前述したWideタイプを採用する場合に比べて、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側における第1及び第2の磁気シールド層間の間隔をより小さくすることができる。したがって、前記第8の態様によれば、線方向及びトラック幅方向の記録密度をより高めることができる。
【0079】
本発明の第9の態様による磁気ヘッドは、前記第1乃至第8のいずれかの態様において、前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域が、前記磁気抵抗効果層において膜面と略々垂直な方向に電流が流れる領域であるものである。
【0080】
この第9の態様は、CPP構造を採用した例であるが、前記第1乃至第8の態様では、CIP構造を採用してもよい。
【0081】
本発明の第10の態様による磁気ヘッドは、前記第9の態様において、前記磁気抵抗効果層は、前記フリー層の一方の面側に形成されたトンネルバリア層と、該トンネルバリア層の前記フリー層とは反対の側に形成されたピンド層と、前記ピンド層の前記トンネルバリア層とは反対の側に形成されたピン層と、を含むものである。
【0082】
この第10の態様は、前記第9の態様をTMR素子に適用した例であるが、前記第9の態様では、TMR素子に限定されるものではなく、例えば、CPP−GMR素子等に適用してもよい。
【0083】
本発明の第11の態様によるヘッドサスペンションアセンブリは、磁気ヘッドと、該磁気ヘッドが先端部付近に搭載され前記磁気ヘッドを支持するサスペンションと、を備え、前記磁気ヘッドが前記第1乃至第10のいずれかの態様による磁気ヘッドであるものである。
【0084】
この第11の態様によれば、前記第1乃至第10のいずれかの態様による磁気ヘッドが用いられているので、磁気ディスク装置等の高記録密度化等を図ることができる。
【0085】
本発明の第12の態様による磁気ディスク装置は、前記第11の態様によるヘッドサスペンションアセンブリと、該アセンブリを支持するアーム部と、該アーム部を移動させて磁気ヘッドの位置決めを行うアクチュエータと、を備えたものである。
【0086】
この第12の態様によれば、前記第11の態様によるヘッドサスペンションアセンブリが用いられているので、高記録密度化等を図ることができる。
【0087】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による磁気ヘッド、並びに、これを用いたヘッドサスペンションアセンブリ及び磁気ディスク装置について、図面を参照して説明する。
【0088】
[第1の実施の形態]
【0089】
図1は、本発明の第1の実施の形態による磁気ヘッドを模式的に示す概略斜視図である。図2は、図1に示す磁気ヘッドのTMR素子2及び誘導型磁気変換素子3の部分を模式的に示す拡大断面図である。図3は、図2中のA−A’矢視概略図である。図4は、図2中のTMR素子2付近を更に拡大した拡大図である。図5は、図3中のTMR素子2付近を更に拡大した拡大図である。図6は、本実施の形態による磁気ヘッドにおける上部金属層29より下側の層の、X軸方向から見た位置関係を模式的に示す概略平面図である。なお、これらの図において、X軸方向が磁気記録媒体の移動方向と一致している。Z軸方向がTMR素子2のトラック幅方向と一致している。
【0090】
図4乃至図6は、図12乃至図14とそれぞれ対応している。図1乃至図6において、図12乃至図14中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付している。
【0091】
第1の実施の形態による磁気ヘッドは、図1に示すように、基体としてのスライダ1と、再生用磁気ヘッド素子として用いられる磁気抵抗効果素子としてのTMR素子2と、記録用磁気ヘッド素子としての誘導型磁気変換素子3と、DLC膜等からなる保護膜4とを備え、複合型磁気ヘッドとして構成されている。もっとも、本発明による磁気ヘッドは、例えば、TMR素子2のみを備えていてもよい。また、第1の実施の形態では、素子2,3はそれぞれ1個ずつ設けられているが、その数は何ら限定されるものではない。
【0092】
スライダ1は磁気記録媒体対向面側にレール部11,12を有し、レール部11、12の表面がABS(エアベアリング面)を構成している。図1に示す例では、レール部11、12の数は2本であるが、これに限らない。例えば、1〜3本のレール部を有してもよいし、ABSはレール部を持たない平面であってもよい。また、浮上特性改善等のために、ABSに種々の幾何学的形状が付されることもある。本発明による磁気ヘッドは、いずれのタイプのスライダを有していてもよい。
【0093】
第1の実施の形態では、保護膜4はレール部11,12の表面にのみ設けられ、保護膜4の表面がABSを構成している。もっとも、保護膜4は、スライダ1の磁気記録媒体対向面の全面に設けてもよい。また、保護膜4を設けることが好ましいが、必ずしも保護膜4を設ける必要はない。
【0094】
TMR素子2及び誘導型磁気変換素子3は、図1に示すように、レール部11、12の空気流出端部TRの側に設けられている。記録媒体移動方向は、図中のX軸方向と一致しており、磁気記録媒体が高速移動した時に動く空気の流出方向と一致する。空気は流入端部LEから入り、流出端部TRから流出する。スライダ1の空気流出端部TRの端面には、TMR素子2に接続されたボンディングパッド5a,5b及び誘導型磁気変換素子3に接続されたボンディングパッド5c,5dが設けられている。
【0095】
TMR素子2及び誘導型磁気変換素子3は、図2及び図3に示すように、スライダ1を構成するセラミック基体15の上に設けられた下地層16の上に、積層されている。セラミック基体15は、通常、アルチック(Al−TiC)又はSiC等で構成される。Al−TiCを用いる場合、これは導電性があるので、下地層16として、例えばAlからなる絶縁膜が用いられる。下地層16は、場合によっては設けなくてもよい。
【0096】
TMR素子2は、図4及び図5に示すように、下地層16上に形成された下部磁気シールド層21と、下部磁気シールド層21の上側(基体15と反対側)に形成された上部磁気シールド層31と、磁気シールド層21,31間に下部磁気シールド層21側から順に積層された、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27、保護膜となる非磁性金属層としての上部金属層(キャップ層)28、及び、上部磁気シールド層31の下地層としての上部金属層29と、を備えている。ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26及びフリー層27が、磁気抵抗効果層を構成している。実際のTMR素子2は、図示されたような層数の膜構造ではなく、より多層の膜構造を有するのが一般的であるが、図に示す磁気ヘッドでは、説明の簡略化のため、TMR素子2の基本動作に必要な最少膜構造を示してある。
【0097】
第1の実施の形態では、下部磁気シールド層21及び上部磁気シールド層31は、下部電極及び上部電極としてそれぞれ兼用されている。磁気シールド層21,31は、例えば、NiFeなどの磁性材料で形成されている。図面には示していないが、これらの磁気シールド層21,31は、前述したボンディングパッド5a,5bにそれぞれ電気的に接続されている。なお、下部磁気シールド層21及び上部磁気シールド層31とは別に、下部電極及び上部電極を設けてもよいことは、言うまでもない。
【0098】
下部金属層23は、導電体となっており、例えば、下側のTa層と上側のNiFe層とからなる2層膜などで構成される。ピン層24は、反強磁性層で構成され、例えば、PtMn、IrMn、RuRhMn、FeMn、NiMn、PdPtMn、RhMn又はCrMnPtなどのMn系合金で形成することが好ましい。ピンド層25及びフリー層27は、それぞれ強磁性層で構成され、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、NiFe、CoZrNb又はFeCoNiなどの材料で形成される。ピンド層25は、ピン層24との間の交換結合バイアス磁界によってその磁化方向が所定方向に固定されている。一方、フリー層27は、基本的に磁気情報である外部磁場に応答して自由に磁化の向きが変わるようになっている。ピンド層25及びフリー層27としては、単層に限定されるものではなく、例えば、反強磁性型磁気結合をしている一対の磁性層と、その間に挟まれた非磁性金属層との組み合わせからなる積層体を用いてもよい。このような積層体として、例えば、CoFe/Ru/CoFeの3層積層体からなる強磁性層が挙げられる。なお、本実施の形態では、下部磁気シールド層21側からピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27の順に配置されているが、下部磁気シールド層21側からフリー層27、トンネルバリア層26、ピンド層25、ピン層24の順に配置してもよい。トンネルバリア層26は、例えば、Al、NiO、GdO、MgO、Ta、MoO、TiO又はWOなどの材料で形成される。
【0099】
上部金属層28は、例えば、Ta、Rh、Ru、Os、W、Pd、Pt又はAuの単体、又は、これらのいずれか2種以上の組み合わせからなる合金、を用いた、単層膜又は複層膜で形成される。
【0100】
上部電極31の下地層となる上部金属層29は、導電体となっており、Taなどの非磁性金属材料で形成される。本例では、上部金属層29は、磁気シールドギャップ(磁気シールド層21,31間のギャップ)を所望の間隔に保つために、設けられている。もっとも、必ずしも上部金属層29を設ける必要はない。
【0101】
図3及び図5に示すように、前記磁気抵抗効果層のZ軸方向の両側には、フリー層27に磁区制御のためのバイアス磁界を主としてトラック幅方向(Z軸方向)に付与する一対の縦バイアス層(磁区制御層)が形成されている。第1の実施の形態では、この一対の縦バイアス層は、前記磁気抵抗効果層の−Z側及び+Z側にそれぞれ配置されたNiFe、CoFe等の軟磁性層34a,34bで構成され、前記第1の従来例と異なり、軟磁性層34a,34bと交換結合する反強磁性層を含んでいない。
【0102】
軟磁性層34a,34bの下側には、それらの下地となるTa等の下地層33a,33bがそれぞれ形成されている。もっとも、下地層33a,33bは必ずしも設ける必要はない。下地層33a,33bの下側には、絶縁層32a,32bがそれぞれ形成されている。絶縁層32a,32bは、下地層33a,33bと層23〜28の+Z側及び−Z側の端面との間にもそれぞれ介在し、層23〜28が下地層33a,33b等によって電気的に短絡しないようになっている。絶縁層32a,32bは、Al又はSiO等で構成されている。軟磁性層34a,34b上には、製造工程の都合で上部金属層29の形成前に一旦大気中に置かれた際に前記縦バイアス層(本実施の形態では、軟磁性層34a,34b)を酸化等から保護するTa等の保護層35a,35bが、それぞれ形成されている。この保護膜35a,35bは、設けることが好ましいが、必ずしも設ける必要はない。
【0103】
第1の実施の形態では、図4乃至図6に示すように、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28のX軸方向から見た平面視の大きさは、所望のトラック幅TW及びMRハイトMRhに従って規定されている。厳密に言えば、層23〜28は、後述するように同時にイオンミリングされることにより、平面視の大きさが定められ、それらの+Z側、−Z側及び−Y側端面は図4及び図5に示すようにテーパー面となっているので、層23〜28のうち下側の層ほど若干大きくなるが、これらの平面視の大きさは実質的に同じであると言える。図6では、層23〜28については、その上部金属層28のみを示し、その平面視の大きさがTW×MRhであるとして示している。なお、層23〜28の+Y側(ABS側)の端面は、後述するラッピング処理により定まり、膜面に対して垂直となっている。
【0104】
また、第1の実施の形態では、図5及び図6に示すように、軟磁性層34a及び保護層35aのMRハイト方向(Y軸方向。以下、単に「ハイト方向」という。)の幅Bha、並びに、軟磁性層34b及び保護層35bのハイト方向(Y軸方向)の幅Bhbは、MRハイトMRhと実質的に同一である。後述するように、ハイト方向に関して層23〜28、層34a,35a、及び層34b,35bが同時にミリングされることにより、これらの層の−Y側の端面が規定されるので、当該−Y側の端面が各材料に応じたテーパ面となることから、各層のハイト方向の幅は若干異なるが、これらの幅は実質的に同じであると言える。図6では、層34a,35aについては、保護層35aのみを示し、そのハイト方向の幅がBhaであるとして示している。同様に、図6では、層34b,35bについては、保護層35bのみを示し、そのハイト方向の幅がBhbであるとして示している。
【0105】
バルクハウゼンノイズを抑えるのに十分なバイアス磁界をフリー層27へ印加するためには、軟磁性層34aのハイト方向(Y軸方向)の幅Bhaに対するトラック幅方向(Z軸方向)の幅Waの比(アスペクト比Wa/Bha)、及び、軟磁性層34bのハイト方向(Y軸方向)の幅Bhbに対するトラック幅方向(Z軸方向)の幅Wbの比(アスペクト比Wb/Bhb)(図6参照)は、5以上であることが好ましい。また、バルクハウゼンノイズを抑えるのに十分なバイアス磁界をフリー層27へ印加するためには、軟磁性層34a,34bのフリー方向(Z軸方向)の保磁力Hcが650[Oe]以上であることが好ましい。
【0106】
また、層23〜28、層32a,33a,34a,35a、及び層32b,33b,34b,34b,35bが形成されていない領域には、下部磁気シールド層21と上部金属層29間において、Al又はSiO等の絶縁層30が形成されている。
【0107】
第1の実施の形態では、図5に示すように、前記第1及び第2の従来例と異なり、間隔d2が間隔d1より小さくなっている。間隔d2が間隔d1よりも3nm以上小さいことが、より好ましい。もっとも、本発明では、d2≦d1でもよいし、d2>d1でもよい。。間隔d2は、前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域(第1の実施の形態では、磁気抵抗効果層において膜面と略々垂直な方向に電流が流れる領域であり、前記磁気抵抗効果層のほぼ全領域)と実質的に重ならない領域のうち前記有効領域のトラック幅方向(Z軸方向)の両側付近での、下部磁気シールド層21と上部磁気シールド層31との間の間隔である。間隔d1は、前記有効領域と実質的に重なる領域内での、下部磁気シールド層21と上部磁気シールド層31との間の間隔である。
【0108】
また、図5に示すように、下部磁気シールド層21は、いずれの箇所においても段差等を持たずに平坦に形成され、前記有効領域と実質的に重なる領域から前記有効領域と実質的に重ならない領域にかけて実質的に同一の高さ(X軸方向の高さ)を有している。
【0109】
誘導型磁気変換素子3は、図2及び図3に示すように、当該素子3に対する下部磁性層としても兼用される前記上部磁気シールド層31、上部磁性層36、コイル層37、アルミナ等からなるライトギャップ層38、熱硬化性のフォトレジスト(例えば、ノボラック樹脂等の有機樹脂)で構成された絶縁層39及びアルミナ等からなる保護層40などを有している。上部磁性層36の材質としては、例えば、NiFe又はFeNなどが用いられる。下部磁性層としても兼用された上部電極31及び上部磁性層36の先端部は、微小厚みのアルミナなどのライトギャップ層38を隔てて対向する下部ポール部31a及び上部ポール部36aとなっており、下部ポール部31a及び上部ポール部36aにおいて磁気記録媒体に対して情報の書き込みを行なう。下部磁性層としても兼用された上部磁気シールド層31及び上部磁性層36は、そのヨーク部が下部ポール部31a及び上部ポール部36aとは反対側にある結合部41において、磁気回路を完成するように互いに結合されている。絶縁層39の内部には、ヨーク部の結合部41のまわりを渦巻状にまわるように、コイル層37が形成されている。コイル層37の両端は、前述したボンディングパッド5c,5dに電気的に接続されている。コイル層37の巻数及び層数は任意である。また、誘導型磁気変換素子3の構造も任意でよい。上部電極31は、誘導型磁気変換素子3の下部磁性層とTMR素子2の上部磁気シールド層の役割を分けるために、Al、SiOなどの絶縁層を挟んで2層に分けても良い。
【0110】
次に、本実施の形態による磁気ヘッドの製造方法の一例について、説明する。
【0111】
まず、ウエハ工程を行う。すなわち、基体15となるべきAl−TiC又はSiC等のウエハ101を用意し、薄膜形成技術等を用いて、ウエハ101上のマトリクス状の多数の磁気ヘッドの形成領域にそれぞれ、前述した各層を前述した構造となるように形成する。
【0112】
このウエハ工程の概要について、図7乃至図10を参照して説明する。図7乃至図10はウエハ工程を構成する各工程を模式的に示す図であり、図7(a)、図8(a)、図9(a)及び図10(a)はそれぞれ概略平面図である。図7(b)は図7(a)中のB−C線に沿った概略断面図、図8(b)は図8(a)中のB−C線に沿った概略断面図、図9(b)は図9(a)中のD−E線に沿った概略断面図、図10(b)は図10(a)中のB−C線に沿った概略断面図、図10(c)は図10(a)中のD−E線に沿った概略断面図である。なお、図8(a)において、TWはTMR素子2が規定するトラック幅を示している。
【0113】
ウエハ工程では、まず、ウエハ101上に、下地層16、下部磁気シールド層21、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28を、順次積層する(図7)。このとき、下部磁気シールド層21は例えばめっき法により形成し、他の層は例えばスパッタ法で形成する。
【0114】
次に、第1のイオンミリングにより、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27及び上部金属層28を、部分的に除去してパターニングする。次いで、この除去した部分に、リフトオフ法により、絶縁層32a,32b、下地層33a,33b、軟磁性層34a,34b及び保護層35a,35bを順次形成する(図8)。なお、前記第1のイオンミリングの際に用いられるレジストマスクが形成される領域は、図8(a)中の保護層35a,35bの領域を除く領域である。
【0115】
次に、第2のイオンミリングにより、TMR素子2のハイト方向に関して必要な幅(Y軸方向の幅)を持つとともに所定長さだけZ軸方向に延びる帯状部分を残して、下部金属層23、ピン層24、ピンド層25、トンネルバリア層26、フリー層27、上部金属層28、軟磁性層34a,34b及び保護層35a,35bを、部分的に除去してパターニングする。この第2のイオンミリングで、絶縁層32a,32b及び下地層33a,33bも、除去してもよい。次に、この除去した部分に、リフトオフ法により、絶縁膜30を形成する(図9)。なお、前記第2のイオンミリングの際に用いられるレジストマスクが形成される領域は、図9(a)中の保護層28,35a,35bの領域である。
【0116】
図9(a)には、前記第2のイオンミリング前における保護膜35a,35bの外形を想像線で示している。この点に関し、図9(a)を図8(a)と比較されたい。この製造方法では、保護層35a,35bの厚さや材料等は、前記第2のイオンミリングによって、レジストマスクが形成されていない領域の軟磁性層34a,34b及び保護層35a,35bが完全に除去されるように、定められている。したがって、保護層35a,35bの厚さは比較的薄くされている。
【0117】
その後、上部金属層29がスパッタ法等により形成され、更に、メッキ法等により磁気シールド層31を形成する(図10)。
【0118】
最後に、ギャップ層38、コイル層37、絶縁層39、上部磁性層36及び保護膜40を形成し、更に電極5a〜5d等を形成する。これにより、ウエハ工程が完了する。
【0119】
次に、ウエハ工程後が完了したウエハに対して、公知の工程を経て磁気ヘッドを完成させる。簡単に説明すると、前記ウエハから、基体上に複数の磁気ヘッドの部分が一列状に配列された各バー(バー状磁気ヘッド集合体)切り出す。次いで、このバーに対して、スロートハイト、MRハイト等を設定するために、そのABS側にラッピング処理(研磨)を施す。次に、ABS側に保護膜4を形成し、更に、エッチング等によりレール11,12を形成する。最後に、機械加工により切断してバーを個々の磁気ヘッドに分離する。これにより、本実施の形態による磁気ヘッドが完成する。
【0120】
本実施の形態によれば、図5に示すように、間隔d2が間隔d1より小さくされているので、d2>d1である前記第1の従来例(図13参照)に比べて、上部磁気シールド層31が、磁気抵抗効果層のトラック幅方向(Z軸方向)の両側において、磁気抵抗効果層の真横の位置へ近づくことになる。このため、リードギャップが広がったような結果を招くことがなく、線方向の記録密度を高めることができる。また、上部磁気シールド層31が、磁気抵抗効果層のトラック幅方向の両側において、磁気抵抗効果層の真横の位置へ近づくため、サイドリーディングが低減され、これにより、トラック幅方向の記録密度を高めることができる。また、このように間隔d2を間隔d1より小さくしても、磁気シールド層間の電気的な絶縁を確保し得ることが、後述する実験により判明した。
【0121】
また、本実施の形態によれば、下部磁気シールド層21は、いずれの箇所においても段差等を持たずに平坦に形成されているので、段差等を形成する必要がないことから、製造が容易となり、好ましい。
【0122】
さらに、本実施の形態によれば、一対の縦バイアス層が、軟磁性層34a,34bをそれぞれ含むが軟磁性層34a,34bと交換結合する反強磁性層を含まないので、前記第1の従来例のように軟磁性層134a,134bの他にこれらとそれぞれ交換結合する反強磁性層134a’,134b’を用いる交換バイアス法を採用する場合に比べて、前記反強磁性層134a’,134b’の厚さの分、磁気抵抗効果層の有効領域と実質的に重ならない領域のうちの前記有効領域のトラック幅方向の両側付近における磁気シールド層21,31間の間隔d2を、前記有効領域と実質的に重なる領域内の磁気シールド層21,31間の間隔d1より、一層小さくすることができる。したがって、本実施の形態によれば、線方向及びトラック幅方向の記録密度をより高めることができる。また、当該軟磁性層34a,34bによってもサイドリーディングが低減され、トラック幅方向の記録密度をより一層高めることができる。これらの利点は、d2≧d1でもd2<d1でも得ることができる。
【0123】
縦バイアス層が反強磁性層が含まなくても、軟磁性層34a,34bの形状を適切に設定することで、バルクハウゼンノイズを抑えるのに十分なバイアス磁界をフリー層へ与えることができることが、後述する実験により確認された。
【0124】
また、本実施の形態によれば、各縦バイアス層が反強磁性層を用いていないこと、及び、代表的な軟磁性材料(NiFe、CoFe等)のキュリー温度は500℃はあることから、200℃程度では温度特性も良好である。
【0125】
さらに、本実施の形態によれば、図6に示すように、Bha=Bhb=MRhとされ、Narrowタイプが採用されているので、Wideタイプを採用した前記第2の従来例に比べて、保護膜35a,35bの厚さを薄くすることができる。このため、磁気抵抗効果層の有効領域と実質的に重ならない領域のうちの前記有効領域のトラック幅方向の両側付近における磁気シールド層21,31間の間隔を、前記有効領域と実質的に重なる領域内の磁気シールド層21,31間の間隔より、一層小さくすることができる。したがって、本実施の形態によれば、線方向及びトラック幅方向の記録密度をより高めることができる。
【0126】
[第2の実施の形態]
【0127】
図11は、本発明の第2の実施の形態による磁気ディスク装置の要部の構成を示す概略斜視図である。
【0128】
第2の実施の形態による磁気ディスク装置は、軸70の回りに回転可能に設けられた磁気ディスク71と、磁気ディスク71に対して情報の記録及び再生を行う磁気ヘッド72と、磁気ヘッド72を磁気ディスク71のトラック上に位置決めするためのアッセンブリキャリッジ装置73と、を備えている。
【0129】
アセンブリキャリッジ装置73は、軸74を中心にして回動可能なキャリッジ75と、このキャリッジ75を回動駆動する例えばボイスコイルモータ(VCM)からなるアクチュエータ76とから主として構成されている。
【0130】
キャリッジ75には、軸74の方向にスタックされた複数の駆動アーム77の基部が取り付けられており、各駆動アーム77の先端部には、磁気ヘッド72を搭載したヘッドサスペンションアッセンブリ78が固着されている。各ヘッドサスペンションアセンブリ78は、その先端部に有する磁気ヘッド72が、各磁気ディスク71の表面に対して対向するように駆動アーム77の先端部に設けられている。
【0131】
第2の実施の形態では、磁気ヘッド72として、前述した第1の実施の形態による磁気ヘッドが搭載されている。したがって、第2の実施の形態によれば、高記録密度化を図ることができるなどの利点が得られる。
【0132】
【実施例】
図26に示すパターニングなしのサンプルと、図27に示すパターニングありのサンプルを、作製した。図26(a)はパターニングなしのサンプルを模式的に示す概略平面図、図26(b)は図26(a)中のR−R’矢視図である。図27(a)はパターニングありのサンプルを模式的に示す概略平面図、図27(b)は図27(a)中のS−S’矢視図である。
【0133】
図26に示すパターニングなしのサンプルは、シリコン基板301上に、厚さ5nmのTa層302(図5中の下地層33a,33bに対応)、厚さ25nmのNiFe層303(図5中の軟磁性層34a,34bに対応)及び厚さ30nmのTa層304(図5中の保護層35a,35bに対応)を、基板301側から順次積層したものであり、各層302〜304はパターニングされていない。図27に示すパターニングありのサンプルは、図26に示すサンプルに対して、電子線リソグラフィにて、X軸方向から見た平面視で0.5μm×0.1μmの矩形形状を持つマスクパターンを形成し、このマスクパターンを利用してイオンミリングにより層302〜304をパターニングした後、このマスクパターンを除去したものである。したがって、図27では、層302〜304は、実質的に0.5μm(図6中のWa,Wbに対応)×0.1μm(図6中のBha,Bhbに対応)の矩形形状(そのアスペクト比は5)にパターニングされた。
【0134】
そして、図26及び図27に示す各サンプルのMH曲線をVSM(Vibrating Sample Magnetometer、振動試料型磁力計)により評価した。それらの結果を図28及び図29にそれぞれ示す。なお、これらのサンプルでは、図26及び図27中のZ軸方向をNiFe層303の磁化容易軸の方向(フリー方向)とした。
【0135】
図26に示すパターニングなしのサンプルでは、フリー方向の保磁力Hcが8[Oe]程度であるのに対し、図27に示すパターニングありのサンプルではフリー方向の保磁力Hcが650[Oe]程度である。つまり、パターニングされたサンプルのフリー方向の保磁力Hcが大きいということは、図27に示すようにパターニングされた軟磁性層が、フリー層に対して縦バイアスを潜在的に与えることができることを、示している。
【0136】
この軟磁性層の形状異方性起因の保磁力Hcは、アスペクト比が大きいほど、また膜厚が厚い(磁気的な膜厚Bstが大きい)ほど保磁力Hcが大きくなることが知られている(非特許文献1のFig.2,3)。
【0137】
したがって、アスペクト比を5以上とした軟磁性層を縦バイアス層として用いると、十分なバイアス磁界をフリー層に与えることができることがわかる。
【0138】
また、サンプル1として、前記第1の実施の形態に相当する磁気ヘッドを、その主要な各層の構成を下記の表1に示す通りとし、前述の対応する製造方法で作製した。サンプル2として、前記第1の従来例に相当する磁気ヘッド(Narrowタイプ、交換バイアス法)を、その主要な各層の構成を下記の表2に示す通りとし、前述の対応する製造方法で作製した。サンプル3として、前記第2の従来例に相当する磁気ヘッド(Wideタイプ、硬磁性バイアス法)を、その主要な各層の構成を下記の表3に示す通りとし、前述の対応する製造方法で作製した。
【0139】
【表1】
Figure 2005011449
【0140】
【表2】
Figure 2005011449
【0141】
【表3】
Figure 2005011449
【0142】
サンプル1が本発明の実施例に相当し、サンプル2,3がそれぞれ比較例に相当している。表1〜3に示す層構成から、表1〜表3にそれぞれ示すように、サンプル1ではd2−d1=−3nm、サンプル2ではd2−d1=+4nm、サンプル3ではd2−d1=+32nmとなる。
【0143】
サンプル1,2では、TW=0.1μm、MRh=Bha=Bhb=0.1μm、Wa=Wb=0.5μmとした。サンプル3では、TW=0.1μmとした。
【0144】
サンプル1〜3ともに、ウエハ工程終了後、バー状態に切断し、ラッピング処理としてダイヤモンド粒子でTMR素子2を直接研磨して、MRハイトMRhを0.1μmと規定した。そして、サンプル1〜3ともに、ヘッド保護膜4としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)3nmをつけて浮上型磁気ヘッドとして作製し、有効トラック幅、バルクハウゼンノイズ(BHN)発生率を測定した。その結果を表4に示す。
【0145】
【表4】
Figure 2005011449
【0146】
本発明の実施例に相当するサンプル1(形状異方性により大きな保磁力Hcを持つ軟磁性層のみからなる縦バイアス層を使用したヘッド)においても、比較例に相当するサンプル2,3(従来の縦バイアス層を使用したヘッド)と同程度に、バルクハウゼンノイズを抑制することができることがわかる。そして、サンプル1では、サンプル2,3に比べてd2−d1が小さくなることで、サイドシールド効果が増大し、有効トラック幅を狭くすることができる。
【0147】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0148】
例えば、前述した実施の形態はTMRヘッドに適用した例であるが、本発明は、CPP−GMRヘッドなどのCPP構造を持つ磁気抵抗効果素子を有するヘッドや、CIP構造を持つGMRヘッドなどにも適用することができる。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、線方向及びトラック幅方向の記録密度を高めることができる磁気ヘッド、並びに、これを用いたヘッドサスペンションアセンブリ及び磁気ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による磁気ヘッドを模式的に示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す磁気ヘッドのTMR素子及び誘導型磁気変換素子の部分を模式的に示す拡大断面図である。
【図3】図2中のA−A’矢視概略図である。
【図4】図2中のTMR素子付近を更に拡大した拡大図である。
【図5】図3中のTMR素子付近を更に拡大した拡大図である。
【図6】図1に示す磁気ヘッドにおける所定層より下側の層の、X軸方向から見た位置関係を模式的に示す概略平面図である。
【図7】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する一工程を模式的に示す図である。
【図8】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する他の工程を模式的に示す図である。
【図9】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図10】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態による磁気ディスク装置の要部の構成を示す概略斜視図である。
【図12】第1の従来例の磁気ヘッドのTMR素子付近を模式的に示す断面図である。
【図13】図12中のF−F’矢視概略図である。
【図14】図12に示す磁気ヘッドにおける所定層より下側の層の、X軸方向から見た位置関係を模式的に示す概略平面図である。
【図15】図12に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する一工程を模式的に示す図である。
【図16】図12に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する他の工程を模式的に示す図である。
【図17】図12に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図18】図12に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図19】第2の従来例の磁気ヘッドのTMR素子付近を模式的に示す断面図である。
【図20】図19中のL−L’矢視概略図である。
【図21】図19に示す磁気ヘッドにおける所定層より下側の層の、X軸方向から見た位置関係を模式的に示す概略平面図である。
【図22】図19に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する一工程を模式的に示す図である。
【図23】図19に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する他の工程を模式的に示す図である。
【図24】図19に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図25】図19に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図26】軟磁性層に関するパターニングなしのサンプルを模式的に示す図である。
【図27】軟磁性層に関するパターニングありのサンプルを模式的に示す図である。
【図28】図26に示すサンプルのMH曲線を示す図である。
【図29】図27に示すサンプルのMH曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 スライダ
2 TMR素子
3 誘導型磁気変換素子
21 下部磁気シールド層
23 下部金属層
24 ピン層
25 ピンド層
26 トンネルバリア層
27 フリー層
28 上部金属層(キャップ層)
29 上部金属層
30 絶縁層
31 上部磁気シールド層
32a,32b 絶縁層
33a,33b 下地層
34a,34b 軟磁性層(縦バイアス層)
35a,35b 保護層

Claims (12)

  1. 基体と、該基体の一方の面側に形成された第1及び第2の磁気シールド層と、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間に挟まれるように形成された磁気抵抗効果層と、を備え、
    前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間の間隔が、前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域と実質的に重ならない領域のうち、少なくとも前記有効領域のトラック幅方向の両側付近の領域において、前記有効領域と実質的に重なる領域内よりも小さいことを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 前記第1及び第2の磁気シールド層のうちの前記基体側の磁気シールド層は、前記有効領域と実質的に重なる領域から前記有効領域と実質的に重ならない領域にかけて実質的に同一の高さを有することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
  3. 前記磁気抵抗効果層がフリー層を含み、
    前記フリー層に対して主として前記トラック幅方向にバイアス磁界を与える一対のバイアス層を備え、
    前記一対のバイアス層は、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間において、前記磁気抵抗効果層の前記トラック幅方向の両側に配置されたことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気ヘッド。
  4. 前記各バイアス層は、軟磁性層を含むが該軟磁性層と交換結合する反強磁性層を含まないことを特徴とする請求項3記載の磁気ヘッド。
  5. 基体と、該基体の一方の面側に形成された第1及び第2の磁気シールド層と、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間に挟まれるように形成されフリー層を含む磁気抵抗効果層と、前記フリー層に対して主としてトラック幅方向にバイアス磁界を与える一対のバイアス層とを備え、
    前記一対のバイアス層は、前記第1の磁気シールド層と前記第2の磁気シールド層との間において、前記磁気抵抗効果層の前記トラック幅方向の両側に配置され、
    前記各バイアス層は、軟磁性層を含むが該軟磁性層と交換結合する反強磁性層を含まないことを特徴とする磁気ヘッド。
  6. 前記各バイアス層の前記軟磁性層のMRハイト方向の幅に対する前記トラック幅方向の幅の比が、5以上であることを特徴とする請求項4又は5記載の磁気ヘッド。
  7. 前記軟磁性層の前記トラック幅方向の保磁力が650[Oe]以上であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  8. 前記各バイアス層のMRハイト方向の幅が、前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域の前記MRハイト方向の幅と略同一であることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  9. 前記磁気抵抗効果層における磁気検出に有効に関与する膜面方向の有効領域が、前記磁気抵抗効果層において膜面と略々垂直な方向に電流が流れる領域であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  10. 前記磁気抵抗効果層は、前記フリー層の一方の面側に形成されたトンネルバリア層と、該トンネルバリア層の前記フリー層とは反対の側に形成されたピンド層と、前記ピンド層の前記トンネルバリア層とは反対の側に形成されたピン層と、を含むことを特徴とする請求項9記載の磁気ヘッド。
  11. 磁気ヘッドと、該磁気ヘッドが先端部付近に搭載され前記磁気ヘッドを支持するサスペンションと、を備え、前記磁気ヘッドが請求項1乃至10のいずれかに記載の磁気ヘッドであることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
  12. 請求項11記載のヘッドサスペンションアセンブリと、該アセンブリを支持するアーム部と、該アーム部を移動させて磁気ヘッドの位置決めを行うアクチュエータと、を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
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