JP3502907B2 - 側鎖にアミノ酸残基を有する重合体及びその架橋体 - Google Patents

側鎖にアミノ酸残基を有する重合体及びその架橋体

Info

Publication number
JP3502907B2
JP3502907B2 JP2000334951A JP2000334951A JP3502907B2 JP 3502907 B2 JP3502907 B2 JP 3502907B2 JP 2000334951 A JP2000334951 A JP 2000334951A JP 2000334951 A JP2000334951 A JP 2000334951A JP 3502907 B2 JP3502907 B2 JP 3502907B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
polymer
group
compound
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000334951A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002138113A (ja
Inventor
良一 岸
俊明 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2000334951A priority Critical patent/JP3502907B2/ja
Publication of JP2002138113A publication Critical patent/JP2002138113A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3502907B2 publication Critical patent/JP3502907B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は側鎖にアミノ酸残基
を有する重合体とその架橋体並びにそれらを用いた熱応
答性高分子材料熱及びpH応答性高分子材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、電解質ポリマーとして、ポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸などのアニオン性高分子電解
質、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ
ート)などのカチオン性高分子電解質がよく知られてい
る。
【0003】これらのポリマーは、pHやイオン強度の
変化によって電解質部位が解離−未解離変化を起こし、
粘性や電気的性質などの様々な性質が変化する。また、
アクリル酸、メタクリル酸、N,N−ジメチルアミノプ
ロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル
アクリレートなどのモノマーと、N−イソプロピルアク
リルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミドなどの
N−置換アクリルアミド、N−置換メタクリルアミドな
どのモノマーとの共重合体は、感熱応答性を示し、ある
温度を境に、水に対する溶解度が変化し、その温度以下
では溶解、その温度以上では不溶化し、またその溶解温
度がpHやイオン強度により制御できることも報告され
ている。
【0004】さらに、これらの高分子電解質や重合体の
架橋ゲル化物は、pHや温度の変化によって可逆的にゲ
ルの体積が変化することも知られている。しかしなが
ら、これらの重合体及びそのゲル化物は、酸性またはア
ルカリ性領域のある一定のpHで解離を起こすものの、
酸性及びアルカリ性の両方の領域で解離はみられないと
いった欠点があった。
【0005】このような問題点を解決するために、本発
明者らは、L−リジンなどのアミノ酸のα位のアミノ基
とカルボキシル基が保護され、側鎖のアミノ基がアクリ
ルアミド化されたアクリルアミド誘導体とN−イソプロ
ピルアクリルアミドとの共重合体を提案した(特許30
44299号)。
【0006】この共重合体は、脱保護基反応を行うこと
により、L−リジン基などのアミノ酸基のα位のアミノ
基とカルボキシル基がフリーとなり両性電解質の性質を
示し、ある温度を境に、水に対する溶解度が変化し、そ
の温度以下(相転移温度)では溶解し透明となり、相転
移温度以上では不溶化し白濁となり、また、酸性及びア
ルカリ性の両域に亘ってこの相転移現象が発現するの
で、熱応答性高分子材料及びpH応答性高分子材料とし
て利用できるものである。
【0007】しかし、その後の本発明者等の検討によれ
ば、この共重合体は、相転移温度が比較的高く、低温応
答性に若干の問題があり、また酸性及びアルカリ性の両
域に亘って相転移するものの、その透明状態となるpH
領域が比較的狭く、更には透明状態となるpH域と白濁
状態となるpH域との境界が必ずしも明確ではなく、熱
応答性及びpH応答性の感度は必ずしも満足するもので
はなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情の下になされたものであって、相転移温度が低く、ま
た透明状態となるpH領域が比較的広く、しかも透明状
態となるpH域と白濁状態となるpH域との境界が明確
であり、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示す、側鎖
にアミノ酸残基をもつ新規な共重合体、及びその架橋体
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸の側鎖の
アミノ基が保護され、α位のアミノ基がアクリルアミド
化又はメタクリルアミド化された単量体を繰り返し単位
として含む重合体が、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性
を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明によれば、第一に、下記一般式(I)で表
される繰り返し単位からなる共重合体が提供される。
【化2】 (式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1から4の整
数であり、Q1は、水素原子又は低級アルキル基を、Q
2は低級アルキル基を示す。x及びyは共重合体中の各
構成成分のモル分率を示す。)第二に、上記(1)に記
載の共重合体を含有する熱応答性高分子材料が提供され
る。第三に、上記(1)に記載の重合体を含有するpH
応答性高分子材料が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の共重合体は、下記一般式
(I)で表される繰り返し単位からなる。
【化3】 一般式(I)において、Rは水素、メチル基であり、n
は1から4の整数である。Q、Qは、水素原子又は
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基などの低級アルキル
基を示す。この中でもQが水素原子、Qが低級アル
キル基の組み合わせ、及びQがエチル基、Qがエチ
ル基の組み合わせのものが好ましい。x及びyは共重合
体中の各構成成分のモル分率を示し、一般にxは0.5
〜0.95、好ましくは0.8〜0.95であり、yは
0.05〜0.5、好ましくは0.05〜0.2であ
る。この共重合体の分子量は一般に10,000〜2,
000,000、好ましくは20,000〜1,00
0,000である。
【0011】また、かかる共重合体は、つぎの一般式
(II)で示される単量体と一般式(III)で示されるN
−置換アクリルアミドまたはN−置換メタクリルアミド
単量体を重合させ、ついで保護基Zを脱保護することに
より製造することができる。この合成反応はスキーム1
で表される。一般式(II)において、Rは水素、メチル
基であり、nは1から4の整数であり、Zはアミノ基の
保護基を示す。この場合、アミノ基の保護基Zとして
は、従来公知の保護基の全てが包含され、例えば、ベン
ジルオキシカルボニル、m−クロロベンジルオキシカル
ボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、t−ブ
トキシカルボニルなどが挙げられる。このなかでも、ベ
ンジルオキシカルボニル、m−クロロベンジルオキシカ
ルボニルなどの保護基が好ましく使用される。また、一
般式(III)において、Rは水素、メチル基であり、Q
、Qは、前記と同じ基を示す。なお、一般式(II)
で表される単量体は、新規物質であり、例えば、側鎖ア
ミノ基が保護されたアミノ酸と水酸化ナトリウムなどの
アルカリ塩とを反応させて、そのアミノ酸塩をまず合成
し、ついでこのものとアクリル酸クロライドなどのアク
リル酸誘導体とを溶媒中で反応させ、α位のアミノ基と
アミド結合させることにより製造される。
【0012】
【化4】
【0013】本発明の前記共重合体は、γ線架橋、化学
架橋、架橋性モノマーとの共重合などの架橋方法により
架橋体(ゲル化物)とすることができる。以下、その架
橋方法を詳述する。
【0014】(1)γ線架橋 本発明の共重合体、殊に構造式中のRが水素原子の場
合、これれの重合体を水に溶解しγ線を照射するとゲル
化物が得られる。この場合、水溶液濃度は、10〜20
wt.%程度、γ線照射量は、70〜150kGy程度
が好ましい。
【0015】(2)架橋性モノマーとの共重合 本発明の共重合体は、上で述べたように、放射線架橋や
化学架橋によりゲル化物を与えるが、均質なゲル化物を
得るためには、重合、共重合の際、少量のジビニル化合
物を添加し、ゲル化物を合成後、保護基を除去する製造
法が好ましい。
【0016】また、上記一般式(II)で表される単量体
と一般式(III)で表されるN−置換アクリルアミドま
たはN−置換メタクリルアミドなどのアクリル酸系単量
体と、さらにN,N’−メチレンビスアクリルアミド、
N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)−ビスア
クリルアミド等のジビニル化合物をジメチルスルホキシ
ドなどの有機溶媒に溶解し、共重合させると保護基Zを
有するゲル化物が得られる。この場合、上記一般式(I
I)で表される単量体と一般式(III)で表されるN−置
換アクリルアミドまたはN−置換メタクリルアミド等の
アクリル系単量体との合計の濃度は、10〜20wt.
%、架橋剤濃度は単量体の総量に対し、0.5〜3mo
l%が好ましい。得られた保護基Zを有するゲル化物を
酢酸等の溶媒中で膨潤させた後、脱保護基剤、例えば2
5%臭化水素/酢酸溶液を加え、保護基(Z)を除去す
ると、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する共
重合体のた架橋体(ゲル化物)が得られる。
【0017】また、本発明の共重合体の水溶液は、転移
温度以下では、水に溶解し透明となるが、転移温度以上
では、相分離を起こし水に不溶化し、溶液は白濁するの
で、熱応答性高分子として利用することができる。さら
に、この共重合体には、特定なアミノ酸基が含まれる
為、pHにより相分離挙動が変化し、その水溶液は、酸
性及びアルカリ性の両域に亘るpH4〜10の範囲では
相分離を起こさず透明性を保持し、pH4以下の酸性及
びpH10以上のアルカリ性近傍で相分離を起こし白濁
する特有な挙動を示す。また、この共重合体は、相転移
温度が比較的低く、また酸性及びアルカリ性の両域に亘
って相転移しその透明pH領域が比較的広く、更には透
明状態となるpH域と白濁状態となるpH域の境界が明
確であるため、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示
す。
【0018】さらに、本発明の共重合体の架橋体(ゲル
化物)には、特有なアミノ酸基が含まれる為、pHによ
り相転移挙動が変化し、pH4〜10付近では収縮した
状態であるが、それ以上、それ以下のpHではゲルは急
激に大きく膨潤する。
【0019】従って、このような本発明の共重合体及び
それらの架橋体(ゲル化物)は、温度、pHなどを認識
するセンサーやアクチュエータ、あるいはカラム充てん
剤を始めとする分離材料としても用いることができる。
【0020】
【実施例】次に本発明を参考例及び実施例に基づきさら
に詳細に説明する。 参考例1(スキーム2) [リジン残基を含むアクリルアミド系モノマー(化合物
(4)の合成] 下記のスキーム2に従い、化合物(4)を合成した。
【0021】
【化5】
【0022】化合物(1)(3.0g,10.7mmo
l)を0.1N−水酸化ナトリウム水溶液(108m
l, 10.8mmol)に溶解し、化合物(2)の水溶
液を得た。ジオキサン53.5ml、1N−水酸化ナト
リウム水溶液(10.7ml,10.7mmol)を加
え、激しく攪拌した。この溶液をA液とした。塩化アク
リロイル(化合物(3))(1.21g,13.4mm
ol)をジオキサン12mlに溶解しB液を調製した。
1N−水酸化ナトリウム水溶液(12.3ml,12.
3mmol)を調整し、これをC液とした。氷浴下、B
液及びC液を4回に分け、10分毎、A液に加え,7時
間攪拌した。反応終了後、1N−塩酸水溶液を用い、反
応液をpH5に調整した。ジオキサンを減圧留去し、生
成物を塩化メチレンに溶解した。水100mlによって
有機相の洗浄を行った。無水硫酸マグネシウムを加えて
脱水を行い、減圧濃縮し、ヘキサン−クロロホルム混合
液中(180ml:20ml(=9:1))で結晶を析
出させた。低温で静置した後、デカンテーションし、減
圧乾燥させ白色の化合物(4)を得た。 収量:1.8g,収率:50.3% 1H−NMR(DMSO,室温 ,δ):1.2−1.8
(m,(CH,8H),4.2−4.3(m,C
H,1H),5.0(s,) 5.0 ( s, CH,1
H), 5.6(d, CH=CH,1H),6.0−
6.4(m,CH=CH,2H),7.3−7.4
(m,benzene,5H)、元素分析:計算値
(%):C,61.1;H,6.63;N,8.38、
実測値(%):C,60.2;H,6.74;N,8.
14
【0023】参考例2(スキーム3) [重合体(6)の合成] 下記スキーム3にしたがって、重合体(6)(m=1,
500)を合成した。
【0024】
【化6】
【0025】1)リジン残基を含むアクリルアミド系モ
ノマー(化合物(4))の重合 化合物(4)(4.7g,14mmol)をジメチルス
ルホキシド20mlに溶解した。重合開始剤としてα,
α'−アゾビスイソブチロニトリル(23.3mg,
0.14mmol)を加え窒素雰囲気下60℃、24時
間反応させた。室温に戻した後、水で沈殿させ、凍結乾
燥を行い、白色の重合体(5)を得た。収量:4.11
g, 収率:87.4%
【0026】2)保護基の除去による重合体(6)(m
=1,500)の合成 重合体(5)(2.5g)を25mlの酢酸に溶解し、
25%臭化水素/酢酸溶液(25ml)を加えた。室温
で3時間撹拌した後、減圧濃縮した。生成物を水に溶解
し透析を行った。凍結乾燥により、白色綿状の重合体
(6)(m=1,500)を得た。 収量:1.20g, 収率:80.7%
【0027】実施例1(スキーム4) [共重合体(9)の合成(化合物(7)と化合物(4)
との共重合体;x=0.9、y=0.1) 下記スキーム4に従って本発明の共重合体(9)を合成
した。
【0028】
【化7】
【0029】1)リジン残基を含むアクリルアミド系モ
ノマー(化合物(4))とN−イソプロピルアクリルア
ミド(化合物(7))の共重合 化合物(7)(1.45g,12.8mmol)と化合
物(4)(0.47g,1.42mmol)(モル比;
化合物(7):化合物(4)=9:1)をジメチルスル
ホキシド20mlに溶解した。重合開始剤としてα,α'
−アゾビスイソブチロニトリル(23.3mg,0.1
4mmol)を加え窒素雰囲気下60℃、24時間反応
させた。室温に戻した後、水で沈殿させ、凍結乾燥を行
い、白色の重合体(8)を得た。 収量:1.71g, 収率:89.2%
【0030】2)保護基の除去による本発明の共重合体
(9)の合成 重合体(8)(0.8g)を25%臭化水素/酢酸溶液
(25.6ml)に溶解し、室温にて3時間放置した
後、減圧濃縮した。生成物を水に溶解し透析を行った。
凍結乾燥により、白色綿状の共重合体(9)(x=0.
9、y=0.1;分子量350,000)を得た。 収量:0.64g, 収率:85.2%
【0031】実施例2 塩化ナトリウムでイオン強度を0.01に調整した塩酸
及び水酸化ナトリウム水溶液を溶媒として用い、実施例
1で得た共重合体(9)の相分離挙動を500nmの光
の透過率で検討した。測定結果を図1に示す。pH4〜
10では、48〜50℃付近で相分離を起こし、溶液が
白濁するため、透過率が減少した。pHが3.5、及び
10.6では相分離温度が上昇し、pH2及びpH12
では、相分離は観察されず、溶液は透明のままであっ
た。500nmの光の透過率が50%となった点を相分
離温度と定義し、共重合体(9)のpH応答性を検討し
た結果を図2に示す。なお、比較のため特許30442
99号の実施例1で合成された、下記一般式(IV)で表
される繰り返し単位を有する共重合体(A)の相転移温
度とpHとの関係を同様に測定したものを図示した。
【0032】
【化8】
【0033】図2から分かるように、本発明の共重合体
(9)の水溶液は、pH4〜10では、転移温度は、4
8〜50℃のほぼ一定の値を示し、それ以下、それ以上
のpHでは、アミノ基またはカルボキシル基が解離し、
親水性が増すため、転移温度は急激に増加している。こ
れに対して、重合体(A)の水溶液はpH4〜8で、転
移温度は、54〜57℃のほぼ一定の値を示し、それ以
下、それ以上のpHでは、アミノ基またはカルボキシル
基が解離し、親水性が増すため、転移温度は急激した
が、共重合体(9)のような急激な転移温度変化の立ち
上がりは、認められなかった。従って、本発明の共重合
体(9)は、特許第3044299号記載の共重合体
(A)のものよりも鋭敏なpH応答性は示すことが分か
った。
【0034】実施例3 [共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)(共重合体
(9)のゲル化物)の合成] 1)リジン残基を含むアクリルアミド系モノマー(化合
物(4))とN−イソプロピルアクリルアミド(化合物
7)の共重合体ゲル化物(10)の合成 NIPAAm(化合物(7))(0.73g,6.42
mmol)と化合物(4)(0.24g,0.71mm
ol)(NIPAAm:化合物(4)=9:1)をジメ
チルスルホキシド6.2ml に溶解した。重合開始剤
としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(11.
8mg,0.07mmol)架橋剤としてN,N’−メ
チレンビスアクリルアミド(11.0mg,0.07m
mol)を加え窒素置換を行い、ガラス管の中で60
℃、24時間反応させた。室温に戻した後、ゲルを水で
繰り返し洗浄し、共重合体の架橋体(ゲル化物)(1
0)を得た。
【0035】2)保護基の除去による本発明の共重合体
の架橋体(ゲル化物)(11)の合成 洗浄した共重合体ゲル化物(10)を酢酸100mlに
浸漬し、25%臭化水素/酢酸溶液30mlを加え、室
温で5 時間放置した。反応終了後、ゲルを水で繰り返
し洗浄し、共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)を得
た。
【0036】実施例4 塩化ナトリウムでイオン強度を0.01に調整した塩酸
及び水酸化ナトリウム水溶液を溶媒として用い、実施例
3で得た共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)の室温
での膨潤度変化を検討した。測定結果を図3に示す。膨
潤度d/doは、それぞれのpHで、25℃でのゲルの
直径dと、ゲルを合成したガラス管の内径doから求め
た。 なお、比較のために特許3044299号の実施
例1で合成された、上記一般式で表される繰り返し単位
を有する共重合体(A)のゲル化物についても同様な測
定を行い、その結果を図3に併記した。図3から、本発
明の共重合体の架橋体(ゲル化物)(11)は、pH4
〜9では、ほぼ一定の膨潤度を示し、それ以下、それ以
上のpHでは、アミノ基またはカルボキシル基が解離
し、親水性が増すためゲルの膨潤度は急激に増加してい
る。これに対して、重合体(A)の架橋体は、pH4〜
8の領域で収縮状態となったが、pH6付近で極小値を
とり、それ以下、それ以上のpHでは、膨潤度は若干増
加した。pH4以下、pH9以上では、アミノ基または
カルボキシル基が解離し、親水性が増すためゲルの膨潤
度増加率が大きくなったが、共重合体の架橋体(11)
に比べ、増加の割合は低かった。従って、本発明の共重
合体のゲル化物(架橋体)(11)は、特許第3044
299号記載の共重合体(A)のものよりも鋭敏なpH
応答性は示すことが分かった。
【0037】次に各pH溶液中での温度変化に伴う共重
合体の架橋体(ゲル化物)(11)の体積変化について
検討した。結果を図4に示した。pH2,6,12の溶
液中で、温度の上昇に伴い、ゲルは連続的に収縮するこ
とがわかった。したがって、共重合体ゲル(11)は、
pH変化のみならず温度変化でも体積変化することがわ
かった。
【0038】
【発明の効果】(1)本発明の一般式(I)で表される
繰り返し単位からなる共重合体の水溶液は、転移温度以
下では、水に溶解し透明となるが、転移温度以上では、
相分離を起こし水に不溶化し、溶液は白濁するので、熱
応答性高分子として利用することができる。さらに、こ
の共重合体には、特定なアミノ酸基が含まれる為、pH
により相分離挙動が変化し、その水溶液は、酸性及びア
ルカリ性の両域に亘るpH4〜10の範囲では相分離を
起こさず透明性を保持し、pH4以下の酸性及びpH1
0以上のアルカリ性近傍で相分離を起こし白濁する特有
な挙動を示す。また、この共重合体は、相転移温度が比
較的低く、また酸性及びアルカリ性の両域に亘って相転
移しその透明pH領域が比較的広く、更には透明状態と
なるpH域と白濁状態となるpH域の境界が明確である
ため、鋭敏な、熱応答性及びpH応答性を示す。 (2)本発明の一般式(I)で表される繰り返し単位か
らなる共重合体の架橋体(ゲル化物)には、特有なアミ
ノ酸基が含まれる為、pHにより相転移挙動が変化し、
pH4〜10付近では収縮した状態であるが、それ以
上、それ以下のpHではゲルは急激に大きく膨潤する。 (3)従って、このような本発明の共重合体及びその架
橋体は、温度、pHなどを認識する、熱応答性高分子材
料及びpH応答性高分子材料として有効であり、センサ
ーやアクチュエータ、あるいはカラム充てん剤を始めと
する分離材料としても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の共重合体水溶液の透過率のpH依存性
を示すグラフ。
【図2】本発明の共重合体水溶液の相転移温度とpHの
関係を示すグラフ。
【図3】本発明の共重合体ゲル化物の膨潤度とpHの関
係を示すグラフ。
【図4】本発明の共重合体の架橋体(ゲル化物)の各p
Hでの温度変化に伴う膨潤度変化を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−91703(JP,A) 国際公開00/032560(WO,A1) 高分子学会予稿集,日本,社団法人 高分子学会,2000年 9月 8日,第49 巻第10号,第3243−3244頁 高分子学会予稿集,日本,社団法人 高分子学会,2000年 5月12日,第49巻 第4号,第795頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 220/60 C08F 8/00 C09K 3/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表される繰り返し単位
    からなる共重合体。 【化1】 (式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1から4の整
    数であり、Q1は、水素原子又は低級アルキル基を、Q
    2は低級アルキル基を示す。x及びyは共重合体中の各
    構成成分のモル分率を示す。)
  2. 【請求項2】請求項1に記載の共重合体を含有する熱応
    答性高分子材料。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の重合体を含有するpH応
    答性高分子材料。
JP2000334951A 2000-11-01 2000-11-01 側鎖にアミノ酸残基を有する重合体及びその架橋体 Expired - Lifetime JP3502907B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000334951A JP3502907B2 (ja) 2000-11-01 2000-11-01 側鎖にアミノ酸残基を有する重合体及びその架橋体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000334951A JP3502907B2 (ja) 2000-11-01 2000-11-01 側鎖にアミノ酸残基を有する重合体及びその架橋体

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003297863A Division JP3855060B2 (ja) 2003-08-21 2003-08-21 熱センサー及びpHセンサー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002138113A JP2002138113A (ja) 2002-05-14
JP3502907B2 true JP3502907B2 (ja) 2004-03-02

Family

ID=18810775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000334951A Expired - Lifetime JP3502907B2 (ja) 2000-11-01 2000-11-01 側鎖にアミノ酸残基を有する重合体及びその架橋体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3502907B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4694114B2 (ja) * 2003-07-29 2011-06-08 学校法人近畿大学 抗血栓性に優れたl−リジン残基を有する両性高分子物質、該高分子物質からなる抗血栓剤、及び該抗血栓剤を固定した医療用器具
WO2013027668A1 (ja) * 2011-08-19 2013-02-28 国立大学法人九州大学 イオン濃度勾配発生システム、装置、方法、及び、温度応答性電解質材料
CN113388052B (zh) * 2021-06-28 2022-09-02 绍兴迪飞新材料有限公司 智能动态调光膜及其制备工艺及调光玻璃及调光玻璃系统

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
高分子学会予稿集,日本,社団法人 高分子学会,2000年 5月12日,第49巻第4号,第795頁
高分子学会予稿集,日本,社団法人 高分子学会,2000年 9月 8日,第49巻第10号,第3243−3244頁

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002138113A (ja) 2002-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6239043B2 (ja) 包接錯体、自己修復性及び形状記憶性を有するゲル
EP0922715B1 (en) Stimuli-responsive polymer utilizing keto-enol tautomerization
EP0263605B1 (en) Wound dressing
JP3502907B2 (ja) 側鎖にアミノ酸残基を有する重合体及びその架橋体
KR100541748B1 (ko) 아크릴아미드계 단량체 및 이를 이용하여 제조된 온도감응성 아크릴아미드계 중합체
JP3855060B2 (ja) 熱センサー及びpHセンサー
Patra et al. Opposite swelling characteristics through changing the connectivity in a biopolymeric hydrogel based on glycogen and glycine
JPH0437846B2 (ja)
JPH05310844A (ja) フェニルボロン酸基含有重合体
JPS5814425B2 (ja) 不飽和第3級アミンまたはその第4級アンモニウム塩の安定化法
de Queiroz et al. Vinylpyrrolidone–N, N′-dimethylacrylamide water-soluble copolymers: synthesis, physical–chemical properties and proteic interactions
JP3598418B2 (ja) 側鎖に核酸塩基を導入したポリマ−ゲル及びその製造方法
EP0408433B1 (fr) Polymères hydrophiles ampholytes, leur procédé de préparation et leur application comme agent absorbant
CN1197888C (zh) 热敏性水溶性高分子材料
JP2002145847A (ja) アミノ酸残基を有するアクリル酸誘導体
Tanaka et al. Kinetic study on free radical polymerization of 2-acetamidoacrylic acid and formation of hydrogel
JP3207925B2 (ja) 感温性ハイドロゲル
JP3558354B2 (ja) 熱可逆性高分子化合物およびその製造方法
JP2001106795A (ja) N−(ポリアリル)アンモニウム塩系の架橋剤
JP3391516B2 (ja) N−置換アクリルアミド−アクリル酸共重合体架橋ゲルの製造方法。
JP4938252B2 (ja) ホウ酸塩基含有(メタ)アクリレート重合体を用いた糖鎖認識用センサー
JP4168551B2 (ja) 両性共重合体の製造方法
SU1219586A1 (ru) @ -(9-Антрилметил)-метакриламид дл получени люминесцентно-меченого сополимера с повышенной сольволитической и фотохимической стойкостью и люминесцентно-меченый сополимер с повышенной сольволитической и фотохимической стойкостью
JP3527938B2 (ja) 液晶性高分子を用いた網目構造の密度が制御された高分子ゲルを用いた感熱体及びその製造方法。
Okudan et al. Research Article Investigation of the Effects of Different Hydrophilic and Hydrophobic Comonomers on the Volume Phase Transition Temperatures and Thermal Properties of N-Isopropylacrylamide-Based Hydrogels

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3502907

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term