JP2005009423A - 排気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストを抑えつつ、低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の騒音を効果的に低減させることができる排気装置を提供する。
【解決手段】マフラ5おける排気の下流側端部に設けられ、貫通孔7が穿設されるとともに、排気出口配管54を貫通保持するバッフル部56と、一端が排気出口配管54を囲むようにバッフル部56周縁部と接続されるテーパ部57と、テーパ部57の他端と接続され、排気出口配管54を覆うストレート部58とを有する騒音抑制手段59を設けるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】マフラ5おける排気の下流側端部に設けられ、貫通孔7が穿設されるとともに、排気出口配管54を貫通保持するバッフル部56と、一端が排気出口配管54を囲むようにバッフル部56周縁部と接続されるテーパ部57と、テーパ部57の他端と接続され、排気出口配管54を覆うストレート部58とを有する騒音抑制手段59を設けるようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のエンジンまたは圧縮機にて発生した排気を大気中に排出するとともに、前記排気に起因する騒音を低減する排気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、排気装置においては、排気を排出する際に生じる騒音の低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の消音を実現するべく、制御機構を用いる様々な技術が提案されてきている。
【0003】
例えば特許文献1には、排気の出口側配管(すなわち、排気出口管)を二重構造にして内側の配管に制御バルブを設け、この制御バルブをモータやアクチュエータ等により、エンジンまたは圧縮機の低回転時(すなわち、排気の低流量時)は閉状態にして排気における低周波数域成分を減衰させ、高回転時(すなわち、排気の高流量時)は開状態にして排気における高周波数域成分(例えば、気流音)の低減を図るように、排気の流れおよび騒音の制御を行う技術が開示されている。
【0004】
また、この他にも前記モータやアクチュエータの代わりに、排出する排気の圧力を用いて前記制御バルブを開閉し、排気の流れおよび騒音を制御する排圧感応型などが知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−299473号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の技術や上述の排圧感応型の制御技術では、それぞれ制御構造が付加されていることから、生産コスト面での増加につながる問題があり、特に特許文献1の技術では、モータやアクチュエータにおける部品点数が多いため、コストアップが顕著である。
【0007】
また、排圧感応型においても、排気の圧力により制御バルブを開閉させる構造であることからスプリングが用いられており、このスプリングに耐食性向上を図るべくインコネル等の高級材料を使用する要求があるため、やはり生産コスト面での増加を招く問題がある。
【0008】
これに加えて、このような制御機構を用いた技術では、制御バルブの開状態時においても当該制御バルブが存在することにより、この制御バルブ部分において気流音等の騒音が生じるとともに、この制御バルブ部分における圧力損失が増加してしまう問題がある。
【0009】
さらに、この制御機構を用いた技術では、制御バルブが閉状態から開状態へ移行する際に、排気の騒音レベルが急激に変化するため、3〔dB〕以上も騒音レベルに変化が生じた場合、ドライバによっては異音の発生と感じたり、不快感を訴えたりするおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、コストを抑えつつ、低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の騒音を効果的に低減させることができる排気装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1にあっては、エンジンまたは圧縮機にて発生した排気を大気中に排出するためのマフラと、このマフラに接続され上記エンジンまたは圧縮機から上記排気を導くチューブ部材とを有し、上記マフラに上記チューブ部材と連通する排気入口配管と、上記排気を大気中に排出する排気出口配管とを設けた排気装置において、上記マフラにおける上記排気の下流側端部に設けられ、貫通孔が穿設されるとともに、上記排気出口配管を貫通保持するバッフル部と、一端が上記排気出口配管を囲むように上記バッフル部周縁部と接続されるテーパ部と、上記テーパ部の他端と接続され、上記排気出口配管を覆うストレート部とを有する騒音抑制手段を具えるようにしたことを特徴としている。
【0012】
請求項2にあっては、上記騒音抑制手段のストレート部が、上記排気出口配管における上記排気の下流側端部よりも長く形成されるようにしたことを特徴としている。
【0013】
請求項3にあっては、上記騒音抑制手段のバッフル部が、上記貫通孔を複数穿設されてなるようにしたことを特徴としている。
【0014】
請求項4にあっては、上記騒音抑制手段のテーパ部が、なめらかな傾斜をもって上記ストレート部へ接続されてなるようにしたことを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】
請求項1によれば、マフラにおける排気の下流側端部に設けられ、貫通孔が穿設されるとともに、排気出口配管を貫通保持するバッフル部と、一端が排気出口配管を囲むようにバッフル部周縁部と接続されるテーパ部と、テーパ部の他端と接続され、排気出口配管を覆うストレート部とを有する騒音抑制手段を設けたことにより、エンジンまたは圧縮機の低回転時、すなわち排出される排気の低流量時は、この排気の排出に起因する騒音の主成分が低周波数域の音波でなり、バッフル部の貫通孔がこの低周波数域の音波を通過させ難い性質であることから、当該音波を排気出口配管を介し、共振を低減させて大気中に放出するため、騒音レベルを減衰させることができるとともに、高回転時、すなわち前記排気の高流量時は、この排気の排出に起因する騒音の成分における低周波数域の音波を、前記低回転時と同様に排気出口配管を介して大気中に放出する一方、中・高周波数域の音波を、バッフル部の貫通孔を通過させて分流させるとともに、テーパ部およびストレート部を介して拡散させて大気中に放出するため、気流音および圧力損失を低減させることができる。
【0016】
しかも、この騒音抑制手段は、制御バルブ等を用いることのない簡易な構成で実現することができるので、コストを抑えつつ、排気による低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の騒音を効果的に低減させることができる排気装置を提供することができる。
【0017】
請求項2によれば、騒音抑制手段のストレート部が、排気出口配管における排気の下流側端部よりも長く形成されるようにしたことにより、このストレート部内の排気出口配管から吐出される排気に起因した高周波数域の騒音、すなわち気流音を、排気出口配管よりも径の大きいストレート部にて拡散させて低減させることができるため、より効果的に騒音レベルを減衰させることができる。
【0018】
請求項3によれば、騒音抑制手段のバッフル部が、貫通孔を複数穿設されてなるようにしたことにより、バッフル部に対して所望する貫通孔の開口率を、複数の貫通孔によって実現することができる分、貫通孔が単数でなるバッフル部に比較して、バッフル部としての剛性を確保することができるとともに、これら貫通孔を通過することによる排気の整流効果を向上させることができる。
【0019】
請求項4によれば、騒音抑制手段のテーパ部が、なめらかな傾斜をもって上記ストレート部へ接続されてなるようにしたことにより、このテーパ部における流れの剥離を防止し、当該剥離に起因した渦の発生を回避することができるため、排気が排出されることにより生じる気流音および、この排気の圧力損失をより効果的に低減させることができ、騒音における高周波数域成分の低減効果をより一層向上することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳述する。
【0021】
図1〜図3は、本発明にかかる排気装置の一実施形態を示し、図1は本発明にかかる排気装置の全体構成図、図2は図1におけるマフラの断面図、図3は図2におけるI−I断面図である。
【0022】
図1は本発明の排気装置全体を示し、1は排気チューブ、2は図外のエンジンにおける各シリンダまたは図外の圧縮機から排出される排気を集めて排気チューブ1へと繋ぐ鋳物エキゾーストマニホールド、3は排気中の有害な物質(例えばCO、HC、NOX等)を触媒反応によって無害な物質(例えばCO2、H2O、NO2等)に変換する触媒コンバータ、4は排気による騒音を概略的に消音するためのプリマフラ、5は前記騒音を適正な値まで低減させる本発明を適用したマフラであるリアマフラであり、それぞれ排気チューブ1によって接続されて構成されている。
【0023】
因みに、図中6はフレキシブルチューブを示し、鋳物エキゾーストマニホールド2に接続される排気チューブ1と、触媒コンバータ3と接続される排気チューブ1との間に設けられ、鋳物エキゾーストマニホールド2と触媒コンバータ3間をフレキシブルに接続可能な状態にしている。
【0024】
具体的に、リアマフラ5は所謂砲弾型の円筒形状でなり、図2に示すように、このリアマフラ5内を後述する複数の部屋に区画する第1および第2の仕切り板51、52と、排気チューブ1と連通し図外のエンジンまたは圧縮機にて生じた排気をリアマフラ5内に導く排気入口配管53と、この排気をリアマフラ5外へと導く排気出口配管54と、前記第1および第2の仕切り板51、52によって区画された部屋を中継する中継チューブ55とを有し、これら第1および第2の仕切り板51、52によって、排気入口配管53、排気出口配管54および中継チューブ55を固定保持するようになっている。
【0025】
また、この実施形態の場合、リアマフラ5における排気の下流側端部には、貫通孔7が複数穿設されるとともに前記排気出口配管54を貫通させて固定保持するバッフル部56と、一端がこの排気出口配管54を囲むようにバッフル部56周縁部と接続されるテーパ部57と、このテーパ部57の他端と接続され、排気出口配管54を覆うストレート部58とを有する騒音抑制手段としての騒音低減部59が設けられている。
【0026】
因みに、この実施形態の場合、ストレート部58は、排気出口配管54における排気の下流側端部よりも長く形成されているとともに、ストレート部58がリアマフラ5に対し、略中央部となるように配置されており、排気出口配管54はφ35〔mm〕〜φ45〔mm〕程度、ストレート部58はφ50〔mm〕〜φ75〔mm〕程度で設定されるのが、通常の乗用車へ用いられるのに好ましい口径比である。
【0027】
さらに、バッフル部56に穿設される貫通孔7の孔径および開口率は、図4に示すバッフル開口率に対する共振周波数の移動の関係を表すグラフから見てわかるように、使用するエンジンまたは圧縮機によって発生する騒音の周波数に応じた所望する減衰量に基づき設定されるようになっており、貫通孔7の孔径はガソリンを燃料とする場合、カーボン等による目詰まりを考慮した上で約φ3〔mm〕以上が好ましいが、内燃機関および不純物除去装置が上流に装着されたシステムにおいては、約φ3〔mm〕以下でも適用可能である。
【0028】
以上のように構成されたリアマフラ5では、エンジンまたは圧縮機の低回転時(すなわち、排出される排気の低流量時)、排気入口配管53を通って送給される排気を、第2の仕切り板52とバッフル部56とによって囲まれる第1の拡張室81へと導く。このとき、この排気による騒音の主成分が低周波数域の音波でなり、バッフル部56の貫通孔7がこの低周波数域の音波を通過させ難い性質であることから、この第1の拡張室81は第1の消音室として機能することなく、この音波を矢印Aで示すように中継チューブ55を介して、第1の仕切り板51によって区画された第2の拡張室82へと導いた後、矢印Bで示すように排気出口配管54を介して騒音低減部59のストレート部58、すなわちバッフル部56によって区画された第2の消音室83へと導く。
【0029】
このとき、排気出口配管54はストレート部58よりも径が細いので、低〜中間周波数域の消音が可能となるとともに、流量が少ないので気流音が悪影響を及ぼすこともない。
【0030】
このようにして、このリアマフラ5では、前記排気による騒音を、その共振を低減させて大気中に放出するため、騒音レベルを減衰させることができる。
【0031】
また、このリアマフラ5では、エンジンまたは圧縮機の高回転時(すなわち、排出される排気の高流量時)、排気入口配管53を通って送給される排気を、第2の仕切り板52とバッフル部56とによって囲まれる第1の拡張室81へと導く。このとき、この排気による騒音の成分における低周波数域の音波を、上述した低回転時と同様に排気出口配管54を介して大気中に放出する一方、中・高周波数域の音波を、矢印Cで示すようにバッフル部56の貫通孔7を通過させて分流させるとともに、テーパ部57およびストレート部58、すなわち第2の消音室83を介して拡散させて大気中に放出するため、前記排気による騒音、すなわち気流音および前記排気の圧力損失を低減させることができる。
【0032】
しかも、このリアマフラ5では騒音低減部59を、従来のような制御バルブおよびモータまたはアクチュエータ等を用いることのない簡易な構成で実現することができるので、コストを抑えつつ、排気による低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の騒音を効果的に低減させることができる。その上、この騒音低減部59はリアマフラ5における排気の下流側端部を加工するのみで実現することができるため、従来のような複雑なチューニングを不要とし、開発工数の削減を図ることもできるとともに、従来の制御バルブを用いた制御機構がない分、工法を変更することなく活用することができるので、品質上のトラブルも低減される。
【0033】
さらに、このリアマフラ5では、騒音低減部59のストレート部58が、排気出口配管54における排気の下流側端部よりも長く形成されるようにしたことにより、このストレート部58内に配設される排気出口配管54から吐出された排気に起因する高周波数域の騒音、すなわち気流音を、排気出口配管54よりも径の大きいストレート部58にて拡散させて低減させることができるため、より効果的に騒音レベルを減衰させることができる。
【0034】
なお、本発明の排気装置を上述した一実施形態を例に取って説明したが、本発明はこれに限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。
【0035】
例えば、上述した実施形態においては、テーパ部57を図2に示したように、リアマフラ5における排気の下流側端部のバッフル部56周縁部からストレート部58に向かって傾斜するように形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図2との対応部分に同一符号を付して示す図5のように、バッフル部56周縁部からストレート部58に向かって、なめらかに傾斜する(所謂、Rを付けて傾斜する)ように形成してもよい。この場合、テーパ部57にRが付く分、このテーパ部における流れの剥離を防止し、当該剥離に起因した渦の発生を回避することができるため、排気が排出されることにより生じる気流音および、この排気の圧力損失をより効果的に低減させることができ、騒音における高周波数域成分の低減効果をより一層向上することができる利点を得ることができる。
【0036】
また、上述した実施形態においては、バッフル部56に貫通孔7が複数穿設されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図3との対応部分に同一符号を付して示す図6のように、バッフル部56に対して貫通孔7を単数、すなわち1つ穿設するようにしてもよい。この場合、貫通孔7の孔径は、上述した実施形態と同様に、図4に示すバッフル開口率と共振周波数との関係をベースにマフラ構造と合わせて基本設計を行う。但し、上述した実施形態のようにバッフル部56に貫通孔7を複数穿設するようにした場合、バッフル部56に対して所望する貫通孔7の開口率を、複数の貫通孔7によって実現することができる分、貫通孔7が単数でなるバッフル部56に比較して、バッフル部56としての剛性を確保することができるとともに、これら貫通孔7を通過することによる排気の整流効果を向上させることができる利点を得ることができる。
【0037】
さらに、上述した実施形態においては、リアマフラ5が砲弾型の円筒形状でなるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、リアマフラ5としては、この他、扁平形状等の種々の形状においても同様の効果を奏し、広く適用することができる。
【0038】
さらに、上述した実施形態においては、リアマフラ5に対し、ストレート部58が略中央部となるように配置された場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ストレート部58の配置位置としては、テーパ部57の他端と接続される配置位置であれば、この他、種々の部位においても同様の効果を奏し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1におけるマフラを示す断面図である。
【図3】図2のI−I断面を表す断面図である。
【図4】バッフル部の開口率とカットオフ周波数との関係を表すグラフである。
【図5】本発明の他の実施形態による排気装置を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による排気装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・排気チューブ(チューブ部材)
5・・・リアマフラ(マフラ)
51・・・第1の仕切り板
52・・・第2の仕切り板
53・・・排気入口配管
54・・・排気出口配管
55・・・中継チューブ
56・・・バッフル部
57・・・テーパ部
58・・・ストレート部
59・・・騒音低減部(騒音抑制手段)
7・・・貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のエンジンまたは圧縮機にて発生した排気を大気中に排出するとともに、前記排気に起因する騒音を低減する排気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、排気装置においては、排気を排出する際に生じる騒音の低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の消音を実現するべく、制御機構を用いる様々な技術が提案されてきている。
【0003】
例えば特許文献1には、排気の出口側配管(すなわち、排気出口管)を二重構造にして内側の配管に制御バルブを設け、この制御バルブをモータやアクチュエータ等により、エンジンまたは圧縮機の低回転時(すなわち、排気の低流量時)は閉状態にして排気における低周波数域成分を減衰させ、高回転時(すなわち、排気の高流量時)は開状態にして排気における高周波数域成分(例えば、気流音)の低減を図るように、排気の流れおよび騒音の制御を行う技術が開示されている。
【0004】
また、この他にも前記モータやアクチュエータの代わりに、排出する排気の圧力を用いて前記制御バルブを開閉し、排気の流れおよび騒音を制御する排圧感応型などが知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−299473号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の技術や上述の排圧感応型の制御技術では、それぞれ制御構造が付加されていることから、生産コスト面での増加につながる問題があり、特に特許文献1の技術では、モータやアクチュエータにおける部品点数が多いため、コストアップが顕著である。
【0007】
また、排圧感応型においても、排気の圧力により制御バルブを開閉させる構造であることからスプリングが用いられており、このスプリングに耐食性向上を図るべくインコネル等の高級材料を使用する要求があるため、やはり生産コスト面での増加を招く問題がある。
【0008】
これに加えて、このような制御機構を用いた技術では、制御バルブの開状態時においても当該制御バルブが存在することにより、この制御バルブ部分において気流音等の騒音が生じるとともに、この制御バルブ部分における圧力損失が増加してしまう問題がある。
【0009】
さらに、この制御機構を用いた技術では、制御バルブが閉状態から開状態へ移行する際に、排気の騒音レベルが急激に変化するため、3〔dB〕以上も騒音レベルに変化が生じた場合、ドライバによっては異音の発生と感じたり、不快感を訴えたりするおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、コストを抑えつつ、低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の騒音を効果的に低減させることができる排気装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1にあっては、エンジンまたは圧縮機にて発生した排気を大気中に排出するためのマフラと、このマフラに接続され上記エンジンまたは圧縮機から上記排気を導くチューブ部材とを有し、上記マフラに上記チューブ部材と連通する排気入口配管と、上記排気を大気中に排出する排気出口配管とを設けた排気装置において、上記マフラにおける上記排気の下流側端部に設けられ、貫通孔が穿設されるとともに、上記排気出口配管を貫通保持するバッフル部と、一端が上記排気出口配管を囲むように上記バッフル部周縁部と接続されるテーパ部と、上記テーパ部の他端と接続され、上記排気出口配管を覆うストレート部とを有する騒音抑制手段を具えるようにしたことを特徴としている。
【0012】
請求項2にあっては、上記騒音抑制手段のストレート部が、上記排気出口配管における上記排気の下流側端部よりも長く形成されるようにしたことを特徴としている。
【0013】
請求項3にあっては、上記騒音抑制手段のバッフル部が、上記貫通孔を複数穿設されてなるようにしたことを特徴としている。
【0014】
請求項4にあっては、上記騒音抑制手段のテーパ部が、なめらかな傾斜をもって上記ストレート部へ接続されてなるようにしたことを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】
請求項1によれば、マフラにおける排気の下流側端部に設けられ、貫通孔が穿設されるとともに、排気出口配管を貫通保持するバッフル部と、一端が排気出口配管を囲むようにバッフル部周縁部と接続されるテーパ部と、テーパ部の他端と接続され、排気出口配管を覆うストレート部とを有する騒音抑制手段を設けたことにより、エンジンまたは圧縮機の低回転時、すなわち排出される排気の低流量時は、この排気の排出に起因する騒音の主成分が低周波数域の音波でなり、バッフル部の貫通孔がこの低周波数域の音波を通過させ難い性質であることから、当該音波を排気出口配管を介し、共振を低減させて大気中に放出するため、騒音レベルを減衰させることができるとともに、高回転時、すなわち前記排気の高流量時は、この排気の排出に起因する騒音の成分における低周波数域の音波を、前記低回転時と同様に排気出口配管を介して大気中に放出する一方、中・高周波数域の音波を、バッフル部の貫通孔を通過させて分流させるとともに、テーパ部およびストレート部を介して拡散させて大気中に放出するため、気流音および圧力損失を低減させることができる。
【0016】
しかも、この騒音抑制手段は、制御バルブ等を用いることのない簡易な構成で実現することができるので、コストを抑えつつ、排気による低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の騒音を効果的に低減させることができる排気装置を提供することができる。
【0017】
請求項2によれば、騒音抑制手段のストレート部が、排気出口配管における排気の下流側端部よりも長く形成されるようにしたことにより、このストレート部内の排気出口配管から吐出される排気に起因した高周波数域の騒音、すなわち気流音を、排気出口配管よりも径の大きいストレート部にて拡散させて低減させることができるため、より効果的に騒音レベルを減衰させることができる。
【0018】
請求項3によれば、騒音抑制手段のバッフル部が、貫通孔を複数穿設されてなるようにしたことにより、バッフル部に対して所望する貫通孔の開口率を、複数の貫通孔によって実現することができる分、貫通孔が単数でなるバッフル部に比較して、バッフル部としての剛性を確保することができるとともに、これら貫通孔を通過することによる排気の整流効果を向上させることができる。
【0019】
請求項4によれば、騒音抑制手段のテーパ部が、なめらかな傾斜をもって上記ストレート部へ接続されてなるようにしたことにより、このテーパ部における流れの剥離を防止し、当該剥離に起因した渦の発生を回避することができるため、排気が排出されることにより生じる気流音および、この排気の圧力損失をより効果的に低減させることができ、騒音における高周波数域成分の低減効果をより一層向上することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳述する。
【0021】
図1〜図3は、本発明にかかる排気装置の一実施形態を示し、図1は本発明にかかる排気装置の全体構成図、図2は図1におけるマフラの断面図、図3は図2におけるI−I断面図である。
【0022】
図1は本発明の排気装置全体を示し、1は排気チューブ、2は図外のエンジンにおける各シリンダまたは図外の圧縮機から排出される排気を集めて排気チューブ1へと繋ぐ鋳物エキゾーストマニホールド、3は排気中の有害な物質(例えばCO、HC、NOX等)を触媒反応によって無害な物質(例えばCO2、H2O、NO2等)に変換する触媒コンバータ、4は排気による騒音を概略的に消音するためのプリマフラ、5は前記騒音を適正な値まで低減させる本発明を適用したマフラであるリアマフラであり、それぞれ排気チューブ1によって接続されて構成されている。
【0023】
因みに、図中6はフレキシブルチューブを示し、鋳物エキゾーストマニホールド2に接続される排気チューブ1と、触媒コンバータ3と接続される排気チューブ1との間に設けられ、鋳物エキゾーストマニホールド2と触媒コンバータ3間をフレキシブルに接続可能な状態にしている。
【0024】
具体的に、リアマフラ5は所謂砲弾型の円筒形状でなり、図2に示すように、このリアマフラ5内を後述する複数の部屋に区画する第1および第2の仕切り板51、52と、排気チューブ1と連通し図外のエンジンまたは圧縮機にて生じた排気をリアマフラ5内に導く排気入口配管53と、この排気をリアマフラ5外へと導く排気出口配管54と、前記第1および第2の仕切り板51、52によって区画された部屋を中継する中継チューブ55とを有し、これら第1および第2の仕切り板51、52によって、排気入口配管53、排気出口配管54および中継チューブ55を固定保持するようになっている。
【0025】
また、この実施形態の場合、リアマフラ5における排気の下流側端部には、貫通孔7が複数穿設されるとともに前記排気出口配管54を貫通させて固定保持するバッフル部56と、一端がこの排気出口配管54を囲むようにバッフル部56周縁部と接続されるテーパ部57と、このテーパ部57の他端と接続され、排気出口配管54を覆うストレート部58とを有する騒音抑制手段としての騒音低減部59が設けられている。
【0026】
因みに、この実施形態の場合、ストレート部58は、排気出口配管54における排気の下流側端部よりも長く形成されているとともに、ストレート部58がリアマフラ5に対し、略中央部となるように配置されており、排気出口配管54はφ35〔mm〕〜φ45〔mm〕程度、ストレート部58はφ50〔mm〕〜φ75〔mm〕程度で設定されるのが、通常の乗用車へ用いられるのに好ましい口径比である。
【0027】
さらに、バッフル部56に穿設される貫通孔7の孔径および開口率は、図4に示すバッフル開口率に対する共振周波数の移動の関係を表すグラフから見てわかるように、使用するエンジンまたは圧縮機によって発生する騒音の周波数に応じた所望する減衰量に基づき設定されるようになっており、貫通孔7の孔径はガソリンを燃料とする場合、カーボン等による目詰まりを考慮した上で約φ3〔mm〕以上が好ましいが、内燃機関および不純物除去装置が上流に装着されたシステムにおいては、約φ3〔mm〕以下でも適用可能である。
【0028】
以上のように構成されたリアマフラ5では、エンジンまたは圧縮機の低回転時(すなわち、排出される排気の低流量時)、排気入口配管53を通って送給される排気を、第2の仕切り板52とバッフル部56とによって囲まれる第1の拡張室81へと導く。このとき、この排気による騒音の主成分が低周波数域の音波でなり、バッフル部56の貫通孔7がこの低周波数域の音波を通過させ難い性質であることから、この第1の拡張室81は第1の消音室として機能することなく、この音波を矢印Aで示すように中継チューブ55を介して、第1の仕切り板51によって区画された第2の拡張室82へと導いた後、矢印Bで示すように排気出口配管54を介して騒音低減部59のストレート部58、すなわちバッフル部56によって区画された第2の消音室83へと導く。
【0029】
このとき、排気出口配管54はストレート部58よりも径が細いので、低〜中間周波数域の消音が可能となるとともに、流量が少ないので気流音が悪影響を及ぼすこともない。
【0030】
このようにして、このリアマフラ5では、前記排気による騒音を、その共振を低減させて大気中に放出するため、騒音レベルを減衰させることができる。
【0031】
また、このリアマフラ5では、エンジンまたは圧縮機の高回転時(すなわち、排出される排気の高流量時)、排気入口配管53を通って送給される排気を、第2の仕切り板52とバッフル部56とによって囲まれる第1の拡張室81へと導く。このとき、この排気による騒音の成分における低周波数域の音波を、上述した低回転時と同様に排気出口配管54を介して大気中に放出する一方、中・高周波数域の音波を、矢印Cで示すようにバッフル部56の貫通孔7を通過させて分流させるとともに、テーパ部57およびストレート部58、すなわち第2の消音室83を介して拡散させて大気中に放出するため、前記排気による騒音、すなわち気流音および前記排気の圧力損失を低減させることができる。
【0032】
しかも、このリアマフラ5では騒音低減部59を、従来のような制御バルブおよびモータまたはアクチュエータ等を用いることのない簡易な構成で実現することができるので、コストを抑えつつ、排気による低周波数域から高周波数域に亘る広範囲の騒音を効果的に低減させることができる。その上、この騒音低減部59はリアマフラ5における排気の下流側端部を加工するのみで実現することができるため、従来のような複雑なチューニングを不要とし、開発工数の削減を図ることもできるとともに、従来の制御バルブを用いた制御機構がない分、工法を変更することなく活用することができるので、品質上のトラブルも低減される。
【0033】
さらに、このリアマフラ5では、騒音低減部59のストレート部58が、排気出口配管54における排気の下流側端部よりも長く形成されるようにしたことにより、このストレート部58内に配設される排気出口配管54から吐出された排気に起因する高周波数域の騒音、すなわち気流音を、排気出口配管54よりも径の大きいストレート部58にて拡散させて低減させることができるため、より効果的に騒音レベルを減衰させることができる。
【0034】
なお、本発明の排気装置を上述した一実施形態を例に取って説明したが、本発明はこれに限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。
【0035】
例えば、上述した実施形態においては、テーパ部57を図2に示したように、リアマフラ5における排気の下流側端部のバッフル部56周縁部からストレート部58に向かって傾斜するように形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図2との対応部分に同一符号を付して示す図5のように、バッフル部56周縁部からストレート部58に向かって、なめらかに傾斜する(所謂、Rを付けて傾斜する)ように形成してもよい。この場合、テーパ部57にRが付く分、このテーパ部における流れの剥離を防止し、当該剥離に起因した渦の発生を回避することができるため、排気が排出されることにより生じる気流音および、この排気の圧力損失をより効果的に低減させることができ、騒音における高周波数域成分の低減効果をより一層向上することができる利点を得ることができる。
【0036】
また、上述した実施形態においては、バッフル部56に貫通孔7が複数穿設されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図3との対応部分に同一符号を付して示す図6のように、バッフル部56に対して貫通孔7を単数、すなわち1つ穿設するようにしてもよい。この場合、貫通孔7の孔径は、上述した実施形態と同様に、図4に示すバッフル開口率と共振周波数との関係をベースにマフラ構造と合わせて基本設計を行う。但し、上述した実施形態のようにバッフル部56に貫通孔7を複数穿設するようにした場合、バッフル部56に対して所望する貫通孔7の開口率を、複数の貫通孔7によって実現することができる分、貫通孔7が単数でなるバッフル部56に比較して、バッフル部56としての剛性を確保することができるとともに、これら貫通孔7を通過することによる排気の整流効果を向上させることができる利点を得ることができる。
【0037】
さらに、上述した実施形態においては、リアマフラ5が砲弾型の円筒形状でなるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、リアマフラ5としては、この他、扁平形状等の種々の形状においても同様の効果を奏し、広く適用することができる。
【0038】
さらに、上述した実施形態においては、リアマフラ5に対し、ストレート部58が略中央部となるように配置された場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ストレート部58の配置位置としては、テーパ部57の他端と接続される配置位置であれば、この他、種々の部位においても同様の効果を奏し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1におけるマフラを示す断面図である。
【図3】図2のI−I断面を表す断面図である。
【図4】バッフル部の開口率とカットオフ周波数との関係を表すグラフである。
【図5】本発明の他の実施形態による排気装置を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による排気装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・排気チューブ(チューブ部材)
5・・・リアマフラ(マフラ)
51・・・第1の仕切り板
52・・・第2の仕切り板
53・・・排気入口配管
54・・・排気出口配管
55・・・中継チューブ
56・・・バッフル部
57・・・テーパ部
58・・・ストレート部
59・・・騒音低減部(騒音抑制手段)
7・・・貫通孔
Claims (4)
- エンジンまたは圧縮機にて発生した排気を大気中に排出するためのマフラ(5)と、このマフラ(5)に接続され上記エンジンまたは圧縮機から上記排気を導くチューブ部材(1)とを有し、上記マフラ(5)に上記チューブ部材(1)と連通する排気入口配管(53)と、上記排気を大気中に排出する排気出口配管(54)とを設けた排気装置において、
上記マフラ(5)における上記排気の下流側端部に設けられ、貫通孔(7)が穿設されるとともに、上記排気出口配管(54)を貫通保持するバッフル部(56)と、
一端が上記排気出口配管(54)を囲むように上記バッフル部(56)周縁部と接続されるテーパ部(57)と、
上記テーパ部(57)の他端と接続され、上記排気出口配管(54)を覆うストレート部(58)と
を有する騒音抑制手段(59)を具える
ことを特徴とする排気装置。 - 上記騒音抑制手段(59)のストレート部(58)が、
上記排気出口配管(54)における上記排気の下流側端部よりも長く形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の排気装置。 - 上記騒音抑制手段(59)のバッフル部(56)が、
上記貫通孔(7)を複数穿設されてなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の排気装置。 - 上記騒音抑制手段(59)のテーパ部(57)が、
なめらかな傾斜をもって上記ストレート部(58)へ接続されてなる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の排気装置。
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Cited By (2)
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CN109356685A (zh) * | 2018-12-10 | 2019-02-19 | 徐文君 | 一种汽车排气系统用消音器 |
CN115898591A (zh) * | 2022-11-29 | 2023-04-04 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种消声器结构和汽车 |
-
2003
- 2003-06-19 JP JP2003175505A patent/JP2005009423A/ja active Pending
Cited By (3)
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CN109356685A (zh) * | 2018-12-10 | 2019-02-19 | 徐文君 | 一种汽车排气系统用消音器 |
CN115898591A (zh) * | 2022-11-29 | 2023-04-04 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种消声器结构和汽车 |
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