JP2005008240A - コンクリート貯槽及びその構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この貯槽は、円形の底版1と、壁体2aと天蓋2bとがなだらかな曲面で連続した躯体2とからなる。躯体2は、鉛直な中心軸線に関して対称なシェル構造となっており、複数のPCセグメント11を底版1上に周方向に配列して閉じた形状としたものである。躯体2の外周面には、周方向の所定間隔毎に上下方向のリブ14が設けられており、該リブ14を貫通し、躯体2の外周面と離隔して外ケーブル4が配置され、周方向の緊張力が導入されている。この貯槽では、現場において複数のPCセグメントを配置して接合することによって、迅速に躯体2を構築することができる。また、外ケーブルと躯体との間の摩擦も極めて小さく、有効にプレストレスが導入される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本願に係る発明は、プレストレストコンクリートからなる軸対称シェル構造の貯槽に係り、特にプレキャストコンクリートセグメントを組立てることによって構築される貯槽及びこの貯槽の構築方向に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1000m3程度から数万m3の液体又は粒状体等を収容する大規模な貯槽として、プレストレストコンクリートからなるシェル構造の貯槽が広く用いられている。例えば、上下水道の貯水槽として、鉛直な軸線に関して対称な円筒シェル構造の壁体と球シェルであるドーム屋根とを備えたプレストレストコンクリートタンクが数多く構築されている。また、下水処理場における消化槽としては、上下で径が縮小された卵型の貯槽が知られている。さらに、穀物や石炭等を収容するサイロや低温常圧の液化ガスの貯蔵タンクとして、プレストレストコンクリートからなる円筒型貯槽が用いられることもある。
【0003】
上記貯槽は、一般に、現場打ちコンクリートによって構築され、先ず壁体となる部分の内型枠及び外型枠を組立て、これらの間にコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後に型枠を撤去する。そして、所定の高さまで壁体を立ち上げた後、支保工を組立て、これに屋根となる部分のドーム型の型枠を支持させてコンクリートを打設する。又は、プレキャストコンクリートセグメントを支保工に支持させて配置し、接合する。
【0004】
このような貯槽では、収容された貯蔵物によって内圧が作用し、軸対称シェル構造の円周方向(水平方向)に引張力が生じる。この引張力に抵抗するために、貯槽の円周方向に緊張材を配置し、張力を導入することにより、貯槽の円周方向にプレストレスを導入する。
【0005】
円周方向のプレストレスは、周方向の全域にわたってほぼ均等に導入されるのが望ましく、端部付近をラップさせた複数の緊張材を壁体内の周方向に配置し、これらに緊張力を導入するのが一般的である。
【0006】
緊張力の導入は、一般に、図10に示すように円周方向に配置された緊張材103の端部を壁体102の外側に曲げ、壁体102の外側に突出するように設けられた柱状突出部101から引き出し、該柱状突出部101の側端面101aにジャッキを装着して行なわれる。そして、緊張材に緊張力が導入された状態で、緊張材端部が定着具104によって壁体102に定着され、後打ちコンクリート105によって埋め込まれる。
なお、符号106は鉛直方向のPC鋼材、符号107は鉄筋を示すものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構造のプレストレストコンクリート貯槽では、次のような問題点がある。
上記貯槽のように壁体及び屋根を現場打ちコンクリートによって構築する場合には、型枠の組立て及び脱型やコンクリートの打設及び養生等の現場における工数が増大するとともに、これらの作業を現場という環境が良好でない場所で行なうため、作業の効率化が難しい。また、壁体を構築後、屋根となる部分の型枠を組立てて支持するために大規模な支保工が必要となり、この支保工の組立て及び解体に多くの時間や費用を要してしまう。
【0008】
また、上記緊張材は、壁体となる部分の内型枠及び外型枠を組立てた後、これらの間の所定の位置に、周方向に配置される。そして、内型枠と外型枠との間にコンクリートを打設し、このコンクリートが硬化した後、緊張材の緊張及び定着が行なわれる。このように、壁体内に緊張材を配置し、壁体の周方向にプレストレスを導入するには多くの作業工程が必要となるため、工費や工期の減縮が難しい。
【0009】
さらに、プレストレスを導入するための緊張材は柱状突出部の部分でラップして配置され、それぞれが独立して柱状突出部の側面に定着される。したがって、緊張材の張力は定着具からコンクリートに伝達され、定着具付近のコンクリートには局部的に大きな応力が生じやすくなる。このため、定着具付近の補強等が必要となり、この部分の構造が複雑になるとともに、作業工数が多くなって工費もかさむことになる。
【0010】
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸対称シェル構造を有し、簡単な作業で壁体及び天蓋の構築及びプレストレスの導入が可能なコンクリート貯槽を提供すること及びこのようなコンクリート貯槽の構築方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 コンクリート壁体及びコンクリート天蓋が鉛直な中心軸線に関して対称な構造の貯槽であって、 前記中心軸線から放射状に設定した鉛直面で分割され、前記コンクリート壁体となる部分と前記コンクリート天蓋となる部分とが連続したプレキャストコンクリートセグメントを周方向に配列して構成され、 該プレキャストコンクリートセグメントの外側で周方向に配置された緊張材に引張力を導入することによって前記コンクリート壁体に周方向の圧縮力が導入されていることを特徴とするコンクリート貯槽を提供する。
【0012】
上記貯槽は、プレキャストコンクリートセグメントによって構成されており、該プレキャストコンクリートセグメントをあらかじめ工場や現場ヤード等で製作し、架設現場へと搬入して架設することができる。また、貯槽のコンクリート壁体となる部分とコンクリート天蓋となる部分とが、連続したセグメントを組立てて構築されているため、これらのセグメントを支持する支柱等のみで構築することができ、屋根材の架設に用いられる大規模な支保工の組立て及び解体が不要となる。このため、現場での作業性が向上し、省力化及び工期の短縮化を図ることができる。
また、上記緊張材はコンクリート壁体の外側に配置されているため、これを緊張及び定着する作業を簡略化することができるとともに、コンクリート壁体内に配置する場合に比べて壁体の厚さを低減することができる。そして、この緊張材によってコンクリート壁体の周方向に圧縮力が導入されているため、該コンクリート壁体に貯槽内の液体や粒体等による内圧、及び、地震による慣性力が作用した場合における周方向の引張応力に抵抗することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、 請求項1に記載のコンクリート貯槽において、前記コンクリート壁体と前記コンクリート天蓋とは、なだらかな曲面で連続したものとする。
【0014】
この貯槽は、該貯槽の中心軸線に関して対称なシェル構造であり、コンクリート壁体とコンクリート天蓋とがなだらかな曲面で連続しているため、壁体と天蓋との間で断面力の伝達が円滑に生じる。このため、局部的に大きな断面力が生じることがなく、外力に対して広い範囲で抵抗し得る構造となり、構造物の信頼性が向上する。
【0015】
請求項3に係る発明は、 請求項1又は請求項2に記載のコンクリート貯槽において、前記コンクリート壁体の外周面から突出し、上下方向に連続したリブが、周方向の所定間隔毎に設けられ、 前記緊張材は、前記リブを貫通し、前記コンクリート壁体の外周面と離隔して配置されているものとする。
【0016】
上記緊張材は、リブに貫通され、この部分で壁体に沿って方向が変えられ、周方向に連続するように配置される。したがって、緊張材を緊張したとき、リブから壁体の内側に向かって内圧に有効に抵抗する力が作用する。そして、緊張材はリブの部分のみにおいてコンクリート部材と接触しており、壁体の外周面とは離隔しているので、摩擦による緊張力の低下が少なく、全周にわたって大きな緊張力が導入される。また、リブによってコンクリート壁体の上下方向の剛性が増加するため、コンクリート壁体に作用する上下方向の曲げモーメントに対して、上下方向のプレストレスを導入する鋼材量を低減することができる。さらに、リブによってセグメントが十分な曲げ強度を有するため、該セグメントが輸送時に破損してしまうのを防止できる。
【0017】
請求項4に係る発明は、 請求項3に記載のコンクリート貯槽において、緊張材の定着具が前記リブに埋め込んで固着され、 該定着具は、二つの筒状部が一体に結合されたものであり、 周方向に配置された一連の緊張材の端部が前記定着具の二つの筒状部にそれぞれ反対側から挿通され、定着されているものとする。
【0018】
上記緊張材はコンクリート壁体の周方向に配置され、緊張材の両端部を一体に定着する定着具によって定着され、環状に閉じた形状となる。また、複数の緊張材を同数の定着具を用いて環状に連結してもよい。そして、それぞれの緊張材の両端又は一方の端部から張力を導入して定着具に係止すると、張力は緊張材の端部間で定着具を介して伝達され、定着具周辺のリブへは緊張材の軸線方向の反力がほとんど伝達されない。このため、コンクリート壁体は、周方向にほぼ均一な圧縮力が導入され、該コンクリート壁体に作用する引張応力にほぼ均等に抵抗するものとなる。
【0019】
請求項5に係る発明は、 コンクリート壁体及びコンクリート天蓋が鉛直な中心軸線に関して対称なシェル構造の貯槽を形成する複数のプレキャストコンクリートセグメントであって、前記中心軸線から放射状に設定した鉛直面に沿ってセグメント間の接合面が形成され、壁体部分と天蓋部分とが連続したプレキャストコンクリートセグメントを製作し、 該プレキャストコンクリートセグメントを構築位置に配列し、 これらのプレキャストコンクリートセグメントの外側に周方向の緊張材を配置し、該緊張材に引張力を導入することによって、前記コンクリートセグメントを一体とし、壁体の周方向に圧縮応力を導入することを特徴とするコンクリート貯槽の構築方法を提供する。
【0020】
上記コンクリート貯槽の構築方法では、プレキャストコンクリートセグメントをあらかじめ工場等で製作し、これを現場で架設することによって、現場で型枠を組立ててコンクリートを打設する場合に比べ、作業を簡略化することができる。このため、工期を短縮したり工費を低減することができる。また、壁体部分と天蓋部分とが連続したプレキャストコンクリートセグメントを用いるため、天蓋部分を構築するための大規模な支保工の組立て及び解体が不要となる。さらに、緊張材をプレキャストコンクリートセグメントの外側に容易に配置することができ、これにともなって部材厚を低減することができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、 請求項5に記載のコンクリート貯槽の構築方法において、前記プレキャストコンクリートセグメントのそれぞれには、外側面へ突出し、所定位置に建て込んだときに上下方向に連続したものとなるリブを設け、 該プレキャストコンクリートセグメントを所定位置に建て込んだ後、前記緊張材は、前記リブを貫通し、壁体部分の外周面と離隔するように配置するものとする。
【0022】
この構築方法では、緊張材をリブに貫通し、壁体部分の外周面と離隔するように配置することによって、緊張材を緊張したとき、壁体の外周面との摩擦によって緊張力が低下しにくく、全周にわたって大きな緊張力を導入することができる。また、リブによってセグメントの上下方向の剛性が増加するため、該セグメントに作用する上下方向の曲げモーメントに対するプレストレス量を低減することができるとともに、セグメントの輸送時等の取り扱いが容易になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明の一実施形態である貯槽を示す概略斜視図であり、図2は、該貯槽の概略断面図及び概略平面図である。
この貯槽は、支持地盤上又は基礎杭を形成した上に設けられた円形の底版1と、この上に立ち上げられ、なだらかな曲面で連続した壁体2aと天蓋2bとからなる躯体2とで主要部が構成されている。また、躯体2の外周面には、周方向の所定間隔毎に上下方向のリブ14が設けられており、該リブ14を貫通し、躯体2の外周面と離隔して、周方向に緊張力が導入された外ケーブル4が配置されている。さらに、貯槽の頂部には換気孔3が設けられている。
【0024】
上記底版1は、鉄筋コンクリートからなるものであり、支持地盤上又は基礎杭上で躯体2および貯留物5の重量を支持するものである。
【0025】
上記躯体2は、鉛直な中心軸線に関して対称なシェル構造となっており、複数のプレキャストコンクリートセグメント(以下PCセグメントという)11を底版1上に周方向に配列して閉じた形状としたものである。
このPCセグメント11は、図3に示すように、躯体2を中心軸線から所定の中心角で鉛直に分割した形状となっており、壁体2aとなる部分と天蓋2bとなる部分とが連続したなだらかな曲面12となっており、下端部には底版1とアンカーによって結合される下端ブロック部13が形成されている。また、上下方向に連続したリブ14は、下端ブロック部13から上方に連続し、PCセグメントの幅方向(周方向)の中心線上で外側に突出するように形成されており、該リブ14には、外ケーブルを挿通するために水平方向の貫通孔14aが、上下方向に所定間隔で複数形成されている。そして、複数の外ケーブルの内、当該PCセグメントで定着されるケーブルに対しては、貫通孔に換えて定着具がリブ14内に埋め込まれている。
なお、躯体2を構成するPCセグメント11の数は、貯槽の規模等に応じて任意に設定できるものであり、一つのセグメントの重量等、輸送及び組立て時の取り扱いを考慮して分割数が決定される。
【0026】
上記PCセグメント11は、いわゆるマッチキャスト工法によって製作する。この工法は、既に製作されたPCセグメントの端面を新たなPCセグメントの型枠の端面とし、該型枠内にコンクリートを打設して硬化させ、脱型するものである。この工法では、連続して配置されるPCセグメントの接合部を高精度に製作することができ、複数のPCセグメントを周方向に配置して隣合うPCセグメントを接合したとき、PCセグメント間の密着性が極めて良好となる。
【0027】
上記外ケーブル4は、鋼より線等の高張力の鋼材を用いることができ、合成樹脂等の防食材によって被覆されている。この外ケーブル4は、躯体2を一周する長さを有しており、図4に示すように、各リブ14の貫通孔14aに挿通して周方向に配置され、周方向に隣合うリブ14の間では躯体2の外周面と離隔して配置されている。そして、張力が導入された状態で両端が一つの定着具21にくさびによって定着され、環状に閉じたものとなっている。これにより、躯体2に周方向の圧縮力が導入され、該躯体2に貯槽内の液体や粒体等による内圧が作用したり、地震による慣性力が作用した場合に、周方向に生じる引張応力に抵抗することができる。
【0028】
上記定着具21は鋳造品であり、図5に示すように、外ケーブル4が挿通される二つの筒状体21a,21bをX状に交差させて一体化した形状となっており、それぞれの筒状体に挿通された外ケーブル4をそれぞれ反対側で緊張し、定着することができるものである。この定着具21は、周方向における1つのリブ14内に埋め込まれており、リブの端部には外ケーブル4を緊張するときにジャッキを装着するための切り欠き部25が形成されている。
なお、図5中に示す符号22は鋼より線を押さえ付けるくさび、符号23はくさび22が係止される雌コーン、符号24は合成樹脂からなる鋼より線の被覆である。
【0029】
また、定着具21は、図6に示すように、上下に隣り合う外ケーブル4a,4bの定着具が、同一のリブ内に配置されることなく、周方向にずれた位置A、Bに分散して配置されるのが望ましい。さらに、3つ以上のリブに分割して定着具を配置することもできる。
なお、定着具21が埋め込まれているリブ14は、定着具21の全長に合わせて周方向の幅が、上下方向の全域にわたって大きいものとなっている。
【0030】
次に、上記貯槽の構築方法について説明する。なお、この方法は、請求項5又は請求項6に係る発明の一実施形態である。
まず、支持地盤上又は基礎杭を形成した上に、鉄筋コンクリートの底版1を形成する。底版1の周縁部には、周方向に所定間隔でアンカーを埋め込み、底版の上面より鉛直に突き出しておく。一方、工場や現場ヤード等であらかじめPCセグメントを製作しておき、これを構築現場に搬入する。
【0031】
上記PCセグメントは、クレーン等によって吊り上げて、底版1上に配置する。このとき、図7に示すように、PCセグメント11の下端ブロック部13にはあらかじめアンカー15が挿通される孔13a及びアンカー15を係止するためのプレート13c及びナット13dが埋め込まれる凹部13bを形成しておき、これらが底版1から突き出しているアンカー15と対応するようにPCセグメント11を配置する。設置されたPCセグメント11の内側には、図8に示すように、これらのPCセグメント11を支持するサポート16をあらかじめ設置しておき、このサポート16によって支持しながら位置調整を行なう。
【0032】
一つのPCセグメント11が設置されると、これと隣合って連続するように他のPCセグメントを配置し、位置調整を行なう。このとき、接合されるPCセグメント11の端面にはエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布し、PCセグメントの内側及び外側にあらかじめ水平に配置しておいた引き寄せケーブルを用いてPCセグメントを互いに圧接する。このようにして、全てのPCセグメント11を底版1の形状に沿って周方向に順次配列し、それぞれのPCセグメントを一体に接合する。また、最初と最後に配置したPCセグメント間には隙間が形成されるため、これらの間に型枠を組立て、この型枠内にコンクリートを打設することによって、躯体2を周方向に連続したものとする。
【0033】
その後、底版1と水平面13との間には、モルタル17を充填してPCセグメントを安定した状態とするとともに、一部に止水用の充填材18を充填する。PCセグメント11の下端ブロック部13に挿通されたアンカー15にはナットを締め込んで、該アンカー15を緊張し、底版1上にPCセグメント11を固定する。そして、アンカー15の頭部を埋め込むように、PCセグメント11の水平部13に形成された凹部13bにコンクリートを打設する。
【0034】
上記のように躯体2が構築された後、外ケーブル4をPCセグメント11のリブ14に設けられた貫通孔14aに順次挿通し、躯体2の外周面に沿って全周に配置するとともに、両端部は定着具21の二つの筒状体にそれぞれ挿入する。このようにして、外ケーブル4を上下方向に間隔をあけて所定の本数を配置する。
【0035】
定着具21に挿通された外ケーブル4の両端部は、該定着具が埋め込まれたリブ14の両側部に設けられた切り欠き部25からそれぞれ引き出しておき、この切り欠き部25の端面にジャッキを装着する。そして、外ケーブル4のそれぞれの端部をジャッキによって反対方向に緊張し、定着具21に係止する。これにより、張力が外ケーブル4の端部間で伝達され、躯体2の周方向にプレストレスが導入される。その後、外ケーブル4の突出部分を切断し、切り欠き部25にコンクリートを打設して端部を埋め込む。
【0036】
上記のような貯槽の構築方法では、PCセグメント11をあらかじめ工場や現場ヤード等で製作しておくことができ、このPCセグメント11が壁体2aとなる部分と天蓋2bとなる部分とが連続した形状となっている。このため、現場において複数のPCセグメントを配置し、これらを接合することによって迅速に躯体2、すなわち壁体と天蓋とを構築することができる。また、貯槽の内側に設ける支保工が簡略化され、仮設費用を低減することができる。一方、外ケーブル4が躯体2の外側に突出したリブ14を貫通して配置されており、これにより躯体2の周方向にプレストレスが導入されている。したがって、ケーブルの配置作業、グラウトの充填作業が簡略化され、現場での作業量が大幅に減少し、工期及び工費の削減を図ることができる。また、ケーブルとコンクリートの躯体との間の摩擦も極めて小さく、有効にプレストレスが導入される。
【0037】
なお、上記貯槽では、複数の外ケーブル4を同数の定着具を用いて壁体の周方向に閉じた形状としてもよい。このような場合でもそれぞれの外ケーブル4を緊張して定着具に係止すると、張力が隣合う外ケーブル4の端部間で伝達され、壁体の周方向にほぼ均一な圧縮力が導入される。
【0038】
また、本願の請求項1に係る発明の貯槽は、図1に示す貯槽の形状に限られるものではなく、用途に合わせて、図9に示すような形状のものとすることができる。すなわち、図9(a)のようにPCセグメントからなる躯体、すなわち壁体と天蓋とが連続した軸対称シェル構造であっても良いし、図9(b)、(c)のように壁体となる部分が軸対象シェルとなり、天蓋となる部分が平板状となったものとすることもできる。図9(a)、(b)に示すように、壁体部分が上方に向かって径が縮小される形状であると、PCセグメントの形状が輸送し易いものとなる。そして、上記貯槽と同様に、PCセグメントの外周面側にリブを設けることにより、PCセグメントの曲げ強度が大きくなり、輸送時等の取り扱いが容易になるともに、PCセグメントを閉じた形状に配置した後、外ケーブルを周方向に配置して、簡単かつ迅速に緊張力を導入することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係るコンクリート貯槽及びコンクリート貯槽の構築方法では、該貯槽のコンクリート壁体となる部分とコンクリート天蓋となる部分とが連続しているプレキャストコンクリートセグメントを用いることによって、現場での作業性が向上し、仮設材の低減、省力化及び工期の短縮化を図ることができる。また、コンクリート壁体の外側に緊張材を配置することによって、これを緊張及び定着する作業を簡略化することができる。そして、この緊張材によって壁体の周方向に圧縮力をほぼ均等に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態である貯槽を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す貯槽の概略断面図及び概略平面図である。
【図3】図1に示す貯槽の躯体を構成するPCセグメントを示す概略斜視図である。
【図4】躯体の円周方向に配置される外ケーブルを示す平断面図である。
【図5】図4に示す外ケーブルが定着具に係止されている状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す外ケーブルの配置及び定着具の位置を示す概略図である。
【図7】PCセグメントと底版との結合部を示す断面図である。
【図8】PCセグメントを底版上に配置する方法を示す概略図である。
【図9】本願発明の他の実施形態である貯槽を示す概略断面図である。
【図10】従来のプレストレストコンクリート貯槽における円周方向の緊張材の定着部を示す平断面図である。
【符号の説明】
1 底版
2 躯体
3 換気孔
4 外ケーブル
5 貯留物
6 地盤
11 PCセグメント
12 曲面
13 下端ブロック部
14 リブ
15 アンカー
16 サポート
21 定着具
22 くさび
23 雌コーン
24 鋼より線の被覆
25 切り欠き部
Claims (6)
- コンクリート壁体及びコンクリート天蓋が鉛直な中心軸線に関して対称な構造の貯槽であって、
前記中心軸線から放射状に設定した鉛直面で分割され、前記コンクリート壁体となる部分と前記コンクリート天蓋となる部分とが連続したプレキャストコンクリートセグメントを周方向に配列して構成され、
該プレキャストコンクリートセグメントの外側で周方向に配置された緊張材に引張力を導入することによって前記コンクリート壁体に周方向の圧縮力が導入されていることを特徴とするコンクリート貯槽。 - 前記コンクリート壁体と前記コンクリート天蓋とは、なだらかな曲面で連続したものであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート貯槽。
- 前記コンクリート壁体の外周面から突出し、上下方向に連続したリブが、周方向の所定間隔毎に設けられ、
前記緊張材は、前記リブを貫通し、前記コンクリート壁体の外周面と離隔して配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート貯槽。 - 緊張材の定着具が前記リブに埋め込んで固着され、
該定着具は、二つの筒状部が一体に結合されたものであり、
周方向に配置された一連の緊張材の端部が前記定着具の二つの筒状部にそれぞれ反対側から挿通され、定着されていることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート貯槽。 - コンクリート壁体及びコンクリート天蓋が鉛直な中心軸線に関して対称なシェル構造の貯槽を形成する複数のプレキャストコンクリートセグメントであって、前記中心軸線から放射状に設定した鉛直面に沿ってセグメント間の接合面が形成され、壁体部分と天蓋部分とが連続したプレキャストコンクリートセグメントを製作し、
該プレキャストコンクリートセグメントを構築位置に配列し、
これらのプレキャストコンクリートセグメントの外側に周方向の緊張材を配置し、該緊張材に引張力を導入することによって、前記コンクリートセグメントを一体とし、壁体の周方向に圧縮応力を導入することを特徴とするコンクリート貯槽の構築方法。 - 前記プレキャストコンクリートセグメントのそれぞれには、外側面へ突出し、所定位置に建て込んだときに上下方向に連続したものとなるリブを設け、
該プレキャストコンクリートセグメントを所定位置に建て込んだ後、前記緊張材は、前記リブを貫通し、壁体部分の外周面と離隔するように配置することを特徴とする請求項5に記載のコンクリート貯槽の構築方法。
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