JP2005002045A - 6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】6−アルキル−2−ナフトール又はその誘導体(1)からニッケル、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属含有触媒存在下、核水素化反応を行う工程と、核水素化反応生成物を、銅系触媒、亜鉛系触媒、貴金属触媒及びラネー系触媒から選ばれた少なくとも1種以上の金属触媒存在下、環縮合位の異性化反応を行う工程とを含む、6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体(2)の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法に関する。本発明の製造方法によって得られる6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体は、医薬、農薬、電子材料、化学薬品等またはその製造中間体等の各種用途に用いられ、特に、液晶製造中間体として非常に重要である。
【0002】
【従来の技術】
6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体を製造するには、トランス−デカヒドロナフタレン骨格の構築が重要であり、その構築方法としては、通常、(i)シクロヘキサノン化合物とメチルビニルケトン又はその等価体とのロビンソン環化反応、引き続いて、(ii)その環化反応成績体のα,β−不飽和結合部位にアルカリ金属還元反応を適用することによりトランス−デカヒドロナフタレン化合物に変換する方法、又は、ナフタレン化合物のナフタレン環を完全又は段階的に核水素化する方法のいずれかが採用される。
【0003】
上記前者の方法の具体例としては、シクロヘキサノン化合物にメチルビニルケトンを反応させて得られるオクタヒドロナフタレン化合物を液体アンモニア中でリチウムまたはナトリウム等のアルカリ金属を用いて還元する方法等が挙げられる(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、低温反応であるため特殊な反応設備を必要とし、また、生成物の純度が低く実用性に乏しい。
【0004】
一方、上記後者の方法の具体例としては、6−アルキルナフタレン−2−オ−ルを、100重量%(原料に対して)のナトリウム修飾5%パラジウム/カーボン触媒存在下、反応温度280℃で核水素化する方法等が挙げられる(特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、上記開示技術は多量のパラジウム触媒を使用するため製造コスト面で不利であるばかりでなく、280℃という高い反応温度のため水素化生成物が分解する等の問題点を有しており、工業的製造法としては、必ずしも有利な方法とは言えないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
ドイツ公開特許3150312号公報
【特許文献2】
特開2001−278823号公報
【特許文献3】
特開2001−278824号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体を収率よく、且つ経済的に製造できる新規有用な製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、6−アルキルナフタレン−2−オール及びその誘導体(A)から6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体(B)を製造するに際し、(1)ニッケル、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒存在下、(A)成分のナフタレン環をデカヒドロナフタレン環に核水素化反応を行い、次いで、(2)得られたデカヒドロナフタレン環を有する核水素化反応生成物を、銅系触媒、亜鉛系触媒、ニッケル系触媒、貴金属系触媒及びラネー系触媒から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒存在下、デカヒドロナフタレン環の環縮合位の異性化を行うことにより6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体が高収率で得られることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法を提供するものである。
【0010】
項1 一般式(1)
【化3】
[式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数1〜12のアルキル基で置換されてもよいシクロヘキシル基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数2〜12のアルキニル基を表わし、R2は水素原子、アシル基、アルキル基又はヒドロキシル基の保護基を表す。]
で表される6−アルキル−2−ナフトール又はその誘導体(A)から一般式(2)
【化4】
[式中、R3は一般式(1)におけるR1と同義であるが、R1がアルケニル基又はアルキニル基である場合、水素付加により得られるアルキル基を表わす。R4は一般式(1)におけるR2と同義である。]
で表される6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体(B)を製造するに際し、(1)ニッケル、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム及びオスニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒存在下、(A)成分のナフタレン環をデカヒドロナフタレン環に核水素化反応を行う第一工程と、
(2)第一工程で得られたデカヒドロナフタレン環を有する核水素化反応生成物を、銅系触媒、亜鉛系触媒、ニッケル系触媒、貴金属系触媒及びラネー系触媒から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒存在下、デカヒドロナフタレン環の環縮合位の異性化反応を行う第二工程とを含むことを特徴とする6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0011】
項2 第一工程の金属系触媒が、ラネー系触媒又は担体担持触媒である上記項1に記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0012】
項3 第一工程の金属系触媒が、ルテニウム系触媒、パラジウム系触媒、ラネーニッケル触媒及び安定化ニッケル触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1又は2記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の造方法。
【0013】
項4 反応温度50℃〜300℃、水素分圧0.1〜50MPaで第一工程の核水素化を行う上記項1〜3のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0014】
項5 第二工程の銅系触媒が、銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0015】
項6 第二工程の亜鉛系触媒が、亜鉛、亜鉛−クロム、亜鉛−クロム酸化物、亜鉛−アルミ−クロム酸化物、亜鉛−クロム−マンガン酸化物、亜鉛−鉄酸化物及び亜鉛−鉄−アルミ酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0016】
項7 第二工程の貴金属系触媒が、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジム、イリジウム及びオスニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0017】
項8 第二工程のラネー系触媒が、ラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅、及びラネー鉄から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0018】
項9 反応温度50〜300℃、水素分圧0.001〜5MPaで第二工程の異性化を行う上記項1〜8のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0019】
項10 (B)成分が6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールである請求項1〜9のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
[水素化原料]
本発明では、水素化原料として、一般式(1)で表わされる6−アルキルナフタレン−2−オール及びその誘導体(A)が用いられる。
【0021】
(A)成分は、6−位にR1で表されるアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を有し、2−位に−OR2基を有する。R2は水素原子、アシル基、アルキル基又はヒドロキシル基の保護基を表す。
【0022】
R1で表される炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキル基で置換されてもよいシクロヘキシル基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基及び炭素数2〜12のアルキニル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、またこれらが組み合わされたものでもよい。
【0023】
アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が例示される。
【0024】
アルキルで置換されてもよいシクロヘキシル基としては、具体的に、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4−ブチルシクロヘキシル基、4−ペンチルシクロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、4−ヘプチルシクロヘキシル基、4−オクチルシクロヘキシル基、4−ノニルシクロヘキシル基、4−デシルシクロヘキシル基、4−ウンデシルシクロヘキシル基、4−ドデシルシクロヘキシル基等が例示される。
【0025】
アルキルオキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等の脂肪族アルキル基又は少なくとも1個以上の炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよいシクロアルキル基が例示される。
【0026】
アルケニル基としては、特に制限されず、具体的には、エテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−デセニル基、アリル基等の上記アルキル基の一部に少なくとも1つ以上の二重結合を有するものが例示される。
【0027】
アルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等の前記アルキル基の一部に少なくとも1つ以上の三重結合を有するものが例示される。
【0028】
R2で表わされるアシル基及びアルキル基としては、特に制限されず、具体的には、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基等のアシル基、及びメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基等が例示される。なお、R2が水素原子の場合、OR2はヒドロキシル基である。
【0029】
R2で表わされるヒドロキシル基の保護基としては、具体的には、トリメチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、パラトルエンスルホニル基、テトラヒドロピラニル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等が例示される。
【0030】
本発明の水素化原料である一般式(1)で表される(A)成分としては、具体的に、6−メチルナフタレン−2−オール、6−エチルナフタレン−2−オール、6−プロピルナフタレン−2−オール、6−ブチルナフタレン−2−オール、6−ペンチルナフタレン−2−オール、6−ヘキシルナフタレン−2−オール、6−オクチルナフタレン−2−オール、6−ノニルナフタレン−2−オール、6−デシルナフタレン−2−オール、6−ウンデシルナフタレン−2−オール、6−ドデシルナフタレン−2−オール、6−シクロヘキシルナフタレン−2−オール、6−(4−メチルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−エチルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−プロピルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−ブチルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−ペンチルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−ヘキシルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−オクチルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−ノニルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−デシルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−ウンデシルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−(4−ドデシルシクロヘキシル)ナフタレン−2−オール、6−メトキシナフタレン−2−オール、6−エトキシナフタレン−2−オール、6−プロポキシナフタレン−2−オール、6−ブトキシナフタレン−2−オール、6−ペンチルオキシナフタレン−2−オール、6−ヘキシルオキシナフタレン−2−オール、6−ヘプチルオキシナフタレン−2−オール、6−オクチルオキシナフタレン−2−オール、6−ノニルオキシナフタレン−2−オール、6−デシルオキシナフタレン−2−オール、6−ウンデシルオキシナフタレン−2−オール、6−ドデシルオキシナフタレン−2−オール、6−エテニルナフタレン−2−オール、6−(2−ブテニル)ナフタレン−2−オール、6−(1−ペンテニル)ナフタレン−2−オール、6−(2−ペンテニル)ナフタレン−2−オール、6−(1−ヘキセニル)ナフタレン−2−オール、6−(2−ヘキセニル)ナフタレン−2−オール、6−(3−ヘキセニル)ナフタレン−2−オール、6−(1−デセニル)ナフタレン−2−オール、6−アリルナフタレン−2−オール、6−エチニルナフタレン−2−オール、6−(1−プロピニル)ナフタレン−2−オール、6−(2−プロピニル)ナフタレン−2−オール等の6−アルキルナフタレン−2−オール類及びこれらの化合物のヒドロキシル基がアセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基等のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、又はトリメチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、パラトルエンスルホニル基、テトラヒドロピラニル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等のヒドロキシル基の保護基を有する誘導体等が例示される。
【0031】
これらの一般式(1)で表される(A)成分は、従来公知の製造方法(例えば、特開2001−39916号公報に記載の方法等)により容易に調製することができる。
【0032】
[第一工程]
第一工程では、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒が用いられる。該金属系触媒としては、具体的には、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム等の0価の金属;これらの金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、酸化物、水酸化物等の各種無機化合物;アセチルアセトナート化合物等の各種有機化合物;アミン錯体、ホスフィン錯体、カルボニル化合物等の各種錯体化合物等の金属化合物が例示される。
【0033】
上記金属系触媒は、そのまま反応系で使用することもできるが、ラネー型触媒や担体担持型触媒として使用することが好ましい。
【0034】
これら金属系触媒のなかでも、得られる核水素化反応生成物の分解が抑制される点から、ルテニウム系触媒、パラジウム系触媒、ラネーニッケル触媒、安定化ニッケル触媒等が好ましく、特にルテニウム系触媒が好ましい。また、経済性と第二工程の異性化反応を考慮するとラネーニッケル触媒又は安定化ニッケル触媒が好ましい。
【0035】
担体担持型触媒としては、従来公知或いは市販されているものでもよく、ナフタレン骨格を核水素化できる触媒であれば特に限定されるものではない。具体的には、珪藻土、軽石、活性炭、シリカゲル、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の担体上に上記金属化合物及び金属などの中から選ばれた少なくとも1種の金属成分を担持したものが挙げられる。例えば、ルテニウム化合物としては、塩化ルテニウム、ルテニウム酸カリウム、ルテニウム酸ナトリウム、ルテニウム酸ルビジウム、ルテニウム酸アンモニウム等のルテニウム酸塩、酸化ルテニウム、水酸化ルテニウム、塩化ヘキサンアミンルテニウム、トリス(アセチルアセトナート)ルテニウム等が挙げられる。また、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
尚、上記担体担持型触媒の調製方法としては、含浸法、共沈法等の従来公知の方法が採用できる。これらの担体担持型触媒の活性化方法としては、特に限定されないが、通常は使用する前に還元して活性化することができる。
【0037】
該担体担持型触媒の金属成分の担持量は、特に限定されないが、触媒の総重量に対して、金属分として、通常、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.5〜5重量%である。担持量が少なすぎる場合には、触媒重量当たりの活性が低下し、触媒量を多く必要とし経済的ではない。また多すぎる場合にも、担持した金属量に見合う反応速度の向上は得られず好ましくない。
【0038】
触媒の形状は特に限定されるず、粉末状のものであっても成形されたものであっても差し支えない。粉末状の触媒は、通常、懸濁床回分式の水素化反応に用いられ、成形触媒は、固定床連続式の水素化反応に利用される。また、成形触媒としては、使用する反応器の大きさにより適宜選択されるが、通常は直径2〜6mm、高さ2〜8mmの範囲の円柱状が好ましい。
【0039】
第一工程の核水素化に用いられる金属系触媒の使用量は、(A)成分に対して、金属分を基準として、0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲が反応速度と経済性の点から好ましい。
【0040】
ラネーニッケル触媒又は安定化ニッケル触媒を用いる場合、その使用量は、(A)成分に対して、0.01〜20重量%程度、好ましくは0.05〜10重量%程度の範囲が反応速度と経済性の点から好ましい。
【0041】
核水素化方法は、溶媒を用いても、無溶媒でも実施可能であるが、経済性の点から無溶媒で実施することが好ましい。溶媒を用いる際の溶媒としては、(A)成分やその核水素化反応生成物を溶解し、水素化反応に不活性なものであれば特に限定されない。
【0042】
上記溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒等が例示される。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0043】
これら溶媒のなかでも、アルコール系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;プロパノール、ブタノール等の炭素数3〜6のアルコール系溶媒が、核水素化反応生成物のヒドロキシル基の水素化分解を抑制する効果が大きい点から好ましい。
【0044】
水素化原料の(A)成分は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%となるように溶媒により希釈して用いられる。
【0045】
核水素化反応の水素分圧は、通常、0.1〜50MPa、より好ましくは0.1〜10MPa程度の範囲である。低圧では反応に必要以上の長時間を要し、また高圧では反応速度は上昇するが、あまり高すぎると副反応や分解反応の原因となり、逆に収率が低下する傾向が見られる。
【0046】
核水素化反応の温度は、通常、50〜300℃、より好ましくは80〜280℃の範囲である。この温度範囲より低い場合には反応速度が遅く、高い場合には核水素化反応生成物が分解し低沸点成分が生成するため収率が低下する傾向が見られる。
【0047】
核水素化反応の時間は、触媒の使用量や上記の反応条件によっても異なるが、通常、0.5〜20時間程度、好ましくは1〜20時間程度、より好ましくは1〜15時間程度である。0.5時間未満では高い転化率が得られにくく、一方、20時間を超えると副反応が起こり易くなる傾向が見られる。
【0048】
上記の第一工程の核水素化反応を実施することにより、水素化原料の(A)成分のナフタレン環が核水素化され、デカヒドロナフタレン環を有する核水素化反応生成物が得られる。得られた核水素化反応生成物は、デカヒドロナフタレン環の環縮合位の立体配置について、シス体とトランス体との混合物である。シス体とトランス体の生成比は、(A)成分の種類及び触媒の種類や触媒量、反応温度、水素圧力等の水素化条件に依存するが、通常、シス体が優先的に生成する。
【0049】
[第二工程]
第二工程では、銅系触媒、亜鉛系触媒、貴金属系触媒及びラネー系触媒から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒が用いられる。これらの触媒は、そのまま反応系で使用することもできるが、担体担持型触媒として使用することもできる。かかる担体担持型触媒としては、含浸法、共沈法等の従来公知の方法で調製したものを使用することができ、また、市販されているものをそのまま使用することもできる。
【0050】
その使用量は、第一工程で得られたデカヒドロナフタレン環を有する核水素化反応生成物に対して、金属分を基準として、0.01〜20重量%程度、特に0.05〜10重量%程度の範囲が反応速度と経済性の点から好ましい。
【0051】
銅系触媒としては、銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種の触媒、並びにこれら銅系触媒にモリブデン、タングステン、マンガン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム及びこれらの酸化物を添加して変性した変性触媒が例示される。
【0052】
具体的には、銅酸化物、銅−亜鉛−クロム酸化物、銅−クロム−亜鉛−マグネシウム酸化物、銅−亜鉛−クロム−バリウム酸化物、銅−亜鉛酸化物、銅−亜鉛−マグネシウム酸化物、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物、銅−クロム酸化物、銅−クロム−マグネシウム酸化物、銅−クロム−マンガン酸化物、銅−クロム−バリウム酸化物等が例示される。
【0053】
亜鉛系触媒としては、亜鉛、亜鉛−クロム、亜鉛−クロム酸化物、亜鉛−アルミ酸化物、亜鉛−アルミ−クロム酸化物、亜鉛−クロム−マンガン酸化物、亜鉛−鉄酸化物、亜鉛−鉄−アルミ酸化物等が例示される。
【0054】
貴金属触媒としては、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジム、イリジウム及びオスニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属系触媒が例示される。
【0055】
ラネー触媒としては、ラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅、ラネー鉄から選ばれた少なくとも1種以上のラネー系触媒、並びにこれら金属にモリブデン、クロム、鉄、マンガン、スズ、銀、パラジウム、アルミ、シリカ、亜鉛、マグニシウム、チタン、ホウ素の1種以上を添加した変性触媒が例示される。
【0056】
具体的には、ラネークロム−鉄、ラネーニッケル−モリブデン−クロム−鉄−コバルト−銅、ラネーニッケル−モリブデン−クロム−鉄−コバルト、ラネーニッケル−モリブデン、ラネーニッケル−モリブデン−鉄−クロム、ラネーニッケル−銅−コバルト等が例示される。
【0057】
異性化反応の水素分圧は、通常、0.001〜5MPa、特に0.01〜3MPaがより好ましい。
【0058】
異性化反応の反応温度は、通常、50〜300℃、好ましくは80〜280℃の範囲である。この温度範囲より低い場合には反応速度が遅く、高い場合には反応分解物の生成があり収率が低下する傾向が見られる。
【0059】
異性化反応は、溶媒を用いても、無溶媒でも実施可能であるが、経済性の点から無溶媒で実施することが好ましい。溶媒を用いる場合、第一工程と共通の溶媒を用いることにより、第一工程での反応生成液をそのまま第二工程の原料として使用できる。更に第一工程で用いた溶媒を加えて反応させてもよい。
【0060】
異性化反応の時間は、触媒の使用量や上記の反応条件によっても異なるが、通常、0.5〜20時間程度、好ましくは1〜20時間程度、より好ましくは1〜15時間程度である。0.5時間未満では高い転化率が得られにくく、一方、20時間を超えると副反応が起こり易くなる傾向が見られる。
【0061】
上記第二工程の異性化反応を実施することにより、第一工程で得られたデカヒドロナフタレン環を有する核水素化反応生成物中のシス体をトランス体に異性化することができることから(B)成分含量の高い異性化反応生成物を得ることができる。
【0062】
こうして得られた第二工程の異性化反応生成物は、触媒を濾過した後、蒸留等の慣用の方法を用いて分解生成物である低沸点成分を除去することにより(B)成分含量の高い異性化反応生成物が得られる。更に必要に応じてクロマトグラフィーや再結晶等の従来公知の方法により精製することができる。
【0063】
当該(B)成分は、必要に応じて2位のヒドロキシル基の保護基を除き、一旦クロム酸や次亜塩素酸ソーダ等を用いて6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オンに酸化されて用いられるのが一般的であり、2位のヒドロキシル基の立体配置がアキシアルかエクアトリアルかは特に問われない。
【0064】
本発明での反応方式としては、第一、第二工程ともに水素化触媒を反応溶液中に分散させて行う液相懸濁床による回分式方法、水素化触媒を反応器中に固定させ、これに反応液を作用させる固定床流通反応による連続式方法等が採用できる。例えば、懸濁床においては、オートクレーブ等の耐圧容器に水素化触媒、水素化原料及び必要に応じて溶媒を仕込み、系内を水素で置換した後、所定の温度で、所定時間攪拌する方法又は水素ガスを反応容器中に吹き込む方法が挙げられる。
【0065】
本発明の製造方法によって得られる一般式(2)で表される(B)成分は、医薬、農薬、電子材料、化学薬品等またはその製造中間体等の各種用途に用いられ、特に、液晶の製造中間体として非常に重要である。
【0066】
特に、(B)成分のなかでも特に6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールがデカヒドロナフタレン系液晶の製造中間体として好適に用いることができる。
【0067】
【実施例】
以下に、実施例を揚げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、ガスクロマトグラフ分析において、核水素化生成物のシス体とトランス体の比は、それぞれの成分の面積比であり、また、低沸点成分の量(%)は、前記シス体及びトランス体より保持時間の短い低沸点成分(炭化水素成分)の面積%の合算値である。
【0068】
実施例1
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、6−プロピル−ナフタレン−2−オール150g及び5重量%ルテニウム/アルミナ担持触媒3gを仕込み、系内を水素で置換した後、系内の圧力が5MPaとなるまで水素を導入したのち、攪拌しながら140℃まで昇温した。次いで、7時間攪拌しながら反応を続けた。冷却後、触媒を除き、核水素化反応生成物を得た。得られた核水素化反応生成物は、シス体とトランス体の比が94.3:5.7であり、低沸点成分は7.7%であった。
【0069】
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、上記で得られた核水素化反応生成物100g(低沸点分7.7%含有)とラネーニッケル触媒(Degussa社製、商品名「BLM112W」)5gを仕込み、系内を水素で置換した後、系内の圧力が160℃で0.2MPaとなるように水素を導入した。その後、攪拌しながら240℃まで昇温し、同温度で3時間異性化反応を行った。冷却後、触媒を除き、異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールが67.4重量%(シス体:トランス体=6.7:93.3)で得られた。 その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、30.9重量%、1.7重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オール中の6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは84.1重量%であった。
【0070】
実施例2
異性化反応温度を170℃とした他は実施例1を同様の操作を行い、異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールが87.6重量%(シス体:トランス体=4.8:95.1)で得られた。その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、10.7重量%、1.7重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールに含まれる6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは81.6重量%であった。
【0071】
実施例3
異性化反応温度を250℃とし、異性化触媒をCu−Cr酸化物(日揮化学社製、商品名「N203SD」)に変更した他は実施例1を同様の操作を行い、反応時間10時間で異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールが70.5重量%(シス体:トランス体=6.9:93.1)で得られた。その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、27.0重量%、2.5重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールに含まれる6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは80.5重量%であった。
【0072】
実施例4
異性化反応温度を250℃とし、異性化触媒を5%ルテニウム/カーボン(エヌイーケムキャット社製)に変更した他は実施例1を同様の操作を行い、反応時間12時間で異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールが70.0重量%(シス体:トランス体=30.0:70.0)で得られた。その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、28.0重量%、2.0重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールに含まれる6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは60.5重量%であった。
【0073】
実施例5
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、6−プロピル−ナフタレン−2−オール150g及びラネーニッケル5gを仕込み、系内を水素で置換した後、攪拌しながら系内の圧力が5MPaとなるまで水素を導入したのち、170℃まで昇温した。次いで、5時間攪拌しながら核水素化反応を続けた。5時間経過後のシス体とトランス体の比は、80.3:19.7であり、低沸点成分は16.6%であった。
【0074】
その後、攪拌しながら系内の水素圧力を0.2MPaとし、反応温度を200℃まで昇温し、同温度で8時間異性化反応を行った。冷却後、触媒を除き、異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールが3.0重量%(シス体:トランス体=5.8:94.2)で得られた。その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、25.0重量%、2.0重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オール中の6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは70.1重量%であった。
【0075】
実施例6
実施例1で得られた核水素化反応生成物100g(低沸点成分7.7%)及び安定化ニッケル(堺化学社製、商品名「SN−300」)3gを仕込み、系内を水素で置換した後、系内の圧力が160℃で0.2MPaとなるように水素を導入した。その後、攪拌しながら240℃まで昇温し、同温度で3時間異性化反応を行った。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールが65.0重量%(シス体:トランス体=5.9:94.1)で得られた。その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、32.0重量%、3.0重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オール中の6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは75.1重量%であった。
【0076】
実施例7
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、6−プロピル−ナフタレン−2−オール150g及び安定化ニッケル(堺化学社製、商品名「SN−300」)5gを仕込み、系内を水素で置換したのち、系内の圧力が5MPaとなるまで水素を導入した。その後、攪拌しながら170℃まで昇温し、同温度で15時間反応を続けた。15時間経過後のシス体とトランス体の比は、67.7:32.3であり、低沸点成分は39.1%であった。
【0077】
その後、系内の水素圧力を0.2MPaとし、反応温度を200℃まで昇温し、同温度で8時間異性化反応を行った。冷却後、触媒を除き、異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールが55重量%(シス体:トランス体=30.0:70.0)で得られた。その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、43.0重量%、2.0重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オール中の6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは70.0重量%であった。
【0078】
実施例8
核水素化触媒を5重量%パラジウム/アルミナ担持触媒及び反応時間を8時間とした他は実施例1と同様に行い、核水素化反応生成物を得た。得られた核水素化反応生成物は、シス体とトランス体の比が67.0:33.0であり、低沸点成分は20.0%であった。
【0079】
得られた核水素化反応生成物を用い、異性化反応時間を4時間とした他は実施例1と同様に行い、冷却後、触媒を除き、異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オールが65.4重量%(シス体:トランス体=7.9:92.1)で得られた。その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、31.6重量%、3.0重量%であった。ここで得られた6−プロピル−デカヒドロナフタレン−2−オール中の6−エクアトリアル−プロピル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは82.1重量%であった。
【0080】
実施例9
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、6−エチル−2−ナフトール150g及び5重量%ルテニウムアルミナ担持触媒3gを仕込み、系内を水素で置換した後、系内の圧力が5MPaとなるまで水素を導入した。その後、攪拌しながら140℃まで昇温し、同温度で5時間反応を続けた。冷却後、触媒を除き、核水素化反応生成物を得た。得られた核水素化反応生成物は、シス体とトランス体の比が94.5:5.5であり、低沸点成分は8.0%であった。
【0081】
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、上記で得られた核水素化反応生成物100g(低沸点分8.0%含有)とラネーニッケル触媒5gを仕込み、系内を水素で置換した後、攪拌しながら系内の圧力が160℃で0.2MPaとなるように水素を導入した。その後、攪拌しながら170℃まで昇温し、同温度で10時間異性化反応を行った。冷却後、触媒を除き、異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−エチル−デカヒドロナフタレン−2−オールが87.3重量%(シス体:トランス体=7.2:92.8)で得られた。 その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、10.0重量%、2.7重量%であった。ここで得られた6−エチル−デカヒドロナフタレン−2−オール中の6−エクアトリアル−エチル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは78.0重量%であった。
【0082】
実施例10
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、6−シクロヘキシル−2−ナフトール150g及び5重量%ルテニウムアルミナ担持触媒3gを仕込み、系内を水素で置換した後、系内の圧力が5MPaとなるまで水素を導入した。その後、攪拌しながら140℃まで昇温し、同温度で6時間反応を行った。冷却後、触媒を除き、核水素化反応生成物を得た。得られた核水素化反応生成物は、シス体とトランス体の比が60.0:40.0であり、低沸点成分は10.0%であった。
【0083】
電磁攪拌機を備えたステンレス製500mlオートクレーブに、上記で得られた核水素化反応生成物100g(低沸点分10.0%含有)とラネーニッケル触媒5gを仕込み、系内を水素で置換した後、攪拌しながら系内の圧力が160℃で0.2MPaとなるように水素を導入した。その後、攪拌しながら170℃まで昇温し、同温度で3時間異性化反応を行った。冷却後、触媒を除き、異性化反応生成物を得た。得られた異性化反応生成物を蒸留し、6−シクロヘキシル−デカヒドロナフタレン−2−オールが86.3重量%(シス体:トランス体=5.0:95.0)で得られた。 その他の低沸点成分及び残査は、それぞれ、12.0重量%、1.7重量%であった。ここで得られた6−シクロヘキシル−デカヒドロナフタレン−2−オール中の6−エクアトリアル−シクロヘキシル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールは90.0重量%であった。
【0084】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明により、6−アルキル−2−ナフトール及びその誘導体を原料として核水素化反応、次いで、異性化反応を行うことにより、工業的に有用な6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体を収率よく、且つ経済的に製造でき、本発明の工業的意義は極めて大きい。
Claims (10)
- 一般式(1)
で表される6−アルキル−2−ナフトール又はその誘導体(A)から一般式(2)
で表される6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体(B)を製造するに際し、(1)ニッケル、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム及びオスニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒存在下、(A)成分のナフタレン環をデカヒドロナフタレン環に核水素化反応を行う第一工程と、
(2)第一工程で得られたデカヒドロナフタレン環を有する核水素化反応生成物を、銅系触媒、亜鉛系触媒、ニッケル系触媒、貴金属系触媒及びラネー系触媒から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒存在下、デカヒドロナフタレン環の環縮合位の異性化反応を行う第二工程とを含むことを特徴とする6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。 - 第一工程の金属系触媒が、ラネー系触媒又は担体担持触媒である請求項1記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
- 第一工程の金属系触媒が、ルテニウム系触媒、パラジウム系触媒、ラネーニッケル触媒及び安定化ニッケル触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の造方法。
- 反応温度50℃〜300℃、水素分圧0.1〜50MPaで第一工程の核水素化を行う請求項1〜3のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
- 第二工程の銅系触媒が、銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
- 第二工程の亜鉛系触媒が、亜鉛、亜鉛−クロム、亜鉛−クロム酸化物、亜鉛−アルミ−クロム酸化物、亜鉛−クロム−マンガン酸化物、亜鉛−鉄酸化物及び亜鉛−鉄−アルミ酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
- 第二工程の貴金属系触媒が、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジム、イリジウム及びオスニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
- 第二工程のラネー系触媒が、ラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅及びラネー鉄から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
- 反応温度50〜300℃、水素分圧0.001〜5MPaで第二工程の異性化を行う請求項1〜8のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
- (B)成分が6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オールである請求項1〜9のいずれかに記載の6−エクアトリアル−アルキル−トランス−デカヒドロナフタレン−2−オール及びその誘導体の製造方法。
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