JP2005008433A - ディスプレイ用前面基板 - Google Patents

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Yasuo Yamamoto
泰生 山本
Kazuyuki Iguchi
一行 井口
Toshifumi Tsujino
敏文 辻野
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Abstract

【課題】第1の目的は、カレット原料として再利用可能であって、耐酸性及び耐塩基性や光遮蔽性に優れ、歪みが少ない着色膜付きガラス基板を提供することにある。第2の目的は、第1の目的に加え多機能フィルムの貼り付けにおいても外観を損なわない着色膜付きガラス基板を提供することにある。さらに第3の目的は、第1の目的及び第2の目的に加えて着色膜に導電性を持った着色膜付きガラス基板を提供することにある。
【解決手段】ディスプレイ用前面基板の着色膜の着色成分にブラックカーボンを使用した。このブラックカーボンは、ディスプレイ用前面基板を再利用のために溶解する際に焼失してしまう。従って、このディスプレイ用前面基板は、例えば、フロートガラス等のカレット原料として再利用することができる。このディスプレイ用前面基板をプラズマディスプレイパネル1の光学フィルタ2に具体化した場合、着色膜は、光遮蔽部3を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイ用前面基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フラットパネルディスプレイの一形態として、プラズマディスプレイパネル(PDP)が広く知られている。一般にPDPには、電磁波遮断又はコントラスト改善等の目的からその前面にディスプレイ用前面基板から構成される光学フィルタが取り付けられている。この光学フィルタには、そのディスプレイ用前面基板の周縁部に光遮蔽部が設けてあって、この光遮蔽部によってPDP基板の周囲(映像表示部の外縁)に形成される配線部又は部品等を隠している。
【0003】
通常、この種の光遮蔽部は、光学フィルタのガラス基板の周縁部に光遮蔽性を有する着色膜を形成することで構成されている。この着色膜には、遷移金属酸化物(CuO、NiO等)又は遷移金属(ガラスの着色剤であって、Cr、Fe、Co、Ni、Cu等のこと。)を含有させることによって、着色するとともに、紫外線遮蔽、熱線吸収等の性能を付与にしている。
【0004】
しかしながら、このような遷移金属酸化物又は遷移金属を多量に含有する着色膜が形成された光フィルタを、カレット原料として再溶融して再利用する場合、カレット原料は多量の遷移金属酸化物又は遷移金属を含有することになる。従って、このカレット原料から製造されたガラス製品には、遷移金属酸化物又は遷移金属による光学特性(透明度、或いは着色されてしまう等)への影響が強く出ることとなる。
【0005】
このため、この光遮蔽部を有する光学フィルタを再利用する際には、ガラスの分別が必要となる。又例え分別したとしても、このような着色成分(遷移金属酸化物又は遷移金属)を含むカレット原料を透明なガラスの製造に再利用することはできず、廃棄するか又は路面材等の他の用途に間接的に利用することしかできなかった。
【0006】
一方、新たな着色膜の組成物として、例えばP系、アルカリ金属酸化物−ZnO−B−SiO系の組成物が種々提案されている(特許文献1〜特許文献5。)。
【0007】
特許文献1では、着色膜に起因する遷移金属の含有量が、着色膜付きガラスを再溶融した際の同ガラスに対して重量%換算で100ppm以下に抑えれば、カレット原料としてフロートガラスに用いた場合にも、フロートガラスが着色することがないとしている。
【0008】
特許文献2では、ガラスの組成をモルパーセントで計算して、25〜50%のPと、30〜70%のSnOと、0〜15%のZnOと、25%までのRO、20%までのB、5%までのAl、5%までのSiO、及び5%までのWOからなる群を設定している。この群より選択される合計が25%までの指示した割合の少なくとも1つの効果的な量の安定化酸化物とから実質的になり、SnO:ZnOのモル比がSnOの観点から見て5:1より大きく、ROが0〜25%のLiO、0〜25%のNaO、及び0〜25%のKOからリン酸スズガラスを組成している。このリン酸スズガラスを基にして、鉛が不含有の中温(350℃〜450℃)シーリングガラスを提供している。
【0009】
特許文献3では、ガラスの組成がモルパーセントで計算して、LiOとNaOとKOの合計量が5〜25%、ZnOとMgOの合計量が35〜55%、Pの量が20〜35%、Alの量が1〜5%、Bの量が8〜20%としている。これによって、低融点のガラスであって、成形性が良好かつ耐水性にも優れるガラスを提供している。
【0010】
特許文献4では、組成がモルパーセントで計算して、Pの量が10〜70%、WOが20〜80%、LiOが0〜40%、NaOが0〜40%、LiOとNaOの合計量が0.1〜40%であって、鉛を不含有で低融点のフリット組成物を提供している。
【0011】
特許文献5では、セラミックカラー組成物の組成を、無機成分が着色耐熱性顔料粉末5〜40重量%、亜鉛含有ガラス粉末60〜95重量%、耐火物フィラー粉末0〜20重量%としている。そして、前記亜鉛含有ガラスは本質的に重量%表示で、SiOが27〜40%、Bが10〜20%、ZnOが35〜45%、LiOが0〜5%、NaOが0〜10%、KOが0〜5%、LiOとNaOとKOとの合計量が0〜15%としている。これによって、鉛、カドミウム及びビスマスを含まず、ガラス板の強度が損なわれることなく、型離れ性に優れたセラミック組成物を提供している。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−253731号公報
【特許文献2】
特開平7−69672号公報
【特許文献3】
特開平8−183632号公報
【特許文献4】
特開平9−208259号公報
【特許文献5】
特開平8−133784号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1〜5を含む上述したそれぞれの組成物には、耐酸性や膨張係数等の問題点がある。特に、P系組成物ではPとアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類酸化物等で構成される。このため、これらを着色膜としてガラス基板に形成すると、その膨張係数が基板として多く用いられるフロートガラスの膨張係数と比較して大きくなってしまう。このような着色膜とガラス基板の膨張係数の差は、ガラス基板を熱して冷却する際の歪みの原因となり、ガラス基板の変形及び割れなどを引き起こしてしまう。
【0014】
また、アルカリ金属酸化物−ZnO−B−SiO系組成物では、TiOなどの耐酸性を向上させる成分が含まれずに、B及びZnO等が多量に含まれていることにより、耐酸性の低下が生じてしまう。
【0015】
一般にフロートガラスでは、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、SiOを主成分として含んでいる。そのため、着色膜付きのガラス基板をフロートガラスのカレット原料として使用するためには、フロートガラスに一般的に含まれない成分(例えば、TiO,ZnO,ZrO,P,La等)を含まないようにしなければならない。
【0016】
一方、セラミックカラー(セラミック組成物)の着色膜が形成された光学フィルタでは、P、ZnO、B等を含んでいるので、フロートガラスのカレット原料としての再利用が困難である。従って、このような光学フィルタでは再利用することができずに、産業廃棄物として処理せざるを得なかった。
【0017】
近年では、環境保全の観点からセラミックカラーの材料に鉛を含ませないことが求められている。このような鉛を含まないセラミックカラーの材料では、光遮蔽性が悪く、適切な光遮蔽性を得るためには、着色膜の膜厚を厚くする必要があった。しかしながら、これに従って膜厚を厚くした場合には、ガラス基板に光学フィルタとしての機能を付与するために多機能フィルムを張る際に、ガラス基板上の着色膜の形成部と非形成部との段差にエアーを巻き込んでしまい外観を損なっていた。
【0018】
また、ガラス基板に多機能フィルムとして電磁波防止フィルムを貼り付ける場合、セラミックカラーの着色膜には導電性がなく電気を逃がしにくいので、着色膜上にバスバー(Agペースト)をスクリーン印刷等で形成して強化処理の際に焼き付けていた。或いは、銅箔テープを貼り付ける必要があって、製造コストがかかっていた。
【0019】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものである。
その第1の目的は、カレット原料として再利用可能であって、耐酸性及び耐塩基性や光遮蔽性に優れ、歪みが少ないディスプレイ用前面基板を提供することにある。第2の目的は、第1の目的に加え多機能フィルムの貼り付けにおいても外観を損なわないディスプレイ用前面基板を提供することにある。さらに第3の目的は、第1の目的及び第2の目的に加えて着色膜に導電性を持ったディスプレイ用前面基板を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、酸化物を主成分とする着色膜をガラス基板の表面の一部に被覆したディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、ケイ素酸化物と、少なくとも1種類以上のアルカリ金属酸化物と、炭素を主成分とする微粒子とを含むことを要旨とする。
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、着色膜は、ケイ素酸化物と、少なくとも1種類以上のアルカリ金属酸化物と、炭素を主成分とする微粒子とを含む。これによって、ディスプレイ用前面基板はその周縁部に光遮蔽性を有することができる。
【0022】
また、一般に、フロートガラスは、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、SiOを主成分として含んでいる。従って、本発明のディスプレイ用前面基板は、一般にフロートガラスが含んでいない成分(TiO,ZnO,ZrO,P,La等)を含まないので、フロートガラスのカレット原料として再利用することができる。また、この着色膜は、遷移金属酸化物又は遷移金属を用いないで炭素を主成分としている。炭素を主成分とする着色剤としては、例えば、炭素のみで構成される黒鉛(グラファイト)、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料を上げることができる。従って、カレット原料として溶融炉に入れられた際に、着色剤(炭素)は、二酸化炭素となって揮発する。このため、このカレット原料から製造されるガラス製品は、着色されることが無いので、再利用するのに最適である。さらに、このようなディスプレイ用前面基板は、酸又は水に接触させる脱アルカリ処理をすることにより、耐水性及び耐湿性を向上させることができる。また、着色膜にはアルカリ金属酸化物及び着色剤(微粒子)が含まれるため、ケイ素酸化物だけで構成される膜よりその収縮量を低く抑えることができる。これによって重ね塗りしなくても厚膜を形成できる。このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0023】
さらに、このディスプレイ用前面基板は、少なくとも1種類以上のアルカリ金属酸化物を共存させることにより、着色膜に耐湿性と化学耐久性を付与することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、質量%換算で表わして、前記ケイ素酸化物を40〜90%と、前記アルカリ金属酸化物を0.1〜25%と、前記微粒子を3〜45%とを含むことを要旨とする。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、着色膜は、質量%換算で表わして、ケイ素酸化物を40〜90%と、アルカリ金属酸化物を0.1〜25%と、微粒子を3〜45%とを含む。
【0026】
ケイ素化合物は着色膜の骨格となり、40%未満では着色膜の強度が低下し、さらに耐アルカリ性の低下も引き起こしてしまうので好ましくない。またさらに、着色膜はガラスと異なり、熱膨張起因による収縮のみではなく、水分蒸発による収縮をもたらす。水分蒸発による収縮はアルカリ依存で抑制され、熱膨張由来の収縮が支配的になるためケイ素酸化物を90%以下にすることが好ましい。
【0027】
アルカリ金属酸化物が0.1%未満では、ガラス及び着色膜の強度の低下や耐水性及び耐湿性を低下させる。25%超では、熱膨張係数が大きくなりすぎ、乾燥及び焼成時に膜の収縮量が大きくなる。この結果、着色膜にクラックが発生しやすくなってしまう。従って、好ましくは25%以下である。
【0028】
炭素を主成分とする微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対する割合により、膜強度や耐アルカリ性に影響を及ぼす。従って、微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対して所定量を含有することが好ましい。具体的には3〜45%であることが好ましい。
【0029】
また、このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0030】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、質量%換算で表わして、前記ケイ素酸化物を49〜73%と、前記アルカリ金属酸化物を11〜23%と、前記微粒子を16〜40%とを含むことを要旨とする。
【0031】
請求項3に記載の発明によれば、着色膜は、質量%換算で表わして、ケイ素酸化物を49〜73%と、アルカリ金属酸化物を11〜23%と、微粒子を16〜40%とを含む。
【0032】
ケイ素化合物は着色膜の骨格となり、40%未満では着色膜の強度が低下し、さらに耐アルカリ性の低下も引き起こしてしまうので好ましくない。そこで49%以上とすることが好ましい。またさらに、着色膜はガラスと異なり、熱膨張起因による収縮のみではなく、水分蒸発による収縮をもたらす。水分蒸発による収縮はアルカリ依存で抑制され、熱膨張由来の収縮が支配的になるためケイ素酸化物を90%以下にすることが好ましい。さらに、73%以下とすることがより好ましい。
【0033】
アルカリ金属酸化物が0.1%未満では、ガラス及び着色膜の強度の低下や耐水性及び耐湿性を低下させる。より好ましくは11%以上である。25%超では、熱膨張係数が大きくなりすぎ、乾燥及び焼成時に膜の収縮量が大きくなる。この結果、着色膜にクラックが発生しやすくなってしまう。従って、好ましくは25%以下であり、より好ましくは23%以下である。
【0034】
炭素を主成分とする微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対する割合により、膜強度や耐アルカリ性に影響を及ぼす。従って、微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対して所定量を含有することが好ましい。具体的には3〜45%であることが好ましく、16〜40%であることがより好ましい。また、このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0035】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、質量%換算で表わして、前記ケイ素酸化物を54〜89%と、前記アルカリ金属酸化物を0.1〜5%と、前記微粒子を10〜45%とを含むことを要旨とする。
【0036】
請求項4に記載の発明によれば、着色膜は、質量%換算で表わして、ケイ素酸化物を54〜89%と、アルカリ金属酸化物を0.1〜5%と、微粒子を10〜45%とを含む。
【0037】
ケイ素化合物は着色膜の骨格となり、40%未満では着色膜の強度が低下し、さらに耐アルカリ性の低下も引き起こしてしまうので好ましくない。好ましくは、54%以上である。またさらに、着色膜はガラスと異なり、熱膨張起因による収縮のみではなく、水分蒸発による収縮をもたらす。水分蒸発による収縮はアルカリ依存で抑制され、熱膨張由来の収縮が支配的になるためケイ素酸化物を89%以下にすることが好ましい。
【0038】
アルカリ金属酸化物が0.1%未満では、ガラス及び着色膜の強度の低下や耐水性及び耐湿性を低下させる。25%超では、熱膨張係数が大きくなりすぎ、乾燥及び焼成時に膜の収縮量が大きくなる。この結果、着色膜にクラックが発生しやすくなってしまう。従って、好ましくは25%以下であって、5%以下とするとより好ましい。
【0039】
炭素を主成分とする微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対する割合により、膜強度や耐アルカリ性に影響を及ぼす。従って、微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対して所定量を含有することが好ましい。具体的には3〜45%であることが好ましく、10〜45%とするとより好ましい。また、このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0040】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載のディスプレイ用前面基板において、前記アルカリ金属酸化物が少なくとも2種のアルカリ金属酸化物を含むことを要旨とする。
【0041】
請求項5に記載の発明によれば、ディスプレイ用前面基板は、アルカリ金属酸化物を少なくとも2種含む。一般に、混合アルカリ効果と呼ばれる現象は、アルカリの一部を他のアルカリで置換すると、アルカリの総量が一定であっても、その性質が加成則から大きくずれるというものである。この混合アルカリ効果により大きく変化する性質としては、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性に代表される化学的耐久性や、拡散係数等が挙げられる。アモルファスでガラス質な着色膜においては、混合アルカリ効果を発現することによりアルカリの易移動度が低下し、アルカリ溶出が抑制され、これにより耐湿性を改善することができる。
【0042】
これによって、アルカリ金属酸化物を2種以上含ませることによって、耐湿性及び化学耐久性(耐酸性・耐アルカリ性)に優れ、硬質な着色膜を得ることができる。また、このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0043】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のディスプレイ用前面基板において、前記アルカリ金属酸化物が、ナトリウムと、カリウム及びリチウムから選ばれる少なくとも1種とを含むことを要旨とする。
【0044】
請求項6に記載の発明によれば、アルカリ金属酸化物が、ナトリウムと、カリウム及びリチウムから選ばれる少なくとも1種とを含む。カリウム又はリチウムは、ナトリウムと共存させると、着色膜に耐湿性と化学耐久性を付与することができる。このように構成したディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのが好適である。
【0045】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、質量%換算で表わして、NaOを1〜18%と、KOを0〜18%と、LiOを0〜10%と、KO+LiOを0.1〜19%と、SiOを40〜70%と、前記微粒子を15〜40%とを含むことを要旨とする。
【0046】
請求項7に記載の発明によれば、着色膜は、質量%換算で表わして、NaOを1〜18%と、KOを0〜18%と、LiOを0〜10%と、KO+LiOを0.1〜19%と、SiOを40〜70%と、微粒子を15〜40%とを含む。
【0047】
NaOは、その含有量が1%未満では、着色膜の耐アルカリ性が低下し、また膨張係数が小さくなりすぎることで、ガラス及び着色膜の強度の低下を引き起こすため好ましくない。一方、NaOの含有量が18%超では、膨張係数が大きくなりすぎ、乾燥及び焼成時における膜の収縮量が大きくなり、着色膜にクラックが発生しやすくなるため好ましくない。
【0048】
O又はLiOは、NaOと共存させることにより、着色膜に耐湿性と化学耐久性を付与する。KOとLiOの合計量が0.1%未満では、耐水性及び耐湿性を低下させる。19%超では、熱膨張係数が大きくなりすぎ、NaOと同様に、乾燥及び焼成時に膜の収縮量が大きくなる。この結果、着色膜にクラックが発生しやすくなってしまう。各成分の含有量としては、KOの含有量は好ましくは18%以下であり、LiOの含有量は好ましくは10%以下である。
【0049】
SiOは必須成分であり、骨格となる。40%未満では着色膜の強度が低下し、さらに耐アルカリ性の低下も引き起こしてしまうので好ましくない。70%超では、熱膨張係数が小さくなる。またさらに、着色膜はガラスと異なり、熱膨張起因による収縮のみではなく、水分蒸発による収縮をもたらす。水分蒸発による収縮はアルカリ依存で抑制され、熱膨張由来の収縮が支配的になるためSiOを70%以下にすることが好ましい。
【0050】
炭素を主成分とする微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対する割合により、膜強度や耐アルカリ性に影響を及ぼす。従って、微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対して所定量を含有することが好ましい。具体的には15〜40%であることが好ましい。また、このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0051】
請求項8に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、質量%換算で表わして、NaOを5〜15%と、KOを0〜11%と、LiOを0〜5%と、KO+LiOを1〜12%と、SiOを50〜70%と、前記微粒子を15〜35%とを含むことを要旨とする。
【0052】
請求項8に記載の発明によれば、着色膜は、質量%換算で表わして、NaOを5〜15%と、KOを0〜11%と、LiOを0〜5%と、KO+LiOを1〜12%と、SiOを50〜70%と、微粒子を15〜35%とを含む。
【0053】
NaOは、その含有量が1%未満では、着色膜の耐アルカリ性が低下し、また膨張係数が小さくなりすぎることで、ガラス及び着色膜の強度の低下を引き起こすため好ましくない。より好ましい含有量は、5%以上である。一方、NaOの含有量が18%超では、膨張係数が大きくなりすぎ、乾燥及び焼成時における膜の収縮量が大きくなり、着色膜にクラックが発生しやすくなるため好ましくない。より好ましくは15%以下である。
【0054】
O又はLiOは、NaOと共存させることにより、着色膜に耐湿性と化学耐久性を付与する。KOとLiOの合計量が0.1%未満では、耐水性及び耐湿性を低下させる。好ましくは1%以上である。19%超では、熱膨張係数が大きくなりすぎ、NaOと同様に、乾燥及び焼成時に膜の収縮量が大きくなる。この結果、着色膜にクラックが発生しやすくなってしまう。好ましくは、12%以下である。各成分の含有量としては、KOの含有量は好ましくは18%以下、より好ましくは11%以下であり、LiOの含有量は好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0055】
SiOは必須成分であり、骨格となる。40%未満では着色膜の強度が低下し、さらに耐アルカリ性の低下も引き起こしてしまうので好ましくない。より好ましくは50%以上である。70%超では、熱膨張係数が小さくなる。またさらに、着色膜はガラスと異なり、熱膨張起因による収縮のみではなく、水分蒸発による収縮をもたらす。水分蒸発による収縮はアルカリ依存で抑制され、熱膨張由来の収縮が支配的になるためSiOを70%以下にすることが好ましい。
【0056】
炭素を主成分とする微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対する割合により、膜強度や耐アルカリ性に影響を及ぼす。従って、微粒子は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対して所定量を含有することが好ましい。具体的には15〜40%であることが好ましく、さらに好ましくは35%以下である。また、このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0057】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜には、遷移金属或いは遷移金属化合物が実質的に含まれていないことを要旨とする。
【0058】
請求項9に記載の発明によれば、着色膜の着色成分として炭素を主体とする微粒子を用いているので、ディスプレイ用前面基板には、遷移金属或いは遷移金属酸化物を実質的に含ませる必要がない。従って、このディスプレイ用前面基板には遷移金属或いは遷移金属酸化物を含ませないので、例えば、フロートガラスのカレット原料として再利用することができる。尚、「実質的に含まない」とは意図して含有させないことを意味し、原料などから意図せずに混入する不純物レベルの含有は許容する。また、このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0059】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜には、鉛(Pb)或いは鉛化合物が実質的に含まれていないことを要旨とする。
【0060】
請求項10に記載の発明によれば、着色膜には、鉛(Pb)或いは鉛化合物が実質的に含まれていない。着色膜の着色成分として炭素を主体とする微粒子を用いたことによって、着色膜は、光遮蔽性も備えるので、ディスプレイ用前面基板には、鉛を実質的に含ませる必要がない。従って、このディスプレイ用前面基板には鉛を含ませないので、環境保全の観点から非常に有用である。このように構成したディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのが好適である。
【0061】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記微粒子は、カーボンブラック微粒子であることを要旨とする。
【0062】
請求項11に記載の発明によれば、微粒子(炭素を主成分とする)は、カーボンブラック微粒子である。このカーボンブラック微粒子としては、例えばアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック(ライオン株式会社の商標名)がある。一般に、フロートガラスは、通常原材料を1000℃以上に加熱して溶融し、さらに成形して製造される。このことから、カーボンブラック微粒子は、1000℃以上又はそれ以下の温度でも酸素と反応して二酸化炭素となって揮発するので、これを含むカレット原料をフロートガラスの製造に用いたとしても、その製造の際に揮発してしまい、製造されるガラスが着色されてしまうことは無い。従って、カーボンブラック微粒子は着色膜が含む微粒子として望ましい形態である。このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0063】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、その膜厚が15μm以下であることを要旨とする。
【0064】
請求項12に記載の発明によれば、ディスプレイ用前面基板において、着色膜の膜厚は15μm以下である。着色膜にはアルカリ金属酸化物及び微粒子が含まれるため、ケイ素酸化物だけで構成される膜よりその収縮量を低く抑えることができ、15μm以下の膜厚を形成することができる。膜厚を15μm以下にすることによって、着色膜を被覆するように電磁波遮断フィルム等の多機能フィルムを張る際に着色膜の形成部と非形成部との段差にエアーを巻き込みによる外観を損ねることを低減することができる。このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0065】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、その光遮蔽性が透過濃度で表わして3.2以上であることを要旨とする。
【0066】
請求項13に記載の発明によれば、着色膜の光遮蔽性は、透過濃度で3.2以上であるので、光を十分に遮蔽することができる。従って、ディスプレイ用前面基板は、その周辺部に光遮蔽部を形成することができる。このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0067】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、その導電性が1×10−4Ω−1以上であることを要旨とする。
【0068】
請求項14に記載の発明によれば、着色膜の導電性が、1×10−4Ω−1以上を有している。従って、このディスプレイ用前面基板に、例えば電磁波防止フィルム等を貼り付ける場合、着色膜上に電気を逃がすためのバスバー(Agペースト)をスクリーン印刷する必要や、或いは、銅箔テープを貼り付ける必要が無い。従って、製造コストの低減を実現することができる。このように構成されたディスプレイ用前面基板は、フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0069】
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記ディスプレイ用前面基板は、その反りが0.2%以下であることを要旨とする。
【0070】
請求項15に記載の発明によれば、ディスプレイ用前面基板は、その反りが0.2%以下である。これは、上述した着色膜の線膨張率が、ガラス基板の線膨張率と近いためである。これによって、焼成等の熱処理工程後も、ガラス基板に対する残留の応力が小さくなる。このディスプレイ用前面基板は、反りが小さいことから、フラットパネルディスプレイ、特に、PDP(プラズマディスプレイパネル)に用いるのに好適である。
【0071】
請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、前記着色膜は、前記ガラス基板の表面の周縁部に被覆したことを要旨とする。
【0072】
請求項16に記載の発明によれば、ガラス基板の周縁部に着色膜を被覆した。従って、例えばディスプレイ用前面基板をフラットパネルディスプレイの光学フィルタに使用した場合、ガラス基板の周縁部に被覆された着色膜は、フラットパネルディスプレイの表示部周辺に形成される配線部を隠すことができる。また、この光学フィルタは、カレット原料として再利用することができる。このように構成されたディスプレイ用前面基板は、特にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるのに好適である。
【0073】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のディスプレイ用前面基板を具体化した実施形態について説明する。
【0074】
本実施形態のディスプレイ用ガラス基板では、ガラス基板の表面上(周縁部)に着色膜を形成した着色膜付きガラス基板となっている。
この着色膜の着色成分には、ケイ素酸化物としてケイ酸ナトリウム溶液、アルカリ金属酸化物としてコロイダルシリカ、炭素を主体とする微粒子としてカーボンブラック微粒子を使用する。このカーボンブラック微粒子としては、例えばアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック(ライオン株式会社の商標名)がある。一般に、フロートガラスは、通常原材料を1000℃以上に加熱して溶融し、さらに成形して製造される。このことから、カーボンブラック微粒子は、1000℃以上又はそれ以下の温度でも酸素と反応して二酸化炭素となって揮発するので、これを含むカレット原料をフロートガラスの製造に用いたとしても、その製造の際に揮発してしまい、製造されるガラスが着色されてしまうことは無い。従って、カーボンブラック微粒子は着色膜が含む微粒子として望ましい形態である。
【0075】
また、本実施形態の着色膜の組成では、アルカリ金属酸化物(コロイダルシリカ)としてNaO、KO、LiOを含む。
NaOは、その含有量が1%未満では、着色膜の耐アルカリ性が低下し、また膨張係数が小さくなりすぎることで、ガラス及び着色膜の強度の低下を引き起こすため好ましくない。より好ましい含有量は、5%以上である。一方、NaOの含有量が18%超では、膨張係数が大きくなりすぎ、乾燥及び焼成時における膜の収縮量が大きくなり、着色膜にクラックが発生しやすくなるため好ましくない。より好ましくは15%以下である。
【0076】
O又はLiOは、NaOと共存させることにより、着色膜に耐湿性と化学耐久性を付与する。KOとLiOの合計量が0.1%未満では、耐水性及び耐湿性を低下させる。好ましくは1%以上である。19%超では、熱膨張係数が大きくなりすぎ、NaOと同様に、乾燥及び焼成時に膜の収縮量が大きくなる。この結果、着色膜にクラックが発生しやすくなってしまう。好ましくは、12%以下である。各成分の含有量としては、KOの含有量は好ましくは18%以下、より好ましくは11%以下であり、LiOの含有量は好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0077】
また、本実施形態の着色膜は必須成分としてSiOを含み、このSiOは着色膜形成の上で骨格となる。SiOの含有量は、40%未満では着色膜の強度が低下し、さらに耐アルカリ性の低下も引き起こしてしまうので好ましくない。より好ましくは50%以上である。70%超では、熱膨張係数が小さくなる。またさらに、着色膜はガラスと異なり、熱膨張起因による収縮のみではなく、水分蒸発による収縮をもたらす。水分蒸発による収縮はアルカリ依存で抑制され、熱膨張由来の収縮が支配的になるためSiOを70%以下にすることが好ましい。
【0078】
上記をふまえて、炭素を主成分とする微粒子(本実施形態ではカーボンブラック微粒子)は、アルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対する割合により、着色膜の膜強度や耐アルカリ性に影響を及ぼす。従って、微粒子はアルカリ金属酸化物及びケイ素酸化物に対して所定量を含有することが好ましい。具体的には15〜40%であることが好ましく、さらに好ましくは35%以下である。
【0079】
次に、着色膜形成用の液組成物の塗布方法としては、例えばディップコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、刷毛塗り、スクリーン印刷、インクジェット、メタルマスク等が挙げられる。そして、これら塗布方法によって、ガラス基板の主表面の周縁部に液組成物を塗布した後、焼成工程を経て、着色膜を形成する。
【0080】
着色膜付きガラス基板の製造方法については、焼成工程に先立ち、前乾燥工程を含むことが好ましい。この前乾燥工程は、室温〜250℃の温度で乾燥を行うことが好ましく、乾燥時間は必要に応じて24時間以内とするとよい。このとき、大気雰囲気下での250℃以上の乾燥を行うと、カーボンブラックの燃焼を引き起こすため好ましくない。また、前乾燥工程での乾燥が不十分な場合には、着色膜が発泡しやすく、発泡に伴うクラックも生じやすくなる。従って、室温乾燥のみの場合には、長時間の乾燥が必要になる。一方、前乾燥工程の際、雰囲気が高湿の場合には、着色膜に水を吸収しやすくなるため、短時間の乾燥が好ましい。さらに、カーボンブラックの分散を十分な状態にさせた場合には、長時間の乾燥による膜の相分離は起こりにくくなり、カーボンブラックの燃焼が抑制されるため着色膜の光遮蔽性を確保できるので好ましい。
【0081】
また、前記乾燥工程は、着色膜表面の凹凸を抑制する上で、室温による第1乾燥工程と、加熱しながらの第2乾燥工程からなることが好ましい。
そして、上述した前乾燥工程の後に少なくとも500℃の温度で焼成を行うことが好ましく、さらに、この焼成工程は730℃以下の温度で行うことが好ましい。500℃以下での焼成は、ガラス基板の強化加工などの成形をする上で必要となる温度を下回ることになるため好ましくなく、730℃を超える温度ではガラス基板の変形が顕著になるため、上記の焼成温度で焼成することが望ましい。
【0082】
焼成時間は、カーボンの燃焼及び膜の強度を向上させるために、少なくとも80秒行うのが好ましい。
また、一般にケイ酸アルカリ金属を主成分とした薄膜を常温でガラス基板に形成すると、シロキシシラノール表面にアルカリ金属イオン、水酸化物イオン及び水がランダムに吸着した状態となる。これを加熱すると、縮合反応が部分的に起こることで、高分子化し、シリカのネットワーク構造が形成される。
【0083】
このように生成した膜表面には、アルカリ金属及び水酸基が存在しており、さらにそこに水が存在すると、アルカリ金属イオンが選択的に溶出して、膜表面を白華させる。これを防ぐために、着色膜表面を例えば酸溶液に接触させる脱アルカリ処理を行うことで、アルカリ金属を減少除去させて、ケイ酸分子が重合及び縮合による膜の不溶化を生じさせると良い。これにより、着色膜の耐水性及び耐湿性を格段に向上させることができる。
【0084】
脱アルカリ処理で使用する酸は、特に限定されていないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸などの、Arrhenius、Bronsted−Lowry、Lewis、Cady&Elsey等で定義されている酸を挙げることができる。さらに処理方法は、特に限定されるものではなく、例えば酸溶液への浸漬、酸溶液で湿らした布での払拭などが挙げられる。
【0085】
またさらに、脱アルカリ処理前後にNaOH、Ca(OH)、Al(OH)などの塩性溶液または水に接触させて中和処理すると好ましく、さらに着色膜表面の余分な水分は布などで拭き取ることが好ましい。水の場合も基本的なメカニズムは酸で処理する場合と同様である。接触させる水としては、ガラス基板を汚すことがなければ、特に限定されることなく、水道水、蒸留水、イオン交換水などが挙げられる。処理方法としては、酸と同様に水への浸漬、水で湿らした布での払拭などが挙げられる。この場合も、水処理前後にNaOH、Ca(OH)、Al(OH)などの塩基性溶液または水に接触させることが好ましく、さらに着色膜表面の水分は布などで拭き取ることが好ましい。
【0086】
次に表1〜表3に従って、第1〜第17実施形態について説明する。表1〜表3は、本発明における着色膜の組成及び成膜条件を示している。
【0087】
【表1】
Figure 2005008433
【0088】
【表2】
Figure 2005008433
【0089】
【表3】
Figure 2005008433
(第1実施形態)
本第1実施形態では、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス3号、キシダ化学製)30g、コロイダルシリカ(PC500、日産化学工業製)20g、カーボンブラック(ライオンペースト、W−311N、LION製)50gを秤量し、攪拌した。これによって、表1に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:12%、SiO:53%、カーボン:35%となる着色膜形成用の液組成物を得た。
【0090】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で40分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉に投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚を計測したところ約10μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成では、質量%に換算してNaO:16%、SiO:61%、カーボン:23%となった。
【0091】
上記した焼成後の着色膜付きガラス基板の性能試験を以下に記載するようにそれぞれ行った。
着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率を測定した。この測定には、分光光度計(島津製作所、UVPC−3100)を用いた。その結果、可視光線透過率及び紫外線透過率は、これら全ての波長域において、それぞれ0.1%以下という値を得ることができた。また、透過濃度を測定すると5以上であった。このことから、この着色膜は、良好な光遮蔽性機能を有していることがわかり、さらに着色膜付きガラス基板の周縁部には良好な光遮蔽部が形成されていることがわかる。
【0092】
着色膜付きガラス基板の歪みを評価した。このとき着色膜付きガラス基板に映る基盤目を持つパターンで評価を行う。その結果、歪みの殆ど無い良好な反射映像が得られた。その着色膜付きガラス基板を垂直に立て、辺に沿った「反り」を測定とすると、0.1%以下の良好な結果を得た。これは、着色膜の着色成分にセラミックカラーの材料を用いた場合の「反り」の0.2%〜0.3%に比べて格段と良くなっている。これは、着色膜の線膨張率がガラス基板の線膨張率と近いためである。このように構成したことによって、焼成等の熱処理工程後もガラス基板に対する残留の応力が小さい。この着色膜付きガラス基板(ディスプレイ用前面基板)は、反りが小さいことから、フラットパネルディスプレイ、特に、PDP(プラズマディスプレイパネル)に用いるのに好適である。
【0093】
次に、着色膜付きガラス基板に対して落球試験を行った。
この落球試験では、508gの鋼球を焼成後の着色膜付きガラス基板の主表面から150cmの高さに置き、静止の状態から力を加えずに、その着色膜付きガラス基板の中心部に向かって落下させた。この落球試験から「ガラス破損無し」という良好な結果を得ることができた。
【0094】
また、着色膜付きガラス基板に、反射防止フィルムを貼り付け、着色膜の形成部と、非形成部との段差部を観察した。その結果、段差部には、エアーの巻き込みによる外観の欠点の発生は無かった。これは、上記したように着色膜の膜厚が10μmであるので、ガラス基板上の着色膜の形成部と非形成部との段差部にエアーを巻き込むことがなかったためである。また、本第1実施形態では、説明の便宜上、反射防止フィルムを貼り付けたが、この限りでなく、電磁波遮断フィルム等の他のフィルムでもよい。
【0095】
次に、着色膜付きガラス基板の着色膜について導電性を測定した。
この着色膜の導電性を測定したところ、1×10−4Ω−1以上の良好な結果を得ることができた。従って、この着色膜付きガラス基板に、例えば電磁波遮断フィルム等を貼り付ける場合、着色膜上に電気を逃がすためのバスバー(Agペースト)をスクリーン印刷する必要や、或いは、銅箔テープを貼り付ける必要が無くなる。従って、製造コストの低減を実現することができる。
【0096】
一方、着色膜付きガラス基板の耐酸性及び耐アルカリ性(耐塩基性)を調べるために、以下の試験を行った。
0.1N硫酸(耐酸試験)及び0.1N水酸化ナトリウム(耐アルカリ試験)溶液中に、着色膜付きガラス板を24時間浸漬したときにおける、ガラス面及び膜面の明度変化を、分光式色彩系(日本電色工業製、SE−2000)により測定した。その結果、耐酸試験及び耐アルカリ試験において、着色膜面及び未被覆のガラス面のいずれも、明度の変化はないことがわかった。つまり、本発明による着色膜付きガラス基板は、良好な耐酸性及び耐アルカリ性を有していることがわかった。
【0097】
また、着色膜付きガラス基板の着色膜について、その硬度の評価を行った。
着色膜の硬度の評価は、テーバ−磨耗試験機(TABER INDUSTRIES 5150 ABRASER)を用い、着色膜付きガラス板に対して、500gの荷重で1000回磨耗輪を回転させて行い、試験前後で透過性の変化を測定した。その結果、本発明による着色膜は、試験前後でともに透過性に変化はなく、非常に硬度の高い膜であり、良好な耐磨耗性を有していることがわかった。
【0098】
さらに本発明による着色膜形成用の液組成物が、カレット原料としてガラス製造の際に再溶融された場合の影響を調べるために、高温溶融試験を行った。試験は、TG−DTA分析装置(リガク製、熱分析装置、TAS−100)を用い、1300℃まで10℃/分の加熱速度で前記液組成物を加熱した。
【0099】
溶融後の液組成物を目視により観察したところ、着色成分であるカーボンブラックは燃焼して焼失しており、液組成物は透明であることが確認された。この結果、本発明による着色膜は、ガラス製造の際にカレット原料に含まれたとしても、当該ガラスの着色に影響しないことがわかった。
【0100】
以上のように構成された本第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本第1実施形態では、着色膜の着色成分としてカーボンブラック微粒子を用いた。これによって、着色膜付きガラス基板には、遷移金属或いは遷移金属酸化物を実質的に含ませる必要がない。従って、この着色膜付きガラス基板は、例えば、フロートガラスのカレット原料として用いることができる。また、着色膜は着色されるとともに光遮蔽性も備えるので、着色膜付きガラス基板には、鉛を実質的に含ませる必要がない。従って、この着色膜付きガラス基板には鉛を含ませないので、環境保全の観点から非常に有用である。尚、「実質的に含まない」とは意図して含有させないことを意味し、原料などから意図せずに混入する不純物レベルの含有は許容する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、説明の便宜上、第1実施形態と差異のある部分について詳細に説明し、同一の部分については省略する。
【0101】
第2実施形態では、表1に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:19%、SiO:65%、カーボン:16%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0102】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で30分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を680℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を120秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚を計測したところ10μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:12%、SiO:75%、カーボン:13%となった。
【0103】
上記した焼成後の着色膜付きガラス基板の性能試験を以下に記載するようにそれぞれ行った。
着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率を第1実施形態と同様に測定した。その結果、可視光線透過率及び紫外線透過率は、これら全ての波長域において、それぞれ0.1%以下という値を得ることができ、また透過濃度を測定すると5以上であった。このことから、この着色膜は、良好な光遮蔽性機能を有していることがわかり、さらに着色膜付きガラス基板の周縁部には良好な光遮蔽部が形成されていることがわかる。
【0104】
第1実施形態と同様に、ガラスの歪みを評価した。その結果、歪みの殆ど無い良好な反射映像が得られた。その着色膜付きガラス基板を垂直に立て、辺に沿った「反り」を測定とすると、0.1%以下の良好な結果を得た。また、第1実施形態と同様に落球試験を行ったところ、この落球試験から「ガラス破損無し」という良好な結果を得ることができた。
【0105】
また、着色膜付きガラス基板に、反射防止フィルムを貼り付け、着色膜の形成部と、非形成部との段差部を観察した。その結果、段差部には、エアーの巻き込みによる外観の欠点の発生は無かった。
【0106】
次に、着色膜付きガラス基板の着色膜について導電性を測定したところ、1×10−4Ω−1以上の良好な結果を得ることができた。従って、この着色膜付きガラス基板に、例えば電磁波遮断フィルム等を貼り付ける場合、着色膜上に電気を逃がすためのバスバー(Agペースト)をスクリーン印刷する必要や、或いは、銅箔テープを貼り付ける必要が無くなる。従って、製造コストの低減を実現することができる。
【0107】
一方、第1実施形態と同様に着色膜付きガラス基板の耐酸性及び耐アルカリ性(耐塩基性)を調べるための試験を行った。その結果、耐酸試験及び耐アルカリ試験において、着色膜面及び未被覆のガラス面のいずれも、明度の変化はないことがわかった。つまり、本発明による着色膜付きガラス基板は、良好な耐酸性及び耐アルカリ性を有していることがわかった。
【0108】
また、第1実施形態と同様に着色膜付きガラス基板の着色膜について、その硬度の評価を行った。その結果、本発明による着色膜は、試験前後でともに透過性に変化はなく、非常に硬度の高い膜であり、良好な耐磨耗性を有していることがわかった。
【0109】
さらに、第1実施形態と同様に本発明による着色膜形成用の液組成物が、カレット原料としてガラス製造の際に再溶融された場合の影響を調べるために、高温溶融試験を行った。
【0110】
溶融後の液組成物を目視により観察したところ、着色成分であるカーボンブラックは燃焼して焼失しており、液組成物は透明であることが確認された。この結果、本発明による着色膜は、ガラス製造の際にカレット原料に含まれたとしても、当該ガラスの着色に影響しないことがわかった。
【0111】
次に、上記の第1及び第2実施形態と同様に、表1に従って第3〜第7実施形態について説明する。表1には、液組成の固形分比、着色膜の組成及び成膜条件が示してある。
【0112】
第3〜7実施形態では、説明の便宜上、第1又は第2実施形態と差異のある部分について詳細に説明し、同一の部分については省略する。
(第3実施形態)
第3実施形態では、表1に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:12%、SiO:52%、カーボン:36%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0113】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で15分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を620℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を600秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚を計測したところ10μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:19%、SiO:73%、カーボン:8%となった。
(第4実施形態)
第4実施形態では、表1に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:11%、SiO:50%、カーボン:39%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0114】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で60分乾燥させた後、190℃で15分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚を計測したところ10μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:21%、SiO:59%、カーボン:20%となった。
(第5実施形態)
第5実施形態では、表1に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:12%、SiO:53%、カーボン:35%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0115】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で120分乾燥させた(本第5実施形態では、第2乾燥工程を行わない。)。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を80秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚を計測したところ10μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:14%、SiO:58%、カーボン:28%となった。
(第6実施形態)
第6実施形態では、表1に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:12%、SiO:53%、カーボン:35%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0116】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で20分乾燥させた後、140℃で60分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を620℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を240秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚を計測したところ10μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:17%、SiO:74%、カーボン:9%となった。
(第7実施形態)
第7実施形態では、表1に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:12%、SiO:53%、カーボン:35%となる着色膜形成用の液組成物を用いた。
【0117】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で20分乾燥させた後、240℃で20分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を80秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚を計測したところ10μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:15%、SiO:66%、カーボン:19%となった。
【0118】
上記した第3〜第7実施形態の着色膜付きガラス基板を、前記第1実施形態と同様に性能試験を以下に記載するようにそれぞれ行った。
第3〜第7実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率を第1実施形態と同様に測定した。その結果、第3〜第7実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率は、これら全ての波長域において、表1に示すようにそれぞれ0.1%以下という値を得ることができ、また透過濃度を測定すると5以上であった。このことから、第3〜第7実施形態の着色膜は、それぞれ良好な光遮蔽性機能を有していることがわかり、さらに着色膜付きガラス基板の周縁部には良好な光遮蔽部が形成されていることがわかる。
【0119】
第1実施形態と同様に、第3〜第7実施形態のガラスの歪みを評価した。その結果、歪みの殆ど無い良好な反射映像が得られた。その着色膜付きガラス基板を垂直に立て、辺に沿った「反り」を測定とすると、0.1%以下の良好な結果を得た。また、第1実施形態と同様に落球試験を行ったところ、この落球試験から「ガラス破損無し」という良好な結果を得ることができた。
【0120】
また、第3〜第7実施形態の着色膜付きガラス基板に、反射防止フィルムを貼り付け、着色膜の形成部と、非形成部との段差部を観察した。その結果、段差部には、エアーの巻き込みによる外観の欠点の発生は無かった。
【0121】
次に、着色膜付きガラス基板の着色膜について導電性を測定したところ、1×10−4Ω−1以上の良好な結果を得ることができた。従って、この着色膜付きガラス基板に、例えば電磁波遮断フィルム等を貼り付ける場合、着色膜上に電気を逃がすためのバスバー(Agペースト)をスクリーン印刷する必要や、或いは、銅箔テープを貼り付ける必要が無くなる。従って、製造コストの低減を実現することができる。
【0122】
一方、第1実施形態と同様に第3〜第7実施形態の着色膜付きガラス基板の耐酸性及び耐アルカリ性(耐塩基性)を調べるための試験を行った。その結果、耐酸試験及び耐アルカリ試験において、着色膜面及び未被覆のガラス面のいずれも、明度の変化はないことがわかった。つまり、本発明による第3〜第7実施形態の着色膜付きガラス基板は、良好な耐酸性及び耐アルカリ性を有していることがわかった。
【0123】
また、第1実施形態と同様に第3〜第7実施形態の着色膜付きガラス基板の着色膜について、それぞれその硬度の評価を行った。その結果、本発明による着色膜は、試験前後でともに透過性に変化はなく、非常に硬度の高い膜であり、良好な耐磨耗性を有していることがわかった。
【0124】
さらに本発明による着色膜形成用の液組成物が、カレット原料としてガラス製造の際に再溶融された場合の影響を調べるために、高温溶融試験を行った。
溶融後の液組成物を目視により観察したところ、着色成分であるカーボンブラックは燃焼して焼失しており、液組成物は透明であることが確認された。この結果、本発明による着色膜は、ガラス製造の際にカレット原料に含まれたとしても、当該ガラスの着色に影響しないことがわかった。
(第8実施形態)
次に、表2に従って第8実施形態について説明する。表2には、液組成の固形分比、着色膜の組成及び成膜条件が示してある。第8実施形態では、説明の便宜上、第1実施形態と差異のある部分について詳細に説明し、同一の部分については省略する。
【0125】
第8実施形態では、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス3号、キシダ化学製)23g、ケイ酸カリウム溶液(スノーテックK、日産化学工業製)8g、コロイダルシリカ(PC500、日産化学工業製)29g、カーボンブラック(ライオンペースト、W−311N、LION製)40gを秤量し、攪拌した。これによって、質量%に換算して固形分比がNaO:10%、KO:3%、SiO:57%、カーボン:30%となる着色膜形成用の液組成物を得た。
【0126】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で10分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、表2に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:11%、KO:4%、SiO:60%、カーボン:25%となった。
【0127】
上記した焼成後の着色膜付きガラス基板の性能試験を以下に記載するようにそれぞれ行った。
着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率を第1実施形態と同様に測定した。その結果、可視光線透過率及び紫外線透過率は、これら全ての波長域において、それぞれ0.1%以下という値を得ることができ、また透過濃度を測定すると5以上であった。このことから、この着色膜は、良好な光遮蔽性機能を有していることがわかり、さらに着色膜付きガラス基板の周縁部には良好な光遮蔽部が形成されていることがわかる。
【0128】
第1実施形態と同様に、ガラスの歪みを評価した。その結果、歪みの殆ど無い良好な反射映像が得られた。その着色膜付きガラス基板を垂直に立て、辺に沿った「反り」を測定とすると、0.1%以下の良好な結果を得た。これは、着色膜の線膨張率がガラス基板の線膨張率と近いためである。このように構成したことによって、焼成等の熱処理工程後もガラス基板に対する残留の応力が小さい。この着色膜付きガラス基板(ディスプレイ用前面基板)は、反りが小さいことから、フラットパネルディスプレイ、特に、PDP(プラズマディスプレイパネル)に用いるのに好適である。
【0129】
また、第1実施形態と同様に落球試験を行ったところ、この落球試験から「ガラス破損無し」という良好な結果を得ることができた。
また、着色膜付きガラス基板に、反射防止フィルムを貼り付け、着色膜の形成部と、非形成部との段差部を観察した。その結果、段差部には、エアーの巻き込みによる外観の欠点の発生は無かった。
【0130】
次に、着色膜付きガラス基板の着色膜について導電性を測定したところ、1×10−4Ω−1以上の良好な結果を得ることができた。
一方、第1実施形態と同様に着色膜付きガラス基板の耐酸性及び耐アルカリ性(耐塩基性)を調べるための試験を行った。その結果、耐酸試験及び耐アルカリ試験において、着色膜面及び未被覆のガラス面のいずれも、明度の変化はないことがわかった。つまり、本発明による着色膜付きガラス基板は、良好な耐酸性及び耐アルカリ性を有していることがわかった。
【0131】
また、第1実施形態と同様に着色膜付きガラス基板の着色膜について、その硬度の評価を行った。その結果、本発明による着色膜は、試験前後でともに透過性に変化はなく、非常に硬度の高い膜であり、良好な耐磨耗性を有していることがわかった。
【0132】
さらに本発明による着色膜形成用の液組成物が、カレット原料としてガラス製造の際に再溶融された場合の影響を調べるために、高温溶融試験を行った。
溶融後の液組成物を目視により観察したところ、着色成分であるカーボンブラックは燃焼して焼失しており、液組成物は透明であることが確認された。この結果、本発明による着色膜は、ガラス製造の際にカレット原料に含まれたとしても、当該ガラスの着色に影響しないことがわかった。
【0133】
さらにまた、本第8実施形態の着色膜付きガラス基板について、その耐湿性の評価を行った。この評価には、温湿度試験機(エタックエンジニアリング製、JLH−300)、分光式色彩計(日本電色工業、SE−2000)を用いた。評価には、温湿度試験機によって着色膜付きガラス基板を400時間、50℃、95%RHの雰囲気に保持した。そして、着色膜の膜面及びガラス面の明度変化を分光式色彩計にて測定し、さらに目視によっても観察した。その結果、着色膜付きガラス基板の着色膜及びガラス面のいずれにも明度は変化せず、着色膜の剥離も生じなかった。
【0134】
(第9〜第14実施形態)
次に、上記の第8実施形態と同様に、第9〜第14実施形態について説明する。第9〜14実施形態では、説明の便宜上、第8実施形態と差異のある部分について詳細に説明し、同一の部分については省略する。
(第9実施形態)
第9実施形態では、表2に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:5%、KO:8%、SiO:51%、カーボン:36%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0135】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で30分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を120秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表2に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:7%、KO:10%、SiO:54%、カーボン:29%となった。
(第10実施形態)
第10実施形態では、表2に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:10%、KO:3%、SiO:56%、カーボン:31%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0136】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で10分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を620℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を600秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表2に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:14%、KO:5%、SiO:63%、カーボン:18%となった。
(第11実施形態)
第11実施形態では、表2に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:12%、LiO:1%、SiO:60%、カーボン:27%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0137】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で10分乾燥させた後、190℃で15分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表2に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:15%、LiO:2%、SiO:65%、カーボン:18%となった。
(第12実施形態)
第12実施形態では、表2に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:9%、KO:3%、SiO:49%、カーボン:39%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0138】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で20分乾燥させた後、190℃で20分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を100秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表2に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:11%、KO:5%、SiO:54%、カーボン:30%となった。
(第13実施形態)
第13実施形態では、表2に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:3%、KO:12%、SiO:56%、カーボン:29%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0139】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で20分乾燥させた後、190℃で20分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を80秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表2に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:6%、KO:14%、SiO:60%、カーボン:20%となった。
(第14実施形態)
第14実施形態では、表2に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:6%、KO:4%、LiO:1%、SiO:59%、カーボン:30%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0140】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、230℃で10分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、この焼成した着色膜付きガラス基板に対して、脱アルカリ処理を行ったところ、表1に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:8%、KO:6%、LiO:2%、SiO:63%、カーボン:21%となった。
【0141】
上記した第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板を、前記第8実施形態と同様に性能試験を以下に記載するようにそれぞれ行った。
第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率を第8実施形態と同様に測定した。その結果、第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率は、これら全ての波長域において、表2に示すようにそれぞれ0.1%以下という値を得ることができ、また透過濃度を測定すると5以上であった。このことから、第9〜第14実施形態の着色膜は、それぞれ良好な光遮蔽性機能を有していることがわかり、さらに着色膜付きガラス基板の周縁部には良好な光遮蔽部が形成されていることがわかる。
【0142】
第8実施形態と同様に、第9〜第14実施形態のガラスの歪みを評価した。その結果、歪みの殆ど無い良好な反射映像が得られた。その着色膜付きガラス基板を垂直に立て、辺に沿った「反り」を測定とすると、0.1%以下の良好な結果を得た。また、第8実施形態と同様に落球試験を行ったところ、この落球試験から「ガラス破損無し」という良好な結果を得ることができた。
【0143】
また、第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板に、反射防止フィルムを貼り付け、着色膜の形成部と、非形成部との段差部を観察した。その結果、段差部には、エアーの巻き込みによる外観の欠点の発生は無かった。
【0144】
次に、着色膜付きガラス基板の着色膜について導電性を測定したところ、1×10−4Ω−1以上の良好な結果を得ることができた。従って、この着色膜付きガラス基板に、例えば電磁波遮断フィルム等を貼り付ける場合、着色膜上に電気を逃がすためのバスバー(Agペースト)をスクリーン印刷する必要や、或いは、銅箔テープを貼り付ける必要が無くなる。従って、製造コストの低減を実現することができる。
【0145】
一方、第8実施形態と同様に第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板の耐酸性及び耐アルカリ性(耐塩基性)を調べるための試験を行った。その結果、耐酸試験及び耐アルカリ試験において、着色膜面及び未被覆のガラス面のいずれも、明度の変化はないことがわかった。つまり、本発明による第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板は、良好な耐酸性及び耐アルカリ性を有していることがわかった。
【0146】
また、第8実施形態と同様に第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板の着色膜について、それぞれその硬度の評価を行った。その結果、本発明による着色膜は、試験前後でともに透過性に変化はなく、非常に硬度の高い膜であり、良好な耐磨耗性を有していることがわかった。
【0147】
さらに本発明による着色膜形成用の液組成物が、カレット原料としてガラス製造の際に再溶融された場合の影響を調べるために、高温溶融試験を行った。
溶融後の液組成物を目視により観察したところ、着色成分であるカーボンブラックは燃焼して焼失しており、液組成物は透明であることが確認された。この結果、本発明による着色膜は、ガラス製造の際にカレット原料に含まれたとしても、当該ガラスの着色に影響しないことがわかった。
【0148】
さらにまた、第9〜第14実施形態の着色膜付きガラス基板について、その耐湿性の評価を行った。この評価には、温湿度試験機(エタックエンジニアリング製、JLH−300)、分光式色彩計(日本電色工業、SE−2000)を用いた。評価には、温湿度試験機によって着色膜付きガラス基板を400時間、50℃、95%RHの雰囲気に保持した。そして、着色膜の膜面及びガラス面の明度変化を分光式色彩計にて測定し、さらに目視によっても観察した。その結果、着色膜付きガラス基板の着色膜及びガラス面のいずれにも明度は変化せず、着色膜の剥離も生じなかった。
【0149】
次に、第15〜第17実施形態について説明する。第15〜第17実施形態では、説明の便宜上、第8実施形態と差異のある部分について詳細に説明し、同一の部分については省略する。
(第15実施形態)
第15実施形態では、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス3号、キシダ化学製)30g、コロイダルシリカ(PC500、日産化学工業製)20g、カーボンブラック(ライオンペースト、W−311N、LION製)50gを秤量し、攪拌した。これによって、表3に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:12%、SiO:53%、カーボン:35%となる着色膜形成用の液組成物を得た。
【0150】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で10分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を120秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、表3に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:1%、SiO:59%、カーボン:40%となった。
(第16実施形態)
第16実施形態では、表3に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:19%、SiO:65%、カーボン:16%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0151】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で30分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、表3に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:1%、SiO:78%、カーボン:21%となった。
(第17実施形態)
第17実施形態では、表3に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:11%、SiO:50%、カーボン:39%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0152】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で15分乾燥させた後、190℃で15分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約7μmであった。また、表3に示すように、脱アルカリ処理後の着色膜の膜組成は、質量%に換算してNaO:0.4%、SiO:83.6%、カーボン:16%となった。
【0153】
上記した第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板を以下に記載するようにそれぞれ行った。
第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率を第8実施形態と同様に測定した。その結果、第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率は、これら全ての波長域において、表3に示すようにそれぞれ0.1%以下という値を得ることができ、また透過濃度を測定すると5以上であった。このことから、第15〜第17実施形態の着色膜は、それぞれ良好な光遮蔽性機能を有していることがわかり、さらに着色膜付きガラス基板の周縁部には良好な光遮蔽部が形成されていることがわかる。
【0154】
第8実施形態と同様に、第15〜第17実施形態のガラスの歪みを評価した。その結果、歪みの殆ど無い良好な反射映像が得られた。その着色膜付きガラス基板を垂直に立て、辺に沿った「反り」を測定とすると、0.1%以下の良好な結果を得た。また、第8実施形態と同様に落球試験を行ったところ、この落球試験から「ガラス破損無し」という良好な結果を得ることができた。
【0155】
また、第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板に、反射防止フィルムを貼り付け、着色膜の形成部と、非形成部との段差部を観察した。その結果、段差部には、エアーの巻き込みによる外観の欠点の発生は無かった。
【0156】
次に、着色膜付きガラス基板の着色膜について導電性を測定したところ、1×10−4Ω−1以上の良好な結果を得ることができた。従って、この着色膜付きガラス基板に、例えば電磁波遮断フィルム等を貼り付ける場合、着色膜上に電気を逃がすためのバスバー(Agペースト)をスクリーン印刷する必要や、或いは、銅箔テープを貼り付ける必要が無くなる。従って、製造コストの低減を実現することができる。
【0157】
一方、第8実施形態と同様に第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板の耐酸性及び耐アルカリ性(耐塩基性)を調べるための試験を行った。その結果、耐酸試験及び耐アルカリ試験において、着色膜面及び未被覆のガラス面のいずれも、明度の変化はないことがわかった。つまり、本発明による第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板は、良好な耐酸性及び耐アルカリ性を有していることがわかった。
【0158】
また、第8実施形態と同様に第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板の着色膜について、それぞれその硬度の評価を行った。その結果、本発明による着色膜は、試験前後でともに透過性に変化はなく、非常に硬度の高い膜であり、良好な耐磨耗性を有していることがわかった。
【0159】
さらに本発明による着色膜形成用の液組成物が、カレット原料としてガラス製造の際に再溶融された場合の影響を調べるために、高温溶融試験を行った。
溶融後の液組成物を目視により観察したところ、着色成分であるカーボンブラックは燃焼して焼失しており、液組成物は透明であることが確認された。この結果、本発明による着色膜は、ガラス製造の際にカレット原料に含まれたとしても、当該ガラスの着色に影響しないことがわかった。
【0160】
さらにまた、第15〜第17実施形態の着色膜付きガラス基板について、その耐湿性の評価を行った。この評価には、温湿度試験機(エタックエンジニアリング製、JLH−300)、分光式色彩計(日本電色工業、SE−2000)を用いた。評価には、温湿度試験機によって着色膜付きガラス基板を400時間、50℃、95%RHの雰囲気に保持した。そして、着色膜の膜面及びガラス面の明度変化を分光式色彩計にて測定し、さらに目視によっても観察した。その結果、着色膜付きガラス基板の着色膜及びガラス面のいずれにも明度は変化せず、着色膜の剥離も生じなかった。
【0161】
上記の試験に加えて、ウレタンシーラント接着性を確認するために、着色膜付きガラス基板にガラス用プライマー(横浜ゴム製)を塗布し、5分保持させた後、ウインドシールド用接着剤を塗布した。さらに、接着剤を硬化させるために72時間放置し試験片とした、試験片は、それぞれの条件で硬化又は老化させ、剥離試験により評価した。それぞれの条件は、以下の通りである。
(A)室温に144時間放置し硬化させた(室温硬化)。
(B)80℃の高温槽に240時間放置後、標準状態で24時間保持した(加熱老化)。
(C)60℃の水中に240時間浸漬後、20℃の水で1時間冷却した(水浸漬老化)。
【0162】
いずれの条件においても、接着剤の凝集破壊が確認され、ウレタン接着性での良好な結果が得られた。
次に、第18及び第19実施形態について説明する。第18及び第19実施形態では、説明の便宜上、第17実施形態と差異のある部分について詳細に説明し、同一の部分については省略する。
(第18実施形態)
第18実施形態では、表4に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:3%、SiO:13%、カーボン:8%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0163】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で1分乾燥させた後、190℃で5分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を600℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を180秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約5μmであった。
(第19実施形態)
第19実施形態では、表4に示すように、質量%に換算して固形分比がNaO:3%、SiO:13%、カーボン:8%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0164】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で1分乾燥させた後、190℃で2分30秒間(2.5分間)乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を630℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を190秒間焼成した。これによって、着色膜付きガラス基板が得ることができ、その着色膜の膜厚は約5μmであった。
【0165】
第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率を第17実施形態と同様に測定した。その結果、第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板の可視光線透過率及び紫外線透過率は、これら全ての波長域において、表4に示すようにそれぞれ0.1%以下という値を得ることができ、また透過濃度を測定すると5以上であった。このことから、第18及び第19実施形態の着色膜は、それぞれ良好な光遮蔽性機能を有していることがわかり、さらに着色膜付きガラス基板の周縁部には良好な光遮蔽部が形成されていることがわかる。
【0166】
第17実施形態と同様に、第18及び第19実施形態のガラスの歪みを評価した。その結果、歪みの殆ど無い良好な反射映像が得られた。その着色膜付きガラス基板を垂直に立て、辺に沿った「反り」を測定とすると、0.1%以下の良好な結果を得た。
【0167】
また、第17実施形態と同様に落球試験を行ったところ、この落球試験から「ガラス破損無し」という良好な結果を得ることができた。
また、第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板に、反射防止フィルムを貼り付け、着色膜の形成部と、非形成部との段差部を観察した。その結果、段差部には、エアーの巻き込みによる外観の欠点の発生は無かった。
【0168】
次に、着色膜付きガラス基板の着色膜について導電性を測定したところ、1×10−4Ω−1以上の良好な結果を得ることができた。
一方、第17実施形態と同様に第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板の耐酸性及び耐アルカリ性(耐塩基性)を調べるための試験を行った。その結果、耐酸試験及び耐アルカリ試験において、着色膜面及び未被覆のガラス面のいずれも、明度の変化はないことがわかった。つまり、本発明による第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板は、良好な耐酸性及び耐アルカリ性を有していることがわかった。
【0169】
また、第17実施形態と同様に第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板の着色膜について、それぞれその硬度の評価を行った。その結果、本発明による着色膜は、試験前後でともに透過性に変化はなく、非常に硬度の高い膜であり、良好な耐磨耗性を有していることがわかった。
【0170】
さらに本発明による着色膜形成用の液組成物が、カレット原料としてガラス製造の際に再溶融された場合の影響を調べるために、高温溶融試験を行った。
溶融後の液組成物を目視により観察したところ、着色成分であるカーボンブラックは燃焼して焼失しており、液組成物は透明であることが確認された。この結果、本発明による着色膜は、ガラス製造の際にカレット原料に含まれたとしても、当該ガラスの着色に影響しないことがわかった。
【0171】
さらにまた、第17実施形態と同様に第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板について、その耐湿性の評価を行った。その結果、着色膜付きガラス基板の着色膜及びガラス面のいずれにも明度は変化せず、着色膜の剥離も生じなかった。
【0172】
一方、第17実施形態と同様に第18及び第19実施形態の着色膜付きガラス基板について、ウレタンシーラント接着性を確認するために、着色膜付きガラス基板にガラス用プライマー(横浜ゴム製)を塗布し、5分保持させた後、ウインドシールド用接着剤を塗布した。さらに、接着剤を硬化させるために72時間放置し試験片とした、試験片は、それぞれの条件で硬化又は老化させ、剥離試験により評価した。それぞれの条件は、第17実施形態と同様である。
【0173】
そして、いずれの条件においても、接着剤の凝集破壊が確認され、ウレタン接着性での良好な結果が得られた。
【0174】
【表4】
Figure 2005008433
次に、本発明の実施形態と比較するための第1及び第2比較例を表5に従って説明する。
【0175】
【表5】
Figure 2005008433
(第1比較例)
第1比較例では、表5に示すように、固形分比がSiO:83%、カーボン:17%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0176】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で30分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。
(第2比較例)
第2比較例では、表5に示すように、固形分比がSiO:74%、カーボン:26%となる着色膜形成用の液組成物を用いる。
【0177】
この液組成物を洗浄済みのガラス基板(ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成、1000×500×2.5mm)の表面上(周縁部)にバーコーダにて塗布し、室温で5分乾燥させた後、190℃で30分間乾燥炉にて乾燥させた。その後、このガラス基板を720℃に昇温した焼成炉投入し、塗布した着色膜を90秒間焼成した。
【0178】
上記、第1及び第2比較例では、いずれも焼成後の着色膜にクラックが無数に発生し、着色膜付きガラス基板として成立しなかった。
(具体例)
次に、本発明によるディスプレイ用前面基板(例えば、上記した第1〜第19実施形態のいずれかのように構成した着色膜付きガラス基板)を光学フィルタとして適用し、プラズマディスプレイパネル(PDP)に用いた具体例を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本具体例のプラズマディスプレイパネル(PDP)の構成を説明する概略図である。図2は、本具体例の光学フィルタの構造を説明する概略図である。
【0179】
図1に示すように、プラズマディスプレイパネル(PDP)1の主表面側(表示面側)には、光学フィルタ2が設けられている。この光学フィルタ2の周縁部には、光遮蔽部3が設けられている。この光遮蔽部3によって、プラズマディスプレイパネル(PDP)1は、その周縁部から内部の配線が見えてしまうことを防ぐことができる。
【0180】
図2に示すように、光学フィルタ2は、ディスプレイ用前面基板4、フィルム5,6から構成されている。このディスプレイ用前面基板4は、ガラス基板4aの周縁部(PDPの蛍光面側)には、着色膜4b(上述した、ブラックカーボン微粒子を着色成分とする)が形成され、これによって光学フィルタ2の光遮蔽部3は構成されている。またこの着色膜4bは、上記したように、PDPの蛍光面側に形成したが、ガラス基板4aの主表面側(表示面側)の周縁部に形成して光遮蔽部として構成してもよい。
【0181】
前記着色膜4bは、アースに接続されている。さらに、ガラス基板4aには、着色膜4bを被覆するようにフィルム5が貼り付けられている。このフィルム5は、PDP本体に内蔵された駆動回路からの電磁波防止、PDPの励起発光による近赤外線遮蔽及びPDPの蛍光面からの反射光抑制するためのものである。
【0182】
従って、上述したようにこの着色膜4bは導電性を有するので、フィルム5が電磁波遮蔽のため帯電すると、着色膜4bはその電荷をアースに逃がす。
一方、ガラス基板4aの主表面側(表示面側)には、フィルム6が貼り付けられている。このフィルム6は、ガラス基板4aの主表面側での光の反射を防止するためのものである。
【0183】
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
・本実施形態では、ディスプレイ用前面基板4をプラズマディスプレイパネルの前面に貼り付ける光学フィルタとして具体化したが、この限りではなく、例えば、フィールドエミッション(FED)に取り付ける光学フィルタとしてもよい。
【0184】
・本実施形態では、ディスプレイ用前面基板4のガラス基板4aの周縁部(PDPの蛍光面側)に着色膜4bを形成し光遮蔽部3を構成したが、この限りではなく、ガラス基板4aの主表面側(表示面側)の周縁部に形成して光遮蔽部としてもよい。
【0185】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜16に記載の発明によれば、カレット原料として再利用可能であって、耐酸性及び耐塩基性や光遮蔽性に優れ、歪みが少ない着色膜付きガラス基板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本具体例のプラズマディスプレイパネル(PDP)の構成を説明する概略図。
【図2】本具体例の光学フィルタの構造を説明する概略図。
【符号の説明】
1…プラズマディスプレイパネル、2…光学フィルタ、3…光遮蔽部、4…ディスプレイ用前面基板、4a…ガラス基板、4b…着色膜、5,6…フィルタ。

Claims (16)

  1. 酸化物を主成分とする着色膜をガラス基板の表面の一部に被覆したディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、ケイ素酸化物と、少なくとも1種類以上のアルカリ金属酸化物と、炭素を主成分とする微粒子とを含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  2. 請求項1に記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、質量%換算で表わして、前記ケイ素酸化物を40〜90%と、
    前記アルカリ金属酸化物を0.1〜25%と、
    前記微粒子を3〜45%と
    を含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  3. 請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、質量%換算で表わして、前記ケイ素酸化物を49〜73%と、
    前記アルカリ金属酸化物を11〜23%と、
    前記微粒子を16〜40%と
    を含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  4. 請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、質量%換算で表わして、前記ケイ素酸化物を54〜89%と、
    前記アルカリ金属酸化物を0.1〜5%と、
    前記微粒子を10〜45%と
    を含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  5. 請求項1〜4に記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記アルカリ金属酸化物が少なくとも2種のアルカリ金属酸化物を含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  6. 請求項5に記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記アルカリ金属酸化物が、ナトリウムと、カリウム及びリチウムから選ばれる少なくとも1種とを含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  7. 請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、質量%換算で表わして、
    NaOを1〜18%と、
    Oを0〜18%と、
    LiOを0〜10%と、
    O+LiOを0.1〜19%と、
    SiOを40〜70%と、
    前記微粒子を15〜40%と
    を含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  8. 請求項1又は2に記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、質量%換算で表わして、
    NaOを5〜15%と、
    Oを0〜11%と、
    LiOを0〜5%と、
    O+LiOを1〜12%と、
    SiOを50〜70%と、
    前記微粒子を15〜35%と
    を含むことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜には、遷移金属或いは遷移金属化合物が実質的に含まれていないことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜には、鉛(Pb)或いは鉛化合物が実質的に含まれていないことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記微粒子は、カーボンブラック微粒子であることを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  12. 請求項1〜11のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、その膜厚が15μm以下であることを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  13. 請求項1〜12のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、その光遮蔽性が透過濃度で表わして3.2以上であることを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  14. 請求項1〜13のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、その導電性が1×10−4Ω−1以上であることを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  15. 請求項1〜14のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記ディスプレイ用前面基板は、その反りが0.2%以下であることを特徴とするディスプレイ用前面基板。
  16. 請求項1〜15のいずれか1つに記載のディスプレイ用前面基板において、
    前記着色膜は、前記ガラス基板の表面の周縁部に被覆したことを特徴とするディスプレイ用前面基板。
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WO2008010623A1 (en) * 2006-07-19 2008-01-24 Lg Electronics Inc. Plasma display device

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