JP2005000872A - クリア塗装品の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塗膜として少なくとも、着色層であるベースコート層5aとその上層のクリア層5bとを有するクリア塗装品1の、クリア層5bに生じる塗装不良箇所を補修するにあたり、樹脂粒子を主成分とする投射材をクリア層表面に投射し、少なくともクリア層5bの表層部を剥離し、次いで、剥離した部分にクリア層用塗料6を再塗装する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗膜として少なくとも、着色層であるベースコート層とその上層のクリア層とを有するクリア塗装品の、該クリア層に生じる塗装不良箇所を補修するクリア塗装品の補修方法に関する。この補修方法は、自動車、電気機器、建設、化学等ほぼ全ての製造業におけるクリア塗装工程で使用することができ、塗装不良品のリサイクル、塗装品の表面処理、装飾品の工芸等の用途に利用される。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の塗膜は、通常、素材である鋼を保護し防食性を与える下塗り塗膜と、車体等に色彩と光沢、質感を与え消費者の嗜好を満足させる上塗り塗膜と、それらの間に配した中塗り塗膜とを有する。
【0003】
また、かかる上塗り塗膜としては、着色層であるベースコートと、表面を平滑にして光沢を与えるクリア層より成る、いわゆる2コート1ベーク塗膜が広く採用されている。この場合、アルミニウム顔料やマイカ顔料のような比較的大きな光輝材を含むベースコート上に、未硬化のまま顔料を含まないクリア層用塗料を塗装し乾燥硬化するもので、透明感と耐久性、特に耐光性、耐水性、耐薬品性等を必要とするため、メラミン樹脂を架橋剤とするアクリル樹脂が一般に用いられる。また、近年、クリア層については、酸性雨による塗膜の劣化を防止するため、新しい反応形式による硬化系も提案されている。
【0004】
かかるクリア層塗装工程で発生する、気泡や微粉による表面のぶつぶつ状の塗装不良品等は、これまで溶剤で塗料を剥離し、再度、塗装する補修法が採られてきた。また、下塗り塗膜、上塗り塗膜、およびそれらの間に配した中塗り塗膜からなる塗膜層全てをブラスト処理で剥離する補修法も採られてきた。あるいは、補修せずに、不良品を廃棄してしまうこともあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の補修法における溶剤による塗膜の剥離は、使用済み溶剤の廃棄に伴い環境問題を引き起こすだけでなく、作業者の健康を害するおそれがあり、また揮発性溶剤の場合には作業環境を整えるための設備に費用がかかった。さらに、剥離を必要とする箇所以外の部位まで溶剤の影響を受け、その部位を傷めてしまうという問題もあった。
【0006】
また、溶剤による剥離や従来のブラスト処理では、下塗り、中塗り、上塗り等、2層以上の塗装を行っている塗膜の全ての層を剥離してしまうため、表層のクリア塗装部分のリサイクルは実質上不可能であった。
【0007】
そこで本発明の目的は、表層部にクリア層が形成された製品に対して、そのクリア層のみを剥離し、クリア層用塗料を再塗装してクリア層を再生することを可能とするクリア塗装品の補修方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、クリア塗装品に対し、使用する投射材として特定の投射材を選択することにより、クリア塗装部の全部もしくは一部の剥離を行うことができ、部分的に白濁化が発生するものの再塗装により所望の製品の透明度を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明のクリア塗装品の補修方法は、塗膜として少なくとも、着色層であるベースコート層とその上層のクリア層とを有するクリア塗装品の、該クリア層に生じる塗装不良箇所を補修するにあたり、樹脂粒子を主成分とする投射材をクリア層表面に投射し、少なくともクリア層の表層部を剥離し、次いで、剥離した部分にクリア層用塗料を再塗装することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の方法は、前記クリア層が乾燥状態では透明層であるクリア塗装品に好適に適用することができる。
【0011】
前記投射材は、好ましくは熱硬化性樹脂粒子を主成分とする投射材であり、より好ましくは前記熱硬化性樹脂がメラミン系、ユリア系、及びフェノール系の熱硬化性樹脂からなる群から選択される。また、かかる投射材は、界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子に、酸化鉄、酸化チタン、クロム、カーボンからなる群から選択される1種以上の無機粒子を0.02〜20質量%含有してなる粒子であることが好ましい。
【0012】
あるいはまた、前記投射材を、熱可塑性樹脂基材中に金属系粒子を20〜90質量%含有してなる粒子とすることも好ましく、かかる熱可塑性樹脂は、好ましくはポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である。また、前記金属系粒子は、好ましくはフェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステンからなる群から選ばれる1種以上である。
【0013】
本発明の方法では、前記投射材の粒径は、好ましくは500μm以下であり、また前記投射材の投射圧力は、好ましくは0.7MPa以下である。
【0014】
本発明の方法により、クリア塗装品の表面における気泡や微粉によるぶつぶつ状の塗装不良を良好に補修することができ、また表面に付着した異物を除去したり、クリア層の劣化品を再生させたりすることもできる。なお、本発明に係る投射材以外の投射材、例えば、SUS、Al2O3等の金属系投射材や、セラミック、ガラス等の無機系投射材を使用した場合には、クリア層の剥離処理後に表面に残留した(付着又は突き刺さった)投射材の成分が、再度クリア塗装した際に、塗料のはじき現像を生じさせるため、製品を再生することは不可能であった。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明において、補修の対象とするクリア塗装品は、塗膜として少なくとも、着色層であるベースコート層とその上層のクリア層とを有するものであり、自動車、電気機器、建設、化学等、ほぼ全ての製造業において製造される既知のクリア塗装品全てが対象となる。
【0016】
かかるクリア層は、通常、乾燥状態では透明層であり、メラミン樹脂を架橋剤とするアクリル樹脂やウレタン系樹脂が一般に用いられている。本発明の補修方法は、これら樹脂に対し、好適に適用することができるが、ウレタン系樹脂に対し、特に好適である。
【0017】
クリア塗装品のクリア層に生じる塗装不良箇所を補修するにあたり、クリア層表面に投射する投射材は、樹脂粒子を主成分とするものである。以下、この樹脂粒子について詳述する。
【0018】
樹脂粒子の第1好適例として、熱硬化性樹脂により形成される樹脂粒子を挙げることができる。ここで用いられる熱硬化性樹脂としては、必要とされる耐熱性、耐衝撃性、耐摩耗性などを満たせば任意に選択することができ、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂、エポキシ系樹脂、グアナミン系樹脂等が例示されるが、なかでも、耐熱性、耐衝撃性の観点からは、メラミン系、ユリア系、及びフェノール系の熱硬化性樹脂が好ましい。
【0019】
これらの樹脂は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を用いる場合には、樹脂ブレンド、樹脂同士の共重合体、樹脂を構成するモノマー同士の共重合体、或いは異なる樹脂粒子同士の混合物として使用してもよい。
【0020】
また、本発明に係る熱硬化性樹脂粒子は、固体粒子への所望されない付着を防止する観点から界面活性剤を含まないことが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂を粒子状に成形する工程においても、界面活性剤を含有しない工程を選択するか、界面活性剤を用いた造粒を行う場合には、使用前に洗浄して表面に界面活性剤が残存しないようにする。
【0021】
投射材として熱硬化性樹脂粒子を使用する場合、この熱硬化性樹脂に、さらに、酸化鉄、酸化チタン、クロム、カーボンからなる群から選択される1種以上の無機粒子を0.02〜20質量%配合、充填してもよい。これらの無機粒子を併用することで、クリア層の剥離効率を向上することができる。ここで用いられる前記無機粒子の好ましい粒径は、球形に近い形状の場合、平均粒径は、5〜500μm程度が好ましく、8〜400μmの範囲がより好ましく、特に10〜300μmの範囲が好ましい。ここに配合される無機粒子は、少量が固体表面に付着残存したとしても、錆の発生や塗料のハジキなどは生じない材料により形成されている。
【0022】
樹脂粒子の第2好適例として、熱可塑性樹脂をバインダーとし、金属系粒子を含有する粒子を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂の中から選ばれる1種単独又は2種以上の併用が好適である。
【0023】
本発明で使用されるポリアミド系熱可塑性樹脂としては、具体的にはナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン6系共重合樹脂、ナイロン12樹脂、及びこれらの変性樹脂並びに誘導体樹脂が挙げられる。このポリアミド系樹脂のMFI(メルトフローインデックス)としては、ASTM D1238G規格(235℃、2160g荷重の条件)で、1.5〜10のものが好ましい。ポリアミド系樹脂をバインダーとする投射材は、特に強靭で耐摩耗性や耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
【0024】
本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂は一般式(−O−R−O−CO−)nで表される熱可塑性樹脂であり、この中でもRが芳香族環、特にRがビスフェノールAである芳香族ポリカーボネートが好ましい。このポリカーボネート系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(280℃、2160g荷重の条件)で、2.0〜16のものが好ましい。ポリカーボネート系樹脂をバインダーとする投射材は、特に高剛性で耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
【0025】
本発明で使用されるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)系樹脂は、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合体系の熱可塑性樹脂であり、種々の市販のABS系樹脂から選択できる。このABS系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(220℃、10kg荷重の条件)で、3.0〜33のものが好ましい。ABS系樹脂をバインダーとする投射材は、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また耐熱性及び耐衝撃性にも優れる。
【0026】
本発明で使用されるポリプロピレン(PP)系樹脂は、結晶性の立体規則性PP重合体であり、種々の市販のPP系樹脂から選択して使用できる。このPP系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(230℃、2160g荷重の条件)で、0.4〜40のものが好ましい。PP系樹脂をバインダーとする投射材も、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また、耐薬品性があり、高強度で耐熱性及び耐衝撃性にも優れる。
【0027】
本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂は、種々の市販のPET系樹脂から選択できる。このPET系樹脂をバインダーとする投射材は、成形加工性にやや難点があるが、極めて強靭で耐水性が有り耐熱性及び耐衝撃性にも優れている。
【0028】
投射材のバインダー樹脂として、2種類以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、2種類以上の樹脂をブレンドしたものであっても、2種類以上の樹脂を共重合させたものであってもよく、2種類以上の樹脂のモノマーを共重合させたものであってもよい。
【0029】
前記バインダー樹脂中に充填される金属系粒子としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物等の粒子が挙げられ、この中でも特にフェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステンの中から選ばれる粒子が好適である。これらの金属系粒子は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0030】
高硬度で高剛性の金属系粒子を選択した、或いは金属系粒子の充填量を増加させた高比重の投射材は、硬度が高いので、クリア層が強固である場合に好適である。また、低硬度で低剛性の金属系粒子を選択した、或いは金属系粒子の充填量を減少させた低比重の投射材は、低硬度であるので、被投射体であるクリア層が柔軟である場合に好適である。
【0031】
上記金属系粒子としての、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステン等の形状には、特に制限はなく、粒状物、鱗片状物、繊維状物、粉砕状物等の何れも使用できる。ここで、球状、粉砕状、繊維状の金属系粒子を充填することにより、投射材の整粒時の粉砕工程及び投射時における静電気の発生を防止することができ、いずれの場合も、クリア層剥離効果を高めることができる。
【0032】
なお、金属系材料として特有の色相を有する酸化鉄や酸化鉄を含む化合物(フェライト等)、具体的にはαFeOOH、βFeOOH、γFeOOH、αFe2O3、γFe2O3、Fe2O4、MoFe2O3、Mo6Fe2O3等を含む化合物を粒子に充填することにより、投射材に着色を付与して色分けをすることが可能となり、製品の仕分けや管理の上で好都合である。
【0033】
これらの金属系粒子の形状が球形に近い場合の粒径は、5〜500μm程度が好ましく、8〜400μmの範囲がより好ましく、特に10〜300μmの範囲が好ましい。また、金属、或いは酸化鉄や酸化鉄を含む化合物(フェライト等)を顔料(着色材)として用いる場合には、粒径が10μm以下、特に5μm以下、取り分け1μm以下のものが好ましい。
【0034】
本発明の方法に用いる投射材では、上記金属系粒子の充填量は、熱可塑性樹脂をバインダーとして、20〜90質量%であることが好ましく、クリア層剥離効果の観点からは、さらに25〜80質量%が好ましく、特に30〜70質量%が好ましい。充填量が上記範囲において、粒子を成形する際の、混合、溶融押出し、粉砕等の加工作業性が良好である。
【0035】
本発明では、クリア層用塗料の種類、塗膜厚、塗装品形状に応じて、上記の熱硬化性樹脂、或いは、バインダーとなる熱可塑性樹脂やそこに充填される金属系粒子の種類や充填量、更には投射材の、粒径、投射圧力、投射距離、投射角度等を適宜調製することにより、クリア塗装部の全部もしくは一部の剥離を行うことができ、部分的に白濁化が発生するものの再塗装により所望の製品の透明度を得ることができる。
【0036】
本発明においては、投射材の比重は2.0〜12.0の範囲に設定されるのが好ましく、その硬度は、モース硬度で3.0以上であることが好ましい。
【0037】
前記いずれの好適例の樹脂粒子においても、さらに導電性粒子を添加することが樹脂投射材の帯電防止の観点から好ましい。導電性粒子としては、Au、Ag、Cu、Pd、Al、Crなどの金属粒子、In2O3、SnO2、ZnO、TiO2、CdIn2O4、In2O3−ZnOなどの酸化物半導体粒子、導電性高分子粒子などが挙げられる。導電性粒子の粒径は0.1μm〜50μmの範囲であることが好ましい。また、配合量としては、樹脂粒子に対して3〜50質量%程度であることが好ましい。
【0038】
本発明の方法に用いる投射材では、本発明の効果を損なわない範囲で、更に有機充填材や無機充填材、及び静電気防止剤や酸化防止剤、老化防止剤、顔料等の添加材を配合してもよい。この有機充填材としてはセルロース、セルロース誘導体、α−セルロース及び木粉の1種又は2種以上が挙げられる。
【0039】
上記の有機充填材を配合することにより投射材の靱性を高めることができる。なお、有機充填材の配合量は50質量部を超えると、投射材の粒子強度が低くなりすぎる。有機充填材を配合する場合は5質量部以上配合することにより上記の効果を十分に得ることができるが、特に10〜40質量部とりわけ20〜30質量部配合することが好ましい。
【0040】
本発明の投射材を構成する粒子は、すべて均一組成のものであってもよく、異なる組成の粒子の集合体よりなるものであってもよい。
【0041】
本発明の方法に用いる投射材は、上述の各粒子材料及び必要に応じて用いられる添加剤等を充填してなる樹脂材料の塊(インゴット)或いはペレットを、例えば、粉砕機又は破砕機にかけて粉砕又は破砕して、所望の粒度に整粒することにより得られる。金属系粒子などを充填する場合には、充填及び混練等の作業性を改善する目的で、カップリング剤を加えて、金属系粒子の表面をカップリング乃至は被覆処理をしてもよい。なお、この粉砕又は破砕時に、上記の金属系粒子や有機充填材を加えてもよい。
【0042】
本発明に用いる投射材の平均粒径は通常500μm以下であり、特には、10μm〜500μmであることが好ましく、15μm〜300μmであることがより好ましい。粒径がこの範囲において、効率よくクリア層の剥離を行うことができる。
【0043】
投射材をクリア塗装品表面に加圧して投射する際の手段としては、公知の方法、すなわち、投射材粉体を流体流と共に高速で吹き付ける方法を任意に選択して用いることができるが、作業環境及び後処理の観点より、一般には乾式ブラスト法が望ましい。この乾式ブラスト法には、(イ)粉体をノズルより高い位置にあるタンクに投入し重力によってタンク底部に設けられた排出口に落下した粉体を圧縮気体と共にノズルから噴射させる重力式ブラスト法、(ロ)粉体圧送タンク内に粉体を封入してタンクに圧縮気体を送り込み、タンク底部に設けられた排出口から排出したタンクに圧縮気体と共にノズルから噴出させる直圧式ブラスト法、(ハ)粉体をノズルより低い位置にあるタンクに投入し、圧縮気体のサクションによってタンク底部に設けられた排出口から排出された粉体を圧縮気体と共にノズルから噴出させるサイフォン式ブラスト法、等が挙げられるが、本発明には上記いずれの加圧投射方法も使用することができる。
【0044】
本発明において、ブラスト処理の条件としては、圧縮空気流とともに圧送される投射材を、例えば、内径がφ2〜φ10mmの噴射ノズル(図示せず)を用いてクリア塗装品表面に、好適噴射圧0.7MPa以下、より好適な噴射圧0.5MPa以下で、好適投射距離30〜700mmにて吹き付ける。
【0045】
図1に従い、鋼母材2の表面に、素材である鋼を保護し防食性を与える下塗り塗膜3と、車体等に色彩と光沢、質感を与え消費者の嗜好を満足させる上塗り塗膜5と、それらの間に配した中塗り塗膜4とを有するクリア塗装品1(図1(イ))を補修する場合について具体的に説明する。
【0046】
図1(イ)に見られるように、着色層であるベースコート層5aと、表面を平滑にして光沢を与えるクリア層5bより成る上塗り塗膜5においては、クリア層5bに異物11が混入していたり、気泡12が形成されていたり、汚れ13が付着していたり、さらには劣化14が生じたりしている。
【0047】
(イ)に示す補修すべきクリア塗装品1に対し、本発明に従いブラスト処理を施すと、クリア層5bは(ロ)に示すように剥離される。即ち、ブラスト処理により、投射材がクリア層5bに衝突し、投射材自身の一部が破壊、分裂すると同時に、クリア層5bを削っていくことになる。この際、クリア層5bのみの剥離は一般には難しいため、ブラスト後の白濁化状態を見ながらブラスト条件、例えば、投射材の粒径、粒子の種類、圧力、距離、角度などを個々に決定する。
【0048】
次いで、図1(ハ)に示すように、剥離した部分にクリア層用塗料6を再塗装する。(ロ)において部分的に白濁化が発生していても、クリア層用塗料6を再塗装することにより所望の製品の透明度を得ることができる。
【0049】
本発明の補修方法は、特に、自動車ボディー、自動車外装部品、例えば、スポイラー、ドアミラー、ドアノブ、バンパー等の他、フローリング材やパソコン、携帯電話の筐体等の再生にも極めて有効である。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
ブラスト装置として直圧式ブラスト装置E−10を用い、樹脂投射材としてMG−7((株)ブリヂストン製、メラミン樹脂、平均粒径212〜300μm)を用いて、ハンドル(母材:マグネダイキャスト、クリア層:ポリプロピレン樹脂)およびケースカバー(母材:ABS樹脂、クリア層ウレタン系樹脂)に対しブラスト処理を行った。噴射ノズルは、内径6mmφ、噴射圧0.3MPa、および0.2MPaとした。
【0051】
ブラストすることで、一部または全部が白濁化したが、ブラスト面の微粉を除去した後に再度クリア塗装することで、所望の透明度の塗膜が得られた。かかるブラスト後の白濁化は、ブラストによる表面の微細な凹凸により光が乱反射しているためであるが、熱可塑性樹脂であるクリア層を再塗布することにより、その塗布工程中に基材とクリア塗料が融合し、凹凸がなくなるため、白濁が消え、所望のクリア層が得られた。なお、投射条件は、被塗装品ごとに異なるため、その都度見直す必要がある。
【0052】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の補修方法によれば、クリア塗装品に対して、そのクリア層のみを剥離し、クリア層用塗料を再塗装することにより、所望のクリア層を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補修工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 クリア塗装品
2 鋼母材
3 下塗り塗膜
4 中塗り塗膜
5 上塗り塗膜
5a ベースコート層
5b クリア層
6 クリア層用塗料
11 異物
12 気泡
13 汚れ
14 劣化
Claims (10)
- 塗膜として少なくとも、着色層であるベースコート層とその上層のクリア層とを有するクリア塗装品の、該クリア層に生じる塗装不良箇所を補修するにあたり、樹脂粒子を主成分とする投射材をクリア層表面に投射し、少なくともクリア層の表層部を剥離し、次いで、剥離した部分にクリア層用塗料を再塗装することを特徴とするクリア塗装品の補修方法。
- 前記クリア層が乾燥状態では透明層である請求項1記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記投射材が熱硬化性樹脂粒子を主成分とする請求項1または2記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記熱硬化性樹脂がメラミン系、ユリア系、及びフェノール系の熱硬化性樹脂からなる群から選択される請求項3記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記投射材が、界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子に、酸化鉄、酸化チタン、クロム、カーボンからなる群から選択される1種以上の無機粒子を0.02〜20質量%含有してなる粒子である請求項3又は請求項4記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記投射材が、熱可塑性樹脂基材中に金属系粒子を20〜90質量%含有してなる粒子である請求項1または2記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項6記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記金属系粒子が、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステンからなる群から選ばれる1種以上である請求項6又は請求項7記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記投射材の粒径が500μm以下である請求項1〜8のうちいずれか一項記載のクリア塗装品の補修方法。
- 前記投射材の投射圧力が0.7MPa以下である請求項1〜9のうちいずれか一項記載のクリア塗装品の補修方法。
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