JP2005011217A - 氷雪融解機能を備える信号機 - Google Patents

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Takashi Misawa
尚 美澤
Yasuharu Momose
康晴 百瀬
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Abstract

【課題】氷雪が付着することがない信号機を提供する。
【解決手段】信号機本体3の裏面には、シート状に形成された発熱体7が貼着されている。発熱体7は、シート状に形成された半導体熱交換素子からなっている。支柱2には発熱体7に接続された太陽電池8が取り付けられている。太陽電池8で発生した電荷は電気二重層コンデンサに蓄積され、電気二重層コンデンサの電荷が逐次、半導体熱交換素子に送られる。これにより発熱体7が発熱し、信号機本体3の表側の発光部に氷雪が付着しない。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、寒冷地や氷雪地帯であっても氷雪が付着することのない氷雪融解機能を備える信号機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
信号機は全国中の道路に設置されている。特に寒冷地や氷雪地帯においては、降雪により信号表示用の発光部、すなわち、赤、黄、青色の表示部に氷雪が付着し、それが凍りついて付着したままとなると信号表示が見えなくなる。このように、通行人や運転手等が信号を確認できない状態となると重大事故につながり危険であり道路安全上好ましくない。また、鉄道線路に設けられる鉄道用の信号においても、表示が見えなくなれば危険であることは同様である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
信号表示用の発光部(赤、黄、青色の表示部)に氷雪が付着した場合には人間の作業によってこれを取り除くことはできる。しかしながら、信号機の発光部が設けられている信号機本体は地上からかなり高い位置にあり作業は困難である。また、信号機は設置数が多いため人件費が嵩みコスト面においても不利である。
【0004】
従って、この発明の目的は、上述の問題を解決し、信号機に氷雪が付着することのない氷雪融解機能を備える信号機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の信号機の発明は、通電により発熱する発熱体と、前記発熱体に通電する電源とを備えることに特徴を有するものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、信号表示用の発光部を有する信号機本体の裏面に取り付けられた、通電により発熱する発熱体と、前記発熱体に通電する電源とを備えることに特徴を有するものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記発熱体は、半導体熱交換素子であることに特徴を有するものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記半導体熱交換素子は、シート状に形成され、このように形成されたシート状発熱体が前記信号機本体の裏面に貼着されていることに特徴を有するものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記電源は太陽電池からなり、前記太陽電池は電気二重層コンデンサを備え、前記太陽電池で発生した電荷は前記電気二重層コンデンサに蓄積され、前記電気二重層コンデンサの電荷が逐次、前記発熱体に送られることに特徴を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、この発明の実施の形態に係る氷雪融解機能を備える信号機を示す背面図、図2は、正面図、図3は、発熱体の構成を示す平面図、図4は、図3のI−I線断面図、図5は、通電機構を示す制御図である。
【0012】
図1、図2に示すように、信号機1は、支柱2と、信号機本体3とからなっている。信号機本体3は、水平の取付枠4および取付具5によって支柱2に取り付けられている。円柱状の支柱2は、図示しないが道路の路面に立設されている。信号機本体3の表側には、赤色の発光部13a、黄色の発光部13b、青色の発光部13cが設けられている。発光部13a、13b、13cの上部には庇14a、14b、14cが設けられている。信号機の光源として、白熱電球が使用される。近年はLEDなどを用いるものもある。これらは多少の発熱はあるが、氷雪を融解するほどの温度とはならない。
【0013】
信号機本体3の裏面には、シート状に形成された発熱体7が接着剤によって貼着されている。支柱2には、接続線6を介して発熱体7に接続された太陽電池8が、取付具12によって取り付けられている。接続線6は、図示はしないが、保護カバーなどにより保護されて設置される。太陽電池8には、図5に示すように、電気二重層コンデンサ11が接続され、発熱体7、電気二重層コンデンサ11、温度センサ10、コントローラ9が接続されている。電気二重層コンデンサ11、温度センサ10およびコントローラ9は、図1、図2に特に図示しないが信号機1に近い所定の位置に配される。
【0014】
コンデンサ11には太陽電池8からの電荷が蓄積され、この蓄積された電荷がコントローラ9を介して発熱体7に供給される。それにより、発熱体7が所定の温度に上昇し、信号機本体3に伝熱し、信号機本体3の温度が上昇し、信号機本体3の表側(発光部13a、13b、13c)および裏面に氷雪が付着することはない。また、氷雪が付着しても速やかに融解される。
【0015】
電気二重層コンデンサ11は、太陽電池8からの微弱な電荷を常時蓄積し、その電荷をわずかに放出して発熱体7を加熱する。太陽電池および電気二重層コンデンサは公知のものを用いることができる。電気二重層コンデンサを用いた太陽電池装置として、例えば、特許第2964859号に開示された装置を用いるとよい。
【0016】
本発明において、発熱体7は必要なときにのみ発熱する。すなわち、発熱体7は、コントローラ9によってON、OFFされ、このON、OFF動作は、温度センサ10によってコントロールされ、信号機本体3の温度が所定温度以下(例えば摂氏0℃以下)になると、発熱体7を発熱させて信号機本体3に熱を伝導し、信号機本体3の温度を摂氏10℃程度に維持し、信号機本体3の温度が所定温度以上(例えば摂氏15℃以上)になるとOFFする。
【0017】
次に、発熱体について説明する。
【0018】
図3、図4に示すように、発熱体7はシート状に形成され、絶縁性フィルム7aを基材とし、その上に一定間隔をおいて幅方向に複数の発熱機能材7bを付着させ、これらの発熱機能材7bの両端に銀ろうからなる電極7c,7cを接続し、さらにこれらの発熱機能材7bおよび電極7c,7cの上に前記基材と同様の絶縁性フィルム7dを積層した形状に形成されている。
【0019】
発熱体7は、交流および直流3〜280Vで発熱する半導体熱交換素子である。例えば酸化錫膜または酸化錫と、塩化物の化合物を主体とする半導体が好ましく、特に本件出願人の代表者による特願2003−148347に開示された発熱機能材が好ましい。具体的には、酸化第一錫と、二酸化錫を1:1の割合で混合して主成分混合物とし、酸化鉛系の物質と塩化鉛系の物質とを混合し、これを有機溶剤で溶解して溶解物とし、前記主成分混合物と前記溶解物とを還元材使用のもとに混合したものであって、この発熱体7を、氷雪を融解することができる温度、例えば30℃以下に加熱するようにしている。
【0020】
このように、ユニットを構成すれば、外部電源を全く必要とせず、外部電源との接続配線も不要となり、自己完結型の氷雪融解装置となる。
【0021】
なお、電源として上記のように太陽電池8ではなく、もともと信号機の電源として利用されている交流電源100〜200ボルトを使用することもできる。
【0022】
本発明の発熱体7に用いる半導体熱交換素子は、発熱時に電磁波をほとんど全くといっていいほど出さないため、信号機のそばを通過する人体に悪影響は全く無い。また、信号機のそばで携帯電話を使用しても全く悪影響はない。
【0023】
本発明においてシート状の発熱体7は、信号機本体3に対する氷雪防止のために用いられるが、更に、太陽電池8の内壁や底面に貼着して使用することができる。このように太陽電池8の内壁や底面にシート状の発熱体7を取り付ければ、太陽電池8の積雪や凍結を防ぐことができる。
【0024】
なお、本実施形態の発熱機能材7bは、その製造方法における前記主成分混合物と溶解物との混合上澄み液が透明であり、これを用いることにより透明発熱体とすることが可能である。信号機本体3の発光部13a、13b、13cの表面にこの透明発熱体を配置すれば、光を透過しつつ且つ発熱し、発光部の積雪や凍結を防止することができる。また、太陽電池8の受光部にこの透明発熱体を配置すれば、光を透過しつつ且つ発熱し、受光部の積雪や凍結、これらによる受光部の被覆を防止できる。
【0025】
図6は、発熱体の他の実施の形態を示す平面図である。図6に示すように発熱機能材21を炭素繊維に蒸着して形成し、絶縁性フィルム22を基材とし、その上に線条体形状の発熱機能材21を蛇行して配置し、これらの発熱機能材21の両端に圧着端子23a、23bを接続し、更にこれらの発熱機能材21および圧着端子23a、23bの上に前記基材と同様の絶縁性フィルム24を積層するように構成する。このような発熱体20を、発熱体7のように信号機本体3の裏面に取り付けても同様の効果が得られる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の信号機によれば、下記に示す有用な効果がもたらされる。
▲1▼ 信号機本体の表側に氷雪が付着することがないので信号表示用の発光部が見えなくなることがなく、通行人や運転手が信号を見誤ることがなく、交通の安全に寄与することができる。
▲2▼ 信号機の裏面に貼着された、通電されて発熱する発熱体である半導体熱交換素子と、発熱体に通電する太陽電池とを用いることにより、氷雪の融解源として適切な温度設定が可能となる。
▲3▼ 発熱体は、フィルム状に形成された発熱機能材が絶縁性フィルムで上下方向から挟持され、この発熱機能材の両端に銀ろうからなる電極が形成されていることにより、取扱性が良好になるとともに、発火がなく、熱変換効率が高く、低コストで大量生産することができ、経済的に有利である。
▲4▼ 発熱体は30℃以下に設定されているので、消費電力を低減するとともに、十分な融雪および落雪効果が得られる。
▲5▼ 電源に太陽電池を用いることにより、外部電源を全く必要とせず、外部電源との接続配線も不要となる。
▲6▼ 信号機の電源として使用されている交流電源100〜200ボルトを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る氷雪融解機能を備える信号機を示す背面図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る氷雪融解機能を備える信号機を示す正面図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る発熱体の構成を示す平面図である。
【図4】図3のI−I線断面図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る通電機構を示す制御図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る他の発熱体を示す平面図である。
【符号の説明】
1 信号機
2 支柱
3 信号機本体
4 取付枠
5 取付具
6 接続線
7 発熱体
7a 絶縁性フィルム
7b 発熱機能材
7c,7c 電極
7d 絶縁性フィルム
8 太陽電池
9 コントローラ
10 温度センサ
11 電気二重層コンデンサ
12 取付具
13a〜13c 発光部
14a〜14c 庇
20 発熱体
21 発熱機能材
22 絶縁性フィルム
23a,23b 圧着端子
24 絶縁性フィルム

Claims (5)

  1. 通電により発熱する発熱体と、前記発熱体に通電する電源とを備えることを特徴とする氷雪融解機能を備える信号機。
  2. 信号表示用の発光部を有する信号機本体の裏面に取り付けられた、通電により発熱する発熱体と、前記発熱体に通電する電源とを備えることを特徴とする氷雪融解機能を備える信号機。
  3. 前記発熱体は、半導体熱交換素子である請求項1または2記載の信号機。
  4. 前記半導体熱交換素子は、シート状に形成され、このように形成されたシート状発熱体が前記信号機本体の裏面に貼着されている請求項3記載の信号機。
  5. 前記電源は太陽電池からなり、前記太陽電池は電気二重層コンデンサを備え、前記太陽電池で発生した電荷は前記電気二重層コンデンサに蓄積され、前記電気二重層コンデンサの電荷が逐次、前記発熱体に送られる請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の信号機。
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