JP2005001299A - インクジェット記録媒体用塗工液の調製方法、送液方法、及びこれらの方法を用いたインクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】送液方法、調液方法、脱泡方法を改良、又は設置して泡の残留が無い塗工液を塗設して塗設時に発生する泡起因による故障(泡筋、尾引き、抜け等)の塗膜故障が改良された、及び空隙率の高く、ひび割れ故障がないインクジェット記録媒体用塗工液の製造方法を提供する。
【解決手段】脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に、インクジェット用分散液を送液することを特徴とするインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【選択図】 図1
【解決手段】脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に、インクジェット用分散液を送液することを特徴とするインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法、送液方法及びインクジェット記録媒体の製造方法に関し、特に泡の残留を極度に抑えたインクジェット記録媒体用塗工液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録媒体のインク受容層等の紛体の顔料等を分散する方法として、釜などの容器で分散媒と顔料を攪拌・混合するバッチ方式が知られている。この方式で分散液を作製するには、分散度を良くするためにエネルギーとして攪拌力を上げなければならず、分散液がボルテックスにより泡を巻き込み、出来上がった分散液は泡を相当含有したものになってしまう。分散液の粘度が低い場合には停滞、脱泡器で泡を抜くことは可能であるが、液が高粘度の場合もしくは高濃度液を作ろうとして分散液が高粘度になった場合等は、脱泡するのに装置負荷が大きくなり時間も必要とすることになる。
【0003】
連続分散方法での脱泡と方法としては、分散前時及び分散後に脱泡をする方法が特願2002−80557号に記載されているが、分散液が高濃度になり高粘度化された液では不十分になる懼れがあり、分散後の工程の調液工程、送液工程での脱泡に関しては記載もなく、塗工液の脱泡は不十分になると予想される。
【0004】
分散液と添加剤を混合する調液方法としては、前述の如く、釜等の容器中で分散液と添加剤を攪拌・混合等で混ぜ合わせるバッチ式の方法が知られている。この方法で調液する場合には、分散液からの持込泡、投入時の泡立ちがあり、添加剤の添加時の泡立ち、攪拌時に泡を巻き込む等、調液後の塗工液に泡が残っている状態になる可能性が大きい。
【0005】
泡が混入した塗工液を塗設すると、泡筋、尾引き、抜け(ハジキ)等の塗布故障が生じ製品にならないという問題が生じる。又、固形分濃度を上げる(高濃度)場合には粘度が上昇し、脱泡は困難になり、塗布速度が上げられず、生産性も向上しないという問題もある。更に、固形分濃度が上げられないと塗布後の乾燥工程で膜収縮の影響(推定)が大きく、ひび割れ、空隙を塞ぐことによる吸収濃度/速度が上がらない等の問題も生じる。
【0006】
尚、通常の写真感光材料等の塗布液調製脱泡方法として、溶解プロセス、混合プロセス、脱気プロセスに加えて、大径泡を除去する一次脱泡プロセスと一次脱泡後の液を加圧した加圧液に超音波を照射して小径泡を熔解する二次脱泡プロセスを有する構成が開示されている(特許文献1参照)が、この方法を高粘度のインクジェット用塗工液に適用することは出来ない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−262601号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、送液方法、調液方法、脱泡方法を改良、又は設置して泡の残留が無い塗工液を塗設して塗設時に発生する泡起因による故障(筋、尾引き、抜け等)の塗膜故障が改良された、及び空隙率の高く、「ひび割れ」故障がないインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0010】
1)脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に、インクジェット用分散液を送液するインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0011】
2)インクジェット用分散液を混合釜下弁から該混合釜に投入する1)記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0012】
3)インクジェット用分散液を混合釜壁に沿わせて投入、又は液中添加する1)記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0013】
4)脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に添加剤を添加して調液するインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0014】
5)添加剤投入が液中添加である4)記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0015】
6)アップフローの攪拌翼を用いて混合する1)〜5)の何れか1項記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0016】
7)1)〜6)の何れか1項記載の方法で調製された塗工液を、送液釜〜コーター間に少なくとも一つ以上の脱泡器を設置して送液するインクジェット記録媒体用塗工液の送液方法。
【0017】
8)1)〜7)の何れか1項記載の方法を少なくとも一つ以上用いるインクジェット記録媒体の製造方法。
【0018】
上記各請求項による作用効果について簡単に説明する。
請求項1は脱泡装置が設置されている、又は作動している混合釜に分散液を投入する方法である。脱泡装置としては、減圧、超音波等の装置が考えられる。好ましくは超音波+減圧であるが、超音波は装置コストが高く熱も発生するので、釜を密閉し減圧する装置がコスト軽減の面で好ましい。減圧の脱泡効果としては、泡を膨張させ泡浮上を促進させ、気液界面(液表面)に浮上した泡を更に膨張させ破泡させるものと考える。脱泡装置は、分散液を投入し終わってから作動させてもよいが、液粘度が高粘度、時間制限が大きい場合などは、分散液投入時から作動させた方が、液位が小さい状態から脱泡効果が得られるため、泡の浮上距離が小さく済み、脱泡効率が大きくなり時間短縮が可能になる。
【0019】
請求項2の方法は、投入時の泡立ちが無く、泡の含有量を増やすことの無いメリットが付加される。
【0020】
請求項3の方法は、分散液の泡含有量を少なく出来るので、分散液投入時から脱泡装置を作動させておけば、脱泡効果は請求項1の場合より更に効率が大きくなり、泡の含有量は相当低い状態になると考えられる。
【0021】
請求項4及び5の方法は、添加剤を分散液に添加する際に有効である。
請求項6の方法は、液中の固形物の沈降を抑制する効果があり、泡の巻込み(ボルテックス)を抑制すると共に泡を浮上させ脱泡効果を促進させることが可能である。具体例としては4枚刃のピッチドペラが好ましく、攪拌効率を考えると設置位置は釜の中心から少しずれた位置がよく、角度は水平でも傾けても問題ない。
【0022】
請求項7の方法は、送液釜までに持ち込まれた泡、上流で取りきれなかった泡、及び配管内に残っている泡を塗布前に取る目的であり、装置としては、バッファタンクを設置して超音波を照射して脱泡する方法、遠心分離機(薄膜脱泡)を用いて脱泡する方法、連続で密閉系の超音波照射等公知の脱泡方法であれば適用することは可能であるが、中でも連続で密閉系の超音波照射が好ましい。
【0023】
請求項8の製造方法により、泡起因による筋、尾引き、抜け等の故障が非常に少ない品質の良いインクジェット記録媒体が得られる。又、収率も向上しコストダウンにも寄与し、安定した生産が可能になる。
【0024】
以下、本発明をより詳細に説明する。
インクジェット記録媒体のインク受容層用の水性分散液は、水性媒体(好ましくは水)を主成分とし、親水性バインダー(好ましくはカチオン性ポリマー等)、硬膜剤(好ましくは硼酸、硼砂等)に分散質(無機顔料、好ましくは、微粒子シリカ等)を、分散機で分散した液である。分散機としては、例えば遠心方式分散機(フロージェットミキサー、ファインフローミル等)、メディア型分散機(ボールミル、サンドミル等)、超音波分散機、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられるが、中でも遠心方式分散機やメディア型分散機が好ましく、分散方法としては、2基以上(好ましくは、第1回目の分散に遠心方式の分散機1基、第2回目の分散に遠心方式の分散機1基、第3回目の分散にメディア型分散機1基)を直列に使用して分散し、水性分散液を作製する方法が好ましい。又、分散液の温度を下げるため冷却設備が、分散機や移送配管等に設置されている設備が好ましい。しかし、これらに限定されるものではない。
【0025】
以下、水性分散液を構成する素材について説明する。
(分散質)
分散質としては無機微粒子が好ましいものとして挙げられる。無機微粒子の中でも微粒子シリカが特に好ましい。
【0026】
微粒子シリカは、気相法シリカと湿式法シリカに大別でき、更に湿式法シリカはゲル法で製造されたシリカと沈降法で製造されたシリカに細分化される。
【0027】
気相法シリカは、平均1次粒径が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下である。平均1次粒径の下限は、合成上、通常3nmである。気相法により合成された微粒子シリカは、塗布液中で2次凝集してより大きな粒子を形成するが、この2次凝集粒子の平均粒径は30〜100nmであることが好ましい。
【0028】
湿式法シリカは、分散前の平均粒径が30μm以下、好ましくは0.5〜10μmである。分散後の湿式法シリカの平均粒径は200nm以下が好ましい。
【0029】
微粒子シリカの平均粒径は、粒子そのもの又は空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として示される。ここで個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0030】
本発明で使用する無機微粒子は、シリカ以外の炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー等の他、各種の天然又は合成の無機微粒子を使用することが出来る。
【0031】
(水性媒体)
水性媒体としては、最低、水を主成分とし、親水性バインダー(カチオンポリマー等)を含有する。必要に応じて、硬膜剤(硼酸、硼砂)、低級アルコール(好ましくはエチルアルコール等)、硝酸等を含有する水性溶液が、本発明においては好ましい。
【0032】
(低級アルコール)
水性媒体に好ましく用いられる低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられるが、中でもエチルアルコールが好ましい。
【0033】
(親水性バインダー)
上記無機微粒子と組み合わせて用いられる親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、プルラン、カゼイン、デキストラン等を用いることができるが、インクが含有する高沸点有機溶媒や水に対する膨潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使用するのが、印字直後の皮膜強度の点から好ましい。
【0034】
特に、皮膜形成性のためPVA又はその誘導体が好ましく、中でも平均重合度が1,000以上、最も好ましくは平均重合度が2,000以上のPVA又はその誘導体である。又、鹸化度は70〜100%が好ましく、特に80〜100%が好ましい。
【0035】
上記親水性バインダーは2種以上併用することもできるが、この場合でもPVA又はその誘導体を少なくとも50質量%以上含有していることが好ましい。
【0036】
PVA誘導体としては、カチオン変性、アニオン変性又はノニオン変性PVAが挙げられる。
【0037】
カチオン変性PVAは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロリド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロリド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロリド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0038】
カチオン変性PVAのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して通常0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。又、カチオン変性PVAの重合度は、通常、500〜4,000、好ましくは1000〜4,000である。又、酢酸ビニル基の鹸化度は、通常、60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0039】
アニオン変性PVAは、例えば特開平1−206088号に記載されるようなアニオン性基を有するPVA、特開昭61−237681号、同63−307979号に記載されるようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されるような水溶性基を有する変性PVAが挙げられる。
【0040】
又、ノニオン変性PVAとしては、例えば特開平7−9758号に記載されるようなポリアルキレンオキシド基をビニルアルコールの一部に付加したPVA誘導体、特開平8−25795号に記載される疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0041】
本発明のインクジェット記録媒体の空隙層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で3倍以上であることが高い空隙率と高い皮膜強度を得る上で好ましい。同様の観点から、更に好ましい無機微粒子/親水性バインダー比率は6以上である。この比率の上限は、皮膜の「ひび割れ」耐性の点から概ね8以下であることが好ましい。
【0042】
(硬膜剤)
インクジェット記録媒体の空隙層中には、前記親水性バインダーと架橋し得る硬膜剤を添加するのが、空隙層の造膜性改良、皮膜の耐水性、及び本発明の目的である印字後の皮膜強度を改善する点で好ましい。そのような硬膜剤としてはエポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を含有する有機硬膜剤、クロム明礬、硼酸、又は硼砂等の無機硬膜剤が挙げられる。
【0043】
親水性バインダーがPVAである場合には、特に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ系硬膜剤、硼酸又はその塩、硼砂が好ましい。硼酸としてはオルト硼酸だけでなく、メタ硼酸や四硼酸等も使用できる。
【0044】
硬膜剤の添加量は、親水性バインダー1g当たり、通常、1〜200mg、好ましくは2〜100mgである。
【0045】
(カチオン性ポリマー)
インクジェット記録媒体の空隙層中には、画像の耐水性、耐滲み性を改良する目的でカチオン性ポリマーを含有させている。カチオン性ポリマーとしては、例えば第1級〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを用いることができるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の定着性が高いこと等から、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。該カチオン性ポリマーは、水性分散液に用いられることが好ましい。好ましいカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基を有するモノマー(β−トリメチルアンモニウムメチルアクリレート・クロリド、トリメチルアンモニウムメチルスチレン・クロリド等)の単独重合、又はエチレン性不飽和化合物(アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等)との共重合によって得られる。具体的化合物例は、特開2002−47454の段落「0083」〜「0086」にP−1〜P−17として記載がある。
【0046】
これらの第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るものであれば本発明に使用できる。
【0047】
更に必要に応じて、特開昭57−36692号記載の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−15744号、特開昭61−58788号、同62−174184号等に記載のポリアリルアミン、特開昭61−47290号記載のアルカリ金属弱酸塩等を併用することができる。
【0048】
(支持体)
インクジェット記録媒体の支持体としては公知のものを適宜使用できる。透明支持体としては、例えばポリエステル系、ジアセテート系、トリアセテート系、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系、ポリイミド系各樹脂、セロハン、セルロイド等の材料から成るフィルムや板、及びガラス板などが挙げられ、この中でもOHPとして使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、PETが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては10〜200μmが好ましい。
【0049】
又、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば一般の紙、合成紙、樹脂被覆紙、布、木材、金属等から成るシートや板、及び上記の透光性支持体を公知の手段により不透明化処理したもの等を挙げることができる。不透明支持体としては、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(所謂RCペーパー)、PETに白色顔料を添加して成る所謂ホワイトペットが好ましい。支持体とインク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。本発明のインクジェット記録媒体は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録媒体であってもよい。
【0050】
本発明の記録媒体は、紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるので特に好ましい。
【0051】
記録媒体の空隙層には、塗布後乾燥時の皮膜脆弱性を改良するために、各種液滴やポリマーラテックスを含有することが好ましい。そのような液滴としては、例えば流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイルのような、室温で水に対する溶解性が約0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒、例えばスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリレート等のモノマー1種以上を、乳化重合あるいは重合後乳化分散させて得られるようなポリマーラテックスを添加することができる。このような液滴やラテックス粒子は、好ましくは親水性バインダーに対し10〜50質量%用いることができる。
【0052】
クラック防止や皮膜の脆弱性に対しては、分子量が300以下のポリオール類を含有させることも好ましい。このようなポリオール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、分子量が300以下のポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0053】
(添加剤)
インクジェット記録媒体のインク吸収層側の任意の層中には、必要に応じて各種添加剤を含有させることができる。例えば特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載される退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤;特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載される蛍光増白剤、硫酸、燐酸、酢酸、枸櫞酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0054】
記録媒体のインク吸収層側の塗布固形分の量は5〜40g/m2が好ましく、10〜30g/m2がより好ましい。
【0055】
記録媒体の乾燥膜厚は皮膜の空隙率や要求される空隙量により決まるが、一般には15μm以上、好ましくは20μm以上である。
【0056】
インク吸収層の空隙容量は、記録媒体1m2当たり10〜40mlが好ましく、15〜30mlになる範囲に調整されることがより好ましい。
【0057】
ただし、空隙容量は、J.TAPPI 紙パルプ試験方法 No.51−87「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」(ブリストー法)に記載された方法でインクジェット記録媒体のインク吸収性側を測定した時、吸収時間2秒における液体転移量(ml/m2)で表される。尚、この時使用する液体は純水(イオン交換水)であるが、測定面積の判別を容易にするために2%未満の水溶性染料を含有してもよい。
【0058】
記録媒体は、前記の空隙層を有する記録層を2層以上有してもよく、この場合、2層以上の空隙層の無機微粒子の親水性バインダーに対する比率はお互いに異なってもよい。又、上記空隙層以外に、空隙層を有さず、あるいは空隙層と共にインクに対して膨潤性の層である膨潤性層を有してもよい。
【0059】
このような膨潤性層は空隙層の下層(支持体に近い側)又は空隙層の上層(支持体から離れた側)に設けてもよく、更には、空隙層が2層以上有る場合には、空隙層の間に設けられてもよい。かかる膨潤性層には、通常、親水性バインダーが用いられ、ここに用いられる親水性バインダーとしては、前記空隙層に用いられる親水性バインダーが挙げられる。
【0060】
インクジェット記録媒体のインク吸収性層を有する側とは反対側には、カール防止や印字直後に重ね合わせた際の「くっ付き」防止やインク転写防止性を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けることが好ましい。バック層の構成は、支持体の種類や厚み、インク吸収性層の構成や厚みによっても変わるが、一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
【0061】
又、バック層には、他の記録媒体との「くっ付き」防止、筆記性改良、更にはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機又は無機の微粒子である。
【0062】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
【0063】
まず、水性分散液を作製した。
〈水性分散液の作製〉
水性媒体と湿式シリカ(T−32:トクヤマ社製)を用いて、シリカの分散濃度が、それぞれ25、30、35質量%になるよう、遠心方式の分散機(フロージェットミキサー:粉研パウテックス社製)を第1分散機として用いて第1分散を実施し、引き続き遠心方式の分散機(ファインフローミル:太平洋機工社製)を第2分散機として用いて第2分散を実施し、更に引き続き、メディア型分散機(サンドミル:アシザワ社製)を第3分散機として直列に用いて分散して第3分散を実施して3種の水性分散液(分散液1〜3)を得た。
【0064】
水性媒体は純水にカチオンポリマー(P−13)及び硼酸を、シリカ質量に対して、それぞれ4質量%及び0.3質量%になるようにした。
【0065】
分散後の粒径は、250nm、230nm及び200nmで、分散質濃度の高い方ほど小粒径である。
【0066】
【化1】
【0067】
〈インクジェット記録媒体用塗工液の作製〉
上記分散液1〜3を使用し、添加剤として親水性バインダー(PVA−235;クラレ社製)、退色防止剤、被膜柔軟化剤、粘度調整剤等を添加し、純水で総量を調整して塗工液1〜3を調製した。尚、シリカ質量/親水性バインダー=6.5になるようにした。
【0068】
【表1】
【0069】
〈インクジェット記録媒体の作製〉
原紙の両面をポリエチレンで被覆し、ゼラチン下引層を設けたRCペーパー上に、上記塗工液をバーコーターを用いて乾燥膜厚40μmとなるように塗布・乾燥してインクジェット記録媒体を作製した。
【0070】
上記工程を基準工程とし、以下に示す発泡抑制方法と組み合わせてインクジェット記録媒体を作製した(比較例1及び実施例1〜12)。
【0071】
方法1−1:分散液を混合釜に全量受け取った後、減圧脱泡する(図1参照)。
【0072】
方法1−2:減圧下の混合釜に分散液を全量投入する。
方法2:混合釜の釜下弁から分散液を投入する(図2参照)。
【0073】
方法3−1:分散液を混合釜壁に沿わせて投入する(図3参照)。
方法3−2:分散液を液中で投入する(初期は除く)。
【0074】
方法4−1:添加剤を分散液に全量投入した後、混合釜を減圧脱泡する(図4参照)。
【0075】
方法4−2:分散液が入っている混合釜を減圧しながら添加剤を投入する。
方法5:添加剤を分散液中に添加する(図5参照)。
【0076】
方法6:混合釜の攪拌にアップフローな攪拌翼を使用する(図6参照)。
方法7:分散液が脱泡装置及び/又は脱泡手段を通過して来ている(図7参照)。
【0077】
方法8:送液釜とコーターの間に脱泡器が設置される(図8参照)。
比較例1
インクジェット用分散液調製時、塗布液調製時及び塗布までの何れの工程でも脱泡を行わない。
【0078】
実施例1
方法1−1を実施(−29,420Paで30分間)。
【0079】
実施例2
方法1−2を実施(−29,420Paに減圧、全量投入後、更に30分間の減圧脱泡)。
【0080】
実施例3
方法2を実施。
【0081】
実施例4
方法3−1を実施。
【0082】
実施例5
方法3−2を実施、ただし初期は除く。
【0083】
実施例6
方法4−1を実施(−29,420Paで30分間、減圧脱泡)。
【0084】
実施例7
方法4−2を実施(−29,420Paに減圧、添加剤全量投入後、更に30分間の減圧脱泡)。
【0085】
実施例8
方法5を実施。
【0086】
実施例9
方法6を実施。
【0087】
実施例10
方法6+方法7を実施(分散液6時間停滞)。
【0088】
実施例11
方法8を実施(塗布液に超音波を照射)。
【0089】
実施例12
方法1−2+方法2+方法4−2+方法6+方法8を実施。
【0090】
比較例及び実施例1〜12それぞれから得られたインクジェット記録媒体について、泡起因による故障、ひび割れ、インク吸収量を、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
【0091】
《泡起因による故障》
記録媒体0.1m2を目視で全数チェックした。結果は全評価の平均値とする。0.1m2当たり0.2個以下であれば実用可能レベルである。
【0092】
《ひび割れ故障》
記録媒体0.1m2を目視で全数チェックし、「ひび割れ」をカウントした。結果は全評価の平均値とする。0.1m2当たり1個以下であれば実用可能レベルである。
【0093】
《最大濃度》
各記録媒体に、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM900Cを用いてベタ印字(黒)した。反射濃度をX−Light濃度計(X−Light社製)を用いて測定した。勿論、数値の大きい方が好ましい。
【0094】
【表2】
【0095】
表2より、本発明の実施により塗工液に泡の混入が殆どなく、泡起因の故障が発生しないインクジェット記録媒体が得られることが判る。又、濃縮の効果(持込み水分が少ない為の膜収縮減少)として「ひび割れ」の発生が少なく、かつ印字濃度が高いインクジェット記録媒体が得られることも判る。即ち、本発明により、塗工液の濃縮が可能になり、塗布スピードが上げられ、生産性の高い、かつ塗膜に故障が無く、印字濃度が高いインクジェット記録用紙の安定生産が可能になる。
【0096】
尚、気相法シリカ(日本アエロジルA300)で同様のテストを実施した結果も、湿式シリカ同様の好結果が得られた。
【0097】
【発明の効果】
本発明により、泡の混入がない高濃度の塗工液が作製可能になり、高速で塗布・乾燥が可能になるインクジェット記録媒体の製造方法、及び塗布液の高濃度化により乾燥工程で発生すると考えられる膜収縮が少なくなることで発生すると考えられている「ひび割れ」の発生、印字濃度の低下も改善(向上)され、塗布故障がなく、優れた印字濃度が得られる生産性の高い安定したインクジェット記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱泡方法の一例(方法1−1,1−2)を示す概略図。
【図2】本発明の脱泡方法の一例(方法2)を示す概略図。
【図3】本発明の脱泡方法の一例(a:方法3−1,b:3−2)を示す概略図。
【図4】本発明の脱泡方法の一例(方法4−1,4−2)を示す概略図。
【図5】本発明の脱泡方法の一例(方法5)を示す概略図。
【図6】本発明の脱泡方法の一例(方法6)を示す概略図。
【図7】本発明の脱泡方法の一例(方法7)を示す工程図。
【図8】本発明の脱泡方法の一例(方法8)を示す工程図。
【符号の説明】
1 混合釜
11 水性媒体製造釜
21 送液釜
2,12,22 弁
V 減圧脱泡装置
B 分散液
T 添加剤
K アップフロー型撹拌翼
P 送液ポンプ
C 塗布装置
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法、送液方法及びインクジェット記録媒体の製造方法に関し、特に泡の残留を極度に抑えたインクジェット記録媒体用塗工液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録媒体のインク受容層等の紛体の顔料等を分散する方法として、釜などの容器で分散媒と顔料を攪拌・混合するバッチ方式が知られている。この方式で分散液を作製するには、分散度を良くするためにエネルギーとして攪拌力を上げなければならず、分散液がボルテックスにより泡を巻き込み、出来上がった分散液は泡を相当含有したものになってしまう。分散液の粘度が低い場合には停滞、脱泡器で泡を抜くことは可能であるが、液が高粘度の場合もしくは高濃度液を作ろうとして分散液が高粘度になった場合等は、脱泡するのに装置負荷が大きくなり時間も必要とすることになる。
【0003】
連続分散方法での脱泡と方法としては、分散前時及び分散後に脱泡をする方法が特願2002−80557号に記載されているが、分散液が高濃度になり高粘度化された液では不十分になる懼れがあり、分散後の工程の調液工程、送液工程での脱泡に関しては記載もなく、塗工液の脱泡は不十分になると予想される。
【0004】
分散液と添加剤を混合する調液方法としては、前述の如く、釜等の容器中で分散液と添加剤を攪拌・混合等で混ぜ合わせるバッチ式の方法が知られている。この方法で調液する場合には、分散液からの持込泡、投入時の泡立ちがあり、添加剤の添加時の泡立ち、攪拌時に泡を巻き込む等、調液後の塗工液に泡が残っている状態になる可能性が大きい。
【0005】
泡が混入した塗工液を塗設すると、泡筋、尾引き、抜け(ハジキ)等の塗布故障が生じ製品にならないという問題が生じる。又、固形分濃度を上げる(高濃度)場合には粘度が上昇し、脱泡は困難になり、塗布速度が上げられず、生産性も向上しないという問題もある。更に、固形分濃度が上げられないと塗布後の乾燥工程で膜収縮の影響(推定)が大きく、ひび割れ、空隙を塞ぐことによる吸収濃度/速度が上がらない等の問題も生じる。
【0006】
尚、通常の写真感光材料等の塗布液調製脱泡方法として、溶解プロセス、混合プロセス、脱気プロセスに加えて、大径泡を除去する一次脱泡プロセスと一次脱泡後の液を加圧した加圧液に超音波を照射して小径泡を熔解する二次脱泡プロセスを有する構成が開示されている(特許文献1参照)が、この方法を高粘度のインクジェット用塗工液に適用することは出来ない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−262601号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、送液方法、調液方法、脱泡方法を改良、又は設置して泡の残留が無い塗工液を塗設して塗設時に発生する泡起因による故障(筋、尾引き、抜け等)の塗膜故障が改良された、及び空隙率の高く、「ひび割れ」故障がないインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0010】
1)脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に、インクジェット用分散液を送液するインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0011】
2)インクジェット用分散液を混合釜下弁から該混合釜に投入する1)記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0012】
3)インクジェット用分散液を混合釜壁に沿わせて投入、又は液中添加する1)記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0013】
4)脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に添加剤を添加して調液するインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0014】
5)添加剤投入が液中添加である4)記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0015】
6)アップフローの攪拌翼を用いて混合する1)〜5)の何れか1項記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
【0016】
7)1)〜6)の何れか1項記載の方法で調製された塗工液を、送液釜〜コーター間に少なくとも一つ以上の脱泡器を設置して送液するインクジェット記録媒体用塗工液の送液方法。
【0017】
8)1)〜7)の何れか1項記載の方法を少なくとも一つ以上用いるインクジェット記録媒体の製造方法。
【0018】
上記各請求項による作用効果について簡単に説明する。
請求項1は脱泡装置が設置されている、又は作動している混合釜に分散液を投入する方法である。脱泡装置としては、減圧、超音波等の装置が考えられる。好ましくは超音波+減圧であるが、超音波は装置コストが高く熱も発生するので、釜を密閉し減圧する装置がコスト軽減の面で好ましい。減圧の脱泡効果としては、泡を膨張させ泡浮上を促進させ、気液界面(液表面)に浮上した泡を更に膨張させ破泡させるものと考える。脱泡装置は、分散液を投入し終わってから作動させてもよいが、液粘度が高粘度、時間制限が大きい場合などは、分散液投入時から作動させた方が、液位が小さい状態から脱泡効果が得られるため、泡の浮上距離が小さく済み、脱泡効率が大きくなり時間短縮が可能になる。
【0019】
請求項2の方法は、投入時の泡立ちが無く、泡の含有量を増やすことの無いメリットが付加される。
【0020】
請求項3の方法は、分散液の泡含有量を少なく出来るので、分散液投入時から脱泡装置を作動させておけば、脱泡効果は請求項1の場合より更に効率が大きくなり、泡の含有量は相当低い状態になると考えられる。
【0021】
請求項4及び5の方法は、添加剤を分散液に添加する際に有効である。
請求項6の方法は、液中の固形物の沈降を抑制する効果があり、泡の巻込み(ボルテックス)を抑制すると共に泡を浮上させ脱泡効果を促進させることが可能である。具体例としては4枚刃のピッチドペラが好ましく、攪拌効率を考えると設置位置は釜の中心から少しずれた位置がよく、角度は水平でも傾けても問題ない。
【0022】
請求項7の方法は、送液釜までに持ち込まれた泡、上流で取りきれなかった泡、及び配管内に残っている泡を塗布前に取る目的であり、装置としては、バッファタンクを設置して超音波を照射して脱泡する方法、遠心分離機(薄膜脱泡)を用いて脱泡する方法、連続で密閉系の超音波照射等公知の脱泡方法であれば適用することは可能であるが、中でも連続で密閉系の超音波照射が好ましい。
【0023】
請求項8の製造方法により、泡起因による筋、尾引き、抜け等の故障が非常に少ない品質の良いインクジェット記録媒体が得られる。又、収率も向上しコストダウンにも寄与し、安定した生産が可能になる。
【0024】
以下、本発明をより詳細に説明する。
インクジェット記録媒体のインク受容層用の水性分散液は、水性媒体(好ましくは水)を主成分とし、親水性バインダー(好ましくはカチオン性ポリマー等)、硬膜剤(好ましくは硼酸、硼砂等)に分散質(無機顔料、好ましくは、微粒子シリカ等)を、分散機で分散した液である。分散機としては、例えば遠心方式分散機(フロージェットミキサー、ファインフローミル等)、メディア型分散機(ボールミル、サンドミル等)、超音波分散機、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられるが、中でも遠心方式分散機やメディア型分散機が好ましく、分散方法としては、2基以上(好ましくは、第1回目の分散に遠心方式の分散機1基、第2回目の分散に遠心方式の分散機1基、第3回目の分散にメディア型分散機1基)を直列に使用して分散し、水性分散液を作製する方法が好ましい。又、分散液の温度を下げるため冷却設備が、分散機や移送配管等に設置されている設備が好ましい。しかし、これらに限定されるものではない。
【0025】
以下、水性分散液を構成する素材について説明する。
(分散質)
分散質としては無機微粒子が好ましいものとして挙げられる。無機微粒子の中でも微粒子シリカが特に好ましい。
【0026】
微粒子シリカは、気相法シリカと湿式法シリカに大別でき、更に湿式法シリカはゲル法で製造されたシリカと沈降法で製造されたシリカに細分化される。
【0027】
気相法シリカは、平均1次粒径が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下である。平均1次粒径の下限は、合成上、通常3nmである。気相法により合成された微粒子シリカは、塗布液中で2次凝集してより大きな粒子を形成するが、この2次凝集粒子の平均粒径は30〜100nmであることが好ましい。
【0028】
湿式法シリカは、分散前の平均粒径が30μm以下、好ましくは0.5〜10μmである。分散後の湿式法シリカの平均粒径は200nm以下が好ましい。
【0029】
微粒子シリカの平均粒径は、粒子そのもの又は空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として示される。ここで個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0030】
本発明で使用する無機微粒子は、シリカ以外の炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー等の他、各種の天然又は合成の無機微粒子を使用することが出来る。
【0031】
(水性媒体)
水性媒体としては、最低、水を主成分とし、親水性バインダー(カチオンポリマー等)を含有する。必要に応じて、硬膜剤(硼酸、硼砂)、低級アルコール(好ましくはエチルアルコール等)、硝酸等を含有する水性溶液が、本発明においては好ましい。
【0032】
(低級アルコール)
水性媒体に好ましく用いられる低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられるが、中でもエチルアルコールが好ましい。
【0033】
(親水性バインダー)
上記無機微粒子と組み合わせて用いられる親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、プルラン、カゼイン、デキストラン等を用いることができるが、インクが含有する高沸点有機溶媒や水に対する膨潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使用するのが、印字直後の皮膜強度の点から好ましい。
【0034】
特に、皮膜形成性のためPVA又はその誘導体が好ましく、中でも平均重合度が1,000以上、最も好ましくは平均重合度が2,000以上のPVA又はその誘導体である。又、鹸化度は70〜100%が好ましく、特に80〜100%が好ましい。
【0035】
上記親水性バインダーは2種以上併用することもできるが、この場合でもPVA又はその誘導体を少なくとも50質量%以上含有していることが好ましい。
【0036】
PVA誘導体としては、カチオン変性、アニオン変性又はノニオン変性PVAが挙げられる。
【0037】
カチオン変性PVAは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロリド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロリド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロリド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0038】
カチオン変性PVAのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して通常0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。又、カチオン変性PVAの重合度は、通常、500〜4,000、好ましくは1000〜4,000である。又、酢酸ビニル基の鹸化度は、通常、60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0039】
アニオン変性PVAは、例えば特開平1−206088号に記載されるようなアニオン性基を有するPVA、特開昭61−237681号、同63−307979号に記載されるようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されるような水溶性基を有する変性PVAが挙げられる。
【0040】
又、ノニオン変性PVAとしては、例えば特開平7−9758号に記載されるようなポリアルキレンオキシド基をビニルアルコールの一部に付加したPVA誘導体、特開平8−25795号に記載される疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0041】
本発明のインクジェット記録媒体の空隙層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で3倍以上であることが高い空隙率と高い皮膜強度を得る上で好ましい。同様の観点から、更に好ましい無機微粒子/親水性バインダー比率は6以上である。この比率の上限は、皮膜の「ひび割れ」耐性の点から概ね8以下であることが好ましい。
【0042】
(硬膜剤)
インクジェット記録媒体の空隙層中には、前記親水性バインダーと架橋し得る硬膜剤を添加するのが、空隙層の造膜性改良、皮膜の耐水性、及び本発明の目的である印字後の皮膜強度を改善する点で好ましい。そのような硬膜剤としてはエポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を含有する有機硬膜剤、クロム明礬、硼酸、又は硼砂等の無機硬膜剤が挙げられる。
【0043】
親水性バインダーがPVAである場合には、特に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ系硬膜剤、硼酸又はその塩、硼砂が好ましい。硼酸としてはオルト硼酸だけでなく、メタ硼酸や四硼酸等も使用できる。
【0044】
硬膜剤の添加量は、親水性バインダー1g当たり、通常、1〜200mg、好ましくは2〜100mgである。
【0045】
(カチオン性ポリマー)
インクジェット記録媒体の空隙層中には、画像の耐水性、耐滲み性を改良する目的でカチオン性ポリマーを含有させている。カチオン性ポリマーとしては、例えば第1級〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを用いることができるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の定着性が高いこと等から、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。該カチオン性ポリマーは、水性分散液に用いられることが好ましい。好ましいカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基を有するモノマー(β−トリメチルアンモニウムメチルアクリレート・クロリド、トリメチルアンモニウムメチルスチレン・クロリド等)の単独重合、又はエチレン性不飽和化合物(アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等)との共重合によって得られる。具体的化合物例は、特開2002−47454の段落「0083」〜「0086」にP−1〜P−17として記載がある。
【0046】
これらの第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るものであれば本発明に使用できる。
【0047】
更に必要に応じて、特開昭57−36692号記載の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−15744号、特開昭61−58788号、同62−174184号等に記載のポリアリルアミン、特開昭61−47290号記載のアルカリ金属弱酸塩等を併用することができる。
【0048】
(支持体)
インクジェット記録媒体の支持体としては公知のものを適宜使用できる。透明支持体としては、例えばポリエステル系、ジアセテート系、トリアセテート系、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系、ポリイミド系各樹脂、セロハン、セルロイド等の材料から成るフィルムや板、及びガラス板などが挙げられ、この中でもOHPとして使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、PETが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては10〜200μmが好ましい。
【0049】
又、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば一般の紙、合成紙、樹脂被覆紙、布、木材、金属等から成るシートや板、及び上記の透光性支持体を公知の手段により不透明化処理したもの等を挙げることができる。不透明支持体としては、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(所謂RCペーパー)、PETに白色顔料を添加して成る所謂ホワイトペットが好ましい。支持体とインク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。本発明のインクジェット記録媒体は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録媒体であってもよい。
【0050】
本発明の記録媒体は、紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるので特に好ましい。
【0051】
記録媒体の空隙層には、塗布後乾燥時の皮膜脆弱性を改良するために、各種液滴やポリマーラテックスを含有することが好ましい。そのような液滴としては、例えば流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイルのような、室温で水に対する溶解性が約0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒、例えばスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリレート等のモノマー1種以上を、乳化重合あるいは重合後乳化分散させて得られるようなポリマーラテックスを添加することができる。このような液滴やラテックス粒子は、好ましくは親水性バインダーに対し10〜50質量%用いることができる。
【0052】
クラック防止や皮膜の脆弱性に対しては、分子量が300以下のポリオール類を含有させることも好ましい。このようなポリオール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、分子量が300以下のポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0053】
(添加剤)
インクジェット記録媒体のインク吸収層側の任意の層中には、必要に応じて各種添加剤を含有させることができる。例えば特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載される退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤;特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載される蛍光増白剤、硫酸、燐酸、酢酸、枸櫞酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0054】
記録媒体のインク吸収層側の塗布固形分の量は5〜40g/m2が好ましく、10〜30g/m2がより好ましい。
【0055】
記録媒体の乾燥膜厚は皮膜の空隙率や要求される空隙量により決まるが、一般には15μm以上、好ましくは20μm以上である。
【0056】
インク吸収層の空隙容量は、記録媒体1m2当たり10〜40mlが好ましく、15〜30mlになる範囲に調整されることがより好ましい。
【0057】
ただし、空隙容量は、J.TAPPI 紙パルプ試験方法 No.51−87「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」(ブリストー法)に記載された方法でインクジェット記録媒体のインク吸収性側を測定した時、吸収時間2秒における液体転移量(ml/m2)で表される。尚、この時使用する液体は純水(イオン交換水)であるが、測定面積の判別を容易にするために2%未満の水溶性染料を含有してもよい。
【0058】
記録媒体は、前記の空隙層を有する記録層を2層以上有してもよく、この場合、2層以上の空隙層の無機微粒子の親水性バインダーに対する比率はお互いに異なってもよい。又、上記空隙層以外に、空隙層を有さず、あるいは空隙層と共にインクに対して膨潤性の層である膨潤性層を有してもよい。
【0059】
このような膨潤性層は空隙層の下層(支持体に近い側)又は空隙層の上層(支持体から離れた側)に設けてもよく、更には、空隙層が2層以上有る場合には、空隙層の間に設けられてもよい。かかる膨潤性層には、通常、親水性バインダーが用いられ、ここに用いられる親水性バインダーとしては、前記空隙層に用いられる親水性バインダーが挙げられる。
【0060】
インクジェット記録媒体のインク吸収性層を有する側とは反対側には、カール防止や印字直後に重ね合わせた際の「くっ付き」防止やインク転写防止性を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けることが好ましい。バック層の構成は、支持体の種類や厚み、インク吸収性層の構成や厚みによっても変わるが、一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
【0061】
又、バック層には、他の記録媒体との「くっ付き」防止、筆記性改良、更にはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機又は無機の微粒子である。
【0062】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
【0063】
まず、水性分散液を作製した。
〈水性分散液の作製〉
水性媒体と湿式シリカ(T−32:トクヤマ社製)を用いて、シリカの分散濃度が、それぞれ25、30、35質量%になるよう、遠心方式の分散機(フロージェットミキサー:粉研パウテックス社製)を第1分散機として用いて第1分散を実施し、引き続き遠心方式の分散機(ファインフローミル:太平洋機工社製)を第2分散機として用いて第2分散を実施し、更に引き続き、メディア型分散機(サンドミル:アシザワ社製)を第3分散機として直列に用いて分散して第3分散を実施して3種の水性分散液(分散液1〜3)を得た。
【0064】
水性媒体は純水にカチオンポリマー(P−13)及び硼酸を、シリカ質量に対して、それぞれ4質量%及び0.3質量%になるようにした。
【0065】
分散後の粒径は、250nm、230nm及び200nmで、分散質濃度の高い方ほど小粒径である。
【0066】
【化1】
【0067】
〈インクジェット記録媒体用塗工液の作製〉
上記分散液1〜3を使用し、添加剤として親水性バインダー(PVA−235;クラレ社製)、退色防止剤、被膜柔軟化剤、粘度調整剤等を添加し、純水で総量を調整して塗工液1〜3を調製した。尚、シリカ質量/親水性バインダー=6.5になるようにした。
【0068】
【表1】
【0069】
〈インクジェット記録媒体の作製〉
原紙の両面をポリエチレンで被覆し、ゼラチン下引層を設けたRCペーパー上に、上記塗工液をバーコーターを用いて乾燥膜厚40μmとなるように塗布・乾燥してインクジェット記録媒体を作製した。
【0070】
上記工程を基準工程とし、以下に示す発泡抑制方法と組み合わせてインクジェット記録媒体を作製した(比較例1及び実施例1〜12)。
【0071】
方法1−1:分散液を混合釜に全量受け取った後、減圧脱泡する(図1参照)。
【0072】
方法1−2:減圧下の混合釜に分散液を全量投入する。
方法2:混合釜の釜下弁から分散液を投入する(図2参照)。
【0073】
方法3−1:分散液を混合釜壁に沿わせて投入する(図3参照)。
方法3−2:分散液を液中で投入する(初期は除く)。
【0074】
方法4−1:添加剤を分散液に全量投入した後、混合釜を減圧脱泡する(図4参照)。
【0075】
方法4−2:分散液が入っている混合釜を減圧しながら添加剤を投入する。
方法5:添加剤を分散液中に添加する(図5参照)。
【0076】
方法6:混合釜の攪拌にアップフローな攪拌翼を使用する(図6参照)。
方法7:分散液が脱泡装置及び/又は脱泡手段を通過して来ている(図7参照)。
【0077】
方法8:送液釜とコーターの間に脱泡器が設置される(図8参照)。
比較例1
インクジェット用分散液調製時、塗布液調製時及び塗布までの何れの工程でも脱泡を行わない。
【0078】
実施例1
方法1−1を実施(−29,420Paで30分間)。
【0079】
実施例2
方法1−2を実施(−29,420Paに減圧、全量投入後、更に30分間の減圧脱泡)。
【0080】
実施例3
方法2を実施。
【0081】
実施例4
方法3−1を実施。
【0082】
実施例5
方法3−2を実施、ただし初期は除く。
【0083】
実施例6
方法4−1を実施(−29,420Paで30分間、減圧脱泡)。
【0084】
実施例7
方法4−2を実施(−29,420Paに減圧、添加剤全量投入後、更に30分間の減圧脱泡)。
【0085】
実施例8
方法5を実施。
【0086】
実施例9
方法6を実施。
【0087】
実施例10
方法6+方法7を実施(分散液6時間停滞)。
【0088】
実施例11
方法8を実施(塗布液に超音波を照射)。
【0089】
実施例12
方法1−2+方法2+方法4−2+方法6+方法8を実施。
【0090】
比較例及び実施例1〜12それぞれから得られたインクジェット記録媒体について、泡起因による故障、ひび割れ、インク吸収量を、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
【0091】
《泡起因による故障》
記録媒体0.1m2を目視で全数チェックした。結果は全評価の平均値とする。0.1m2当たり0.2個以下であれば実用可能レベルである。
【0092】
《ひび割れ故障》
記録媒体0.1m2を目視で全数チェックし、「ひび割れ」をカウントした。結果は全評価の平均値とする。0.1m2当たり1個以下であれば実用可能レベルである。
【0093】
《最大濃度》
各記録媒体に、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM900Cを用いてベタ印字(黒)した。反射濃度をX−Light濃度計(X−Light社製)を用いて測定した。勿論、数値の大きい方が好ましい。
【0094】
【表2】
【0095】
表2より、本発明の実施により塗工液に泡の混入が殆どなく、泡起因の故障が発生しないインクジェット記録媒体が得られることが判る。又、濃縮の効果(持込み水分が少ない為の膜収縮減少)として「ひび割れ」の発生が少なく、かつ印字濃度が高いインクジェット記録媒体が得られることも判る。即ち、本発明により、塗工液の濃縮が可能になり、塗布スピードが上げられ、生産性の高い、かつ塗膜に故障が無く、印字濃度が高いインクジェット記録用紙の安定生産が可能になる。
【0096】
尚、気相法シリカ(日本アエロジルA300)で同様のテストを実施した結果も、湿式シリカ同様の好結果が得られた。
【0097】
【発明の効果】
本発明により、泡の混入がない高濃度の塗工液が作製可能になり、高速で塗布・乾燥が可能になるインクジェット記録媒体の製造方法、及び塗布液の高濃度化により乾燥工程で発生すると考えられる膜収縮が少なくなることで発生すると考えられている「ひび割れ」の発生、印字濃度の低下も改善(向上)され、塗布故障がなく、優れた印字濃度が得られる生産性の高い安定したインクジェット記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱泡方法の一例(方法1−1,1−2)を示す概略図。
【図2】本発明の脱泡方法の一例(方法2)を示す概略図。
【図3】本発明の脱泡方法の一例(a:方法3−1,b:3−2)を示す概略図。
【図4】本発明の脱泡方法の一例(方法4−1,4−2)を示す概略図。
【図5】本発明の脱泡方法の一例(方法5)を示す概略図。
【図6】本発明の脱泡方法の一例(方法6)を示す概略図。
【図7】本発明の脱泡方法の一例(方法7)を示す工程図。
【図8】本発明の脱泡方法の一例(方法8)を示す工程図。
【符号の説明】
1 混合釜
11 水性媒体製造釜
21 送液釜
2,12,22 弁
V 減圧脱泡装置
B 分散液
T 添加剤
K アップフロー型撹拌翼
P 送液ポンプ
C 塗布装置
Claims (8)
- 脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に、インクジェット用分散液を送液することを特徴とするインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
- インクジェット用分散液を混合釜下弁から該混合釜に投入することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
- インクジェット用分散液を混合釜壁に沿わせて投入、又は液中添加することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
- 脱泡装置が設置されている混合釜、又は脱泡装置が作動している混合釜に添加剤を添加して調液することを特徴とするインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
- 添加剤投入が液中添加であることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
- アップフローの攪拌翼を用いて混合することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のインクジェット記録媒体用塗工液の調製方法。
- 請求項1〜6の何れか1項記載の方法で調製された塗工液を、送液釜〜コーター間に少なくとも一つ以上の脱泡器を設置して送液することを特徴とするインクジェット記録媒体用塗工液の送液方法。
- 請求項1〜7の何れか1項記載の方法を少なくとも一つ以上用いることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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2003
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