JP2005002176A - フィルム、その製造方法、及び該フィルムを使用した偏光板 - Google Patents

フィルム、その製造方法、及び該フィルムを使用した偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光板を構成するフィルムとして優れた低異方性を有するとともに、基材とハードコート層との密着性に優れたフィルム、その製造方法、及び該フィルムを使用した偏光板とその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム上に、(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂をベースとするコーティングが施されているフィルムである。熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂は、好ましくはノルボルネン構造を有するモノマーを必須のモノマーとする重合体である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティングの施されたフィルム、その製造方法、及び該フィルムを用いた偏光板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータをはじめ、テレビ、カーナビゲーションシステム等にはフラットパネルディスプレイが採用され、特に液晶ディスプレイが広く用いられている。この液晶ディスプレイには、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムからなる偏光子(偏光素子とも言う)を2枚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムで挟持した(ラミネートした)偏光板が用いられてきたが、TACフィルムは吸湿性を有し、高温高湿での耐久性に乏しいものであった。また、偏光板を構成するフィルムに、より優れた低異方性も要求されていた。こような要求を満たすため、特許文献1記載のTACフィルムでは熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートを用いることが試みられている。
【0003】
また、偏光板を構成するフィルムには、耐キズ性(更にアンチグレア性、反射防止性を付与することもある)付与のためハードコート層のコーティングが保護膜として施されることがある。例えば、ノルボルネン系樹脂フィルム上にハードコート層を設ける例として、特許文献2及び特許文献3記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献2では基材表面をコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理などしてシリコーン系ハードコート層を保護膜として設けており、また、特許文献3では特定のアクリル系光硬化樹脂からなるハードコート層を保護膜として設けている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−51117号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開平7−97468号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】
特開平8−12787号公報(特許請求の範囲等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2、特許文献3記載のいずれの保護膜においても、基材との密着性(接着性)が十分なものではなかった。
【0007】
従って本発明の目的は、偏光板を構成するフィルムとして優れた低異方性を有するとともに、基材とハードコート層との密着性に優れたフィルム、その製造方法、及び該フィルムを使用した偏光板とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム上に、(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂をベースとするコーティングが施されていることを特徴とするフィルムである。
【0009】
本発明のフィルムは、前記熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂が、ノルボルネン構造を有するモノマーを必須のモノマーとする重合体であることが好ましく、あるいは、前記熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂が下記の一般式(1)〜(7)のいずれかで表される構造単位の1種若しくは2種以上(同一の一般式で表される2種以上でも、異なる一般式で表される2種以上でもよい)を必須の構成単位とするものであることが好ましい。
Figure 2005002176
(式中、R〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、または極性基で置換された炭化水素基であり、隣接する炭素に結合するもの同士が互いに結合して単環若しくは多環を形成していてもよい。)
【0010】
また、本発明は、上記フィルムを製造するにあたり、熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム表面に、コロナ放電処理、200nm以下の波長の電磁波放射線処理およびプラズマ処理から選択される1以上の処理を施す工程と、その後該処理面に(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂をベースとするコーティングを施す工程とを必須の工程とすることを特徴とするフィルムの製造方法である。
【0011】
また、本発明は、偏光子を挟持する一方のフィルムが、上記のフィルムであることを特徴とする偏光板であり、更にまた、本発明は、偏光子を挟持する一方のフィルムとして、上記のフィルムを用いることを特徴とする偏光板の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明に使用する熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルムは熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂を、溶液流延法、溶融成形法(例えば溶融押出法)等の公知の成形方法によってシート状に成形して得ることができ、これを使用することができる。
【0013】
ここで使用される熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂は、脂環構造を有する繰り返し構造単位を必須の構造単位とする熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂であればよいが、好ましくはノルボルネン構造を有するモノマーを必須のモノマーとする重合体が良い。ノルボルネン構造を有するモノマー以外の脂環構造を有するモノマー(シクロペンテン及びその誘導体等のシクロオレフィン等)やエチレン、その他α−オレフィン等のモノマーを併用してもよいが、これらモノマー成分は30質量%未満、好ましくは10質量%未満であることが、偏光板としての諸性質を良好ならしめる観点から好ましい。
【0014】
ノルボルネン構造を有するモノマーを必須のモノマーとする重合体は、ノルボルネン系樹脂とよばれ、偏光板を構成し偏光子を挟持するフィルムとして使用可能であることが知られているものであればどのようなものでも使用できるが、好ましくは、上記式(1)〜(7)で表される構造単位の1種若しくは2種以上(同一の一般式で表される2種以上でも、異なる一般式で表される2種以上でもよい)を必須の構成単位とするものが良い。
【0015】
上記式(1)〜(7)中におけるR〜R28としての炭化水素基は、好ましくは炭素原子数1〜6がよく、極性基としては例えばハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等を挙げることができる。
【0016】
また、熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂は飽和体であることが偏光板としての諸性質を良好ならしめる観点から好ましく、モノマーを重合した後、必要なら水素添加された重合体が良い。
【0017】
このようなモノマーの一例としては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、その他アルキル及び/又はアルキリデン置換体、及びハロゲン等の極性基置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a,−オクタヒドロ1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
【0018】
本発明で使用する熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂は、トルエン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した数平均分子量が通常25,000〜100,000、好ましくは30,000〜80,000、より好ましくは35,000〜70,000の範囲のものが、物理的強度、成形の際の操作性等の点で好ましい。
【0019】
本発明において熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム上に施されるコーティングに用いられる(メタ)アクリル系樹脂としては特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。
【0020】
ここで、エポキシ(メタ)アクリレートとは、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などと、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるアクリレートである。これらのエポキシアクリレートのうち、特に好ましいものは、芳香族エポキシ樹脂のアクリレートであり、少なくとも1個の芳香核を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレートである。例えば、ビスフェノールA、又はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレート等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートとして好ましいものは、1種又は2種以上の水酸基含有ポリエステルや水酸基含有ポリエーテルに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレート等である。
【0021】
ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種又は2種以上の多価アルコールと、1種又は2種以上の多塩基酸との反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、脂肪族多価アルコールとしては、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。
【0022】
水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
【0023】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。
【0024】
かかる水酸基含有(メタ)アクリル酸のうち、二価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは特に好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0025】
イソシアネート類としては、分子中に少なくとも1個以上のイソシアネート基を持つ化合物が好ましく、トリレンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの2価のイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0026】
ポリエステル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上の1塩基酸、多塩基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。1塩基酸としては、例えばギ酸、酢酸、酪酸、安息香酸が挙げられる。多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸が挙げられる。
【0027】
ポリエーテル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエーテルと、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエーテル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
【0028】
アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ芳香族または脂肪族アルコール、およびそのアルキレンオキサイド付加体と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、フルオレン誘導体ジ(メタ)アクリレート、カルバゾール誘導体ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は、1種或いは2種以上を所望の性能に応じて配合して使用することができる。
【0029】
これらの(メタ)アクリル系樹脂には、硬化させるための公知の重合開始剤を配合することができる。好ましい重合開始剤は、熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルムに悪影響を与える熱を必要としない、エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤である。エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤とは、エネルギー線照射によってラジカル重合を開始させることが可能な化合物であり、一例としてアセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、べンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などのケトン系化合物を挙げることができる。
【0030】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、P−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0031】
ベンジル系化合物としては、ベンジル、アニシル等が挙げられる。
【0032】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0033】
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
【0034】
これらのエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
【0035】
以上のようなエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤は、(メタ)アクリル系樹脂に対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%配合される。この範囲を上回ると十分な強度が得られないことがあり、下回ると樹脂が十分硬化しない場合がある。
【0036】
本発明において熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム上に施されるコーティングに用いられるエポキシ系樹脂としては特に限定されるものではなく、例えば、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0037】
芳香族エポキシ樹脂の具体例としては、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノールまたは、そのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、またこれらに更にアルキレンオキサイドを付加させた化合物のグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、エポキシ化フルオレン樹脂、エポキシ化カルバゾール樹脂等が挙げられる。
【0038】
また、脂環族エポキシ樹脂の具体例としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテルまたはシクロヘキセン、シクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイド構造含有化合物または、シクロペンテンオキサイド構造含有化合物、またはビニルシクロヘキサン構造を有する化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるビニルシクロヘキサンオキサイド構造含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0039】
脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、脂肪族長鎖不飽和炭化水素を酸化剤で酸化することによって得られるエポキシ含有化合物、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのホモポリマー、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル、また、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、またこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
【0040】
これらのエポキシ系樹脂は、1種或いは2種以上を所望の性能に応じて配合して使用することができる。
【0041】
これらのエポキシ系樹脂には、硬化させるための公知の重合開始剤を配合することができる。好ましい重合開始剤は、熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルムに悪影響を与える熱を必要としない、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤である。
【0042】
エネルギー線感受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましいものは、照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては一般式、[A]m+[B]m−で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
【0043】
ここで、陽イオンAm+はオニウムであることが好ましく、その構造は例えば、[(RZ]m+で表すことができる。
【0044】
更にここで、Rは炭素数が1〜60であり、炭素以外の原子をいくつ含んでもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のRは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。ZはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオンAm+中のZの原子価をzとしたとき、m=a−zなる関係が成り立つことが必要である。
【0045】
また、陰イオンBm−は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は例えば、[LXm−で表すことができる。
【0046】
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンである。bは3〜7なる整数である。また、陰イオンBm−中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
【0047】
上記一般式の陰イオン[LXm−の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF、ヘキサフルオロホスフェート(PF、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロアルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネート(SbC1等が挙げられる。
【0048】
また、陰イオンBm−は、[LX −1(OH)]m−で表される構造のものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。また、その他用いることができる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン陰酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン等が挙げられる。
【0049】
また、陰イオンBm−として、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートも好ましく使用することができる。
【0050】
本発明では、この様なオニウム塩のなかでも、芳香族オニウム塩を使用するのが特に有効である。中でも、特開昭50−151997号、特開昭50−158680号公報に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、特開昭52−30899号、特開昭56−55420号、特開昭55−125105号公報等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、特開昭56−149402号、特開昭57−192429号公報等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4139655号明細書記載のチオピリリウム塩等が好ましい。また、その他好ましいものとしては、鉄/アレン錯体やアルミニウム錯体/光分解珪素化合物系開始剤等も挙げられる。
【0051】
これらの芳香族オニウム塩のなかでも特に好ましいのは、陽イオンとして
Figure 2005002176
(式中、Rは夫々同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基がついてもよいアルコキシ基、Arは1以上の水素原子が置換されていてもよいフェニル基である。)で表される化合物および(トリルクミル)ヨードニウム、ビス(ターシャリブチルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム等からなるものが挙げられる。例えば、4−(4−ベンゾイル−フェニルチオ)フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ビス((β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ビス((β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(ジフルオロフェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(ジフルオロフェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(フェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(フェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニル−ジ−(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニル−ジ−(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(フェニルチオ)フェニル−ジ−(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(フェニルチオ)フェニル−ジ−(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(フェニルチオ)フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(フェニルチオ)フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(フェニルチオ)フェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(フェニルチオ)フェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(トリルクミル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(トリルクミル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ターシャリブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ターシャリブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ターシャリブチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−エトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−エトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、α−ナフチルメチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、α−ナフチルメチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、シンナミルジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、シンナミルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、シンナミルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、シンナミルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、N−(α−フェニルベンジル)シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−(α−フェニルべンジル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N−シンナミル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−シンナミル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N−(α−ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−(α−ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N−べンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−べンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
【0052】
これらのエネルギー線感受性カチオン重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
【0053】
また、これらのエネルギー線感受性カチオン重合開始剤の好ましい使用量は、エポキシ系樹脂に対して0.1〜50質量%、より好ましくは1.0〜20質量%で調整するのがよい。少なすぎると硬化が不十分となることがあり、表面硬度の低下を招き好ましくない。また、50質量%を超えて配合しても、諸特性の向上はなく、逆に、硬化しないエネルギー線感受性カチオン重合開始剤成分の増大に伴い密着性低下が起こりやすく好ましくない。
【0054】
本発明に使用するコーティングとしての(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂の質量比は、(メタ)アクリル系樹脂:エポキシ系樹脂=95:5〜5:95、好ましくは95:5〜20:80、より好ましくは90:10〜50:50である。
【0055】
ここで、(メタ)アクリル系樹脂が多すぎると熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム表面との密着性(接着性)が低下する。逆に少なすぎると、コーティングとしての耐キズ性が低下する。
【0056】
本発明のフィルムにおいては、上記コーティング中にシリカ粒子を分散させるなど、公知のアンチグレア性付与を行ってもよく、また、更に反射防止コーティングを施すこともできる。
【0057】
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は、まず第1の工程として熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム表面に、コロナ放電処理、200nm以下の波長の電磁波放射線処理、プラズマ処理から選択される1以上の処理を施すものである。
【0058】
熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルムは、上記の通りの熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルムが使用される。
【0059】
コロナ放電処理、200nm以下の波長の電磁波放射線処理、プラズマ処理から選択される1以上の処理は、処理効率の点からコロナ放電処理及び/又はプラズマ処理が好ましく、特にコロナ放電処理が好ましい。
【0060】
これらの処理は特に限定されるものではなく、合成樹脂表面処理として公知の範囲の処理を施せばよく、例えば、コロナ放電処理であれば、1〜5000W/m/分程度であればよい。他の処理においても概ね同等の程度の処理を行えばよい。
【0061】
次に第2の工程として、このような処理を施した後、該処理面に(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂をべースとするコーティングを施すものである。
【0062】
(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂としては上記の通りのものを使用すればよい。
【0063】
具体的には、これらの樹脂を上記処理面に公知の方法で塗布し、公知の方法で該樹脂を硬化させればよく、好ましくはエネルギー線感受性カチオン重合開始剤及びエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を含有した樹脂を塗布し、エネルギー線、好ましくは紫外線を照射してこれを硬化させればよい。尚、コーティングの厚さは用途に応じて適宜選択されるので特に限定されないが、例えば、偏光板を構成するフィルムとするには1μm〜50μm程度であればよい。
【0064】
本発明のフィルムは、このような本発明のフィルムの製造方法によって製造することが、フィルムとコーティングの密着性(接着性)の点で好ましいものである。即ち、本発明のフィルムの製造方法により、熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム上に、(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂をべースとするコーティングを、密着性(接着性)良く施すことができる。
【0065】
次に、本発明の偏光板について説明する。本発明の偏光板は、偏光子を挟持する一方のフィルムが上記本発明のフィルムであることを特徴とするものであり、偏光板におけるその他の構成は公知の構成を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0066】
本発明の偏光板は、偏光子を挟持する一方のフィルムとして上記本発明のフィルムを使用しているので、フィルムとその保護膜であるコーティングとの密着性(接着性)が良好なものである。従って本発明の偏光板は、低異方性で吸湿性が低く、且つ良好なコーティング密着性を有する、優れた偏光板である。
【0067】
即ち、本発明の偏光板は、従来の、PVAフィルムからなる偏光子を2枚のTACフィルムで挟持した偏光板のTACの吸湿性及び異方性の問題、更には、TACに替えて熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートを用いた偏光板のコーティングとの密着性(接着性)が悪いという問題を全て解消することができた。
【0068】
本発明の偏光板は、あらゆる偏光板用途に使用でき、特に低異方性で吸湿性が低く、且つ良好なコーティング密着性を有する点から液晶ディスプレイに用いるのに適している。
【0069】
次に、本発明の偏光板の製造方法について説明する。本発明の偏光板の製造方法は、偏光子を挟持する一方のフィルムとして、上記本発明のフィルムを用いることを特徴とするものであり、偏光子を挟持する一方のフィルムとして、従来公知のフィルム(例えばTACフィルム)に替えて本発明のフィルムを用いる以外は公知の偏光板の製造方法を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
〔実施例1〜4、比較例1,2〕
下記の樹脂、開始剤等を用いて下記の表1に示す組成で樹脂組成物を作製した。
エポキシ樹脂:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
アクリル樹脂1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
アクリル樹脂2:トリメチロールプロパントリアクリレート
光カチオン重合開始剤:4,4’−ビス〔ビス((β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート光ラジカル重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0071】
【表1】
Figure 2005002176
【0072】
日本ゼオン社製ZEONOR1600Rを用いて作製した厚さ40μmの熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂(ノルボルネン系飽和脂環式樹脂)フィルムに、40W/m/分のコロナ放電処理を施した後、該コロナ放電処理面に、表1に示した組成の樹脂組成物を固形分50質量%に希釈してバーコータ(#3)で乾燥膜厚5μmになるように塗布し、高圧水銀灯にて照射量300mJ/cmの紫外線を照射して、コーティングの施された実施例1〜4のフィルム及び比較のための比較例1、2のフィルムを作製した。
【0073】
次に、これらのフィルムについて密着性および鉛筆硬度を測定した。
密着性:JIS K5400に準じてピーリング試験を行った。試験後に、碁盤目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
○:100/100であり、剥離が全く生じない。
×:0/100〜99/100
鉛筆硬度:JIS K5400に準じて評価した。得られた結果を下記の表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 2005002176
【0075】
〔実施例5〜7〕
日本ゼオン社製ZEONOR1600Rに替えて、上記一般式(4)においてR13及びR14が水素原子、R15がメチル基、R16が−COOMeである構成単位のホモポリマーを重合させて得た熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂を用いた他は実施例1〜4と同様にフィルムを作製し、かつ同様の試験を行った。その結果、何れも密着性=○、鉛筆硬度=4Hであった。
【0076】
〔実施例8〜14〕
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムに、上記に用いた未コロナ放電処理熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルムと、上記実施例1〜7で得た本発明のフィルム(こちらはコーティング面が外側になるようにして)とを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて両面から貼り合わせて夫々実施例8〜14の偏光板を得た。実施例8〜14の偏光板はいずれも高温高湿での耐久性、低異方性、耐キズ性に優れたものであった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の効果は、偏光板を構成するフィルムとして優れた低異方性を有するとともに、基材とハードコート層との密着性に優れたフィルム、その製造方法、及び該フィルムを使用した偏光板とその製造方法を提供したことにある。

Claims (6)

  1. 熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム上に、(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂をベースとするコーティングが施されていることを特徴とするフィルム。
  2. 前記熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂が、ノルボルネン構造を有するモノマーを必須のモノマーとする重合体である請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂が下記の一般式(1)〜(7)のいずれかで表される構造単位の1種若しくは2種以上(同一の一般式で表される2種以上でも、異なる一般式で表される2種以上でもよい)を必須の構成単位とするものである請求項1または請求項2に記載のフィルム。
    Figure 2005002176
    (式中、R〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、または極性基で置換された炭化水素基であり、隣接する炭素に結合するもの同士が互いに結合して単環若しくは多環を形成していてもよい。)
  4. 請求項1〜請求項3の何れかに記載のフィルムを製造するにあたり、前記熱可塑性脂肪族環状炭化水素系樹脂フィルム表面に、コロナ放電処理、200nm以下の波長の電磁波放射線処理およびプラズマ処理から選択される1以上の処理を施す工程と、その後該処理面に(メタ)アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂をベースとするコーティングを施す工程とを必須の工程とすることを特徴とするフィルムの製造方法。
  5. 偏光子を挟持する一方のフィルムが、請求項1〜請求項3の何れかに記載のフィルムであることを特徴とする偏光板。
  6. 偏光子を挟持する一方のフィルムとして、請求項1〜請求項3の何れかに記載のフィルムを用いることを特徴とする偏光板の製造方法。
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