JP2005009573A - 含油軸受、含油軸受製造用コアロッド及び含油軸受の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有効多孔率が15〜35%の含油軸受の、通常30%を超える内径面の表面多孔率を、しごき面の軸方向面粗さを意図的に粗くしたコアロッドでしごいて10〜30%に低減させ、高温下での内径面の摩擦係数が小さく抑えられるようにした。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、支持した回転軸を高温下で起動して摺動させるときの摩擦特性を向上させた含油軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
含油軸受は、多孔質焼結材で形成される軸受である。この含油軸受の軸受面(摺動面)の油膜減少を抑制する技術が、下記特許文献1に示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−123313号公報
【0004】
同文献に開示された含油軸受は、回転軸が接触摺動する側の略半周の範囲において、内径面(軸受面)の空孔を圧粉成形時に軸方向に潰し、その空孔を潰す領域を周方向に間隔を開けて上記の範囲内に中心対称状態に配置し、空孔を潰した部位の軸受面からの潤滑油の漏れを防止するようにしたものであって、空孔を潰した部位間の面(空孔を潰していない軸受面)が油供給部となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
含油軸受は、通常、表面多孔率が30%を超える。例えば、有効多孔率が15から35%の軸受の表面多孔率は30%を超え40%以下になっている。
【0006】
なお、有効多孔率と表面多孔率は、下式によって定義されるものである。
【0007】
有効多孔率=B/A×100 A:(含油重量−非含油重量)
B:(大気下重量−水中重量)×油の比重
表面多孔率=(内径面の空孔面積/内径面の全体面積)×100
表面多孔率が30%を越える従来の含油軸受は、支持した回転軸を80℃〜100℃の高温下で起動して回転させたときにノイズが発生する。その原因は、潤滑油の粘度が高温によって低下し、軸受に含浸させた潤滑油が漏れ出して軸受面の潤滑性能が低下することにある。
【0008】
上記特許文献1は、局部接触による摩擦係数増加を抑えるために内径面の一部の空孔を潰し、これによって潤滑油の漏れを抑制する方法を採っているが、この特許文献1の含油軸受は、取り付けに方向性が生じ、取り付け方向が正しくないと、目的とする効果が得られない。
【0009】
また、高温下では粘度の低下した潤滑油が空孔非潰し部(空孔潰し部間の油供給部)から漏れだすため、潤滑油の漏れ抑制の効果が不十分になる。
【0010】
この発明は、高温下における回転軸起動時のノイズ発生を防止するために、含油軸受の摺動面の潤滑が高温下でも安定してなされるようにすることを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、上述した式で示される内径面の表面多孔率が10〜30%である含油軸受を提供する。
【0012】
この含油軸受は、内径面の面粗度が円周方向で均一になっており、かつ、その面粗度がRy4μm〜Ry5μmの範囲にあるものが好ましい。
【0013】
この発明においては、外周のしごき面で含油軸受の内径面をしごき加工してその内径面の表面多孔率を調整するためのコアロッドであって、高さと深さが軸方向に変化する微小凹凸を前記しごき面に有し、そのしごき面の軸方向面粗度がRy1.8μm〜Ry5μm、凸部先端の円周方向面粗度がRy1μm以下になっている含油軸受製造用コアロッドも提供する。
【0014】
また、材料となす棒材の外周に砥石を当て、前記棒材を一方向に、前記砥石を棒材とは反対方向に各々回転させ、さらに砥石に棒材長手方向の送りをかけて外周のしごき面に螺旋状の送りマークが生じたコアロッドを作製する含油軸受製造用コアロッドの製造方法と、
有効多孔率が15〜35%である含油軸受の内径孔に、d(孔の内径)<Dc (コアロッドのしごき部外径)の条件を満たす上述したコアロッドを通して内径面の表面多孔率を目標範囲に調整する含油軸受の製造方法も併せて提供する。
【0015】
【作用】
この発明の含油軸受は、有効多孔率が15〜35%の場合に従来30%を超える内径面の表面多孔率を10〜30%に低下させており、内径面(軸受面)の空孔減少により潤滑油の粘度が熱で低下しても内径面に確実に油膜が形成されて安定した潤滑がなされ、支持した回転軸を高温下で起動するときのノイズ発生の問題が無くなる。
【0016】
また、この発明の含油軸受は、内径面の表面多孔率を全周に渡って調整しているので、取り付けに方向性が生じない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。図1、図2の1はこの発明の含油軸受である。この含油軸受1は、自動車のサンルーフ用モータ、ドアクローザ用モータなどに採用される。
【0018】
この含油軸受1は、例えば、Cu−Sn−P−MoS2 系焼結合金によって構成されており、有効多孔率は15〜35%になっている。また、内径面2は表面多孔率の低減処理がなされてその内径面2の表面多孔率が10〜30%になっている。なお、有効多孔率と表面多孔率は先に述べた式によって定義される。
【0019】
本来なら30%を超える内径面2の表面多孔率は、粉末成形後或いは焼結後に行うサイジング時に、図3に示すようなサイジング用のコアロッド3でしごき加工して10〜30%に低下させることができる。コアロッド3でしごき加工した内径面2の面粗度は、軸方向及び円周方向で均一になる。
【0020】
このしごき加工に利用するコアロッド3は、深さ、高さが軸方向に変化する図4に示すような微小凹部4と微小凸部5をしごき面(外周面)6に有し、そのしごき面6の軸方向面粗度がRy1.8μm〜Ry5μm、凸部5の先端の円周方向面粗度がRy1μm以下になっているものが好ましい。
【0021】
その要求を満たすコアロッド3を用いて内径面2のしごき加工を行うと、内径面2の面粗度はRy4μm〜Ry5μmの範囲に制御され、好ましい含油軸受1が得られる。
【0022】
なお、しごき加工後の内径面2の表面多孔率は、10%以上で常温時に内径面に形成される油膜が不足せず、常温での起動時にノイズ発生が抑えられる。また、その表面多孔率が30%以下で、従来の含油軸受と比較して高温起動時にノイズが発生し難い。
【0023】
しごき面6の軸方向面粗度がRy1.8μm〜Ry5μm、凸部5の先端の円周方向面粗度がRy1μm以下になっているコアロッドは、図5に示すように、材料となす棒材7の外周に砥石8を当て、棒材7を一方向に、砥石8を棒材7とは反対方向に各々回転させ、さらに砥石8に棒材長手方向の送りをかけてしごき面6を研磨加工する方法を採ると容易に効率良く作製することができる。この方法で得られるコアロッドは、しごき面6に螺旋状の送りマーク(図4の凹凸4、5)が生じたものになるが、波形の微小凹凸が環状に形成されたようなコアロッドを使用してもよい。
【0024】
コアロッド3は、軸受の内径をd、コアロッドのしごき部の外径をDc としたとき、d<Dc の関係を満たすものを用いる。これを有効多孔率が15〜35%の含油軸受の内径孔に通して内径面の表面多孔率を目標範囲に調整する。このときのしごき代は1%程度(Dc =d+0.01d)がよい。
【0025】
−実施例−
Cu−Sn−P−MoS2 系焼結合金によって構成される、内径φ6.5mm、外径φ10mm、長さ7mm、有効多孔率18%の含油軸受を試作した。この含油軸受は、しごき面を粗面化したコアロッドを用いてこの発明の方法で内径面をしごき加工しており、内径面の表面多孔率が12%(加工前の表面多孔率は36%)になっている。
【0026】
この含油軸受の温度80℃での静止摩擦係数は0.11、動摩擦係数は0.03であった。
【0027】
内径面の表面多孔率が36%のままの場合の静止摩擦係数は0.14、動摩擦係数は0.08であり、内径面の表面多孔率を低下させることの有効性を確認できた。
【0028】
図6に、内径面の表面多孔率と動摩擦係数の、温度25℃と80℃における関係の調査結果を示す。
【0029】
内径面の表面多孔率は、10%〜30%、より好ましくは15%〜25%であることがこの調査結果によく現れている。
【0030】
図7は、サイジング用コアロッドのしごき面の軸方向面粗さとこのコアロッドでしごいた内径面の表面多孔率の関係を示している。図中◆は、図5で述べた方法によりしごき面を螺旋状の送りマークが生じるように投影研磨(拡大投影して行う研磨)した発明品のコアロッド使用時のデータ、□はしごき面を放電加工で滑らかに仕上げた一般的なコアロッド(比較品)使用時のデータである。コアロッドは発明品、比較品ともしごき代1%のものを使用した。
【0031】
この図7から、しごき面の軸方向面粗さをRy1.8μm〜5μmより好ましくはRy3μm〜5μmにしたこの発明のコアロッドを使用すれば軸受の内径面の表面多孔率を好ましいとした範囲に調整し得ることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明の含油軸受は、有効多孔率が15〜35%の軸受の内径面の表面多孔率を10〜30%にしたので、高温下で使用しても軸受面となる内径面に油膜が形成され、回転軸の潤滑が良好になされて高温下で回転軸を起動するときにノイズが発生しなくなる。
【0033】
また、この発明のコアロッドは、しごき面の軸方向面粗さを粗くしており、含油軸受の内径面の表面多孔率をサイジング時に上記の数値範囲に調整することができる。
【0034】
このコアロッドを、図5で述べた方法で作製するこの発明のコアロッド製造方法によれば、高さ、深さが軸方向に変化した微小凹凸をしごき面に簡単に効率良く付すことができる。
【0035】
このほか、この発明の含油軸受の製造方法は、コアロッドを通すだけで内径面の表面多孔率を所望範囲に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の含油軸受の一例を示す斜視図
【図2】同上の軸受の断面図
【図3】内径面の表面多孔率の調整に用いるこの発明のコアロッドの一例の側面図
【図4】図3のコアロッドのしごき面の拡大断面図
【図5】図3のコアロッドの製造方法を示す図
【図6】内径面の表面多孔率と動摩擦係数の関係を示す図
【図7】コアロッドのしごき面の軸方向面粗さと内径面の表面多孔率の関係を示す図
【符号の説明】
1 含油軸受
2 内径面
3 コアロッド
4 凹部
5 凸部
6 しごき面
7 棒材
8 砥石
Claims (5)
- 下式で表される有効多孔率が15〜35%、内径面の表面多孔率が10〜30%である含油軸受。
有効多孔率=B/A×100 A:(含油重量−非含油重量)
B:(大気下重量−水中重量)×油の比重
表面多孔率=(内径面の空孔面積/内径面の全体面積)×100 - 内径面の面粗度が円周方向で均一になっており、かつ、その面粗度がRy4μm〜Ry5μmの範囲にある請求項1に記載の含油軸受。
- 外周のしごき面で含油軸受の内径面をしごき加工してその内径面の表面多孔率を調整するためのコアロッドであって、高さと深さが軸方向に変化する微小凹凸を前記しごき面に有し、そのしごき面の軸方向面粗度がRy1.8μm〜Ry5μm、凸部先端の円周方向面粗度がRy1μm以下になっている含油軸受製造用コアロッド。
- 材料となす棒材の外周に砥石を当て、前記棒材を一方向に、前記砥石を棒材とは反対方向に各々回転させ、さらに砥石に棒材長手方向の送りをかけて外周のしごき面に螺旋状の送りマークが生じたコアロッドを作製する含油軸受製造用コアロッドの製造方法。
- 有効多孔率が15〜35%である含油軸受の内径孔に、d(孔の内径)<Dc (コアロッドのしごき部外径)の条件を満たす請求項3に記載のコアロッドを通して内径面の表面多孔率を調整する請求項1に記載の含油軸受の製造方法。
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JP2003174189A JP2005009573A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 含油軸受、含油軸受製造用コアロッド及び含油軸受の製造方法 |
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JP2016172900A (ja) * | 2015-03-17 | 2016-09-29 | Ntn株式会社 | 焼結軸受の製造方法および焼結軸受 |
US10697496B2 (en) | 2015-03-17 | 2020-06-30 | Ntn Corporation | Sintered bearing |
CN113357267A (zh) * | 2020-03-04 | 2021-09-07 | 马勒国际有限公司 | 滑动轴承、滑动轴承的制造方法、具有滑动轴承的内燃机和具有滑动轴承的电机 |
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2003
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