JP2005009790A - ガスコンロ及び五徳 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率の高いガスコンロを提供すること。
【解決手段】ガスバーナ(21)と、前記ガスバーナ(21)の燃焼部を包囲する上方開放の包囲筒(26)と、前記包囲筒の上方開放部を覆う五徳(1)を具備し、
前記五徳(1)は、前記包囲筒(26)からの燃焼排気を吐出させる排気孔(111)と、加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部(13)(13)を備えているガスコンロ。
【選択図】 図2
【解決手段】ガスバーナ(21)と、前記ガスバーナ(21)の燃焼部を包囲する上方開放の包囲筒(26)と、前記包囲筒の上方開放部を覆う五徳(1)を具備し、
前記五徳(1)は、前記包囲筒(26)からの燃焼排気を吐出させる排気孔(111)と、加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部(13)(13)を備えているガスコンロ。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱効率の改善を図ったガスコンロ、及び、これに使用される五徳に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7に示す従来のガスコンロでは、上方に開放する本体ケース(3)内にガスバーナ(31)が収容されていると共に、前記本体ケース(3)の上方開放部はコンロ天板(30)によって閉塞されている。
【0003】
コンロ天板(30)に装着された汁受け皿(33)の中央孔(330)内にはバーナヘッド(34)が位置していると共に、汁受け皿(33)の外周域には五徳(35)が載置されており、該五徳(35)の五徳枠(37)から起立する五徳爪(36)(36)には鍋(9)が載置されるようになっている。
【0004】
このものでは、ガスバーナ(31)を燃焼させると、該ガスバーナ(31)の炎孔(38)(38)からの燃焼排気が鍋(9)の底面に接触しながら半径方向へ流動し、この燃焼排気の熱で鍋(9)が加熱される。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−178179号公報(図1)
【特許文献2】
特開平8−338634号公報(図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、エネルギー資源の有効利用の要請を背景とし、ガスコンロの熱効率の改善が望まれているが、上記従来のガスコンロでは、鍋(9)と熱交換することなく無駄に大気中に排出される燃焼排気の量が多く、十分な熱効率が確保されていないと言う問題があった。
【0007】
上記問題は次の原因によって発生しているものと考えられる。
▲1▼.上記従来のガスコンロでは、炎孔(38)(38)部分への燃焼用二次空気の円滑供給を可能にするため、コンロ天板(30)からの五徳爪(36)(36)の突出高さを大きく設定している。
【0008】
ところが、五徳爪(36)(36)の突出高さが大きすぎると、ガスバーナ(31)からの燃焼排気は、鍋(9)とコンロ天板(30)の間に形成される大きな上下間隔を通過して大気中に排出されるから、燃焼排気のうち鍋(9)に接触する上層部以外の部分は鍋(9)と十分に熱交換することなく大気中に無駄に排出され、これにより、熱効率が低下する。
【0009】
▲2▼.上記従来のガスコンロでは、ガスバーナ(31)の炎孔(38)(38)部分が大気中に露出しているから、燃焼排気が鍋(9)に接触する前に外気で若干冷却されて温度低下し、これにより、熱効率が低下する。
【0010】
▲3▼.上記従来のガスコンロでは、バーナヘッド(34)の外周の炎孔(38)(38)形成部よりバーナ中心側では、燃焼排気が鍋底に接触せず、該鍋底中央部が熱吸収しないから、その分、熱効率が低下する。
【0011】
▲4▼.上記従来のものでは、熱伝達の3形態(熱輻射,対流,熱伝導)のうち、燃焼排気との接触による熱伝達を主として利用しているため、十分な熱効率が得られない。
【0012】
そして、上記従来のものでは、前記▲1▼〜▲4▼の原因が重畳的に作用し合ってガスコンロの十分な熱効率が確保できないのである。
本発明は、かかる点に鑑みて成されたもので、熱効率の高いガスコンロ及びこれに使用される五徳を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
[A1項]
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、
『ガスバーナと、
前記ガスバーナの燃焼部を包囲した上方開放の包囲筒と、
前記包囲筒の前記上方開放部を覆う五徳を具備し、
前記五徳は、前記包囲筒からの燃焼排気を吐出させる排気孔と、加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部を備えている』ことである。
上記技術的手段によれば、ガスバーナの燃焼排気は包囲筒で包囲されているから、該包囲筒内の燃焼排気は外気と接触しない。これにより、燃焼排気が外気で冷却されることがなく、高温状態のままで排気孔から鍋(9)側に吐出される。よって、燃焼排気が外気で冷却されない分、コンロの熱効率が向上する。
【0014】
又、ガスバーナから吐出される燃料ガスの全部又は殆どが包囲筒内で燃焼するから、既述従来のように鍋底とコンロ上面との間に二次空気確保用の大きな間隙を設ける必要がない。よって、鍋支持用隆起部を十分に低くすることが出来る。即ち、鍋底下方を流れる燃焼排気の層を薄くすることが出来、これにより、鍋底に接触することなく大気中に排出される燃焼排気の量が少なくなり、その分、熱効率が向上する。
【0015】
又、五徳中央の排気孔から、鍋(9)の底面中心部に向けて燃焼排気が吐出される。従って、鍋(9)の底面中心部に燃焼排気が接触しない既述従来のものと相違し、鍋底全面に燃焼排気が接触するから熱効率が向上する。
【0016】
又、包囲筒内の高温の燃焼排気によって、五徳の排気孔が形成された領域が赤熱され、該赤熱された部分から輻射される赤外線で鍋底が輻射加熱される。従って、熱伝達の3形態のうちの熱輻射も利用でき、この点からも熱効率が向上する。
【0017】
更に、燃焼排気で加熱されて蓄熱された鍋支持用隆起部が鍋底に接触するから、鍋支持用隆起部から鍋底へ熱伝達される。よって、熱伝達の3形態のうちの伝導伝熱も利用でき、この点からも熱効率が向上する。
【0018】
[A2項]
前記A1項に於いて、
『前記五徳は、前記排気孔が形成された開孔領域と、該開孔領域の外周縁から張り出し且つ前記鍋支持用隆起部を具備する非開孔領域から構成されている』ものとすれば、開孔領域から半径方向にずれた非開孔領域上に鍋支持用隆起部が位置する。従って、開孔領域に鍋支持用隆起部が形成されている場合に比べて鍋の外周を支持することができるから、鍋の安定性が高くなる。
【0019】
[A3項]
前記A1項〜A2項に於いて、
『前記各鍋支持用隆起部の平面形状は、半径方向に延びる土手状に形成されている』ものでは、鍋支持用隆起部が独立山状に形成されている場合に比べ、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、該鍋(9)の安定性が確保できる。又、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、熱伝達量も大きくなる。
【0020】
[A4項]
前記A3項に於いて、
『前記土手状の鍋支持用隆起部の平面形状は弧状であり、
前記鍋支持用隆起部の夫々は、前記五徳の平面中心を対称中心とする回転対称となる位置に配設されている』ものでは、隣接する各鍋支持用隆起部の相互間は平面形状が弧状の排気溝となり、該弧状の排気溝を燃焼排気が通過する。従って、この排気溝が半径方向に延びる直線状に形成されている場合に比べて、排気溝の平面視が弧状になっている分だけ長くなる。よって、鍋(9)に対する燃焼排気の接触長距が長くなり、その分、熱交率が向上する。又、土手状の鍋支持用隆起部の頂面積(鍋(9)との接触面積)を大きくすれば、土手状の鍋支持用隆起部の前記頂面から鍋(9)への伝導熱の量も大きくできる。
【0021】
[A5項]
前記A1項〜A4項に於いて、
『前記五徳の排気孔が形成された領域は、透光性を有する材料で構成されている』ものでは、前記ガスバーナに生成される炎の光が、透光性を有する排気孔が形成された領域を透過して外部から視覚確認できるから、ガスバーナの炎が包囲筒で包囲されて外部から目視できにくい場合でも、ガスバーナの燃焼を容易に確認することができる。
【0022】
[A6項]
前記A1項〜A5項に於いて、
『前記五徳の排気孔が形成された領域に対して下方から対向する部位には、前記ガスバーナの炎で赤熱される赤熱板が設けられている』ものでは、赤熱板から輻射される赤外線が、排気孔が形成された領域を介して鍋(9)に照射され、該輻射熱によって熱効率が一層向上する。
【0023】
[A7項]
前記A1項〜A6項に於いて、
『前記ガスバーナ(21)は、前記包囲筒内に燃焼排気を吐出するブンゼンバーナと全一次式バーナから構成された複合バーナである』ものとすることができる。このものでは、ブンゼンバーナと全一次式バーナの一方又は両者を使用することにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。
【0024】
又、全一次式バーナは、燃焼面から多量の赤外線を放出するから、この赤外線が五徳の排気孔の形成領域を透過して鍋底に照射される。よって、輻射熱による鍋底加熱効果が一層向上する。
【0025】
[A8項]
前記A1項〜A6項に於いて、
『前記ガスバーナ(21)は、前記包囲筒内に燃焼排気を吐出するブンゼンバーナと触媒バーナから構成された複合バーナである』ものとすることができる。
このものでは、燃料ガスを触媒に接触させて完全燃焼させる触媒バーナとブンゼンバーナの一方又は両者を使用することにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。
又、前記A7項と同様に、燃焼面から放出される多量の赤外線が五徳の排気孔の形成領域を透過して鍋底に照射され、該鍋底の加熱効果が一層向上する。
【0026】
[B1項]
『ガスバーナの燃焼部を包囲する上方開放の包囲筒の前記上方開放部を覆う五徳であって、
前記包囲筒からの燃焼排気を吐出させる排気孔が形成された開孔領域と、該開孔領域の外周縁から張り出し且つ加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部を具備する非開孔領域とを有する五徳』とすれば、既述A2項のガスコンロに適用できる五徳が得られる。
【0027】
[B2項]
前記B1項に於いて、
『前記各鍋支持用隆起部の平面形状は、半径方向に延びる土手状に形成されている』ものとすれば、既述A3項のガスコンロに適用できる五徳が得られる。
【0028】
[B3項]
前記B2項に於いて、
『前記土手状の鍋支持用隆起部の平面形状は弧状であり、
前記鍋支持用隆起部の夫々は、前記五徳の平面中心を対称中心とする回転対称となる位置に配設されている』ものとすれば、既述A4項のガスコンロに適した五徳が得られる。
【0029】
[B4項]
前記B1項〜B3項に於いて、
『前記開孔領域は、透光性を有する材料で構成されている』ものとすれば、既述A5項のガスコンロに適した五徳が得られる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
ガスバーナの燃焼部が包囲筒で包囲されて燃焼排気が外気で冷却されることなく高温状態のままで鍋側に吐出される。よって、燃焼排気が外気で冷却されない分、コンロの熱効率が向上する。
又、既述したように、鍋底に接触することなく大気中に排出される燃焼排気の量が少なくなるから、この点からも熱効率が向上する。
【0031】
又、五徳中央の排気孔から、鍋の底面中心部に向けて燃焼排気が吐出されるから、鍋(9)の底面中心部に燃焼排気が接触しない既述従来のものと相違して鍋底全面に燃焼排気が接触し、これにより、熱効率が向上する。
又、赤熱された排気孔の形成領域から輻射される赤外線で鍋底が輻射加熱される。従って、熱伝達の3形態のうちの熱輻射も利用でき、この点からも熱効率が向上する。
【0032】
更に、既述したように、所定広さを有する前記面接触部(鍋支持用隆起部と鍋底との面接触部)を介して鍋支持用隆起部から鍋底へ熱伝達され、伝導伝熱も利用できるから、この点からも熱効率が向上する。
【0033】
A2項のものでは、既述したように、開孔領域に鍋支持用隆起部が形成されている場合に比べて鍋の外周を支持することができるから、鍋の安定性が高くなる。
【0034】
A3項もののでは、既述したように、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、該鍋(9)の安定性が高くなる。又、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、熱伝達量も大きくなる。
【0035】
A4項のものでは、弧状の排気溝に沿って流れる燃焼排気が鍋底に接触するから、排気溝が半径方向に延びる直線状に形成されている場合に比べて、鍋(9)に対する燃焼排気の接触長さが長くなり、その分、熱交率が向上する。
【0036】
A5項のものでは、ガスバーナの燃焼を容易に確認することができる。
【0037】
A6項ものでは、赤熱板から輻射される赤外線が鍋(9)に照射されるから、熱効率が一層向上する。
【0038】
A7項及びA8項のものでは、ブンゼンバーナ及びこれと種類の異なるバーナを選択的に使用することができるから、燃焼調節範囲を広くすることができる。
【0039】
B1項〜B4項のものでは、夫々、A2項〜5項のガスコンロに適した五徳が得られる。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。
本発明の実施の形態に係るガスコンロは、図1に示すように、一対のガスバーナ(21)(21)が収容された略直方体状の箱体である本体ケース(2)の上方開放部をガラス天板(20)によって閉塞した形式のテーブルコンロに実施したものであり、前記ガスバーナ(21)に対応するガラス天板(20)の各位置には、円形の開口(22)が左右に並設されている。前記ガスバーナ(21)(21)の配設部の間には、魚焼き用のグリル部(23)が配設されており、前記本体ケース(2)の前面中央には、前記グリル部(23)の扉が設けられていると共に、その両側には、ガスバーナ(21)(21)及びグリル部(23)の燃焼操作用の操作部(24)(24)が設けられている。そして、この操作部(24)(24)には、ガスバーナ(21)(21)に点・消火する際に押し込み操作し、且つ、火力調節の際には回転操作する操作つまみ(51)(51)と、ガスバーナ(21)(21)が燃焼状態にあることを報知する燃焼ランプ(27)(27)が配設されている。
又、ガラス天板(20)に形成された前記開口(22)の周縁には、後述の五徳(1)を載置する為の段落ち部(25)が形成されている。
【0041】
以下、各部の詳細を説明する。
[ガスバーナ(21)について]
ガスバーナ(21)は、図2に示すように、ベンチュリ(21a)と、該ベンチュリ(21a)の下流端に連設されたバーナボディ(21b)と、該バーナボディ(21b)の上端内周から突出する炎孔部(29)(29)とから構成されたブンゼン式の内炎バーナである。
【0042】
一方、バーナボディ(21b)の内周下部に周設された環状フランジ(46)には汁受皿(48)の外周が上方から係合していると共に、該汁受皿(48)の中央にはつまみ(47)が起立突出している。従って、後述の五徳(1)を取り外した状態で、前記つまみ(47)を持ち上げると、汁受皿(48)が炎孔部(29)の中央部を介してガラス天板(20)の上方へ取り出せる。
【0043】
又、ベンチュリ(21a)のガス供給口(28)には、燃料ガス供給用のノズル(図示せず)が差し込まれており、前記ベンチュリ(21a)内で、燃料ガスと一次空気が混合されて、バーナボディ(21b)へ送られ、炎孔部(29)(29)で二次空気と混合されて燃焼するようになっている。
尚、前記二次空気は、炎孔部(29)(29)の外周と後述の包囲筒(26)の下端との間隙(G)と、環状フランジ(46)に開設された通気開孔(46a)から供給される。
【0044】
又、炎孔部(29)(29)の近傍には、該炎孔部(29)(29)から吐出される燃料ガスに点火する為の点火装置(I)と、燃焼状態を監視する炎検知器(TC)が設けられており、炎検知器(TC)が炎検知状態にあるときには、ガスバーナ(21)へガス供給する為のガス開閉弁を開弁保持すると共に、本体ケース(2)の操作部(24)に設けられた燃焼ランプ(27)が点灯するようになっている。
【0045】
[包囲筒について]
前記ガスバーナ(21)の炎孔部(29)(29)の上方に位置する燃焼部(210)を包囲する包囲筒(26)は、上方及び底面中央が開放した円筒体であり、下端(260)は、炎孔部(29)に間隙(G)を存して遊嵌する大きさに設定されている。前記包囲筒(26)の下端(260)は、これを内側にカーリングした下広がりのベルマウス状に形成されており、該ベルマウス状部(262)に沿って二次空気が炎孔部(29)に円滑に案内されるようにしている。一方、包囲筒(26)の上端外周には、ガラス天板(20)の開口(22)の周縁に形成された段落ち部(25)に係合する係合フランジ(263)が周設されている。
尚、包囲筒(26)の材料としては、ステンレス,鋳物,真鍮等の金属以外に、セラミック等を採用することができる。
【0046】
[五徳(1)について]
五徳(1)は、包囲筒(26)の上方開放部(261)を覆う開孔領域(11)と、該開孔領域(11)の外周から略水平に張り出し、且つ、上面には複数の鍋支持用隆起部(13)(13)が形成された非開孔領域(12)から構成されている。以下、五徳(1)の詳細を更に説明する。
【0047】
五徳(1)は、本実施の形態では、熱伝導性の良好な金属材料で形成されており、図2,3に示すように、複数の排気孔(111)(111)が開設された開孔領域(11)の中央は上方に凸の球殻状に形成された中央隆起部(110)となっていると共に、その周縁部は、徐々に低くなるように湾曲している。そして、開孔領域(11)の周縁部には、これと一体形成された非開孔領域(12)が連続している。従って、五徳(1)は、本実施の形態では、開孔領域(11)の中央隆起部(110)の外周の環状窪部(112)が最も深くなった皿状に形成されている。ガスバーナ(21)の燃焼排気が排気孔(111)(111)から鍋(9)の底面中心部に向けて吐出されるようになっている。
【0048】
又、五徳(1)の表面には、本実施の形態では、温度上昇に伴って変色する塗料が塗布されており、ガスバーナ(21)からの燃焼排気で例えば60℃程度まで五徳(1)が温まると、該五徳(1)が変色するようになっている。これにより、包囲筒(26)内の炎が目視困難な場合でも、上記変色したことを見ることにより、ガスバーナ(21)が燃焼状態にあることを確認することができる。
【0049】
一方、非開孔領域(12)の上面に形成された鍋支持用隆起部(13)の平面形状は、半径方向に延びる土手状であって、平面視に於ける五徳(1)の中心を対称中心とする回転対称の曲線状に形成されている。具体的には、曲線状(本実施の形態では弧状)に形成された6個の鍋支持用隆起部(13)(13)が周方向に60度ピッチで配列されており、五徳(1)を周方向に60度自転させる毎に自転前と同一の平面形状になるように構成されている。そして、各鍋支持用隆起部(13)(13)の隆起高さは本実施の形態では非開孔領域(12)の上面から10mm程度に設定されており、これにより、鍋支持用隆起部(13)(13)に鍋(9)が載置されたときにガラス天板(20)と鍋底との間に間隙Hが生じる様になっていると共に、該鍋支持用隆起部(13)(13)の相互間が、燃焼排気が流れる曲線状の排気溝(14)(14)となっている。従って、五徳(1)に鍋(9)が載置された状態では、排気溝(14)(14)を流れる燃焼排気流の層が薄く、10mm程度となる。そして、燃焼排気流の層が薄くなると、排気流速が増加するから、熱伝達量が増加する。
【0050】
鍋支持用隆起部(13)(13)の高さを上記寸法に低くできるのは次の理由による。
即ち、本発明のガスコンロでは、ガスバーナ(21)から吐出される燃料ガスの全部又は殆どが包囲筒(26)内で燃焼するように構成されている。従って、既述従来のように鍋底とコンロ上面との間に二次空気確保用の大きな間隙を設ける必要がなく、これにより、鍋支持用隆起部(13)(13)を十分に低くすることが出来るのである。
【0051】
又、前記鍋支持用隆起部(13)(13)は、五徳(1)の外周まで延びているとともに、該五徳(1)の外径は既述包囲筒(26)の上端外周の係合フランジ(263)の外径と同一又はこれより大きい寸法に設定されている。従って、包囲筒(26)の前記係合フランジ(263)が五徳(1)で完全に覆われて露出しないから、意匠感が向上する。
尚、五徳(1)と前記係合フランジ(263)の間に気密性確保の為の耐熱性パッキンを介在させれば、これらの境界から燃焼排気が漏出する心配がない。
【0052】
[動作の実際]
上記ガスコンロを使用するときは、先ず、図2の想像線で示すように、五徳(1)に鍋(9)を載置する。
すると、五徳(1)の非開孔領域(12)に設けられた鍋支持用隆起部(13)(13)の外周水平域(130)(図2参照)に対して鍋(9)の外周近傍の底面が接触する。この場合、本実施の形態に係るガスコンロでは、鍋支持用隆起部(13)(13)の平面視が弧状に曲成されているから、これが半径方向に直線的に延設される場合に比べ、鍋支持用隆起部(13)と鍋(9)の接触距離が長くなる。よって、接触距離が長くなる分、五徳(1)から鍋(9)への熱伝導による伝達熱量が増加し、更には、後述のように燃焼排気が鍋底に接触する距離も長くなるから、熱効率が向上する。
【0053】
次に、操作部(24)に設けられた操作つまみ(51)を押し込んで点火装置(I)を作動させ、これによりガスバーナ(21)に点火すると、炎孔部(29)(29)に形成される炎が包囲筒(26)内で燃焼する。このとき、ガスバーナ(21)の炎孔部(29)(29)に形成される炎(F)が包囲筒(26)で包囲されて外気と接触しないから、燃焼排気が外気で冷却されることがなく、高温状態のままで鍋(9)側に吐出される。よって、燃焼排気が外気で冷却されない分、コンロの熱効率が向上する。
【0054】
ガスバーナ(21)の燃焼が継続すると、包囲筒(26)内が次第に高温になると共に、該包囲筒(26)の上方開放部(261)を閉塞している開孔領域(11)が赤熱され、該開孔領域(11)から輻射される赤外線で鍋(9)が加熱される。尚、包囲筒(26)内を高温状態に保つ為には該包囲筒(26)を断熱材で被覆するのが望ましい。
【0055】
又、包囲筒(26)内の燃焼排気は、開孔領域(11)の排気孔(111)(111)から吐出され、その上方の鍋(9)の中心部に接触される。従って、従来のガスコンロでは鍋(9)の底面中心部に燃焼排気が接触しない外炎式バーナを本発明のガスコンロに適用する場合でも、既述従来のものと相違し、鍋底全面に燃焼排気が接触するから、この点からも熱効率が向上する。
【0056】
次に、開孔領域(11)から鍋(9)の底面中心部に供給された燃焼排気は、鍋支持用隆起部(13)(13)間に形成される排気溝(14)(14)に案内されて鍋(9)の底面と接触し(鍋(9)を加熱し)、全体的に渦巻き状に流動する。従って、排気溝(14)(14)が半径方向に延びる直線状に形成されている場合に比べて、鍋(9)に対する燃焼排気の接触長距が長くなり、その分、熱効率が向上する。
【0057】
又、上記実施の形態のガスコンロでは、既述したように、排気溝(14)(14)を流れる燃焼排気流の層が薄く(鍋支持用隆起部(13)(13)の隆起高さと同様に10mm程度)なるから、該排気流の層が厚い既述従来のものと相違し、鍋(9)と接触することなく排気される燃焼排気の量が多くならない。よって、この点からも、ガスコンロの熱効率の向上が図れる。更に、燃焼排気流の層が薄くなると、排気流速が増加するから、熱伝達量が増加する。
【0058】
更に、鍋(9)を支持する五徳(1)の非開孔領域(12)が燃焼排気で加熱されて該非開孔領域(12)に蓄熱される。そして、この蓄積された熱が鍋支持用隆起部(13)(13)と鍋底の面接触部を介して該鍋(9)に熱伝達される。これにより、伝導伝熱も利用できるから、この点からも熱効率が向上する。
【0059】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係るガスコンロの断面図である。
このものでは、ガスバーナ(21)として、内炎式のブンゼンバーナ(21e)と、該ブンゼンバーナ(21e)の中央孔(h)を介して包囲筒(26)内に燃焼排気を吐出する全一次式バーナ(21f)から構成された複合バーナが採用されている。尚、全一次式バーナ(21f)のガス供給口(28)には、完全燃焼に必要な空気過剰率に調整された燃料ガスが供給される。
【0060】
このものでは、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)からの燃焼排気によって五徳(1)の開孔領域(11)が強く赤熱されると共に、これらブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)からの燃焼排気が鍋(9)に接触するから、能力の大きなガスコンロが構成できる。
【0061】
又、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)の両者を燃焼させる場合と、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)の何れか一方を燃焼させる場合とに切り替えることができ、これにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。
【0062】
[その他]
▲1▼.上記第2実施形態では、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)を組み合わせた複合バーナを使用したが、上記全一次式バーナ(21f)に代えて、燃料ガスを触媒に接触させて完全燃焼させる触媒バーナを使用してもよい。このものでも、触媒バーナとブンゼンバーナの一方又は両者を使用することにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。又、触媒バーナはNOxが発生し難いから、自然環境的にも好ましいものとなる。
【0063】
▲2▼.上記実施の形態では、五徳(1)を構成する開孔領域(11)と非開孔領域(12)は、金属によって、鋳造や鍛造、又は、切削加工等を施すことにより、全体が一つの材料によって一体形成されているが、図5に示すように、開孔領域(11)を備えた中央蓋(A)に、これと別体の外周フランジ(B)を外嵌結合させる構成としてもよい。具体的には、中央蓋(A)の外周に噛合歯(115)(115)を周設すると共に、これと噛み合う噛合歯(125)(125)を外周フランジ(B)の内周に周設する。そして、これら噛合歯(115)(115)(125)(125)を噛みあわせることによって、中央蓋(A)に外周フランジ(B)を外嵌結合する。このようにすると、中央蓋(A)と外周フランジ(B)を、夫々の目的に最適の材料で構成することができる。例えば、赤外線を放出し易いセラミックプレートで中央蓋(A)を構成する一方、切削加工が容易な真鍮等の金属で外周フランジ(B)を形成することができる。
【0064】
尚、中央蓋(A)と外周フランジ(B)を結合する為には噛合歯(115)(115)(125)(125)を噛みあわせる必要はなく、外周フランジ(B)の内周下端に水平フランジ部を延出させ、この水平フランジ部に中央蓋(A)の外周を上方から落とし込むように係合させる構成を採用することができる。
【0065】
▲3▼.図2の想像線で示すように、開孔領域(11)に対して下方から対向する赤熱板(41)を設けてもよい。このようにすると、ガスバーナ(21)からの炎で赤熱板(41)が赤熱され、該赤熱板(41)から赤外線が放出される。従って、この放射される赤外線が開孔領域(11)の排気孔(111)(111)から鍋(9)の鍋底に照射されるから、鍋(9)への赤外線の照射量が増加し、これにより、熱効率が向上する。
【0066】
この場合、赤熱板(41)としては、ガスバーナ(21)による加熱によって多量の赤外線を放出する材料、具体的には、セラミック,ステンレス,鋳物等の材料を採用するのが望ましい。
尚、赤熱板(41)は、図2のブンゼンバーナ形式のもののみならず、図4の複合バーナ形式のものにも採用できることは言うまでもない。
【0067】
▲4▼.五徳(1)の中央部の開孔領域(11)の部位を透光性を有する材料で構成すれば、ガスバーナ(21)の炎の光が、透光性を有する開孔領域(11)を介して外部に漏れるから、該バーナ(21)への点火を確認し易くなる。
【0068】
▲5▼.五徳(1)全体を透明材料で構成してもよい。ガスバーナ(21)の炎が一層視認し易くなるからである。
【0069】
▲6▼.上記実施の形態では、五徳(1)を金属材料で形成したが、該五徳(1)の開孔領域(11)又は非開孔領域(12)の何れか一方、又は、両方をセラミック材料で形成してもよい。即ち、既述した図5のものと同様に、開孔領域(11)を備えた中央蓋(A)と外周フランジ(B)を別体に構成する。そして、中央蓋(A)をセラミック材料で形成する一方外周フランジ(B)を金属材料で形成するか、これとは逆に、中央蓋(A)を金属材料で形成する一方外周フランジ(B)をセラミック材料で形成する。又、一体形成した五徳(1)全体をセラミック材料で形成する。
【0070】
▲7▼.ガスバーナ(21)のバーナボディ(21b)が包囲筒(26)で完全に包囲される構成にしてもよい。即ち、図2の想像線で示すように包囲筒(26)の下端をバーナボディ(21b)の下方まで延長し、これにより、バーナボディ(21b)が包囲筒(26)内に位置するようにしてもよい。
このようにすると、包囲筒(26)内の熱が漏れにくくなり、熱効率が一層高くなる。
【0071】
▲8▼.図6に示すように、ガスバーナ(21)として、板金で形成された扁平矩形のバーナボディ(幅狭で紙面に対して前後に長い)の上面に炎孔を備えた形式のバーナ(21a)(21a)(例えば、バーナヘッド上面に連続した長い一本の溝をつくり、その中に波形の金属帯を嵌め込んだリボンバーナや、上面に炎孔としての細孔が形成されたスリットバーナ)を間隙(21b)(21b)を存して並設したものを採用し、これを包囲筒(26)内に収容する構成としてもよい。
【0072】
このものでは、各バーナ(21a)(21a)の相互の間隙(21b)(21b)と、両サイドに配設されたバーナ(21a)(21a)と包囲筒(26)内壁の間隙(21c)(21c)を介して各炎孔部(a)(a)に燃焼用二次空気が円滑に供給できる。
【0073】
この場合も、図6の想像線で示すように、開孔領域(11)に対して下方から対向する赤熱板(41)を設けてもよい。このようにすると、上記▲3▼と同様に、バーナ(21a)からの炎で赤熱板(41)が赤熱され、このときに放射される赤外線が開孔領域(11)の排気孔(111)(111)から鍋(9)の鍋底に照射されるから、鍋(9)への赤外線の照射量が増加し、これにより、熱効率が向上する。
尚、図6の構成のものに於いて、バーナ(21a)(21a)の代わりに外炎式バーナを配設してもよい。この場合も、上記と同様の理由により、開孔領域(11)に対して下方から対向する赤熱板(41)を設けてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るガスコンロの一部分解の斜視図
【図2】ガスバーナ(21)の配設部の拡大断面図
【図3】五徳(1)の斜視図
【図4】第2実施形態に係るガスコンロの要部の断面図
【図5】五徳(1)の変形例の断面図
【図6】ガスバーナ(21)の変形例の説明図
【図7】従来例の説明図
【符号の説明】
(1)・・・五徳
(11)・・・開孔領域
(12)・・・非開孔領域
(13)・・・鍋支持用隆起部
(21)・・・ガスバーナ
(21e)・・・ブンゼンバーナ
(21f)・・・全一次式バーナ
(26)・・・包囲筒
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱効率の改善を図ったガスコンロ、及び、これに使用される五徳に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7に示す従来のガスコンロでは、上方に開放する本体ケース(3)内にガスバーナ(31)が収容されていると共に、前記本体ケース(3)の上方開放部はコンロ天板(30)によって閉塞されている。
【0003】
コンロ天板(30)に装着された汁受け皿(33)の中央孔(330)内にはバーナヘッド(34)が位置していると共に、汁受け皿(33)の外周域には五徳(35)が載置されており、該五徳(35)の五徳枠(37)から起立する五徳爪(36)(36)には鍋(9)が載置されるようになっている。
【0004】
このものでは、ガスバーナ(31)を燃焼させると、該ガスバーナ(31)の炎孔(38)(38)からの燃焼排気が鍋(9)の底面に接触しながら半径方向へ流動し、この燃焼排気の熱で鍋(9)が加熱される。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−178179号公報(図1)
【特許文献2】
特開平8−338634号公報(図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、エネルギー資源の有効利用の要請を背景とし、ガスコンロの熱効率の改善が望まれているが、上記従来のガスコンロでは、鍋(9)と熱交換することなく無駄に大気中に排出される燃焼排気の量が多く、十分な熱効率が確保されていないと言う問題があった。
【0007】
上記問題は次の原因によって発生しているものと考えられる。
▲1▼.上記従来のガスコンロでは、炎孔(38)(38)部分への燃焼用二次空気の円滑供給を可能にするため、コンロ天板(30)からの五徳爪(36)(36)の突出高さを大きく設定している。
【0008】
ところが、五徳爪(36)(36)の突出高さが大きすぎると、ガスバーナ(31)からの燃焼排気は、鍋(9)とコンロ天板(30)の間に形成される大きな上下間隔を通過して大気中に排出されるから、燃焼排気のうち鍋(9)に接触する上層部以外の部分は鍋(9)と十分に熱交換することなく大気中に無駄に排出され、これにより、熱効率が低下する。
【0009】
▲2▼.上記従来のガスコンロでは、ガスバーナ(31)の炎孔(38)(38)部分が大気中に露出しているから、燃焼排気が鍋(9)に接触する前に外気で若干冷却されて温度低下し、これにより、熱効率が低下する。
【0010】
▲3▼.上記従来のガスコンロでは、バーナヘッド(34)の外周の炎孔(38)(38)形成部よりバーナ中心側では、燃焼排気が鍋底に接触せず、該鍋底中央部が熱吸収しないから、その分、熱効率が低下する。
【0011】
▲4▼.上記従来のものでは、熱伝達の3形態(熱輻射,対流,熱伝導)のうち、燃焼排気との接触による熱伝達を主として利用しているため、十分な熱効率が得られない。
【0012】
そして、上記従来のものでは、前記▲1▼〜▲4▼の原因が重畳的に作用し合ってガスコンロの十分な熱効率が確保できないのである。
本発明は、かかる点に鑑みて成されたもので、熱効率の高いガスコンロ及びこれに使用される五徳を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
[A1項]
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、
『ガスバーナと、
前記ガスバーナの燃焼部を包囲した上方開放の包囲筒と、
前記包囲筒の前記上方開放部を覆う五徳を具備し、
前記五徳は、前記包囲筒からの燃焼排気を吐出させる排気孔と、加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部を備えている』ことである。
上記技術的手段によれば、ガスバーナの燃焼排気は包囲筒で包囲されているから、該包囲筒内の燃焼排気は外気と接触しない。これにより、燃焼排気が外気で冷却されることがなく、高温状態のままで排気孔から鍋(9)側に吐出される。よって、燃焼排気が外気で冷却されない分、コンロの熱効率が向上する。
【0014】
又、ガスバーナから吐出される燃料ガスの全部又は殆どが包囲筒内で燃焼するから、既述従来のように鍋底とコンロ上面との間に二次空気確保用の大きな間隙を設ける必要がない。よって、鍋支持用隆起部を十分に低くすることが出来る。即ち、鍋底下方を流れる燃焼排気の層を薄くすることが出来、これにより、鍋底に接触することなく大気中に排出される燃焼排気の量が少なくなり、その分、熱効率が向上する。
【0015】
又、五徳中央の排気孔から、鍋(9)の底面中心部に向けて燃焼排気が吐出される。従って、鍋(9)の底面中心部に燃焼排気が接触しない既述従来のものと相違し、鍋底全面に燃焼排気が接触するから熱効率が向上する。
【0016】
又、包囲筒内の高温の燃焼排気によって、五徳の排気孔が形成された領域が赤熱され、該赤熱された部分から輻射される赤外線で鍋底が輻射加熱される。従って、熱伝達の3形態のうちの熱輻射も利用でき、この点からも熱効率が向上する。
【0017】
更に、燃焼排気で加熱されて蓄熱された鍋支持用隆起部が鍋底に接触するから、鍋支持用隆起部から鍋底へ熱伝達される。よって、熱伝達の3形態のうちの伝導伝熱も利用でき、この点からも熱効率が向上する。
【0018】
[A2項]
前記A1項に於いて、
『前記五徳は、前記排気孔が形成された開孔領域と、該開孔領域の外周縁から張り出し且つ前記鍋支持用隆起部を具備する非開孔領域から構成されている』ものとすれば、開孔領域から半径方向にずれた非開孔領域上に鍋支持用隆起部が位置する。従って、開孔領域に鍋支持用隆起部が形成されている場合に比べて鍋の外周を支持することができるから、鍋の安定性が高くなる。
【0019】
[A3項]
前記A1項〜A2項に於いて、
『前記各鍋支持用隆起部の平面形状は、半径方向に延びる土手状に形成されている』ものでは、鍋支持用隆起部が独立山状に形成されている場合に比べ、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、該鍋(9)の安定性が確保できる。又、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、熱伝達量も大きくなる。
【0020】
[A4項]
前記A3項に於いて、
『前記土手状の鍋支持用隆起部の平面形状は弧状であり、
前記鍋支持用隆起部の夫々は、前記五徳の平面中心を対称中心とする回転対称となる位置に配設されている』ものでは、隣接する各鍋支持用隆起部の相互間は平面形状が弧状の排気溝となり、該弧状の排気溝を燃焼排気が通過する。従って、この排気溝が半径方向に延びる直線状に形成されている場合に比べて、排気溝の平面視が弧状になっている分だけ長くなる。よって、鍋(9)に対する燃焼排気の接触長距が長くなり、その分、熱交率が向上する。又、土手状の鍋支持用隆起部の頂面積(鍋(9)との接触面積)を大きくすれば、土手状の鍋支持用隆起部の前記頂面から鍋(9)への伝導熱の量も大きくできる。
【0021】
[A5項]
前記A1項〜A4項に於いて、
『前記五徳の排気孔が形成された領域は、透光性を有する材料で構成されている』ものでは、前記ガスバーナに生成される炎の光が、透光性を有する排気孔が形成された領域を透過して外部から視覚確認できるから、ガスバーナの炎が包囲筒で包囲されて外部から目視できにくい場合でも、ガスバーナの燃焼を容易に確認することができる。
【0022】
[A6項]
前記A1項〜A5項に於いて、
『前記五徳の排気孔が形成された領域に対して下方から対向する部位には、前記ガスバーナの炎で赤熱される赤熱板が設けられている』ものでは、赤熱板から輻射される赤外線が、排気孔が形成された領域を介して鍋(9)に照射され、該輻射熱によって熱効率が一層向上する。
【0023】
[A7項]
前記A1項〜A6項に於いて、
『前記ガスバーナ(21)は、前記包囲筒内に燃焼排気を吐出するブンゼンバーナと全一次式バーナから構成された複合バーナである』ものとすることができる。このものでは、ブンゼンバーナと全一次式バーナの一方又は両者を使用することにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。
【0024】
又、全一次式バーナは、燃焼面から多量の赤外線を放出するから、この赤外線が五徳の排気孔の形成領域を透過して鍋底に照射される。よって、輻射熱による鍋底加熱効果が一層向上する。
【0025】
[A8項]
前記A1項〜A6項に於いて、
『前記ガスバーナ(21)は、前記包囲筒内に燃焼排気を吐出するブンゼンバーナと触媒バーナから構成された複合バーナである』ものとすることができる。
このものでは、燃料ガスを触媒に接触させて完全燃焼させる触媒バーナとブンゼンバーナの一方又は両者を使用することにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。
又、前記A7項と同様に、燃焼面から放出される多量の赤外線が五徳の排気孔の形成領域を透過して鍋底に照射され、該鍋底の加熱効果が一層向上する。
【0026】
[B1項]
『ガスバーナの燃焼部を包囲する上方開放の包囲筒の前記上方開放部を覆う五徳であって、
前記包囲筒からの燃焼排気を吐出させる排気孔が形成された開孔領域と、該開孔領域の外周縁から張り出し且つ加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部を具備する非開孔領域とを有する五徳』とすれば、既述A2項のガスコンロに適用できる五徳が得られる。
【0027】
[B2項]
前記B1項に於いて、
『前記各鍋支持用隆起部の平面形状は、半径方向に延びる土手状に形成されている』ものとすれば、既述A3項のガスコンロに適用できる五徳が得られる。
【0028】
[B3項]
前記B2項に於いて、
『前記土手状の鍋支持用隆起部の平面形状は弧状であり、
前記鍋支持用隆起部の夫々は、前記五徳の平面中心を対称中心とする回転対称となる位置に配設されている』ものとすれば、既述A4項のガスコンロに適した五徳が得られる。
【0029】
[B4項]
前記B1項〜B3項に於いて、
『前記開孔領域は、透光性を有する材料で構成されている』ものとすれば、既述A5項のガスコンロに適した五徳が得られる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
ガスバーナの燃焼部が包囲筒で包囲されて燃焼排気が外気で冷却されることなく高温状態のままで鍋側に吐出される。よって、燃焼排気が外気で冷却されない分、コンロの熱効率が向上する。
又、既述したように、鍋底に接触することなく大気中に排出される燃焼排気の量が少なくなるから、この点からも熱効率が向上する。
【0031】
又、五徳中央の排気孔から、鍋の底面中心部に向けて燃焼排気が吐出されるから、鍋(9)の底面中心部に燃焼排気が接触しない既述従来のものと相違して鍋底全面に燃焼排気が接触し、これにより、熱効率が向上する。
又、赤熱された排気孔の形成領域から輻射される赤外線で鍋底が輻射加熱される。従って、熱伝達の3形態のうちの熱輻射も利用でき、この点からも熱効率が向上する。
【0032】
更に、既述したように、所定広さを有する前記面接触部(鍋支持用隆起部と鍋底との面接触部)を介して鍋支持用隆起部から鍋底へ熱伝達され、伝導伝熱も利用できるから、この点からも熱効率が向上する。
【0033】
A2項のものでは、既述したように、開孔領域に鍋支持用隆起部が形成されている場合に比べて鍋の外周を支持することができるから、鍋の安定性が高くなる。
【0034】
A3項もののでは、既述したように、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、該鍋(9)の安定性が高くなる。又、鍋(9)と鍋支持用隆起部の接触長さが大きくなるから、熱伝達量も大きくなる。
【0035】
A4項のものでは、弧状の排気溝に沿って流れる燃焼排気が鍋底に接触するから、排気溝が半径方向に延びる直線状に形成されている場合に比べて、鍋(9)に対する燃焼排気の接触長さが長くなり、その分、熱交率が向上する。
【0036】
A5項のものでは、ガスバーナの燃焼を容易に確認することができる。
【0037】
A6項ものでは、赤熱板から輻射される赤外線が鍋(9)に照射されるから、熱効率が一層向上する。
【0038】
A7項及びA8項のものでは、ブンゼンバーナ及びこれと種類の異なるバーナを選択的に使用することができるから、燃焼調節範囲を広くすることができる。
【0039】
B1項〜B4項のものでは、夫々、A2項〜5項のガスコンロに適した五徳が得られる。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。
本発明の実施の形態に係るガスコンロは、図1に示すように、一対のガスバーナ(21)(21)が収容された略直方体状の箱体である本体ケース(2)の上方開放部をガラス天板(20)によって閉塞した形式のテーブルコンロに実施したものであり、前記ガスバーナ(21)に対応するガラス天板(20)の各位置には、円形の開口(22)が左右に並設されている。前記ガスバーナ(21)(21)の配設部の間には、魚焼き用のグリル部(23)が配設されており、前記本体ケース(2)の前面中央には、前記グリル部(23)の扉が設けられていると共に、その両側には、ガスバーナ(21)(21)及びグリル部(23)の燃焼操作用の操作部(24)(24)が設けられている。そして、この操作部(24)(24)には、ガスバーナ(21)(21)に点・消火する際に押し込み操作し、且つ、火力調節の際には回転操作する操作つまみ(51)(51)と、ガスバーナ(21)(21)が燃焼状態にあることを報知する燃焼ランプ(27)(27)が配設されている。
又、ガラス天板(20)に形成された前記開口(22)の周縁には、後述の五徳(1)を載置する為の段落ち部(25)が形成されている。
【0041】
以下、各部の詳細を説明する。
[ガスバーナ(21)について]
ガスバーナ(21)は、図2に示すように、ベンチュリ(21a)と、該ベンチュリ(21a)の下流端に連設されたバーナボディ(21b)と、該バーナボディ(21b)の上端内周から突出する炎孔部(29)(29)とから構成されたブンゼン式の内炎バーナである。
【0042】
一方、バーナボディ(21b)の内周下部に周設された環状フランジ(46)には汁受皿(48)の外周が上方から係合していると共に、該汁受皿(48)の中央にはつまみ(47)が起立突出している。従って、後述の五徳(1)を取り外した状態で、前記つまみ(47)を持ち上げると、汁受皿(48)が炎孔部(29)の中央部を介してガラス天板(20)の上方へ取り出せる。
【0043】
又、ベンチュリ(21a)のガス供給口(28)には、燃料ガス供給用のノズル(図示せず)が差し込まれており、前記ベンチュリ(21a)内で、燃料ガスと一次空気が混合されて、バーナボディ(21b)へ送られ、炎孔部(29)(29)で二次空気と混合されて燃焼するようになっている。
尚、前記二次空気は、炎孔部(29)(29)の外周と後述の包囲筒(26)の下端との間隙(G)と、環状フランジ(46)に開設された通気開孔(46a)から供給される。
【0044】
又、炎孔部(29)(29)の近傍には、該炎孔部(29)(29)から吐出される燃料ガスに点火する為の点火装置(I)と、燃焼状態を監視する炎検知器(TC)が設けられており、炎検知器(TC)が炎検知状態にあるときには、ガスバーナ(21)へガス供給する為のガス開閉弁を開弁保持すると共に、本体ケース(2)の操作部(24)に設けられた燃焼ランプ(27)が点灯するようになっている。
【0045】
[包囲筒について]
前記ガスバーナ(21)の炎孔部(29)(29)の上方に位置する燃焼部(210)を包囲する包囲筒(26)は、上方及び底面中央が開放した円筒体であり、下端(260)は、炎孔部(29)に間隙(G)を存して遊嵌する大きさに設定されている。前記包囲筒(26)の下端(260)は、これを内側にカーリングした下広がりのベルマウス状に形成されており、該ベルマウス状部(262)に沿って二次空気が炎孔部(29)に円滑に案内されるようにしている。一方、包囲筒(26)の上端外周には、ガラス天板(20)の開口(22)の周縁に形成された段落ち部(25)に係合する係合フランジ(263)が周設されている。
尚、包囲筒(26)の材料としては、ステンレス,鋳物,真鍮等の金属以外に、セラミック等を採用することができる。
【0046】
[五徳(1)について]
五徳(1)は、包囲筒(26)の上方開放部(261)を覆う開孔領域(11)と、該開孔領域(11)の外周から略水平に張り出し、且つ、上面には複数の鍋支持用隆起部(13)(13)が形成された非開孔領域(12)から構成されている。以下、五徳(1)の詳細を更に説明する。
【0047】
五徳(1)は、本実施の形態では、熱伝導性の良好な金属材料で形成されており、図2,3に示すように、複数の排気孔(111)(111)が開設された開孔領域(11)の中央は上方に凸の球殻状に形成された中央隆起部(110)となっていると共に、その周縁部は、徐々に低くなるように湾曲している。そして、開孔領域(11)の周縁部には、これと一体形成された非開孔領域(12)が連続している。従って、五徳(1)は、本実施の形態では、開孔領域(11)の中央隆起部(110)の外周の環状窪部(112)が最も深くなった皿状に形成されている。ガスバーナ(21)の燃焼排気が排気孔(111)(111)から鍋(9)の底面中心部に向けて吐出されるようになっている。
【0048】
又、五徳(1)の表面には、本実施の形態では、温度上昇に伴って変色する塗料が塗布されており、ガスバーナ(21)からの燃焼排気で例えば60℃程度まで五徳(1)が温まると、該五徳(1)が変色するようになっている。これにより、包囲筒(26)内の炎が目視困難な場合でも、上記変色したことを見ることにより、ガスバーナ(21)が燃焼状態にあることを確認することができる。
【0049】
一方、非開孔領域(12)の上面に形成された鍋支持用隆起部(13)の平面形状は、半径方向に延びる土手状であって、平面視に於ける五徳(1)の中心を対称中心とする回転対称の曲線状に形成されている。具体的には、曲線状(本実施の形態では弧状)に形成された6個の鍋支持用隆起部(13)(13)が周方向に60度ピッチで配列されており、五徳(1)を周方向に60度自転させる毎に自転前と同一の平面形状になるように構成されている。そして、各鍋支持用隆起部(13)(13)の隆起高さは本実施の形態では非開孔領域(12)の上面から10mm程度に設定されており、これにより、鍋支持用隆起部(13)(13)に鍋(9)が載置されたときにガラス天板(20)と鍋底との間に間隙Hが生じる様になっていると共に、該鍋支持用隆起部(13)(13)の相互間が、燃焼排気が流れる曲線状の排気溝(14)(14)となっている。従って、五徳(1)に鍋(9)が載置された状態では、排気溝(14)(14)を流れる燃焼排気流の層が薄く、10mm程度となる。そして、燃焼排気流の層が薄くなると、排気流速が増加するから、熱伝達量が増加する。
【0050】
鍋支持用隆起部(13)(13)の高さを上記寸法に低くできるのは次の理由による。
即ち、本発明のガスコンロでは、ガスバーナ(21)から吐出される燃料ガスの全部又は殆どが包囲筒(26)内で燃焼するように構成されている。従って、既述従来のように鍋底とコンロ上面との間に二次空気確保用の大きな間隙を設ける必要がなく、これにより、鍋支持用隆起部(13)(13)を十分に低くすることが出来るのである。
【0051】
又、前記鍋支持用隆起部(13)(13)は、五徳(1)の外周まで延びているとともに、該五徳(1)の外径は既述包囲筒(26)の上端外周の係合フランジ(263)の外径と同一又はこれより大きい寸法に設定されている。従って、包囲筒(26)の前記係合フランジ(263)が五徳(1)で完全に覆われて露出しないから、意匠感が向上する。
尚、五徳(1)と前記係合フランジ(263)の間に気密性確保の為の耐熱性パッキンを介在させれば、これらの境界から燃焼排気が漏出する心配がない。
【0052】
[動作の実際]
上記ガスコンロを使用するときは、先ず、図2の想像線で示すように、五徳(1)に鍋(9)を載置する。
すると、五徳(1)の非開孔領域(12)に設けられた鍋支持用隆起部(13)(13)の外周水平域(130)(図2参照)に対して鍋(9)の外周近傍の底面が接触する。この場合、本実施の形態に係るガスコンロでは、鍋支持用隆起部(13)(13)の平面視が弧状に曲成されているから、これが半径方向に直線的に延設される場合に比べ、鍋支持用隆起部(13)と鍋(9)の接触距離が長くなる。よって、接触距離が長くなる分、五徳(1)から鍋(9)への熱伝導による伝達熱量が増加し、更には、後述のように燃焼排気が鍋底に接触する距離も長くなるから、熱効率が向上する。
【0053】
次に、操作部(24)に設けられた操作つまみ(51)を押し込んで点火装置(I)を作動させ、これによりガスバーナ(21)に点火すると、炎孔部(29)(29)に形成される炎が包囲筒(26)内で燃焼する。このとき、ガスバーナ(21)の炎孔部(29)(29)に形成される炎(F)が包囲筒(26)で包囲されて外気と接触しないから、燃焼排気が外気で冷却されることがなく、高温状態のままで鍋(9)側に吐出される。よって、燃焼排気が外気で冷却されない分、コンロの熱効率が向上する。
【0054】
ガスバーナ(21)の燃焼が継続すると、包囲筒(26)内が次第に高温になると共に、該包囲筒(26)の上方開放部(261)を閉塞している開孔領域(11)が赤熱され、該開孔領域(11)から輻射される赤外線で鍋(9)が加熱される。尚、包囲筒(26)内を高温状態に保つ為には該包囲筒(26)を断熱材で被覆するのが望ましい。
【0055】
又、包囲筒(26)内の燃焼排気は、開孔領域(11)の排気孔(111)(111)から吐出され、その上方の鍋(9)の中心部に接触される。従って、従来のガスコンロでは鍋(9)の底面中心部に燃焼排気が接触しない外炎式バーナを本発明のガスコンロに適用する場合でも、既述従来のものと相違し、鍋底全面に燃焼排気が接触するから、この点からも熱効率が向上する。
【0056】
次に、開孔領域(11)から鍋(9)の底面中心部に供給された燃焼排気は、鍋支持用隆起部(13)(13)間に形成される排気溝(14)(14)に案内されて鍋(9)の底面と接触し(鍋(9)を加熱し)、全体的に渦巻き状に流動する。従って、排気溝(14)(14)が半径方向に延びる直線状に形成されている場合に比べて、鍋(9)に対する燃焼排気の接触長距が長くなり、その分、熱効率が向上する。
【0057】
又、上記実施の形態のガスコンロでは、既述したように、排気溝(14)(14)を流れる燃焼排気流の層が薄く(鍋支持用隆起部(13)(13)の隆起高さと同様に10mm程度)なるから、該排気流の層が厚い既述従来のものと相違し、鍋(9)と接触することなく排気される燃焼排気の量が多くならない。よって、この点からも、ガスコンロの熱効率の向上が図れる。更に、燃焼排気流の層が薄くなると、排気流速が増加するから、熱伝達量が増加する。
【0058】
更に、鍋(9)を支持する五徳(1)の非開孔領域(12)が燃焼排気で加熱されて該非開孔領域(12)に蓄熱される。そして、この蓄積された熱が鍋支持用隆起部(13)(13)と鍋底の面接触部を介して該鍋(9)に熱伝達される。これにより、伝導伝熱も利用できるから、この点からも熱効率が向上する。
【0059】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係るガスコンロの断面図である。
このものでは、ガスバーナ(21)として、内炎式のブンゼンバーナ(21e)と、該ブンゼンバーナ(21e)の中央孔(h)を介して包囲筒(26)内に燃焼排気を吐出する全一次式バーナ(21f)から構成された複合バーナが採用されている。尚、全一次式バーナ(21f)のガス供給口(28)には、完全燃焼に必要な空気過剰率に調整された燃料ガスが供給される。
【0060】
このものでは、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)からの燃焼排気によって五徳(1)の開孔領域(11)が強く赤熱されると共に、これらブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)からの燃焼排気が鍋(9)に接触するから、能力の大きなガスコンロが構成できる。
【0061】
又、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)の両者を燃焼させる場合と、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)の何れか一方を燃焼させる場合とに切り替えることができ、これにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。
【0062】
[その他]
▲1▼.上記第2実施形態では、ブンゼンバーナ(21e)と全一次式バーナ(21f)を組み合わせた複合バーナを使用したが、上記全一次式バーナ(21f)に代えて、燃料ガスを触媒に接触させて完全燃焼させる触媒バーナを使用してもよい。このものでも、触媒バーナとブンゼンバーナの一方又は両者を使用することにより、燃焼調節範囲を広くすることができる。又、触媒バーナはNOxが発生し難いから、自然環境的にも好ましいものとなる。
【0063】
▲2▼.上記実施の形態では、五徳(1)を構成する開孔領域(11)と非開孔領域(12)は、金属によって、鋳造や鍛造、又は、切削加工等を施すことにより、全体が一つの材料によって一体形成されているが、図5に示すように、開孔領域(11)を備えた中央蓋(A)に、これと別体の外周フランジ(B)を外嵌結合させる構成としてもよい。具体的には、中央蓋(A)の外周に噛合歯(115)(115)を周設すると共に、これと噛み合う噛合歯(125)(125)を外周フランジ(B)の内周に周設する。そして、これら噛合歯(115)(115)(125)(125)を噛みあわせることによって、中央蓋(A)に外周フランジ(B)を外嵌結合する。このようにすると、中央蓋(A)と外周フランジ(B)を、夫々の目的に最適の材料で構成することができる。例えば、赤外線を放出し易いセラミックプレートで中央蓋(A)を構成する一方、切削加工が容易な真鍮等の金属で外周フランジ(B)を形成することができる。
【0064】
尚、中央蓋(A)と外周フランジ(B)を結合する為には噛合歯(115)(115)(125)(125)を噛みあわせる必要はなく、外周フランジ(B)の内周下端に水平フランジ部を延出させ、この水平フランジ部に中央蓋(A)の外周を上方から落とし込むように係合させる構成を採用することができる。
【0065】
▲3▼.図2の想像線で示すように、開孔領域(11)に対して下方から対向する赤熱板(41)を設けてもよい。このようにすると、ガスバーナ(21)からの炎で赤熱板(41)が赤熱され、該赤熱板(41)から赤外線が放出される。従って、この放射される赤外線が開孔領域(11)の排気孔(111)(111)から鍋(9)の鍋底に照射されるから、鍋(9)への赤外線の照射量が増加し、これにより、熱効率が向上する。
【0066】
この場合、赤熱板(41)としては、ガスバーナ(21)による加熱によって多量の赤外線を放出する材料、具体的には、セラミック,ステンレス,鋳物等の材料を採用するのが望ましい。
尚、赤熱板(41)は、図2のブンゼンバーナ形式のもののみならず、図4の複合バーナ形式のものにも採用できることは言うまでもない。
【0067】
▲4▼.五徳(1)の中央部の開孔領域(11)の部位を透光性を有する材料で構成すれば、ガスバーナ(21)の炎の光が、透光性を有する開孔領域(11)を介して外部に漏れるから、該バーナ(21)への点火を確認し易くなる。
【0068】
▲5▼.五徳(1)全体を透明材料で構成してもよい。ガスバーナ(21)の炎が一層視認し易くなるからである。
【0069】
▲6▼.上記実施の形態では、五徳(1)を金属材料で形成したが、該五徳(1)の開孔領域(11)又は非開孔領域(12)の何れか一方、又は、両方をセラミック材料で形成してもよい。即ち、既述した図5のものと同様に、開孔領域(11)を備えた中央蓋(A)と外周フランジ(B)を別体に構成する。そして、中央蓋(A)をセラミック材料で形成する一方外周フランジ(B)を金属材料で形成するか、これとは逆に、中央蓋(A)を金属材料で形成する一方外周フランジ(B)をセラミック材料で形成する。又、一体形成した五徳(1)全体をセラミック材料で形成する。
【0070】
▲7▼.ガスバーナ(21)のバーナボディ(21b)が包囲筒(26)で完全に包囲される構成にしてもよい。即ち、図2の想像線で示すように包囲筒(26)の下端をバーナボディ(21b)の下方まで延長し、これにより、バーナボディ(21b)が包囲筒(26)内に位置するようにしてもよい。
このようにすると、包囲筒(26)内の熱が漏れにくくなり、熱効率が一層高くなる。
【0071】
▲8▼.図6に示すように、ガスバーナ(21)として、板金で形成された扁平矩形のバーナボディ(幅狭で紙面に対して前後に長い)の上面に炎孔を備えた形式のバーナ(21a)(21a)(例えば、バーナヘッド上面に連続した長い一本の溝をつくり、その中に波形の金属帯を嵌め込んだリボンバーナや、上面に炎孔としての細孔が形成されたスリットバーナ)を間隙(21b)(21b)を存して並設したものを採用し、これを包囲筒(26)内に収容する構成としてもよい。
【0072】
このものでは、各バーナ(21a)(21a)の相互の間隙(21b)(21b)と、両サイドに配設されたバーナ(21a)(21a)と包囲筒(26)内壁の間隙(21c)(21c)を介して各炎孔部(a)(a)に燃焼用二次空気が円滑に供給できる。
【0073】
この場合も、図6の想像線で示すように、開孔領域(11)に対して下方から対向する赤熱板(41)を設けてもよい。このようにすると、上記▲3▼と同様に、バーナ(21a)からの炎で赤熱板(41)が赤熱され、このときに放射される赤外線が開孔領域(11)の排気孔(111)(111)から鍋(9)の鍋底に照射されるから、鍋(9)への赤外線の照射量が増加し、これにより、熱効率が向上する。
尚、図6の構成のものに於いて、バーナ(21a)(21a)の代わりに外炎式バーナを配設してもよい。この場合も、上記と同様の理由により、開孔領域(11)に対して下方から対向する赤熱板(41)を設けてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るガスコンロの一部分解の斜視図
【図2】ガスバーナ(21)の配設部の拡大断面図
【図3】五徳(1)の斜視図
【図4】第2実施形態に係るガスコンロの要部の断面図
【図5】五徳(1)の変形例の断面図
【図6】ガスバーナ(21)の変形例の説明図
【図7】従来例の説明図
【符号の説明】
(1)・・・五徳
(11)・・・開孔領域
(12)・・・非開孔領域
(13)・・・鍋支持用隆起部
(21)・・・ガスバーナ
(21e)・・・ブンゼンバーナ
(21f)・・・全一次式バーナ
(26)・・・包囲筒
Claims (12)
- ガスバーナと、
前記ガスバーナの燃焼部を包囲する上方開放の包囲筒と、
前記包囲筒の前記上方開放部を覆う五徳を具備し、
前記五徳は、前記包囲筒からの燃焼排気を吐出させる排気孔と、加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部を備えている、ガスコンロ。 - 請求項1に記載のガスコンロに於いて、
前記五徳は、前記排気孔が形成された開孔領域と、該開孔領域の外周縁から張り出し且つ前記鍋支持用隆起部を具備する非開孔領域から構成されている、ガスコンロ。 - 請求項1又は請求項2に記載のガスコンロに於いて、
前記各鍋支持用隆起部の平面形状は、半径方向に延びる土手状に形成されているガスコンロ。 - 請求項3に記載のガスコンロに於いて、
前記土手状の鍋支持用隆起部の平面形状は弧状であり、
前記鍋支持用隆起部の夫々は、前記五徳の平面中心を対称中心とする回転対称となる位置に配設されているガスコンロ。 - 請求項1から請求項4の何れかに記載のガスコンロに於いて、
前記五徳の排気孔が形成された領域は、透光性を有する材料で構成されているガスコンロ。 - 請求項1から請求項5の何れかに記載のガスコンロに於いて、
前記五徳の排気孔が形成された領域に対して下方から対向する部位には、前記ガスバーナの炎で赤熱される赤熱板が設けられているガスコンロ。 - 請求項1から請求項6の何れかに記載のガスコンロに於いて、
前記ガスバーナは、前記包囲筒内に燃焼排気を吐出するブンゼンバーナと全一次式バーナから構成された複合バーナであるガスコンロ。 - 請求項1から請求項6の何れかに記載のガスコンロに於いて、
前記ガスバーナは、前記包囲筒内に燃焼排気を吐出するブンゼンバーナと触媒バーナから構成された複合バーナであるガスコンロ。 - ガスバーナの燃焼部を包囲する上方開放の包囲筒の前記上方開放部を覆う五徳であって、
前記包囲筒からの燃焼排気を吐出させる排気孔が形成された開孔領域と、該開孔領域の外周縁から張り出し且つ加熱対象たる鍋底を支持する複数の鍋支持用隆起部を具備する非開孔領域とを有する五徳。 - 請求項9に記載の五徳に於いて、
前記各鍋支持用隆起部の平面形状は、半径方向に延びる土手状に形成されている五徳。 - 請求項10に記載の五徳に於いて、
前記土手状の鍋支持用隆起部の平面形状は弧状であり、
前記鍋支持用隆起部の夫々は、前記五徳の平面中心を対称中心とする回転対称となる位置に配設されている五徳。 - 請求項9から請求項11に記載の五徳に於いて、
前記開孔領域は、透光性を有する材料で構成されている五徳。
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JP2003175355A JP2005009790A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | ガスコンロ及び五徳 |
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---|---|---|---|---|
CN107339718A (zh) * | 2017-08-23 | 2017-11-10 | 祁东县六合贸易有限公司长沙分公司 | 一种液化气灶 |
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-
2003
- 2003-06-19 JP JP2003175355A patent/JP2005009790A/ja active Pending
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