JP2005147201A - 焼結含油軸受と焼結含油軸受の製造方法 - Google Patents

焼結含油軸受と焼結含油軸受の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低トルク、低摩擦係数である焼結含油軸受とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 軸体を回転可能に軸支する摺動受け面3が形成された軸受本体12の油孔16に、潤滑油を含油処理してなる焼結含油軸受11について、摺動受け面3に表出する油孔16を残しながら、該摺動受け面3に固体潤滑剤含有金属層15を形成した。そのため、摺動受け面3から潤滑油が軸受11内外に出入りして軸受11と軸体の界面に油膜が形成されるという特徴を損ねることなしに、摩擦係数が小さくて、耐摩耗性に優れた焼結含油軸受11を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は焼結含油軸受と焼結含油軸受の製造方法に関する。
金属粉を焼結させて得る焼結体の多孔性を利用して、容積比で10〜30%の油(潤滑油)を含浸させて自己給油の状態で使用する焼結含油軸受は、通常の軸受が油切れを起こせば直ちに焼付けを起こすのに対し、すでに発煙している状態であっても焼付くことなく運転できるという優れた特徴を有している。
焼結含油軸受(以下「軸受」ともいう)がこうした特徴を有するのは、軸受内に無数の油孔を有していることに基づく。一般的な焼結含油軸受の作動原理を図8に基づいて説明する。軸受1中を軸体2が矢示方向Rに回転すると、ポンプの吸い込み作用と同様に、ポーラスな軸受1の油孔に含有されている潤滑油が、軸体2と、軸受1の摺動受け面3との間の界面に滲み出てくる。滲み出てきた潤滑油4は、軸体2の回転力によって界面に矢示方向Rへくさび状に引込まれて油膜を形成し潤滑効果を発揮するが、その一部は軸体2からの押圧力を受けて再び軸受1の油孔へと押し戻される。このような作動を連続的に繰返すことで、潤滑油4は軸受1の内側を循環する。
こうした潤滑油の循環作用をもつ軸受1の最大の利点は潤滑油をつぎ足すことなく使用できることであり、自動車や土木機械等だけでなく、家庭用機器、事務機など、環境的又は機構的に十分な給油が望めない箇所において広く用いられ、近年においては、末端ユーザー向けのOA機器、音響機器等のディスクドライブに備えるモーター軸受として、また小型のファンモーター軸受や、各種テープ走行補助用のピンチローラ用軸受としての利用も盛んである。
このような焼結含油軸受が記載された公報には特許文献1、2などがある。
特開2003−156044号公報 特開平9−95759号公報
焼結含油軸受が用いられるOA機器や音響機器等のディスクドライブなどは、近年、益々高速化や低価格化が要求されてきており、焼結含油軸受としても、低トルク、低摩擦係数である製品特性が要求されるようになってきている。
そこで、本発明は、トルクの発生が少なく、消費電力量が少ない焼結含油軸受を得ることを目的とする。また、本発明は、そのような焼結含油軸受の製造方法を得ることを目的とする。
上記目的を達成すべく本発明は、軸体を回転可能に軸支する摺動受け面が形成された軸受本体の油孔に、潤滑油を含油処理してなる焼結含油軸受について、前記摺動受け面に表出する油孔を残しながら、該摺動受け面に固体潤滑剤含有金属層が形成されていることを特徴とする焼結含油軸受を提供する。
本発明は、摺動受け面に表出する油孔を残しているため、摺動受け面に固体潤滑剤含有金属層が形成されているにもかかわらず、摺動受け面から潤滑油が軸受内外に出入りして軸受と軸体の界面に油膜が形成されるという焼結含油軸受の特徴を損ねることがない。そして、摺動受け面に固体潤滑剤含有金属層を形成しているため、摩擦係数が極めて小さく、耐摩耗性に優れた焼結含油軸受である。
固体潤滑剤含有金属層については、固体潤滑剤としてフッ素樹脂を含有させた固体潤滑剤含有金属層とすることができる。フッ素樹脂を用いたため、摩擦係数の低減効果に優れ、軸体に発生するトルク値を軽減させることができる。また、金属としてはニッケルを含有させた固体潤滑剤含有金属層とすることができる。ニッケルを用いたため、固体潤滑剤含有金属層の形成が容易であり、また、鉄よりは摩擦係数低減効果に優れ、銅よりは安価である。
また、軸受本体をFe系焼結体で製造することができる。Fe系焼結体を用いたため、Cu系焼結体を用いる場合等に比べて焼結含油軸受の単価を安くすることができ、また、軸受の強度を高くすることができる。
本発明の焼結含油軸受は、固体潤滑剤含有金属層中の固体潤滑剤と金属との容積比が、7:3〜4:6である。固体潤滑剤含有金属層の固体潤滑剤と金属との容積比を、7:3〜4:6としたため、潤滑油を含油した状態で、摩擦係数が小さくなり、長時間の作動に対しても品質の劣化が生じない耐摩耗性に優れた焼結含油軸受とすることができる。
摺動受け面のうち、油孔部分の面積が20%〜60%とすることができる。摺動受け面のうち油孔部分の面積を20%〜60%としたため、摺動受け面を介して軸受の内外に潤滑油が出入りでき、焼結含油軸受としての特性が損なわれることなく、摩擦係数の小さな焼結含油軸受とすることができる。
固体潤滑剤含有金属層の層厚は1.0μm〜10.0μmとすることができる。層厚が1.0μm〜10.0μmとたいへん薄いため、固体潤滑剤含有金属層となる原材料の使用量が少なくて済み安価な焼結含油軸受とすることができる。
さらに、軸体を回転可能に軸支する摺動受け面が形成された軸受本体の油孔に、潤滑油を含油処理してなる焼結含油軸受の製造方法について、焼結して得た軸受本体をサイジングして、摺動受け面に表出させるべき所望の平均孔径となる油孔よりも大きな平均孔径を有する油孔を該摺動受け面に形成し、該摺動受け面に固体潤滑剤含有金属層を設けるとともに、該固体潤滑剤含有金属層にて前記油孔の縁を覆って、該摺動受け面に前記所望の平均孔径となるよう油孔を形成することを特徴とする焼結含油軸受の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、焼結して得た軸受本体をサイジングして、摺動受け面に表出させるべき所望の平均孔径となる油孔よりも大きな平均孔径を有する油孔を該摺動受け面に形成し、該摺動受け面に固体潤滑剤含有金属層を設けるとともに、該固体潤滑剤含有金属層にて前記油孔の縁を覆って、該摺動受け面に前記所望の平均孔径となる油孔を形成したため、固体潤滑剤含有金属層が設けられているにも関わらず、摺動受け面に十分な油孔を確保することができる。よって、固体潤滑剤含有金属層を形成しながら、潤滑油の流動性を害することがなく焼結含油軸受として潤滑特性を損ねることのない軸受を製造することができる。
本発明の焼結含油軸受によれば、摺動摩擦や軸体の回転トルクを低減させることができ、また耐摩耗性に優れ連続運転による摩擦係数変化が少ない。そのため、ころ軸受に近い耐久性、低摩擦性を備え、焼結含油軸受が用いられなかったような、軸受に対する負荷荷重の大きな工作機械等に対しても利用することができる。また、モータ等にかかる消費電力を抑制することができることから、経済性が向上し、動力源の電池等の使用量を減らすことができ、廃棄物削減という環境問題解決にも貢献することができる。
また、本発明の焼結含油軸受の製造方法によれば、上述の低摩擦性で耐摩耗性に優れた焼結含油軸受を簡単に製造することができる。
以下、本発明の焼結含油軸受の実施形態について図面に基づいて説明する。図1には、円筒形状をした本発明の焼結含油軸受の縦断面図を示し、図2にはその焼結含油軸受の横断面図を示した。また、図3には、その焼結含油軸受の内径面の拡大断面を模式的に示すとともに、図4には、この内径面の断面写真を示した。焼結含油軸受11は、焼結体でなる軸受本体12の内径面13が、駆動モータの軸体(図示せず)を軸支する摺動受け面14となっている。そして、少なくとも摺動受け面14の表面には、固体潤滑剤含有金属層15が形成されている。
焼結含油軸受11の軸受本体12は、一般的な粉末冶金法により製造される焼結体であり、種々の金属粉を原材料に用いることができる。例えば、鉄粉、銅粉、鉄粉と銅粉の混合粉、又はその他の金属の混合粉、これらの金属粉に黒鉛粉、すず粉、亜鉛粉、鉛粉等を加えたもの、あるいは他の合金粉を加えたものが挙げられる。合金粉には、鉄系の合金粉、例えば、Fe−C、Fe−Pb−C、Fe−Cu−C合金等の鉄含量が50%以上の合金粉や、銅系の合金粉、例えば、Cu−Sn、Cu−Sn−C、Cu−Sn−Pb−C合金等の銅含量が50%以上の合金粉が挙げられる。一般的に、鉄系の合金は、機械的強度が強く、硬度が高く、安価であるという利点を有し、銅系の合金は、潤滑特性に優れるという利点を有する。これらの金属粉の中でも、製造単価を安くして、機械的強度を高くする観点からは、Fe系金属粉を用いることが好ましい。軸受本体12にFe系金属粉からなる焼結体を用いても、摺動受け面14には固体潤滑剤含有金属層15を形成しているため、軸受本体12の摩擦係数を問題にする必要がないからである。軸受本体12は、このような金属粉を圧縮、焼結して形成されるため、気孔(油孔)を有し、その気孔内に潤滑油を含油することができるようになっている。
摺動受け面14には、潤滑油が出入りするための油孔16が表面に表出した状態を保ったままで、固体潤滑剤含有金属層15が形成されている。そして、気孔のなかでも小さな気孔16aは、固体潤滑剤含有金属層15が孔内に充填されて孔が潰され油孔16として機能しなくなっている。しかしながら、全ての気孔が被覆されているわけではなく、大きな気孔16bは、油孔16として残されている。すなわち、気孔16bは、その縁が固体潤滑剤含有金属層15で覆われて、固体潤滑剤含有金属層15形成前に比べて孔径は小さくなってはいるが、所望の大きさの孔径を有する油孔16として残存している。図5、図6には内径面13表面の顕微鏡写真を示す。図5で示したように、固体潤滑剤含有金属層15を形成する前は、大小種々の大きさの気孔が表出している様子がわかる。一方、図6で示したように、固体潤滑剤含有金属層15を形成した後は、小さな気孔はなくなり、所定の大きさの気孔が油孔16として残っている様子がわかる。
固体潤滑剤含有金属層15は、軸受本体12の表面を覆う被覆層である。軸受本体12の全表面を覆う必要はないが、少なくとも摺動受け面14となる内径面13には固体潤滑剤含有金属層15が形成されることが必要である。この固体潤滑剤含有金属層15は、グラファイト、窒化ホウ素、二流化モリブデンや、ポリフッ化エチレン等のフッ素系樹脂などの固体潤滑剤と、Cu、Fe、Niなどの純金属やこれらの金属の合金などの金属との混合層である。固体潤滑剤と金属との割合は、容量比で、7:3〜4:6であることが好ましく、6:4〜5:5であることがより好ましい。7:3〜4:6の割合よりも固体潤滑剤の割合を多くすると、摩擦係数は下がるが、強度が弱くなり、また摺動受け面14に表出する適当な大きさの油孔16を残すことが困難となるからである。反対に、金属の割合を多くすると、強度が強くなるが、摩擦係数が大きくなるからである。固体潤滑剤の中では、フッ素樹脂を用いることが好ましい。摩擦係数低減効果に優れ、金属とのなじみ性も良く、耐摩耗性にも優れているからである。また、金属としてはNiを用いることが好ましい。Cuなどに比べて安価であり、Feのように硬くはないからである。
この固体潤滑剤含有金属層15の厚さは、要求する摩擦係数の大きさや、耐摩耗性等により変化するが、1.0μm〜10.0μmが好ましく、2.0μm〜5.0μmがより好ましい。薄すぎると寿命の面で安全性に欠け、また、厚すぎると不経済であり、油孔16の孔径の制御が困難になるからである。
摺動受け面14のうち、油孔16の部分の面積は、好ましくは20%〜60%、より好ましくは30%〜40%である。この部分の面積が小さすぎても、大きすぎても、軸体と焼結含油軸受11との間に好ましい油膜が形成されにくくなるからである。また、油孔16の平均孔径は20μm〜70μmであることが好ましい。20μmよりも小さくするには、原料金属粉を小さくする必要があり、また固体潤滑剤含有金属層15の形成が困難となるからである。また、70μmよりも大きくすると、軸体と焼結含油軸受11との間に好ましい油膜が形成されにくくなるからである。
次に、この焼結含油軸受11の製造方法について説明する。焼結含油軸受11の軸受本体12を一般的な粉末冶金による方法を利用して形成する。例えば、まず原料となる金属粉を混合し、金型内に充填して、プレス機にて圧縮する。これを焼結炉で焼結する。そして、得られた焼結体をサイジング(第1次サイジング)して所定の形状の軸受本体12を得る。次に、少なくとも軸受本体12の内径面13に、蒸着、塗装、めっき、浴浸漬などの方法によって固体潤滑剤含有金属層15を形成する。その後、再びサイジング(第2次サイジング)して寸法や油孔密度、油孔径を調整した後、焼成工程を経て、洗浄、油含浸等の後処理工程を順次行って、焼結含油軸受11を得る。
第1次サイジングの際には、摺動受け面14に表出させる所望の大きさの油孔16よりも大きな孔径を有する油孔を、摺動受け面14に有するように、表面を粗く形成しておく。こうすることにより、次段階で固体潤滑剤含有金属層15を設けたときに、孔径の小さな油孔は塞がれてしまっても、孔径の大きな油孔は、油孔の縁が固体潤滑剤含有金属層15で覆われて、所望の大きさの孔径を有する油孔16となるようにしている。
このようにして形成された焼結含油軸受11は、固体潤滑剤含有金属層15を形成しない従来タイプの焼結含油軸受と同等の油孔16を有し、焼結含油軸受11内における潤滑油の挙動は、従来タイプの焼結含油軸受に比べて劣ることはない。
また、焼結含油軸受11の摺動受け面14と軸体とが、いわゆる「境界潤滑」と呼ばれる潤滑油膜を介する状態にありながら、いわゆる「流体潤滑」とよばれる軸受と軸体とが全く接触しない状態にある潤滑状態と同様な摩擦係数を得ることができる。
以下実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
浸漬法: 鉄銅合金粉(鉄:銅=9:1(重量比))を圧縮成形して得た円筒状(内径×外形×全長=2mm×5mm×3mm)の圧粉体に対して、水素雰囲気焼結炉にて850℃、20分間の条件で焼結を行った。得られた焼結体に第1次サイジングを行ったのち、微粒フッ素樹脂とニッケルを含む浸漬浴に漬け、引き出した後、350℃にて熱処理して焼結体の内径面(13)を含む全表面に固体潤滑剤含有金属層(15)を形成した。さらに第2次サイジングを行い、200℃〜350℃での焼成を行った。最後にいくつかの試料には潤滑油(40♯の合成油HS−56)含浸を行った。こうして、焼結軸受である各試料を作製した。なお、浸漬浴には、微粒フッ素樹脂とニッケルとの混合割合を変えた数種類の浸漬浴を準備した。また、比較のため、ニッケルを含まない浸漬浴も準備した。得られた各試料の有効多孔率は35%であった。また、固体潤滑剤含有金属層(15)におけるフッ素樹脂とニッケル金属との容量比が5:5のものを試料11、7:3のものを試料12、8:2のものを試料13、ニッケル金属を含まずフッ素樹脂だけで固体潤滑剤含有金属層(15)に相当する被覆層を形成したものを試料14とした。なお、試料14のうち、潤滑油を含油させたものを試料14aとし、潤滑油を含油させなかったものを試料14bとした。
めっき法: 固体潤滑剤含有金属層(15)を次のようにして形成した以外は、浸漬法で固体潤滑剤含有金属層(15)を形成した上記の場合と同様にして焼結軸受である各試料を作製した。すなわち、微粒フッ素樹脂とニッケルを含むめっき浴を用いてめっきにて焼結体の内径面(13)を含む全面に固体潤滑剤含有金属層(15)を形成し350℃にて熱処理した。なお、めっき浴には、微粒フッ素樹脂とニッケルとの混合割合を変えた数種類のめっき浴を準備した。得られた各試料の有効多孔率は35%であった。また、固体潤滑剤含有金属層(15)におけるフッ素樹脂とニッケル金属との容量比が3:7のものを試料21、6:4のものを試料22、7:3のものを試料23とした。なお、試料22のうち、潤滑油を含油させたものを試料22aとし、潤滑油を含油させなかったものを試料22bとした。
噴霧法: 固体潤滑剤含有金属層(15)を次のようにして形成した以外は、浸漬法で固体潤滑剤含有金属層(15)を形成した上記の場合と同様にして焼結軸受である各試料を作製した。すなわち、微粒フッ素樹脂とニッケルを含む塗液を用いて焼結体の内径面(13)に該塗液を噴霧して固体潤滑剤含有金属層(15)を形成し350℃にて熱処理した。なお、塗液には、フッ素樹脂とニッケルとの混合割合を変えた数種類の塗液を準備した。得られた各試料の有効多孔率は35%であった。また、固体潤滑剤含有金属層(15)におけるフッ素樹脂とニッケル金属との容量比が4:6のものを試料31、5:5のものを試料32、8:2のものを試料33とした。
さらに、比較のために、銅系合金粉(鉄:銅=3:7(重量比))を用いて、軸受本体(12)を作製し、固体潤滑剤含有金属層(15)を有せず、有効多孔率は上記試料と同一の35%とした試料41を作製した。なお、試料41のうち、潤滑油を含油させたものを試料41aとし、潤滑油を含油させなかったものを試料41bとした。
トルク試験:上記各試料の焼結軸受を硬質樹脂製のブラケットにそれぞれ装着してトルク試験を行った。ブラケットに装着した各試料に対し、クリアランスが3μmとなるステンレス製の面粗さ0.2Sである軸体を通し、軸体を回転させて運転トルクを測定した。運転トルクの測定は、軸体にかかる周速(V値)を18.82m/min.;軸受にかかる面圧を8.32kg/cm;試験環境は25±1℃として行った。
トルク試験の結果については、試料22aと試料41aについての運転時間とトルク値、および摩擦係数との関係を図7に示した。また、上記各試料について、1時間、10時間、100時間、1500時間回転させた際の摩擦係数を表1に示した。
図7で示したように、従来型の銅系合金で作製して固体潤滑剤含有金属層(15)を設けない試料41aの焼結含油軸受は、摩擦係数が0.078であり、トルク値も3.8g・cmであるのに対し、鉄系の軸受本体(12)を用いながら固体潤滑剤含有金属層(15)を設けた試料22aの焼結含油軸受(11)は、摩擦係数が0.028、トルク値も1.3g・cmであり、摩擦係数、トルク値の軽減に効果的であることがわかる。また、2000時間運転してもトルク値、摩擦係数ともに上昇することはなく、耐摩耗性についても優れていることがわかる。
また、表1より、固体潤滑剤含有金属層(15)の固体潤滑剤(フッ素樹脂)と金属(ニッケル)との割合は7:3〜4:6の間では摩擦係数が0.05以下と低く、また、長時間運転後(1500h)であっても摩擦係数の変化がないことがわかる。
さらに、表1より、固体潤滑剤だけで固体潤滑剤含有金属層(15)に相当する被覆層を形成した試料14では、潤滑油を含ませた給油の状態で試験した試料14aであっても、潤滑油がない無給油の状態で試験した試料14bであっても、摩擦係数はかなり小さく、摩擦係数低減効果は優れるものの、長時間運転によって摩擦係数が上昇するため、耐摩耗性に問題があることがわかる。一方、固体潤滑剤と金属とを所定の割合で混合した試料のうち、無給油の状態で試験した試料22bでは、固体潤滑剤が含まれていても測定できないほど摩擦係数が大きかったが、給油の状態で試験した試料22aでは、摩擦係数の低減効果があるばかりでなく、長期運転を行っても摩擦係数の変化がなく、耐摩耗性に優れていることがわかる。
本発明の焼結含油軸受の断面図である。 図1で示した焼結含油軸受のSA−SA線断面に相当する横断面図である。 図1の焼結含油軸受の内径面の拡大断面を示した模式図である。 本発明の焼結含油軸受内径面の拡大写真である。 固体潤滑剤含有金属層形成前の図1で示した焼結含油軸受の内径面表面の拡大写真である。 固体潤滑剤含有金属層形成後の図1で示した焼結含油軸受の内径面表面の拡大写真である。 トルク試験の結果を示すグラフである。 軸体と焼結含油軸受の断面で示した焼結含油軸受の作動原理説明図である。
符号の説明
1 焼結含油軸受
2 軸体
3 摺動受け面
4 潤滑油
11 焼結含油軸受
12 軸受本体
13 内径面
14 摺動受け面
15 固体潤滑剤含有金属層
16 油孔

Claims (8)

  1. 軸体を回転可能に軸支する摺動受け面が形成された軸受本体の油孔に、潤滑油を含油処理してなる焼結含油軸受において、
    前記摺動受け面に表出する油孔を残しながら、該摺動受け面に固体潤滑剤含有金属層が形成されていることを特徴とする焼結含油軸受。
  2. 固体潤滑剤含有金属層がフッ素樹脂含有金属層である請求項1記載の焼結含油軸受。
  3. 固体潤滑剤含有金属層が固体潤滑剤含有ニッケル層である請求項1または請求項2記載の焼結含油軸受。
  4. 軸受本体がFe系焼結体でなる請求項1〜請求項3何れか1項記載の焼結含油軸受。
  5. 固体潤滑剤含有金属層中の固体潤滑剤と金属との容積比が、7:3〜4:6である請求項1〜請求項4何れか1項記載の焼結含油軸受。
  6. 摺動受け面のうち、油孔部分の面積が20%〜60%である請求項1〜請求項5何れか1項記載の焼結含油軸受。
  7. 固体潤滑剤含有金属層の層厚が1.0μm〜10.0μmである請求項1〜請求項6何れか1項記載の焼結含油軸受。
  8. 軸体を回転可能に軸支する摺動受け面が形成された軸受本体の油孔に、潤滑油を含油処理してなる焼結含油軸受の製造方法において、
    焼結して得た軸受本体をサイジングして、摺動受け面に表出させるべき所望の平均孔径となる油孔よりも大きな平均孔径を有する油孔を該摺動受け面に形成し、
    該摺動受け面に固体潤滑剤含有金属層を設けるとともに、該固体潤滑剤含有金属層にて前記油孔の縁を覆って、該摺動受け面に前記所望の平均孔径となる油孔を形成する
    ことを特徴とする焼結含油軸受の製造方法。

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