JP2005007526A - 刃物台の工具旋回装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定台11に固定した固定歯車18と旋回台14に固定した旋回歯車20とに同時に嵌脱する嵌脱歯車23を備えた面歯車継手17で旋回台14の割出位置を固定する刃物台の工具旋回装置において、旋回台14を軸支するクロスローラ軸受13と、嵌脱ピストン24に対向する付圧ピストン35を一体に備えた付圧部材36とを備え、この付圧部材は、旋回台14を嵌脱歯車23の離脱方向に付圧して、嵌脱歯車23が嵌合する割出位置及び嵌脱歯車23が離脱した自由位置で旋回台14を固定することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、工作機械の刃物台に装着される工具旋回装置に関するもので、刃物台に搭載された工具の方向を変換する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば旋盤において、一般的な刃物台に搭載された旋削工具や回転工具は、ワークに対する方向を変換することができず、そのためワークに任意の角度の斜面や斜め孔の加工を行うことができない。そこで刃物台に工具の方向を変換するための旋回装置を設けて、従来であればマシニングセンタで行われていた加工を旋盤上で行うことができるようにした複合旋盤が提供されている。
【0003】
工作機械においては、高精度の重切削加工を可能にするため、工具の支持剛性を高くする必要がある。所定角度毎の割出回転位置での高精度かつ高剛性の固定を実現する機械要素として、工作機械においては、スリーピース型の面歯車継手が広く利用されている。スリーピース型の面歯車継手は、旋回台に固定した旋回歯車と、固定台に固定した固定歯車とを旋回軸と直行する同一面内に同方向を向けて配置し、その両歯車に対向させた嵌脱歯車を進退させることにより、退避時には旋回歯車、従ってこれを固定した旋回台及び工具台を介して、当該旋回台に装着された工具が自由に旋回できるようにすると共に、固定歯車と旋回歯車との歯筋が一致した割出位置において、嵌脱歯車を進出させて固定及び旋回歯車と噛合させることにより、旋回歯車、従って工具の旋回位置を固定歯車を基準として高精度で固定できるようにしたものである。
【0004】
上記のスリーピース型の面歯車継手で、工具の割出位置の固定を行う工具旋回装置では、ツーピース型の面歯車継手のように、旋回台を軸方向に移動させる必要がないため、旋回台を旋回軸受でスラスト及びラジアル方向に軸支することができ、かつ旋回台を回転させる回転力伝達機構として高い剛性と自己保持機能を備えたウォーム歯車を用いている。
【0005】
上記面歯車継手を用いた工具の固定は、面歯車継手の歯のピッチ角を単位とする割出位置、即ち飛び飛びの位置での固定である。大部分の加工は、割出位置で工具を固定した状態で行うことが可能であるが、その中間の位置で工具を固定した状態での加工や、工具を旋回しながらの加工が要求される場合もある。そこでそのような加工を実現するために、上記のような割出位置での固定手段に加えて、旋回台を自由位置で固定するための摩擦力を利用した付圧部材を設けた工具旋回装置も提供されている(例えば特許文献1)。自由位置固定用の付圧部材は、通常油圧力で旋回台やブレーキディスクなどに押し付けられるようになっており、工具を旋回しながら加工を行うときは、減圧した油圧を作用させて、旋回台に回転負荷を与え、工具の動的な支持剛性を高くした状態で加工を行うことができるようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−52441号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述したような工具旋回装置の改良に関するもので、自由位置で工具を固定する際における工具の位置制度の向上と、工具を旋回しながら行う加工の円滑化を図ると共に、コンパクトで静的及び動的な工具支持剛性を高くすることが可能な刃物台の工具旋回装置を得ることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本願請求項1の発明に係る刃物台の工具旋回装置は、固定台11及び旋回台14にそれぞれ固定して歯の配置面を前記旋回台の旋回軸と直交する同一平面上に同一方向を向けて配置した固定歯車18及び旋回歯車20と、一体の嵌脱ピストン24に作用する油圧力で前記固定歯車及び旋回歯車に同時に嵌脱する嵌脱歯車23とを備えた面歯車継手17で旋回台14の割出位置を固定する刃物台の工具旋回装置において、前記旋回台14を軸支するクロスローラ軸受13と、前記嵌脱ピストン24に対向する付圧ピストン35を一体に備えた付圧部材36とを備え、この付圧部材は、旋回台14を前記嵌脱歯車23の離脱方向に付圧して、嵌脱歯車23が嵌合する割出位置及び嵌脱歯車23が離脱した自由位置で旋回台14を固定することを特徴とするものである。
【0009】
また本願請求項2の発明は、上記請求項1記載の工具旋回装置において、前記旋回台14に装着された放射配列ローラ群40と、刃物台ベース9に軸支されて当該ローラ群中のローラを対向する方向のカム面で挟持するねじカム41とを備えているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。図1は回転工具台を備えた刃物台の一例を示す側面図、図2は工具旋回装置の一実施例を示す断面図である。
【0011】
図1において、50は旋盤のベッド、51はベッド50に主軸52と平行にして設けられたZ軸ガイドレール、53はZ軸ガイドレール51に装着されたZ軸スライド、54はZ軸スライドに設けられたY軸ガイドレール、55はY軸ガイドレール54に装着されたY軸スライド、56はY軸スライドに設けられたX軸(工具切込方向)ガイドレール、1はX軸ガイドレール56に装着された刃物台である。2はタレット割出機構及び回転工具駆動機構を備えた工具台、3は工具台2に装着されたタレット、4はタレット3に装着された工具であり、工具台2は工具旋回装置8を介して刃物台1に搭載されている。
【0012】
工具旋回装置8の断面を示す図2において、9は円筒状の凹所10を備えた刃物台ベース、11は受座12を介して凹所10の中央に固定して立設された固定台、13は凹所10の内周面に装着されたクロスローラ軸受、14はクロスローラ軸受13で軸支された円筒状の旋回台であり、この旋回台14の上端に図1に示した工具台2が固定されている。
【0013】
固定台11の外周及び旋回台14の内周には、上向き段部15、16が形成され、固定台11の上向き段部15には、面歯車継手17の固定歯車18がボルト19で固定され、旋回台14の上向き段部16には、旋回歯車20がスペーサ21を介してボルト22で固定されている。スペーサ21は固定歯車18と旋回歯車20の歯の配置面を同一高さに調整するために介装されたものである。
【0014】
固定歯車18及び旋回歯車20に対向して、その両者に同時に嵌合する嵌脱歯車23が固定台11に軸方向移動自在に嵌挿されている。嵌脱歯車23は、その内周面に嵌脱ピストン24を一体に備えている。この嵌脱ピストン24は、固定台11の上部に形成された第2の上向き段部25と、当該固定台11の頂部に図示しないボルトで固定されたヘッド部材26との間に挿入されており、その上下に嵌合側油室27と離脱側油室28とが形成されている。29、30及び31、32は、液封用のシールである。
【0015】
固定台11の下部には、2段の下向き段部33、34が形成され、この2段の段部に嵌まり込むように、付圧ピストン35を一体に備えたリング状の付圧部材が嵌合されている。付圧ピストン35の上下には、退避側油室37と付勢側油室38とが形成されている。付圧部材36の外周には、上向き段部39が形成され、上動したときにこの段部が旋回台14の底面に押接されるようになっている。付圧ピストン35は、嵌脱ピストン24の略2分の1の受圧面積を備えている。
【0016】
旋回台14の下部外周には、その円周を等分する間隔で複数のカムローラ40が放射状に配置されている。一方、刃物台ベース9には、旋回軸と直角に交差するねじカム41が軸支されており、このねじカム41の図の紙面直角方向に対向する方向の2つのカム面が隣接する、または一つおいて隣接する2つのカムローラに同時に当接している。従って、旋回台14は、その旋回方向にねじカム41の対向する2つのカム面で位置決めされた状態になっており、旋回台14の旋回角が高い精度で規定され、ねじカム41が回転することにより、旋回台14は高精度の旋回動作を行う。
【0017】
なお、図2の刃物台1の下面に形成されている2個の下向きの凹所42は、刃物台1をX軸方向に案内する前記X軸ガイドレール56の嵌合部であり、円形の凹所43は、刃物台1の送りねじと螺合するボールナットの嵌合部である。
【0018】
上記構成において、旋回台14を旋回するときは、離脱側油室28及び退避側油室37に油圧を供給して、嵌脱歯車23を上方に離脱させると共に、付圧部材36を下方に移動させて、旋回台14に対する付圧力を開放する。この状態で旋回台14は、クロスローラ軸受13で軸支された自由回転状態となるので、ねじカム41を図1で示すサーボモータ44で回転させることにより、旋回台14を所望の角度に旋回する。
【0019】
固定する位置が割出位置であれば、旋回台14を当該位置まで旋回した後、嵌合側油室27及び付勢側油室38に油圧を供給して、嵌脱歯車23を固定歯車18及び旋回歯車20に噛合させると共に、付圧部材の上向き段部39で旋回台14を付勢して、嵌脱歯車23の嵌合力で旋回台14が下方に僅かに偏移するのを防止する。付圧ピストン35の受圧面積が嵌脱ピストン24の受圧面積の略2分の1であることから、嵌脱歯車23の嵌合力は、固定歯車18と旋回歯車20とに等分に分配される。
【0020】
旋回台14の所望の旋回位置が割出位置と異なるときは、離脱側油室28に油圧を供給したままの状態で、即ち嵌脱歯車23を離脱させた状態で、付勢側油室38に油圧を供給する。この状態で旋回台14は、クロスローラ軸受13と付圧部材36との間で挟持されて、その旋回位置が固定される。旋回台14は、ねじカム41とカムローラ40との当接により、正確な旋回位置に位置決めされているので、上記固定により、旋回台14は所望の角度位置に正確に保持される。このときの付圧部材36の軸方向力に耐えるため、軸方向の高い負荷強度を備えたクロスローラ軸受で旋回台14を軸支している。
【0021】
工具を旋回しながら加工を行うときは、付勢側油室38に減圧した油圧を供給してねじカム41を回転させる。この状態で旋回台14には、クロスローラ軸受13と付圧部材36とで挟持されることによる回転負荷が作用し、ねじカム41の回転による正確な角度での旋回運動が維持されるため、高剛性での正確な工具旋回加工を行うことができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したこの発明により、工作機械の刃物台に搭載される工具旋回装置において、面歯車継手による正確で高剛性の割出位置に工具を位置決めすることが可能であると共に、割出位置以外の自由位置に高い精度で工具を固定することが可能で、かつ工具を旋回しながらの円滑で正確な加工も可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】工具旋回装置を備えた刃物台の例を示す側面図
【図2】工具旋回装置の実施例を示す断面図
【符号の説明】
9 刃物台ベース
11 固定台
13 クロスローラ軸受
14 旋回台
17 面歯車継手
18 固定歯車
20 旋回歯車
24 係脱ピストン
25 第2上向き段部
35 付圧ピストン
36 付圧部材
40 カムローラ
41 ねじカム
Claims (2)
- 固定台(11)及び旋回台(14)にそれぞれ固定して歯の配置面を前記旋回台の旋回軸と直交する同一平面上に同一方向を向けて配置した固定歯車(18)及び旋回歯車(20)と、一体の嵌脱ピストン(24)に作用する油圧力で前記固定歯車及び旋回歯車に同時に嵌脱する嵌脱歯車(23)とを備えた面歯車継手(17)で旋回台(14)の割出位置を固定する刃物台の工具旋回装置において、前記旋回台(14)を軸支するクロスローラ軸受(13)と、前記嵌脱ピストン(24)に対向する付圧ピストン(35)を一体に備えた付圧部材(36)とを備え、この付圧部材は、旋回台(14)を前記嵌脱歯車(23)の離脱方向に付圧して、嵌脱歯車(23)が嵌合する割出位置及び嵌脱歯車(23)が離脱した自由位置で旋回台(14)を固定することを特徴とする、刃物台の工具旋回装置。
- 前記旋回台(14)に装着された放射配列ローラ群(40)と、刃物台ベース(9)に軸支されて当該ローラ群中のローラを対向する方向のカム面で挟持するねじカム(41)とを備えた、請求項1記載の工具旋回装置。
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