JP2005003975A - フィードスルーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクスリーブと絶縁体との隙間をなくすことで部分放電を抑制し、絶縁性能を向上させたフィードスルーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】光ファイバ12が挿通される第1の貫通孔を有するディスク部材4と、第1の貫通孔と連通する第2の貫通孔を有しており、外径がディスク部材4よりも小さい円筒部材5と、ディスク部材4と円筒部材5とを着脱自在に結合するネジ部6と、中継器の筐体に固定され、円筒部材5を収容するコーンスリーブ1と、コーンスリーブ1とディスク部材4との間およびコーンスリーブ1と円筒部材5の間に水密に配置される絶縁性部材2と、光ファイバ12を水密に保持し、少なくとも第2の貫通孔に挿入され、ディスク部材4または円筒部材5と水密に接触するプラグ8とを備えるように構成し、円筒部材5より外径が小さい円筒治具30を使用して成形し、成形後に円筒治具30を円筒部材5に交換する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバ12が挿通される第1の貫通孔を有するディスク部材4と、第1の貫通孔と連通する第2の貫通孔を有しており、外径がディスク部材4よりも小さい円筒部材5と、ディスク部材4と円筒部材5とを着脱自在に結合するネジ部6と、中継器の筐体に固定され、円筒部材5を収容するコーンスリーブ1と、コーンスリーブ1とディスク部材4との間およびコーンスリーブ1と円筒部材5の間に水密に配置される絶縁性部材2と、光ファイバ12を水密に保持し、少なくとも第2の貫通孔に挿入され、ディスク部材4または円筒部材5と水密に接触するプラグ8とを備えるように構成し、円筒部材5より外径が小さい円筒治具30を使用して成形し、成形後に円筒治具30を円筒部材5に交換する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブルを海底中継器に導入するための接続部分であるフィードスルーおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブル伝送システムでは、海底中継器を所定の間隔で配置し光信号の増幅を行っていくことで、比較的長距離における光信号の伝送を可能にしている。海底中継器は海底ケーブルと共に数千メートルの深海に敷設されるため、高圧の海水圧を受ける。このため、海底中継器は耐圧性、水密性を有する必要がある。また、海底ケーブルが海底中継器に挿入される部位であるフィードスルーも耐圧性、水密性を有する必要がある。
【0003】
一般に、海底中継器は光増幅等を行う中継回路を格納する中継器筐体を有し、この中継器筐体には貫通孔が設けられている。上記海底ケーブルと海底中継器との接続部分であるフィールドスルーは、海底ケーブルを保持してこの貫通孔中に挿入される構造となっている。例えば、特許文献1にはこの種のフィードスルーが開示されている。すなわち、耐圧パイプを接続したディスクスリーブが中継器筐体に気密に固定できる金属ボディに収容され、この金属ボディとディスクスリーブとの間にポリエチレン等の樹脂がモールドされる。封止部材に水密に挿入された光ファイバは、中継器筐体を構成する端面板の内側方向、すなわち低圧側の方向から海中側、すなわち高圧側に向かって耐圧パイプおよびディスクスリーブの貫通孔に挿入される。封止部材は、ケーブル破損事故等の際に耐圧パイプ内に侵入する海水を封止するためのコーンシール部を備える。このコーンシール部はディスクスリーブの貫通孔の途中に形成されているコーンシール部に密着するように押ネジ部によって押圧固定されている。
【0004】
また、非特許文献1に開示されるフィードスルーでは、海底での水蒸気のリークを防止するため、メタルディスク(上記ディスクスリーブに相当する)およびインサート(上記金属ボディに相当する)の外表面に特殊な酸化処理を施してポリエチレンとの境界層の接着性を高め、充分な気密性が得られるようなモールドを施している。ディスクスリーブと金属ボディの表面に施される酸化処理は、ポリエチレンとディスクスリーブとの間、およびポリエチレンと金属ボディとの間の各接着性を向上させる。
【0005】
上記非特許文献1の例では、表面が酸化処理されたディスクスリーブと金属ボディとの間に充填されたポリエチレンが溶融状態から固化する際に、ポリエチレンの体積が収縮することによってポリエチレン内部に引っ張り応力が生じ、場合によっては有害な変形を生じる問題があった。これを防ぐために、体積収縮の影響を受けて引っ張り応力が発生し易い部分に近接するディスクスリーブ側または金属ボディ側の何れかの面には酸化処理を実施せず、接着力が低い状態にしてその部分に積極的に隙間を形成し、ポリエチレンに作用する応力を減じるようにする方法がある。
【0006】
通常は、海底に敷設した際の水圧によるポリエチレンと金属ボディとの境界面での水蒸気の透過を防止するため、ポリエチレンで構成する絶縁体の内側に位置するディスクスリーブ側に酸化処理を施さず、外側の金属ボディ側に接着させる方法が採られる。具体的には、金属ボディの円筒内面部に対向するディスクスリーブの円筒外面の直線部分には酸化処理を実施しないようにする。
【0007】
【特許文献1】
特公昭60―59563号(第5−7図)
【非特許文献1】
海津他,「海底中継器筐体の研究」,研究実用化報告,第23巻,第3号,p.459−506,1974年
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のフィードスルーでは、ディスクスリーブの円筒外面の直線部分に酸化処理を実施しないため、ディスクスリーブとポリエチレンモールドとの間に隙間が発生する可能性がある。したがって、ディスクスリーブと金属ボディとの間に中継器への給電電圧が印加されると、ディスクスリーブとポリエチレンモールドとの上記隙間部分において部分放電(コロナ放電)が発生し、フィードスルーの絶縁性能を低下させる可能性があるという課題があった。この部分放電は、給電電圧が次に示す部分放電開始電圧VCSVより大きい場合に発生することが知られている。
【数1】
但し、Vsは空気の火花電圧、dは絶縁体の厚さ(隙間を含む)、εsは絶縁体の比誘電率、gは隙間の高さをそれぞれ表す。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ディスクスリーブと絶縁体との間の隙間をなくすことで部分放電を抑制し、絶縁性能を向上させたフィードスルーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るフィードスルーは、光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材と、第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており、外径が円板状部材よりも小さく、円板状部材よりも低圧側に配置される円筒状部材と、円板状部材と円筒状部材とを着脱自在に結合する結合手段と、中継器の筐体に固定され、円筒状部材を収容する支持部材と、支持部材と円板状部材との間および支持部材と円筒状部材の間に水密に配置される絶縁性部材と、光ファイバを水密に保持し、少なくとも第2の貫通孔に挿入され、円板状部材または円筒状部材と水密に接触するプラグとを備えたものである。
【0011】
この発明に係るフィードスルーの製造方法は、光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材に、外径が円板状部材よりも小さい円筒状治具を着脱自在に結合するステップと、中継器の筐体に固定される支持部材に円筒状治具を収容させ、支持部材と円板状部材との間および支持部材と円筒状治具との間に絶縁性部材をモールドするステップと、絶縁性部材の硬化後、円板状部材から円筒状治具を分離し、絶縁性部材から抜き出すステップと、円筒状治具の分離後に、第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており外径が円板状部材よりも小さい円筒状部材を絶縁性部材に挿入して、円板状部材に結合するステップを備え、円筒状治具の外径が円筒状部材の外径よりも小さいことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の様々な実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの実施の形態1によるフィードスルーを示す断面図である。図に示すように、フィードスルーは、コーンスリーブ(支持部材)1、絶縁性部材2、ディスクスリーブ3、ディスク部材(円板状部材)4、円筒部材(円筒状部材)5、ネジ部(結合手段)6、パッキン7、プラグ8、コーンシール部(シール面)9、コーンシール部(シール部)10、押ネジ部11を備える。
【0013】
コーンスリーブ1は光海底中継器の筐体(図示せず)に気密に固定される。図1では、コーンスリーブ1を境に右側を光海底中継器の内側、すなわち低圧側、左側を海水側、すなわち高圧側とする。絶縁性部材2の材料には、例えばポリエチレン等の樹脂が使用される。ディスクスリーブ3は、光ファイバ12が挿通される貫通孔(第1の貫通孔)を有するディスク部材4と、前記貫通孔と連通し光ファイバ12が挿通される貫通孔(第2の貫通孔)を有する円筒部材5とを備える。ディスク部材4と円筒部材5とはネジ部6によって着脱自在に結合され、円筒部材5はディスク部材4よりも低圧側に配置されている。円筒部材5は外径がディスク部材4よりも小さい。また、ディスク部材4と円筒部材5との結合部にはパッキン7が配置され、両者間は水密な構造となっている。ディスク部材4と円筒部材5は金属製であり、中継器を動作させるために供給される電力を伝送する。
【0014】
プラグ8は、内部で光ファイバ12を樹脂または低温で溶融するろう材等で固定し水密に封止する。プラグ8に水密に保持された光ファイバ12は低圧側方向からディスクスリーブ3の貫通孔に挿入される。円筒部材5の貫通孔の途中には高圧側に向かうほど直径が小さくなる方向に円錐状のコーンシール部9が形成されている。また、プラグ8の外周面にも前記コーンシール部9に密接するコーンシール部10が形成されている。コーンシール部9,10はケーブルの破損事故等の際に耐圧パイプ15内に侵入する海水を封止するための封止手段であり、コーンシール部9,10が密着するように押ネジ部11によって押圧固定されることによりプラグ8と円筒部材5とが水密に封止される。コーンシール部9,10による封止はパッキン7による封止よりも封止性能が高い。
【0015】
ディスクスリーブ3の高圧側方向には他端が海底ケーブルに繋がるテールケーブル13が接続部14で接続されている。光ファイバ12は、テールケーブル13の中心導体であると共に海底圧力から圧力絶縁された空間を生成する耐圧パイプ15内に挿入されている。
【0016】
パッキン7は、ケーブルの破損事故等の際に耐圧パイプ15内に侵入する海水がネジ部6、および円筒部材5と絶縁性部材2との境界面を経由して中継器内に浸入するのを防止するために使用される。パッキン7による水密構造が必要な理由は、この実施の形態1のフィードスルーにおいては、海水圧力による海水の中継器内への侵入は、ディスク部材4とコーンスリーブ1との間に形成された絶縁性部材2の円盤状の部分が海水圧力で圧縮されることによって阻止される構成になっているが、円筒部材5と絶縁性部材2との境界面への海水の侵入を防止する機能を備えていないためである。
【0017】
また、コーンスリーブ1およびディスク部材4の各表面には、絶縁性部材2との接着性を向上させるために酸化処理が施されている。一方、円筒部材5の表面には酸化処理は施されていない。これは、絶縁性部材2が硬化時に体積収縮することによって発生する引っ張り応力による変形を防止するためである。このように、円筒部材5の表面には酸化処理が施されないため、絶縁性部材2として例えばポリエチレンをコーンスリーブ1とディスクスリーブ3との間にモールドした場合は、円筒部材5と絶縁性部材2との境界に隙間20が発生してしまう恐れがある。この問題に対処するため、この実施の形態1では当該フィードスルーを以下に示す方法で製造している。
【0018】
次に製造方法について説明する。
フィードスルーの製造には円筒治具30が使用される。この円筒治具30は、ディスク部材4のネジ部6と嵌合するネジ部を有する。また円筒治具30の外径は、絶縁性部材2の体積収縮によって発生することが予想される絶縁性部材2と円筒部材5との隙間20の大きさに相当する分、円筒部材5の外径よりも小さい。また、ここでは絶縁性部材2としてポリエチレンを使用する。
【0019】
まず、円筒治具30にポリエチレンとの滑りを改善するために、例えばポリテトラフルオロエチレンを塗る等のフッ化処理を行う。続いて、接続部14で耐圧パイプ15に接続されたディスク部材4に円筒治具30をネジ部6で結合する。続いて円筒治具30をコーンスリーブ1に収容させ、ディスク部材4とコーンスリーブ1との間および円筒部材5とコーンスリーブ1との間にポリエチレンをモールドする。モールド処理が完了しポリエチレンが硬化した後、ディスク部材4から円筒治具30を分離してポリエチレンから抜き出す。続いて、円筒部材5を挿入し、ネジ部6でディスク部材4に結合させる。ディスク部材4と円筒部材5との間にはパッキン7を配置する。続いて、光ファイバ12を水密に保持するプラグ8のコーンシール部10と円筒部材5のコーンシール部9とを密着するように押ネジ部11によって押圧固定する。
【0020】
円筒治具30にはフッ化処理が施されているため、隙間20以外の部分においてもポリエチレンとの間はよく滑り、交換の際にも容易に引き抜くことができる。円筒部材5の直径は、隙間20の大きさに相当する分円筒治具30の直径よりも大きいため、ポリエチレンと円筒部材5との間に隙間のないフィードスルーが得られる。
【0021】
以上のように、この実施の形態1によれば、円筒部材5よりも外径を小さくした円筒治具30をディスク部材4に結合してポリエチレンをモールドし、ポリエチレン硬化後に円筒治具30を取り外して円筒部材5を結合するようにしたので、絶縁性部材2と円筒部材5との隙間をなくすことが出来るため、部分放電が抑制され、絶縁性能を向上させたフィードスルーが得られる効果がある。
【0022】
実施の形態2.
図2はこの実施の形態2によるフィードスルーを示す断面図である。図において、図1と共通する構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。実施の形態1の場合と同様に、ディスクスリーブ3は、光ファイバ12が挿通される貫通孔を有するディスク部材4と、前記貫通孔と連通し光ファイバ12が挿通される貫通孔を有する円筒部材5とを備える。ディスク部材4と円筒部材5とはネジ部6によって着脱自在に結合される。ただし、ディスク部材4と円筒部材5との間には水密構造を形成するパッキン7は使用されない。プラグ8に水密に保持された光ファイバ12は、低圧側方向からディスクスリーブ3の貫通孔に挿入されている。
【0023】
実施の形態1では、コーンシール部9は円筒部材5の貫通孔の途中に設けられていたが、この実施の形態2では図2に示すようにディスク部材4の貫通孔の途中に、ネジ部6の位置より高圧側の位置に設けられている。また、プラグ8には高圧側の端面にコーンシール部10が設けられており、プラグ8の長さはコーンシール部10がコーンシール部9に密着されるように実施の形態1の場合よりも長くなっている。コーンシール部9,10が密着するように押ネジ部11によって押圧固定されることによりプラグ8と円筒部材5とが水密に封止される。
【0024】
また、実施の形態1の場合と同様に、コーンスリーブ1およびディスク部材4の各表面には酸化処理が施され、円筒部材5の表面には酸化処理は施されていない。また、このフィールドスルーの製造方法も実施の形態1の場合と同様である。すなわち、円筒部材5よりも外径が小さい円筒治具30をディスク部材4に結合し、円筒治具30をコーンスリーブ1に収容させて円筒治具30とコーンスリーブ1との間およびディスク部材4とコーンスリーブ1との間をモールドする。モールド完了後に円筒治具30を取り外し、円筒部材5を取り付ける。円筒治具30は、絶縁性部材2の体積収縮によって発生することが予想される絶縁性部材2と円筒部材5との隙間20の大きさに相当する分、外径が小さくされている。
【0025】
以上のように、この実施の形態2によれば、プラグ8の長さを大きくし、コーンシール部9,10をネジ部6の位置よりも高圧側の位置に設けるようにしたので、ケーブル破損事故等の際に耐圧パイプ15内に侵入する海水がコーンシール部9,10で封止されてネジ部6に達するのを防ぐことができる。したがって、パッキン7を使用する必要がないため実施の形態1の場合よりも簡単な構成でフィードスルーを作成できるという効果が得られる。また、コーンシール部9,10による封止はパッキンによる封止よりも封止性能が高いため、実施の形態1よりも水密信頼性を向上させることができるという効果が得られる。
【0026】
実施の形態3.
図3はこの実施の形態3によるフィードスルーを示す断面図である。図において、図1と共通する構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。実施の形態1では、ディスクスリーブ3はディスク部材4と円筒部材5を備え、ディスク部材4と円筒部材5とはネジ部6によって着脱自在に結合される構成となっていたが、この実施の形態3では図3に示すようにディスクスリーブ3のディスク部位3aは、低圧側に向かって延びる、外径がディスクスリーブ3のディスク部位3aよりも小さい円筒状突出部3bを備えている。ディスクスリーブ3のディスク部位3aおよび円筒状突出部3bは光ファイバ12が挿通される貫通孔を備える。また、円筒状突出部3bの貫通孔の低圧側端部に高圧側に向かうほど断面積が小さくなるように円錐状のコーンシール部9が形成されている。
【0027】
ディスクスリーブ3の円筒状突出部3bには第2の円筒部材(円筒状部材)5’が覆うように配置されている。円筒状突出部3bは中継器側の端部に雄ネジ6aを有し、第2の円筒部材5’は雄ネジ6aと嵌合する雌ネジ6bを有する。第2の円筒部材5’は中継器側の端部で雄ネジ6aと雌ネジ6bとが嵌合することによって円筒状突出部3bと結合する。
【0028】
次に製造方法について説明する。
この実施の形態3によるフィードスルーの製造には第2の円筒治具30’が使用される。この第2の円筒治具30’は、雄ネジ6aと嵌合する雌ネジを有する。また、第2の円筒治具30’の外径は、絶縁性部材2の体積収縮によって発生することが予想される絶縁性部材2と第2の円筒部材5’との隙間20の大きさに相当する分、第2の円筒部材5’の外径よりも小さい。ここでは絶縁性部材2としてポリエチレンを使用する。
【0029】
まず、第2の円筒治具30’にポリエチレンとの滑りを改善するために、例えばポリテトラフルオロエチレンを塗る等のフッ化処理を行う。続いて、接続部14で耐圧パイプ15に接続されたディスクスリーブ3の円筒状突出部3bを第2の円筒治具30’で覆い、雄ネジ6aと雌ネジ6bを嵌合させる。続いて、第2の円筒治具30’をコーンスリーブ1に収容させ、ディスク部位3aとコーンスリーブ1との間および第2の円筒治具30’とコーンスリーブ1との間にポリエチレンをモールドする。モールド処理が完了しポリエチレンが硬化した後、円筒状突出部3bから第2の円筒治具30’を分離してポリエチレンから抜き出す。続いて、第2の円筒部材5’を挿入し雌ネジ6bでディスク部位3aに結合させる。続いて、光ファイバ12を水密に保持するプラグ8のコーンシール部10と円筒状突出部3bのコーンシール部9とを密着するように押ネジ部11によって押圧固定する。
【0030】
第2の円筒治具30’にはフッ化処理が施されているため、隙間20以外の部分においてもポリエチレンとの間はよく滑り、交換の際にも容易に引き抜くことができる。第2の円筒部材5’の直径は隙間20の大きさに相当する分第2の円筒治具30’の直径よりも大きいため、ポリエチレンと第2の円筒部材5’との間に隙間のないフィードスルーが得られる。
【0031】
以上のように、この実施の形態3によれば、第2の円筒部材5’よりも外径を小さくした第2の円筒治具30’でディスクスリーブ3の円筒状突出部3bを覆いポリエチレンをモールドし、ポリエチレン硬化後に本来の直径を有する第2の円筒部材5’に交換するようにしたので、絶縁性部材2と第2の円筒部材5’との隙間をなくすことが出来るため、部分放電が抑制され、絶縁性能を向上させたフィードスルーが得られる効果が得られる。
【0032】
また、プラグ8のコーンシール部10をディスクスリーブ3の低圧側の端部に設け、ディスクスリーブ3と第2の円筒部材5’とを低圧側においてねじ結合したため、耐圧パイプ内への海水の侵入に対する外部圧力の影響を低減できるので、実施の形態1のような水密結合構造(パッキン7)を必要とせず、また従来と同様の形態のプラグ8を使用することが可能になる効果が得られる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブルを中継器に接続するフィードスルーにおいて、光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材と、第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており、外径が円板状部材よりも小さく、円板状部材よりも低圧側に配置される円筒状部材と、円板状部材と円筒状部材とを着脱自在に結合する結合手段と、中継器の筐体に固定され、円筒状部材を収容する支持部材と、支持部材と円板状部材との間および支持部材と円筒状部材の間に水密に配置される絶縁性部材と、光ファイバを水密に保持し、少なくとも第2の貫通孔に挿入され、円板状部材または円筒状部材と水密に接触するプラグとを備えるように構成し、円筒状部材より外径が小さい円筒状治具を使用して成形し、成形後に円筒状治具を円筒状部材に交換したので、ディスクスリーブと絶縁性部材との間の隙間をなくすことで部分放電を抑制し、絶縁性能を向上させたフィードスルーを得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるフィードスルーを示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態2によるフィードスルーを示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態3によるフィードスルーを示す断面図である。
【符号の説明】
1 コーンスリーブ(支持部材)、2 絶縁性部材、3 ディスクスリーブ、3a ディスク部位、3b 円筒状突出部、4 ディスク部材(円板状部材)、5 円筒部材(円筒状部材)、5’ 第2の円筒部材(円筒状部材)、6 ネジ部(結合手段)、6a 雄ネジ(結合手段)、6b 雌ネジ(結合手段)、7 パッキン、8 プラグ、9 コーンシール部(シール面)、10 コーンシール部(シール部)、11 押ネジ部、12 光ファイバ、13 テールケーブル、14 接続部、15 耐圧パイプ、20 隙間、30 円筒治具(円筒状治具)、30’ 第2の円筒治具。
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブルを海底中継器に導入するための接続部分であるフィードスルーおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブル伝送システムでは、海底中継器を所定の間隔で配置し光信号の増幅を行っていくことで、比較的長距離における光信号の伝送を可能にしている。海底中継器は海底ケーブルと共に数千メートルの深海に敷設されるため、高圧の海水圧を受ける。このため、海底中継器は耐圧性、水密性を有する必要がある。また、海底ケーブルが海底中継器に挿入される部位であるフィードスルーも耐圧性、水密性を有する必要がある。
【0003】
一般に、海底中継器は光増幅等を行う中継回路を格納する中継器筐体を有し、この中継器筐体には貫通孔が設けられている。上記海底ケーブルと海底中継器との接続部分であるフィールドスルーは、海底ケーブルを保持してこの貫通孔中に挿入される構造となっている。例えば、特許文献1にはこの種のフィードスルーが開示されている。すなわち、耐圧パイプを接続したディスクスリーブが中継器筐体に気密に固定できる金属ボディに収容され、この金属ボディとディスクスリーブとの間にポリエチレン等の樹脂がモールドされる。封止部材に水密に挿入された光ファイバは、中継器筐体を構成する端面板の内側方向、すなわち低圧側の方向から海中側、すなわち高圧側に向かって耐圧パイプおよびディスクスリーブの貫通孔に挿入される。封止部材は、ケーブル破損事故等の際に耐圧パイプ内に侵入する海水を封止するためのコーンシール部を備える。このコーンシール部はディスクスリーブの貫通孔の途中に形成されているコーンシール部に密着するように押ネジ部によって押圧固定されている。
【0004】
また、非特許文献1に開示されるフィードスルーでは、海底での水蒸気のリークを防止するため、メタルディスク(上記ディスクスリーブに相当する)およびインサート(上記金属ボディに相当する)の外表面に特殊な酸化処理を施してポリエチレンとの境界層の接着性を高め、充分な気密性が得られるようなモールドを施している。ディスクスリーブと金属ボディの表面に施される酸化処理は、ポリエチレンとディスクスリーブとの間、およびポリエチレンと金属ボディとの間の各接着性を向上させる。
【0005】
上記非特許文献1の例では、表面が酸化処理されたディスクスリーブと金属ボディとの間に充填されたポリエチレンが溶融状態から固化する際に、ポリエチレンの体積が収縮することによってポリエチレン内部に引っ張り応力が生じ、場合によっては有害な変形を生じる問題があった。これを防ぐために、体積収縮の影響を受けて引っ張り応力が発生し易い部分に近接するディスクスリーブ側または金属ボディ側の何れかの面には酸化処理を実施せず、接着力が低い状態にしてその部分に積極的に隙間を形成し、ポリエチレンに作用する応力を減じるようにする方法がある。
【0006】
通常は、海底に敷設した際の水圧によるポリエチレンと金属ボディとの境界面での水蒸気の透過を防止するため、ポリエチレンで構成する絶縁体の内側に位置するディスクスリーブ側に酸化処理を施さず、外側の金属ボディ側に接着させる方法が採られる。具体的には、金属ボディの円筒内面部に対向するディスクスリーブの円筒外面の直線部分には酸化処理を実施しないようにする。
【0007】
【特許文献1】
特公昭60―59563号(第5−7図)
【非特許文献1】
海津他,「海底中継器筐体の研究」,研究実用化報告,第23巻,第3号,p.459−506,1974年
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のフィードスルーでは、ディスクスリーブの円筒外面の直線部分に酸化処理を実施しないため、ディスクスリーブとポリエチレンモールドとの間に隙間が発生する可能性がある。したがって、ディスクスリーブと金属ボディとの間に中継器への給電電圧が印加されると、ディスクスリーブとポリエチレンモールドとの上記隙間部分において部分放電(コロナ放電)が発生し、フィードスルーの絶縁性能を低下させる可能性があるという課題があった。この部分放電は、給電電圧が次に示す部分放電開始電圧VCSVより大きい場合に発生することが知られている。
【数1】
但し、Vsは空気の火花電圧、dは絶縁体の厚さ(隙間を含む)、εsは絶縁体の比誘電率、gは隙間の高さをそれぞれ表す。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ディスクスリーブと絶縁体との間の隙間をなくすことで部分放電を抑制し、絶縁性能を向上させたフィードスルーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るフィードスルーは、光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材と、第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており、外径が円板状部材よりも小さく、円板状部材よりも低圧側に配置される円筒状部材と、円板状部材と円筒状部材とを着脱自在に結合する結合手段と、中継器の筐体に固定され、円筒状部材を収容する支持部材と、支持部材と円板状部材との間および支持部材と円筒状部材の間に水密に配置される絶縁性部材と、光ファイバを水密に保持し、少なくとも第2の貫通孔に挿入され、円板状部材または円筒状部材と水密に接触するプラグとを備えたものである。
【0011】
この発明に係るフィードスルーの製造方法は、光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材に、外径が円板状部材よりも小さい円筒状治具を着脱自在に結合するステップと、中継器の筐体に固定される支持部材に円筒状治具を収容させ、支持部材と円板状部材との間および支持部材と円筒状治具との間に絶縁性部材をモールドするステップと、絶縁性部材の硬化後、円板状部材から円筒状治具を分離し、絶縁性部材から抜き出すステップと、円筒状治具の分離後に、第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており外径が円板状部材よりも小さい円筒状部材を絶縁性部材に挿入して、円板状部材に結合するステップを備え、円筒状治具の外径が円筒状部材の外径よりも小さいことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の様々な実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの実施の形態1によるフィードスルーを示す断面図である。図に示すように、フィードスルーは、コーンスリーブ(支持部材)1、絶縁性部材2、ディスクスリーブ3、ディスク部材(円板状部材)4、円筒部材(円筒状部材)5、ネジ部(結合手段)6、パッキン7、プラグ8、コーンシール部(シール面)9、コーンシール部(シール部)10、押ネジ部11を備える。
【0013】
コーンスリーブ1は光海底中継器の筐体(図示せず)に気密に固定される。図1では、コーンスリーブ1を境に右側を光海底中継器の内側、すなわち低圧側、左側を海水側、すなわち高圧側とする。絶縁性部材2の材料には、例えばポリエチレン等の樹脂が使用される。ディスクスリーブ3は、光ファイバ12が挿通される貫通孔(第1の貫通孔)を有するディスク部材4と、前記貫通孔と連通し光ファイバ12が挿通される貫通孔(第2の貫通孔)を有する円筒部材5とを備える。ディスク部材4と円筒部材5とはネジ部6によって着脱自在に結合され、円筒部材5はディスク部材4よりも低圧側に配置されている。円筒部材5は外径がディスク部材4よりも小さい。また、ディスク部材4と円筒部材5との結合部にはパッキン7が配置され、両者間は水密な構造となっている。ディスク部材4と円筒部材5は金属製であり、中継器を動作させるために供給される電力を伝送する。
【0014】
プラグ8は、内部で光ファイバ12を樹脂または低温で溶融するろう材等で固定し水密に封止する。プラグ8に水密に保持された光ファイバ12は低圧側方向からディスクスリーブ3の貫通孔に挿入される。円筒部材5の貫通孔の途中には高圧側に向かうほど直径が小さくなる方向に円錐状のコーンシール部9が形成されている。また、プラグ8の外周面にも前記コーンシール部9に密接するコーンシール部10が形成されている。コーンシール部9,10はケーブルの破損事故等の際に耐圧パイプ15内に侵入する海水を封止するための封止手段であり、コーンシール部9,10が密着するように押ネジ部11によって押圧固定されることによりプラグ8と円筒部材5とが水密に封止される。コーンシール部9,10による封止はパッキン7による封止よりも封止性能が高い。
【0015】
ディスクスリーブ3の高圧側方向には他端が海底ケーブルに繋がるテールケーブル13が接続部14で接続されている。光ファイバ12は、テールケーブル13の中心導体であると共に海底圧力から圧力絶縁された空間を生成する耐圧パイプ15内に挿入されている。
【0016】
パッキン7は、ケーブルの破損事故等の際に耐圧パイプ15内に侵入する海水がネジ部6、および円筒部材5と絶縁性部材2との境界面を経由して中継器内に浸入するのを防止するために使用される。パッキン7による水密構造が必要な理由は、この実施の形態1のフィードスルーにおいては、海水圧力による海水の中継器内への侵入は、ディスク部材4とコーンスリーブ1との間に形成された絶縁性部材2の円盤状の部分が海水圧力で圧縮されることによって阻止される構成になっているが、円筒部材5と絶縁性部材2との境界面への海水の侵入を防止する機能を備えていないためである。
【0017】
また、コーンスリーブ1およびディスク部材4の各表面には、絶縁性部材2との接着性を向上させるために酸化処理が施されている。一方、円筒部材5の表面には酸化処理は施されていない。これは、絶縁性部材2が硬化時に体積収縮することによって発生する引っ張り応力による変形を防止するためである。このように、円筒部材5の表面には酸化処理が施されないため、絶縁性部材2として例えばポリエチレンをコーンスリーブ1とディスクスリーブ3との間にモールドした場合は、円筒部材5と絶縁性部材2との境界に隙間20が発生してしまう恐れがある。この問題に対処するため、この実施の形態1では当該フィードスルーを以下に示す方法で製造している。
【0018】
次に製造方法について説明する。
フィードスルーの製造には円筒治具30が使用される。この円筒治具30は、ディスク部材4のネジ部6と嵌合するネジ部を有する。また円筒治具30の外径は、絶縁性部材2の体積収縮によって発生することが予想される絶縁性部材2と円筒部材5との隙間20の大きさに相当する分、円筒部材5の外径よりも小さい。また、ここでは絶縁性部材2としてポリエチレンを使用する。
【0019】
まず、円筒治具30にポリエチレンとの滑りを改善するために、例えばポリテトラフルオロエチレンを塗る等のフッ化処理を行う。続いて、接続部14で耐圧パイプ15に接続されたディスク部材4に円筒治具30をネジ部6で結合する。続いて円筒治具30をコーンスリーブ1に収容させ、ディスク部材4とコーンスリーブ1との間および円筒部材5とコーンスリーブ1との間にポリエチレンをモールドする。モールド処理が完了しポリエチレンが硬化した後、ディスク部材4から円筒治具30を分離してポリエチレンから抜き出す。続いて、円筒部材5を挿入し、ネジ部6でディスク部材4に結合させる。ディスク部材4と円筒部材5との間にはパッキン7を配置する。続いて、光ファイバ12を水密に保持するプラグ8のコーンシール部10と円筒部材5のコーンシール部9とを密着するように押ネジ部11によって押圧固定する。
【0020】
円筒治具30にはフッ化処理が施されているため、隙間20以外の部分においてもポリエチレンとの間はよく滑り、交換の際にも容易に引き抜くことができる。円筒部材5の直径は、隙間20の大きさに相当する分円筒治具30の直径よりも大きいため、ポリエチレンと円筒部材5との間に隙間のないフィードスルーが得られる。
【0021】
以上のように、この実施の形態1によれば、円筒部材5よりも外径を小さくした円筒治具30をディスク部材4に結合してポリエチレンをモールドし、ポリエチレン硬化後に円筒治具30を取り外して円筒部材5を結合するようにしたので、絶縁性部材2と円筒部材5との隙間をなくすことが出来るため、部分放電が抑制され、絶縁性能を向上させたフィードスルーが得られる効果がある。
【0022】
実施の形態2.
図2はこの実施の形態2によるフィードスルーを示す断面図である。図において、図1と共通する構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。実施の形態1の場合と同様に、ディスクスリーブ3は、光ファイバ12が挿通される貫通孔を有するディスク部材4と、前記貫通孔と連通し光ファイバ12が挿通される貫通孔を有する円筒部材5とを備える。ディスク部材4と円筒部材5とはネジ部6によって着脱自在に結合される。ただし、ディスク部材4と円筒部材5との間には水密構造を形成するパッキン7は使用されない。プラグ8に水密に保持された光ファイバ12は、低圧側方向からディスクスリーブ3の貫通孔に挿入されている。
【0023】
実施の形態1では、コーンシール部9は円筒部材5の貫通孔の途中に設けられていたが、この実施の形態2では図2に示すようにディスク部材4の貫通孔の途中に、ネジ部6の位置より高圧側の位置に設けられている。また、プラグ8には高圧側の端面にコーンシール部10が設けられており、プラグ8の長さはコーンシール部10がコーンシール部9に密着されるように実施の形態1の場合よりも長くなっている。コーンシール部9,10が密着するように押ネジ部11によって押圧固定されることによりプラグ8と円筒部材5とが水密に封止される。
【0024】
また、実施の形態1の場合と同様に、コーンスリーブ1およびディスク部材4の各表面には酸化処理が施され、円筒部材5の表面には酸化処理は施されていない。また、このフィールドスルーの製造方法も実施の形態1の場合と同様である。すなわち、円筒部材5よりも外径が小さい円筒治具30をディスク部材4に結合し、円筒治具30をコーンスリーブ1に収容させて円筒治具30とコーンスリーブ1との間およびディスク部材4とコーンスリーブ1との間をモールドする。モールド完了後に円筒治具30を取り外し、円筒部材5を取り付ける。円筒治具30は、絶縁性部材2の体積収縮によって発生することが予想される絶縁性部材2と円筒部材5との隙間20の大きさに相当する分、外径が小さくされている。
【0025】
以上のように、この実施の形態2によれば、プラグ8の長さを大きくし、コーンシール部9,10をネジ部6の位置よりも高圧側の位置に設けるようにしたので、ケーブル破損事故等の際に耐圧パイプ15内に侵入する海水がコーンシール部9,10で封止されてネジ部6に達するのを防ぐことができる。したがって、パッキン7を使用する必要がないため実施の形態1の場合よりも簡単な構成でフィードスルーを作成できるという効果が得られる。また、コーンシール部9,10による封止はパッキンによる封止よりも封止性能が高いため、実施の形態1よりも水密信頼性を向上させることができるという効果が得られる。
【0026】
実施の形態3.
図3はこの実施の形態3によるフィードスルーを示す断面図である。図において、図1と共通する構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。実施の形態1では、ディスクスリーブ3はディスク部材4と円筒部材5を備え、ディスク部材4と円筒部材5とはネジ部6によって着脱自在に結合される構成となっていたが、この実施の形態3では図3に示すようにディスクスリーブ3のディスク部位3aは、低圧側に向かって延びる、外径がディスクスリーブ3のディスク部位3aよりも小さい円筒状突出部3bを備えている。ディスクスリーブ3のディスク部位3aおよび円筒状突出部3bは光ファイバ12が挿通される貫通孔を備える。また、円筒状突出部3bの貫通孔の低圧側端部に高圧側に向かうほど断面積が小さくなるように円錐状のコーンシール部9が形成されている。
【0027】
ディスクスリーブ3の円筒状突出部3bには第2の円筒部材(円筒状部材)5’が覆うように配置されている。円筒状突出部3bは中継器側の端部に雄ネジ6aを有し、第2の円筒部材5’は雄ネジ6aと嵌合する雌ネジ6bを有する。第2の円筒部材5’は中継器側の端部で雄ネジ6aと雌ネジ6bとが嵌合することによって円筒状突出部3bと結合する。
【0028】
次に製造方法について説明する。
この実施の形態3によるフィードスルーの製造には第2の円筒治具30’が使用される。この第2の円筒治具30’は、雄ネジ6aと嵌合する雌ネジを有する。また、第2の円筒治具30’の外径は、絶縁性部材2の体積収縮によって発生することが予想される絶縁性部材2と第2の円筒部材5’との隙間20の大きさに相当する分、第2の円筒部材5’の外径よりも小さい。ここでは絶縁性部材2としてポリエチレンを使用する。
【0029】
まず、第2の円筒治具30’にポリエチレンとの滑りを改善するために、例えばポリテトラフルオロエチレンを塗る等のフッ化処理を行う。続いて、接続部14で耐圧パイプ15に接続されたディスクスリーブ3の円筒状突出部3bを第2の円筒治具30’で覆い、雄ネジ6aと雌ネジ6bを嵌合させる。続いて、第2の円筒治具30’をコーンスリーブ1に収容させ、ディスク部位3aとコーンスリーブ1との間および第2の円筒治具30’とコーンスリーブ1との間にポリエチレンをモールドする。モールド処理が完了しポリエチレンが硬化した後、円筒状突出部3bから第2の円筒治具30’を分離してポリエチレンから抜き出す。続いて、第2の円筒部材5’を挿入し雌ネジ6bでディスク部位3aに結合させる。続いて、光ファイバ12を水密に保持するプラグ8のコーンシール部10と円筒状突出部3bのコーンシール部9とを密着するように押ネジ部11によって押圧固定する。
【0030】
第2の円筒治具30’にはフッ化処理が施されているため、隙間20以外の部分においてもポリエチレンとの間はよく滑り、交換の際にも容易に引き抜くことができる。第2の円筒部材5’の直径は隙間20の大きさに相当する分第2の円筒治具30’の直径よりも大きいため、ポリエチレンと第2の円筒部材5’との間に隙間のないフィードスルーが得られる。
【0031】
以上のように、この実施の形態3によれば、第2の円筒部材5’よりも外径を小さくした第2の円筒治具30’でディスクスリーブ3の円筒状突出部3bを覆いポリエチレンをモールドし、ポリエチレン硬化後に本来の直径を有する第2の円筒部材5’に交換するようにしたので、絶縁性部材2と第2の円筒部材5’との隙間をなくすことが出来るため、部分放電が抑制され、絶縁性能を向上させたフィードスルーが得られる効果が得られる。
【0032】
また、プラグ8のコーンシール部10をディスクスリーブ3の低圧側の端部に設け、ディスクスリーブ3と第2の円筒部材5’とを低圧側においてねじ結合したため、耐圧パイプ内への海水の侵入に対する外部圧力の影響を低減できるので、実施の形態1のような水密結合構造(パッキン7)を必要とせず、また従来と同様の形態のプラグ8を使用することが可能になる効果が得られる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブルを中継器に接続するフィードスルーにおいて、光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材と、第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており、外径が円板状部材よりも小さく、円板状部材よりも低圧側に配置される円筒状部材と、円板状部材と円筒状部材とを着脱自在に結合する結合手段と、中継器の筐体に固定され、円筒状部材を収容する支持部材と、支持部材と円板状部材との間および支持部材と円筒状部材の間に水密に配置される絶縁性部材と、光ファイバを水密に保持し、少なくとも第2の貫通孔に挿入され、円板状部材または円筒状部材と水密に接触するプラグとを備えるように構成し、円筒状部材より外径が小さい円筒状治具を使用して成形し、成形後に円筒状治具を円筒状部材に交換したので、ディスクスリーブと絶縁性部材との間の隙間をなくすことで部分放電を抑制し、絶縁性能を向上させたフィードスルーを得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるフィードスルーを示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態2によるフィードスルーを示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態3によるフィードスルーを示す断面図である。
【符号の説明】
1 コーンスリーブ(支持部材)、2 絶縁性部材、3 ディスクスリーブ、3a ディスク部位、3b 円筒状突出部、4 ディスク部材(円板状部材)、5 円筒部材(円筒状部材)、5’ 第2の円筒部材(円筒状部材)、6 ネジ部(結合手段)、6a 雄ネジ(結合手段)、6b 雌ネジ(結合手段)、7 パッキン、8 プラグ、9 コーンシール部(シール面)、10 コーンシール部(シール部)、11 押ネジ部、12 光ファイバ、13 テールケーブル、14 接続部、15 耐圧パイプ、20 隙間、30 円筒治具(円筒状治具)、30’ 第2の円筒治具。
Claims (4)
- 光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブルを中継器に接続するフィードスルーにおいて、
光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材と、
前記第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており、外径が前記円板状部材よりも小さく、前記円板状部材よりも低圧側に配置される円筒状部材と、
前記円板状部材と前記円筒状部材とを着脱自在に結合する結合手段と、
前記中継器の筐体に固定され、前記円筒状部材を収容する支持部材と、
前記支持部材と前記円板状部材との間および前記支持部材と前記円筒状部材の間に水密に配置される絶縁性部材と、
前記光ファイバを水密に保持し、少なくとも前記第2の貫通孔に挿入され、前記円板状部材または前記円筒状部材と水密に接触するプラグとを備えたことを特徴とするフィードスルー。 - プラグは第1の貫通孔および第2の貫通孔に挿入されており、
前記第1の貫通孔には高圧側方向に向かうほど前記第1の貫通孔の断面積が小さくなるように円錐状のシール面が形成されており、
前記プラグの外周面には前記円錐状のシール面に対応するシール部が形成されており、
前記円錐状のシール面とそれに対応するシール部とが軸力によって水密に密接することにより前記プラグと円板状部材との間が封止されており、
前記円錐状のシール面および前記シール部は、前記円板状部材と円筒状部材とを結合する結合手段の位置よりも高圧側の位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載のフィードスルー。 - 円板状部材は低圧側に向かって延びる円筒状突出部を有しており、
結合手段は前記円筒状突出部の低圧側の端部で前記円筒状突出部と円筒状部材とを着脱自在に結合し、
プラグは前記円筒状突出部の第1の貫通孔および前記円筒状部材の第2の貫通孔に挿入されており、前記第1の貫通孔には高圧側に向かうほど前記第1の貫通孔の断面積が小さくなるように円錐状のシール面が形成されており、
前記プラグの外周面には前記円錐状のシール面に対応するシール部が形成されており、
前記円錐状のシール面とそれに対応するシール部とが軸力によって水密に密接することにより前記プラグと前記円板状部材との間が封止されていることを特徴とする請求項1記載のフィードスルー。 - 光ファイバを伝送路として使用する海底ケーブルを中継器に接続するフィードスルーの製造方法において、
光ファイバが挿通される第1の貫通孔を有する円板状部材に、外径が前記円板状部材よりも小さい円筒状治具を着脱自在に結合するステップと、
前記中継器の筐体に固定される支持部材に前記円筒状治具を収容させ、前記支持部材と前記円板状部材との間および前記支持部材と前記円筒状治具との間に絶縁性部材をモールドするステップと、
前記絶縁性部材の硬化後、前記円板状部材から前記円筒状治具を分離し、前記絶縁性部材から抜き出すステップと、
前記円筒状治具の分離後に、前記第1の貫通孔と連通し光ファイバが挿通される第2の貫通孔を有しており外径が前記円板状部材よりも小さい円筒状部材を前記絶縁性部材に挿入して、前記円板状部材に結合するステップを備え、
前記円筒状治具の前記外径が前記円筒状部材の前記外径よりも小さいことを特徴とするフィードスルーの製造方法。
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Cited By (1)
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CN108646150A (zh) * | 2018-05-02 | 2018-10-12 | 国网江苏省电力有限公司电力科学研究院 | 一种海底电力电缆局放检测装置 |
-
2003
- 2003-06-12 JP JP2003167863A patent/JP2005003975A/ja active Pending
Cited By (2)
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