JP2005002316A - 熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005002316A JP2005002316A JP2003355693A JP2003355693A JP2005002316A JP 2005002316 A JP2005002316 A JP 2005002316A JP 2003355693 A JP2003355693 A JP 2003355693A JP 2003355693 A JP2003355693 A JP 2003355693A JP 2005002316 A JP2005002316 A JP 2005002316A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermoplastic resin
- mass
- resin
- rubber
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、表面固有抵抗が1014〜102Ω/sqである熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等)と、マイナスイオン発生剤とを含有し、このマイナスイオン発生剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部である。
【選択図】 図1
Description
マイナスイオンの製造方法としては、装置を用いて人工的に製造する方法、トルマリン等のマイナスイオン発生物質を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献1、特許文献2等)からなる成形品から自然発生させる方法等がある。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、鋭意検討した結果、十分な量のマイナスイオンを効率よく発生し、耐衝撃性に優れる成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
1.表面固有抵抗が1014〜102Ω/sqである熱可塑性樹脂〔A〕と、マイナスイオン発生剤〔B〕とを含有し、このマイナスイオン発生剤〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.上記熱可塑性樹脂〔A〕は、ポリオレフィン系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリ塩化ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.上記ゴム強化スチレン系樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、スチレン系化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物を含む上記2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.上記熱可塑性樹脂〔A〕は、ポリアミドエラストマー系及びポリエステルエラストマー系から選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤を含む上記1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.更に、難燃剤を含有し、この難燃剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部である上記1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.ポリアミドエラストマー系及びポリエステルエラストマー系から選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤を含む熱可塑性樹脂〔X〕と、マイナスイオン発生剤〔Y〕とを含有し、このマイナスイオン発生剤〔Y〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
7.上記帯電防止剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体に対して、0.1〜25質量%である上記6に記載の熱可塑性樹脂組成物。
8.上記熱可塑性樹脂〔X〕は、ゴム質重合体(a)の存在下に、スチレン系化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物からなるゴム強化スチレン系樹脂を含み、且つ、上記ゴム質重合体(a)の含有割合は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体に対して1〜60質量%である上記6又は7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
9.更に、難燃剤を含有し、この難燃剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部である上記6乃至8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
10.上記1乃至9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする成形品。
11.成形品が、ハウジング、ケース、カバー及び容器から選ばれたものである上記10に記載の成形品。
12.基部と、この基部の表面に配設され且つ上記1乃至9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて形成された成形部と、を備えることを特徴とする積層体。
所定の表面固有抵抗を有する熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂から選ばれる樹脂を用いた場合には、成形加工性が高く、且つ、耐衝撃性に優れる成形品を与えることができる。また、上記ゴム強化スチレン系樹脂が、ゴム質重合体(a)の存在下に、スチレン系化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物を含む場合には、特に十分な量のマイナスイオンを効率よく発生させることができ、耐衝撃性に優れる成形品を与えることができる。
また、難燃剤を含有する場合には、難燃性に優れ、マイナスイオンの発生量及び耐衝撃性を大きく低下させることのない成形品を与えることができる。
本発明の第1の観点の熱可塑性樹脂組成物は、表面固有抵抗が1014〜102Ω/sqである熱可塑性樹脂〔A〕と、マイナスイオン発生剤〔B〕とを含有し、このマイナスイオン発生剤〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることを特徴とする。尚、本明細書において、上記「全重合体」とは、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる重合体のすべてをいい、使用される帯電防止剤、添加剤等が重合体である場合には、これらは、上記「全重合体」に含まれる。
本発明に係わる熱可塑性樹脂〔A〕として、上記例示した樹脂を主として用いる場合、上記樹脂を構成する重合体成分が上記熱可塑性樹脂〔A〕全体に対して、70質量%以上含まれることが好ましい。より好ましい含有量は80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
また、上記アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル・メタクリル酸n−ブチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル化合物の(共)重合体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12,ナイロン46等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらのうち、N−フェニルマレイミドが好ましい。尚、マレイミド系化合物を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
また、上記化合物以外に、必要に応じて、官能基含有ビニル系化合物を用いることができる。例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルオキサゾリン等を用いることができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を、好ましくは乳化重合、溶液重合、塊状重合による方法で製造することができる。
乳化重合により製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
尚、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造するために用いられるゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)は、反応系において、ゴム質重合体全量の存在下に、単量体成分を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、ゴム質重合体の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
溶液重合、塊状重合による製造方法は、公知の方法を採用することができる。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをメチルエチルケトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
尚、上記グラフト率(%)及び極限粘度〔η〕は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を重合するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
上記(共)重合体(A2)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性の物性バランスに優れる。尚、極限粘度〔η〕は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と同様にして制御することができる。
m+nが12以上のナイロンmn塩としては、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,12、ナイロン12,10、ナイロン12,12等の塩が挙げられる。
また、上記ソフトセグメント(t)の数平均分子量は、好ましくは200〜6000、より好ましくは250〜4000である。尚、上記ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの両末端を、アミノ化又はカルボキシル化したソフトセグメントをソフトセグメント(t)として用いてもよい。
上記成分(イ)の数平均分子量が200〜6000、好ましくは250〜4000の範囲にあると、機械的性質と帯電防止効果の優れた成形体が得られる。
また、成分(ウ)のジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらのうち、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸及びドデカンジカルボン酸が重合性、色調及び物性の点から好ましく用いられる。尚、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記ジカルボン酸化合物は、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルのような低級アルコールエステルの形で使用することも可能である。これらのジカルボン酸化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記オキシカルボン酸化合物としては、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸等が挙げられる。尚、上記オキシカルボン酸化合物は、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体等も含まれる。これらのオキシカルボン酸化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、ポリエステルエラストマーの製造のために、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物を用いることもできる。
非イオン系帯電防止剤が配合されてなる熱可塑性樹脂を用いた成形品は、発生するマイナスイオンが成形品の表面等に存在するプラスイオンにより中和されることなく、効率的にマイナスイオンを発生する。
上記帯電防止剤の種類及び含有量を調整することによって、上記熱可塑性樹脂〔A〕の表面固有抵抗を、好ましくは1014〜107Ω/sqとすることができる。
上記導電性材料の含有割合は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%、更に好ましくは3〜10質量%である。
上記導電性材料の種類及び含有量を調整することによって、上記熱可塑性樹脂〔A〕の表面固有抵抗を、好ましくは1014〜102Ω/sqとすることができる。
上記マイナスイオン発生剤〔B〕の最大長さ(粒子である場合は平均粒子径)は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。
上記有機系難燃剤としては、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー、ブロム化アルキルトリアジン化合物等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素と窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明の熱可塑性樹脂組成物に難燃剤を配合する場合には、難燃助剤をともに用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記充填剤のうち、導電性を有するものは、導電性材料として扱われる。
上記酸化防止剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜5質量部である。
上記老化防止剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜5質量部である。
上記紫外線吸収剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記可塑剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
上記滑剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.05〜10質量部、更に好ましくは0.05〜5質量部である。
これらのうち、銀及び/又は亜鉛を含む抗菌剤が好ましい。
上記抗菌剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.1〜8質量部である。
従って、上記熱可塑性樹脂〔X〕は、このゴム強化スチレン系樹脂のみであってもよいし、このゴム強化スチレン系樹脂に他の熱可塑性重合体成分あるいは樹脂が配合された樹脂であってもよいし、更には、このゴム強化スチレン系樹脂に各種添加剤が予め配合された樹脂であってもよい。
本発明においては、第1の観点の発明と同様に、難燃剤を含有した熱可塑性樹脂組成物とすることができ、その含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜18質量部、更に好ましくは5〜15質量部である。
また、上記酸化防止剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜5質量部である。
また、上記紫外線吸収剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
また、上記抗菌剤を用いる場合のその含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.1〜8質量部である。
上記基部は、どんな材料から構成されるものであってもよく、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。有機材料としては、公知の樹脂や、これらの樹脂のリサイクル材料等を用いることができる。また、無機材料としては、金属、合金、セラミックス等を用いることができる。
上記基部の構成材料として、樹脂のリサイクル材料を用いる場合には、その含有量は、基部を構成する材料全体に対して、3〜80質量%とすることが好ましい。より好ましい含有量は5〜75質量%、更に好ましい含有量は5〜70質量%である。
尚、リサイクル材料は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂を含んでもよい。この熱硬化樹脂を用いる場合には、粉砕機等により粒子状とし、充填剤等として用いることができる。この熱硬化樹脂の使用量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜70質量部である。
また、上記基部の形状は、その表面に配設される成形部と積層体を確実に形成できる肉厚を有するものであれば特に限定されない。好ましい厚さは、1〜100mm、より好ましくは2〜50mmである。
本発明の積層体は、上記成形品の説明で例示した用途においても有用である。
本実施例において用いられる評価方法は以下の通りである。
(1)表面固有抵抗
ASTM D257に準じて測定した。単位は、Ω/sqである。
(2)マイナスイオン発生個数
縦210mm、横297mmの大きさの試験片を台紙に貼り付け、長さ290mm、内径60mmの筒を作製した。この筒をマイナスイオン測定装置(神戸電波社製、商品名「イオンテスターKST−900」)の所定の位置にセットし、筒の中を通過した空気のイオン濃度xを測定した。マイナスイオン発生個数は、試料測定の前後に測定した室内の空気のイオン濃度yと上記イオン濃度xとの差から、単位体積あたりの個数で求めた。
(3)耐衝撃性
シャルピー衝撃強度をもって評価した。ISO179に準拠し、シャルピー衝撃強度を測定した。単位は、kJ/m2である。
UL94規格に準じ、長さ5インチ、幅1/2インチ、厚さ1/16インチの試験片を用い、垂直燃焼試験を行った。
熱可塑性樹脂を構成する樹脂成分として、以下の樹脂(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を用いた。
2−1.樹脂(i)
重量平均粒子径2800Åのポリブタジエンゴムラテックスの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合させ、ポリブタジエンゴム40%、スチレン44%及びアクリロニトリル16%からなるゴム強化スチレン系樹脂(ABS樹脂)を得て、これを、樹脂(i)とした。
この樹脂(i)のグラフト率は55%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.45dl/gであった。
スチレン・アクリロニトリル・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体〔重合比70/22/8(%)〕を用いた。極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.3dl/gであった。
スチレン・アクリロニトリル共重合体〔重合比70/30(%)〕を用いた。極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.6dl/gであった。
2−4.樹脂(iv)
ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ノバデュラン7020」)を用いた。
シリカ・酸化ジルコニウム・無水リン酸・アルミナ含有混合物(洛東化成工業社製、商品名「マイナスイオン原体」)を用いた。
以下の製法で得たポリアミドエラストマー及びポリエステルエラストマーを用いた。
4−1.ポリアミドエラストマー
ε−カプロラクタムの開環重合により、融点が200℃であるポリアミド−6を得た。このポリアミド−6の両末端を、アジピン酸によりカルボン酸とした後、分子量1500のポリエチレングリコールを添加して、エステル化反応を行ってポリアミドエラストマーを得た。
テレフタル酸及び1,4−ブタンジオールを縮合重合し、融点が200℃のポリブチレンテレフタレートを得た。このポリブチレンテレフタレートの両末端を、アジピン酸によりカルボン酸とした後、分子量1500のポリエチレングリコールを添加してエステル化反応を行い、ポリエステルエラストマーを得た。
リン系難燃剤(旭電化社製、商品名「アデカスタブFP−700」)を用いた。
各成分を、表1に示す配合割合でミキサーにより5分間混合した後、50mmφ押出機でシリンダー設定温度180〜220℃で溶融混練押出し、ペレットを得た。得られたペレットを十分に乾燥し、評価用の試験片を得た。この試験片を用いて各種評価を上記記載の方法で行った。評価結果を表1に示す。
基部用のアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂と、成形部用の実施例1で調製した熱可塑性樹脂組成物とを、65mm単軸押出機(e1)で基部を、40mm単軸押出機(e2)で成形部を同時に押出成形する多層異型押出機を用い、上記(e1)のシリンダー温度を180〜200℃、上記(e2)のシリンダー温度を180〜210℃とし、また、ダイ金型を200℃として、板状積層体を作製した。積層体の大きさは、幅が250mm、厚さが10mmであり、基部の厚さは9mm、成形部の厚さは1mmである。得られた積層体について、成形部表面からのマイナスイオン発生個数を測定したところ、35個/ccであった。
表1より、比較例1は、表面固有抵抗が本発明の範囲外で、高い例であり、マイナスイオンの発生量が十分ではない。また、比較例2は、マイナスイオン発生剤の含有量が本発明の範囲外で、多い例であり、耐衝撃性が劣る。一方、実施例1乃至9は、いずれも表面固有抵抗が1014〜102Ω/sqの範囲にあり、マイナスイオンの発生個数が十分であり、且つ耐衝撃性にも優れていた。また、難燃剤を含有した実施例6は、マイナスイオンの発生量の低下及び耐衝撃性の低下を招くことなく優れた性能を示した。
Claims (12)
- 表面固有抵抗が1014〜102Ω/sqである熱可塑性樹脂〔A〕と、マイナスイオン発生剤〔B〕とを含有し、該マイナスイオン発生剤〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 上記熱可塑性樹脂〔A〕は、ポリオレフィン系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリ塩化ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記ゴム強化スチレン系樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、スチレン系化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物を含む請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記熱可塑性樹脂〔A〕は、ポリアミドエラストマー系及びポリエステルエラストマー系から選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部である請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリアミドエラストマー系及びポリエステルエラストマー系から選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤を含む熱可塑性樹脂〔X〕と、マイナスイオン発生剤〔Y〕とを含有し、該マイナスイオン発生剤〔Y〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 上記帯電防止剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体に対して、0.1〜25質量%である請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記熱可塑性樹脂〔X〕は、ゴム質重合体(a)の存在下に、スチレン系化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物からなるゴム強化スチレン系樹脂を含み、且つ、上記ゴム質重合体(a)の含有割合は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体に対して1〜60質量%である請求項6又は7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、難燃剤を含有し、該難燃剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔X〕に含まれる全重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部である請求項6乃至8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする成形品。
- 成形品が、ハウジング、ケース、カバー及び容器から選ばれたものである請求項10に記載の成形品。
- 基部と、該基部の表面に配設され且つ請求項1乃至9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて形成された成形部と、を備えることを特徴とする積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003355693A JP2005002316A (ja) | 2003-05-19 | 2003-10-15 | 熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003141037 | 2003-05-19 | ||
JP2003355693A JP2005002316A (ja) | 2003-05-19 | 2003-10-15 | 熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005002316A true JP2005002316A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34106388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003355693A Pending JP2005002316A (ja) | 2003-05-19 | 2003-10-15 | 熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005002316A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017516871A (ja) * | 2015-04-27 | 2017-06-22 | エルジー・ケム・リミテッド | 耐熱san樹脂、その製造方法及びそれを含む耐熱san樹脂組成物 |
JP2020117657A (ja) * | 2019-01-28 | 2020-08-06 | Salute.Lab株式会社 | 機能性成形品及び機能性カード |
-
2003
- 2003-10-15 JP JP2003355693A patent/JP2005002316A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017516871A (ja) * | 2015-04-27 | 2017-06-22 | エルジー・ケム・リミテッド | 耐熱san樹脂、その製造方法及びそれを含む耐熱san樹脂組成物 |
US9777088B2 (en) | 2015-04-27 | 2017-10-03 | Lg Chem, Ltd. | Heat-resistant SAN resin, method of producing the same and heat-resistant SAN resin composition comprising the same |
JP2020117657A (ja) * | 2019-01-28 | 2020-08-06 | Salute.Lab株式会社 | 機能性成形品及び機能性カード |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5538188B2 (ja) | 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 | |
KR101233373B1 (ko) | 폴리유산 수지 조성물 | |
JP5352946B2 (ja) | 放熱筐体 | |
EP2315809B1 (en) | Ignition resistant carbonate polymer composition | |
JP2010514887A (ja) | 耐衝撃性が向上した熱可塑性樹脂組成物 | |
KR20110079465A (ko) | 열가소성 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품 | |
MX2011009829A (es) | Composiciones de policarbonato modificadas con respecto a la resistencia a los choques para la produccion de cuerpos de moldeo metalizados con brillo superficial homogeneo. | |
WO2007023865A1 (ja) | ゴム強化樹脂、制電性樹脂組成物、成形体及び積層体 | |
JP2008222790A (ja) | 樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
JPH1060242A (ja) | 強化ポリエステル樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2003026905A (ja) | 樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2005179445A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体 | |
MXPA02003196A (es) | Mezclas polimeras que contienen poliesteres modificados. | |
JP2008033147A (ja) | トナーケース | |
JP2002212400A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた自動車用成形品 | |
JP2003026904A (ja) | 難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JPH08157732A (ja) | 難燃性樹脂組成物 | |
JP2002294054A (ja) | 光学系ハウジング部材用ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形品 | |
JP2005002316A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物、成形品及び積層体 | |
JP2008101142A (ja) | 黒色系複合粉体及びその製造方法、樹脂組成物、石目調成形品、積層品並びに塗料 | |
JP4748751B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2004203929A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH08193151A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2006219643A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 | |
JP4267139B2 (ja) | 樹脂成形品の製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050606 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060301 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080716 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081216 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20091006 |