JP2005008513A - モールドプレス成形装置及び成形方法並びに光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 対向して配置され、少なくとも一方が移動する上型及び下型と、前記上型及び下型をそれぞれ誘導加熱する加熱コイルを備えた上型加熱手段410a及び下型加熱手段410bとを有するモールドプレス成形装置において、
前記移動する型の前記加熱手段が、他方の型に近接又は接触した第一位置における型を加熱する第一加熱コイルコイル410b−1と、前記第一位置から離れた第二位置まで移動した前記型を加熱する第二加熱コイル410b−2と、前記第一加熱コイルと第二加熱コイルに対し、電源からの電流を選択的に通電する切替手段420と、を有する構成としてある。
【選択図】 図3
Description
このような場合、誘導加熱を用いると、加熱手段であるコイル自体は発熱せず、被加熱体(発熱体)が直接加熱されるため、急速加熱が可能で、かつ迅速な冷却も可能であることから、成形サイクルタイムの短縮の上でも有利である。
そこで、ガラス光学素子の精密プレスにおいては、成形型を加熱する手段として、迅速かつ充分な加熱容量が得られる高周波誘導加熱を用いることが知られている。
しかしながら、ここで新たな問題が生じた。すなわち、成形品の取り出し位置及び型が近接(接触の場合も含む。以下同じ。)する位置の両方に加熱コイルを配置して加熱を行うと、近接位置に型があるときには、型を支持するためのシャフト(主軸)が成形品取り出し位置における加熱コイルで加熱されて熱変形を生じ、成形品の精度低下をもたらすことがわかった。
さらに、上下型を単一のコイルによって加熱すると、コイル中央付近、すなわち上下母型の対向面がもっとも昇温されやすくなり、これによって母型に、図8に示すような反りが生じることもわかった。
また、本発明は、プレス成形後に、研磨等の後加工を必要とせずに、必要な光学性能が得られる、高精度のモールドプレス成形装置及び成形方法を提供する。
さらに、複数の光学素子を同時に成形する、生産効率の高いモールドプレス成形装置、及び成形方法、並びにこのモールドプレス成形方法によって光学素子を製造する方法を提供する。
このような構成とすると、上型及び下型が近接している位置及び離間している位置にあっても、これら上型と下型とを連続的に加熱することができ、短い生産サイクルタイムで、面精度・形状精度の高い成形素子(光学素子)を成形することができる。すなわち、成形素材の供給、成形品の取り出しのタイミングにかかわらず、移動型の移動にあわせて第一又は第二加熱用コイルに切り替えて通電することにより、最も効率のよい加熱スケジュールを選択することが可能となる。
また、シャフト(主軸)を加熱することがないので、成形素子(光学素子)の面精度・形状精度を低下させることもない。
このように構成すると、上型及び下型をそれぞれ独立して温度制御できるようになり、移動型、固定型の熱容量や、それぞれの設定温度に対応した制御を行うことができ、上型と下型を所望の温度とすることができる。
上型及び下型の加熱コイルの間隔がコイルピッチに対して0.7倍より小さいと、上下加熱コイル間において上下型の対向面温度が上がりすぎて上下型に反りが生じやすい。また、2倍より大きいと、上下母型が上下加熱コイル内で加熱される際、上下母型の対向面、特に、位置決め部材を設けてあるときには、位置決め部材が加熱されにくく、また熱を奪われやすい。これは、加熱時間を延長させてサイクルタイムを長くしたり、成形素材の延び不良の原因となったりする。
このようにすると、型が移動しても、常時加熱されることになるので、型が冷却されることがなく、短いサイクルタイムで効率のよい生産を行うことができる。
このように、互いに近接した位置にある加熱コイルに対し、異なる発振周波数あるいは時分割で通電させて前記上型及び下型を誘導加熱すると、上下加熱手段の発振の干渉を抑制しつつ、それぞれ所定の温度に加熱することができる。しかも、上型と下型を近接位置で加熱できるので、成形サイクルタイムの短縮にも寄与する。
すなわち、互いに近接していない位置にある加熱コイルに通電するときには、干渉の問題が生じないので、同時に高周波誘導加熱を行って加熱効率を上げることができる。このようにすると、移動型は、どこの位置にあっても、加熱された状態となって加熱効率が向上し、上型と下型の温度バランスを崩すことがない。
なお、以下では、本発明をガラス光学素子の製造装置に適用した実施形態にそって説明するが、本発明は、この実施形態に限られるものではなく、樹脂製光学素子の製造、あるいは、ガラス及び樹脂製の光学素子以外の部品製造にも適用できる。
図1は、本発明に係るモールドプレス成形装置をガラス光学素子の製造装置に適用した場合の概略平断面図である。
図1に示す製造装置は、球状のガラスプリフォームをプレスし、小型のコリメーターレンズを製造するものである。概略的に、球状のガラスプリフォームは、本製造装置筐体内に複数(図の例では4つ)同時に供給され、加熱により軟化された状態で、成形型によってプレスされ、冷却され、そして筐体外へ搬出される。この繰り返しにより、連続的に多数のコリメーターレンズが製造される。
供給準備室21には、図示しない受け皿が4つ配置され、ここに図示しないロボットアームを用いて4つのガラスプリフォームが置かれる。供給準備室21内に設置したプリフォーム供給装置22の吸着パッドによって、この受け皿上のガラスプリフォームが吸着され、加熱室20内へ搬入される。供給準備室21は、加熱室20内への空気の流入を禁止するため、ガラスプリフォームを受け皿に配置した後、密閉されて不活性ガス雰囲気に置換される。
実施形態のものでは、加熱室20内に固定される駆動部23aによって、皿26を備えるアーム25が水平に支承され、該アーム25はほぼ90度の回転角をもって水平方向に回動される。また、アーム25は、駆動部23aを中心とした半径方向に出退可能に構成されており、これによって、保持したガラスプリフォームを成形室40に搬送する。
ガラスプリフォームが予熱され、軟化した状態で搬送されるときに、搬送治具に接触することでガラス表面に欠陥が生じると、成形後の光学素子の形状精度を損なうため、プリフォーム搬送装置23には、ガラスプリフォームをガス浮上させた状態で搬送する浮上治具が備えられていることが好ましい。例えば、図6に示すような、割型式浮上皿を、分離可能なアームで支承するものを用いることができる。
また、成形後の光学素子を離間した母型間から自動的に取り出すために、吸着パッドを備えた、吸着搬送装置を備えることが好ましい。
アーム25は、前記プリフォーム供給装置22からガラスプリフォームを受け取るとき及び成形室40へこれを搬送するときを除き、前記プリフォーム加熱装置24内に置かれる。前記プリフォーム加熱装置24のヒータ表面温度は約1100℃、炉内雰囲気、すなわち上下ヒータ間の雰囲気は約700〜800℃とすることができる。なお、本実施形態においては、上下ヒータ間に温度差を設けることによって、アーム25の縦方向における反りを防止するようにしている。
好ましくは、成形型の温度はガラスプリフォームの温度より低くし、これによって、成形サイクルタイムを短縮し、また成形型の劣化を制御することができる。
誘導加熱コイル410による加熱制御は、あとで詳しく説明するように、上型と下型に対して、それぞれ独立して行う。
本実施形態においては、昇降手段のレンズ載置面によって、取り出し準備室43の成形室40と通じる開口が閉鎖され、これによって取り出し準備室43と成形室との間の気体交換が不能な状態となる。取り出し準備室43の上部を開放することによって、ロボットアームその他の搬出手段を用い、その内部のガラス光学素子が順次外部へ搬出される。ガラス光学素子の搬出後、取り出し準備室43は密閉され、ここに不活性ガスが充填される。
次に、プレス装置について説明する。
図2は、本実施形態にかかるガラス光学素子製造装置のプレス装置の概略平面図を示し、図3は、同じく要部構造を示す側断面図である。なお、図3には、電源と温度制御手段の概略構成も示してある。
このプレス装置は、上型及び下型が、それぞれ、母型と成形型を有している。上母型411a及び下母型411bは長尺状であり、それぞれ上主軸412a及び下主軸412bに取り付けられている。そして、上母型411a及び下母型411bには2個から10個(図示のものは4個)の上成形型413a及び下成形型413bが取り付けられている。
上下母型411a,411bは、所定の成形サイクルにあわせて成形制御部(図示せず)が、サーボモータに駆動信号を送ることにより接離させる。
なお、本実施形態のプレス装置においては、下母型のみを移動可能としてあるが、上母型のみ、あるいは上下母型の両方を移動させるようにしてもよい。
本実施形態では、上型加熱コイル410aと下型の第一加熱コイル410b−1を近接配置するため、両コイル離間距離を平均コイルピッチとほぼ同じとしてある。
これにより、上母型411a及び下母型411bの熱容量が相当程度異なっていても、同一温度に制御することができ、また逆に、上母型411a及び下母型411bに所望の温度差を設けることもできる。また、上型加熱コイル410a及び下型の第一,第二加熱コイル410b−1,410b−2の巻数及び配置範囲などは、上母型411a及び下母型411bの熱容量を考慮して決定する。
ここで、上下母型411a,411bの発熱体としては、熱膨張率が成形型413a,413bの素材と近いものを使用することが好ましい。例えば、成形型の素材としてセラミックを用いる場合には、発熱体として、タングステン合金などを用いることが好ましい。
なお、上下の成形型413a,413bの成形面には離型膜を設けることができる。離型膜としては、貴金属(Pt、Ir,Auなど)や、炭素を主成分とする膜が適用できる。炭素膜は、特に、安価であって離型効果が優れており、好適である。
さらに、4個の上成形型413aの外周には、スリーブ414aが設けてあり、4個の下成形型413bの外周には、スリーブ414aと嵌合するスリーブ孔414bが設けてある。これにより、上下母型411a,411bが接近したときに、上成形型413aのスリーブ414aが下成形型413bと狭いクリアランスで滑動して嵌合し、上下成形型413a及び413bのさらに精密な位置決めが行われる。その結果、偏心精度(ディセンタ及びティルト)を所定範囲内に維持することができる。
なお、上型と下型の位置決め部材は、上記の例に限定されず、下母型(下型)側に突出部材を設けてもよく、また、ガイド部材とスリーブ部材のいずれか一方のみを設けてもよい。
本実施形態においては、上型加熱コイル410aと、上型電源416aと上型温度制御部417aとで上型加熱手段を構成し、下型加熱コイル410b(410b−1,410b−2)と、下型電源416bと、下型温度制御部417bと、切替器420とで下型加熱手段を構成している。
上型側と下型側の発振周波数が大きく異なると、誘導加熱の浸透深さや、コイルからのエネルギー伝達効率などの加熱環境が異なったものとなり、上下のプレス成形条件が異なってしまうが、上記の範囲とすれば、上下の加熱環境が略同様となり、好ましい。また、上記の範囲であれば、加熱による母型の酸化も同程度となるため、表面状態の影響を受ける熱輻射条件もほぼ同等となる。更に好ましくは、1:1.5〜1:3であり、特に好ましくは、1:1.5〜1:2である。
上型加熱コイル410aと下型の第一加熱コイル410b−1の発振周波数は、いずれの側の周波数を大きくしてもよいが、上型、下型のうち熱容量の小さい側のコイルに供給する電源の周波数を大きくした方が好ましい。
また、発振周波数が、15kHz未満だと、可聴周波数帯になり、不快音又は騒音となる。例えば、上型電源416aと下型電源416bの発振周波数は、一方を15〜30kHz、他方を20〜50kHzとすることができる。
なお、第一加熱コイル410b−1と第二加熱コイル410b−2の離間距離は、下型の上下方向の移動距離によって決まるが、この距離が大き過ぎると下型の移動距離が長くなり、下型の成形面が移動中の雰囲気によって降温してしまう。一方、離間距離が小さすぎるとプリフォームの供給や成形した光学素子の搬出に支障となる。したがって、第一加熱コイル410b−1(下端)と第二加熱コイル410b−2(上端)との距離Lは、例えば、20〜80mmとする。
また、プレスされた光学素子を取り出すときには、下母型411bを第二位置まで下降させて停止させる。そして、上下母型411a,411bの間から搬出装置42によって成形された光学素子を取り出す。ここではガラスプリフォームを供給するときの下母型位置とプレスされた光学素子を取り出すときの下母型位置を同じ位置(第二位置)としたが、この位置は、必ずしも同じでなくてもよく、下母型を巻回する第二加熱コイルによって加熱を充分受けられる位置であればよい。
以上のような構成のガラス光学素子製造装置を用いて、本発明に係るガラス光学素子を製造する方法の実施形態を、図7を参照しつつ説明する。
(a)型加熱工程
前回の成形サイクルが終了した状態の上下成形型は、Tg付近またはそれ以下の温度に冷却されているため、プレス成形に適した温度まで加熱する必要がある。そこで、下母型411bを上母型411aと近接する第一位置まで移動して停止させる。このとき下母型411aは第一加熱コイルに周囲を巻回されるので、この第一加熱コイル410b−1と上型を巻回している加熱コイル410aに電流を流し、上下母型を発熱させ、この熱伝導によって上下の各成形型を所定温度まで加熱する(図7(a)参照)。このとき、複数の成形型の温度のばらつきをできるだけ小さくすることが重要である。
上下成形型の温度設定値は、通常、上下とも同一とするが、成形されるレンズ形状や径などによっては、上下の成形型に温度差を設けてもよい。
また、上下母型の熱容量が相違し、加熱効率に差のあることが多いため、この点も考慮して、高周波コイル巻き数、及び出力範囲を決定する。
しかし、接触していなくても、上下の対向面と突出部材で、雰囲気ガスの対流を防ぐことのできる空間を形成できればよい。
上下母型411a,411bの温度制御は、各々の母型411a及び411bに設けてある上型温度センサ(熱電対)418a及び下型センサ(熱電対)418bの出力をそれぞれ上型温度制御部417a及び下型温度制御部417bに入力し、設定温度となるよう、例えばPID制御することで行う。
目標温度に近づいたら、供給する電流を少なくして加熱コイルの出力を低減させるようにしてもよい。
型加熱工程は、母型の大きさ(熱容量)や電源容量によって任意の時間とすることができるが、例えば、約20〜40秒間とする。
このようにして、上下型の温度制御を独立かつ迅速に行うことができる。
型加熱工程で加熱された下母型411bは第二位置まで下降し、上成形型及び下成形型を離間させる。プリフォーム(ガラス素材)はその間から搬送・供給され、下成形型上に配置される。
ここで、型加熱工程における加熱が終了すると、切替器420は第一加熱コイル410b−1に対する電流の供給を遮断する。そして、下母型411bが、第二位置まで移動して停止すると、切替器420は第二位置に配置されている第二加熱コイル410b−2に電流を供給し、これによって第二加熱コイルを加熱する。したがって、下型母型411bは、素材供給のため型開きして第二位置に停止しているときにも間断なく加熱が行われるので、所望温度への到達所要時間を最短にすることができる。
なお、上記型加熱工程で上下母型は目標温度に近づいているため、素材供給段階での加熱出力は上記型加熱工程よりも低くすることができる(図7(b)参照)。このときに、母型内に生じた温度分布が小さくなり、複数成形型相互の均熱化を図ることができる。
このときのガラス素材の温度は、粘度で109ポアズ相当未満の温度とし、好ましくは106〜188ポアズ相当とする。
なお、軟化したガラス素材を搬送して下成形型上に配置するときには、ガラス素材が搬送部材に接触して、表面に欠陥が起きると、成形される光学素子の面形状に影響するため、軟化したガラス素材を気体により浮上させた状態で搬送し、下成形型上にガラス素材を落下させる治具を用いることが好ましい。
素材供給工程は、できるだけ短時間であることが好ましいが、例えば、約1〜5秒間とする。
上型及び下型とガラス素材がそれぞれ所定の温度範囲にあり、ガラス素材が加熱軟化した状態で、下母型411bを第一位置まで上昇させて上下成形型を圧接(密着)・加圧し、上下成形型の成形面を転写することによって、所定面形状をもったガラス光学素子を成形する。下型の上昇は、駆動手段(例えばサーボモータ)を作動させて行う。ガラス素材が加熱軟化した状態で供給される場合には、供給後直ちに加圧が行われる。
加圧のための下型の上昇ストロークは、予め、成形する光学素子の肉厚から設定された値であり、この後の冷却工程においてガラスが熱収縮する分を見込んで定めた量とする。加圧のスケジュールは、成形する光学素子の形状や大きさに応じて任意に設定することができ、初期加圧の後、荷重を開放したのち、二次加圧を行うなどの、複数回の加圧方法を採用することもできる。
なお、加圧工程が開始されたら、加熱コイル410a、410bへの電流供給を遮断することが、生産サイクルタイムを短縮する上で好ましい(図7(c)参照)。これにより上下母型の温度上昇を停止させ、冷却に向かうことができる。
加圧工程は、できるだけ短時間であることが好ましいが、例えば、約1〜10秒間とする。
加圧を維持したまま、あるいは加圧を減じた状態で、成形されたガラス光学素子と成形型の密着を保ち、ガラスの粘度で1012ポアズ相当の温度になるまで冷却したのち、離型する。離型温度は、1012.5ポアズ相当の温度以下が好ましく、さらには1012.5〜1013.5ポアズ相当の温度範囲が、生産サイクルタイムの短縮の観点から好ましい。この場合も、下母型411bは、第一位置にあるが、第一加熱コイル410b−1への電流供給、すなわち加熱は行わない。なお、上母型411aに対する加熱も行わない(図7(d)参照)。
一方、ガラス素材の組成(リン酸塩ガラス、ホウ酸ガラスなど)に依存し、又は、光学素子の形状(凹メニスカスレンズなど)に依存して、割れの生じやすい光学素子を形成する場合には、加圧工程開始後に、加熱コイル410a、410b−1への電流供給を継続しつつ、降温することができる。このような場合には、上下の母型が接触した状態で、自在の温度制御が行える本発明の加熱装置の効果が顕著である。
冷却工程に要する時間は、光学素子の形状、肉厚、径、必要な面精度等に応じて任意に設定するが、例えば、約25〜40秒間である。
吸着部材を備えた取り出しアーム等により、離間した上下成形型の間から成形されたガラス光学素子を自動的に取り出す。このとき、下母型411bは第二位置まで下降する。そして、再び、上型電源416aから上型加熱コイル410aに電流が供給されるとともに、下型電源416bから切替器420を介して下型の第二加熱コイル410b−2に電流が供給され、両加熱コイルによって上母型と下母型との加熱を行う。すなわち、次成形サイクルのため上下母型の昇温を開始する(図7(e)参照)。
取り出し工程は、例えば、約1〜6秒間である。
なお、本実施形態では、上型を固定とし下型を移動型としたが、上型を移動型とし下型を固定としてもよく、あるいは、上型と下型の両方を移動型としてもよい。
実施例1
図1〜3に示すプレス成形装置を用いて、図7(a)〜(e)の工程によりバリウムホウケイ酸ガラス(転移点515℃、屈伏点545℃)の扁平球プリフォームをプレスし、外径18mmの両凸レンズ(一面が球面、他の一面が非球面、球面の曲率半径は50mm、非球面の近軸曲率半径は28.65mm、中心厚は2mm)を製造した例を以下に示す。
このレンズは、周辺につば状の平坦部を有し、この部分の最大厚と最小厚を比較することで、上型と下型の軸の傾き、すなわち成形ティルトが測定できる。
上記加熱工程(a)により、上下母型を加熱すると同時に、ガラスプリフォームは、図示しない別の場所の加熱炉にて、図6に示す開閉可能な支持アーム上の割型式浮上皿(グラシーカーボン製)上で、下方から噴出する気流により浮上させながら加熱軟化させた。浮上皿を分割することによりプリフォームを下成形型に落下供給した。このときプリフォーム及び型の予熱温度は、625℃(ガラス粘度で107ポアズ相当)、580℃(ガラス粘度で108.5ポアズ相当)であった。落下供給直後、支持アームを後退させ下母型を上昇させてプレス(圧力は150kg/cm2)を開始した。
加圧開始後は加熱をせずに、上下の母型が当接するまでプレスした。次いで、窒素ガスを母体側面に噴射すると同時に、母型内に窒素ガスを流通させ、冷却開始した。
また、上下の加熱手段が独立しているため、母型の反りが抑止され、両端の成形型によるレンズの光学性能が劣化せず、安定生産が可能となった。
また、母型の熱変形が抑止されたため、上下型が接近するときの位置決め部材のクリアランスを小さくしても、嵌合不良や摩擦が起きない。結果として、上下成形型の同軸性が改善され、成形されるレンズの偏心精度をさらに上げることができた。
したがって、例えば、偏心精度の極めて厳しい、光ピックアップの対物レンズに本発明を適用することも可能である。
20 加熱室
40 成形室
41 プレス装置
410a 上型加熱コイル
410b−1 下型第一加熱コイル
410b−2 下型第二加熱コイル
411a,411b 母型
413a,413b 成形型
416a,416b 高周波電源
417a,417b 温度制御部
410a,418b 温度センサ
420 切替器
430 時分割制御部
Claims (7)
- 対向して配置され、少なくとも一方が移動する上型及び下型と、前記上型及び下型をそれぞれ誘導加熱する加熱コイルを備えた上型加熱手段及び下型加熱手段とを有するモールドプレス成形装置において、
前記移動する型の前記加熱手段が、他方の型に近接又は接触した第一位置における型を加熱する第一加熱コイルと、前記第一位置より、他方の型から離れた第二位置まで移動した前記型を加熱する第二加熱コイルと、前記第一加熱コイルと第二加熱コイルに対し、電源からの電流を選択的に通電する切替手段とを有することを特徴としたモールドプレス成形装置。 - 前記上型加熱手段及び下型加熱手段が、それぞれ一個の独立した電源を有することを特徴とした請求項1に記載のモールドプレス成形装置。
- 請求項1又は2に記載のモールドプレス成形装置を用いた成形方法において、前記移動する型が、前記第一位置にあるときは前記第一加熱コイルに通電し、前記第二位置にあるときは前記第二加熱コイルに通電することを特徴としたモールドプレス成形方法。
- 前記移動する型が第一位置にあるときにこの第一位置における型を加熱する第一加熱コイルと、他方の型を加熱する加熱コイルにそれぞれ異なる周波数で通電することを特徴とした請求項3記載のモールドプレス成形方法。
- 前記移動する型が第一位置にあるときにこの第一位置における型を加熱する第一加熱コイルと、他方の型を加熱する加熱コイルに時分割して通電することを特徴とした請求項3記載のモールドプレス成形方法。
- 対向して配置した上型及び下型のうち、一方が固定型で他方が移動する型の場合において、前記固定型の加熱コイルと、前記第二位置における移動する型を加熱する第二の加熱コイルを、同時に通電することを特徴とした請求項5に記載のモールドプレス成形方法。
- 相互に近接または接触した状態の前記上型及び下型を加熱する型加熱工程と、前記上型及び下型を開き、その間にあらかじめ加熱させた光学素子素材を供給する素材供給工程と、前記上型及び下型を加圧して光学素子をプレス成形する成形工程、及び、前記上型と下型を開き、その間から成形された光学素子を取り出す取出し工程とを含む光学素子の製造方法において、
請求項3〜6のいずれかに記載のモールドプレス成形方法を用いて光学素子の製造を行うことを特徴とする光学素子の製造方法。
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