JP2005004167A - 光レセプタクル - Google Patents

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浩志 奥村
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Abstract


【課題】 従来の光通信に用いられる光レセプタクルにおいて、剛体スリーブを使用するタイプは剛体スリーブと挿入するプラグフェルールとのクリアランスにより接続する光ファイバー同士の軸ずれ発生により光信号の損失が起こる。また割スリーブを使用するタイプはクリアランスの問題を解決する一方、その弾性特性のために、挿入したプラグフェルールへのモーメント荷重に対し光ファイバーの接続軸が傾倒し、剛体スリーブと同じく損失変動が大きくなる。また過剰な荷重に対して応力限界を越えると破損するといった問題がある。
【解決手段】 当該スリーブのプラグフェルール挿入側端面より一定の長さだけ未スリット部を設け、剛体化することにより、上記問題を解決する事を目的とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内蔵フェルールを有し光ファイバコネクタを受・発光素子に光学的に接続するなどの用途に用いられる光通信用の光レセプタクルに関する。
従来、光レセプタクルでは、剛体スリーブを用いたものや、図3に示すスリーブの軸方向にスリットが形成された割スリーブを用いたものが主流であった。
また、本出願人は先の出願において、図4に示す光レセプタクルを開示した。すなわち、中空筒状で、径方向に弾性伸縮しやすいフェルール挿入用内孔を有する割スリーブと、該内孔の一端(基端)に挿入された内蔵フェルールと、該割スリーブ基端部外周に圧入された把持リングとを具備し、同部の自由な変形を拘束する光レセプタクルである。(特許文献1参照)
特開平10−332988号公報
従来の剛体スリーブを用いた光レセプタクルにあっては、挿入されるプラグフェルールの外径寸法と剛体スリーブの内径寸法のギャップとバラツキにより挿入損失変動が大きく、また、割スリーブを用いた光レセプタクルにあっては、プラグフェルールの外径寸法と割スリーブとのギャップがなくなり挿入損失は低いものであるが、割スリーブがフリーな状態のためプラグフェルールを挿抜した場合の繰り返しによる安定性にバラツキがあった。
また、図4に開示したレセプタクルにより、剛体スリーブや割スリーブを用いたレセプタクルの問題が解決され、プラグフェルールを挿入し光学的に接続される際に、信号の伝達ロスを安定的に少なくでき、また、光レセプタクル全体を小型化することができた。
しかしながら、挿入されるプラグフェルール側に長いケーブルがつながれる等の荷重が加わる場合は、プラグフェルール挿入側の割スリーブに負荷がかかり挿入損失が悪化する場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、プラグフェルールのモーメント荷重に対して低く安定した挿入損失の光レセプタクルを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の光レセプタクルは、中空筒状でプラグフェルール挿入用内孔を有し、基端側から前記プラグフェルール挿入側に向けてスリットが形成されたスリーブと、該スリーブの内孔の基端に挿入される内蔵フェルールとを圧入により具備した光レセプタクルにおいて、前記スリーブのスリットは前記内蔵フェルール挿入部よりも他端側で、且つ、他端よりも内側まで延在されていることを特徴とする。
上記構成とすることにより、プラグフェルールを挿入した際にモーメント荷重がかかってもスリーブが拡開することがないため、挿入損失が低く安定した光レセプタクルを提供できる。
本発明の好ましい態様として、前記内蔵フェルールがシングルモードファイバーを有するようにする。
上記構成とすることにより、発光素子から出射されたレーザビームの内蔵シングルモードファイバー端への高精度入射が可能であり、結合パワー効率が向上することによる光信号の長距離伝送化の効果がある。
本発明の好ましい態様として、前記スリーブ内径が、前記プラグフェルールより0〜2μm大きいこととする。
上記構成とすることにより、スリーブのスリットを施してない部分におけるプラグフェルールの挿抜がほぼ無負荷状態になると共に、クリアランスを極力小さくすることにより、光レセプタクル光軸上におけるプラグフェルールの傾倒を抑制する効果がある。
本発明の好ましい態様として、前記スリットが等間隔に複数施すようにする。
上記構成にて、スリット部を複数設けることによりスリーブの径方向における弾性変形を許容し、内蔵フェルールとスリーブの一部または全体を外包するリング状ケースとの間で隙間なく密着固定ができる。また等間隔に施したスリットは、軸対称な構造により、挿入されたプラグフェルールの外径側面を弾性的に拘束し、内包する光ファイバー同士の接続精度を高める効果がある。
本発明によって、プラグフェルールのモーメント荷重に対して光信号の伝達損失が低い光レセプタクルが提供できる。
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1の光レセプタクルにおいて、円柱状の内蔵フェルール1は中心に穿設された細孔にシングルモード用ファイバを内包し、スリーブ2の内孔の基端部に把持されている。
スリーブ2の外径円筒部は、基端部よりある長さにてスリーブ2の外径寸法より小さい内径を有しスリーブ2の全長に渡り外包するハウジング3が圧入により外挿されている。
ハウジング3基端部の圧入による締め付けによりスリーブ基端部が縮み内蔵フェルールを把持することにより、光レセプタクルができあがる。
光レセプタクルのスリーブ内孔の先端側にはプラグフェルール4が挿入され、プラグフェルール4が内包する光ファイバー5と、内蔵フェルール1の光ファイバー5とが、各々の端面において接触し、光学的に接続される。
尚、内蔵フェルール1の光ファイバー5の反対側には、図示せぬ発光素子や受光素子が配置され、光ファイバー5を介して光ファイバーに光信号をやり取りする。
ここで、スリーブ2の円筒軸方向に基端側より、内蔵フェルール1の位置より長く、スリーブの他端に達しない長さで1本または等間隔で複数本のスリットを施したスリット入りスリーブを用いる。
スリットを施した部分(以下スリット有部と記す)は弾性を有し、スリットのない部分は剛体(以下スリーブ剛体部と記す)となる。
スリット入りスリーブの内径寸法(d)は、プラグフェルールにおける外径寸法の最大許容値に対し、さらに0<d≦2μm大きく、好ましくは0<d≦1μm大きくする。標準的なプラグフェルールの外径寸法の例としては、φ2.499±0.0005mmやφ1.249±0.0005mmなどがある。この外径寸法の最大許容値はそれぞれφ2.4995mm、φ1.2495mmであり、これらに対して0<d≦2μm大きく、好ましくは0<d≦1μm大きくする。ただし、本発明はこれらの寸法に限定されるのではなく、適宜設計されるプラグフェルールの最大許容値に対して、0<d≦2μm、好ましくは0<d≦1μm大きくする。
また、ハウジングも中空の筒状をなし、その基端部側の把持部における内径寸法は、スリット入りスリーブの外径寸法より5〜15μm小さくした圧入構造とする。スリット入りスリーブのスリットが形成された基端部側に内蔵フェルールを有した状態でスリット有部の外周にハウジングを圧入することにより、スリット有部が弾性収縮し内蔵フェルールを一括で締め付け保持固定する。
ハウジングの把持部の長さがL1、内蔵フェルールの長さがL2、スリーブのスリットの長さがL3、スリーブの長さがL4とすると、長さの関係は、L1<L2<L3<L4となるように設計する。また、プラグフェルールと内蔵フェルールの接合面近辺にてスリーブが弾性保持力を発生する場合を考慮し、スリットの長さ(L3−L2)を1mm以上設けると共に、プラグフェルール挿入側におけるスリーブ円筒部の剛性強度も十分に確保するため、スリーブ剛体部の長さ(L4−L3)についても1mm以上施すことをスリーブ設計時の条件とした。つまり、スリーブのスリットは内蔵フェルールよりも他端側で、且つ、他端よりも内側まで延在するようにする。
上述した構造によりスリット入りスリーブのスリット有部にてプラグフェルールを弾性的に内接し、内蔵されたフェルールとプラグフェルールに固定された光ファイバー同士の接続精度を高め、また、スリーブ剛体部の内径とプラグフェルールの外径のクリアランスを制御することにより、プラグフェルールにモーメント荷重が加わった場合の傾き量を抑制することができる。
図2はスリット入りスリーブのスリットの例を示す断面図である。
(a)は2本スリットを180度の位置に入れた例であり、(b)は3本のスリットを120度の位置に入れた例であり、(c)は4本のスリットを90度の位置に入れた例である。
実施例
外径寸法が3.2mm、内径寸法が2.500mm長さが8mmのスリーブに基端側から幅0.5mm長さ5mmのスリットを180度の位置に2本入れ、外径寸法が2.4995mm、損失測定のためシングルモード用ファイバを延長して内包した長さ3mmの内蔵フェルールを基端側に入れ、スリーブ把持部の内径寸法が3.193mm、外径寸法が5mm、把持部の長さが2mmのハウジングを圧入し実施例とした。
比較例1
外径寸法が3.2mm、内径寸法が2.492mm、長さが8mmのスリーブに幅0.5mmの全長に渡るスリットを1本入れ割スリーブとし、外径寸法が2.4995mm、損失測定のためシングルモード用ファイバを延長して内包した長さ3mmの内蔵フェルールを基端側に入れ、内径寸法が3.193mm、外径寸法が4.2mm厚みが2mmの把持リングを圧入した。それをハウジングに圧入し比較例とした。
比較例2
外径寸法が3.2mm、内径寸法が2.502mm長さが8mmのスリーブに基端側から幅0.5mm長さ5mmのスリットを180度の位置に2本入れ、外径寸法が2.4995mm、損失測定のためシングルモード用ファイバを延長して内包した長さ3mmの内蔵フェルールを基端側に入れ、スリーブ把持部の内径寸法が3.193mm、外径寸法が5mm、把持部の長さが2mmのハウジングに圧入し比較例2とした。
それぞれの光レセプタクルに外径寸法が2.4990mmのプラグフェルールを挿入し、次いで、プラグフェルールの挿入側と反対の端部に圧入された金属フランジに100g、300g、500gの倒れ方向への荷重を加え、損失を測定した。
Figure 2005004167
表1より、比較例1ではプラグフェルールへの倒れ荷重1〜5Nに対し、損失が比例的に悪化しており、また比較例2ではプラグフェルールの倒れを制限する構造により損失の悪化がある程度抑えられているが、剛体部におけるプラグフェルールとのクリアランスが大きいため、実施例に比べて損失が大きくなる傾向がある。本発明の実施例では、プラグフェルールの倒れを小さいクリアランスにて制限する構造により、損失の影響を効果的に抑制し、挿入損失自体も比較例の約1/3の0.3dBであり、耐荷重性能がよいことがわかる。
本発明の光レセプタクルの構造を示す側面断面図である。 本発明の光レセプタクルのスリーブのスリットの例を示す図。 従来の割スリーブを使用した光レセプタクルの構造を示す側面断面図である。 従来の割スリーブを使用した光レセプタクルの構造を示す側面断面図である。 挿入したプラグフェルールにモーメント荷重を掛けた状態を示す断面図である。
符号の説明
1…内蔵フェルール
2…半割スリーブ
3…ハウジング
4…プラグフェルール
5…ファイバー
6…スリット

Claims (4)

  1. 中空筒状でプラグフェルール挿入用内孔を有し、基端側から前記プラグフェルール挿入側に向けてスリットが形成されたスリーブと、該スリーブの内孔の基端に挿入される内蔵フェルールとを圧入により具備した光レセプタクルにおいて、
    前記スリーブのスリットは前記内蔵フェルール挿入部よりも他端側で、且つ、他端よりも内側まで延在されていることを特徴とする光レセプタクル。
  2. 前記内蔵フェルールがシングルモードファイバーを有することを特徴とする請求項1に記載の光レセプタクル。
  3. 前記スリーブ内径が前記プラグフェルールより0〜2μm大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の光レセプタクル。
  4. 前記スリットが等間隔に複数施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光レセプタクル。
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