JP2005010183A - 静電潜像現像用キャリアと、現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電潜像現像用キャリアと、現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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明彦 伊丹
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Abstract

【課題】本発明の目的は、シリコーン樹脂を被覆した静電潜像現像用キャリアの問題を解決することであり、実写における現像剤の流動性の変化や帯電量変化が小さく、従来以上に耐久性があり、従って長期に亘って画像品質が良い静電潜像現像用キャリアと、それを用いた現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】磁性体粒子に有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分を有する樹脂で被覆したことを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成方法に用いられる静電潜像現像用キャリア(以後、単にキャリアとも云う)と現像剤及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機の画像形成方法に用いられている静電潜像現像法は、多くの場合電子写真法であり、光導電性材料よりなる感光層を有してなる電子写真感光体(以後、単に感光体とも云う)に一様な静電荷が付与された後、像露光により当該感光体の表面に原稿に対応した静電潜像が形成され、この潜像が現像剤により現像されてトナー像が形成され、さらにこのトナー像を紙等の転写材に転写した後、分離、定着するという方法である。この電子写真法で使用される現像剤としてキャリアとトナーからなる二成分現像剤が多く使用されている。
【0003】
近年、キャリアの耐久性及び画質、特に細線再現性の改良の点から鉄、マグネタイト、フェライト等の磁性体粒子に樹脂をコートした樹脂被覆キャリア(コーティングキャリア)が主流になっている。しかし樹脂被覆キャリアは繰り返して画像を形成していくと、被覆樹脂が摩耗或いは剥離し、コアである磁性体粒子がキャリア表面に露出してくる。その結果、キャリアのトナーに対する帯電付与能が著しく低下し、地カブリの発生及び機内でのトナー飛散を生じる。また、トナー成分の一部がキャリア表面に付着するいわゆるスペント現象も発生するが、この場合もキャリアのトナーに対する帯電付与能が著しく低下し、地カブリの発生及び機内でのトナー飛散を生じる。
【0004】
特に連続複写(プリント)時には、トナーとキャリアに大きな剪断力がかかり、樹脂層の摩耗、剥離が起こりやすく、トナースペント現象が加速し、耐久性の劣化が起こりやすい。このように二成分現像剤の耐久性を決定しているのは、多くの場合キャリアの耐久性であるため、その耐久性向上は大きな課題となっている。
【0005】
キャリアの高耐久性被覆樹脂としてシリコーン樹脂が注目されている。シリコーン樹脂は三次元架橋構造であるため耐摩耗性が大幅に向上し、かつ低表面エネルギー樹脂であるため、トナースペント現象が発生しにくくなり、高耐久化が達成される。
【0006】
しかし、シリコーン樹脂被覆キャリアは一般に負帯電付与能が低いために、アミノシランカップリング剤等の窒素原子を有する添加剤を加えることが多い。しかし、シリコーン樹脂に窒素含有添加剤を組み合わせたキャリアは、実写初期に流動性の変化や帯電量の変化が大きいことが明らかとなり、画像特性が良くまた耐久性の高いキャリアを造る為には、更に検討を進める必要があることがわかった(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−196542号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決することにある。即ち、本発明の目的は、前記したシリコーン樹脂を被覆した静電潜像現像用キャリアの問題を解決することであり、実写における現像剤の流動性の変化や帯電量変化が小さく、従来以上に耐久性があり、従って長期に亘って画像品質が良い静電潜像現像用キャリアと、それを用いた現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、前記のシリコーン樹脂を被覆したキャリアの課題は、シリコーン樹脂中のシロキサンが吸湿性が大きいことに関連しており、シリコーン樹脂中に疎水性の高い樹脂成分を導入することにより解決できることを見出し本発明を達成した。即ち、本発明の目的は、下記構成の何れかの構成を採ることにより達成されることがわかった。
【0010】
1.磁性体粒子に有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分を有する樹脂で被覆したことを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【0011】
2.磁性体粒子に有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したことを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【0012】
3.前記樹脂で被覆した被覆層の膜厚が0.2〜2.0μmであることを特徴とする前記1又は2に記載の静電潜像現像用キャリア。
【0013】
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用キャリアとトナーを含有することを特徴とする現像剤。
【0014】
5.潜像担持体上の静電潜像を前記4に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する工程と、潜像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する工程と、トナー像が転写された転写材を潜像担持体から分離する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【0015】
以下、本発明の上記構成について、詳細に説明する。
本発明の静電潜像現像用キャリアは、磁性体粒子(以後、キャリアコアとも云う)に有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分を有する樹脂を被覆したことを特徴とする。
【0016】
又、本発明の静電潜像現像用キャリアは、磁性体粒子に有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂を被覆したことを特徴とする。
【0017】
即ち、本発明の静電潜像現像用キャリアは、このような樹脂で被覆することにより、実写ににおける流動性の変化や帯電量の変化を小さくでき、キャリアの初期及び長期変動を低減するため、初期から長期に亘り、画像濃度が高く、カブリの発生がなく、且つトナー飛散やトナースペントを防止した良好な電子写真画像を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
構成要件、実施の態様について更に説明する。
【0019】
1.キャリアの構成
本発明で使用されるキャリアの磁性体粒子としては鉄粉、マグネタイト、各種フェライトが使用できる。好ましくはマグネタイトや各種フェライトである。フェライトとしては銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトやアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが好ましく、特に好ましくはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトである。
【0020】
このキャリアコアの組成としては、Li、Na等のアルカリ金属及び/又はMg、Ca、Sr、Baのアルカリ土類金属を含有するものであり、下記組成を有するものである。
【0021】
(MO)(Fe1−x あるいは(MO)(Fe1−x
さらに、このMO及び/又はFeの一部をアルカリ土類金属酸化物で置換したものであってもよい。Mとしては前述のLi、Na等のアルカリ金属及び/又はMg、Ca、Sr、Baのアルカリ土類金属を示す。また、xとしては30mole%以下、好ましくは18mole%以下であり、さらに置換されるアルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属酸化物は1〜10mole%が好ましい。さらに好ましくは3〜15mole%である。
【0022】
この軽金属フェライトあるいはマグネタイトが好ましい理由としては、単に近年で盛んとなっている廃棄物、環境汚染問題のみでは無く、これらに加えてキャリア自体を軽量化することができ、トナーに対するストレスを軽減することができる利点を有しているからである。
【0023】
キャリアコアの磁性粒子径としては、体積平均粒径で10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。さらに、キャリア自体が有する磁化特性としては、飽和磁化で2.5×10−5〜10.0×10−5Wb・m/kgがよい。
【0024】
なお、キャリアコアの平均粒径は、湿式分散器を備えてなるレーザ回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により測定される体積基準の平均粒径である。
【0025】
キャリアコアの組成を構成する軽金属酸化物は、原料時に必ずしも酸化物である必要はなく、焼結後に酸化物になればよい。たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、硫酸リチウムなどの酸素酸塩、ハロゲン化物、リチアキ石などの軽金属(リチウム)を主成分とする鉱物などがある。
【0026】
キャリアコアの強度を向上させるために添加するリン化合物とは、たとえば黄リン、赤リン、白リン、黒リン、紫リン、金属リン、リン酸化物などがある。リン化合物はキャリア組成物全量に対して2質量%以下が好ましく、特に1質量%以下が好ましい。リン化合物が2質量%より多い場合キャリアコアの磁気特性及び低比重化に悪影響を及ぼしてしまう。
【0027】
また、Fe及び該グループの成分を除く他の成分の含有量を、3質量%以下にすることによって磁気特性及び低比重化に悪影響を及ぼすこと無く、その効果を発揮することができる。Fe及び該グループの成分を除く他の成分としては、キャリアの電気抵抗及び帯電量を制御する成分、あるいは、焼結促進剤としてV、As、Bi、Sb、PbO、CuO、B、SiO、CaO、Cs、Nb等の希土類化合物、LiCO、CuCl、CaCOなどの金属化合物がある。
【0028】
キャリアコアは焼結法、アトマイズ法等の製造方法によって製造でき、必要に応じて2種以上の微粉末を混合焼結することによって得られる。
【0029】
このような組成形態をとり、感光体上に形成した静電潜像を正確に現像するためには、79000(A/m)における磁化の強さは4.4×10−5〜12.56×10−5(Wb・m/kg)が好ましく、より好ましくは、5.6×10−5〜10.0×10−5(Wb・m/kg)である。4.4×10−5(Wb・m/kg)より小さい場合は、現像スリーブへの磁気束縛力が小さいためキャリア付着が発生したり、磁気ブラシが小さくなるため、高濃度で良好な画像が得られない。12.56×10−5(Wb・m/kg)より大きい場合は、磁気ブラシが堅くなり、潜像に現像されたトナーを掃き取るすなわちスカベーション現象を起こし、現像方向に対して垂直な線を消失し易い。
【0030】
また、保持力が7900(A/m)以下が好ましく、より好ましくは、3950(A/m)以下である。7900(A/m)を超える場合は、キャリア自身の凝集が強くなり、トナーとの混合性が低下したり、固定磁石を備えてなる現像スリーブ上においてキャリアが強く密着し、現像剤の搬送性が大きく低下するために、画像ムラが発生することもある。
【0031】
なお、磁気特性の測定は、直流磁化特性自動記録装置(3257−35型 横河電気社製)により測定される。
【0032】
磁性体粒子の電気抵抗は10〜1013(Ω・cm)が好ましい。10(Ω・cm)より小さい場合は、感光体表面からキャリア粒子への電荷の注入によるキャリア付着が発生しやすく、1013(Ω・cm)より大きい場合は、高濃度の画像が得られにくい。
【0033】
電気抵抗の測定は常温常湿環境下で、二つの電極に常温常湿下で調湿されたキャリアを厚さ約3(mm)ではさみ込み、直流電圧100(V)を印加し、電流値を測定し算出する。
【0034】
キャリアコアの表面を被覆する樹脂としては、前記した有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分を有する樹脂を用いる。
【0035】
又、キャリアコアの表面を被覆する樹脂としては、有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂を用いる。
【0036】
上記した有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分を有する樹脂で被覆されたキャリアコアの被覆層は、シロキサン縮合体成分による架橋構造を有した樹脂構造の為、キャリアコアとの接着性が強く且つ被膜強度及び耐摩耗性が高く、高耐久性を有する。しかも該被覆層は有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分の両成分を持つことにより、高温高湿や低温低湿等の環境変動に対しても安定した摩擦帯電量を生じることができる。更に、該被覆層の樹脂成分に酸化防止構造成分が加えると、より安定した摩擦帯電量を長期に亘り維持でき、該被覆層を有するキャリアを現像剤として用いることにより、トナー飛散やトナースペントを防止した良好な電子写真画像を得ることができる。
【0037】
ここで、有機ポリマー成分(有機重合体成分)とは重合体主骨格が有機化合物の繰り返し単位で構成された重合体を云う。例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を構成する重合体成分を云う。
【0038】
又、本発明の樹脂はこの有機ポリマー成分が部分構造としてヒンダードアミン、或いはヒンダードフェノール等の酸化防止構造成分を有してもよい。そしてこれら有機ポリマー成分をシロキサン縮合体成分と化学的な結合をして、全体の樹脂構造を形成することを特徴とする。ここで化学的な結合とは、化学反応によって生成する共有結合、水素結合、イオン結合を含む。
【0039】
ここで、酸化防止構造成分とはオゾン、NO等の活性ガス、或いは紫外線等の光照射により引き起こされる酸化又は還元耐性を有する基を意味する。
【0040】
上記のような樹脂構造は重合反応に関与できる重合性モノマー、酸化防止構造成分を有する重合性モノマー、重合性シラン化合物を用いて酸化防止構造成分を有し且つシリル基を有する有機ポリマーを形成し、その後該有機ポリマーのシリル基にシロキサン縮合体を形成することにより達成できる。但し、酸化防止構造成分を除いてもよい。
【0041】
以後、上記有機ポリマー成分にビニル系ポリマー成分を用いて説明する。
本発明の樹脂はビニル系ポリマー成分とシロキサン縮合体成分を有している。ビニル系ポリマー成分にシロキサン縮合体成分を形成するには、ビニル系ポリマーの重合時に、炭素−炭素不飽和結合の重合性不飽和基を有する下記一般式(1)のシランモノマーを共存させ、これらのモノマーをビニル系ポリマーの重合の進行と共に反応させることにより、ビニル系ポリマー中にシリル基を導入したシリル変性ビニル系ポリマーを形成し、その後、このシリル基にシロキサン縮合体を形成するか、既に形成されたシロキサン縮合体を結合させる。
【0042】
【化1】
Figure 2005010183
【0043】
一般式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、Rは重合性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。
【0044】
上記一般式(1)のシランモノマーとしては、シリル基、特に加水分解性を有するシリル基を有し、後述の各種ビニル系モノマーと重合可能なモノマーであれば特に制限されず、例えば、CH=CHSi(CH)(OCH、CH=CHSi(OCH、CH=CHSi(CH)Cl、CH=CHSiCl、CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCOO(CHSi(OCH、CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCOO(CHSi(OCH、CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCOO(CHSiCl、CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCOO(CHSiCl、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl、CH=C(CH)COO(CHSiCl、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl2、CH=C(CH)COO(CHSiCl
【0045】
【化2】
Figure 2005010183
【0046】
等が挙げられる。これらのシランモノマーは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0047】
ビニル系ポリマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどからなるグループから選ばれる1またはそれ以上のビニル系モノマーを重合または共重合したビニル系ポリマーが好ましい。又、水酸基を含むビニル系モノマー、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミドなども用いることができる。
【0048】
本発明の樹脂に酸化防止構造成分を含有させるには、有機ポリマー成分に部分構造として酸化防止構造成分(酸化防止機能を有する基)を導入する。
【0049】
有機ポリマー成分としてのビニル系ポリマー成分が酸化防止構造成分を有するとはビニル系ポリマー成分がその部分構造として酸化防止機能を有する基を有していることを意味する。本発明で好ましく用いられる酸化防止成分としてはヒンダードアミン基、ヒンダードフェノール基が挙げられる。
【0050】
ここで、ヒンダードアミン基とはアミン化合物のアミノ基のN原子近傍に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。立体障害性の基としては分岐状アルキル基、炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0051】
又、ヒンダードフェノール基とはフェノールの水酸基に対しオルト位置に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い)。立体障害性の基としては分岐アルキル基、或いは炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0052】
ビニル系ポリマー成分にヒンダードアミン基、或いはヒンダードフェノール基を部分構造として導入するには、ビニル系ポリマー重合時に、炭素−炭素不飽和結合の重合性不飽和基を有するヒンダードアミンモノマー或いはヒンダードフェノールモノマーを共存させ、これらのモノマーをビニル系ポリマーの重合の進行と共に反応させることにより、ビニル系ポリマー中にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を導入することができる。
【0053】
このような重合性不飽和基を有するヒンダードアミンモノマーとしては、重合性不飽和基を含有する立体障害アミンモノマーが好ましく、なかでも重合性不飽和基を含有する立体障害ピペリジン化合物(以下、「ピペリジン系モノマー」ともいう。)が特に好ましい。ピペリジン系モノマーの代表的なものとしては、例えば下記一般式(A)で表される化合物を挙げることができる。
【0054】
【化3】
Figure 2005010183
【0055】
一般式(A)において、Rは水素原子またはシアノ基を示し、RおよびRは相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、Xは酸素原子またはイミノ基を示し、Yは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または下記一般式(B)で表される重合性不飽和基を示す。
【0056】
【化4】
Figure 2005010183
【0057】
一般式(B)において、RおよびRは相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示す。
【0058】
一般式(A)におけるXのイミノ基中の水素原子は、置換されても置換されていなくてもよい。また、一般式(A)におけるYのうち、炭素数1〜18のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基を挙げることができる。
【0059】
上記、一般式(A)のピペリジン系モノマーのうち、好ましいモノマーは、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等であり、なかでも4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンが特に好ましい。
【0060】
又、重合性不飽和基を有するヒンダードフェノールモノマーとしては、重合性不飽和基を含有するヒンダードフェノールモノマーが好ましく、例えば下記のようなモノマーを挙げることができる。即ち、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル等が挙げられる。
【0061】
又、前記ヒンダードアミン系或いはヒンダードフェノール系の酸化防止成分を有するモノマー(重合性不飽和基を有する化合物)以外のモノマーの例としては、フェニルサリチル酸(メタ)アクリレート、t−ブチルフェニルサリチル酸(メタ)アクリレート等のサリチル酸化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−t−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピル(メタ)アクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。本発明において、前記酸化防止成分を有するモノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
ここで、ヒンダードアミン基又はヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性された(シリル基を有する)ビニル系ポリマーの合成例を記載する。
【0063】
(ビニル系ポリマー溶液Aの合成例:ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系ポリマー溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25部、4−メタクロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン1部、メタクリル酸メチル80部とメタクリル酸2−エチルヘキシル15部、n−ブチルアクリレート29部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードアミン基を有し且つシリル基を有するビニル系ポリマー溶液Aを得た。
【0064】
(ビニル系ポリマー溶液Bの合成例:ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系ポリマー溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート2部、メタクリル酸メチル70部、n−ブチルアクリレート40部、アクリル酸5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13部、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド1部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニル系ポリマー溶液Bを得た。
【0065】
(ビニル系ポリマー溶液Cの比較合成例:シリル変性されたビニル系ポリマー溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25部、メタクリル酸メチル80部とメタクリル酸2−エチルヘキシル15部、n−ブチルアクリレート30部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%のシリル基を有するビニル系ポリマー溶液Cを得た。
【0066】
上記合成例A、Bに示したように重合性不飽和基を有するヒンダードアミンモノマー、ヒンダードフェノールモノマー、シランモノマー及びビニル系モノマーを共存させ重合することにより、側鎖にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニル系ポリマーを合成する事が出来る。
【0067】
上記シリル変性ビニル系ポリマーの重合度は特に制限されないが、100〜500であることが望ましい。
【0068】
次に、上記シリル変性ビニルポリマーにシロキサン縮合体成分を形成することにより、本発明の樹脂構造を有する樹脂を形成できる。即ち、上記ヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニルポリマーと以下に記すような有機ケイ素化合物を用いて、シリル変性ビニルポリマーのシリル基にシロキサン縮合体成分を形成する。このシロキサン縮合体成分の形成は樹脂層形成と同時に行ってもよいが、予め樹脂溶液でシリル基末端にシロキサン縮合体成分を形成して、樹脂層形成を行ってもよい。
【0069】
ここで、「ヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し」とはヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基の少なくとも一方を有することを意味し、両方の基を有していても良い。
【0070】
又、シロキサン縮合体成分とはシロキサン結合が複数個、三次元的に連なった構造を有し、下記一般式(2)で示され有機ケイ素化合物の重縮合により得られる樹脂構造を有している。
【0071】
一般式(2) RSi(Z)4−n
(式中、Rは式中のケイ素に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Zは水酸基又は加水分解性基を表す。nは0〜3の整数)
上記一般式(2)中のZは加水分解性基であり、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。Rに示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基等を挙げることができる。Rのnが2又は3の時はこれら同一ケイ素原子に結合する複数の有機基は互いに同一でも良く、異なっていても良い。
【0072】
又、本発明のシロキサン縮合体成分を製造するに際し、前記一般式(2)で示される有機ケイ素化合物を2種以上用いる場合はそれぞれの有機ケイ素化合物のRは同一でも良く、異なっていてもよい。
【0073】
一般式(2)で示される有機ケイ素化合物の具体例としては以下のような化合物が挙げられる。
【0074】
即ち、nが0の化合物例としては、テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0075】
nが1の化合物例としては、トリクロロシラン、クロロメチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、1,2−ジブロモエチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、1,2−ジクロロエチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、トリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、4−クロロフェニルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、トリエトキシクロロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、6−トリクロロシリル−2−ノルボルネン、2−トリクロロシリルノルボルネン、メチルトリアセトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(2−アミノエトキシ)シラン、β−フェネチルトリクロロシラン、トリアセトキシビニルシラン、2−(4−シクロヘキシルエチル)トリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、トリエトキシビニルシラン、エチルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルフェニルエチルトリクロロシラン、2−フェニルプロピルトリクロロシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、デシルトリクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、ジイソプロポキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、3−ピペリジノプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)−2−メトキシエトキシメチルシラン、3−(2−メチルピペリジノプロピル)トリメトキシシラン、3−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、O,O′−ジエチル−S−(2−トリエトキシシリルエチル)ジチオフォスフェート、ベンジルトリエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)ブトキシメチルシラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、テトラデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドコシルトリクロロシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルオクタデシル−3−トリメトキシルシリルプロピルアンモニウムクロライド、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン等が挙げられる。
【0076】
nが2の化合物例としては、クロロメチルメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メチルプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、ブチルメチルジクロロシラン、ビス(2−クロロエトキシ)メチルシラン、ジエトキシメチルシラン、フェニルジクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、メチルペンチルジクロロシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、フェニルビニルジクロロシラン、6−メチルジクロロシリル−2−ノルボルネン、2−メチルジクロロシリルノルボルネン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、ジエトキシジビニルシラン、ヘプチルメチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメチルジプロポキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、アリルフェニルジクロロシラン、3−クロロプロピルフェニルジクロロシラン、メチル−β−フェネチルジクロロシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、2−(4−シクロヘキセニルエチル)メチルジクロロシラン、メチルオクチルジクロロシラン、ジエトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、O,O′−ジエチル−S−(2−トリメチルシリルエチル)ジチオフォスフェート、O,O′−ジエチル−S−(2−トリメトキシシリルエチル)ジチオフォスフェート、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−(2−エトキシエチルチオプロピル)メチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエチル−2−トリメチルシリルメチルチオエチルフォスファイト、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジプロポキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、ジフェニルシランジオール、ジヘキシルジクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルプロポキシシラン、ジメトキシメチル−3−(4−メチルピペリジノプロピル)シラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシフェニル−2−ピペリジノエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジエトキシドデシルメチルシラン、メチルオクタデシルジクロロシラン、ジフェニルメトキシ−2−ピペリジノエトキシシラン、ドコシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0077】
架橋構造を有するシロキサン縮合体成分の原料として用いられる前記有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結合している加水分解性基の数(4−n)のnが3のとき、有機ケイ素化合物の高分子化反応は抑制される。nが0、1又は2のときは高分子化反応が起こりやすく、特に1或いは0では高度に架橋反応を進めることが可能である。従って、これらをコントロールすることにより得られる塗布層液の保存性や塗布膜の硬度等を制御することが出来る。
【0078】
本発明の樹脂は有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分、及び酸化防止構造成分を有する樹脂を含有するが、樹脂中のこれらの樹脂は相互に化学結合により結合しており、樹脂層全体が架橋構造を有する樹脂層で形成されている。
【0079】
前記樹脂の有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分、及び酸化防止構造成分の質量比は有機ポリマー成分1に対し、シロキサン縮合体成分0.25〜4、酸化防止構造成分0.00〜1の質量比で構成されていることが好ましい。シロキサン縮合体成分の質量比が少ないとトナースペントが増大し、膜強度が低下し、耐久性も低下しやすい。一方多いと初期の帯電量が変化しやすい。又、酸化防止構造成分は長期間の使用に対し、帯電量をより安定させる効果を示す。但し樹脂中の含有量が多すぎると膜強度が低下し、耐久性が低下しやすい。
【0080】
キャリアコア被覆層の乾燥膜厚は0.2〜2.0μmが好ましく、特に0.3〜1.8μmが好ましい。膜厚が2.0μmより厚い場合、画像濃度が低く、良好な画像が得られない。膜厚が0.2μmより薄い場合、現像スリーブから電荷が注入され、感光体表面にキャリア付着が発生しやすくなる。キャリアコア被覆層の膜厚の測定はキャリア粒子を破壊し、その破断面を走査型顕微鏡で観察し、無作為に数カ所を抽出し、その平均値を膜厚とした。
【0081】
キャリアコア被覆層のコーティング方法としては、湿式法として浸漬法、スプレードライ法等が挙げられる。
【0082】
被覆加工されたキァリアを、シロキサン縮合体成分の架橋を十分に行わせるため約200℃に加熱する後処理のキュア処理を行ってもよい。又、機械的ストレスを加える処理とは、キュア処理後のキャリアをさらに撹拌機中でストレスを掛けながら混合し、塊合しているキャリア粒子をほぐし、球状度を上げる機械的ストレスを加える処理を行ってもよい。本発明ではこれらを併せてキャリア後処理という。
【0083】
キュア処理のための加熱装置は130℃以上可能であれば、どのような装置でも良く、例えばバケット内にキャリアを入れ加熱して乾燥する乾燥機等を用いることができる。130℃以下では十分な架橋反応が進まないため膜摩耗が発生し十分な耐久性が得られず、300℃以上では膜が劣化する。
【0084】
キャリアに機械的ストレスを加える処理に用いる衝撃を加える装置としては、ナウターミキサー、ターブラミキサー、V型混合器、Wコーン型混合器、水平方向回転体を有する撹拌混合器等を用いる。但し、ナウターミキサー等の装置は単位時間当たりの衝撃エネルギーが少ないため、性能を満足するキャリアを得るには長時間を要するため、単位時間当たりの衝撃エネルギーが高い装置を用いることが好ましい。本発明を達成する機械的装置としては、ターブラーミキサー、V型混合器、Wコーン型混合器、水平方向回転体を有する撹拌混合器が好ましい。
【0085】
2.使用されるトナー
トナーは結着樹脂と着色剤と必要に応じて使用されるその他の添加剤とを含有してなり、その平均粒径は体積平均粒径で通常1〜20μm、好ましくは5〜12μmである。
【0086】
トナーを構成する結着樹脂としては特に限定されず、従来公知の種々の樹脂が用いられる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0087】
トナーを構成する着色剤としては特に限定されず、従来公知の種々の材料が使用される。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート、ローズベンガル等が挙げられる。その他の添加剤としては例えばクロム錯体等の荷電制御剤等が挙げられる。
【0088】
また、流動性付与の観点から、無機微粒子や有機微粒子を添加してもよい。無機微粒子としてはシリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。
【0089】
二成分現像剤を調製するためには、トナーと本発明のキャリアとを混合して調製される。通常トナー濃度としては3〜15質量%に混合して使用される。
【0090】
尚、好ましく使用できる感光体としては、通常使用される有機感光体が挙げられる。
【0091】
3.画像形成方法
通常知られている画像形成方法が使用できる。
【0092】
図1は本発明の画像形成方法の実施に用いることができる画像形成装置を示す。光導電性感光層を備えた潜像担持体(感光体)10の周囲に、帯電極11、現像機構12、転写分離極13、クリーニング機構14、除電ランプ15が配置されている。給紙機構16からの記録材(転写材:紙、透明シート、或いは中間転写体等)は、転写分離極13によりトナー像の転写を受けた後、搬送機構17により搬送され、定着機構18により定着されて画像が形成される。転写後に潜像担持体(感光体)10上に残留したトナーはクリーニング機構14により掻き取り除去される。回収したトナーは19のごときリサイクル機構により再度現像機構12に戻されて再使用される方式を用いることが出来る。以下、各工程ごとに説明する。
【0093】
現像工程
本発明のキャリアを用いた現像剤を現像剤搬送担体により現像領域に搬送し、この現像剤により像担持体上の静電潜像を現像して、未定着トナー画像を形成する。現像方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。
【0094】
現像電界強度は以下の式により求められるものである。
現像電界強度E(V/cm)=(V−Vs)/d
V:表面電位 Vs:直流バイアス電位
d:現像スリーブと感光体との現像ギャップ
現像電界強度が4000〜25000(V/cm)である現像条件に本発明の現像剤を適用することにより、好適な作用効果を生じるものである。現像電界強度が4000(V/cm)より小さい場合、高濃度の画像が得られないこともある。一方、現像電界強度が25000(V/cm)より大きい場合、感光体と現像スリーブ(現像剤搬送体)との間がリークし画像形成が出来ないこともある。
【0095】
現像時の感光体の表面電位は耐久性の観点より400〜800(V)が好ましい。
【0096】
現像スリーブと感光体との現像ギャップは100〜2000μmが好ましく、特に300〜1000μmが好ましい。現像ギャップが2000μmより大きい場合、高濃度の画像が得にくく、100μmより小さい場合、現像ブラシにより感光体面を摺擦し、横線が消失したり、ベタ部に掃き目がみられるようになることがある。
【0097】
また、現像スリーブと感光体10の間には現像バイアス電源(図示せず)によりバイアス電圧が印加されている。バイアスは直流バイアスのみでも良いし、交流バイアスと組み合わせても良い。直流バイアスは50〜300Vが好ましい。
【0098】
具体的には以下の方法を挙げることができる。
(1)接触磁気ブラシ現像法
この方法では、図2に示すように、現像剤搬送体(現像スリーブ)1上に、現像領域の間隙より穂立ちの高い現像剤の磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを現像領域に搬送して潜像担持体10上の静電潜像を摺擦しながら磁気ブラシ中のトナーを静電潜像に付着させて現像を行う。なお、2は主撹拌ローラ、3は補助撹拌ローラ、4はトナー搬送スクリュー、5は穂立ち規制板、6はドクターブレードである。
【0099】
(2)非接触磁気ブラシ現像法
この方法では、現像剤搬送体上に、現像領域の間隙より穂立ちの低い現像剤の磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを現像領域に搬送するとともに、現像領域に振動電界を作用させることにより磁気ブラシ中のトナーを飛翔させて、静電潜像に付着させて現像を行う。
【0100】
クリーニング工程
転写工程を経た後に像担持体上に残留したトナーをクリーニングする。クリーニング手段は、特に限定されないが、像担持体の表面に接触配置したクリーニングブレードを有するクリーニング装置が好ましい。このクリーニング装置によれば、潜像担持体の表面がクリーニングブレードにより摺擦されることにより、残留トナーが掻き取り除去される。
【0101】
定着工程
次に転写工程によって、未定着トナー画像が転写された転写材を、加熱定着機構により定着処理し、転写材上に定着トナー画像を形成する。
【0102】
【実施例】
次に、本発明の構成と効果を実施例により説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。尚、以下単に「部」と記載したものは「質量部」を表す。
【0103】
(キャリア磁性体粒子(キャリアコア)の製造)
原料のFe/MnO/MgOをモル比組成で80/15/5の割合で調合したフェライト原料成分1700質量部に対し、結着樹脂としてポリビニルアルコール16質量部及び分散媒として水2400質量部とともに湿式ボールミル(メディア粒径10mm、鉄球)により180分間、粉砕、混合し、スラリー状混合物を得た。この混合溶液を造粒機を用いて造粒した後、非酸化性の雰囲気下で最高到達温度1070℃に設定した焼成炉内に30時間さらし、焼成を行った。得られた焼結体を解砕、分級、磁選することにより体積平均粒径約50μmのコアを得た。
【0104】
(キャリアC1の製造例)
〈キャリア被覆液〉
ビニル系ポリマー溶液A 1.0部
メチルトリメトキシシラン 0.7部
ジメチルジメトキシシラン 0.3部
i−ブチルアルコール 30.0部
ブチルセロソルブ 20.0部
ジ−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム 0.1部
を混合し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を0.1部添加、攪拌して、被覆液を調製した。該被覆溶液中に、上記キャリアコア100質量部を浸漬した後、加熱してi−ブチルアルコール及びブチルセロソルブキシレンを除去し、さらに180℃で2時間にわたり熱処理して、ついで凝集物をふるい分けし、膜厚0.8μmの有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したキャリアC1を作製した。
【0105】
(キャリアC2の製造例)
キャリアC1の作製において、ビニル系ポリマー溶液Aをビニル系ポリマー溶液Bに代えた以外は同様にして膜厚0.8μmの有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したキャリアC2を作製した。
【0106】
(キャリアC3の製造例)
キャリアC1の作製において、ビニル系ポリマー溶液Aをビニル系ポリマー溶液Cに代えた以外は同様にして膜厚0.9μmの有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分を有する樹脂で被覆したキャリアC3を作製した。
【0107】
(キャリアC4の製造例)
〈キャリア被覆液〉
ビニル系ポリマー溶液A 1.0部
メチルトリメトキシシラン 1.0部
i−ブチルアルコール 30.0部
ブチルセロソルブ 20.0部
ジ−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム 0.1部
を混合し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を0.1部を添加、攪拌して被覆液を調製した。該被覆溶液中に、上記キャリアコア100質量部を浸漬した後、加熱してi−ブチルアルコール及びブチルセロソルブキシレンを除去し、さらに180℃で2時間にわたり熱処理して、ついで凝集物をふるい分けし、膜厚0.8μmの有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したキャリアC4を作製した。
【0108】
(キャリアC5の製造例)
キャリアC4の作製において、ビニル系ポリマー溶液Aをビニル系ポリマー溶液Bに代え、膜厚を1.8μmに代えた以外は同様にして有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したキャリアC5を作製した。
【0109】
(キャリアC6の製造例)
〈キャリア被覆液〉
ビニル系ポリマー溶液A 1.0部
メチルトリメトキシシラン 0.8部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 0.2部
i−ブチルアルコール 30.0部
ブチルセロソルブ 20.0部
ジ−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム 0.1部
を混合し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を0.1部を添加、攪拌して被覆液を調製した。該被覆溶液中に、上記キャリアコア100質量部を浸漬した後、加熱してi−ブチルアルコール及びブチルセロソルブキシレンを除去し、さらに180℃で2時間にわたり熱処理して、ついで凝集物をふるい分けし、膜厚0.8μmの有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したキャリアC6を作製した。
【0110】
(キャリアC7、8、9、10の製造例)
キャリアC1の製造例において、ビニル系ポリマー溶液A、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランの各量を同一比率で増減し、膜厚0.2μm、0.3μm、1.5μm、2.0μmの有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したキャリアC7、C8、C9、C10を作製した。
【0111】
(キャリアC11の製造例:比較例)
メチルシリコーン樹脂1.8質量部と下記に示すアミノシランカップリング剤0.07質量部をキシレン50質量部に溶解してなる被覆樹脂溶液中に、キャリアコア100質量部を浸漬した後、加熱してキシレンを除去し、さらに180℃で2時間にわたり熱処理して、ついで凝集物をふるい分けした。膜厚0.8μmのキャリアC11を作製した。
【0112】
【化5】
Figure 2005010183
【0113】
(トナーの製造)
スチレン−アクリル共重合体100質量部と、カーボンブラック8質量部と、荷電制御剤(Cr錯体)2質量部、ポリプロピレン4質量部とを混合した後、溶融混練し、冷却後粉砕及び分級し体積平均径が8.0μmの着色粒子を得た。
【0114】
この着色粒子にシリカ微粉体を0.6質量%添加し、高速撹拌型混合機により着色粒子表面に付着させたトナーT1を得た。
【0115】
(現像剤1〜11の製造)
トナーの含有濃度が4質量%になるように、上記キャリアC1〜C11の各々と上記トナーT1とを混合し、現像剤D1〜D11を製造した。
【0116】
尚、上記現像剤の帯電性は十分攪拌した後、トナーを分離し、該トナーの帯電性をブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケミカル社製:TB−200)により測定し、全現像剤が負帯電性現像剤であることを確認した。
【0117】
(現像剤の評価)
負帯電性有機感光体を搭載してなるデジタル複写機Konica7050(コニカ社製)改造機を使用して、現像条件を感光体表面電位600V、直流バイアス電位500V、現像スリーブと感光体との現像ギャップ500μmとし反転現像にて、各10万コピー(100kc)にわたる実写テスト(環境条件:HH;温度30℃、相対湿度80%及び、LL;温度10℃、相対湿度20%)を行い、以下の項目について評価した。
【0118】
評価結果を表1に示す。
▲1▼画像濃度
マクベス濃度計(RD−918:マクベス社製)により、コピー画像のベタ黒部分の反射濃度(白紙の反射濃度を0.00とする)を4点測定し平均値を示した。
【0119】
◎:初期及び10万コピー後のベタ黒部濃度が1.20より高い(良好)
○:初期及び10万コピー後のベタ黒部濃度が1.00以上、1.20未満(実用上問題なし)
×:初期又は10万コピー後のベタ黒部濃度が1.00未満(実用性なし)
▲2▼かぶり
マクベス濃度計(RD−918:マクベス社製)により、コピー画像の白地部分の反射濃度(白紙の反射濃度0.00とする)を測定した。
【0120】
◎:初期及び10万コピー後の白地部濃度が0.01未満(良好)
○:初期及び10万コピー後の白地部濃度が0.01以上、0.02未満(実用上問題なし)
×:初期又は10万コピー後の白地部濃度が0.02以上(実用性なし)
▲3▼スペント
現像剤から界面活性剤を用いてキャリアのみを分離し、そのキャリア3.0gを100mlのメチルエチルケトン中に入れ、スペント物を溶かし、その溶液の500nmにおける透過率を分光光度計(330型日立自記分光光度計:日立製作所社製)により測定し、その値をスペント量(キャリア汚染度)とした。
【0121】
◎:透過率が100%(スペント物がない:良好)
○:透過率が99〜90%(スペント物が少なく、帯電量の変化が小さい:実用上問題なし)
△:透過率が89〜70%(スペント物が少し多いが、帯電量の低下が見られる:要再検討)
×:透過率が70%未満(スペント物が多く、帯電量が著しく低下し、トナー飛散、かぶりを発生する:実用性なし)
▲4▼トナー飛散
現像領域の下の部分に白紙を置き、飛散するトナーを付着させ、その白紙を前記デジタル複写機Konica7050改造機と同じ定着条件で定着させ、その反射濃度をマクベス濃度計により測定した(白紙の反射濃度を0.00とした)。
【0122】
◎:反射濃度が0.01未満(良好)
○:反射濃度が0.01以上、0.02未満(実用上問題なし)
×:反射濃度が0.02以上(実用性なし)
【0123】
【表1】
Figure 2005010183
【0124】
表1で明らかなように、本発明のキャリアC1〜C10を用いた現像剤D1〜D10では、10万コピーまで画像濃度が高く安定しており、かぶり、トナー飛散の発生もなく、高画質な画像が得られた。またスペントの発生もほとんど無くキャリアとしても十分な耐久性が得られた。
【0125】
一方、本発明外のキャリアC11を用いた現像剤D11では低温低湿環境で帯電量が高くなるため、十分な画像濃度を得ることができず、かぶりの発生も多く、トナー飛散、スペントも発生している。又、本発明の現像剤D1〜D10の中でも、膜厚が0.3〜1.8μmで、有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したキャリアC1、C2、C4、C5、C6、C8、C9を用いた現像剤D1、D2、D4、D5、D6、D8、D9は各評価項目の改善効果が顕著である。
【0126】
【発明の効果】
上記実施例より明らかなように、有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分有する樹脂で被覆した本発明のキャリアを用いることにより、初期から10万の複写実写における現像剤の流動性や帯電量の変化が小さく、従来以上に耐久性があり、従って長期に亘って画像品質が良い電子写真画像を得ることができた。このことより高画質、高耐久の静電潜像現像用キャリアと、それを用いた現像剤及び画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を説明する概要断面図。
【図2】本発明に係る接触磁気ブラシ現像法を説明する概要断面図。
【符号の説明】
10 潜像担持体(感光体)
11 帯電極
13 転写分離極
14 クリーニング機構
15 除電ランプ
16 給紙機構
18 定着機構

Claims (5)

  1. 磁性体粒子に有機ポリマー成分及びシロキサン縮合体成分を有する樹脂で被覆したことを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
  2. 磁性体粒子に有機ポリマー成分、シロキサン縮合体成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂で被覆したことを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
  3. 前記樹脂で被覆した被覆層の膜厚が0.2〜2.0μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像用キャリア。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用キャリアとトナーを含有することを特徴とする現像剤。
  5. 潜像担持体上の静電潜像を請求項4に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する工程と、潜像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する工程と、トナー像が転写された転写材を潜像担持体から分離する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
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