JP2005009419A - オイルパン構造 - Google Patents

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善一郎 加藤
Tsutomu Okuda
努 奥田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、騒音低減とエンジンオイルの早期昇温とを実現することのできるオイルパン構造を提供すること。
【解決手段】本発明のオイルパン構造では、吸込口(ストレーナ5)が配置される主室Mと吸込口5が配置されない副室Sとに仕切る発泡樹脂製のオイルパンセパレータ2がオイルパン1の内部に固定されている。そして、オイルパンセパレータ2が主室Mを形成する凹部2aを有しており、この凹部2aのみがガラス繊維充填材によって強化されている。発泡樹脂製のオイルパンセパレータ2によってオイルパン1の内部を上述した主室Mと副室Sとに区画することでオイルの早期昇温を実現すると共に、主室Mの凹部2aのみをガラス繊維で強化することで振動・騒音の抑制を実現することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オイルを貯留するオイルパンの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンやトランスミッションなどの潤滑・冷却にはオイルが用いられている。このオイルは、エンジンなどの下部に設けられたオイルパンに貯留され、オイルポンプによってエンジンなどの各部に循環される。各部を循環したオイルは、下方のオイルパン内に滴下する。そして、オイルパン内に滴下したオイルは、再度オイルポンプによって潤滑・冷却すべき各部に循環される。この間、オイルは循環先から熱を受け取って各部を冷却する。また、オイルは、潤滑部で油膜を形成して各部品間の潤滑を促進すると共に、部品の酸化を防止するなどの役目もある。
【0003】
このオイルパン自体が、エンジンなどの振動を受けて振動し、振動源となったり騒音発生源となったりする場合がある。このため、オイルパンの深皿部などの振動が問題となる部位を補強板や制振鋼板を溶接して補強したオイルパン[特許文献1]や、オイルパンが膜振動する際の膜モードの腹に相当する部位を厚肉化すると共にその周囲を薄肉化することで底壁部に生じる振動・騒音低減を図ったオイルパン[特許文献2]なども検討されている。
【0004】
【特許文献1】
実開平02−103156号公報
【特許文献2】
特開2001−132537号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
[特許文献1]や[特許文献2]に記載のオイルパンでは、振動・騒音の低減は可能である。しかし、オイルパンに要望される他の性能として、低温時からの早期昇温がある。低温時ではオイルパン内部に貯留されたオイルも冷えており、粘性も高く、各部を潤滑させるのに適した状態ではない。そこで、低温時にはできるだけ早くオイルを昇温させて適度な粘性を有する状態にさせたいという要望がある。昇温は潤滑する各部から得る熱(エンジンであれば燃焼に伴う熱)によって行われるので、この熱を有効に利用してオイルを昇温させる必要がある。
【0006】
しかし、上述したように、[特許文献1]や[特許文献2]に記載のオイルパンは、振動・騒音の低減に関する配慮はなされているものの、早期昇温に関する配慮はなされておらず、振動・騒音低減と早期昇温とを両立することができない。従って、本発明の目的は、振動・騒音低減とオイルの早期昇温とを実現することのできるオイルパン構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のオイルパン構造は、吸込口が配置される主室と吸込口が配置されない副室とに仕切る発泡樹脂製のオイルパンセパレータがオイルパン内部に固定されている。そして、オイルパンセパレータが主室を形成する凹部を有しており、この凹部のみがガラス繊維充填材によって強化されていることを特徴としている。発泡樹脂製のオイルパンセパレータによってオイルパン内部を上述した主室と副室とに区画することでオイルの早期昇温を実現すると共に、主室の凹部のみをガラス繊維で強化することで振動・騒音の抑制を実現することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のオイルパン構造において、凹部が底部から上方の開放部に向けて広がる形態となるように、凹部の側壁部が傾斜面として形成されていることを特徴としている。このようにすることで、凹部全体を確実に発泡樹脂製とすることができ、オイルの早期昇温効果をより確実に実現することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のオイルパン構造の実施形態について、以下に説明する。図1〜図4に本実施形態のオイルパン構造を示す(ただし、図4にはオイルパンセパレータ2及びバッフルプレート3のみが分離された状態で示されている)。これらの図には、オイルパン1が取り付けられるエンジンブロックなどは図示されていない。オイルパン1は、その内部にオイルパンセパレータ2及びバッフルプレート3が固定された後に、周囲に形成されたボルト孔4を介してエンジンブロックに固定される。
【0010】
このオイルパン1の内部には、オイルパン1の内部を二つの区画(主室M及び副室S)に仕切るオイルパンセパレータ2、及び、オイルの移動を抑制するバッフルプレート3が配設されている。オイルパン1は、従来から一般的に用いられている金属(アルミ合金)製のものが使用されている。オイルパンセパレータ2は、発泡樹脂製であり、図2及び図3に示されるように、その中央部に主室Mを形成させる凹部2aが形成されている。
【0011】
オイルパン1(オイルパンセパレータ2)の内部からエンジンオイルを吸い上げるストレーナ5の先端部は、オイルパンセパレータ2が有する凹部2aの中に位置している。本実施形態では、ストレーナ5も合成樹脂によって形成されている。ストレーナ5の内部には異物の吸い上げを抑止するフィルタ5a(図2参照)が配置されている。なお、合成樹脂製のストレーナ5は予めエンジンブロック側に固定され、その後にオイルパン1などがエンジンブロックに取り付けられる。(図中にはオイルパンセパレータ2やバッフルプレート3との位置関係が分かるようにストレーナ5が配置されている。)ストレーナ5の上端はエンジンブロック内部のオイル流路に連通されている。エンジンオイルは、図示されないオイルポンプによってストレーナ5の先端から吸い上げられ、エンジン各部に送出される。
【0012】
オイルパン1の内部はオイルパンセパレータ2によって上述した主室Mと副室Sの二つの区画に仕切られている。ストレーナ5の先端が配設されているオイルパンセパレータ2の内側が主室M、ストレーナ5の先端が配設されていないオイルパンセパレータ2の外側が副室Sである。主室M及び副室Sの各容量はエンジンの大きさなどによって適宜決定できる。例えば、主室容量/副室容量を、2/1.6リットルとしたり、1.6/1リットルとする。
【0013】
ここでは、主室Mの全周囲に副室Sが存在するように凹部2aが形成されている。そして、オイルパンセパレータ2の上述した凹部2aの底部外面とオイルパン1の底部内面とはわずかな隙間が形成されている。オイルパンセパレータ2は、オイルパン1の内面側に形成されたセパレータ取付部1aに対して金属製のバッフルプレート3と共締めされて固定されている。オイルパンセパレータ2側には、セパレータ取付部1aに対応する位置にボルト孔2b(図4参照)が形成されている。
【0014】
バッフルプレート3は、エンジンオイルの上方への移動を抑制して、ストレーナ5によるエア吸い込みを防止する。エンジンオイルの上方への移動は、急制動や急旋回時などに生じやすい。バッフルプレート3は、ほぼ平面な板状であり、セパレータ取付部1aに対応する位置にボルト孔3aが形成されていると共にストレーナ5を避ける切欠部を有している。また、バッフルプレート3は、それ自体の振動抑制のために剛性を向上させるリブ3bが形成されており、リブ3bによって囲まれた上面に溜まるオイルを下方に滴下させるオイル孔3cも貫通形成されている。
【0015】
なお、エンジンは多少傾けて車両などに搭載されることが多く、図3は車載状態の傾きで図示されており、オイルパン1の内部のエンジンオイル表面(二点鎖線)がほぼ水平となっている。図2及び図3中の二点鎖線は、エンジンが停止されてエンジンオイルが戻ってきている状態のLOWレベルとFULLレベルの油面を示している。エンジンが始動されると、各部に循環される分だけそれぞれ油面は下がる。
【0016】
本実施形態のオイルパンセパレータ2は、合成樹脂によって形成されている。オイルパンセパレータ2が合成樹脂であることでオイルパンセパレータ2の内部から外部への熱伝導が、金属である場合よりも生じにくくなるので断熱性が向上する。このため、このようなオイルパンセパレータ2によって、オイルパンセパレータ2の内部から外部への熱の放出(伝導)を抑止して、オイルパンセパレータ2の内部(=主室M内)のエンジンオイルの早期昇温を効果的に行うことができる。特に、ここでは、オイルパンセパレータ2を発泡樹樹脂によって構築することで、さらなる断熱性向上を行い、早期昇温をより効果的に実現している。オイルパンセパレータ2の発泡については後述する。
【0017】
オイルパンセパレータ2の原料として使用する合成樹脂としては、ヤング率、比重、熱伝導率、コストなどを考慮するとPA6(ナイロン6)又はPA66(ナイロン66)樹脂などが好ましく、本実施形態ではPA6(ナイロン6)が用いられている。そして、凹部2aの部分だけに充填材としてガラス繊維が混ぜられている。混入比率は重量比30wt%(PA6−GF30)とされている。凹部2aにガラス繊維を充填させることで凹部2aの強度を向上させて耐振動性を向上させ、強度を向上させている。ここではオイルパンセパレータ2が発泡樹脂によって形成されるが、発泡させると非発泡のものに比べて強度が低下するのでガラス繊維を充填することで強度を向上させてもいる。、
【0018】
なお、耐振動性を向上させることだけを考慮すれば、オイルパンセパレータ2の全体にガラス繊維を充填することも考えられる。しかし、ガラス繊維を充填させるとリサイクルを行いにくく、資源再利用の障害となる。ガラス繊維が充填されていない部分はリサイクルしやすく、このように必要な部分のみにガラス繊維を充填させることで、オイルパンセパレータ2の耐振動性向上とリサイクル性向上とを両立させることができる。また、凹部2aのみにガラス繊維を充填させることで、オイルパンセパレータ2の振動モードを非充填時のものと変化させて、振動・騒音抑制を実現してもいる。
【0019】
オイルの早期昇温のためにオイルパンセパレータ2を発泡樹脂によって形成させると非発泡の場合よりも剛性が低下するので、エンジンの振動周波数域内で共振を発生させやすくなる。特に、オイルパンセパレータ2の凹部2aの底面の膜振動が共振しやすい。そこで、凹部2aのみにガラス繊維を充填することでオイルパンセパレータ2(特に、凹部2aの底部)の共振周波数を高周波数側に移動させ、エンジンの振動周波数域内での共振を抑制することが可能となる。
【0020】
なお、オイルパンセパレータ2を射出成形によって製造する場合、凹部2aのみにガラス繊維を充填させるには、凹部2aの底部近傍にゲートを設け、このゲートからまずガラス繊維が充填されていない樹脂(PA6)を充填する。ついで、途中からガラス繊維が充填された樹脂(PA6−GF30)の充填に切り換える。主材は同一の樹脂(PA6)であるので、ガラス繊維が充填されていない部分とされている部分との境界は連続的に切り替わることとなり、境界部の強度は十分に保持される。なお、ゲートの位置は、オイルパンセパレータ2の形状とキャビティ内での樹脂流の動きなどに基づいて最適な位置に設定される。
【0021】
あるいは、ゲートを複数設け、ガラス繊維を充填させない部分に近いゲートからはガラス繊維が充填されていない樹脂を充填し、凹部2a(ガラス繊維を充填させる部分)に近いゲートからはガラス繊維を充填させた樹脂を充填しても良い。この場合も、主材を同一の樹脂としておけば、ガラス繊維が充填されていない樹脂流とガラス繊維が充填された樹脂流とがキャビティ内で出会う境界部では、ガラス繊維を充填されていない部分からガラス繊維が充填された部分へと連続的に切り替わることとなり、境界部の強度は十分に保持される。
【0022】
さらに、オイルパンセパレータ2を発泡成形するには種々の方法が考えられるが、本実施形態では原料に発泡助剤を混練させておき、原料が成形金型内で溶融している状態で発泡させる。発泡に際しては、成形金型をコアバックさせる。このとき、オイルパンセパレータ2の凹部2a全体を十分に発泡させるために、本実施形態では凹部2aが底部から上方の開放部に向けて広がる形態となるように凹部2aの側壁部が傾斜面として形成されている。発泡成形(コアバック)と凹部2aの傾斜面とについての説明図を図5に示す。
【0023】
図5(a)及び図5(b)には、凹部2aの側壁部を傾斜面としない場合を模式的に示している。図5(a)に示されるように、一対の成形用金型100、101によってキャビティが形成され、その内部に発泡助剤が混練された溶融樹脂がゲート102から充填されている。この状態では、射出成形圧との関係から、充填された樹脂は十分に発泡しない。そして、図5(a)の状態から金型101を図中右方にコアバック(スライド)させることで、図5(b)に示すようにキャビティ容積を増加させる。この結果、キャビティ容積増大に伴うキャビティ内圧の低下に伴って発泡助剤が二酸化炭素を発生させ樹脂が発泡される。
【0024】
発泡後のオイルパンセパレータ2の断面を図6に示す。オイルパンセパレータ2の表面は、当初の射出成形圧によって密に形成されると共に金型からの冷却を受けて早期に固化が始まり、スキン層200と呼ばれる層を形成させる。このスキン層200は密に形成されるため、オイルパンセパレータ2内部へのオイル浸透を防止する役割も果たす。そして、表裏面のスキン層200の各内方には、発泡層201が形成されている。そして、一対の発泡層201の間には、さらに空隙率の高いスプリングバック(空隙)層202が形成されている。
【0025】
なお、図6には、分かりやすいように各層を区別して描いてあるが、実際には同一の素材によって連続的に形成されている。また、図6のスプリングバック層202を、図2及び図3では間隙として示してある。このようにオイルパンセパレータ2の内部に空気を多く含む層を形成させることでオイルパンセパレータ2の断熱性を向上させている。ここで、上述したように、図5(a)及び図5(b)に示されたように、凹部2aの側壁部を傾斜面として形成しない場合、金型101のコアバックによってキャビティ内の凹部2aの側壁部を形成させる部分の厚さは変化せず、発泡による体積膨張分が確保できない。
【0026】
このため、図5(b)に示されるような形態の凹部2aとした場合は、凹部2aの側壁部は図6のような内部構造とならない。即ち、良好な断熱性を有するオイルパンセパレータ2とならない。そこで、本実施形態では、図5(c)及び図5(d)に示されるように、凹部2aの側壁部が傾斜面となるようにキャビティを形成している。このように、キャビティを形成させることで(=凹部2aの側壁部を上述した傾斜面とすることで)、図5(d)に示されるように、金型101をコアバックさせたときにキャビティ内の凹部2aの側壁部を形成させる部分の厚さを確実に増加させて、凹部2aの側壁部を図6のような内部構造とすることができ、良好な断熱性を有するオイルパンセパレータ2を形成することができる。
【0027】
さらに、オイルパンセパレータ2は、油面近傍となる凹部2aの側壁部に複数の第一連通孔2cを有している。なお、油面は、エンジンオイルの充填量(LOWレベルとFULLレベルの間での充填量)やオイルの移動などで変動する。油面近傍にある第一連通孔2cは油面より上方に位置する場合もあれば下方に位置する場合もある。また、第一連通孔2cが形成されている側壁部と対向する位置にある側壁部には、複数の第二連通孔2dが形成されている。第二連通孔2dは、油面よりも下方に位置しており、その開口径は第一連通孔2cよりも小さい。
【0028】
例えば、0W−20のオイルを用いた場合には、第一連通孔2cを直径8mm、第二連通孔2dを直径2mmで形成する。冷間始動直後で副室S内のエンジンオイルの粘度が高い(温度が低い)く、主室M内のエンジンオイルの方が早期昇温されて粘度が低い(温度が高い)間は、主室M内のエンジンオイルだけがエンジン各部に循環される。副室S内のエンジンオイルの粘度が低く(温度が高く)なるにつれて、第二連通孔2dから主室内にエンジンオイルが導入され始める。即ち、エンジンオイルの粘度変化を利用して副室Sと主室Mとの間のエンジンオイルの導通を制御するようになっている。これは、第一連通孔2cの方が開口径が大きく抵抗が少ないこと、副室S内でも上方のエンジンオイルの方が温度が高く粘性が小さいことによる。
【0029】
第一連通孔2cの方が開口径が大きくエンジンオイルの流通抵抗が少なく、かつ、副室S内では上方のエンジンオイルの方が温度が高く粘性が小さいので、エンジンオイルの温度が低いうちは主として第一連通孔2cによるオイル導通が行われる。副室S内のエンジンオイルの温度は徐々に上昇し、主室M−副室S間のエンジンオイルの交換量は徐々に大きくなり、最終的には同じになる。しかし、このように主室M・副室Sに分けることによって、主室M側のエンジンオイルをより早期に昇温させ、この早期に昇温させたエンジンオイルを優先的にエンジン各部に循環させることができる。
【0030】
早期昇温によって適切な粘度のエンジンオイルを各部に早期に送出させることで騒音の発生も抑止できる。なお、第二連通孔2dの大きさが小さくされているため、副室S内の第二連通孔2d付近のオイル温度がある程度上昇して粘性が低くならないと、第二連通孔2dを介した副室Sから主室Mへのオイルの流れは十分には発生しない。これも、主室M内オイルが十分に昇温された後の副室S内オイルの昇温を行う上で効果的である。本実施形態では、オイル高温時(90℃)には毎分油量の80%が入れ替わるように、また、オイル低温時(20℃)は高温時の1/10となるように第一連通孔2c及び第二連通孔2dの開口径・数・位置が設定されている。
【0031】
上述した構成のオイルパン構造の場合、冷間始動直後は、まずストレーナ5によってオイルパンセパレータ2内部の主室からエンジンオイルが吸い上げられ、エンジン各部に供給される。エンジン各部を循環して暖められたエンジンオイルは、上方からオイルパンセパレータ2の主室M内に滴下・回収される。即ち、エンジン各部で熱を受け取ったエンジンオイルは主室M内に優先的に集められ、主室M内のエンジンオイルがまず早期に昇温される。ストレーナ5の吸込口は主室M内に配置されているので、冷間始動直後は主室M内のより早期に昇温されたエンジンオイルが優先的にエンジン各部に循環される。そして、主室Mのエンジンオイルの温度上昇に伴って、熱伝導や主室M−副室S間でのエンジンオイルのやりとりによって、徐々に副室S内のエンジンオイルが昇温される。
【0032】
エンジンの冷間始動後しばらくは、主室M内のエンジンオイルの方がより早期に昇温されるので、副室S内のエンジンオイルは主室M内のエンジンオイルよりも当初は温度が低くなる。このため、エンジンの冷間始動後しばらくは、副室S内のエンジンオイルの粘度が高く、副室Sから主室Mへのエンジンオイルの移動は起こりにくい。これによって、主室M内のエンジンオイルの昇温はより一層早期に行われる。
【0033】
なお、主室Mから副室Sに逃げる熱もあるが、これは副室S内のエンジンオイルの昇温に用いられるため無駄になるわけではない。最終的には、主室M内のエンジンオイルの温度と副室S内のエンジンオイルの温度とはほぼ同じになるが、冷間始動直後にはより早期に適温まで昇温されたエンジンオイルをエンジン各部に送出することができため、より早期にエンジンを安定した状態で運転することが可能となる。このとき、オイルパンセパレータ2を上述したように発泡樹脂で形成させておくことが効果的である。また、フリクションの早期低減による燃費向上効果を得ることができる。
【0034】
なお、本実施形態の場合、図3に示されるようにドレンボルト2fが取り付けられている。ドレンボルト2fは、外側のオイルパン1と内側のオイルパンセパレータ2との双方に螺合している。このため、オイル交換時には一つのドレンボルト2fを取り外すだけで、主室Mと副室Sの双方のオイルを排出させることができる。
【0035】
なお、本発明のオイルパン構造は、上述した実施形態のものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においては、本発明のオイルパン構造はエンジンのオイルパン構造として適用されたが、吸排気弁をソレノイドによって直接駆動する電磁駆動弁のオイルパンや自動変速機のオイルパンに対して適用することも可能である。
【0036】
【発明の効果】
請求項1に記載のオイルパン構造は、吸込口が配置される主室と吸込口が配置されない副室とに仕切る発泡樹脂製のオイルパンセパレータがオイルパン内部に固定されており、オイルパンセパレータが主室を形成する凹部を有している。発泡樹脂製のオイルパンセパレータによってオイルパン内部を上述した主室と副室とに区画することで、主室内のオイルをより早期に昇温させると共に早期昇温させた主室内のオイルを各部に循環させることで、振動・騒音性能の向上、早期安定化、燃費性能向上を実現することができる。また、上述した凹部のみをガラス繊維充填材によって強化しているので、凹部の耐振動性を向上させると共に、凹部底部の膜振動共振周波数を高周波数側にずらし、共振を防止して振動・騒音性能を向上させることも実現している。
【0037】
請求項2に記載の発明によれば、、凹部が底部から上方の開放部に向けて広がる形態となるように、凹部の側壁部が傾斜面として形成されているので、凹部全体を確実に発泡樹脂製とすることができ、オイルの早期昇温効果をより確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオイルパン構造の一実施形態の平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本発明のオイルパン構造の一実施形態に用いられるオイルパンセパレータ及びバッフルプレートの斜視図である。
【図5】オイルパンセパレータの射出発泡成形を説明する説明断面図であり、(a)及び(b)が比較例、(c)及び(d)が本発明実施形態の場合である。
【図6】オイルパンセパレータの断面図である。
【符号の説明】
1…オイルパン、1a…セパレータ取付部、2…オイルパンセパレータ、2a…凹部、2b…ボルト孔、2c…第一連通孔、2d…第二連通孔、2f…ドレンボルト、3…バッフルプレート、3a…ボルト孔、3b…リブ、3c…オイル孔、4…ボルト孔、5…ストレーナ、5a…フィルタ、100,101…成形用金型、102…ゲート、200…スキン層、201…発泡層、202…スプリングバック層、M…主室、S…副室。

Claims (2)

  1. 吸込口が配置される主室と前記吸込口が配置されない副室とに仕切る発泡樹脂製のオイルパンセパレータがオイルパン内部に固定されており、
    前記オイルパンセパレータが前記主室を形成する凹部を有しており、該凹部のみがガラス繊維充填材によって強化されていることを特徴とするオイルパン構造。
  2. 前記凹部が底部から上方の開放部に向けて広がる形態となるように、該凹部の側壁部が傾斜面として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルパン構造。
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