JP2005007487A - ワ−クの溝切方法および切削装置 - Google Patents

ワ−クの溝切方法および切削装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示板のバックライトまたはフロントライトに用いる導光板製造用金型の溝切りを高精密に加工する一方向切削加工方法。
【解決手段】テ−ブル4上のワ−ク2にダイヤモンドバイト10で溝加工する際、ダイヤモンドバイトの微量な昇降を圧電アクチュエ−タ11で行い、テ−ブル4の往移動時の溝加工する際は圧電素子11aに電圧を印加しないでダイヤモンドバイトを開始点位置高さに戻し、テ−ブル復移動時の溝加工しないときは圧電素子11aに電圧を印加してダイヤモンドバイトを10〜50μm上昇させてダイヤモンドバイトがワ−クに接触しない高さに上昇させてワ−クの切り込み・切削を行わないようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示板のバックライトまたはフロントライトに用いる溝を複数有する導光板の製造に用いる金型への溝切り方法、あるいは、電鋳により導光板製造用金型を製造するに用いる金属蒸着した樹脂板に溝を施した電極を製造する方法に関する。本発明はまた、そのワ−クへ溝切りを行う切削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノ−トパソコン、携帯電話、カ−ナビゲ−ション等の液晶表示装置の光拡散板としてバックライトまたはフロントライトに用いる溝を複数有する導光板が使用されている。図4に溝切導光板を用いたバックライト構造の一例を示す。図中、AはLEDまたはランプ、Bは反射シ−ト、Cは導光板、Dは拡散反射処理面、Eは拡散シ−ト、Fはレンズシ−トである。
【0003】
一般的なLEDバックライトの構造では、サイドまたは下に置かれたLED光が導光板に入射し、その導光板下面に作りこまれた溝状の拡散体により拡散されて液晶へ入射する。この光拡散板は、ダイヤモンドバイト(刃先)や超硬合金(タングステン炭素)刃先を有するV字状切刃を用いてマスタ−の金型ブロック材にV字状溝をバイト(切削)加工し、この溝切り加工された金型ブロック材を一部として組み立てた射出成形金型のキャビティ内に溶融したポリメチルメタクリレ−ト樹脂を射出成形することにより得られる。
【0004】
一般に、導光板の溝深さは、3〜12μmで、ピッチ幅Pは、0.02〜0.5mmであり、ピッチ幅は同一であっても、等差級数的に暫時減少させてもよい。例えば、Pn+1=P−0.013(P=0.4mm)である。
【0005】
また、銀を12〜30nmの厚み蒸着したポリメチルメタクリレ−ト樹脂板(厚み2〜4mm)の銀蒸着面側をダイヤモンドバイトにより溝切りしたものを電極として用い、鉄鋼を電鋳して金型ブロック材を製造し、この金型ブロック材を一部として組み立てた射出成形金型のキャビティ内に溶融したポリメチルメタクリレ−ト樹脂を射出成形することにより得られる。
【0006】
金型ブロック材や金属蒸着樹脂板電極のワ−クに直線状の溝を従来の導光板切削装置を用いる加工時間よりは1/3の加工時間で切削方法として、左右方向に移動可能なテ−ブル上にワ−クを載置した後、鉛直方向に昇降可能で、かつ、前後方向に移動可能に設けたダイヤモンドバイトを用いてワ−クとダイヤモンドバイトの相対的な動きによりワ−ク表面に一方向の溝を多数切削加工するワ−クの溝切方法であって、ワ−クを載置するテ−ブルを左右方向に移動する駆動はサ−ボドライブリニアモ−タを用い、テ−ブルの左右往復移動時の往移動時または復移動時にワ−ク表面にダイヤモンドバイトを下降させて指定量だけワ−クへの切り込み・切削を行い、ワ−クへの切り込み・切削が行われたテ−ブル移動方向とは反対方向へのテ−ブル移動時は、ダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてワ−クの切り込み・切削を行わないようにするとともに、切り込み・切削が行われない時のテ−ブルの移動速度を、切り込み・切削が行われる時のテ−ブル移動速度の2倍以上とすることを特徴とする、ワ−クの溝切方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、その方法を具体化する切削装置も株式会社 岡本工作機械製作所より導光板金型加工機LCD315Liの商品名で市販され、実用化されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−48112号公報(第3−5頁および図1参照)
【0008】
この一方向切削加工方法により得られる導光板は、切削された溝が毛羽立ちすることもなく、表面均一性が良好(例えば、5インチフロントライト用無電解ニッケルメッキワ−クで面粗度Raが2nm)で、光の乱反射が起こりにくい利点を有する。また、切削時間が従来の導光板金型加工機の1/3〜1/5の加工時間で行うことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載の導光板金型加工機は、テ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにサ−ボモ−タ−によりボ−ルネジを駆動してスライダ−の前面に備え付けられているバイト保持具の下部に支持されているダイヤモンドバイトの刃先がワ−クに接触しない高さに上昇させて行っている。本発明は、この一方向切削加工時のダイヤモンドバイトの上昇または下降を圧電(ピエゾ)アクチュエ−タを用いて行うことにより消費電力を節減するとともに、ダイヤモンドバイトのシフト時の変位量をより少なくし、得られる導光板金型の寸法精度・面粗度をより高めることができる切削装置およびワ−クの溝切り方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、左右方向に移動可能なテ−ブル上にワ−クを載置し、鉛直方向に昇降可能で、かつ、前後方向に移動可能に設けたダイヤモンドバイトを用いてワ−クとダイヤモンドバイトの相対的な動きによりワ−ク表面に一方向の溝を多数切削加工するワ−クの溝切方法であって、ワ−クを載置するテ−ブルを左右方向に移動する駆動はサ−ボドライブリニアモ−タを用い、
(1)ダイヤモンドバイトを開始点位置まで下降させた後、
(2)テ−ブルを左方向に往移動してダイヤモンドバイトにより指定量だけワ−クへの切り込み・切削を開始し、
(3)テ−ブル右反転時に電源切り換えスイッチをonにして圧電アクチュエ−タの圧電素子に電圧を印加して圧電素子を上方向に伸ばすことによりダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにし、
(4)ついで、次ぎに加工する溝のピッチ幅だけテ−ブルを前または後ろ方向に移動させた後、
(5)テ−ブル左反転時に電源切り換えスイッチをoffして圧電アクチュエ−タの圧電素子の電圧印加をなくすことにより圧電素子を下降させ、テ−ブルの左方向の往移動時にダイヤモンドバイトにより指定量だけワ−クへの切り込み・切削を行い、
(6)以下、前記(3)のテ−ブル右反転時に電源スイッチをonにして圧電アクチュエ−タの圧電素子を上方向に伸ばすことによりダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わない工程、(4)次ぎに加工する溝のピッチ幅だけテ−ブルを前または後ろ方向に移動させる工程および(5)テ−ブル左反転時に圧電アクチュエ−タの電源スイッチをoffして圧電素子を下降させる工程を繰り返すことを特徴とする、ワ−クに複数の溝を切る方法を提供するものである。
【0011】
ワ−クに溝を連続して加工する際、本発明ではダイヤモンドバイトの上昇または下降を圧電アクチュエ−タの圧電素子の伸縮により行うので、特許文献1に記載のボ−ルネジをサ−ボモ−タ−により駆動してダイヤモンドバイトの上昇または下降を行う一方向切削溝切り加工方法よりも消費電力が節減される。
また、圧電アクチュエ−タの電源切り換えスイッチのon/offによりダイヤモンドバイトの上昇または下降を行うので、その際の動きは圧電アクチュエ−タの圧電素子の鉛直方向の微量(10〜50μm)な伸縮と、ダイヤモンドバイトを下部に支持する保持具、前記圧電素子の鉛直方向の伸縮を保持具に伝える圧電アクチュエ−タの上ケ−スに限られ、それらの総重量は、特許文献1に記載のサ−ボモ−タ、ボ−ルネジ、スライダ−、螺合体、ダイヤモンドバイトを下部に支持する保持具の総重量と比較すると極めて小さく、振動による変位を受ける影響が極めて小さくなるので加工された導光板金型の面粗度Raも1〜1.5nmと向上する。
【0012】
請求項2の発明は、前記のワ−クの溝切方法において、切り込み・切削が行われない時のテ−ブルの移動速度は50〜300m/分、切り込み・切削が行われる時のテ−ブルの移動速度は、0.1〜30m/分であることを特徴とする。
【0013】
ワ−クを載置するテ−ブルを左右方向に移動する駆動にサ−ボドライブリニアモ−タを用いることにより、溝加工時のテ−ブル送り速度に対し、溝を加工しないときのテ−ブル送り速度を格段と速くすることができ、テ−ブルの往復の送り速度が同一な従来加工方法に比べ、1/3から1/5の加工時間で済む。この加工時間の短縮は、ワ−クの寸法が大きいほど、より多い本数の溝加工が必要とされるので加工時間の短縮効果が大きい。
【0014】
請求項3の発明は、サ−ボドライブリニアモ−タ駆動により左右方向に移動可能なテ−ブル、該テ−ブル上に設けられたワ−クを載置するチャック、前記テ−ブルの左右反転を検出する機構、前後方向にサ−ボドライブ移動可能なサドル上に備えたコラムの鉛直面に設けた昇降機構取付板、該取付板に設けられたガイドレ−ルとスライダ−とサ−ボモ−タとボ−ルネジよりなる昇降機構、前記スライダ−の前面に設けた鉛直方向軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タ、該鉛直方向軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タ前面に設けられたバイト保持具、該バイト保持具の下部に設けられたダイヤモンドバイト、前記テ−ブルの左右反転を検出し、このテ−ブル反転時に鉛直方向軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タのピエゾドライブ増幅器の電源切り換えスイッチへon/off信号を送信する制御機構、および、前記ダイヤモンドバイトの背面側にワ−クとダイヤモンドバイトが接触する加工点に流体を吹き付けるノズル、とを有する切削装置を提供するものである。
【0015】
ワ−クを載置するテ−ブルを左右方向に移動する駆動手段としてリニアモ−タ駆動を用い、テ−ブルの左方向から右方向への移動時はワ−ク表面にダイヤモンドバイトを圧電アクチュエ−タにより下降させて指定量だけワ−クへの切り込み・切削を行い、ワ−クへの切り込み・切削が行われたテ−ブル移動方向とは反対方向へのテ−ブルの右方向から左方向への移動時は、ダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに圧電アクチュエ−タにより上昇させてワ−クの切り込み・切削を行わないようにする。
【0016】
ワ−クのピッチ送りは、コラムを支持しているサドルをピッチ幅前方向または後方向に移動させることによりコラムに備えられたダイヤモンドバイトをワ−クに対し相対的に前後方向に移動できる。
これらテ−ブルの左右移動、サドルの前後移動、ダイヤモンドバイトの開始点、待避位置への上下移動は、コンピュ−タ制御のサ−ボドライブで行われる。
【0017】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下、図を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、ワ−クにダイヤモンドバイトで溝を加工している状態を示す部分断面図、図2は本発明の切削装置の斜視図、図3は切削装置のリニアモ−タ駆動送りのテ−ブル断面図、及び図4は液晶表示板のバックライト構造の斜視図である。
【0018】
図1および図2に示す本発明の切削装置において、1は切削装置、2はワ−ク、3はチャック、4は左右の水平方向(X軸方向)に往復移動可能なテ−ブル、5は作業台ユニット、6は前後方向(Z軸方向)に往復移動可能なサドル、7はコラム、8は保持具取付材、9はバイト保持具、10はダイヤモンドバイト(刃先)、11は圧電アクチュエ−タ、12は固定ボルト、13は流体吹き付けノズル、14は保持具取付材8を上下方向に移動させる昇降機構、15は操作盤、16は圧電アクチュエ−タのピエゾドライブ増幅器(アンプ)、17はタンク、18はフィルタ、Pはポンプである。
【0019】
昇降機構14は、ボ−ルネジ14a、ガイドレ−ル14b、スライダ−(螺合体)14c、サ−ボモ−タ14d、前記コラム7に取り付けられた昇降機構取付板14eよりなり、サ−ボモ−タ14dの回転駆動をボ−ルネジ14aが受けて保持具取付材8が前面に備え付けられたスライダ−(螺合体)14cが鉛直方向に延びる一対のガイドレ−ル14b上を滑走することにより、保持具取付材8前面に圧電アクチュエ−タ11を介して設けられたバイト保持具9下部に接着されたダイヤモンドバイト10を昇降させる。
【0020】
ベッド20は前記サドル6を載せ、図示されていない油圧アクチュエ−タ機構でサドルを前後方向に移動可能である。サドル6の後部にはコラム7が立架され、前述したようにコラム7前面に昇降機構取付板14eが固定されている。サドル6がテ−ブル4に対し前後移動することによりコラム7に取り付けられたダイヤモンドバイト(刃先b)10がワ−クに対し、前後方向にピッチ幅移動する。
油圧アクチュエ−タ機構は、空気圧アクチュエ−タ機構、サ−ボモ−タ駆動のボ−ルネジ、またはサ−ボドライブリニアモ−タに置き換えてもよい。
【0021】
ダイヤモンドバイト10の刃先形状は、先丸状、六角錐状またはV状であり、刃先の高さは0.5〜5mmが一般である。
【0022】
圧電アクチュエ−タ11は、NECト−キン株式会社より積層圧電アクチュエ−タがAEシリ−ズ、ASLシリ−ズのグレ−ド番号を付して販売、あるいは株式会社メステックよりX軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タがM−5516B、M−5517B、M−5518の商品名で、XY軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タがM−5516XY、M−5517XY、M−5550XY、M−5551XY18の商品名で販売されている。圧電セラミック素子の伸縮の変位量(μm)は電圧により依存する。圧電アクチュエ−タの最大変位量は、12〜50μm程度である。
【0023】
ピエゾドライブ増幅器(アンプ)16は、株式会社メステックよりM−2664の商品名で市販されている。図1および図2には示されていないが、テ−ブルの側面に備えられたタッチセンサがテ−ブルの反転位置に設けられたドッグに接触するとタッチセンサより切削装置の制御盤15の記録部(RAM)に送信され、テ−ブルの反転がリニアモ−タに指示されてテ−ブル反転が行われるとともに、制御盤15の記憶部(ROM)に格納されている加工ソフトウエアに従って制御部(CPU)よりピエゾドライブ増幅器電源切り換えスイッチ16bにテ−ブル反転の信号(右反転時にはonの信号、左反転時にはoffの信号)が送信され、電源切り換えスイッチ16bの切り換えが行われる。図1に示すピエゾドライブ増幅器16おいて、16aはメイン電源、16cは電圧調整ダイヤルである。
【0024】
導光板加工時のテ−ブル右反転時に圧電アクチュエ−タ11のピエゾドライブ増幅器の電源切り換えスイッチ16bをonにして圧電素子11aに電圧を印加して圧電素子を上方向に伸ばすと、伸びた圧電素子が押さえ上ケ−ス11bを押し上げ、上ケ−ス11bに固定されている前面ケ−ス11cも上昇することにより前面ケ−ス11cに固定されているバイト保持具9の下部に固定されているダイヤモンドバイト10をワ−クに接触しない高さに上昇させることができ、テ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにすることができる。
【0025】
また、導光板加工時のテ−ブル左反転時に電源切り換えスイッチ16bをoffにして圧電アクチュエ−タ11の圧電素子の電圧印加をなくすことにより圧電素子を下降させて元の位置(開始点の高さ位置)に戻すことができ、テ−ブルの左方向の往移動時にダイヤモンドバイト10により指定量だけワ−クへの切り込み・切削を行うことができる。
【0026】
図1に示すように、圧電アクチュエ−タ11の後ケ−ス11dは保持具取付材8前面に固定され、この保持具取付材8は昇降機構14のスライダ14cの前面に固定され、上下方向に移動できる構造となっている。
【0027】
加工されるワ−ク2としては、銀、金、銅、錫等の金属蒸着樹脂板よりなる電極材料、Niメッキ鋼、銅メッキ鋼等の金型材料が用いられる。ワ−ク厚みは、1〜30mmが一般である。ワ−ク寸法は、導光板が用いられる用途、例えば携帯電話、ノ−トパソコン、モバイル端末、液晶テレビ等の液晶表示板により異なるが、例えば35mm角、60mm角、5インチ、14インチ、17インチ、32インチ、40インチ画面寸法である。
【0028】
ノズル13は、バイト保持具9下部に接着されたダイヤモンドバイト(刃先)10の背面にその吹出口が位置するように設けられる。ノズル13素材としては、銅管、ポリ(テトラフルオロエチレン)樹脂管が使用される。
ノズル13より噴出される流体は、切削油、圧力空気、オイルミスト等であり、ワ−クとダイヤモンドバイトが接触する加工点に流体は吹き付けられてワ−クの切り込み・切削が行われる。オイルミストは切削油と冷却空気の混合物であるが、ノズルを2本独立して保持具取付材8に設け、それぞれのノズルより潤滑油、冷却空気を噴出させてノズルより噴出され、両者が交わったところでミストを形成するようにしてもよい。
【0029】
切削装置1のテ−ブル4の駆動は、リニアモ−タ利用のサ−ボドライブ方式であり、例えば図3に示す構造を取る。
図3において、テ−ブル4はスライダ40を介してV字型案内レ−ル30上をリニアモ−タにより往復線形移動可能な構造となっている。なお、図3において、左側のV字型案内レ−ルおよびスライダは板64により隠蔽されている。案内レ−ル30,30は、V−Vの組み合わせ、V−平の組み合わせ、平−平の組み合わせのいずれであってもよい。案内レ−ル30,30は、断面凹状の側壁を有するベッド20を構成するフレ−ムの側壁20a,20bの上面に設けられる。
【0030】
前記テ−ブル4の下面中央部には前記ベッド20の側壁凹部に垂下した突起部23がボルト23aによりテ−ブル4に固定して設けられる。リニアモ−タは磁石24,24とコイル27,27とからなり、ベッドの凹部側壁と平行な前記突起部23の両側壁面に磁石24,24が設けられ、フレ−ムの凹部内側壁面の両面にはコイル27,27が設けられる。この2組の一対の磁石とコイルでリニアモ−タを構成し、該リニアモ−タの稼動でテ−ブル4は案内レ−ル30,30上を線形移動可能となっている。
【0031】
前記断面凹状のベッド側壁20a,20bには冷却媒体通路を有する取付板27a,27aを介してコイル27,27が取り付けられており、冷却媒体通路には管27b,27bが接続され、冷却媒体通路に冷却媒体を図示されていないポンプにより供給する。冷却媒体はコイル27,27より発生する熱を冷却する。
板64には、ダンパ−63が設けられ、コイル27への電線ケ−ブルを収納している。65はリミットスイッチである。
【0032】
前記断面凹状の側壁20a,20bの案内レ−ル30,30近傍には、案内レ−ル冷却媒体通路が設けられ、管62により側壁20a,20b面に冷却媒体を供給する。
これらコイル27,27に対面してベッドの凹部側壁と平行な前記突起部23の両側壁面に磁石24,24がわずかな隙間をコイル間に設けて固定される。磁石は、永久磁石であっても、コイルを使用した電磁石であってもよい。
【0033】
この図2に示すリニアモ−タ駆動のテ−ブル送り装置において、案内レ−ル30に負荷する荷重を減らすため、前記テ−ブル4の下面中央部にフレ−ム20の側壁凹部内に垂下した突起部23底面に永久磁石36を、この永久磁石36に相対向し、この永久磁石の往復移動距離に相当する長さの永久磁石36’をベッド20の中央部19aに設ける。
【0034】
永久磁石36,36’は、相対向する面の永久磁石の極が同一極、N極−N極、またはS極−S極となるように設ける。これら永久磁石36,36’表面間の距離は、0.1〜2mm、好ましくは、0.3〜1.0mmである。
【0035】
テ−ブル4の下面に設けられた突起部底面に設けられた永久磁石はスペ−サを介してテ−ブルの下面中央部には垂下した断面凸状の突起部底面に設けられ、この突起部の凸状部の上面にまでベッド20の側壁面より水平方向に延びた停止板19b,19bによりテ−ブルの上方への浮き上がりが制限される構造となっている。
【0036】
かかる図1、図2及び図3で示される切削装置1を用い、ワ−ク2に直線状に平行に並んだ複数のV字状溝を切削加工するには、先ず、左右(X軸)方向に移動可能なテ−ブル4上にワ−ク2を載置し、操作盤15より加工プログラムとして溝切削加工プログラムを選択し、ついで、表示板に表示された指令に基づいて基準点、工具切り込み開始点位置、工具反転位置、切り込み深さα、テ−ブル反転時のバイト上昇量に見合う圧電アクチュエ−タに懸ける電圧、テ−ブル往移動速度、テ−ブル復移動速度、移動ピッチ幅等の加工条件を入力する。
【0037】
ついで、操作盤15の始動ボタンを押し、テ−ブル4、サドル6を移動させた後、昇降機構14によりダイヤモンドバイト10の刃先位置を待避位置に移動させるとともに、ピエゾドライブ増幅器のメイン電源スイッチ16dを入れる。
【0038】
操作盤15の開始ボタンを押して昇降機構14により切削切り込み開始点にダイヤモンドバイト10を下降(−Y軸方向)させ、リニアモ−タでテ−ブル4を左右方向に移動させることにより、テ−ブル5が右方向から左方向(−X)に移動する際は金型材のワ−ク2に対して深さα量切り込み・溝切削が行われ、テ−ブル4が右反転するとピエゾドライブ増幅器16の切り換えスイッチ16bがonに切り換えられ、圧電アクチュエ−タ11の圧電素子に電圧が印加され、ダイヤモンドバイト10切刃がワ−ク2に接触しない高さ(α+β)に上昇(+Y軸方向)し、テ−ブル4が左方向から右方向(+X)に移動する際はダイヤモンドバイト10による溝加工は行われない。
【0039】
テ−ブル4が左反転位置に到達すると、サドル6が溝のピッチ幅だけ後退するとともに、ピエゾドライブ増幅器16の切り換えスイッチ16bがoffに切り換えられ、圧電アクチュエ−タ11の圧電素子に印加されていた電圧が消えてダイヤモンドバイト10切刃がβだけ下降し、ワ−ク右端の開始点位置まで移動する。
【0040】
このワ−ク表面に一方向溝を切削加工する際、ダイヤモンドバイト10切刃とワ−ク2とが接触する加工点に向けてノズル13より冷却流体を吹き付ける。また、ダイヤモンドバイトによりワ−クへの切り込み・切削が行われるときのテ−ブル4の移動速度は、0.1〜30m/分、切り込み・切削が行われないときのテ−ブル4の移動速度は50〜300m/分であることが好ましい。但し、超精密に加工するために往復動のテ−ブル移動速度を同じ、例えば0.1m/分で行うこともできる。
【0041】
ダイヤモンドバイト10がワ−ク右端の開始点位置まで戻されると、2回目以降のワ−クへの溝切削加工が開始される。すなわち、
前記のテ−ブル左方向の往移動時にダイヤモンドバイトにより指定量(α)だけワ−クへの切り込み・切削を行う工程、
テ−ブル右反転時に電源切り換えスイッチ16bをonにして圧電アクチュエ−タの圧電素子11aを上方向に伸ばすことによりダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・研削を行わない工程、
およびテ−ブル4が左反転位置に到達すると、次ぎに加工する溝のピッチ幅だけサドル6を後退する(テ−ブル4に対し相対的にダイヤモンドバイトを前方向に移動させる)とともに、ピエゾドライブ増幅器16の切り換えスイッチ16bをoffに切り換え、圧電アクチュエ−タ11の圧電素子に印加されていた電圧が消えてダイヤモンドバイト10切刃がβだけ下降し、ワ−ク右端の開始点位置まで移動する工程、
を繰り返えし、ワ−クに複数の溝を加工する。
【0042】
所望するn本の溝の切削加工が終了したら、テ−ブル4、サドル6の移動を停止し、ダイヤモンドバイト10を昇降機構14により待避位置まで上昇させた後、加工ワ−クを洗浄し、乾燥させる。
【0043】
上記加工作業は、制御盤8に内蔵される制御装置(CPU)の記憶部(ROM)に記憶された加工プログラムに則って、テ−ブル4駆動のリニアモ−タ、ダイヤモンドバイト10昇降機構14のボ−ルネジ駆動のサ−ボモ−タ、バイト10の前後移動を司るサドル6駆動の液圧アクチュエ−タのサ−ボドライブ、ピエゾドライブ増幅器16の切り換えスイッチ16bのon/offの切り換えが行われる。
【0044】
なお、ダイヤモンドバイト10の圧電素子11aの微量な昇降を押さえ上ケ−ス11bを介してバイト保持具9を固定する前ケ−ス11cに伝えて行う実施例を前述したが、上ケ−ス11bを介さずに圧電素子11aを前ケ−ス11cに固定し、直接バイト保持具9を昇降させるようにしてもよい。
【0045】
さらに、圧電素子の電圧印加時(ピエゾドライブ増幅器16のスイッチon)にダイヤモンドバイトが上昇し、電圧非印加時(ピエゾドライブ増幅器16のスイッチoff)にダイヤモンドバイトが下降して元の位置に戻る例を記述したが、圧電素子11aの下部にダイヤモンドバイト10を固定し、圧電素子の電圧印加時(ピエゾドライブ増幅器16のスイッチon)にダイヤモンドバイトが下降し、電圧非印加時(ピエゾドライブ増幅器16のスイッチoff)にダイヤモンドバイトが上昇して元の位置に戻るように圧電アクチュエ−タの構造を変えてもよい。
【0046】
この際は、
(1)ダイヤモンドバイトを昇降機構により下降させた後、電源切り換えスイッチをonにして圧電アクチュエ−タの圧電素子に電圧を印加して圧電素子を下降させ開始点位置に位置合わせする。
(2)テ−ブルを左方向に往移動してダイヤモンドバイトにより指定量だけワ−クへの切り込み・切削を開始し、
(3)テ−ブル右反転時に電源切り換えスイッチをoffにして圧電アクチュエ−タの圧電素子の電圧を非印加として圧電素子を上方向に戻すことによりダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにし、
(4)ついで、次ぎに加工する溝のピッチ幅だけテ−ブルを前または後ろ方向に移動させた後、
(5)テ−ブル左反転時に電源切り換えスイッチをonにして圧電アクチュエ−タの圧電素子に電圧を印加し圧電素子を下降させ、テ−ブルの左方向の往移動時にダイヤモンドバイトにより指定量だけワ−クへの切り込み・切削を行い、
(6)以下、前記(3)のテ−ブル右反転時に電源スイッチをoffにして圧電アクチュエ−タの圧電素子を上方向に戻すことによりダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わない工程、(4)次ぎに加工する溝のピッチ幅だけテ−ブルを前または後ろ方向に移動させる工程および(5)テ−ブル左反転時に圧電アクチュエ−タの電源スイッチをonして圧電素子を下降させる工程を繰り返えしてワ−ク2に複数の溝を切削下降する。
【0047】
【発明の効果】
本発明のリニアモ−タ駆動によるワ−クの一方向溝切削方法は、圧電アクチュエ−タの電源切り換えスイッチのon/offによりダイヤモンドバイトの上昇または下降を行うので、その際の動きは圧電アクチュエ−タの圧電素子の鉛直方向の微量(10〜50μm)な伸縮と、ダイヤモンドバイトを下部に支持する保持具、前記圧電素子の鉛直方向の伸縮を保持具に伝える圧電アクチュエ−タの上ケ−スに限られ、それらの総重量は、特許文献1に記載のサ−ボモ−タ、ボ−ルネジ、スライダ−、螺合体、ダイヤモンドバイトを下部に支持する保持具の総重量と比較すると極めて小さく、振動による変位を受ける影響が極めて小さくなるので加工された導光板金型の面粗度Raも1〜1.5nmと向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワ−クにダイヤモンドバイトで溝を加工している状態を示す部分断面図である。
【図2】本発明の切削装置の斜視図である。
【図3】切削装置のリニアモ−タ駆動テ−ブルの断面図である(公知)。
【図4】液晶表示板のバックライト構造の斜視図である(公知)。
【符号の説明】
1 切削装置
2 ワ−ク
3 チャック
4 テ−ブル
6 サドル
7 コラム
8 保持具取付材
9 バイト保持具
10 ダイヤモンドバイト
13 流体供給ノズル
14 昇降機構
11 圧電アクチュエ−タ
11a 圧電素子
16 ピエゾドライブ増幅器
16b on/off切り換えスイッチ

Claims (3)

  1. 左右方向に移動可能なテ−ブル上にワ−クを載置し、鉛直方向に昇降可能で、かつ、前後方向に移動可能に設けたダイヤモンドバイトを用いてワ−クとダイヤモンドバイトの相対的な動きによりワ−ク表面に一方向の溝を多数切削加工するワ−クの溝切方法であって、ワ−クを載置するテ−ブルを左右方向に移動する駆動はサ−ボドライブリニアモ−タを用い、
    (1)ダイヤモンドバイトを開始点位置まで下降させた後、
    (2)テ−ブルを左方向に往移動してダイヤモンドバイトにより指定量だけワ−クへの切り込み・切削を開始し、
    (3)テ−ブル右反転時に電源切り換えスイッチをonにして圧電アクチュエ−タの圧電素子に電圧を印加して圧電素子を上方向に伸ばすことによりダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにし、
    (4)ついで、次ぎに加工する溝のピッチ幅だけテ−ブルを前または後ろ方向に移動させた後、
    (5)テ−ブル左反転時に電源切り換えスイッチをoffして圧電アクチュエ−タの圧電素子の電圧印加をなくすことにより圧電素子を下降させ、テ−ブルの左方向の往移動時にダイヤモンドバイトにより指定量だけワ−クへの切り込み・切削を行い、
    (6)以下、前記(3)のテ−ブル右反転時に電源スイッチをonにして圧電アクチュエ−タの圧電素子を上方向に伸ばすことによりダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わない工程、(4)次ぎに加工する溝のピッチ幅だけテ−ブルを前または後ろ方向に移動させる工程および(5)テ−ブル左反転時に圧電アクチュエ−タの電源スイッチをoffして圧電素子を下降させる工程を繰り返すことを特徴とする、ワ−クに複数の溝を切る方法。
  2. 切り込み・切削が行われない時のテ−ブルの移動速度は50〜300m/分、切り込み・切削が行われる時のテ−ブルの移動速度は、0.1〜30m/分であることを特徴とする、請求項1に記載のワ−クの溝切方法。
  3. サ−ボドライブリニアモ−タ駆動により左右方向に移動可能なテ−ブル、該テ−ブル上に設けられたワ−クを載置するチャック、前記テ−ブルの左右反転を検出する機構、前後方向にサ−ボドライブ移動可能なサドル上に備えたコラムの鉛直面に設けた昇降機構取付板、該取付板に設けられたガイドレ−ルとスライダ−とサ−ボモ−タとボ−ルネジよりなる昇降機構、前記スライダ−の前面に設けた鉛直方向軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タ、該鉛直方向軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タ前面に設けられたバイト保持具、該バイト保持具の下部に設けられたダイヤモンドバイト、前記テ−ブルの左右反転を検出し、このテ−ブル反転時に鉛直方向軸ステ−ジ圧電アクチュエ−タのピエゾドライブ増幅器の電源切り換えスイッチへon/off信号を送信する制御機構、および、前記ダイヤモンドバイトの背面側にワ−クとダイヤモンドバイトが接触する加工点に流体を吹き付けるノズル、とを有する切削装置。
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