JP2005001994A - 尿素含有エアゾール剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】尿素を高濃度に配合し、かつ、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を配合したエアゾール剤において、尿素の経時的な安定性を向上させると共に、べたついた使用感が抑制され、さらに、噴射缶内壁のコーティングが安定化される手段を提供すること。
【解決手段】尿素と、特定の物質、具体的には、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、または、サリチル酸誘導体を組み合わせて、エアゾール剤の原液に含有させて、さらに、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、水と低級アルコールと共に配合して、好適には溶解系または可溶化系の原液として、好適には、噴射剤としてジメチルエーテル等を用いることで、経時的に安定で、べたつかずにさっぱりとした使用感が得られ、噴射缶内壁のコーティングの侵食も抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】 なし
【解決手段】尿素と、特定の物質、具体的には、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、または、サリチル酸誘導体を組み合わせて、エアゾール剤の原液に含有させて、さらに、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、水と低級アルコールと共に配合して、好適には溶解系または可溶化系の原液として、好適には、噴射剤としてジメチルエーテル等を用いることで、経時的に安定で、べたつかずにさっぱりとした使用感が得られ、噴射缶内壁のコーティングの侵食も抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚外用エアゾール用剤に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅環境や生活環境の変化により、皮膚の乾燥性疾患が増加している。
特に、秋季から春先にかけては、広範な皮膚の乾燥状態を伴う様々な疾患が多く認められ、しばしば痒みを伴うために、保湿剤や、かゆみ止めの治療薬が用いられている。
【0003】
本発明のエアゾール用剤の主要成分の一つである尿素には、皮膚の角質の保湿性を高める作用や、角質溶解作用が認められており、上記の乾燥性皮膚疾患に加えて、例えば、尋常性魚鱗癬、老人性乾皮症、アトピー性皮膚炎、進行性指掌角皮症等の皮膚疾病の治療や、薬物の経皮吸収促進剤として用いられている。また、尿素は、保湿効果に優れ、安全性が高いことから、医薬品をはじめとして、医薬部外品や化粧品にも配合されている。
【0004】
尿素を配合した製剤は、従来、クリーム、乳液、軟膏、ゲル、パップ剤等の外用剤を中心として開発されている。
しかしながら、全身性の乾燥性皮膚疾患や、身体の一部であっても、例えば、後側腹部、背部、腰部等、一般的な皮膚外用剤を塗布することが困難な部位への、尿素剤の使用を容易にするため、保湿成分として尿素を含有させたエアゾール剤を提供する試みがなされている。
【0005】
例えば、特公平7−74152号公報(特許文献1)には、尿素と特定の薬物を配合した皮膚外用液剤について記載されており、これをエアゾール剤として用い得る旨が記載されている。また、特開2002ー167328号公報(特許文献2)には、アミノ酸を尿素抑制成分として含有する、尿素含有エアゾール組成物について記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−74152号公報
【特許文献2】
特開2002−167328号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特に、特許文献2の噴射剤では、水溶性の薬物である尿素と、ジフェンヒドラミン等の水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物と共に、使用感の向上を目的として、油相成分である脂肪酸エステルが3〜20質量%配合されている。しかしながら、脂肪酸エステルのような油相成分は、使用時は心地よくても、使用後にべたつきが顕在化する傾向がある。
【0008】
また、通常のエアゾール剤に使用されているエアゾール用アルミ缶では、缶内の原液が、金属素材に直に接触しないように、内壁が、フッ化炭化水素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂によりコーティングされている。しかしながら、尿素を含有させた液状組成物を、缶内の内面コーティングと接触させて、経時での当該コーティングの安定性を観察したところ、コーティング自体の劣化や剥離が生じてしまう現象が見出された。これは、尿素のようなアルミ缶を腐食するおそれのある成分を配合する場合に、特に問題となる現象であると考えられた。
【0009】
本発明が解決すべき課題は、尿素を高濃度に配合し、かつ、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を配合したエアゾール剤において、水および低級アルコールを配合した状態で、尿素の経時的な安定性を向上させると共に、べたついた使用感が抑制され、さらに、噴射缶内壁のコーティングが安定化される手段を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、尿素と、特定の物質、具体的には、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、または、サリチル酸誘導体を組み合わせて、エアゾール剤の原液に含有させて、さらに、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、水と低級アルコールと共に配合して、好適には溶解系または可溶化系の原液として、かつ、好適には、噴射剤として、水と低級アルコール双方に相溶する噴射剤、例えば、ジメチルエーテル等を用いることで、経時的に安定で、べたつかずにさっぱりとした使用感が得られ、噴射缶内壁のコーティングの侵食も抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、尿素、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物、水、低級アルコール、並びに、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、および、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる1種あるいは2種以上、を含有する、エアゾール用組成物用液(以下、本組成物用液ともいう)を提供する発明である。
【0012】
また、本組成物溶液、および、噴射剤からなる、エアゾール用組成物(以下、本エアゾール用組成物ともいう)、並びに、本エアゾール用組成物が、エアゾール用缶に充填されてなる、エアゾール剤(以下、本エアゾール剤ともいう)、を提供する発明である。
【0013】
本発明において、「エアゾール剤」とは、エアゾール用缶および缶充填物を併せたものを意味し、「エアゾール用組成物」とは、エアゾール剤の缶充填物を意味し、「エアゾール用組成物用液」とは、エアゾール用組成物における、噴射剤を除いた原液部分を意味するものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本組成物溶液
本組成物溶液は、尿素と、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を含有することを前提とするエアゾール用の原液である。
【0015】
本組成物溶液における尿素の含有量は、溶液に対して5〜30質量%が好適であり、さらに好適には、同8〜25質量%、特に好適には、同10〜20質量%である。尿素の配合量が、溶液に対して5質量%未満であると、製剤に十分な保湿性が得られない傾向があり、同30質量%を超えると、皮膚に対する安全性に対する懸念がある。
【0016】
また、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物は、特に限定されず、皮膚外用用途に用いることが可能であり、かかる溶解性を有する薬物を広く用いることができる。具体的には、例えば、ジフェンヒドラミン、リドカイン、酢酸トコフェロール、グリチルレチン酸、L−メントール、カンフル、チモール、クロルフェニラミン、トリペレナミン、ジフェニルイミダゾール、プロメタジン、フェンベンズアミン、トリジルアミン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、プロカイン、テトラカイン、テーカイン、メピバカイン、ピペロカイン、カタカイン、プビルカイン、プラモキシン、エピロカイン、メブリルブタニカイン、プロピトカイン、ベンゾカイン、インドメタシン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェンピコノール、ピロキシカム、メフェナム酸、フルフェナム酸、フルフェナム酸ブチル、イブプロフェン、ナプロキセン、アルクロフェナク、ジクロフェナク、フェンブフェン、クリダナク、フェニルブタゾン、ブフェキサマク、メピリゾール、アセトアミノフェン、ニコチン酸ベンジルエステル、D−ボルネオール、カプサイシン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル、イクタモール、ノニル酸ワレニルアミド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの薬物は、1種を選んで、本組成物溶液に含有させることも可能であるが、2種以上を組み合わせて含有させることも可能である。
【0017】
この薬物の、本組成物溶液における含有量は、用いる薬物の種類に応じて、本組成物溶液中の低級アルコールに溶解可能な限度内で、有効性と安全性と経済性に基づいて選択することが可能であり、一義的に規定されるべきものではない。
【0018】
本組成物用液に含有させる高級脂肪酸は、炭素原子数が8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸の1種または2種以上であり、具体的には、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸、ペトロセリン酸、ウンデシリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、ドコサジエン酸、エルカ酸等が挙げられ、カプリル酸、カプリン酸、イソステアリン酸が好適である。
【0019】
また、本組成物溶液に含有させる酸性アミノ酸は、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、DL−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、D−グルタミン酸、DL−グルタミン酸、アスパラギン、および、グルタミン等から選ばれる1種または2種以上であり、これらの酸性アミノ酸の中でも、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、DL−アスパラギン酸が好適である。
【0020】
さらに、サリチル酸類として、サリチル酸と共に、または、サリチル酸とは別個に、本組成物用液に含有させるサリチル酸誘導体は、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸グリコール、および、アセチルサリチル酸等から選ばれる1種または2種であり、これらのサリチル酸類の中でも、サリチル酸が好適である。
【0021】
また、本組成物溶液における、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、および、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる1種または2種以上の含有量は、溶液に対して0.05〜5質量%が好適であり、さらに好適には、同0.1〜3質量%、特に好適には、同0.5〜2質量%である。これらの化合物の含有量が、溶液の0.05質量%未満であると、十分に尿素を製剤中で安定に保つことが困難な傾向があり、同5質量%を超えると、含有量の増大に見合った尿素の安定化効果が認められなくなり、皮膚に対する安全性に対する懸念も認められる。
【0022】
本組成物溶液に含有させる低級アルコールは、上述した水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を溶解させることが可能な、炭素原子数が、2または3の低級アルコールであり、具体的には、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、変性エタノールを挙げることができる。これらの低級アルコールの中でも、特に、エタノールまたは変性エタノールが好適である。
【0023】
本組成物溶液に含有させる低級アルコールの含有量は、好適には、溶液の5〜50質量%、さらに好適には、同10〜30質量%、特に好適には、同15〜25%である。この含有量が溶液の5質量%未満であると、上述した水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、十分量、本組成物溶液中に溶解させて含有させることが一般的に困難となり、さらに、低級アルコールにより認められるべき清涼感を、本組成物溶液を用いた製品において十分に発揮することが困難な傾向が認められる。また、液の40質量%を超えると、本組成物溶液における尿素の溶解性に悪影響が認められ、さらに、皮膚への安全性や、製品保管上の安全性にも、問題が生じはじめる傾向がある。
【0024】
本組成物溶液においては、本組成物溶液の溶解または可溶化に際し、界面活性剤が好適に用いられる。本組成物溶液に用いられる界面活性剤の種類は、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を、必要に応じて、1種または2種以上用いることが可能であるが、非イオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤を用いることが、一般的には好適である。
【0025】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、ジイソステアリン酸デカグリセリン、オレイン酸デカグリセリン、ステアリン酸デカグリセリン、モノエルカ酸グリセリン等のグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0026】
さらに、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEモノステアレート、POEジステアレート、POEモノジオレエート等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、プルロニック等のプルロニック型類、
【0027】
POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−エチルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物等、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0028】
一方、アニオン界面活性剤としては、例えば、ラルリル硫酸ナトリウム、ラルリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラルリル硫酸トリエタノールアミン、POEラルリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル類、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸トリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0029】
本組成物溶液における界面活性剤の含有量は、本組成物溶液の形態を、溶解系とするか、可溶化系とするか等によっても異なるが、一般に、液の0.01〜10質量%が好適であり、さらに好適には0.05〜5質量%、特に好適には0.1〜3質量%である。本組成物溶液に用いられる界面活性剤の配合量が少ないと、溶解や可溶化を十分に行うことが困難な傾向が認められ、逆に多すぎると、製品の使用感が悪化し、皮膚に対する安全性も損なわれる傾向が認められる。
【0030】
本組成物溶液には、上述した必須成分以外に、任意成分を、本発明の所期の効果を妨げない範囲内で含有させることができる。この任意成分としては、例えば、前述の界面活性剤以外に、多価値アルコール、水溶性薬物、アミノ酸、消臭剤、清涼剤、抗酸化剤、キレート剤、吸収促進剤、粉末類、防腐剤、香料、色剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本組成物溶液は、常法、例えば、アルコール相と水相を別々に調製し、界面活性物質の存在下で、両者を、例えば、スリーワンモーター、ホモミクサー、ディスパーミクサーのような攪拌混合機で混合することにより、均一な本組成物溶液を得ることができる。
【0032】
このようにして調製される本組成物溶液では、尿素と水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物が、経時的に安定に存在する。
【0033】
本エアゾール用組成物
本エアゾール組成物は、上述した本組成物溶液と、噴射剤の混合物である。噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテル、液化石油ガス、窒素ガス等の圧縮ガス等が挙げられ、これらを単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの噴射剤の中でも、ジメチルエーテルは、水と低級アルコールに相溶する点、化学的に安定である点、提供する使用感が良好である点等から、最適な噴射剤の一つである。また、従来の技術においては、尿素と水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、水と低級アルコールとジメチルエーテルを共存させた状態で安定化させることが困難であった点が、本発明により解決された。
【0034】
本エアゾール用組成物において、噴射剤は、噴射剤/原液(本組成物用液)との比率(質量比)で、20/80〜50/50であり、好適には、25/75〜45/55、特に好適には、30/70〜40/60である。
【0035】
本エアゾール剤
本エアゾール剤は、上述した本エアゾール用組成物が、エアゾール用缶に充填されてなる、エアゾール剤である。
【0036】
エアゾール用缶の素材としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、スチール、ブリキ、ガラス、ポリエチレンテレフタート等を挙げることができるが、アルミニウムであることが好適である。また、腐食防止のために、このエアゾール用缶の内壁面が、コーティング剤でコーティングされていることが好適である。このコーティング剤によるコーティングにより、最終的には、エアゾール用缶の内壁面が、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、または、フッ化炭化水素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化エチレンープロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)によりコーティングされていることが好適である。
【0037】
本エアゾール用組成物の、エアゾール缶への充填については、常法に従って行うことにより、本エアゾール剤が製造される。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例により、本発明を具体的に説明する。ただし、この実施例は、本発明の範囲を限定するためのものではない。なお、以下の例において「%」は特にことわらない限り「質量%」を示し、組成の表中の数値も質量%を示す。
【0039】
本発明と従来技術との比較
[実施例および比較例]
本発明の尿素配合エアゾール組成物の容器への安定性を調べるため、実施例1〜3と特定の化合物(イソステアリン酸、L−アスパラギン酸、サリチル酸:以下同様である)を用いていない比較例1〜3における安定性試験を実施した。
【0040】
結果を、第1表に示す。
(実施例の製法)
原液については、(11)〜(16)を溶解した水相部に、(6)〜(7)と(8)〜(10)の安定化剤をそれぞれ配合する。他方、(1)〜(5)を溶解したエタノール部を水相に添加し、スリーワンモーターで攪拌する。
【0041】
一方、エアゾール缶への充填については、上記原液 60質量%、噴射剤としてジメチルエーテル 40質量%を内面テフロン(登録商標)コート処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して本エアゾール組成物を調製した。
【0042】
(比較例の製法)
実施例の製法に準じてそれぞれの製剤を得た。
【0043】
[安定性試験]
安定性については、内面コーティングの状態変化、配合薬物の安定性について、50℃環境下で、1ヵ月および3ヵ月の経時品を観察して評価した。
【0044】
(1)各種容器の内面コーティングの変化について、以下の判断基準:
○:変化がみられない、
△:わずかに内面コーティングの剥離・劣化がみられる、
×:内面コーティングの剥離・劣化がみられる、
によって評価した。
【0045】
結果を、第2表に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
以上の結果から明らかなように、特定の化合物を配合していない比較例1では、内面コーティングには劣化・剥離が生じてしまったのに対し、特定の化合物を用いた、実施例1、実施例2、実施例3は、過酷な温度条件で放置しても、内面コーティングに変化は、経時的にも認められなかった。
【0048】
(2)配合薬物の安定性試験の結果については、各薬物の定量値を測定し、安定
性を評価した。
結果を、第3表に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
以上の結果から、特定の化合物を配合した実施例1〜3では尿素が安定に含有されていることが明らかとなった。
次に、本エアゾール剤の具体例を、実施例として、さらに開示する。また、これらの本エアゾール剤の製造方法は、実施例1〜3の製造方法に準ずる。なお、これらの実施例において、上記の安定性試験を行ったところ、内面コーティングも、薬物も、安定であった。
【0051】
[実施例4]
(原液、噴射剤の充填)
上記原液 65.0
ジメチルエーテル 35.0
上記原液および噴射剤を内面テフロン(登録商標)コート処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して、尿素配合エアゾール剤を調製した。
【0052】
[実施例5]
(原液、噴射剤の充填)
上記原液 70.0
ジメチルエーテル 30.0
上記原液および噴射剤を内面ポリアミドイミド処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して、尿素配合エアゾール組成物を調製した。
【0053】
[実施例6]
(原液、噴射剤の充填)
上記原液 65.0
ジメチルエーテル 35.0
上記原液および噴射剤を内面テフロン(登録商標)コート処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して、尿素配合エアゾール組成物を調製した。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、尿素を高濃度に配合し、かつ、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を配合したエアゾール剤において、水と低級アルコールを配合し、さらに、噴射剤としてジメチルエーテルを用いても、尿素と前記薬物が経時的に安定で、かつ、噴射缶内壁のコーティングに対して穏やかな、エアゾール剤における尿素の安定化手段が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚外用エアゾール用剤に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅環境や生活環境の変化により、皮膚の乾燥性疾患が増加している。
特に、秋季から春先にかけては、広範な皮膚の乾燥状態を伴う様々な疾患が多く認められ、しばしば痒みを伴うために、保湿剤や、かゆみ止めの治療薬が用いられている。
【0003】
本発明のエアゾール用剤の主要成分の一つである尿素には、皮膚の角質の保湿性を高める作用や、角質溶解作用が認められており、上記の乾燥性皮膚疾患に加えて、例えば、尋常性魚鱗癬、老人性乾皮症、アトピー性皮膚炎、進行性指掌角皮症等の皮膚疾病の治療や、薬物の経皮吸収促進剤として用いられている。また、尿素は、保湿効果に優れ、安全性が高いことから、医薬品をはじめとして、医薬部外品や化粧品にも配合されている。
【0004】
尿素を配合した製剤は、従来、クリーム、乳液、軟膏、ゲル、パップ剤等の外用剤を中心として開発されている。
しかしながら、全身性の乾燥性皮膚疾患や、身体の一部であっても、例えば、後側腹部、背部、腰部等、一般的な皮膚外用剤を塗布することが困難な部位への、尿素剤の使用を容易にするため、保湿成分として尿素を含有させたエアゾール剤を提供する試みがなされている。
【0005】
例えば、特公平7−74152号公報(特許文献1)には、尿素と特定の薬物を配合した皮膚外用液剤について記載されており、これをエアゾール剤として用い得る旨が記載されている。また、特開2002ー167328号公報(特許文献2)には、アミノ酸を尿素抑制成分として含有する、尿素含有エアゾール組成物について記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−74152号公報
【特許文献2】
特開2002−167328号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特に、特許文献2の噴射剤では、水溶性の薬物である尿素と、ジフェンヒドラミン等の水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物と共に、使用感の向上を目的として、油相成分である脂肪酸エステルが3〜20質量%配合されている。しかしながら、脂肪酸エステルのような油相成分は、使用時は心地よくても、使用後にべたつきが顕在化する傾向がある。
【0008】
また、通常のエアゾール剤に使用されているエアゾール用アルミ缶では、缶内の原液が、金属素材に直に接触しないように、内壁が、フッ化炭化水素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂によりコーティングされている。しかしながら、尿素を含有させた液状組成物を、缶内の内面コーティングと接触させて、経時での当該コーティングの安定性を観察したところ、コーティング自体の劣化や剥離が生じてしまう現象が見出された。これは、尿素のようなアルミ缶を腐食するおそれのある成分を配合する場合に、特に問題となる現象であると考えられた。
【0009】
本発明が解決すべき課題は、尿素を高濃度に配合し、かつ、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を配合したエアゾール剤において、水および低級アルコールを配合した状態で、尿素の経時的な安定性を向上させると共に、べたついた使用感が抑制され、さらに、噴射缶内壁のコーティングが安定化される手段を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、尿素と、特定の物質、具体的には、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、または、サリチル酸誘導体を組み合わせて、エアゾール剤の原液に含有させて、さらに、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、水と低級アルコールと共に配合して、好適には溶解系または可溶化系の原液として、かつ、好適には、噴射剤として、水と低級アルコール双方に相溶する噴射剤、例えば、ジメチルエーテル等を用いることで、経時的に安定で、べたつかずにさっぱりとした使用感が得られ、噴射缶内壁のコーティングの侵食も抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、尿素、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物、水、低級アルコール、並びに、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、および、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる1種あるいは2種以上、を含有する、エアゾール用組成物用液(以下、本組成物用液ともいう)を提供する発明である。
【0012】
また、本組成物溶液、および、噴射剤からなる、エアゾール用組成物(以下、本エアゾール用組成物ともいう)、並びに、本エアゾール用組成物が、エアゾール用缶に充填されてなる、エアゾール剤(以下、本エアゾール剤ともいう)、を提供する発明である。
【0013】
本発明において、「エアゾール剤」とは、エアゾール用缶および缶充填物を併せたものを意味し、「エアゾール用組成物」とは、エアゾール剤の缶充填物を意味し、「エアゾール用組成物用液」とは、エアゾール用組成物における、噴射剤を除いた原液部分を意味するものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本組成物溶液
本組成物溶液は、尿素と、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を含有することを前提とするエアゾール用の原液である。
【0015】
本組成物溶液における尿素の含有量は、溶液に対して5〜30質量%が好適であり、さらに好適には、同8〜25質量%、特に好適には、同10〜20質量%である。尿素の配合量が、溶液に対して5質量%未満であると、製剤に十分な保湿性が得られない傾向があり、同30質量%を超えると、皮膚に対する安全性に対する懸念がある。
【0016】
また、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物は、特に限定されず、皮膚外用用途に用いることが可能であり、かかる溶解性を有する薬物を広く用いることができる。具体的には、例えば、ジフェンヒドラミン、リドカイン、酢酸トコフェロール、グリチルレチン酸、L−メントール、カンフル、チモール、クロルフェニラミン、トリペレナミン、ジフェニルイミダゾール、プロメタジン、フェンベンズアミン、トリジルアミン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、プロカイン、テトラカイン、テーカイン、メピバカイン、ピペロカイン、カタカイン、プビルカイン、プラモキシン、エピロカイン、メブリルブタニカイン、プロピトカイン、ベンゾカイン、インドメタシン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェンピコノール、ピロキシカム、メフェナム酸、フルフェナム酸、フルフェナム酸ブチル、イブプロフェン、ナプロキセン、アルクロフェナク、ジクロフェナク、フェンブフェン、クリダナク、フェニルブタゾン、ブフェキサマク、メピリゾール、アセトアミノフェン、ニコチン酸ベンジルエステル、D−ボルネオール、カプサイシン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル、イクタモール、ノニル酸ワレニルアミド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの薬物は、1種を選んで、本組成物溶液に含有させることも可能であるが、2種以上を組み合わせて含有させることも可能である。
【0017】
この薬物の、本組成物溶液における含有量は、用いる薬物の種類に応じて、本組成物溶液中の低級アルコールに溶解可能な限度内で、有効性と安全性と経済性に基づいて選択することが可能であり、一義的に規定されるべきものではない。
【0018】
本組成物用液に含有させる高級脂肪酸は、炭素原子数が8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸の1種または2種以上であり、具体的には、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸、ペトロセリン酸、ウンデシリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、ドコサジエン酸、エルカ酸等が挙げられ、カプリル酸、カプリン酸、イソステアリン酸が好適である。
【0019】
また、本組成物溶液に含有させる酸性アミノ酸は、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、DL−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、D−グルタミン酸、DL−グルタミン酸、アスパラギン、および、グルタミン等から選ばれる1種または2種以上であり、これらの酸性アミノ酸の中でも、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、DL−アスパラギン酸が好適である。
【0020】
さらに、サリチル酸類として、サリチル酸と共に、または、サリチル酸とは別個に、本組成物用液に含有させるサリチル酸誘導体は、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸グリコール、および、アセチルサリチル酸等から選ばれる1種または2種であり、これらのサリチル酸類の中でも、サリチル酸が好適である。
【0021】
また、本組成物溶液における、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、および、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる1種または2種以上の含有量は、溶液に対して0.05〜5質量%が好適であり、さらに好適には、同0.1〜3質量%、特に好適には、同0.5〜2質量%である。これらの化合物の含有量が、溶液の0.05質量%未満であると、十分に尿素を製剤中で安定に保つことが困難な傾向があり、同5質量%を超えると、含有量の増大に見合った尿素の安定化効果が認められなくなり、皮膚に対する安全性に対する懸念も認められる。
【0022】
本組成物溶液に含有させる低級アルコールは、上述した水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を溶解させることが可能な、炭素原子数が、2または3の低級アルコールであり、具体的には、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、変性エタノールを挙げることができる。これらの低級アルコールの中でも、特に、エタノールまたは変性エタノールが好適である。
【0023】
本組成物溶液に含有させる低級アルコールの含有量は、好適には、溶液の5〜50質量%、さらに好適には、同10〜30質量%、特に好適には、同15〜25%である。この含有量が溶液の5質量%未満であると、上述した水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、十分量、本組成物溶液中に溶解させて含有させることが一般的に困難となり、さらに、低級アルコールにより認められるべき清涼感を、本組成物溶液を用いた製品において十分に発揮することが困難な傾向が認められる。また、液の40質量%を超えると、本組成物溶液における尿素の溶解性に悪影響が認められ、さらに、皮膚への安全性や、製品保管上の安全性にも、問題が生じはじめる傾向がある。
【0024】
本組成物溶液においては、本組成物溶液の溶解または可溶化に際し、界面活性剤が好適に用いられる。本組成物溶液に用いられる界面活性剤の種類は、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を、必要に応じて、1種または2種以上用いることが可能であるが、非イオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤を用いることが、一般的には好適である。
【0025】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、ジイソステアリン酸デカグリセリン、オレイン酸デカグリセリン、ステアリン酸デカグリセリン、モノエルカ酸グリセリン等のグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0026】
さらに、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEモノステアレート、POEジステアレート、POEモノジオレエート等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、プルロニック等のプルロニック型類、
【0027】
POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−エチルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物等、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0028】
一方、アニオン界面活性剤としては、例えば、ラルリル硫酸ナトリウム、ラルリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラルリル硫酸トリエタノールアミン、POEラルリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル類、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸トリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0029】
本組成物溶液における界面活性剤の含有量は、本組成物溶液の形態を、溶解系とするか、可溶化系とするか等によっても異なるが、一般に、液の0.01〜10質量%が好適であり、さらに好適には0.05〜5質量%、特に好適には0.1〜3質量%である。本組成物溶液に用いられる界面活性剤の配合量が少ないと、溶解や可溶化を十分に行うことが困難な傾向が認められ、逆に多すぎると、製品の使用感が悪化し、皮膚に対する安全性も損なわれる傾向が認められる。
【0030】
本組成物溶液には、上述した必須成分以外に、任意成分を、本発明の所期の効果を妨げない範囲内で含有させることができる。この任意成分としては、例えば、前述の界面活性剤以外に、多価値アルコール、水溶性薬物、アミノ酸、消臭剤、清涼剤、抗酸化剤、キレート剤、吸収促進剤、粉末類、防腐剤、香料、色剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本組成物溶液は、常法、例えば、アルコール相と水相を別々に調製し、界面活性物質の存在下で、両者を、例えば、スリーワンモーター、ホモミクサー、ディスパーミクサーのような攪拌混合機で混合することにより、均一な本組成物溶液を得ることができる。
【0032】
このようにして調製される本組成物溶液では、尿素と水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物が、経時的に安定に存在する。
【0033】
本エアゾール用組成物
本エアゾール組成物は、上述した本組成物溶液と、噴射剤の混合物である。噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテル、液化石油ガス、窒素ガス等の圧縮ガス等が挙げられ、これらを単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの噴射剤の中でも、ジメチルエーテルは、水と低級アルコールに相溶する点、化学的に安定である点、提供する使用感が良好である点等から、最適な噴射剤の一つである。また、従来の技術においては、尿素と水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を、水と低級アルコールとジメチルエーテルを共存させた状態で安定化させることが困難であった点が、本発明により解決された。
【0034】
本エアゾール用組成物において、噴射剤は、噴射剤/原液(本組成物用液)との比率(質量比)で、20/80〜50/50であり、好適には、25/75〜45/55、特に好適には、30/70〜40/60である。
【0035】
本エアゾール剤
本エアゾール剤は、上述した本エアゾール用組成物が、エアゾール用缶に充填されてなる、エアゾール剤である。
【0036】
エアゾール用缶の素材としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、スチール、ブリキ、ガラス、ポリエチレンテレフタート等を挙げることができるが、アルミニウムであることが好適である。また、腐食防止のために、このエアゾール用缶の内壁面が、コーティング剤でコーティングされていることが好適である。このコーティング剤によるコーティングにより、最終的には、エアゾール用缶の内壁面が、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、または、フッ化炭化水素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化エチレンープロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)によりコーティングされていることが好適である。
【0037】
本エアゾール用組成物の、エアゾール缶への充填については、常法に従って行うことにより、本エアゾール剤が製造される。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例により、本発明を具体的に説明する。ただし、この実施例は、本発明の範囲を限定するためのものではない。なお、以下の例において「%」は特にことわらない限り「質量%」を示し、組成の表中の数値も質量%を示す。
【0039】
本発明と従来技術との比較
[実施例および比較例]
本発明の尿素配合エアゾール組成物の容器への安定性を調べるため、実施例1〜3と特定の化合物(イソステアリン酸、L−アスパラギン酸、サリチル酸:以下同様である)を用いていない比較例1〜3における安定性試験を実施した。
【0040】
結果を、第1表に示す。
(実施例の製法)
原液については、(11)〜(16)を溶解した水相部に、(6)〜(7)と(8)〜(10)の安定化剤をそれぞれ配合する。他方、(1)〜(5)を溶解したエタノール部を水相に添加し、スリーワンモーターで攪拌する。
【0041】
一方、エアゾール缶への充填については、上記原液 60質量%、噴射剤としてジメチルエーテル 40質量%を内面テフロン(登録商標)コート処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して本エアゾール組成物を調製した。
【0042】
(比較例の製法)
実施例の製法に準じてそれぞれの製剤を得た。
【0043】
[安定性試験]
安定性については、内面コーティングの状態変化、配合薬物の安定性について、50℃環境下で、1ヵ月および3ヵ月の経時品を観察して評価した。
【0044】
(1)各種容器の内面コーティングの変化について、以下の判断基準:
○:変化がみられない、
△:わずかに内面コーティングの剥離・劣化がみられる、
×:内面コーティングの剥離・劣化がみられる、
によって評価した。
【0045】
結果を、第2表に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
以上の結果から明らかなように、特定の化合物を配合していない比較例1では、内面コーティングには劣化・剥離が生じてしまったのに対し、特定の化合物を用いた、実施例1、実施例2、実施例3は、過酷な温度条件で放置しても、内面コーティングに変化は、経時的にも認められなかった。
【0048】
(2)配合薬物の安定性試験の結果については、各薬物の定量値を測定し、安定
性を評価した。
結果を、第3表に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
以上の結果から、特定の化合物を配合した実施例1〜3では尿素が安定に含有されていることが明らかとなった。
次に、本エアゾール剤の具体例を、実施例として、さらに開示する。また、これらの本エアゾール剤の製造方法は、実施例1〜3の製造方法に準ずる。なお、これらの実施例において、上記の安定性試験を行ったところ、内面コーティングも、薬物も、安定であった。
【0051】
[実施例4]
(原液、噴射剤の充填)
上記原液 65.0
ジメチルエーテル 35.0
上記原液および噴射剤を内面テフロン(登録商標)コート処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して、尿素配合エアゾール剤を調製した。
【0052】
[実施例5]
(原液、噴射剤の充填)
上記原液 70.0
ジメチルエーテル 30.0
上記原液および噴射剤を内面ポリアミドイミド処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して、尿素配合エアゾール組成物を調製した。
【0053】
[実施例6]
(原液、噴射剤の充填)
上記原液 65.0
ジメチルエーテル 35.0
上記原液および噴射剤を内面テフロン(登録商標)コート処理耐圧エアゾールアルミ缶に充填して、尿素配合エアゾール組成物を調製した。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、尿素を高濃度に配合し、かつ、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物を配合したエアゾール剤において、水と低級アルコールを配合し、さらに、噴射剤としてジメチルエーテルを用いても、尿素と前記薬物が経時的に安定で、かつ、噴射缶内壁のコーティングに対して穏やかな、エアゾール剤における尿素の安定化手段が提供される。
Claims (8)
- 尿素、水に不溶または難溶で低級アルコールに可溶な薬物、水、低級アルコール、並びに、高級脂肪酸、酸性アミノ酸、サリチル酸、および、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる1種あるいは2種以上、を含有する、エアゾール用組成物用液。
- 高級脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、イソステアリン酸、および、オレイン酸からなる群の高級脂肪酸から選ばれる1種または2種以上であり、かつ、酸性アミノ酸が、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、若しくは、DL−アスパラギン酸である、請求項1記載のエアゾール組成物用液。
- 溶解系または可溶化系の液状組成物である、請求項1または2記載のエアゾール用組成物用液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール組成物用液、および、噴射剤からなる、エアゾール用組成物。
- 噴射剤が、ジメチルエーテルである、請求項4記載のエアゾール用組成物。
- 請求項4または5のエアゾール用組成物が、エアゾール用缶に充填されてなる、エアゾール剤。
- エアゾール用缶が、内面コーティングされたエアゾール用アルミニウム缶である、請求項6記載のエアゾール剤。
- 内面コーティングの素材が、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、または、フッ化炭化水素樹脂である、請求項7記載のエアゾール剤。
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WO2007111371A1 (ja) * | 2006-03-29 | 2007-10-04 | Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd. | 知覚過敏型肌掻痒感改善剤 |
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-
2003
- 2003-04-16 JP JP2003111750A patent/JP2005001994A/ja not_active Withdrawn
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