JP2005002183A - 重合体粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機溶剤に分散させた際にも、良好な流動性を有する重合体粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対し、この第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤0.1〜1000重量部、ポリビニルアルコール0.1〜500重量部、及び第1重合開始剤0.1〜10重量部を含有する単量体混合物を用いて、水性媒体中で重合を開始し、上記第1エチレン性不飽和単量体の重合率(C(%))が所定条件を満たすときに、上記第1エチレン性不飽和単量体と同じ又は異なる単量体である第2エチレン性不飽和単量体1〜100重量部、及び第1重合開始剤と同じ又は異なる重合開始剤である第2重合開始剤0.001〜10重量部を添加する。
【選択図】 なし
【解決手段】第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対し、この第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤0.1〜1000重量部、ポリビニルアルコール0.1〜500重量部、及び第1重合開始剤0.1〜10重量部を含有する単量体混合物を用いて、水性媒体中で重合を開始し、上記第1エチレン性不飽和単量体の重合率(C(%))が所定条件を満たすときに、上記第1エチレン性不飽和単量体と同じ又は異なる単量体である第2エチレン性不飽和単量体1〜100重量部、及び第1重合開始剤と同じ又は異なる重合開始剤である第2重合開始剤0.001〜10重量部を添加する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、重合体粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、微細懸濁重合法により微粒子を製造する方法が知られているが、一般に生成する微粒子の粒度分布が広く、均一な粒径を得るのが困難である。
これに対し、ポリビニルアルコール系分散剤を用いて、平均粒径0.1〜30μmの微粒子を製造する方法が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−80503号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1の方法は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを用いている。このため、得られる微粒子の表面に反応しきれなかった二重結合が残存する場合が多い。この二重結合が残存すると、残存した二重結合同士が互いに重合反応を起こし、有機溶剤に分散させた際、流動性が低下する場合がある。
【0005】
そこで、この発明は、有機溶剤に分散させた際にも、良好な流動性を有する重合体粒子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対し、この第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤X重量部、ポリビニルアルコール0.1〜500重量部、及び第1重合開始剤0.1〜10重量部を含有する単量体混合物を用いて、水性媒体中で重合を開始し、上記第1エチレン性不飽和単量体の重合率(C(%))が下記式(1)の条件を満たすときに、上記第1エチレン性不飽和単量体と同じ又は異なる単量体である第2エチレン性不飽和単量体1〜100重量部、及び第1重合開始剤と同じ又は異なる重合開始剤である第2重合開始剤0.001〜10重量部を添加することにより、上記課題を解決したのである。
C≧X/10 (1)
(但し、0.1≦X≦1000。なお、Cは、第1エチレン性不飽和単量体の重合率(%)を示し、Xは、上記有機溶剤の含有量(重量部)を示す。)
【0007】
重合の途中で単量体を追加するので、第1エチレン性不飽和単量体として二官能以上の不飽和単量体を用いた場合に、単量体混合物の重合で重合体粒子表面に二重結合が残っても、重合の途中で加えられた単量体によって残った二重結合の大部分を消費することができる。これにより、重合終了後の粒子を有機溶媒に分散させても、重合体粒子相互間で重合が生じることを防止でき、良好な流動性を保つことができる。
【0008】
また、所定の有機溶剤を含有するので、得られる重合体粒子は、中空状にすることも可能である。このとき、重合の途中で加える単量体の添加時期を、所定の時期とすることにより、凹み等のない、真球状の中空粒子を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
この発明にかかる重合体粒子の製造方法は、第1エチレン性不飽和単量体、この第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤、ポリビニルアルコール、及び重合開始剤を含有する単量体混合物を、重合する方法である。
【0010】
上記第1エチレン性不飽和単量体とは、ビニル基を有するラジカル重合可能な単量体をいい、官能基として1つのビニル基のみを有する単官能性不飽和単量体や、官能基として2つ以上ビニル基を有する多官能性不飽和単量体等があげられる。この多官能性不飽和単量体を用いるか、単官能性不飽和単量体と多官能性不飽和単量体との混合物を用いると、生成した水性分散液を塗膜化した場合に、耐溶剤性が良好な塗膜が得られるので、好ましい。
【0011】
上記の単官能性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル系誘導体、ハロゲン化ビニル系化合物、芳香族ビニル化合物等があげられる。なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0012】
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、α−クロル(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等があげられる。
【0013】
また、上記(メタ)アクリル系誘導体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等があげられる。
【0014】
さらに、上記ハロゲン化ビニル系化合物としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等があげられる。さらにまた、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等があげられる。
【0015】
また、上記の多官能性不飽和単量体としては、芳香族ジビニル化合物、ジエチレン性カルボン酸エステル等があげられる。
【0016】
上記芳香族ジビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、及びそれらの誘導体等があげられ、特に、ジビニルベンゼンは、反応の制御性や入手が容易であること等の点で好ましい。
【0017】
上記ジエチレン性カルボン酸エステルとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等があげられる。
【0018】
さらに、上記の他、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンや、3個以上のビニル基を持つ化合物があげられる。
なお、上記のエチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
上記の中でも、上記第1エチレン性不飽和単量体として、上記した多官能性不飽和単量体等の、複数のエチレン性不飽和基を有する単量体を用いるのがより好ましい。複数のエチレン性不飽和基を有する単量体を用いると、重合反応と架橋反応とが並行して起こり、生成する粒子を中空にする場合、シェル層を硬くすることができるので、凹みが少なくなり、また、得られる塗膜の耐溶剤性が良好となる。
【0020】
上記の第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤(以下、単に「有機溶剤」と称する。)は、上記第1エチレン性不飽和単量体を重合させたとき、得られる重合体粒子の内部に中空部を形成させるものである。これは、上記第1エチレン性不飽和単量体を重合させる際、この有機溶剤は、重合に使用される水性媒体と相溶性が低いため、乳化粒子内に存在する。そして、重合が進行すると、この有機溶剤は、第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低いため、重合体の内部に集まる。このため、重合終了後、乾燥すると、この有機溶剤が揮散するため、得られる重合体粒子の内部は中空となるのである。
【0021】
得られる重合体粒子の内部をより効率的に中空状とするためには、上記有機溶剤として、単量体と相溶性のあるものがより好ましい。
【0022】
上記有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン等があげられる。
【0023】
上記単量体混合物中における、上記エチレン性不飽和単量体100重量部あたりの上記有機溶剤の含有量は、0.1〜1000重量部がよく、25〜600重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、中空状の重合体粒子を得ることが難しくなる傾向がある。一方、1000重量部より多いと、生成重合体に対する溶剤量が多くなり、結果的にシェル層が薄くなり過ぎて、中空状粒子が得られ難くなる傾向がある。
【0024】
上記ポリビニルアルコール(「部分ケン化ポリ酢酸ビニル」と呼ばれることもある。)は、上記第1エチレン性不飽和単量体を重合させる際に、分散剤としての役割をはたす。このポリビニルアルコールのケン化度は、50〜95モル%がよく、55〜90モル%が好ましい。ケン化度が50モル%より小さいか、又は、95モル%より大きいと、分散効果が十分でなくなり、上記エチレン性不飽和単量体を重合させたとき、重合が十分進まなかったり、分散安定性が不十分となって、重合中に凝集が起こって、良好な粒子状の重合体が得られ難くなる傾向にある。
【0025】
また、上記ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではないが、200〜5000が好ましく、200〜3000がより好ましい。200より小さいと、分散安定化効果が不十分となりやすく、一方、5000より大きいと、水性媒体そのものの粘度が高くなり、粒子が過度に微細となってしまう結果、重合中に凝集が起こりやすくなって、良好な粒子が得られないことがある。
【0026】
上記単量体混合物中における、上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部あたりの上記ポリビニルアルコールの含有量は、0.1〜500重量部であり、0.15〜50重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、分散安定化効果が不足し、得られた水性分散液が、分離・凝集を起こしやすい。一方、500重量部より多いと、生成粒子が過度に微細となって、重合中に凝集してしまう可能性がある。
【0027】
上記第1重合開始剤とは、上記第1エチレン性不飽和単量体を懸濁重合させるのに使用される単量体可溶性のものであり、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等があげられる。
【0028】
上記単量体混合物中における、上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部あたりの上記第1重合開始剤の含有量は、0.1〜10重量部であり、0.15〜5重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、重合が進まないことがある。一方、10重量部より多いと、重合度が低くなったり、凝集物が生成したりする可能性があり、また反応暴走のおそれもある。
【0029】
上記単量体混合物には、必要に応じて、上記の乳化に際して、上記有機溶剤に対して可溶性の重合体を添加することができる。この有機溶剤に対して可溶性の重合体を添加することにより、重合の早い時期から、上記第1エチレン性不飽和単量体を含む液滴の表面にシェル層が形成されるため、中空粒子を形成しやすくなるという特徴を発揮することができる。
【0030】
上記有機溶剤に対して可溶性の重合体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン類等の重合体があげられる。中でも、スチレンの重合体、すなわちポリスチレンが、入手・取扱いの利便性に優れており、好ましい。
【0031】
上記有機溶剤に対して可溶性の重合体の添加量は、上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.1〜100重量部がよく、1〜50重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、中空粒子が得られにくくなる場合がある。一方、100重量部より多いと、水性分散液から得られる塗膜の耐溶剤性が悪化することがある。
【0032】
次に、重合の方法について説明する。
まず、上記の各成分を上記の範囲を満たす割合で混合した上記単量体混合物は、乳化剤を添加し水性媒体中で機械的剪断力を加えて乳化することにより乳化液を得る。
【0033】
上記単量体混合物100重量部に対する、上記水性媒体の混合量は、40〜200重量部がよく、50〜150重量部が好ましい。40重量部より少ないと、粘度が高くなり、良好な分散状態が得られない傾向がある。一方、200重量部より多いと、乳化時の粘度が低くなりすぎ、小粒子径化が難しくなる傾向がある。
【0034】
上記水性媒体は、水又は水溶性を有する有機溶媒をいい、水、アルコール類、エーテルアルコール類等があげられる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、変性エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert−アミルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等があげられる。
【0035】
また、上記エーテルアルコール類としては、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等があげられる。これらの水性媒体は、単独で使用することができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。
【0036】
上記機械的剪断力を加える方法としては、ホモジナイザー、コロイドミル、ディスパー等の剪断力による分散機が特に制限されることなく用いられる。乳化の条件は、乳化物の濃度、乳化剤の使用量、乳化温度等に応じて、撹拌強度により調整され、通常、0〜100℃、好ましくは10〜50℃程度の温度で行われる。
【0037】
上記の方法で得られた乳化液は、分散状態が安定であり、その粒径は、該乳化液を希釈しても変化しないので、必要に応じて、重合開始前に水性媒体によって希釈することができる。この乳化液を重合することにより、重合体粒子を有する水性分散液が得られる。この水性分散液中の重合体粒子は、微粒子状であり、水性媒体中で安定に分散している。
【0038】
上記重合の条件としては、一般的に用いられる重合条件を、特に制限なく用いることができる。例えば、重合温度を30〜80℃、重合圧力を常圧(大気圧)と単量体の飽和圧力との範囲内とするのが一般的である。
【0039】
上記重合を開始し、第1エチレン性不飽和単量体の重合率(C(%))が、下記式(1)の条件をみたすときに、第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加する。これにより、上記重合において、第1エチレン性不飽和単量体として、多官能性単量体を用いた場合、その重合によって得られる重合体表面に二重結合が残った場合でも、この二重結合を第2エチレン性不飽和単量体との重合によって消滅させることができ、重合終了後の粒子を、有機溶媒に分散させたり、加熱させたりした際、その流動性が悪化するのを防止できる。
C≧X/10 (1)
なお、Cは、上記単量体混合物の重合率(%)を示し、Xは、上記有機溶剤の含有量(第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対する含有量、単位:重量部
【0040】
すなわち、重合率(C(%))が、X/10以上となったときに、上記第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加するのが好ましい。さらに、重合率(C(%))が、50%以上、より好ましくは80%以上となったときに、上記第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加するのが特に好ましい。重合率(C(%))が、X/10未満だと、単量体混合物(第1エチレン性不飽和単量体)の重合によって得られる重合体、すなわち、中空状粒子のシェル層が薄くなり過ぎて、凹み等が生じて、真球状の中空状粒子が得られ難くなる傾向がある。
【0041】
なお、重合率(C(%))の上限は、100%であるが、生産性の観点から、98%が好ましく、95%がより好ましい。
【0042】
上記第2エチレン性不飽和単量体としては、上記第1エチレン性不飽和単量体として示した化合物を用いることができる。その中でも、単官能性エチレン性不飽和単量体を用いると、第1エチレン性不飽和単量体として複数のエチレン性不飽和基を有するものを用いた場合に、一部残留する二重結合と効率的に反応し、上記の一部残留する二重結合が消費されるという点でより好ましい。
【0043】
また、上記第2エチレン性不飽和単量体としては、上記第1エチレン性不飽和単量体と同じ単量体を用いてもよく、上記第1エチレン性不飽和単量体と異なる単量体を用いてもよい。
【0044】
上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対する、上記第2エチレン性不飽和単量体の添加量は、1〜100重量部がよく、10〜80重量部が好ましい。1重量部より少ないと、得られた粒子を有機溶媒に分散させたときの、流動性改良効果が不十分となる傾向がある。一方、100重量部より多いと、塗膜としたときの耐溶剤性が悪化することがある。
【0045】
上記第2重合開始剤としては、上記第1重合開始剤として示した化合物を用いることができる。また、上記第2重合開始剤としては、上記第1重合開始剤と同じ重合開始剤を用いてもよく、上記第1重合開始剤と異なる重合開始剤を用いてもよい。
【0046】
上記第2エチレン性不飽和単量体100重量部に対する、上記第2重合開始剤の添加量は、0.1〜10重量部がよく、0.15〜5重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、添加効果が得られないことがある。一方、10重量部より多いと、反応が急激に進んで暴走することがあり、また、凝集物が生成することがある。
【0047】
上記第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加した後、重合を継続することにより、重合体粒子を有する水性分散液が得られる。
【0048】
得られた重合体水性分散液から水を分離することにより、上記重合体粒子を得ることができる。この水の分離方法としては、凝集ろ過・乾燥、噴霧乾燥、加熱(減圧)乾燥等の方法があげられる。
【0049】
上記凝集ろ過・乾燥の方法としては、例えば、分散安定剤として用いられている上記ポリビニルアルコールをケン化することにより分散能を低下させて凝集を生じさせ、これをろ過する方法があげられる。
【0050】
具体的には、得られた水性分散液を、塩基性物質の存在下でケン化させる。これにより、上記のポリビニルアルコールが完全にケン化されて、分散能が低下する。このため、上記水性分散液は凝集する。この凝集物をろ過して回収し、水洗・乾燥することにより、重合体粒子を得ることができる。
上記塩基性物質としては、特に限定されるものでなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられる。
【0051】
上記ケン化の具体的方法としては、水性分散液中に含まれるポリビニルアルコールの5〜100重量%の塩基性物質を添加して、40〜100℃で0.1〜5時間加熱、反応させる方法があげられる。
【0052】
上記のケン化の工程で、上記水性分散液中の重合体は、ポリビニルアルコールを含まない形で凝集し、また、得られた凝集物中に一部残留したものは、水洗により取り除かれるので、分散剤として使用したポリビニルアルコールを含まないか、又はその含有量が著しく少ない重合体粒子が得られる。
【0053】
得られた重合体粒子は、各種の樹脂組成物の添加物や、乾式トナー用の樹脂系粒子として使用することができる。また、他の成分を混合することにより、水性塗料や水性接着剤として使用することができる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。まず、原材料及び試験方法を下記に示す。
【0055】
(原材料)
<エチレン性不飽和単量体>
・ジビニルベンゼン…新日鐵化学(株)製:DVB960(以下、「DVB」と略する。)
・スチレン…三菱化学(株)製:スチレンモノマー(以下、「ST」と略する。)
【0056】
<有機溶剤>
・トルエン…丸善石油(株)製
<ポリビニルアルコール>
・日本合成化学(株)製:GH−17、ケン化度86.5〜90.0モル%、重合度1700(いずれもカタログ値)(以下、「GH−17」と略する。)
【0057】
<有機溶剤に可溶性の重合体>
・ポリスチレン…和光純薬工業(株)製:スチレンポリマー(重合度:3000)(以下、「PS」と略する。)
<重合開始剤>
・アゾビスイソブチロニトリル…大塚化学(株)製(以下、「AIBN」と略する。)
【0058】
(試験方法)
[重合率の測定]
重合中の反応液から一部を抜き出し、110℃の乾燥機に3時間入れて加熱して乾燥させる。乾燥前後の重量を測定する。乾燥前の重量と仕込み割合とから、仕込み単量体の重量を算出し、また、乾燥後の重量から、固形分量、すなわち、重合体の量を算出する。これらの比から重合率を算出する。
【0059】
[分散性]
得られた重合体粒子25重量部及びトルエン100重量部を容器に入れ、25℃で、10分間、1500rpmで撹拌する。その後、そのまま静置状態とする。1分経過後、上記容器を傾けて、流動性を観察した。基準は以下の通りである。
◎:流動性良好
○:少し凝集がみられるものの、流動性はある
×:流動性がない
【0060】
[粒子形状]
得られた水性分散液を光学顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
○:重合体粒子は真球状である
×:重合体粒子に凹みがみられる
【0061】
(実施例1)
9重量%のGH−17水溶液360.4重量部に、DVB100重量部、トルエン230重量部、PS30重量部、AIBN3.0重量部を溶解したものを添加し、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製:ホモミキサーMARKII)を用いて、撹拌速度3600rpm、室温下の条件で乳化した。得られた乳化液の粘度は、1200mPa・sであった。
得られた乳化液にイオン交換水1108重量部を加えて混合した。次いで、この乳化液を窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら70℃に昇温して重合を開始した。重合開始後、所定間隔毎に重合度を測定し、表1に示す重合度になった段階で、ST30重量部及びAIBN0.9重量部を添加した。
その後、80℃で5時間、重合して、重合体粒子を含む水性分散液を得た。
【0062】
得られた水性分散液918重量部に、50%水酸化ナトリウム水溶液を18.7重量部加え、80℃で1時間ケン化反応を行い、1mol/l塩酸で中和した。ケン化反応時にエマルジョン状態から凝集状態に変化した。
凝集物を含むろ液は、ろ紙(ADVANTEC 101)で簡単にろ過分離することができ、重合体粒子分を得ることができた。また、200メッシュろ布でろ過を行った場合でも、簡単に重合体粒子を得ることができた。
得られた重合体粒子及び水性分散液を用いて上記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0063】
(実施例2,3、比較例1〜3)
表1に記載の各成分を表1に記載の量ずつ使用した以外は、実施例1と同様にして、水性分散液及び重合体粒子を得た。得られた重合体粒子及び水性分散液を用いて上記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
この発明によると、重合の途中で単量体を追加するので、表面が被覆された重合体粒子が得られる。単量体として多官能性単量体を用いた場合に、単量体混合物の重合で重合体粒子表面に二重結合が残っても、重合の途中で加えられた単量体によって残った二重結合の大部分を消費することができる。これにより、重合終了後の粒子を有機溶媒に分散させても、重合体粒子相互間で重合が生じることを防止でき、良好な流動性を保つことができる。
【0066】
また、所定の有機溶剤を含有するので、得られる重合体粒子は、中空状にすることも可能である。このとき、重合の途中で加える単量体の添加時期を、所定の時期とすることにより、凹み等のない、真球状の中空粒子を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
この発明は、重合体粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、微細懸濁重合法により微粒子を製造する方法が知られているが、一般に生成する微粒子の粒度分布が広く、均一な粒径を得るのが困難である。
これに対し、ポリビニルアルコール系分散剤を用いて、平均粒径0.1〜30μmの微粒子を製造する方法が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−80503号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1の方法は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを用いている。このため、得られる微粒子の表面に反応しきれなかった二重結合が残存する場合が多い。この二重結合が残存すると、残存した二重結合同士が互いに重合反応を起こし、有機溶剤に分散させた際、流動性が低下する場合がある。
【0005】
そこで、この発明は、有機溶剤に分散させた際にも、良好な流動性を有する重合体粒子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対し、この第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤X重量部、ポリビニルアルコール0.1〜500重量部、及び第1重合開始剤0.1〜10重量部を含有する単量体混合物を用いて、水性媒体中で重合を開始し、上記第1エチレン性不飽和単量体の重合率(C(%))が下記式(1)の条件を満たすときに、上記第1エチレン性不飽和単量体と同じ又は異なる単量体である第2エチレン性不飽和単量体1〜100重量部、及び第1重合開始剤と同じ又は異なる重合開始剤である第2重合開始剤0.001〜10重量部を添加することにより、上記課題を解決したのである。
C≧X/10 (1)
(但し、0.1≦X≦1000。なお、Cは、第1エチレン性不飽和単量体の重合率(%)を示し、Xは、上記有機溶剤の含有量(重量部)を示す。)
【0007】
重合の途中で単量体を追加するので、第1エチレン性不飽和単量体として二官能以上の不飽和単量体を用いた場合に、単量体混合物の重合で重合体粒子表面に二重結合が残っても、重合の途中で加えられた単量体によって残った二重結合の大部分を消費することができる。これにより、重合終了後の粒子を有機溶媒に分散させても、重合体粒子相互間で重合が生じることを防止でき、良好な流動性を保つことができる。
【0008】
また、所定の有機溶剤を含有するので、得られる重合体粒子は、中空状にすることも可能である。このとき、重合の途中で加える単量体の添加時期を、所定の時期とすることにより、凹み等のない、真球状の中空粒子を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
この発明にかかる重合体粒子の製造方法は、第1エチレン性不飽和単量体、この第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤、ポリビニルアルコール、及び重合開始剤を含有する単量体混合物を、重合する方法である。
【0010】
上記第1エチレン性不飽和単量体とは、ビニル基を有するラジカル重合可能な単量体をいい、官能基として1つのビニル基のみを有する単官能性不飽和単量体や、官能基として2つ以上ビニル基を有する多官能性不飽和単量体等があげられる。この多官能性不飽和単量体を用いるか、単官能性不飽和単量体と多官能性不飽和単量体との混合物を用いると、生成した水性分散液を塗膜化した場合に、耐溶剤性が良好な塗膜が得られるので、好ましい。
【0011】
上記の単官能性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル系誘導体、ハロゲン化ビニル系化合物、芳香族ビニル化合物等があげられる。なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0012】
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、α−クロル(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等があげられる。
【0013】
また、上記(メタ)アクリル系誘導体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等があげられる。
【0014】
さらに、上記ハロゲン化ビニル系化合物としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等があげられる。さらにまた、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等があげられる。
【0015】
また、上記の多官能性不飽和単量体としては、芳香族ジビニル化合物、ジエチレン性カルボン酸エステル等があげられる。
【0016】
上記芳香族ジビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、及びそれらの誘導体等があげられ、特に、ジビニルベンゼンは、反応の制御性や入手が容易であること等の点で好ましい。
【0017】
上記ジエチレン性カルボン酸エステルとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等があげられる。
【0018】
さらに、上記の他、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンや、3個以上のビニル基を持つ化合物があげられる。
なお、上記のエチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
上記の中でも、上記第1エチレン性不飽和単量体として、上記した多官能性不飽和単量体等の、複数のエチレン性不飽和基を有する単量体を用いるのがより好ましい。複数のエチレン性不飽和基を有する単量体を用いると、重合反応と架橋反応とが並行して起こり、生成する粒子を中空にする場合、シェル層を硬くすることができるので、凹みが少なくなり、また、得られる塗膜の耐溶剤性が良好となる。
【0020】
上記の第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤(以下、単に「有機溶剤」と称する。)は、上記第1エチレン性不飽和単量体を重合させたとき、得られる重合体粒子の内部に中空部を形成させるものである。これは、上記第1エチレン性不飽和単量体を重合させる際、この有機溶剤は、重合に使用される水性媒体と相溶性が低いため、乳化粒子内に存在する。そして、重合が進行すると、この有機溶剤は、第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低いため、重合体の内部に集まる。このため、重合終了後、乾燥すると、この有機溶剤が揮散するため、得られる重合体粒子の内部は中空となるのである。
【0021】
得られる重合体粒子の内部をより効率的に中空状とするためには、上記有機溶剤として、単量体と相溶性のあるものがより好ましい。
【0022】
上記有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン等があげられる。
【0023】
上記単量体混合物中における、上記エチレン性不飽和単量体100重量部あたりの上記有機溶剤の含有量は、0.1〜1000重量部がよく、25〜600重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、中空状の重合体粒子を得ることが難しくなる傾向がある。一方、1000重量部より多いと、生成重合体に対する溶剤量が多くなり、結果的にシェル層が薄くなり過ぎて、中空状粒子が得られ難くなる傾向がある。
【0024】
上記ポリビニルアルコール(「部分ケン化ポリ酢酸ビニル」と呼ばれることもある。)は、上記第1エチレン性不飽和単量体を重合させる際に、分散剤としての役割をはたす。このポリビニルアルコールのケン化度は、50〜95モル%がよく、55〜90モル%が好ましい。ケン化度が50モル%より小さいか、又は、95モル%より大きいと、分散効果が十分でなくなり、上記エチレン性不飽和単量体を重合させたとき、重合が十分進まなかったり、分散安定性が不十分となって、重合中に凝集が起こって、良好な粒子状の重合体が得られ難くなる傾向にある。
【0025】
また、上記ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではないが、200〜5000が好ましく、200〜3000がより好ましい。200より小さいと、分散安定化効果が不十分となりやすく、一方、5000より大きいと、水性媒体そのものの粘度が高くなり、粒子が過度に微細となってしまう結果、重合中に凝集が起こりやすくなって、良好な粒子が得られないことがある。
【0026】
上記単量体混合物中における、上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部あたりの上記ポリビニルアルコールの含有量は、0.1〜500重量部であり、0.15〜50重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、分散安定化効果が不足し、得られた水性分散液が、分離・凝集を起こしやすい。一方、500重量部より多いと、生成粒子が過度に微細となって、重合中に凝集してしまう可能性がある。
【0027】
上記第1重合開始剤とは、上記第1エチレン性不飽和単量体を懸濁重合させるのに使用される単量体可溶性のものであり、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等があげられる。
【0028】
上記単量体混合物中における、上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部あたりの上記第1重合開始剤の含有量は、0.1〜10重量部であり、0.15〜5重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、重合が進まないことがある。一方、10重量部より多いと、重合度が低くなったり、凝集物が生成したりする可能性があり、また反応暴走のおそれもある。
【0029】
上記単量体混合物には、必要に応じて、上記の乳化に際して、上記有機溶剤に対して可溶性の重合体を添加することができる。この有機溶剤に対して可溶性の重合体を添加することにより、重合の早い時期から、上記第1エチレン性不飽和単量体を含む液滴の表面にシェル層が形成されるため、中空粒子を形成しやすくなるという特徴を発揮することができる。
【0030】
上記有機溶剤に対して可溶性の重合体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン類等の重合体があげられる。中でも、スチレンの重合体、すなわちポリスチレンが、入手・取扱いの利便性に優れており、好ましい。
【0031】
上記有機溶剤に対して可溶性の重合体の添加量は、上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.1〜100重量部がよく、1〜50重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、中空粒子が得られにくくなる場合がある。一方、100重量部より多いと、水性分散液から得られる塗膜の耐溶剤性が悪化することがある。
【0032】
次に、重合の方法について説明する。
まず、上記の各成分を上記の範囲を満たす割合で混合した上記単量体混合物は、乳化剤を添加し水性媒体中で機械的剪断力を加えて乳化することにより乳化液を得る。
【0033】
上記単量体混合物100重量部に対する、上記水性媒体の混合量は、40〜200重量部がよく、50〜150重量部が好ましい。40重量部より少ないと、粘度が高くなり、良好な分散状態が得られない傾向がある。一方、200重量部より多いと、乳化時の粘度が低くなりすぎ、小粒子径化が難しくなる傾向がある。
【0034】
上記水性媒体は、水又は水溶性を有する有機溶媒をいい、水、アルコール類、エーテルアルコール類等があげられる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、変性エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert−アミルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等があげられる。
【0035】
また、上記エーテルアルコール類としては、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等があげられる。これらの水性媒体は、単独で使用することができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。
【0036】
上記機械的剪断力を加える方法としては、ホモジナイザー、コロイドミル、ディスパー等の剪断力による分散機が特に制限されることなく用いられる。乳化の条件は、乳化物の濃度、乳化剤の使用量、乳化温度等に応じて、撹拌強度により調整され、通常、0〜100℃、好ましくは10〜50℃程度の温度で行われる。
【0037】
上記の方法で得られた乳化液は、分散状態が安定であり、その粒径は、該乳化液を希釈しても変化しないので、必要に応じて、重合開始前に水性媒体によって希釈することができる。この乳化液を重合することにより、重合体粒子を有する水性分散液が得られる。この水性分散液中の重合体粒子は、微粒子状であり、水性媒体中で安定に分散している。
【0038】
上記重合の条件としては、一般的に用いられる重合条件を、特に制限なく用いることができる。例えば、重合温度を30〜80℃、重合圧力を常圧(大気圧)と単量体の飽和圧力との範囲内とするのが一般的である。
【0039】
上記重合を開始し、第1エチレン性不飽和単量体の重合率(C(%))が、下記式(1)の条件をみたすときに、第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加する。これにより、上記重合において、第1エチレン性不飽和単量体として、多官能性単量体を用いた場合、その重合によって得られる重合体表面に二重結合が残った場合でも、この二重結合を第2エチレン性不飽和単量体との重合によって消滅させることができ、重合終了後の粒子を、有機溶媒に分散させたり、加熱させたりした際、その流動性が悪化するのを防止できる。
C≧X/10 (1)
なお、Cは、上記単量体混合物の重合率(%)を示し、Xは、上記有機溶剤の含有量(第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対する含有量、単位:重量部
【0040】
すなわち、重合率(C(%))が、X/10以上となったときに、上記第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加するのが好ましい。さらに、重合率(C(%))が、50%以上、より好ましくは80%以上となったときに、上記第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加するのが特に好ましい。重合率(C(%))が、X/10未満だと、単量体混合物(第1エチレン性不飽和単量体)の重合によって得られる重合体、すなわち、中空状粒子のシェル層が薄くなり過ぎて、凹み等が生じて、真球状の中空状粒子が得られ難くなる傾向がある。
【0041】
なお、重合率(C(%))の上限は、100%であるが、生産性の観点から、98%が好ましく、95%がより好ましい。
【0042】
上記第2エチレン性不飽和単量体としては、上記第1エチレン性不飽和単量体として示した化合物を用いることができる。その中でも、単官能性エチレン性不飽和単量体を用いると、第1エチレン性不飽和単量体として複数のエチレン性不飽和基を有するものを用いた場合に、一部残留する二重結合と効率的に反応し、上記の一部残留する二重結合が消費されるという点でより好ましい。
【0043】
また、上記第2エチレン性不飽和単量体としては、上記第1エチレン性不飽和単量体と同じ単量体を用いてもよく、上記第1エチレン性不飽和単量体と異なる単量体を用いてもよい。
【0044】
上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対する、上記第2エチレン性不飽和単量体の添加量は、1〜100重量部がよく、10〜80重量部が好ましい。1重量部より少ないと、得られた粒子を有機溶媒に分散させたときの、流動性改良効果が不十分となる傾向がある。一方、100重量部より多いと、塗膜としたときの耐溶剤性が悪化することがある。
【0045】
上記第2重合開始剤としては、上記第1重合開始剤として示した化合物を用いることができる。また、上記第2重合開始剤としては、上記第1重合開始剤と同じ重合開始剤を用いてもよく、上記第1重合開始剤と異なる重合開始剤を用いてもよい。
【0046】
上記第2エチレン性不飽和単量体100重量部に対する、上記第2重合開始剤の添加量は、0.1〜10重量部がよく、0.15〜5重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、添加効果が得られないことがある。一方、10重量部より多いと、反応が急激に進んで暴走することがあり、また、凝集物が生成することがある。
【0047】
上記第2エチレン性不飽和単量体及び第2重合開始剤を添加した後、重合を継続することにより、重合体粒子を有する水性分散液が得られる。
【0048】
得られた重合体水性分散液から水を分離することにより、上記重合体粒子を得ることができる。この水の分離方法としては、凝集ろ過・乾燥、噴霧乾燥、加熱(減圧)乾燥等の方法があげられる。
【0049】
上記凝集ろ過・乾燥の方法としては、例えば、分散安定剤として用いられている上記ポリビニルアルコールをケン化することにより分散能を低下させて凝集を生じさせ、これをろ過する方法があげられる。
【0050】
具体的には、得られた水性分散液を、塩基性物質の存在下でケン化させる。これにより、上記のポリビニルアルコールが完全にケン化されて、分散能が低下する。このため、上記水性分散液は凝集する。この凝集物をろ過して回収し、水洗・乾燥することにより、重合体粒子を得ることができる。
上記塩基性物質としては、特に限定されるものでなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられる。
【0051】
上記ケン化の具体的方法としては、水性分散液中に含まれるポリビニルアルコールの5〜100重量%の塩基性物質を添加して、40〜100℃で0.1〜5時間加熱、反応させる方法があげられる。
【0052】
上記のケン化の工程で、上記水性分散液中の重合体は、ポリビニルアルコールを含まない形で凝集し、また、得られた凝集物中に一部残留したものは、水洗により取り除かれるので、分散剤として使用したポリビニルアルコールを含まないか、又はその含有量が著しく少ない重合体粒子が得られる。
【0053】
得られた重合体粒子は、各種の樹脂組成物の添加物や、乾式トナー用の樹脂系粒子として使用することができる。また、他の成分を混合することにより、水性塗料や水性接着剤として使用することができる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。まず、原材料及び試験方法を下記に示す。
【0055】
(原材料)
<エチレン性不飽和単量体>
・ジビニルベンゼン…新日鐵化学(株)製:DVB960(以下、「DVB」と略する。)
・スチレン…三菱化学(株)製:スチレンモノマー(以下、「ST」と略する。)
【0056】
<有機溶剤>
・トルエン…丸善石油(株)製
<ポリビニルアルコール>
・日本合成化学(株)製:GH−17、ケン化度86.5〜90.0モル%、重合度1700(いずれもカタログ値)(以下、「GH−17」と略する。)
【0057】
<有機溶剤に可溶性の重合体>
・ポリスチレン…和光純薬工業(株)製:スチレンポリマー(重合度:3000)(以下、「PS」と略する。)
<重合開始剤>
・アゾビスイソブチロニトリル…大塚化学(株)製(以下、「AIBN」と略する。)
【0058】
(試験方法)
[重合率の測定]
重合中の反応液から一部を抜き出し、110℃の乾燥機に3時間入れて加熱して乾燥させる。乾燥前後の重量を測定する。乾燥前の重量と仕込み割合とから、仕込み単量体の重量を算出し、また、乾燥後の重量から、固形分量、すなわち、重合体の量を算出する。これらの比から重合率を算出する。
【0059】
[分散性]
得られた重合体粒子25重量部及びトルエン100重量部を容器に入れ、25℃で、10分間、1500rpmで撹拌する。その後、そのまま静置状態とする。1分経過後、上記容器を傾けて、流動性を観察した。基準は以下の通りである。
◎:流動性良好
○:少し凝集がみられるものの、流動性はある
×:流動性がない
【0060】
[粒子形状]
得られた水性分散液を光学顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
○:重合体粒子は真球状である
×:重合体粒子に凹みがみられる
【0061】
(実施例1)
9重量%のGH−17水溶液360.4重量部に、DVB100重量部、トルエン230重量部、PS30重量部、AIBN3.0重量部を溶解したものを添加し、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製:ホモミキサーMARKII)を用いて、撹拌速度3600rpm、室温下の条件で乳化した。得られた乳化液の粘度は、1200mPa・sであった。
得られた乳化液にイオン交換水1108重量部を加えて混合した。次いで、この乳化液を窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら70℃に昇温して重合を開始した。重合開始後、所定間隔毎に重合度を測定し、表1に示す重合度になった段階で、ST30重量部及びAIBN0.9重量部を添加した。
その後、80℃で5時間、重合して、重合体粒子を含む水性分散液を得た。
【0062】
得られた水性分散液918重量部に、50%水酸化ナトリウム水溶液を18.7重量部加え、80℃で1時間ケン化反応を行い、1mol/l塩酸で中和した。ケン化反応時にエマルジョン状態から凝集状態に変化した。
凝集物を含むろ液は、ろ紙(ADVANTEC 101)で簡単にろ過分離することができ、重合体粒子分を得ることができた。また、200メッシュろ布でろ過を行った場合でも、簡単に重合体粒子を得ることができた。
得られた重合体粒子及び水性分散液を用いて上記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0063】
(実施例2,3、比較例1〜3)
表1に記載の各成分を表1に記載の量ずつ使用した以外は、実施例1と同様にして、水性分散液及び重合体粒子を得た。得られた重合体粒子及び水性分散液を用いて上記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
この発明によると、重合の途中で単量体を追加するので、表面が被覆された重合体粒子が得られる。単量体として多官能性単量体を用いた場合に、単量体混合物の重合で重合体粒子表面に二重結合が残っても、重合の途中で加えられた単量体によって残った二重結合の大部分を消費することができる。これにより、重合終了後の粒子を有機溶媒に分散させても、重合体粒子相互間で重合が生じることを防止でき、良好な流動性を保つことができる。
【0066】
また、所定の有機溶剤を含有するので、得られる重合体粒子は、中空状にすることも可能である。このとき、重合の途中で加える単量体の添加時期を、所定の時期とすることにより、凹み等のない、真球状の中空粒子を得ることができる。
Claims (5)
- 第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対し、この第1エチレン性不飽和単量体から得られる重合体と相溶性が低く、かつ、水に難溶性の有機溶剤X重量部、ポリビニルアルコール0.1〜500重量部、及び第1重合開始剤0.1〜10重量部を含有する単量体混合物を用いて、水性媒体中で重合を開始し、上記第1エチレン性不飽和単量体の重合率(C(%))が下記式(1)の条件を満たすときに、上記第1エチレン性不飽和単量体と同じ又は異なる単量体である第2エチレン性不飽和単量体1〜100重量部、及び第1重合開始剤と同じ又は異なる重合開始剤である第2重合開始剤0.001〜10重量部を添加する重合体粒子の製造方法。
C≧X/10 (1)
(但し、0.1≦X≦1000。なお、Cは、第1エチレン性不飽和単量体の重合率(%)を示し、Xは、上記有機溶剤の含有量(重量部)を示す。) - 上記第1エチレン性不飽和単量体が、複数のエチレン性不飽和基を有する単量体である請求項1に記載の重合体粒子の製造方法。
- 上記第2エチレン性不飽和単量体が、単官能性エチレン性不飽和単量体である請求項1に記載の重合体粒子の製造方法。
- 上記単量体混合物が、上記第1エチレン性不飽和単量体100重量部に対し、上記有機溶剤に可溶性の重合体0.1〜100重量部を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の重合体粒子の製造方法。
- 上記重合体がポリスチレンである請求項4に記載の重合体粒子の製造方法。
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JP (1) | JP2005002183A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010077423A (ja) * | 2008-08-29 | 2010-04-08 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | スチレン系重合体の懸濁重合用分散安定剤、およびそれを用いたスチレン系重合体の製造方法 |
JP2021502441A (ja) * | 2017-11-10 | 2021-01-28 | ディディピー スペシャリティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス インコーポレーテッド | 一官能性ビニルモノマーの添加を含む重合プロセス |
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2003
- 2003-06-11 JP JP2003166065A patent/JP2005002183A/ja active Pending
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JP2010077423A (ja) * | 2008-08-29 | 2010-04-08 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | スチレン系重合体の懸濁重合用分散安定剤、およびそれを用いたスチレン系重合体の製造方法 |
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