JP2005028495A - 導光板金型の溝切方法 - Google Patents

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Kazuo Watanabe
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Abstract

【課題】液晶表示板のバックライトまたはフロントライトに用いる導光板製造用金型の溝切りを高精密に加工する一方向切削加工方法。
【解決手段】ダイヤモンドバイト10を用いてワ−ク2に所望の深さhμmの溝を切削加工するのに、予め数回(n回)のh/nμm切り込み・切削の粗切削加工で所望の深さhの溝を加工し、ついで、1〜50nmの切り込み・切削の精切削加工を行い、面粗度Raが1nm以下と良好な溝を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示板のバックライトまたはフロントライトに用いる溝を複数有する導光板の製造に用いる金型への溝切り方法、あるいは、電鋳により導光板製造用金型を製造するに用いる金属蒸着した樹脂板に溝を施した電極を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノ−トパソコン、携帯電話、カ−ナビゲ−ション等の液晶表示装置の光拡散板としてバックライトまたはフロントライトに用いる溝を複数有する導光板が使用されている。図4に溝切導光板を用いたバックライト構造の一例を示す。図中、AはLEDまたはランプ、Bは反射シ−ト、Cは導光板、Dは拡散反射処理面、Eは拡散シ−ト、Fはレンズシ−トである。
【0003】
一般的なLEDバックライトの構造では、サイドまたは下に置かれたLED光が導光板に入射し、その導光板下面に作りこまれた溝状の拡散体により拡散されて液晶へ入射する。この光拡散板は、ダイヤモンドバイト(刃先)や超硬合金(タングステン炭素)刃先を有するV字状切刃を用いてマスタ−の金型ブロック材にV字状溝をバイト(切削)加工し、この溝切り加工された金型ブロック材を一部として組み立てた射出成形金型のキャビティ内に溶融したポリメチルメタクリレ−ト樹脂を射出成形することにより得られる。
【0004】
一般に、導光板の溝深さは、3〜12μmで、ピッチ幅Pは、0.02〜0.5mmであり、ピッチ幅は同一であっても、等差級数的に暫時減少させてもよい。例えば、Pn+1=P−0.013(P=0.4mm)である。
【0005】
また、銀を12〜30nmの厚み蒸着したポリメチルメタクリレ−ト樹脂板(厚み2〜4mm)の銀蒸着面側をダイヤモンドバイトにより溝切りしたものを電極として用い、超硬材の鋼を電鋳して金型ブロック材を製造し、この金型ブロック材を一部として組み立てた射出成形金型のキャビティ内に溶融したポリメチルメタクリレ−ト樹脂を射出成形することにより得られる。
【0006】
金型ブロック材や金属蒸着樹脂板電極のワ−クに直線状の溝を従来の導光板切削装置を用いる加工時間よりは1/3の加工時間で切削方法として、左右方向に移動可能なテ−ブル上にワ−クを載置した後、鉛直方向に昇降可能で、かつ、前後方向に移動可能に設けたダイヤモンドバイトを用いてワ−クとダイヤモンドバイトの相対的な動きによりワ−ク表面に一方向の溝を多数切削加工するワ−クの溝切方法であって、ワ−クを載置するテ−ブルを左右方向に移動する駆動はサ−ボドライブリニアモ−タを用い、テ−ブルの左右往復移動時の往移動時または復移動時にワ−ク表面にダイヤモンドバイトを下降させて指定量だけワ−クへの切り込み・切削を行い、ワ−クへの切り込み・切削が行われたテ−ブル移動方向とは反対方向へのテ−ブル移動時は、ダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてワ−クの切り込み・切削を行わないようにするとともに、切り込み・切削が行われない時のテ−ブルの移動速度を、切り込み・切削が行われる時のテ−ブル移動速度の2倍以上とすることを特徴とする、ワ−クの溝切方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、その方法を具体化する切削装置も株式会社 岡本工作機械製作所より導光板金型加工機LCD315Liの商品名で市販され、実用化されている。
【0007】
また、シャンクと刃先部との間に結合手段を介して内挿された圧電変換素子棒に電圧を印加(on)または開放(off)して刃先を微量に昇降させる切削装置の刃物も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2003−48112号公報(第3−5頁および図1参照)
【特許文献2】
特開平9−131602号公報(第2−3頁および図1参照)
【0009】
この特許文献1に記載される一方向切削加工方法により得られる導光板は、切削された溝が毛羽立ちすることもなく、表面均一性が良好(例えば、5インチフロントライト用無電解ニッケルメッキワ−クで面粗度Raが2nm)で、光の乱反射が起こりにくい利点を有する。また、切削時間が従来の導光板金型加工機の1/3〜1/5の加工時間で行うことができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近時、市場より液晶表示板の輝度を高めるためにワ−クの加工溝の面粗度Raが2nm以下であることが要求されている。従来、5μmの深さの溝を切削加工するのにテ−ブルの往復のたびにダイヤモンドを1.0μmづつ下降させて1.0μmづつ溝を切り込み・切削して5回の往復でト−タルで5μmの深さの溝を加工していた。LCD315Liの熟練工で加工溝の面粗度Raが0.70〜1.0nmのものが得られていた。
【0011】
ダイヤモンドバイトの昇降をサ−ボモ−タドライブ機構(サ−ボモ−タ、ボ−ルネジ、螺合体、CPU)で行う前記特許文献1に記載の導光板金型加工機では、切削ヘッドの重さが100kgあり、未熟な一般工でかかる精度の溝を得ることは困難である。本発明者は、前記特許文献2に記載の圧電アクチュエ−タを用い、1番最初のバイトを加工開始点に位置させるときおよび最後のバイトを加工開始点より遠ざけるときはサ−ボモ−タドライブ機構でダイヤモンドバイトの昇降を行い、2回目以降5回目までの切り込みおよびバイトの上昇は圧電アクチュエ−タによるダイヤモンドバイトの昇降により行うことにすれば2〜5回目では切削ヘッドの100kgを動かすものではないので一般工でも加工精度が出ると推測し、一般工に加工を試みさせたが面粗度Raが1.0nmを越えるものが数点でたり、1つのワ−クに加工された多数の溝の内、1本が深く切削され過ぎ、その溝の輝度が他の多くの溝より目立つ加工ワ−クも数点でることが見い出された。
【0012】
本発明は、圧電アクチュエ−タの機能を向上させ、さらに加工プログラムを変えることにより一般工でも加工溝の面粗度Raが1.0nm以下と良好で、くせのない均一な加工面(溝の深さが均一)のものが得られる導光板金型の溝切方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、左右方向に移動可能なテ−ブル上にワ−クである導光板金型を載置し、鉛直方向に昇降可能で、かつ、前後方向に移動可能に設けたダイヤモンドバイトを用いてワ−クとダイヤモンドバイトの相対的な動きによりワ−ク表面に一方向の深さhμmの溝を(n+m)回切削加工して1本の溝を切削加工する導光板金型の溝切方法であって、
(1)ダイヤモンドバイトを開始点位置まで下降させた後、
(2)テ−ブルを右方向に往移動してダイヤモンドバイトによりh/nμmの量ワ−クへの切り込み・切削を開始し、
(3)テ−ブル右反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動させ、
(4)ついで、上記(1)、(2)および(3)の工程を2からn回迄繰り返した後、
(5)テ−ブルを右方向に往移動してダイヤモンドバイトにより1〜50nmの量ワ−クへの切り込み・切削を行い、テ−ブル右反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動を行う工程をm回する、
ことを特徴とする、導光板金型の溝切方法を提供するものである。
(但し、nは2〜30の整数、mは1〜5の整数である。)
【0014】
上記(1)乃至(4)の工程で所望の深さの溝をワ−クに加工し、(5)の工程で溝の平坦性Raを向上させる加工を行う。
【0015】
本請求項2の発明は、前記導光板金型の溝切方法において、前記(1)の工程のダイヤモンドバイトを開始点位置まで下降する手段はサ−ボドライブリニアモ−タ駆動で行うものであり、前記(2)乃至(5)の工程におけるダイヤモンドバイトの昇降手段は、圧電アクチュエ−タのピエゾ素子の伸縮により行われることを特徴とする。
【0016】
ワ−クに溝を加工する際、本発明ではダイヤモンドバイトの上昇または下降を圧電アクチュエ−タの圧電素子の伸縮により行うので、特許文献1に記載のボ−ルネジをサ−ボモ−タ−により駆動してダイヤモンドバイトの上昇または下降を行う一方向切削溝切り加工方法よりも消費電力が節減される。
【0017】
また、圧電アクチュエ−タの電源切り換えスイッチのon/offによりダイヤモンドバイトの上昇または下降を行うので、その際の動きは圧電アクチュエ−タの圧電素子の鉛直方向の微量(1nm〜50μm)な伸縮と、ダイヤモンドバイトを下部に支持する保持具、前記圧電素子の鉛直方向の伸縮を保持具に伝える圧電アクチュエ−タの上ケ−スに限られ、それらの総重量は、特許文献1に記載のサ−ボモ−タ、ボ−ルネジ、スライダ−、螺合体、ダイヤモンドバイトを下部に支持する保持具の総重量と比較すると極めて小さく、振動による変位を受ける影響が極めて小さくなるので加工された導光板金型の面粗度Raも1.0nm以下と向上する。また、くせのない均一な加工面を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下、図を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、ワ−クにダイヤモンドバイトで溝を加工している状態を示す部分断面図、図2は本発明の切削装置の斜視図、図3は積層圧電アクチュエ−タを使用した位置決めシステム構成図、及び図4は液晶表示板のバックライト構造の斜視図である。
【0019】
図1および図2に示す本発明の切削装置において、1は切削装置、2はワ−ク、3はチャック、4は左右の水平方向(X軸方向)に往復移動可能なテ−ブル、5は作業台ユニット、6は前後方向(Z軸方向)に往復移動可能なサドル、7はコラム、8は保持具取付材、9はバイト保持具、10はダイヤモンドバイト(刃先)、11は圧電アクチュエ−タ、12は固定ボルト、13は流体吹き付けノズル、14は保持具取付材8を上下方向に移動させる昇降機構、15は制御ユニット部、16は圧電アクチュエ−タのナノサ−ボコントロ−ラ、17はタンク、18はフィルタ、Pはポンプである。
【0020】
昇降機構14は、ボ−ルネジ14a、ガイドレ−ル14b、スライダ−(螺合体)14c、サ−ボモ−タ14d、前記コラム7に取り付けられた昇降機構取付板14eよりなり、サ−ボモ−タ14dの回転駆動をボ−ルネジ14aが受けて保持具取付材8が前面に備え付けられたスライダ−(螺合体)14cが鉛直方向に延びる一対のガイドレ−ル14b上を滑走することにより、保持具取付材8前面に積層圧電アクチュエ−タ11を介して設けられたバイト保持具9下部に接着されたダイヤモンドバイト10を昇降させる。
【0021】
ベッド20は前記サドル6を載せ、図示されていない油圧アクチュエ−タ機構でサドルを前後方向に移動可能である。サドル6の後部にはコラム7が立架され、前述したようにコラム7前面に昇降機構取付板14eが固定されている。サドル6がテ−ブル4に対し前後移動することによりコラム7に取り付けられたダイヤモンドバイト(刃先b)10がワ−クに対し、前後方向にピッチ幅移動する。油圧アクチュエ−タ機構は、空気圧アクチュエ−タ機構、サ−ボモ−タ駆動のボ−ルネジ、またはサ−ボドライブリニアモ−タに置き換えてもよい。
【0022】
ダイヤモンドバイト10の刃先形状は、先丸状、六角錐状またはV状であり、刃先の高さは0.5〜5mmが一般である。
【0023】
積層圧電アクチュエ−タ11は、株式会社ナノコントロ−ルより静電容量式センサ内蔵積層圧電アクチュエ−タがナノサ−ボステ−ジNS201、NS301の商品名でで販売されている。圧電セラミック素子の伸縮の変位量(nmからμm)は電圧により依存する。圧電アクチュエ−タの最大変位量は、15〜50μm程度である。
【0024】
図1に示すように、積層圧電アクチュエ−タ11の後保護材11bは保持具取付材8前面に固定され、この保持具取付材8は昇降機構14のスライダ14cの前面に固定され、上下方向に移動できる構造となっている。下部にダイヤモンドバイト10を固定したバイト保持具9は積層圧電アクチュエ−タ11の積層圧電素子11aの前面にボルト12で固定される。
【0025】
図3に示すように、静電容量式センサ21は静電容量式センサ21a、電極21b、積層圧電素子11aを備える。
ナノサ−ボコントロ−ラ16は、センサアンプ22、サ−ボコントロ−ラ23、ピエゾドライバ24より構成され、株式会社ナノコントロ−ルよりNC101、NC202の商品名で市販されている。静電容量式センサ21の感度をセンサアンプ22で増幅し、A/D変換器25で直流信号をデジタル信号に変換し、マイクロコンピュ−タ26の記録部(RAM)に送信し、内部メモリ(ROM)に記憶されたプログラムに従ってPID制御部(CPU)で印加電圧を較正演算し、それをD/A変換器27でデジタル信号から直流信号に変え、増幅器28で増幅し、前記電極21bに較正信号を送り、圧電素子11aに電圧を印加し、圧電素子11aを伸縮させる。また、外部の制御ユニット部15の操作盤より校正の指令を行うこともできる。校正信号により圧電素子の電圧の切り換えによるゼロ点振れが自己調整され、圧電アクチュエ−タのナノ精度の位置決めが可能である。
【0026】
図1および図2には示されていないが、テ−ブルの側面に備えられたタッチセンサがテ−ブルの反転位置に設けられたドッグに接触するとタッチセンサより切削装置の制御ユニット15の記録部(RAM)に送信され、テ−ブルの反転がリニアモ−タに指示されてテ−ブル反転が行われるとともに、制御ユニット部15の記憶部(ROM)またはナノサ−ボコントロ−ラ16のマイクロコンピュ−タ26のメモリ(ROM)に格納されている加工ソフトウエアに従って制御部(CPU)よりナノサ−ボコントロ−ラ16のピエゾドライブ増幅器28にダイヤモンドバイトを上昇(テ−ブル右反転時)または下降(テ−ブル左反転時)に信号が送られ、圧電素子11aの伸縮が行われる。また、テ−ブル、サドル、コラムにはハイデンハイン社の各軸のリニアメ−タ−が備えられている。
図1に示すナノサ−ボコントロ−ラ16おいて、16aはメイン電源、16bは手動式電圧調整ダイヤルである。
【0027】
図1に示す溝加工機1を用い、左右方向に移動可能なテ−ブル4上にワ−ク2を載置し、鉛直方向に昇降可能で、かつ、前後方向に移動可能に設けたダイヤモンドバイト10を用いてワ−クとダイヤモンドバイトの相対的な動きによりワ−ク表面に一方向の深さhμmの溝を(n+m)回切削加工して1本の溝を切削加工するには、次ぎの工程を経過して行われる。
【0028】
(0)制御ユニット15の電源を入れ、加工プログラムを選択し、開始点、待避位置、テ−ブル反転位置、ワ−ク寸法、溝本数r、溝角度γ、溝ピッチ幅P、溝深さh(例えばh=5μm)、粗切り込み回数n(例えば10回)、粗切り込み深さh/n(例えば0.5μm)、精切り込み回数m(例えばm=2回)、精切り込み深さ10nm(0.01μm)、第1回テ−ブル右反転時のバイト上昇高さα(例えばα=10μm)等の加工条件を入力し、制御ユニット15の開始ボタンを押す。
【0029】
(1)サ−ボモ−タ14dを稼動させてダイヤモンドバイト10を開始点位置まで下降させた後、
(2)テ−ブル4を右方向に往移動してダイヤモンドバイト10によりh/nμm(0.5μm)の量ワ−クへの切り込み・切削を開始し、
(3)テ−ブル右反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さ(10+h/n)μmに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動させ、
(4)ついで、テ−ブル左反転時にダイヤモンドバイト10を(10+0.5x2)μm下降させ、第2回目(n=2)の0.5μmの溝深さの切削下降を行い、
(5)テ−ブル右反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さ(10+0.5x2)μmに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動させ、
(6)以下、前記(4)の工程を(10+0.5n)μmのバイト高さ下降、(5)の工程を(10+0.5n)μmのバイト高さ上昇させるように変更して第3回からn回まで行って所望された溝深さhμm(5μm)近傍の溝を切削加工し、
(7)次に、ダイヤモンドバイト10を(10+0.5x10+0.01)μm下降させ、第n+1回目(n10+m)の10nmの溝深さの切削下降を行い、
(8)テ−ブル左反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さ(10+0.5x10)μmに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動させ、
(9)テ−ブル左反転時にダイヤモンドバイト10を(10+0.5x10+2x0.01)μm下降させ、第n+2回目(n10+m)の10nmの溝深さの切削下降を行い、
(10)テ−ブル右反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さ(10+0.5x10)μmに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動させ、ついで、制御ユニット15のROMに記憶されている加工プログラムの指示でダイヤモンドバイト10は待避位置までサ−ボモ−タ駆動で上昇されて、1本の溝がワ−クに加工される。
【0030】
(11)溝のピッチ幅Pだけコラム7をテ−ブル4に対し前進させ、以下、前記(1)乃至(10)の工程を繰り返し2本目の溝を加工する。
(12)以下、前記(11)の工程をr回繰り返し、ワ−クに所望の溝本数r加工する。
(13)所望するr本の溝の切削加工が終了したら、テ−ブル4、サドル6の移動を停止し、ダイヤモンドバイト10を昇降機構14により待避位置まで上昇させた後、加工ワ−クを洗浄し、乾燥させる。
【0031】
ダイヤモンドバイト10の昇降は、上記(1)の工程のダイヤモンドバイトを開始点位置まで下降する手段および(10)のダイヤモンドバイトを待避位置まあで上昇させる手段はサ−ボドライブリニアモ−タ駆動であり、(2)乃至(9)の工程におけるダイヤモンドバイトの昇降手段は、圧電アクチュエ−タのピエゾ素子への電圧の印加により行われることが好ましい。勿論、(2)乃至(9)の工程におけるダイヤモンドバイトの昇降をサ−ボドライブリニアモ−タ駆動手段と圧電素子の伸縮の併用で行うこともできる。併用する場合は、圧電素子の伸縮は1nmから50μmに限られるので、mm単位から0.1μmまでの移動はサ−ボドライブリニアモ−タ駆動手段で、1nmから10μmは圧電アクチュエ−タ11のピエゾ素子の伸縮に振り分けるのが好ましい。
【0032】
加工されるワ−ク2としては、銀、金、銅、錫等の金属蒸着樹脂板よりなる電極材料、Niメッキ鋼、銅メッキ鋼等の金型材料が用いられる。ワ−ク厚みは、1〜30mmが一般である。ワ−ク寸法は、導光板が用いられる用途、例えば携帯電話、ノ−トパソコン、モバイル端末、液晶テレビ等の液晶表示板により異なるが、例えば35mm角、60mm角、5インチ、14インチ、17インチ、32インチ、40インチ画面寸法である。
【0033】
ノズル13は、バイト保持具9下部に接着されたダイヤモンドバイト(刃先)10の背面にその吹出口が位置するように設けられる。ノズル13素材としては、銅管、ポリ(テトラフルオロエチレン)樹脂管が使用される。
ノズル13より噴出される流体は、切削油、圧力空気、オイルミスト等であり、ワ−クとダイヤモンドバイトが接触する加工点に流体は吹き付けられてワ−クの切り込み・切削が行われる。オイルミストは切削油と冷却空気の混合物であるが、ノズルを2本独立して保持具取付材8に設け、それぞれのノズルより潤滑油、冷却空気を噴出させてノズルより噴出され、両者が交わったところでミストを形成するようにしてもよい。切削油、オイルミストを使用するときは、圧電素子11aにこれらが付着して汚れ、寿命を短くするので、圧電素子11aを密閉構造とするのが好ましい。密閉構造とする場合は、圧電素子11aの微量な昇降を押さえ上ケ−スを介してバイト保持具9を固定する前ケ−スに伝える構造とする。
【0034】
切削装置1のテ−ブル4の駆動は、特許文献1に開示されるリニアモ−タ利用のサ−ボドライブ方式であるのが好ましい。
【0035】
粗切削加工時のh/nの値は、0.1〜5.0μm、より好ましくは0.5〜1.0μmが好ましい。精切削加工時の切り込み・切削の深さは1.0〜50nm、好ましくは、1nm〜10nmである。
【発明の効果】
本発明の粗切削加工と精切削加工を組み合わせて所望の溝深さhを得る溝加工方法は、訓練を受けていない一般工でも1〜2nmの面粗度の溝を、熟練工で1nm以下の面粗度の溝を容易に加工できる。また、くせのない均一な加工面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワ−クにダイヤモンドバイトで溝を加工している状態を示す部分断面図である。
【図2】本発明の切削装置の斜視図である。
【図3】積層圧電アクチュエ−タを使用した位置決めシステム構成図である。
【図4】液晶表示板のバックライト構造の斜視図である(公知)。
【符号の説明】
1 切削装置
2 ワ−ク
3 チャック
4 テ−ブル
6 サドル
7 コラム
8 保持具取付材
9 バイト保持具
10 ダイヤモンドバイト
11 圧電アクチュエ−タ
11a 圧電素子
13 流体供給ノズル
14 昇降機構
16 ナノサ−ボコントロ−ラ
21 静電容量式センサ

Claims (2)

  1. 左右方向に移動可能なテ−ブル上にワ−クである導光板金型を載置し、鉛直方向に昇降可能で、かつ、前後方向に移動可能に設けたダイヤモンドバイトを用いてワ−クとダイヤモンドバイトの相対的な動きによりワ−ク表面に一方向の深さhμmの溝を(n+m)回切削加工して1本の溝を切削加工する導光板金型の溝切方法であって、
    (1)ダイヤモンドバイトを開始点位置まで下降させた後、
    (2)テ−ブルを右方向に往移動してダイヤモンドバイトによりh/nμmの量ワ−クへの切り込み・切削を開始し、
    (3)テ−ブル右反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動させ、
    (4)ついで、上記(1)、(2)および(3)の工程を2からn回迄繰り返した後、
    (5)テ−ブルを右方向に往移動してダイヤモンドバイトにより1〜50nmの量ワ−クへの切り込み・切削を行い、テ−ブル右反転時にダイヤモンドバイトをワ−クに接触しない高さに上昇させてテ−ブルの復移動時にワ−クの切り込み・切削を行わないようにしてテ−ブルを左方向に移動を行う工程をm回する、
    ことを特徴とする、導光板金型の溝切方法。
    (但し、nは2〜30の整数、mは1〜5の整数である。)
  2. (1)の工程のダイヤモンドバイトを開始点位置まで下降する手段はサ−ボドライブリニアモ−タ駆動であり、(2)乃至(5)の工程におけるダイヤモンドバイトの昇降手段は、圧電アクチュエ−タのピエゾ素子の伸縮により行われることを特徴とする、請求項1に記載の導光板金型の溝切方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007077892A1 (ja) * 2006-01-05 2007-07-12 Zeon Corporation 金属成形品の製造方法
JP2016073006A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 有限会社メカノトランスフォーマ ステージ装置およびそれに用いる駆動機構

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