JP2005002312A - 熱応答性高分子材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】相転移温度が低く、また透明状態となるpH領域が比較的広く、しかも透明状態となるpH域と白濁状態となるpH域との境界が明確であり、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示す、高分子材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる共重合体の架橋体を含有してなる熱応答性高分子材料及び熱応答性高分子材料。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1から4の整数であり、Q1は、水素原子又は低級アルキル基を、Q2は低級アルキル基を示す。x及びyは共重合体中の各構成成分のモル分率を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は側鎖にアミノ酸残基を有する重合体の架橋体を含有する熱応答性高分子材料及びpH応答性高分子材料に関するものである。
従来、電解質ポリマーとして、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などのアニオン性高分子電解質、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート)などのカチオン性高分子電解質がよく知られている。
これらのポリマーは、pHやイオン強度の変化によって電解質部位が解離−未解離変化を起こし、粘性や電気的性質などの様々な性質が変化する。
また、アクリル酸、メタクリル酸、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのモノマーと、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド、N−置換メタクリルアミドなどのモノマーとの共重合体は、感熱応答性を示し、ある温度を境に、水に対する溶解度が変化し、その温度以下では溶解、その温度以上では不溶化し、またその溶解温度がpHやイオン強度により制御できることも報告されている。
さらに、これらの高分子電解質や重合体の架橋ゲル化物は、pHや温度の変化によって可逆的にゲルの体積が変化することも知られている。
しかしながら、これらの重合体及びそのゲル化物は、酸性またはアルカリ性領域のある一定のpHで解離を起こすものの、酸性及びアルカリ性の両方の領域で解離はみられないといった欠点があった。
このような問題点を解決するために、本発明者らは、L−リジンなどのアミノ酸のα位のアミノ基とカルボキシル基が保護され、側鎖のアミノ基がアクリルアミド化されたアクリルアミド誘導体とN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体を提案した(特許3044299号)。
この共重合体は、脱保護基反応を行うことにより、L−リジン基などのアミノ酸基のα位のアミノ基とカルボキシル基がフリーとなり両性電解質の性質を示し、ある温度を境に、水に対する溶解度が変化し、その温度以下(相転移温度)では溶解し透明となり、相転移温度以上では不溶化し白濁となり、また、酸性及びアルカリ性の両域に亘ってこの相転移現象が発現するので、熱応答性高分子材料及びpH応答性高分子材料として利用できるものである。
しかし、その後の本発明者等の検討によれば、この共重合体は、相転移温度が比較的高く、低温応答性に若干の問題があり、また酸性及びアルカリ性の両域に亘って相転移するものの、その透明状態となるpH領域が比較的狭く、更には透明状態となるpH域と白濁状態となるpH域との境界が必ずしも明確ではなく、熱応答性及びpH応答性の感度は必ずしも満足するものではなかった。
本発明はこのような事情の下になされたものであって、相転移温度が低く、また透明状態となるpH領域が比較的広く、しかも透明状態となるpH域と白濁状態となるpH域との境界が明確であり、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示す、高分子材料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸の側鎖のアミノ基が保護され、α位のアミノ基がアクリルアミド化又はメタクリルアミド化された単量体を繰り返し単位として含む重合体の架橋体が、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、
第一に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる共重合体の架橋体を含有する熱応答性高分子材料が提供される。
Figure 2005002312
(式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1から4の整数であり、Q1は、水素原子又は低級アルキル基を、Q2は低級アルキル基を示す。x及びyは共重合体中の各構成成分のモル分率を示す。)
第二に、上記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる共重合体の架橋体を含有するpH応答性高分子材料が提供される。
(1)前記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる共重合体の水溶液は、転移温度以下では、水に溶解し透明となるが、転移温度以上では、相分離を起こし水に不溶化し、溶液は白濁するので、熱応答性高分子として利用することができる。さらに、この共重合体には、特定なアミノ酸基が含まれる為、pHにより相分離挙動が変化し、その水溶液は、酸性及びアルカリ性の両域に亘るpH4〜10の範囲では相分離を起こさず透明性を保持し、pH4以下の酸性及びpH10以上のアルカリ性近傍で相分離を起こし白濁する特有な挙動を示す。また、この共重合体は、相転移温度が比較的低く、また酸性及びアルカリ性の両域に亘って相転移しその透明pH領域が比較的広く、更には透明状態となるpH域と白濁状態となるpH域の境界が明確であるため、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示す。そして、本発明の一般式(I)で表される繰り返し単位からなる共重合体の架橋体(ゲル化物)には、特有なアミノ酸基が含まれる為、pHにより相転移挙動が変化し、pH4〜10付近では収縮した状態であるが、それ以上、それ以下のpHではゲルは急激に大きく膨潤する。
(2)従って、本発明の架橋体は、温度、pHなどを認識する、熱応答性高分子材料及びpH応答性高分子材料として有効であり、センサーやアクチュエータ、あるいはカラム充てん剤を始めとする分離材料としても用いることができる。
本発明で架橋化される共重合体は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる。
Figure 2005002312
一般式(I)において、Rは水素、メチル基であり、nは1から4の整数である。Q1、Q2は、水素原子又はn−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの低級アルキル基を示す。この中でもQ1が水素原子、Q2が低級アルキル基の組み合わせ、及びQ1がエチル基、Q2がエチル基の組み合わせのものが好ましい。x及びyは共重合体中の各構成成分のモル分率を示し、一般にxは0.5〜0.95、好ましくは0.8〜0.95であり、yは0.05〜0.5、好ましくは0.05〜0.2である。
この共重合体の分子量は一般に10,000〜2,000,000、好ましくは20,000〜1,000,000である。
また、かかる共重合体は、一般式(II)で示される単量体と一般式(III)で示されるN−置換アクリルアミドまたはN−置換メタクリルアミド単量体を重合させ、ついで保護基Zを脱保護することにより製造することができる。
この合成反応はスキーム1で表される。
一般式(II)において、Rは水素、メチル基であり、nは1から4の整数であり、Zはアミノ基の保護基を示す。この場合、アミノ基の保護基Zとしては、従来公知の保護基の全てが包含され、例えば、ベンジルオキシカルボニル、m−クロロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルなどが挙げられる。このなかでも、ベンジルオキシカルボニル、m−クロロベンジルオキシカルボニルなどの保護基が好ましく使用される。また、一般式(III)において、Rは水素、メチル基であり、Q1、Q2は、前記と同じ基を示す。
なお、一般式(II)で表される単量体は、新規物質であり、例えば、側鎖アミノ基が保護されたアミノ酸と水酸化ナトリウムなどのアルカリ塩とを反応させて、そのアミノ酸塩をまず合成し、ついでこのものとアクリル酸クロライドなどのアクリル酸誘導体とを溶媒中で反応させ、α位のアミノ基とアミド結合させることにより製造される。
Figure 2005002312
前記共重合体は、γ線架橋、化学架橋、架橋性モノマーとの共重合などの架橋方法により架橋体(ゲル化物)とすることができる。
以下、その架橋方法を詳述する。
(1)γ線架橋
本発明の共重合体、殊に構造式中のRが水素原子の場合、これれの重合体を水に溶解しγ線を照射するとゲル化物が得られる。この場合、水溶液濃度は、10〜20wt.%程度、γ線照射量は、70〜150kGy程度が好ましい。
(2)架橋性モノマーとの共重合
本発明の共重合体は、上で述べたように、放射線架橋や化学架橋によりゲル化物を与えるが、均質なゲル化物を得るためには、重合、共重合の際、少量のジビニル化合物を添加し、ゲル化物を合成後、保護基を除去する製造法が好ましい。
また、上記一般式(II)で表される単量体と一般式(III)で表されるN−置換アクリルアミドまたはN−置換メタクリルアミドなどのアクリル酸系単量体と、さらにN,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)−ビスアクリルアミド等のジビニル化合物をジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に溶解し、共重合させると保護基Zを有するゲル化物が得られる。
この場合、上記一般式(II)で表される単量体と一般式(III)で表されるN−置換アクリルアミドまたはN−置換メタクリルアミド等のアクリル系単量体との合計の濃度は、10〜20wt.%、架橋剤濃度は単量体の総量に対し、0.5〜3mol%が好ましい。
得られた保護基Zを有するゲル化物を酢酸等の溶媒中で膨潤させた後、脱保護基剤、例えば25%臭化水素/酢酸溶液を加え、保護基(Z)を除去すると、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する共重合体が架橋された架橋体(ゲル化物)が得られる。
また、前記共重合体の水溶液は、転移温度以下では、水に溶解し透明となるが、転移温度以上では、相分離を起こし水に不溶化し、溶液は白濁するので、熱応答性高分子として利用することができる。
さらに、この共重合体には、特定なアミノ酸基が含まれる為、pHにより相分離挙動が変化し、その水溶液は、酸性及びアルカリ性の両域に亘るpH4〜10の範囲では相分離を起こさず透明性を保持し、pH4以下の酸性及びpH10以上のアルカリ性近傍で相分離を起こし白濁する特有な挙動を示す。また、この共重合体は、相転移温度が比較的低く、また酸性及びアルカリ性の両域に亘って相転移しその透明pH領域が比較的広く、更には透明状態となるpH域と白濁状態となるpH域の境界が明確であるため、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示す。
さらに、本発明の、共重合体の架橋体(ゲル化物)には、特有なアミノ酸基が含まれる為、pHにより相転移挙動が変化し、pH4〜10付近では収縮した状態であるが、それ以上、それ以下のpHではゲルは急激に大きく膨潤する。
従って、このような共重合体及びそれらの架橋体(ゲル化物)は、温度、pHなどを認識するセンサーやアクチュエータ、あるいはカラム充てん剤を始めとする分離材料としても用いることができる。
次に本発明を参考例及び実施例に基づきさらに詳細に説明する。
参考例1
[リジン残基を含むアクリルアミド系モノマー(化合物(4)の合成]
下記のスキーム2に従い、化合物(4)を合成した。
Figure 2005002312
化合物(1)(3.0g,10.7mmol)を0.1N−水酸化ナトリウム水溶液(108ml, 10.8mmol)に溶解し、化合物(2)の水溶液を得た。ジオキサン53.5ml、1N−水酸化ナトリウム水溶液(10.7ml,10.7mmol)を加え、激しく攪拌した。この溶液をA液とした。塩化アクリロイル(化合物(3))(1.21g,13.4mmol)をジオキサン12mlに溶解しB液を調製した。1N−水酸化ナトリウム水溶液(12.3ml,12.3mmol)を調整し、これをC液とした。氷浴下、B液及びC液を4回に分け、10分毎、A液に加え,7時間攪拌した。反応終了後、1N−塩酸水溶液を用い、反応液をpH5に調整した。ジオキサンを減圧留去し、生成物を塩化メチレンに溶解した。水100mlによって有機相の洗浄を行った。無水硫酸マグネシウムを加えて脱水を行い、減圧濃縮し、ヘキサン−クロロホルム混合液中(180ml:20ml(=9:1))で結晶を析出させた。低温で静置した後、デカンテーションし、減圧乾燥させ白色の化合物(4)を得た。
収量:1.8g,収率:50.3%
1H−NMR(DMSO,室温 ,δ):1.2−1.8(m,(CH,8H),4.2−4.3(m,CH,1H),5.0(s,) 5.0 ( s, CH,1H), 5.6(d, CH=CH,1H),6.0−6.4(m,CH=CH,2H),7.3−7.4(m,benzene,5H)、元素分析:計算値(%):C,61.1;H,6.63;N,8.38、実測値(%):C,60.2;H,6.74;N,8.14
参考例2(スキーム3)
[重合体(6)の合成]
下記スキーム3にしたがって、重合体(6)(m=1,500)を合成した。
Figure 2005002312
1)リジン残基を含むアクリルアミド系モノマー(化合物(4))の重合
化合物(4)(4.7g,14mmol)をジメチルスルホキシド20mlに溶解した。重合開始剤としてα,α'−アゾビスイソブチロニトリル(23.3mg,0.14mmol)を加え窒素雰囲気下60℃、24時間反応させた。室温に戻した後、水で沈殿させ、凍結乾燥を行い、白色の重合体(5)を得た。
収量:4.11g, 収率:87.4%
2)保護基の除去による重合体(6)(m=1,500)の合成
重合体(5)(2.5g)を25mlの酢酸に溶解し、25%臭化水素/酢酸溶液(25ml)を加えた。室温で3時間撹拌した後、減圧濃縮した。生成物を水に溶解し透析を行った。凍結乾燥により、白色綿状の重合体(6)(m=1,500)を得た。
収量:1.20g, 収率:80.7%
参考例3(スキーム4)
[共重合体(9)の合成(化合物(7)と化合物(4)との共重合体;x=0.9、y=0.1)
下記スキーム4に従って共重合体(9)を合成した。
Figure 2005002312
1)リジン残基を含むアクリルアミド系モノマー(化合物(4))とN−イソプロピルアクリルアミド(化合物(7))の共重合
化合物(7)(1.45g,12.8mmol)と化合物(4)(0.47g,1.42mmol)(モル比;化合物(7):化合物(4)=9:1)をジメチルスルホキシド20mlに溶解した。重合開始剤としてα,α'−アゾビスイソブチロニトリル(23.3mg,0.14mmol)を加え窒素雰囲気下60℃、24時間反応させた。室温に戻した後、水で沈殿させ、凍結乾燥を行い、白色の重合体(8)を得た。
収量:1.71g, 収率:89.2%
2)保護基の除去による共重合体(9)の合成
重合体(8)(0.8g)を25%臭化水素/酢酸溶液(25.6ml)に溶解し、室温にて3時間放置した後、減圧濃縮した。生成物を水に溶解し透析を行った。凍結乾燥により、白色綿状の共重合体(9)(x=0.9、y=0.1;分子量350,000)を得た。
収量:0.64g, 収率:85.2%
参考例5
塩化ナトリウムでイオン強度を0.01に調整した塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液を溶媒として用い、参考例1で得た共重合体(9)の相分離挙動を500nmの光の透過率で検討した。測定結果を図1に示す。pH4〜10では、48〜50℃付近で相分離を起こし、溶液が白濁するため、透過率が減少した。
pHが3.5、及び10.6では相分離温度が上昇し、pH2及びpH12では、相分離は観察されず、溶液は透明のままであった。500nmの光の透過率が50%となった点を相分離温度と定義し、共重合体(9)のpH応答性を検討した結果を図2に示す。
なお、比較のため特許3044299号の実施例1で合成された、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を有する共重合体(A)の相転移温度とpHとの関係を同様に測定したものを図示した。
Figure 2005002312
図2から分かるように、本発明で用いる共重合体(9)の水溶液は、pH4〜10では、転移温度は、48〜50℃のほぼ一定の値を示し、それ以下、それ以上のpHでは、アミノ基またはカルボキシル基が解離し、親水性が増すため、転移温度は急激に増加している。
これに対して、重合体(A)の水溶液はpH4〜8で、転移温度は、54〜57℃のほぼ一定の値を示し、それ以下、それ以上のpHでは、アミノ基またはカルボキシル基が解離し、親水性が増すため、転移温度は急激したが、共重合体(9)のような急激な転移温度変化の立ち上がりは、認められなかった。
従って、本発明の共重合体(9)は、特許第3044299号記載の共重合体(A)のものよりも鋭敏なpH応答性は示すことが分かった。
実施例1
[共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)(共重合体(9)のゲル化物)の合成]
1)リジン残基を含むアクリルアミド系モノマー(化合物(4))とN−イソプロピルアクリルアミド(化合物7)の共重合体ゲル化物(10)の合成
NIPAAm(化合物(7))(0.73g,6.42mmol)と化合物(4)(0.24g,0.71mmol)(NIPAAm:化合物(4)=9:1)をジメチルスルホキシド6.2ml に溶解した。重合開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(11.8mg,0.07mmol)架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(11.0mg,0.07mmol)を加え窒素置換を行い、ガラス管の中で60 ℃、24時間反応させた。室温に戻した後、ゲルを水で繰り返し洗浄し、共重合体ゲル化物(10)を得た。
2)保護基の除去による本発明の共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)の合成
洗浄した共重合体ゲル化物(10)を酢酸100mlに浸漬し、25%臭化水素/酢酸溶液30mlを加え、室温で5 時間放置した。反応終了後、ゲルを水で繰り返し洗浄し、共重合体ゲル化物(11)を得た。
実施例2
塩化ナトリウムでイオン強度を0.01に調整した塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液を溶媒として用い、実施例3で得た共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)の室温での膨潤度変化を検討した。測定結果を図3に示す。膨潤度d/doは、それぞれのpHで、25℃でのゲルの直径dと、ゲルを合成したガラス管の内径doから求めた。 なお、比較のために特許3044299号の実施例1で合成された、上記一般式で表される繰り返し単位を有する共重合体(A)のゲル化物についても同様な測定を行い、その結果を図3に併記した。
図3から、本発明の共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)は、pH4〜9では、ほぼ一定の膨潤度を示し、それ以下、それ以上のpHでは、アミノ基またはカルボキシル基が解離し、親水性が増すためゲルの膨潤度は急激に増加している。
これに対して、重合体(A)の架橋体は、pH4〜8の領域で収縮状態となったが、pH6付近で極小値をとり、それ以下、それ以上のpHでは、膨潤度は若干増加した。pH4以下、pH9以上では、アミノ基またはカルボキシル基が解離し、親水性が増すためゲルの膨潤度増加率が大きくなったが、共重合体の架橋体(11)に比べ、増加の割合は低かった。
従って、本発明の共重合体(11)の架橋体は、特許第3044299号記載の共重合体(A)のものよりも鋭敏なpH応答性は示すことが分かった。
次に各pH溶液中での温度変化に伴う共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)の体積変化について検討した。結果を図4に示した。pH2,6,12の溶液中で、温度の上昇に伴い、ゲルは連続的に収縮することがわかった。したがって、共重合体ゲル(11)は、pH変化のみならず温度変化でも体積変化することがわかった。
参考例1の共重合体水溶液の透過率のpH依存性を示すグラフ。 参考例1の共重合体水溶液の相転移温度とpHの関係を示すグラフ。 本発明に係る共重合体ゲル化物の膨潤度とpHの関係を示すグラフ。 本発明に係る共重合体の架橋体(ゲル化物)の各pHでの温度変化に伴う膨潤度変化を示すグラフ。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる共重合体の架橋体を含有してなる熱応答性高分子材料。
    Figure 2005002312
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1から4の整数であり、Q1は、水素原子又は低級アルキル基を、Q2は低級アルキル基を示す。x及びyは共重合体中の各構成成分のモル分率を示す。)
  2. 前記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる共重合体の架橋体を含有してなるpH応答性高分子材料。
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